(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20231115BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20231115BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20231115BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20231115BHJP
【FI】
H01L33/00 J
H01L33/50
H01L33/62
H01L33/54
(21)【出願番号】P 2019233173
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】川野 雄祐
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6328227(JP,B2)
【文献】特開2005-209830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源を有する第1回路と、
前記第1回路に並列に接続され、第2光源と第3光源と抵抗体とを有する第2回路と、を備え、
前記第2回路は、前記第2光源および前記第2光源と直列に接続される
前記抵抗体を含む第3回路と、前記第2光源と並列に接続される前記第3光源および前記第3光源と直列に接続される前記抵抗体を含む第4回路と、を有し、
前記第1光源の色温度と前記第2光源の色温度と前記第3光源の色温度はそれぞれ異なり、
前記第2光源の電流-電圧特性線と前記第3光源の電流-電圧特性線は交差し、
前記第1回路および前記第2回路に第1電圧を印加時に、前記第2回路に流れる第2電流は前記第1回路に流れる第1電流よりも大きく、前記第4回路
の前記第3光源に流れる第4電流は前記第3回路
の前記第2光源に流れる第3電流よりも大きく、
前記第1回路および前記第2回路に前記第1電圧よりも大きい第2電圧を印加時に、前記第2回路に流れる第2電流は前記第1回路に流れる第1電流よりも大きく、前記第3回路
の前記第2光源に流れる前記第3電流は前記第4回路
の前記第3光源に流れる前記第4電流よりも大きく、
前記第1回路および前記第2回路に前記第2電圧よりも大きい第3電圧を印加時に、前記第1回路に流れる前記第1電流は前記第2回路に流れる前記第2電流よりも大きい、発光装置。
【請求項2】
前記第1光源は複数の第1発光ダイオードを含み、
前記第2光源は少なくとも1つの第2発光ダイオードを含み、
前記第3光源は少なくとも1つの第3発光ダイオードを含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
上面を有する基板をさらに備え、
前記複数の第1発光ダイオード、前記少なくとも1つの第2発光ダイオードおよび前記少なくとも1つの第3発光ダイオードは前記基板の上面に実装されており、
前記抵抗体は、前記基板の上面に印刷された印刷抵抗である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基板は、前記上面に位置する第1配線および第2配線を含み、
前記印刷抵抗は、前記第1配線の一部および前記第2配線の一部と重なっており、
前記第1配線または前記第2配線に前記第2光源および前記第3光源が電気的に接続されている、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記基板の上面において、前記複数の第1発光ダイオード、前記少なくとも1つの第2発光ダイオードおよび前記少なくとも1つの第3発光ダイオードを囲むように配置された樹脂部材をさらに備え、
前記樹脂部材は、前記印刷抵抗を覆っている、請求項3または4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基板および前記樹脂部材は、前記基板の上面を底部とする凹部を形成しており、前記複数の第1発光ダイオード、前記少なくとも1つの第2発光ダイオードおよび前記少なくとも1つの第3発光ダイオードは前記底部に位置している、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第3発光ダイオードは、前記第2発光ダイオードよりも小さい発光面積を有する、請求項2から6のいずれかに記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1光源の色温度は、前記第2光源および前記第3光源の色温度よりも高く、
前記第2光源の色温度は、前記第3光源の色温度よりも高い、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第3光源の色温度は、前記第1光源および前記第2光源の色温度よりも高く、
