IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20231115BHJP
【FI】
H01L33/62
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019176162
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021057363
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 啓
(72)【発明者】
【氏名】板東 洋一
(72)【発明者】
【氏名】池田 忠昭
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-107258(JP,A)
【文献】特開2013-016757(JP,A)
【文献】特表2014-515560(JP,A)
【文献】特開2019-114637(JP,A)
【文献】特開2018-093197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極形成面に形成された第1素子電極及び第2素子電極を有する発光素子と、前記第1素子電極及び前記第2素子電極の下面を被覆する半田と、前記半田を介して前記第1素子電極及び前記第2素子電極と接合される金属部材を含み第1下面を有する支持体と、を備える第1中間体を準備する工程と、
前記第1下面側から金属部材の一部までを除去して、前記第1素子電極と接合される第1金属部材と、前記第2素子電極と接合される第2金属部材と、をそれぞれ前記金属部材の一部で形成し、前記第1金属部材及び前記第2金属部材の下面を含む第2下面を有する第2中間体を形成する工程と、
前記第1金属部材の下面を被覆する第1外部接続電極と前記第2金属部材の下面を被覆する第2外部接続電極を形成する工程と、を含み、
前記第1中間体を準備する工程において、
前記支持体は、絶縁性の基材と、前記基材上に配置される前記金属部材とを含む発光装置の製造方法。
【請求項2】
電極形成面に形成された第1素子電極及び第2素子電極を有する発光素子と、前記第1素子電極及び前記第2素子電極の下面を被覆する半田と、前記半田を介して前記第1素子電極及び前記第2素子電極と接合され、前記半田が側面に形成されている金属部材を含み第1下面を有する支持体と、を備える第1中間体を準備する工程と、
前記第1下面側から金属部材の一部までを除去して、前記第1素子電極と接合される第1金属部材と、前記第2素子電極と接合される第2金属部材と、をそれぞれ前記金属部材の一部で形成し、前記第1金属部材の側面を覆う第1半田と、前記第2金属部材の側面を覆う第2半田と、をそれぞれ前記半田の一部で形成し、
前記第1半田、前記第2半田、前記第1金属部材及び前記第2金属部材の下面を含む第2下面を有する第2中間体を形成する工程と、
前記第1半田の下面及び前記第1金属部材の下面に接する第1外部接続電極と、前記第2半田の下面及び前記第2金属部材の下面に接する第2外部接続電極とを形成する工程と、を含む発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1中間体を準備する工程において、
上面視において、前記第1素子電極及び/又は前記第2素子電極と重なる位置の前記金属部材に凸部を備える請求項1又は請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記凸部の上面が窪みを備える請求項3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1中間体を準備する工程において、
前記支持体は、絶縁性の基材と、前記基材上に配置される前記金属部材とを含む請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1中間体が、前記発光素子の電極形成面を被覆する第1反射部材を有する請求項1又は請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1外部接続電極と前記第2外部接続電極とを形成する工程において、前記第1外部接続電極と前記第2外部接続電極とをスパッタにより形成する請求項1又は請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1外部接続電極と前記第2外部接続電極とを形成する工程において、前記第1素子電極及び前記第2素子電極を連続して被覆する金属層を形成した後、前記金属層の一部を除去し前記第1外部接続電極と前記第2外部接続電極とを形成する請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1外部接続電極は、前記第2下面から前記第1反射部材の側面の少なくとも一部に亘るように形成されている請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
光取出面と、前記光取出面の反対側に位置する電極形成面とを有する半導体積層体と、前記電極形成面に位置する第1素子電極及び第2素子電極と、を備える発光素子と、
前記第1素子電極の下面を被覆する第1半田と、
前記第2素子電極の下面を被覆する第2半田と、
前記第1半田を介して前記第1素子電極と接合され、前記第1半田が側面に形成されている第1金属部材と、
前記第2半田を介して前記第2素子電極と接合され、前記第2半田が側面に形成されている第2金属部材と、
前記電極形成面、前記第1半田及び前記第2半田の側面を被覆する第1反射部材と、
前記第1半田の下面及び前記第1金属部材の下面に接する第1外部接続電極と、
前記第2半田の下面及び前記第2金属部材の下面に接する第2外部接続電極と、を備える発光装置。
【請求項11】
前記第1金属部材の下面と、前記第2金属部材の下面と、前記第1反射部材の下面とが同一平面である請求項10に記載の発光装置
【請求項12】
前記発光素子の光取出面側に前記発光素子の光取出面よりも大きな下面を有する透光性部材を備える請求項10又は請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記透光性部材の下面と前記発光素子の光取出面との間に位置すると共に、前記発光素子の側面を被覆する導光部材を備える請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記導光部材を介して前記発光素子の側面を被覆する第2反射部材を備える請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記発光素子を複数備える請求項10乃至請求項14のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項16】
前記第1反射部材が前記発光素子の側面を被覆する請求項10乃至請求項15のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項17】
前記第1外部接続電極及び/又は前記第2外部接続電極は、前記第1反射部材の側面の少なくとも一部まで形成される請求項10に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(LED素子)は、バックライト用光源や各種照明など様々な用途で広く利用されている。特許文献1には、凹部を有する発光素子収納用パッケージと、凹部に収容され搭載された発光素子と、を具備する小型の発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-207542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光装置を組み込んだ製品の小型化を図るために、発光装置は更なる薄型化の要求がある。そこで、本発明に係る実施形態は、薄型の発光装置の製造方法及び薄型の発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、電極形成面に形成された第1素子電極及び第2素子電極を有する発光素子と、前記第1素子電極及び前記第2素子電極の下面を被覆する半田と、前記半田を介して前記第1素子電極及び前記第2素子電極と接合される金属部材を含み第1下面を有する支持体と、を備える第1中間体を準備する工程と、前記第1下面側から金属部材の一部までを除去して、前記第1素子電極と接合される第1金属部材と、前記第2素子電極と接合される第2金属部材とを形成し、前記第1金属部材及び前記第2金属部材の下面を含む第2下面を有する第2中間体を形成する工程と、前記第1金属部材の下面を被覆する第1外部接続電極と前記第2金属部材の下面を被覆する第2外部接続電極を形成する工程と、を含む。
【0006】
本開示の実施形態に係る発光装置は、光取出面と、前記光取出面の反対側に位置する電極形成面とを有する半導体積層体と、前記電極形成面に位置する第1素子電極及び第2素子電極と、を備える発光素子と、前記第1素子電極及び前記第2素子電極の下面を被覆する半田と、前記半田を介して前記第1素子電極と接合される第1金属部材と、前記半田を介して前記第2素子電極と接合される第2金属部材と、前記電極形成面及び前記半田の側面を被覆する第1反射部材と、前記第1金属部材の下面を被覆する第1外部接続電極と、前記第2金属部材の下面を被覆する第2外部接続電極と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る実施形態の発光装置の製造方法によれば、薄型の発光装置を提供することができる。また、本発明に係る実施形態の発光装置によれば、薄型に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】第1実施形態に係る発光装置の透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図1B】第1実施形態に係る発光装置の外部接続電極側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図2A】第1実施形態に係る発光装置の外部接続電極側を示す底面図である。
図2B図2AのIIB-IIB線における断面を示す断面図である。
図3A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図3B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における第1中間体準備工程の一例を示すフローチャートである。
図4A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において支持体を一部省略して模式的に示す平面図である。
図4B図4AのIVB-IVB線における断面図である。
図5A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図5B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図5C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図5D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図5E図5DのEAで示す半田部分を拡大して模式的に示す図である。
図5F】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図5G】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図6A】第2実施形態に係る発光装置の第1透光性部材及び第2透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図6B】第2実施形態に係る発光装置において図6AのVIB-VIB線における断面図である。