前記第2光源の色温度は、前記第1光源の色温度よりも高い、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1光源の色温度は、前記第2光源および前記第3光源の色温度よりも高く、
前記第2光源の色温度は、前記第3光源の色温度よりも高い、請求項2から7のいずれかに記載の発光装置。
【請求項11】
前記第3光源の色温度は、前記第1光源および前記第2光源の色温度よりも高く、
前記第2光源の色温度は、前記第1光源の色温度よりも高い、請求項2から7のいずれかに記載の発光装置。
【請求項12】
前記第2光源および前記第3光源は、前記第2発光ダイオードの上面上および前記第3発光ダイオードの上面上に配置され赤色蛍光体を含む透光性部材をそれぞれ含む、請求項10に記載の発光装置。
【請求項13】
前記第3光源における前記赤色蛍光体の配合比は、前記第2光源における前記赤色蛍光体の配合比よりも大きい、請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1光源は、前記複数の第1発光ダイオードの上面上にそれぞれ配置された透光性部材を含み、前記透光性部材は蛍光体を含まない、請求項12に記載の発光装置。
【請求項15】
前記第1光源、前記第2光源および前記第3光源は、各発光ダイオードの上面上に配置され、黄色蛍光体を含む封止部材をそれぞれ含み、各光源の前記封止部材は連続している、請求項14に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発光ダイオード等の発光素子を用いた発光装置は、照明器具等の各種の光源として広く利用されている。このような発光装置として、例えば、複数の発光素子を備え、調光および調色を同時に行うことが可能な発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示はより調光性および調色性に優れた発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、第1光源を有する第1回路と、前記第1回路に並列に接続され、第2光源と第3光源と抵抗体とを有する第2回路と、を備え、前記第2回路は、前記第2光源および前記第2光源と直列に接続される抵抗体を含む第3回路と、前記第2光源と並列に接続される前記第3光源および前記第3光源と直列に接続される前記抵抗体を含む第4回路と、を有し、前記第1光源の色温度と前記第2光源の色温度と前記第3光源の色温度はそれぞれ異なり、前記第2光源の電流-電圧特性線と前記第3光源の電流-電圧特性線は交差し、前記第1回路および前記第2回路に第1電圧を印加時に、前記第2回路に流れる第2電流は前記第1回路に流れる第1電流よりも大きく、前記第4回路に流れる第4電流は前記第3回路に流れる第3電流よりも大きく、前記第1回路および前記第2回路に前記第1電圧よりも大きい第2電圧を印加時に、前記第2回路に流れる第2電流は前記第1回路に流れる第1電流よりも大きく、前記第3回路に流れる前記第3電流は前記第4回路に流れる前記第4電流よりも大きく、前記第1回路および前記第2回路に前記第2電圧よりも大きい第3電圧を印加時に、前記第1回路に流れる前記第1電流は前記第2回路に流れる前記第2電流よりも大きい。
【発明の効果】
【0006】
本開示の実施形態に係る発光装置によれば、優れた調光性および調色性を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の発光装置の一実施形態を示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す発光装置における、第1光源、第2光源および第3光源の電流-電圧特性線を示す。
【
図3】
図3は、
図1に示す発光装置における、第1回路、第3回路および第4回路の電流-電圧特性線を示す。
【
図4】
図4は、
図1に示す発光装置に流れる全電流と、各回路に流れる電流との関係を示す。
【
図5】
図5は、
図1に示す発光装置に流れる全電流と発光装置から出射する光の色温度との関係を模式的に示す。
【
図6】
図6は、
図1に示す発光装置に流れる全電流と発光装置から出射する光の全光束との関係模式的に示す。
【
図7】
図7は、
図1に示す発光装置の具体的な一構成例であって、上面側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す発光装置の具体的な一構成例であって、下面側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7のIX-IX線における発光装置の断面図である。
【
図12】
図12は、
図1に示す発光装置から封止部材、樹脂部材および第1、第2、第3透光性部材を取り除いた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示の発光装置の実施形態を詳細に説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。以下に説明する発光装置の実施形態は一例であって、本開示の発光装置はこの実施形態に限られない。構成要素の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、記載した値、関係などに限定されず、例示することを意図している。また、以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解を容易にする等のために誇張している場合がある。本明細書中および図面中において、X方向は、横方向を示し、右方向(X+方向)および左方向(X-方向)の双方を含む。また、Y方向は、縦方向を示し、上方向(Y+方向)および下方向(Y-方向)の双方を含む。
【0009】
(回路構成の概要)
本開示の発光装置は、色温度が異なる複数の光源と、抵抗体とを備える。複数の光源は、電流-電圧特性線特性が互いに異なる少なくとも2つの光源を含み、複数の光源は互いに並列に接続されている。抵抗体は複数の光源のそれぞれと直列に接続されている。
【0010】
図1は、本開示の発光装置の一実施形態を示す回路図である。発光装置101は、端子Aと端子Kとの間で、第1光源21を有する第1回路C1と、第1回路C1に並列に接続され、第2光源22と第3光源23と抵抗体25とを有する第2回路C2とを備えている。第2回路C2は、第3回路および第4回路を含む。第3回路は、第2光源22および第2光源22と直列に接続される抵抗体25を含む。第4回路C4は、第2光源22と並列に接続される第3光源23および第3光源23と直列に接続される抵抗体25を含む。
【0011】
本実施形態では、第1光源21は、2つの発光部21A、21Bを含んでいる。また、第2光源22および第3光源23は、それぞれ1つの発光部を有している。発光部は発光ダイオードを含むことが好ましい。発光部は、後述するように、発光ダイオードと、透光性部材と、封止部材の少なくとも一部とを含んでいてもよい。このほか、発光装置101は複数の光源を保護するため、端子Aと端子Kとの間を接続する保護素子26を備えていてもよい。
【0012】
第1光源21から出射される光の色温度は、第2光源22から出射される光および第3光源23から出射される光の色温度よりも高く、第2光源22から出射される光の色温度は、第3光源から出射される光の色温度よりも高い。つまり、第1光源21、第2光源22および第3光源23から出射される光の色温度をそれぞれ、T1、T2、T3とすれば、T1>T2>T3である。
【0013】
図2は、第1光源21、第2光源22および第3光源23の電流-電圧特性線を示す。
図2に示すように、第2光源22の電流-電圧特性線L2と第3光源23の電流-電圧特性線L3は交差している。各電流-電圧特性線の低電流側の始点の電圧を、各光源に個別に電流を流した場合に光源が点灯を開始する「立ち上がり電圧」という。立ち上がり電圧は、「駆動電圧」または「障壁電圧」とも呼ばれる。
【0014】
図2に示すように、第1光源21、第2光源22および第3光源23の電流-電圧特性線の始点の電圧をそれぞれVs1、Vs2およびVs3とした場合、Vs1>Vs2>Vs3である。各光源の発光部が発光ダイオードを含む場合、例えば、電流-電圧特性線L2および電流-電圧特性線L3は、第2光源22および第3光源23を構成する発光ダイオードのチップ面積、発光層の厚さ、発光層の不純物濃度、バッファ層などの半導体層の厚さを異ならせることによって実現することができる。また、電流-電圧特性線L1は、例えば、複数の発光ダイオードを直列に接続することによって実現することができる。
【0015】
図3は、第1回路C1、第3回路C3および第4回路C4の電流-電圧特性線CC1、CC3およびCC4を示す。
図4は、発光装置101に流れる全電流(端子Aと端子Kとの間に流す電流)と、各回路に流れる電流との関係を示している。第1回路C1は、第1光源21のみを含むため、第1回路C1の電流-電圧特性線CC1は実質的に第1光源21の電流-電圧特性線L1と同じである。これに対し、第3回路C3では、第2光源22に対して直列に抵抗体25が接続されている。このため、第3回路C3を流れる電流が増加すると、抵抗体25における電圧降下が電流値に比例して大きくなる。なお、電流値が変化しても抵抗体25の抵抗値は一定である。第4回路C4も第3回路C3と同様、第3光源23に対して直列に抵抗体25が接続されているため、第4回路C4を流れる電流が増加すると、抵抗体25における電圧降下が電流値に比例して大きくなる。
【0016】
電流-電圧特性線CC1、CC3およびCC4の低電流側の始点は各回路に含まれる光源が点灯を開始する点、つまり、始点の電圧である。各電流-電圧特性線の始点の電圧をそれぞれVc1、Vc3およびVc4とする。
【0017】