図7A】第3実施形態に係る発光装置の第1透光性部材及び第2透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図7B】第3実施形態に係る発光装置において図7AのVIIB-VIIB線における断面図である。
図8】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートにおいて第1中間体準備工程の一例を示すフローチャートである。
図9A】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9B】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9C】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9D】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9E】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9F】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9G】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9H】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図10】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図11A】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図11B】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図11C】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図11D】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図11E】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図11F】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図12】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図13A】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13B】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13C】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13D】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13E】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13F】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13G】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13H】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図14A】各実施形態において外部接続電極の第1変形例を模式的に示す底面図である。
図14B】各実施形態において外部接続電極の第2変形例を模式的に示す底面図である。
図14C】各実施形態において外部接続電極の第3変形例を模式的に示す底面図である。
図15A】各実施形態において支持体の第1配線の第1変形例を模式的に示す平面図である。
図15B図15AのXVB-XVB線における断面図である。
図15C】各実施形態において支持体の第1配線の第2変形例を模式的に示す平面図である。
図15D】各実施形態において支持体の第1配線の第3変形例を模式的に示す平面図である。
図16A】各実施形態において発光装置の第1変形例を模式的に示す底面図である。
図16B】各実施形態において発光装置の第2変形例を模式的に示す底面図である。
図16C】各実施形態において発光装置の第3変形例を模式的に示す斜視図である。
図16D】各実施形態において発光装置の第4変形例を模式的に示す斜視図である。
図16E】各実施形態において発光装置の第5変形例を模式的に示す斜視図である。
図17A】各実施形態において溝の形成方法の一例を模式的に示す説明図である。
図17B図17Aの側面状態を模式的に示す説明図である。
図17C】各実施形態において第1中間体に溝を形成した状態を模式的に示す説明図である。
図17D図17Cの第1中間体の側面視において溝を形成した状態を模式的に示す説明図である。
図17E】各実施形態において溝を形成した発光装置を個片化した状態を模式的に示す平面図である。
図17F】各実施形態において溝を形成した発光装置を個片化した状態を模式的に示す側面図である。
図17G】各実施形態において溝を発光装置の底面側に形成した変形例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。さらに、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。なお、本開示では、はじめに発光装置の構成を説明し、その後、発光装置の製造方法について説明を行う。
【0010】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る発光装置について図1Aから図2Bを参照して説明する。
発光装置100は、光取出面201と、光取出面201の反対側に位置する電極形成面203とを有する半導体積層体23と、電極形成面203に位置する第1素子電極21及び第2素子電極22と、を備える発光素子20と、第1素子電極21及び第2素子電極22の下面を被覆する半田60と、半田60を介して第1素子電極21と接合される第1金属部材120と、半田60を介して第2素子電極22と接合される第2金属部材130と、電極形成面203及び半田60の側面を被覆する第1反射部材30と、第1金属部材120の下面を被覆する第1外部接続電極71と、第2金属部材130の下面を被覆する第2外部接続電極72と、を備えている。なお、発光装置100は、第1導光部材40或いは透光性部材50を備えることとしてもよい。
以下、発光装置100の各構成について説明する。
【0011】
<発光素子>
発光素子20は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子である。発光素子20は、発光装置100では、1つ場合について説明するが複数で用いられてもよい。この発光素子20は、窒化物半導体等から構成される既知の半導体素子を使用することができる。
発光素子20は、素子基板24及び素子基板24に積層される半導体積層体23と、半導体積層体23に設けられた一対の素子電極として第1素子電極21及び第2素子電極22とを備えている。発光素子20は、ここでは、素子基板24の上面を光取出面201とし、光取出面201の反対側に位置する半導体積層体23の下面を電極形成面203としている。
発光素子20としては、例えばLEDチップが挙げられる。発光素子20は、少なくとも半導体積層体23を備え、多くの場合に素子基板24をさらに備える。また、発光素子20は、第1素子電極21及び第2素子電極22を有し、第1素子電極21及び第2素子電極22が、金、銀、銅、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。半導体材料としては、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。
【0012】
素子基板24が透光性を有することで、フリップチップ実装を採用しやすく、また光の取り出し効率を高めやすい。素子基板24の母材としては、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、シリコン、炭化珪素、ガリウム砒素、ガリウム燐、インジウム燐、硫化亜鉛、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、ダイヤモンドなどが挙げられる。なかでも、サファイアが好ましい。素子基板24の厚さは、適宜選択でき、例えば0.02mm以上1mm以下であり、素子基板24の強度及び/若しくは発光装置100の厚さの観点において、0.05mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
【0013】
発光素子20は、同一面側に正負一対の第1素子電極21,第2素子電極22を有するものが好ましい。これにより、発光素子20をフリップチップ実装することができる。発光素子20は、発光素子20の第1素子電極21及び第2素子電極22が位置する面である電極形成面203と反対側の面を光取出面201とする。なお、発光素子20は、素子基板24を有するが、最終的な発光装置100の構成となったときに素子基板24を備えていなくてもよい。また、発光素子20の光取出面201には、ここでは、透光性部材50が設置され、第1反射部材30から露出するように形成されている。なお、第1素子電極21及び第2素子電極22の上面とは、電極形成面203と対面する面のことである。第1素子電極21及び第2素子電極22の下面とは、第1素子電極21及び第2素子電極22の上面とは反対側に位置し、支持体10の金属部材12,13(図4A参照)と対面する面のことである。第1素子電極21及び第2素子電極22の側面とは、第1素子電極21及び第2素子電極22の上面と第1素子電極21及び第2素子電極22の下面との間に位置する面のことである。
【0014】
<半田>
半田60は、発光素子20の第1素子電極21の側面及び下面を被覆し、かつ、第1金属部材120を接合するように形成されている。さらに、半田60は、発光素子20の第2素子電極22の側面及び下面を被覆し、かつ、第2金属部材130を接合するように形成されている。半田60は、発光素子20の第1素子電極21及び第2素子電極22、並びに、第1金属部材120及び第2金属部材130と共に第1外部接続電極71,第2外部接続電極72に電気的に接続する部材である。半田60の材料としては、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの公知の材料を用いることができる。なお、本明細書において半田とは導電性の部材を意味する。つまり、半田60の材料としては、金、銀、銅などのバンプ、銀、金、銅、プラチナ、アルミニウム、パラジウムなどの金属粉末と樹脂バインダを含む金属ペースト、低融点金属などのろう材なども用いることができる。
また、半田60は、電極形成面203から第1外部接続電極71,第2外部接続電極72に向かって半田の下面の面積が大きくなるように第1素子電極21及び第2素子電極22の側面及び下面に形成されると共に、第1金属部材120及び第2金属部材130の上面及び側面に形成されている。
【0015】
そして、半田60は、第1素子電極21及び第2素子電極22の側面、並びに、第1金属部材120及び第2金属部材130の30%以上覆うように形成されることが望ましい。また、第1素子電極21及び第2素子電極22の側面、並びに、第1金属部材120及び第2金属部材130の側面の全てを覆うように形成されてもよい。第1素子電極21及び第2素子電極22の側面、並びに、第1金属部材120及び第2金属部材130の側面に半田60が形成されていることで、発光装置の放熱性を向上させることができる。また、上面視において、半田60が第1素子電極21及び第1金属部材120、並びに、第2素子電極22及び第2金属部材130を囲むように形成されることが望ましい。なお、上面視とは、基材の上面に対して実質的に垂直な方向から見た場合を指す。