発光装置101を駆動する場合、発光装置101の端子Aと端子Kとの間に電力を供給する電源を接続する。第1回路C1、第3回路C3および第4回路C4は、端子Aと端子Kとの間で並列に接続されているため、端子Aと端子Kとの間の電圧をVacとすると、いずれの回路にも電圧Vacが印加される。また、第1回路C1に流れる電流を第1電流I1、第2回路C2に流れる電流を第2電流I2、第3回路C3に流れる電流を第3電流I3、第4回路C4に流れる電流を第4電流I4とする。第2電流I2は、第3電流I3と第4電流I4を合わせた値である。つまり、I2=I3+I4となる。
【0018】
駆動回路から端子Aと端子Kとの間に流す電流を増大させていき、VacがVc4になった時に、電流-電圧特性線の始点の電圧が最も低い第3光源23を含む第4回路C4に電流が流れ、第3光源23が点灯する。この時、第1回路C1および第3回路C3は第4回路C4と並列に接続されているので、第1回路C1および第3回路C3の両端に印加される電圧VacもVc4である。この値は、第1回路C1および第3回路C3の電流-電圧特性線CC1およびCC3の始点の電圧よりも低いため、第1回路C1および第3回路C3にはほとんど電流は流れず、第1光源21および第2光源22は点灯しない。
【0019】
発光装置101に流れる電流が増大するにつれて、
図3に示す第4回路C4の電流-電圧特性線CC4に従って端子Aと端子Kとの間の電圧Vacも上昇するが、VacがVc3に達するまで、第1回路C1および第3回路C3にはほとんど電流は流れない。
【0020】
VacがVc3に達すると、第2光源22を含む第3回路C3に電流が流れ始め、第2光源22が点灯する。この値は、第1光源21の電流-電圧特性線CC1の始点の電圧Vc1よりも低いため、第1回路C1にはほとんど電流は流れず、第1光源21は点灯しない。
図3に示すように、電流-電圧特性線CC3の傾きは電流-電圧特性線CC4の傾きよりも小さい。これは、第3回路C3の方が第4回路C4よりも抵抗が小さいことを意味しており、VacがVc3を超えると、発光装置101に流れる全電流のうち電圧Vc3の時点での電流値を超えて増加する電流は、優先的に第3回路C3に流れることを意味する。このため、VacがVc3に達して以降は、発光装置101に流れる全電流の増加分は主として第3回路C3に流れるので、第3回路C3の第2光源22の輝度は、第4回路C4の第3光源23の輝度よりも高まる割合が大きい。
【0021】
発光装置101に流れる全電流がさらに増大するにつれて、第3回路C3に流れる電流が増大し、第4回路C4を流れる電流よりも大きくなる。第3光源23の点灯後、第3回路C3に流れる電流が第4回路C4を流れる電流より大きくなる点までの全電流の範囲をA1とし、この時のVacの電圧をV1とすれば、Vc3<V1<Vc1、I4>I3、及び、I2>I1を満たす。
【0022】
VacがVc1に達するまで、
図3に示す第3回路C3の電流-電圧特性線CC3に従って電圧Vacも上昇し、第3回路C3を流れる電流が増大する。
【0023】
VacがVc1に達すると、第1光源21を含む第1回路C1に電流が流れ始め、第1光源21が点灯する。つまり、第1光源21、第2光源22および第3光源23が同時に点灯する。
図3に示すように、電流-電圧特性線CC1の傾きは電流-電圧特性線CC3、CC4の傾きよりも小さい。これは、第1回路C1の方が第3回路C3および第4回路C4よりも抵抗が小さいことを意味しており、VacがVc1を超えると、発光装置101に流れる全電流のうち電圧Vc1の時点での電流値を超えて増加する電流は、優先的に第1回路C1に流れることを意味する。このため、VacがVc1に達して以降は、発光装置101に流れる全電流の増加分は主として第1回路C1に流れるので、第1回路C1の第1光源21の輝度は、第3回路C3の第2光源22および第4回路C4の第3光源23の輝度よりも高まる割合が大きい。
【0024】
発光装置101に流れる全電流がさらに増大するにつれて、第1回路C1に流れる電流が増大し、第3回路C3および第4回路C4に流れる電流の和である第2回路C2を流れる電流よりも大きくなる。第3回路C3に流れる電流が第4回路C4を流れる電流より大きくなる点(A1の上限)から、第1回路C1に流れる電流が第2回路を流れる電流より大きくなる点までの全電流の範囲をA2とし、この時のVacの電圧をV2とすれば、V1<V2、I4<I3、及び、I2>I1を満たす。
【0025】
これ以降、発光装置101に流れる全電流が増大すると、主として第1回路C1に流れる電流が増大し、電流-電圧特性線CC1に従って電圧が増大する。第1回路C1に流れる電流が第2回路を流れる電流より大きくなる点以降の全電流の範囲をA3とし、この時のVacの電圧をV3とすれば、V2<V3、I2<I1、及び、I4<I3を満たす。
【0026】
図5は、発光装置101に流れる全電流と発光装置101から出射する光の色温度との関係を模式的(実施形態)に示す。比較のため、第1光源21と第3光源23のみを備える発光装置を構成した参考形態における色温度の変化を
図5において破線(参考形態)で示す。上述したように、第1光源21、第2光源22および第3光源23の色温度T1、T2、T3は、T1>T2>T3の関係を満たしている。このため、第3光源23のみが点灯している状態では色温度は相対的に低く、電流量が増加しても、色温度は一定である。第2光源22が点灯し、第2光源22の輝度が電流量の増加ともに高まると、電流量の増加とともに、色温度が高くなる。さらに第1光源21が点灯し、第1光源21の輝度が電流量の増加ともに高まると、さらに色温度が高まる。
【0027】
図6は、発光装置101に流れる全電流と発光装置101から出射する光の全光束との関係模式的に示す。点灯する光源の数は、電流の増大とともに変化するが、概ね電流量に比例して全光束が増大する。
【0028】
図5および
図6から分かるように、本実施形態の発光装置101によれば、電流を変化させることによって、調光および調色が同時に可能である。特に、
図5に示すように、発光装置101が、電流-電圧特性および色温度が異なる3つの光源を備えていることによって、より漸次的に調色を行うことが可能となる。
図5に示すように、第1光源21および第3光源23で構成される参考形態の場合、第1光源21が駆動されるタイミングで、第3光源23の色温から第1光源21の色温度へ急激に変化する。
【0029】
また、本実施形態の発光装置101によれば、第2光源22の電流-電圧特性線L2と第3光源23の電流-電圧特性線L3とは交差している。このため、抵抗体を用いることなく、第3光源23および第2光源22を順次点灯させることが可能であり、抵抗体による損失を抑制できる。
【0030】
(具体的な構成例)
次に、本実施形態の発光装置101の具体的な構成例を説明する。
図7および
図8は、発光装置101の上面側および下面側から見た斜視図であり、
図9および
図10は、
図7におけるIX-IX線断面図およびX-X線断面図を示す。
【0031】
本実施形態では、発光装置101はパッケージの形態で構成されており、発光装置101は、第1光源21、第2光源22および第3光源23を収納するパッケージ55をさらに備える。
【0032】
パッケージ55は、上面55aおよび下面55bと、上面55aに開口を有する凹部55cとを有し、凹部55cの底部に、第1光源21、第2光源22および第3光源23が配置されている。発光装置101は、さらに封止部材61を備えていてもよい。この場合、封止部材61は、パッケージ55の凹部55c内に配置される。パッケージ55の下面55bには、第1電極16と第2電極17が配置されている。第1電極16と第2電極17は、外部の回路と接続され、第1光源21、第2光源22および第3光源23に電力を供給する。
【0033】
第1光源21は、発光部21A、21Bを含む。発光部21A、21Bは、それぞれ、第1発光ダイオード31と、第1透光性部材41と、封止部材61の少なくとも一部とを含む。つまり、第1光源21は、2つの第1発光ダイオード31と、2つの第1透光性部材41と、封止部材61の少なくとも一部とを含む。第1光源21に含まれる封止部材61の少なくとも一部とは、第1発光ダイオード31からの光が当たる封止部材61の部分である。第2光源22は、第2発光ダイオード32と、第2透光性部材42と、封止部材61の少なくとも一部とを含む。第2光源22に含まれる封止部材61の少なくとも一部とは、第2発光ダイオード32からの光が当たる封止部材61の部分である。第3光源23は、同様に、第3発光ダイオード33と、第3透光性部材43と、封止部材61の少なくとも一部とを含む。第3光源23に含まれる封止部材61の少なくとも一部とは、第3発光ダイオード33からの光が当たる封止部材61の部分である。以下、発光ダイオードをLEDと省略する。また、3つのLEDを総称する場合には単にLEDと呼ぶ場合がある。各部の構成を以下において詳述する。同様に3つの透光性部材を総称する場合には単に透光性部材と呼ぶ場合がある。
【0034】
[第1LED31、第2LED32、第3LED33]
第1LED31、第2LED32、第3LED33は、それぞれ、発光装置101の光源として機能し、後述する封止部材61および第2透光性部材42、第3透光性部材43に含まれる蛍光体の励起源となる。
図11は、第1LED31、第2LED32、第3LED33の断面構造を模式的に示している。第1LED31、第2LED32、第3LED33は、それぞれ、半導体積層体35と、基板36と、電極37、38とを有する。半導体積層体35は半導体材料からなる複数の半導体層を含む。半導体材料としては、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式In
xAl
yGa