【0016】
さらに、半田60は、第1素子電極21及び第1金属部材120と第1反射部材30との間において、電極形成面203から第1外部接続電極71に向かって第1反射部材30側に半田60の側面が傾斜している(図5E参照)。このため、第1外部接続電極71側に位置する半田60の下面の面積は、電極形成面203側に位置する半田60の上面の面積よりも大きくなる。同様に、半田60は、第2素子電極22及び第2金属部材130と第1反射部材30との間において、電極形成面203から第2外部接続電極72に向かって第1反射部材30側に半田60の側面が傾斜している(図5E参照)。このため、第2外部接続電極72側に位置する半田60の下面の面積は、電極形成面203側に位置する半田60の上面の面積よりも大きくなる。これにより、半田60が第1外部接続電極71及び/又は第2外部接続電極72側に位置する各半田60の下面の面積が大きくなることで、発光装置の放熱性を向上させることができる。尚、半田60の下面とは、半田60の第1外部接続電極71,第2外部接続電極72に対面する面のことである。半田60の側面とは、半田の下面から電極形成面側に向かう傾斜面のことである。なお、半田60が、電極形成面203と対面する上面を有する場合には、半田60の側面とは、半田60の上面と半田60の下面との間に位置する面のことである。さらに、第1金属部材120の下面とは、第1外部接続電極71と対面する面のことである。そして、第2金属部材130の下面とは、第2外部接続電極72と対面する面のことである。
【0017】
また、半田60は、ここでは、最終的な装置の構成となったときには一部である第1金属部材120及び第2金属部材130を残して除去されている支持体10の金属部材12,13(図5A参照)に第1素子電極21,第2素子電極22が接続されるときに用いられる。そのため、最終的な発光装置100としての第1素子電極21側の構成では、支持体10が除去されて、半田60が第1素子電極21の側面(側周面)及び第1素子電極21と第1金属部材120との間並びに第1金属部材120の側面に形成されている状態となる。また、最終的な発光装置100としての第2素子電極22側の構成では、支持体10が除去されて、半田60が第2素子電極22の側面(側周面)及び第2素子電極22と第2金属部材130との間並びに第2金属部材130の側面に形成されている状態となる。
なお、半田60の下面と、第1金属部材120の下面と、第2金属部材130の下面と、後記する第1反射部材30の下面とは同一平面になるように形成されることが好ましい。これらの各下面が同一平面上になることで、後記する第1外部接続電極71,第2外部接続電極72が形成し易くなる。
【0018】
第1金属部材120及び第2金属部材130は、支持体10の金属部材12,13のそれぞれの一部で形成されている。第1金属部材120及び第2金属部材130は、一例として、支持体10の金属部材12,13に第1素子電極21及び第2素子電極が半田60で接続された後に、支持体10側から金属部材12,13の一部までが除かれて形成されることになる。第1金属部材120及び第2金属部材130は、公知の金属部材すなわち金属材料を用いて形成することができる。例えば、金属材料として銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの合金等で形成することができる。なお、第1金属部材120と第2金属部材130との金属材料を変えて形成してもよい。
【0019】
<透光性部材>
透光性部材50は、発光素子20の光取出面201を被覆し、発光素子20を保護する透光性の部材である。透光性部材50は、上面視において発光素子20の光取出面201よりも大きな面積で形成されていることが好ましい。このようにすることで、発光装置の光取り出し効率が向上する。透光性部材50は、第1導光部材40を介して発光素子20の光取出面201に接続されてもよい。
【0020】
透光性部材50の材料として、例えば、樹脂を用いることができる。透光性部材50に用いることができる樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。透光性部材50の材料として、エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置100の強度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので好ましい。透光性部材50は、波長変換粒子及び/又は拡散粒子を含有していてもよい。なお、波長変換粒子及び/又は拡散粒子は、公知のものを使用することができる。
透光性部材50は、波長変換粒子を含有しない透光層52と、波長変換粒子を含有する波長変換層51とを備えていてもよい。また、波長変換層51は、第1波長変換層51A1及び第2波長変換層51A2を有するようにしてもよい。透光性部材50の構成をこのようにすることで、発光装置100の色調整が容易になる。
【0021】
波長変換粒子は、発光素子20が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。透光性部材50に波長変換粒子を含有させることにより、発光素子20が発する一次光と、波長変換粒子が発する二次光とが混色された混色光を出力することができる。例えば、発光素子20に青色LEDを、波長変換粒子にYAG等の蛍光体を用いれば、青色LEDの青色光と、この青色光で励起されて蛍光体が発する黄色光とを混合させて得られる白色光を出力する発光装置100を構成することができる。また、発光素子20に青色LEDを、波長変換粒子に緑色蛍光体であるβサイアロン系蛍光体と、赤色蛍光体であるマンガン賦活フッ化物系蛍光体を用いて白色光を出力する発光装置100を構成してもよい。
【0022】
透光性部材50では、波長変換層51及び透光層52を備える場合、光の取出面501に向かう方向において、透光層52を波長変換層51よりも上側に位置する。このようにすることで、透光層52が保護層の機能を果たすので波長変換粒子の劣化を抑制できる。また、透光層52が波長変換層51の上に位置することで、水分に弱い波長変換粒子を使用することができる。例えば、波長変換粒子として、マンガン賦活フッ化物蛍光体も使用することができる。マンガン賦活フッ化物系蛍光体は、スペクトル線幅の比較的狭い発光が得られ色再現性の観点において好ましい部材である。
また、波長変換層51では、第1波長変換層51A1と、第1波長変換層51A1を被覆する第2波長変換層51A2の構成とする場合、第2波長変換層51A2が、第1波長変換層51A1を直接被覆してもよく、透光性の別の層を介して第1波長変換層51A1を被覆してもよい。第1波長変換層51A1に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長よりも短いことが好ましい。このようにすることで、発光素子20に励起された第1波長変換層51A1からの光によって、第2波長変換層51A2の波長変換粒子を励起することができる。これにより、第2波長変換層51A2の波長変換粒子からの光を増加させることができる。
【0023】
第1波長変換層51A1に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、500nm以上570nm以下であり、第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、610nm以上750nm以下であることが好ましい。このようにすることで、色再現性の高い発光装置とすることができる。例えば、第1波長変換層51A1に含有される波長変換粒子としてβサイアロン系蛍光体が挙げられ、第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子としてマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体が挙げられる。第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子としてマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体を用いる場合には、特に、透光性部材50が、第1波長変換層51A1と、第2波長変換層51A2と、を備えることが好ましい。マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体は輝度飽和を起こしやすいが、第2波長変換層51A2と発光素子20との間に第1波長変換層51A1が位置することで発光素子20からの光が過度にマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体に照射されることを抑制することができる。これにより、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体の劣化を抑制することができる。
【0024】
<第1導光部材>
第1導光部材40は、発光素子20と透光性部材50を固定し、発光素子20からの光を透光性部材50に導光する部材である。第1導光部材40の母材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。第1導光部材40の材料として、エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置100の硬度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので好ましい。第1導光部材40は、前記した透光性部材50の波長変換層51と同様の波長変換粒子及び/又は拡散粒子を含有していてもよい。
【0025】
第1導光部材40は、発光素子20の光取出面201と、透光性部材50の間のみに位置して発光素子20と透光性部材50を固定してもよいし、発光素子20の光取出面201から発光素子20の素子側面202まで被覆して発光素子20と透光性部材50を固定してもよい。第1導光部材40は、第1反射部材30よりも発光素子20からの光の透過率が高い部材で形成されている。このため、第1導光部材40が発光素子20の側面まで被覆することで、発光素子20の素子側面202から出射される光が第1導光部材40を通して発光装置100の外側に取り出しやすくなるので光取り出し効率を高めることができる。
【0026】
<第1反射部材>
第1反射部材30は、透光性部材50の光の取出面501側に光を反射する部材である。第1反射部材30は、発光素子20の素子側面202を直接又は第1導光部材40を介して被覆してもよい。また、第1反射部材30は、発光素子20の素子側面202、電極形成面203、半田60の側面及び透光性部材50の側面を被覆するように形成されてもよい。第1反射部材30は、発光素子20の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりいっそう好ましい。第1反射部材30の材料としては、例えば、母材中に白色顔料を含有させた部材を用いることができる。
【0027】
第1反射部材30の母材としては、樹脂を用いることが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂、などを用いることが好ましい。特に、第1反射部材30の母材として、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置の硬度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので第1反射部材30の母材として用いることが好ましい。第1反射部材30は、発光素子20からの光が透過しない程度に所定の厚みにすることで発光素子20からの光が第1反射部材を透過することを抑制し、光取り出し効率を向上させることができる。なお、発光素子20からの光が透過しないとは、発光素子20からの光の50%以上が透過しないことが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがよりいっそう好ましい。