1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。このほか、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素などを用いることもできる。半導体積層体35は、活性層と、p型半導体層と、n型半導体層とを含み、p型半導体層とn型半導体層との間に活性層を有する。基板36は半導体積層体35を結晶成長させるための結晶成長用基板である。しかし、結晶成長用基板から分離した半導体積層体35を支持するための基板であってもよい。基板36は、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、シリコン、炭化珪素、ガリウム砒素、ガリウム燐、インジウム燐、硫化亜鉛、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、ダイヤモンドなどの材料によって構成される。これらの材料のうち、サファイアを用いて基板36を構成することが好ましい。基板36の厚さは、適宜選択でき、例えば0.02mm以上1mm以下であり、強度および/またはLEDの高さを調節する観点から、基板36の厚さは、0.05mm以上0.3mm以下であることが好ましい。電極37は、半導体積層体35のp型半導体層およびn型半導体層の一方と電気的に接続され、電極38は、半導体積層体35のp型半導体層およびn型半導体層の他方と電気的に接続されている。電極37、38は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。
【0035】
第1LED31、第2LED32、第3LED33の発光ピーク波長は同等であってもよいし、異なっていてもよい。また、第1LED31および第2LED32は、発光ピーク波長および電流-電圧特性線が同等である同種(同じ品番)の素子であってもよい。本実施形態では、第1LED31、第2LED32、第3LED33の発光ピーク波長は、それぞれ、430nm以上480nm以下であり、第1LED31、第2LED32、第3LED33は青色光を出射する。
【0036】
第2LED32の電流-電圧特性線は、第3LED33の電流-電圧特性線と交差している。具体的には、第3LED33の電流-電圧特性線の始点の電圧は、第2LED32の電流-電圧特性線の始点の電圧よりも低く、第3LED33の電流-電圧特性線の傾きは、第2LED32の電流-電圧特性線の傾きよりも大きい。このような特性は、例えば、第3LED33の発光面積を第2LED32の発光面積よりも小さくすることによって実現し得る。
【0037】
[第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43]
第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43は、第1LED31、第2LED32、第3LED33の光出射面である上面上に、それぞれ配置される。本実施形態では、第2透光性部材42および第3透光性部材43は、それぞれ、母材40および、第2蛍光体42Pおよび第3蛍光体43Pを含む。第1透光性部材41は母材40を含み、蛍光体を含まないことが好ましい。第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43は、第1LED31、第2LED32、第3LED33の上面と直接接して配置されていてもよいし、各LEDの上面と、各透光性部材との間に保護層など、1以上の他の部材が位置していてもよい。第1LED31の側面の少なくとも一部は、第1透光性部材41から露出することが好ましい。同様に、第2LED32の側面の少なくとも一部は、第2透光性部材42から露出することが好ましく、第3LED33の側面の少なくとも一部は、第3透光性部材43から露出することが好ましい。より好ましくは、第1LED31、第2LED32、第3LED33の側面は、第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43でそれぞれ覆われていないことが好ましい。これにより、各LED間の距離を短くすることが可能となり、小型の発光装置101が実現し得る。また、第1LED31、第2LED32および第3LED33を近接して配置することによって、各LEDから出射した光が短い光路長で混合され得る。したがって、第1LED31、第2LED32および第3LED33のうち、2以上のLEDが発光した状態での混色性を向上させることが可能である。各蛍光体については以下において詳述する。
【0038】
各透光性部材は、種々の形状を有していてよい。好ましくは、各透光性部材は、上面の全体に曲面を備えている。これにより、各LEDからから出射される光が、そのLED上に配置された透光性部材の表面で反射されてLED側に戻ることを抑制することができる。
【0039】
第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43の厚さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、各透光部材の厚さは、例えば