【0028】
<外部接続電極>
第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は、発光装置100を外部の電極に接続するためのものである。第1外部接続電極71は、半田60の下面、第1金属部材120の下面、及び第1反射部材30の下面に接するように形成されている。また、第2外部接続電極72は、半田60の下面、第2金属部材130の下面、及び第1反射部材30の下面に接するように形成されている。第1外部接続電極71は、半田60の下面及び第1金属部材120と同等の面積、或いは、前記面積よりも大きな面積に形成されていることが好ましい。また、第2外部接続電極72は、半田60の下面及び第2金属部材130と同等の面積、あるいは、前記面積よりも大きな面積に形成されていることが好ましい。第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は、互いに離れて形成されている。また、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は、例えば、銀、白金、アルミニウム、ロジウム、金若しくはこれらの合金等を、層状に設けてよい。
【0029】
なお、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は、発光装置の下面の周端まで形成されていてもよく、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72が発光装置の下面の周端から離れて形成されていてもよい。第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72が発光装置の下面の周端まで形成されている場合には、発光装置の側面が実装基板の実装面に対向して実装される側面発光型の発光装置でも第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72から電気を供給しやすくなる。また、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72が発光装置の下面の周端から離れて形成されている場合には、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72にバリが発生することを抑制できる。なお、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は、後記するように第1反射部材30の側面の一部に亘って形成されるようにしてもよい。また、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は、それぞれが異なる金属材料で形成されていてもよい。
【0030】
発光装置100は、以上説明したような各構成により形成される。発光装置100は、発光素子20を載置する基板を有していないので、発光装置100の上面(光の取出面501)から下面(第1外部接続電極71,第2外部接続電極72)までの寸法を小さくすることができる。そのため、発光装置100では、液晶ディスプレイのバックライト装置、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、プロジェクタ装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置などに利用することができる。発光装置100では、第1金属部材120の側面を覆う半田60が第1外部接続電極71と接しているので、半田60が第1外部接続電極71と接していない場合よりも発光装置100の放熱性を向上させることができる。また、発光装置100では、第2金属部材130の側面を覆う半田60が第2外部接続電極72と接しているので半田60が第2外部接続電極72と接していない場合よりも発光装置100の放熱性を向上させることができる。
【0031】
なお、発光装置100の光の取出面501とは、発光装置100において最上面に位置し、発光素子20からの光を取り出す面のことである。このため、発光装置100の最上面に透光性部材50の上面が位置する場合には、透光性部材50が発光装置100の光の取出面501を有する。また、発光装置100の最上面に発光素子20の上面が位置する場合には、発光素子20が発光装置の光の取出面501を有する。なお、発光装置100では、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を設けることなく半田60及び第1金属部材120の下面、並びに、半田60及び第2金属部材130の下面を、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72の代わりとして使用することも可能である。
【0032】
次に、発光装置の製造方法について、図3A図3B図4A図4B図5A図5Gを参照して説明する。
発光装置の製造方法は、以下の工程を少なくとも含むように行われている。
(1)電極形成面に形成された第1素子電極及び第2素子電極を有する発光素子と、第1素子電極及び第2素子電極の下面を被覆する半田と、半田を介して第1素子電極及び第2素子電極と接合される金属部材を含み第1下面を有する支持体と、を備える第1中間体を準備する工程である第1中間体準備工程S11を行う。
(2)第1下面側から金属部材の一部までを除去して、第1素子電極と接合される第1金属部材と、第2素子電極と接合される第2金属部材とを形成し、第1金属部材及び第2金属部材の下面を含む第2下面を有する第2中間体を形成する工程である第2中間体形成工程S12を行う。
(3)第1金属部材の下面を被覆する第1外部接続電極と第2金属部材の下面を被覆する第2外部接続電極を形成する工程である外部接続電極形成工程S13を行う。
以下、各工程について説明する。なお、第1反射部材から露出する半田の下面を外部接続電極の代わりとする場合には、外部接続電極形成工程S13を行わなくてもよい。外部接続電極形成工程S13を行わない場合には、第2中間体形成工程S12の後に個片化工程を行うようにすることも可能である。
【0033】
(第1中間体を準備する工程)
第1中間体準備工程S11は、支持体10に半田60を介して発光素子20を接続した第1中間体101を準備する工程である。ここでは、説明を簡単にするために、図4AのIVB-IVB線おける断面図の構成部分を主に説明する。つまり、第1中間体101では、行列方向に複数の発光素子20が配置されるが、2つの発光素子20が配置される部分を主に説明することとする。ただし、個片化された後では発光装置100として発光素子20は、1つを用いる構成として説明している。
図5A及び図5Bに示すように、第1中間体準備工程S11において、第1中間体101は、支持体10の配線部分となる金属部材12,13に発光素子20を接続して形成される。発光素子20は、支持体10の基材11の上面111に形成された一対の金属部材12,13に、半田60を介して、第1素子電極21,第2素子電極22を接続する。金属部材12,13の面積は、発光素子20の第1素子電極21及び第2素子電極22よりも広くてもよい。これにより、第1素子電極21及び第2素子電極22の側面を被覆する半田60を形成しやすくなる。金属部材12,13は、発光素子20の第1素子電極21及び第2素子電極22と対向する位置に、凸部を備えていてもよい。金属部材12,13が、凸部を備えることで、第1素子電極21及び第2素子電極22を半田60により接続する際にセルフアライメント効果により位置合せを容易に行うことができる。
金属部材12,13の面積は、発光素子20の第1素子電極21,第2素子電極22と同等でもよい。このようにすることで、金属部材12,13に対する発光素子20の位置精度を向上させることができる。
【0034】
上面視における凸部の大きさは、特に限定されないが、凸部と対向するそれぞれの第1素子電極21,第2素子電極22の大きさに対して±10%以内の大きさであることが好ましい。このようにすることで、セルフアライメント効果が高めることができる。また、凸部の厚みは特に限定されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0035】
金属部材12,13は、公知の金属材料を用いて形成することができる。例えば、金属部材12,13の材料として銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの合金等で形成することができる。特に、金属部材12,13の材料として銅又は銅合金を用いることが好ましい。このようにすることで、金属部材12,13の放熱性が向上する。また、金属部材12,13の表層が公知の金属材料によりめっきされていてもよい。例えば、金属部材12,13の表層が金めっきされていることが好ましい。このようにすることで、金属部材12,13が酸化することを抑制することができる。
なお、支持体10は、基材11の上面に第1配線として形成した金属部材12,13の他に、基材11の下面に形成された第2配線を備えていてもよい。また、一対の金属部材とそれぞれ電気的に接続される第2配線を備えていてもよい。第2配線の材料としては、金属部材と同様の材料を用いることができる。
【0036】
ここで用いられる支持体10は、後記するように、発光装置100となる段階では、除去されることになるものである。
なお、基材11は、上面111から第1下面112までの最大厚みは、一例として、100μm以上500μm以下であることが好ましい。基材の強度は、上面111から第1下面112までの厚みを100μm以上にすることで向上する。また、後記するように支持体10を除去する際には、第1下面112から金属部材12,13の一部までを除去することで、発光装置の厚みを薄くしている。
【0037】
基材11は、樹脂若しくは繊維強化樹脂、セラミックス、ガラスなどの絶縁性部材を用いて構成することができる。樹脂若しくは繊維強化樹脂としては、エポキシ、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミドなどが挙げられる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、若しくはこれらの混合物などが挙げられる。
なお、第1中間体101の支持体10は、基材11と金属部材12,13とが同じ金属材料で形成される構成であってもよい。つまり、基材11は、配線の部分となる金属部材12,13が一体に形成されている金属の部材であってもよい。
【0038】
第1中間体101において、発光素子20は、光取出面201を被覆する透光性部材50を接続してもよい。発光素子20が透光性部材50に被覆されることで、発光素子20を外部応力から保護することができる。第1中間体101は、基材11の金属部材12,13に発光素子20の第1素子電極21,第2素子電極22を、半田60を介して接続したものをいう。また、発光装置100では、透光性部材50の上面が発光装置の光の取出面501である。
【0039】
なお、図5Cに示すように、第1中間体101は、発光素子20を配置した後に第1反射部材形成工程S112により、第1反射部材30を備えていてもよい。第1反射部材30は、透光性部材50の側面、発光素子20の電極形成面203、半田60の側面を被覆してもよい。第1反射部材30は、発光素子20の側面を、第1導光部材40を介して被覆するように設けられている。第1反射部材30は、例えば、発光素子20が配置された支持体10を上下の金型に設置して、硬化すると第1反射部材30となる溶融した部材を金型内に充填して形成される。そして、第1中間体101は、第1反射部材30が形成された状態として準備される。
【0040】
(第2中間体を形成する工程)
図5D及び図5Eに示すように、第1反射部材30が形成された第1中間体101が準備できると、次に、第1中間体101に第2下面113を形成した第2中間体102を形成する第2中間体形成工程S12を行う。第2中間体形成工程S12では、第1中間体101の第1下面112側から金属部材12,13の一部を除去して第2下面113を形成することで第2中間体102を形成している。例えば、研削機械により第1中間体101の一部を削ってもよい。なお、第2下面113を形成する場合、半田60の下面及び金属部材12,13の一部が第1金属部材120及び第2金属部材130として第1反射部材30から露出するよう第1中間体の一部が除去されればよい。一例として、図5Eの矢印DK1の範囲を基材11と共に研削してもよい。
【0041】
第2中間体形成工程S12では、基材11の第1下面112側から金属部材12,13の一部までの範囲を除去して、半田60を介して第1素子電極21,第2素子電極22の下面に対向する第1金属部材120及び第2金属部材130の下面を露出させ、第1中間体101の厚みを薄くする。第1中間体101の第1下面112から金属部材12,13の一部までを除去して、第1中間体101を薄くして第2下面113を形成して第2中間体102とすることで、薄型の発光装置100を製造することができる。第2下面113を形成する際に、金属部材12,13の一部までの範囲を除去する方法としては、研削、エッチング、切削、ブラスト等の公知の方法を用いることができる。なお、金属部材12,13の一部までを除去する方法として研削を用いることが好ましい。このようにすることで、第1反射部材30の下面、半田60の下面、第1金属部材120の下面、並びに、第2金属部材130の下面が同一平面上にしやすくなる。これにより、第2中間体102の下面である第2下面113が平坦になり、複数の発光装置100を製造する場合に、発光装置100のバラつきを抑制することができる。
なお、第2下面113を形成した後には、研削くずが第2中間体102の様々な部分に付着して残存しないように洗浄工程を施してもよい。洗浄工程は、エアを第2中間体102に吹き付けることや、或いは、洗浄用液体に浸漬或いは洗浄用液体(固体二酸化炭素を含む)を吹き付けることで行うことができる。
【0042】
(外部接続電極を形成する工程)
図5Fに示すように、続いて、外部接続電極形成工程S13を行う。外部接続電極形成工程S13は、半田60の下面、第1金属部材120の下面、第2金属部材130の下面を被覆する一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を第2下面113に形成する工程である。一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72とは、正負電極として機能する2つの電極のことである。このため、第2中間体102は、正負一対の電極となるよう互いに離れた一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を備える。なお、個片化前の一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は隣り合う一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72と、離れていてもよく、繋がっていてもよい。なお、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72は、金属層或いは金属板により形成され、電気的な接続ができるものであればよい。
【0043】
一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を形成する方法としては、スパッタ、蒸着、めっき等の公知の方法を用いることができる。ここでは、一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を形成する方法としてスパッタを用いることが好ましい。このようにスパッタを用いることで、第2下面113と第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72と接合強度が向上しやすくなり、これにより、第2下面から第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72が剥がれることを抑制できる。スパッタにより一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を形成する場合には、一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72が繋がって短絡しないためにマスク等を用いてもよい。
なお、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を形成する場合、連続して被覆する金属層を形成してから、一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72となるように第2下面113に形成してもよい。これは、第1素子電極21,第2素子電極22に半田60を介して接合している第1金属部材120、第2金属部材130に連続して形成した金属層の少なくとも一部を除去することにより、第1素子電極21,第2素子電極22と電気的に接続される一対の第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を形成することとする。金属層の一部を除去する方法としては、レーザ光の照射、エッチング、ブラスト等の公知の方法を用いることができる。
【0044】
金属層の一部を除去する方法としてレーザ光の照射を用いることが好ましい。レーザ光の照射することでマスクなどを用いることがなく、金属層のパターニングをすることができる。金属層にレーザ光を照射すると、レーザアブレーションを生じさせることができる。これにより、金属層の一部が除去される。レーザ光を照射することにより、金属層がパターニングされることになり、金属層を外部接続電極とすることができる。なお、レーザアブレーションとは、固体の表面に照射されるレーザ光の照射強度がある大きさ(閾値)以上になると、固体の表面が除去される現象のことである。
金属層の一部を除去する方法としてレーザ光の照射を用いる場合には、レーザ光の波長は、金属層に対する反射率が低い波長、例えば反射率が90%以下である波長を選択することが好ましい。例えば、金属層の最表面がAuである場合には、赤色領域(たとえば640nm)のレーザよりも、緑色領域(例えば550nm)より短い発光波長のレーザを用いることが好ましい。これにより、アブレーションを効率よく発生させ、量産性を高めることができる。
なお、外部接続電極形成工程S13では、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を新たに設けることなく、第2下面113を形成したときに第1反射部材30から露出している半田60の下面及び第1金属部材120の下面、並びに、半田60の下面及び第2金属部材130の下面をそのまま電極として利用するようにしてもよい。
【0045】
(個片化工程)
図5Gに示すように、個片化工程S14は、発光装置100ごとに個片化する工程である。この個片化工程S14では、ブレードダイシング法やレーザダイシング法などによって、第2中間体102において隣接する発光素子20の側面との間に沿って、第1反射部材30を切断することで発光装置100毎に個片化される。このようにすることで、複数の発光装置100を製造することができる。
【0046】
<第2実施形態>
図6A及び図6Bを参照して第2実施形態に係る発光装置100Aについて説明する。
なお、発光装置100Aは、既に説明した発光装置100を2つ連続している構成と同等である。
発光装置100Aは、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2を備えると共に、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2をそれぞれ第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2に対向して形成するような構成としている。
【0047】
第1発光素子20A1と第2発光素子20A2とが直線上に沿って、互いに離れて配置されている。第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2は、同じ色の光を発光するものを並列して用いることや、異なる色を発光するものを並列して用いることであってもよい。なお、第1発光素子20A1と第2発光素子20A2の発光ピーク波長が同じ場合は、第1発光素子20A1と第2発光素子20A2の発光のピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)であってもよい。また、第1発光素子20A1と、第2発光素子20A2の発光ピーク波長が異なる場合は、発光のピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)にある第1発光素子20A1と、発光のピーク波長が490nm以上570nm以下の範囲(緑色領域の波長範囲)にある第2発光素子20A2と、であってもよい。このようにすることで発光装置100Aの色再現性を向上させることができる。なお、発光ピーク波長が同じとは±10nm程度の変動は許容されるものとする。
【0048】
第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2は、既に説明した透光性部材50と同じ構成であり、それぞれが第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2のそれぞれに対向して形成されている。第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2は、同じ構成として形成されることや、異なる構成として形成されることであってもよい。第1透光性部材50A1と、第2透光性部材50A2との構成が異なる場合には、例えば、含まれている波長変換粒子を変えることができる。また、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2の一方に波長変換粒子を備え、他方に波長変換粒子を備えない構成とすることができる。なお、第1反射部材30は、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2の上面を露出させ、かつ、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の側面を、第1導光部材40を介して一体的に被覆するように形成されている。
【0049】
外部接続電極71A,72A,73Aは、半田60の下面及び第1金属部材120、並びに、半田60及び第2金属部材130の下面に対面して電気的に接続されるように、第1反射部材30の下面に3カ所に亘って形成されている。そして、第1外部接続電極71Aは、第1発光素子20A1の一方の第1素子電極21に対向する第1金属部材120と半田60とに接続するように形成されている。また、第3外部接続電極73Aは、第2発光素子20A2の他方の第2素子電極22に対向する第2金属部材130及び半田60と接続するように形成されている。さらに、第2外部接続電極72Aは、第1発光素子20Aの他方の第2素子電極22に対向する第2金属部材130と半田60、並びに、第2発光素子20A2の一方の第1素子電極21に対向する第1金属部材120と半田60とに接続するように、第1外部接続電極71Aと第3外部接続電極73Aの間に形成されている。第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2は、正負の素子電極21,22の位置を変えることで、直列でも並列でも接続できるように構成されている。