図10においてt1で示すように、上面の最も高い位置と、下面との距離で定義される。第2透光性部材42および第3透光性部材43が厚いほど、含有させる第2蛍光体42Pおよび第3蛍光体43Pの量を多くすることができる。また、第1透光性部材41が厚いほど、第1透光性部材41上の封止部材61を薄くでき、第1透光性部材41上に配置される封止部材61の厚さ、つまり、第1蛍光体61Pの量を少なくできる。ここで、封止部材61の厚さは、例えば
図10においてt2で示すように、各透光部材の厚さを定義した位置における、封止部材62の上面と下面との距離で定義される。これにより、第1LED31からの光が第1蛍光体61Pによって変換されにくくなるので、例えば、第1LED31が青色光を発する場合には発光装置から青色光を取り出しやすくなる。
【0040】
各透光性部材の母材には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂組成物、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物等の硬化体、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂を用いることができる。特に、シリコーン樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0041】
各透光性部材は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの光散乱粒子を含んでいてもよい。これらの光散乱粒子は、母材40中に分散させることができる。
【0042】
また、第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43の母材40は、樹脂材料以外に、セラミックス、ガラスまたは蛍光体の焼結体等から形成されてもよい。これにより、高出力の発光装置において発光装置の信頼性を向上させることができる。
【0043】
第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43には同じ材料の母材を用いてもよいし、異なる材料の母材を用いてもよい。この場合、第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43の屈折率を異ならせることが可能となる。
【0044】
[封止部材61]
封止部材61は、パッケージ55の凹部55c内に配置され、第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43の上面および第1LED31、第2LED32、第3LED33の側面を覆う。封止部材61は、母材60および第1蛍光体61Pを含む。封止部材61の母材60には、上述した透光性部材の母材と同様の母材を用いることができる。封止部材61は第1LED31、第2LED32、及び、第3LED33の側面の少なくとも一部と直接接することが好ましい。上述したように、各LEDの側面が第1透光性部材41、第2透光性部材42または第3透光性部材43で覆われず、封止部材61と接していることにより、各LED間の距離を短くすることが可能である。
【0045】
封止部材61は単一層から形成することもでき、また、複数層から構成することもできる。また、封止部材61は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの光散乱粒子をさらに含み、母材に分散していてもよい。
【0046】
[第1蛍光体61P、第2蛍光体42P、第3蛍光体43P]
第1蛍光体61P、第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pはそれぞれ入射する光の一部を異なる波長の光に変換する。第1蛍光体61P、第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pは、例えば、(Ca,Sr,Ba)8MgSi4O16(F,Cl,Br)2:Eu、(Y,Lu,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、(x-s)MgO・(s/2)Sc2O3・yMgF2・uCaF2・(1-t)GeO2・(t/2)Mt2O3:zMn、Ca3Sc2Si3O12:Ce、CaSc2O4:Ce、(La,Y)3Si6N11:Ce、(Ca,Sr,Ba)3Si6O9N4:Eu、(Ca,Sr,Ba)3Si6O12N2:Eu、(Ba,Sr,Ca)Si2O2N2:Eu、(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu、(Ca,Sr,Ba)S:Eu、(Ba,Sr,Ca)Ga2S4:Eu、K2(Si,Ti,Ge)F6:Mnで表される組成を有する蛍光体を用いることができる。第1蛍光体61P、第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pは、500nm以上680nm以下の範囲に発光ピーク波長を有していることが好ましい。第1蛍光体61P、第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pは、それぞれ、これらの材料から1または複数の蛍光体を含んでいてもよい。