【0050】
次に、第2実施形態に係る発光装置100Aの製造方法について説明する。
発光装置100Aは、既に説明した発光装置の製造方法と基本的には同等である。そして、第1反射部材30を形成する工程では、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2の上面を露出させるように形成される。そして、第1反射部材30は、半田60の側面と、電極形成面203と、第1導光部材40を介して第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の側面とを、一体的に被覆するように形成されている。
個片化工程を行う場合に、発光素子20(第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2)を複数(2つ)含むように個片化することで発光装置100Aを製造することができる。
発光装置100Aでは、半田60が外部接続電極71A,72A,73Aと接しているので、発光装置の放熱性が向上する。さらに、発光装置100Aでは、複数の発光素子(図面では2つ)を使用することができるので、発光装置の色再現性を向上させやすい。尚、発光装置が3つ以上の発光素子を備えていてもよい。
【0051】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る発光装置100Bについて図7A及び図7Bを参照して説明する。なお、以下の説明において、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2を、発光素子20として説明する場合もある。
発光装置100Bとして、前記した100Aの構成と異なる点は、第1反射部材30Bと、第2反射部材90と、第1導光部材40Bと、第2導光部材41Bとを備え、1つの透光性部材50Bが第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2に対向して形成されていることである。なお、既に説明した構成については同じ符号を付して適宜説明を省略する場合がある。
【0052】
透光性部材50Bは、第1発光素子20A1の光取出面201A1及び第2発光素子20A2の光取出面201A2の複数に対して1つが対向して配置されている。この透光性部材50Bは、第1導光部材40Bを介して第1発光素子20A1の光取出面201A1及び第2発光素子20A2の光取出面201A2に設けられている。透光性部材50Bは、透光層52Bと、波長変換層51Bとを備えている。また、波長変換層51Bは、第1波長変換層510B1と第2波長変換層510B2とを備えている。なお、透光性部材50Bは、大きさは異なるが、既に説明した透光性部材50と同じ構成である。
【0053】
第1導光部材40Bは、第1発光素子20A1の光取出面201A及び第2発光素子20A2の光取出面201A2のそれぞれに対面するように形成されている。そして、第1導光部材40Bは、第2導光部材41B上にも形成されている。第1導光部材40Bは、第2導光部材41B上の部分が、光取出面201A及び光取出面201A2に対面する部分より厚みが厚くなるように形成されている。
そして、第2導光部材41Bは、発光素子20の素子基板24の側面の全部又は一部を覆うように、第1導光部材40Bの下方に連続して形成されている。第1導光部材40B及び第2導光部材41Bは、両者が既に説明した第1導光部材40と同じ部材を使うことや、両者が前記した部材の中から異なる材料となるように形成されてもよい。
【0054】
第1反射部材30Bは、素子基板24の一部の側面と、半導体積層体23の全部の側面とを覆い、かつ、発光素子20の電極形成面203と、半田60の側面とを覆うように、第2導光部材41Bの下方に形成されている。また、第1反射部材30Bの下面は、半田60の下面と、第2反射部材90の下面と、同一平面になるように形成されている。
第2反射部材90は、透光性部材50Bの側面、第1導光部材40Bの側面、第2導光部材41Bの側面、及び、第1反射部材30Bの側面を覆うように枠状に形成されている。第2反射部材90は、発光装置100Bの外側面を形成している。
第1反射部材30B及び第2反射部材90は、既に説明した第1反射部材30と同じ材料で形成できる。また、第1反射部材30Bと第2反射部材90とを既に説明した中の異なる材料で形成することもできる。第1反射部材30Bが母材中に白色顔料を含む場合には、白色顔料が外部接続電極側になる下面側に偏在することが好ましい。このようにすることで発光素子20の光が白色顔料によって遮られにくくなり発光装置100Bの光取出効率が向上する。
【0055】
第1~第3外部接続電極71B,72B,73Bは、半田60の下面及び第1金属部材120、並びに、半田60及び第2金属部材130の下面に対面して電気的に接続されるように形成されている。そして、第1外部接続電極71Bは、第1発光素子20A1の一方の第1素子電極21に対向する第1金属部材120及び半田60に接続するように形成されている。また、第3外部接続電極73Bは、第2発光素子20A2の他方の第2素子電極22に対向する第2金属部材130及び半田60に接続するように形成されている。さらに、第2外部接続電極72Bは、第1発光素子20A1の他方の第2素子電極22に対向する第2金属部材130、半田60及び第2発光素子20A2の一方の第1素子電極21に対向する第1金属部材120、半田60に接続するように、第1外部接続電極71Bと第3外部接続電極73Bとの間に形成されている。第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2は、正負の素子電極21,22の位置を変えることで、直列でも並列でも接続できるように構成されている。
【0056】
次に、第3実施形態に係る発光装置の製造方法について図8乃至図9Hを参照して説明する。
発光装置の製造方法は、既に説明した製造方法のフローチャートと同じ工程で製造されるが、各工程の内容が異なる場合がある。特に、第1中間体を準備する第1中間体準備工程は、以下の点で異なる。つまり、第1中間体準備工程では、発光素子基材接続工程S111と、第1反射部材形成工程S112と、第2導光部材形成工程S113と、第1導光部材形成工程S114と、透光性部材形成工程S115と、溝部形成工程S116と、第2反射部材溝部充填工程S117とが行われる。
【0057】
図9A及び図9Bに示すように、第1中間体準備工程S11において、発光素子基材接続工程S111を行う。発光素子基材接続工程S111では、支持体10の一対の金属部材12,13に半田60を介して発光素子20の一対の第1素子電極21,第2素子電極22が接続される。つまり、支持体10において、一方の一対の金属部材12,13に半田60を介して第1発光素子20A1の一対の第1素子電極21,第2素子電極22が接続される。そして、支持体10において、他方の一対の金属部材12,13に第2発光素子20A2の一対の第1素子電極21,第2素子電極22が接続される。支持体10の基材11に形成された全ての金属部材12,13に、前記したと同様に、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2が半田60を介して接続される。
【0058】
次に、図9C及び図9Dに示すように、第1中間体準備工程S11において、第1反射部材形成工程S112及び第2導光部材形成工程S113を行う。第1反射部材形成工程S112では、発光素子20の半導体積層体23を超えて素子基板24の一部の高さまでの範囲となるように第1反射部材30Bが形成されてもよい。さらに、第2導光部材形成工程S113では、第1反射部材30Bの上に素子基板24の側面を覆うように第2導光部材41Bが形成される。第1反射部材形成工程S112及び第2導光部材形成工程S113は、それぞれ別々の工程として行うようにすることや、同一の工程で行うようにしてもよい。同一の工程として行う場合には、第1反射部材30Bを第2導光部材41Bの高さまで形成し、第1反射部材30Bに含有されている反射部材、例えば、白色顔料を沈殿させることで、上層側を第2導光部材41Bとし下層側を第1反射部材30Bとして形成する。
【0059】
次に、図9Eに示すように、第1中間体準備工程S11において、第1導光部材形成工程S114及び透光性部材形成工程S115を行う。第1導光部材形成工程S114は、発光素子20の光取出面及び第2導光部材41Bの上に第1導光部材40Bを形成する。第1導光部材40Bは、透光性部材50Bと発光素子20とを接合させることができる部材である。続いて、透光性部材形成工程S115を行う。透光性部材形成工程S115は、第1導光部材40Bが硬化する前に、支持体10に接続されている発光素子20を覆うように透光性部材50Bが設置される。なお、第1導光部材形成工程S114及び透光性部材形成工程S115は、透光性部材50Bに第1導光部材40Bを塗布した状態で、発光素子20の光取出面201及び第2導光部材41Bの上に設けることで行ってもよい。
【0060】
次に、図9Fに示すように、第1中間体準備工程S11において、溝部形成工程S116及び第2反射部材溝部充填工程S117が行われる。溝部形成工程S116は、発光装置100Bの単位となる範囲毎に、第2反射部材90を形成するための溝部3Bが形成される。溝部3Bは、透光性部材50B側から基材11に到達する溝深さで、平面視において透光性部材50Bに格子状に形成される。溝部3Bの溝深さは、例えば、支持体10の基材11を貫通しない位置まで形成される。また、溝部3Bの溝幅は、溝部の半分の厚みで形成される第2反射部材90が発光素子20からの光を反射することができる厚みとなる範囲である。そして、溝部3Bは、格子の大きさとして、後記するように、溝中央の位置で個片化したときに、格子の1つが第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2を有する発光装置100Bの単位となるように形成されている。
次に、第1中間体準備工程S11において、第2反射部材溝部充填工程S117が行われる。第2反射部材溝部充填工程S117では、形成した溝部3Bに第2反射部材90が充填される。そして、溝部3B内に第2反射部材90を充填することで、第1中間体101Bが形成される。第1中間体101Bは、その下面が基材11の下面である第1下面112Bを形成している。
【0061】
次に、図9Gに示すように、第2中間体形成工程S12において、第1中間体101Bの第1下面112B側から金属部材12,13の一部(図5E参照)までの範囲を切削等により除去する。第1中間体101Bの第1下面112Bから所定範囲まで切削することで、基材11及び金属部材12,13の一部を除去して第1金属部材120及び第2金属部材130を第1反射部材30Bから露出する第2下面113Bとし、この第2下面113Bを有する第2中間体102Bを形成する。第2中間体102Bの第2下面113Bは、第1反射部材30Bの下面と、半田60の下面と、第1金属部材120の下面と、第2金属部材130の下面とが同一平面となるように形成されている。
次に、図9Hに示すように、外部接続電極形成工程S13において、第2中間体102Bの第2下面113Bに第1~第3外部接続電極71B,72B,73Bを形成する。第1~第3外部接続電極71B,72B,73Bは、ここでは、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2のそれぞれに、半田60及び第1金属部材120、並びに、半田60及び第2金属部材130を介して電気的に接続されるようにスパッタ等の手段により形成される。
第2下面113Bは、発光装置の側面及び/又は透光性部材の上面よりも表面粗さが大きいことが好ましい。このようにすることで、第2下面113Bと第1~第3外部接続電極71B,72B,73Bとの接合強度を向上させることができる。
【0062】
次に、個片化工程S14において、第2中間体102Bを発光装置100Bの単位となるようにブレードダイシング法やレーザダイシング法などによって個片化する。ここでは、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2(2つの発光素子)が1つの発光装置100Bとなるように形成される。第2中間体102Bを個片化する場合には、第2反射部材90の中央(溝部3Bの中央)で切断することで、発光装置100Bを直方体状となるように個片化して形成することができる。個片化された発光装置100Bは、透光性部材50Bが装置の光取出面として中央に配置され、その透光性部材50Bの周囲を枠状に第2反射部材90が外側面として囲んだ外観の状態となる。
発光装置100Bでは、半田60が第1~第3外部接続電極71B,72B,73Bと接しているので発光装置の放熱性が向上する。さらに、発光装置100Bでは、複数の発光素子20を使用することができるので、色再現性を向上させやすい。
発光装置100Bでは、発光素子20の電極形成面203を覆うように第1反射部材30Bが位置することにより、発光素子20からの光を透光性部材50B側に反射させることができるので、発光装置の光取出効率を向上させることができる。
【0063】
発光装置100Bでは、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の発光ピーク波長が同じ場合には、第1発光素子20A1からの光と、第2発光素子20A2からの光が第2導光部材41Bに導光されることで、第1発光素子20A1と第2発光素子20A2の間の輝度ムラを抑制することができる。また、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の発光ピーク波長が異なる場合には、第1発光素子20A1からの光と、第2発光素子20A2からの光が第2導光部材41Bに導光されることで、発光装置100Bの混色性を向上させることができる。また、発光装置100Bは、第2下面113Bの中央に位置する第2外部接続電極72Bが放熱部としての役割を果たすことから放熱性が向上する。
【0064】
<第4実施形態>
また、図10図11A図11Fに示すような製造方法により発光装置100Aと同様な構造の発光装置100Cを製造することとしてもよい。
発光装置の製造方法は、第1中間体準備工程S11と、第1切溝形成工程S118と、第2中間体形成工程S12と、外部接続電極形成工程S13と、個片化工程(第2切溝形成工程)S14と、を含む手順で行われる。なお、第1中間体準備工程S11では、例えば、図11Aに示すように、透光性部材50の上面を覆う第1反射部材30を形成する。そして、図11Bに示すように、透光性部材50の上面が露出するように第1反射部材30を研削して第1反射部材30の上面と透光性部材50の上面とが同一平面になるようにすることで、第1中間体101を準備する。
【0065】
続いて、第1切溝形成工程S118は、図11Cに示すように、第1反射部材30を後記する個片化するときの間隔で第1切溝3C1を形成する工程である。第1切溝形成工程S118は、図11Cに示すように、第1反射部材30の上面側からブレード等の切削工具を介して第1切溝3C1が所定の幅で所定の深さに形成される。第1切溝3C1は、後記する第2切溝3C2と併せてその溝内面の一部が、個片化されたときに発光装置100Cの側面となる第1反射部材30の側面を形成することとなる。なお、ここでは、第1切溝3C1は、次工程において、第1反射部材30で隣り合う発光装置同士が分離することなく扱うことができる溝深さ或いは溝幅で形成されていることが望ましい。
【0066】
第2中間体形成工程S12、外部接続電極形成工程S13は、図11D及び図11Eに示すように、第1切溝3C1が第2中間体102Cに形成されていることを除けば、既に説明した工程と同じ工程である。個片化工程S14は、図11Fに示すように、第1切溝3C1の位置で切断することで、発光装置100C毎になるように個片化している。個片化工程S14では、第1反射部材30の下面側から第1切溝3C1に対向する第2切溝3C2をブレード等の切削工具により形成することで、発光装置100C毎に個片化している。個片化工程S14では、予め形成した第1切溝3C1と第2切溝3C2を形成することで、第1反射部材30の部分を切断して各発光装置100Cとなるように個片化している。
【0067】
<第5実施形態>
さらに、図12図13A図13Hに示すような製造方法により発光装置100Dを製造することとしてもよい。
発光装置の製造方法は、第1中間体準備工程S11と、第1切溝形成工程S118と、第2中間体形成工程S12と、支持基板接続工程S121と、第2切溝形成工程S122と、外部接続電極形成工程S13と、個片化工程S14とを含む手順で行われる。なお、個片化工程S14では、第3切溝形成工程S141と、支持基板除去工程S142とを行っている。そして、第1外部接続電極171,第2外部接続電極172は、第2下面113から第1反射部材30の側面の少なくとも一部に亘るように形成されてもよい。なお、第1外部接続電極171,第2外部接続電極172は、既に説明した第1外部接続電極71,第2外部接続電極72に対して、側面電極部171a、172aを備えるように形成されるものである。
【0068】
発光装置の製造方法では、図12図13A乃至図13Cに示すように、第1中間体準備工程S11、第1切溝形成工程S118及び第2中間体形成工程S12は、既に説明した工程と同等の工程を行っている。また、第2中間体形成工程S12では、前記したよりも第1切溝3D1の溝深さが第2切溝3D2の溝深さよりも浅くなるように形成されてもよい。第1切溝3D1は、後記する第3切溝3D3により個片化される。
支持基板接続工程S121は、図13Dに示すように、第1切溝3D1が形成されている第1反射部材30の上面を支持基板11Dに向けて第2中間体102Dを支持する工程である。この支持基板接続工程S121は、例えば、紫外線硬化樹脂等の仮止めようの接着剤G1を介して支持基板11Dに第2中間体102Dが支持される。
【0069】
図13Eに示すように、第2切溝形成工程S122は、支持基板11Dに支持されている第2中間体102Dの第2下面113から第1切溝3D1に対向するように第2切溝3D2を形成する工程である。第2切溝形成工程S122では、第1切溝3D1よりも溝幅が大きく、溝深さも同等以上となるように第2切溝3D2が形成される。第2切溝3D2は、第1切溝3D1と溝中心が略一致するように形成され、第1切溝3D1の溝底から離れるように形成される。なお、第2切溝3D2は、前記した第1切溝3D1及び後記する第3切溝3D3と併せて、その溝内面の一部が、個片化されたときに発光装置100Dの側面(第1反射部材30の側面)を形成することとなる。第2切溝3D2は、発光装置の側面の少なくとも1つに形成していればよい。
【0070】
図13F及び図13Gに示すように、外部接続電極形成工程S13は、第2下面113及び第2切溝3D2内に第1外部接続電極171,第2外部接続電極172を形成する工程である。外部接続電極形成工程S13は、例えば、第1素子電極21,第2素子電極22に半田60を介して対向する第1金属部材120、第2金属部材130に沿ってそれぞれに第1外部接続電極171,第2外部接続電極172が離れて形成されるようにスパッタリングにより設けられる。ここでは、第1素子電極21,第2素子電極22に半田60を介して接続される第1金属部材120及び第2金属部材130に連続する金属層170を形成した後、金属層170の少なくとも一部を除去することにより第1素子電極21に第1金属部材及び半田60を介して連続する金属層170と、第2素子電極22に第2金属部材130及び半田60を介して連続する金属層170と、を離れさせる。
【0071】
また、第2切溝3D2内の溝内にも金属層170をスパッタリングにより設けている。そして、一方の第1外部接続電極171は、後記する個片化の際に第3切溝3D3により切断されることで、第1反射部材30の側面側に形成される側面電極部171aと、この側面電極部171aに連続して一方の第1素子電極21に第1金属部材120及び半田60を介して形成される下面電極部171bとを備えるように形成される。同様に、他方の第2外部接続電極172は、後記する個片化の際に第3切溝3D3により切断されることで、第1反射部材30の側面側に形成される側面電極部172aと、この側面電極部172aに連続して他方の第2素子電極22に第2金属部材130及び半田60を介して形成される下面電極部172bとを備えるように形成される。
【0072】
図13G及び図13Hに示すように、個片化工程S14は、発光装置100D毎に個片化する工程である。この個片化工程S14は、ここでは、第3切溝形成工程S141と、支持基板除去工程S142とを行っている。
図13Gに示すように、第3切溝形成工程S141は、第2切溝3D2内に設けた金属層170の一部を切断するように第2切溝3D2の溝幅よりも小さく、かつ、第1切溝3D1の溝幅よりも大きな溝幅の第3切溝3D3をブレード等の切削工具により形成している。個片化工程S14で第1反射部材30に第3切溝3D3が形成されることで、第2切溝3D2及び第3切溝3D3により形成される第1反射部材30の側面よりも内側に側面電極部172aを形成することができる。
【0073】
図13Hに示すように、支持基板除去工程S142は、第3切溝3D3を形成した第1反射部材30の支持基板11Dを除去する工程である。支持基板除去工程S142では、一例として、紫外線硬化樹脂を接着剤G1として使用していることから、紫外線を照射することで、接着剤G1から各発光装置100Dを分離させ、支持基板11Dを除去して、発光装置100D毎に個片化している。
前記した製造方法により形成された発光装置100Dは、第2下面113に形成される下面電極部171b,172bと、第1反射部材30の側面に形成される側面電極部171a,172aとを第1外部接続電極171,第2外部接続電極172とすることができる。そのため、発光装置100Dでは、第1外部接続電極171,第2外部接続電極172で接続する外部機器の種類の範囲を広げることができる。
【0074】
なお、前記した各実施形態において、第1外部接続電極171及び第2外部接続電極172は、第2下面113側では、図14A図14Cで示すように形成されていてもよい。
すなわち、図14Aに示すように、第1外部接続電極71C,第2外部接続電極72Cは、第2下面113の一方と他方に離れて、長手方向の両端、及び、短手方向の両端において第2下面113の端まで連続して形成されることとしてもよい。
【0075】
また、図14Bに示すように、第1外部接続電極71D,第2外部接続電極72Dは、長手方向の両端では、一部を除いて第2下面113の端まで連続して形成され、短手方向の両端では、第2下面の端から離れた状態で形成されていてもよい。なお、第1外部接続電極71D,第2外部接続電極72Dは、長手方向の両端では、一部を除いて第2下面の端まで連続して形成され、短手方向の一方の端では、第2下面113の端までは連続して形成され、短手方向の他方の端では、第2下面113の端から離れた状態で形成されていてもよい。
さらに、図14Cに示すように、第1外部接続電極71E,第2外部接続電極72Eは、短手方向の両端では、第2下面113の端まで連続して形成され、長手方向の両端では、端から離れた状態で形成されていてもよい。
なお、図14A図14B図14Cで説明した第1外部接続電極及び第2外部接続電極は、第1反射部材30の側面に既に説明した側面電極部を併せて形成されることとしてもよい。例えば、下面視において発光装置が長方形の場合には、側面電極部を発光装置の外縁の短辺のみに位置していてもよく、長辺のみに位置していてもよく、短辺及び長辺に位置していてもよい。なお、側面電極部と下面電極部とは接していてもよく、離れていてもよい。
【0076】
また、第1配線は、図15A図15Dで示す構成としてもよい。
すなわち、図15A及び図15Bに示すように、金属部材12A1,13A1が、凸部を備えており、凸部の上面が窪み12a,13aを備えていてもよい。金属部材12A1,13A1の凸部に窪み12a,13aが形成されることで、発光素子20の第1素子電極21,第2素子電極22と接合するための半田60の塗布量が多かった場合、窪み12a,13aに余計な半田60が入り込むことで調整することができる。
さらに、窪みの形状及び数は、図15Cに示すように、金属部材12B1,13B1において、略円形の複数の窪み12b,13bを形成してもよい。
そして、窪みの形状は、図15Dに示すように、金属部材12C1、13C1の中央に一端から他端まで連続する窪み12c,13cであってもよい。
窪み12a~12c,13a~13cは、余計な半田60を内部に入り込ませて調整することができるものである。上面視における窪みの形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等であってもよい。
【0077】
なお、前記した各実施形態において、支持体10は、金属部材12,13が、発光素子20の第1素子電極21,第2素子電極22と対向する位置に、凸部を形成することなく平面状であってもよい。平面状の金属部材12,13とする場合には、第1素子電極21,第2素子電極22よりも大きな面積となるように形成されることが好ましい。
また、第3実施形態において、第1反射部材30Bの白色顔料等の反射部材を沈降させることで、第2導光部材41Bと第1反射部材30Bとを形成するようにした場合には、製造方法において、手順を減らすことができ、また、第2導光部材41Bを単独で準備する必要がなくなり、設備の簡略化を図ることができる。
【0078】
さらに、発光装置100は外観から極性判別が可能な構造を有することが好ましい。これにより、キャリアテープ内に発光装置100を所望の向きで収納して搬送したい場合や、実装基板に発光装置100を所望の向きで実装する場合に、発光装置の配置の向きを容易に区別することができる。
極性判別が可能な構造の例を、図16A図16Eを参照して説明する。
【0079】
図16A及び図16Bに示すように、第1外部接続電極171,第2外部接続電極172は、それぞれの平面形状を異ならせることで極性を判別できるようにしている。例えば、図16Aでは、矩形状の第1外部接続電極171,第2外部接続電極172のうち一方の第2外部接続電極172の角部Cに電極非形成領域5を設けることで、第1外部接続電極171及び第2外部接続電極172のそれぞれの平面形状を異ならせている。電極非形成領域5が設けられた領域では、第1反射部材30が露出している。図16Aでは角部Cに電極非形成領域5がある形状になっているが、その他の角部に電極非形成領域5が設けられてもよく、2つ以上の角部に電極非形成領域5があってもよい。
【0080】
また、図16Bでは、下面視において、第2外部接続電極172の対向する一対の辺の双方に達するように第2外部接続電極172の端面に、一例として矩形の電極非形成領域5を設けることで、第1外部接続電極171及び第2外部接続電極172のそれぞれの平面形状や大きさを異ならせている。電極非形成領域5では、第1反射部材30が露出している。そのため、電極非形成領域5が形成されていることで、色彩的にも素材的にも異なり、視覚的及び質感的にも違いがわかるため、発光装置の向きを簡単に判断することができる。
【0081】
また、電極非形成領域5は、例えば、前述したレーザ光の照射により形成することができる。具体的には、外部接続電極形成工程S13において、第2下面113に位置する第1素子電極21,第2素子電極22及び第1反射部材30を連続して被覆するように第2下面113の全面に金属層を形成した後、金属層にレーザ光を照射し、第1外部接続電極171及び第2外部接続電極172を形成するとともに、電極非形成領域5に位置する金属層の一部を除去する。レーザ光の照射を用いることで、マスクなどを用いることがなく工程の簡略化を図ることができる。なお、電極非形成領域5は、レーザ光の照射以外にエッチングやブラスト等の公知の方法により形成することができる。
【0082】
図16A及び図16Bで示すように、外部接続電極の電極非形成領域5は、発光素子20の第1素子電極21及び第2素子電極22が外部に露出しないように設けられることが好ましい。これは、例えば、レーザ光の照射を用いて第1外部接続電極171及び第2外部接続電極172及び電極非形成領域5を形成する場合、第1素子電極21或いは第2素子電極22上に位置する金属層がレーザアブレーションされない条件で行うことにより実現することができる。
なお、図16A及び図16Bでは、第2外部接続電極172にのみ電極非形成領域5が設けられているが、第1外部接続電極171,第2外部接続電極172の双方に電極非形成領域5を設けてそれぞれの平面形状を異ならせてもよい。
【0083】
また、図16C及び図16Dに示すように、発光装置100は、発光面側に位置する第1反射部材30に非貫通の溝6を設けることで発光装置100の極性を判別するようにしている。図16Cで示す溝6は、発光装置100の外側面301から離れ、対向する一対の外側面302,303の双方に達するように形成されている。図16Cでは、溝6があることで発光装置100の極性判別が簡単にできる。また、溝6が発光装置100の外側面301から離れていることで、発光面9と外側面301との間に位置する第1反射部材30の厚みが薄くなることを抑制することができ、発光素子20からの光が該領域に位置する第1反射部材30から外側に漏れ出ることを抑制することができる。なお、図16Cで示す溝6は、個片化した発光装置100では、段差として形成されているともいえる。
【0084】
また、図16Dに示す溝6は、対向する一対の外側面302,303に加えて、外側面301にも達するように形成している点で図16Cに示す溝6と異なる。溝6が、対向する一対の外側面302,303に加えて、外側面301にも達していることで、外側面301側からの発光装置100の極性判別が可能になる。
【0085】
なお、図16C及び図16Dに示す溝6は、対向する一対の外側面302,303の双方に達しているが、これに限られない。溝6は、一対の外側面302,303のうち一方の側面のみに達していてもよく、一対の外側面302,303の双方から離れていてもよい。また、溝6は、例えば、レーザやダイシングによって形成することができる。
さらに、図16Eでは、発光装置100の発光面側に位置する第1反射部材30に着色材7を設けることで発光装置100の極性を判別している。発光装置100の発光面側に着色材7を設けることで、発光装置100の発光面側からの極性判別が容易になる。また、第1反射部材30に溝6等を設けないことで、発光装置100の強度の低下を抑制することができる。
【0086】
次に、図17A図17Gを参照して図16Dで示す溝6を形成する方法の一例を説明する。
まず、図17Aで示すように、個片化後に発光装置100となる領域P(以下、単に発光装置形成領域P)が行列状に配置された構造体200を準備する。図17A及び図17Cでは、発光装置形成領域Pを破線で示し、図17A乃至図17Eでは、発光装置形成領域Pが4つである場合を一例として図示している。図17A及び図17Bに示すように、第1中間体である構造体200は、下面側に支持体10を有し、上面側に発光装置形成領域Pを有している。構造体200の発光面側では、発光装置形成領域Pに位置する発光面9は第1反射部材30から露出している。構造体200の発光面9は、略平坦な面になっており、各発光面9と第1反射部材30の上面は略同一平面上に位置する。
【0087】
次に、図17C及び図17Dで示すように、発光面9と長手方向に隣接する発光面9との間に位置する第1反射部材30に溝6Aを形成する。図17Cでは、溝6Aが形成された領域にハッチングを施している。溝6Aの一部は、個片化後の発光装置100に残り、発光装置100の極性判別を可能にする溝6となる。溝6Aは、例えば、上面視において、溝6Aが延びる方向における第1辺61が発光装置形成領域Pの内側に配置され、第2辺62が隣接する発光装置形成領域Pの外側に配置されるように、形成される。これにより、個片化後の発光装置100において、発光装置100の対向する外側面のうち一方の外側面側にのみ溝6が形成され、溝6により発光装置100の極性判別が容易になる。溝6Aは、例えば、レーザやダイシングにより形成することができる。
【0088】
図17E及び図17Fに示すように、構造体200は、支持体10の一部が除去された後に、個片化されて各発光装置100となる。各発光装置100は、発光面側に溝6を有し、溝6により発光装置100の極性判別を可能としている。これにより、キャリアテープ内に発光装置100を所望の向きで収納して搬送したい場合や、実装基板に発光装置100を所望の向きで実装する場合に、発光装置の配置の向きを容易に区別することができる。
【0089】
なお、図17Fで示す溝6は、発光装置100の上面側に位置する第1反射部材30に設けられているが、本開示の発光装置はこれに限られない。例えば、図17Gで示すように、発光装置100の下面側に位置する第1反射部材30に溝16が設けられてもよい。
また、発光装置100では、第1外部接続電極71及び第2外部接続電極72を形成する構成として説明したが、第2下面113を形成したときに半田60の下面と第1金属部材120の下面と第2金属部材130の下面とが露出しているので、その半田60の下面と第1金属部材120の下面と第2金属部材130の下面とを第1外部接続電極及び第2外部接続電極として用いることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示の各実施形態に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト装置、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、プロジェクタ装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
100,100A,100B 発光装置
101,101A,101B 第1中間体
102,102A,102B 第2中間体
10 支持体
10A 基板
11 基材
12,13 金属部材
120 第1金属部材
130 第2金属部材
20 発光素子
21 第1素子電極
22 第2素子電極
23 半導体積層体
24 素子基板
30 第1反射部材
40 第1導光部材
41 第2導光部材
50,50A,50B 透光性部材
50A1,50A2 透光性部材
90 第2反射部材
70 金属層
71,71A,71B 第1外部接続電極
72,72A,72B 第2外部接続電極
73A,73B 第3外部接続電極
201 光取出面
202 素子側面
203 電極形成面
S11 第1中間体準備工程
S12 第2中間体形成工程
S13 外部接続電極形成工程
S14 個片化工程
S111 発光素子基材接続工程
S112 第1反射部材形成工程
S113 第2導光部材形成工程
S114 第1導光部材形成工程
S115 透光性部材形成工程
S116 溝部形成工程
S117 第2反射部材溝部充填工程
S118 第1切溝形成工程
S121 支持基板接続工程
S122 第2切溝形成工程
S141 第3切溝形成工程
S142 支持基板除去工程
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図17G