【0047】
好ましくは、第1蛍光体61Pは主として黄色蛍光体を含む。例えば、第1蛍光体61Pは(Y,Lu,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceで表される組成の蛍光体を含む。第1蛍光体61Pの発光ピーク波長は、例えば、570nm以上590nm以下である。第1蛍光体61Pは、さらに、(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表される組成の蛍光体を含んでいてもよい。
【0048】
また、好ましくは、第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pは、主として赤色蛍光体を含む。例えば、第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pは、(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表される組成の蛍光体を含む。第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pの発光ピーク波長は、例えば、610nm以上680nm以下である。第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pは、さらに黄色蛍光体を含んでいてもよい。例えば、第2蛍光体42P、第3蛍光体43Pは、(Y,Lu,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceで表される組成の蛍光体をさらに含んでいてもよい。第3蛍光体43Pに含まれる全蛍光体に対する赤色蛍光体の割合は、第2蛍光体42Pに含まれる全蛍光体に対する赤色蛍光体の割合よりも大きいことが好ましい。
【0049】
第1蛍光体61Pに主として含まれる蛍光体の発光ピーク波長は第2蛍光体42Pおよび第3蛍光体43Pにそれぞれ主として含まれる蛍光体の発光ピーク波長よりも短い。このため、波長変換によって、第2蛍光体42Pおよび第3蛍光体43Pから出射する光が、第1蛍光体61Pに入射しても、第1蛍光体61Pによってさらに波長変換されることがなく、多重変換による変換効率の低下が抑制される。
【0050】
[第1光源21、第2光源22、第3光源23の色温度]
第1光源21において、2つの第1LED31から出射した光は、第1透光性部材41および封止部材61を透過して外部へ出射する。このため、第1光源21の出射する光の色温度は、第1LED31から出射する光、および、封止部材61に含まれる第1蛍光体61Pによって波長変換された光が合わさった光の色温度である。本実施形態では、第1LED31から青色光が出射し、出射した青色光の一部が第1蛍光体61Pに主として含まれる黄色蛍光体により、黄色光に変換される。このため、第1光源21は青色光および黄色光を含む白色光を出射する。第1光源21の色温度は白色光の色温度であり、第2光源22及び第3光源23の色温度よりも高い。
【0051】
第2光源22において、第2LED32から出射した光は、第2透光性部材42および封止部材61を透過して外部へ出射する。このため、第2光源22の出射する光の色温度は、第2LED32から出射する光、第2透光性部材42に含まれる第2蛍光体42Pによって波長変換された光、および、封止部材61に含まれる第1蛍光体61Pによって波長変換された光が合わさった光の色温度である。本実施形態では、第2LED32から青色光が出射し、出射した光の一部が第2蛍光体42Pに主として含まれる赤色蛍光体によって赤色光に変換される。また第2透光性部材42を波長変換されずに透過した青色光の一部が、第1蛍光体61Pに主として含まれる黄色蛍光体により、黄色光に変換される。このため、第2光源22は、青色光、赤色光および黄色光を含み、例えば電球色の光を出射する。
【0052】
同様に、第3光源23において、第3LED33から出射した光は、第3透光性部材43および封止部材61を透過して外部へ出射する。このため、第3光源23の出射する光の色温度は、第3LED33から出射する光、第3透光性部材43に含まれる第3蛍光体43Pによって波長変換された光、および、封止部材61に含まれる第1蛍光体61Pによって波長変換された光が合わさった光の色温度である。本実施形態では、第3LED33から青色光が出射し、出射した光の一部が第3蛍光体43Pに主として含まれる赤色蛍光体によって赤色光に変換される。また第3透光性部材43を波長変換されずに透過した青色光の一部が、第1蛍光体61Pに主として含まれる黄色蛍光体により、黄色光に変換される。このため、第3光源23は、青色光、赤色光および黄色光を含み、例えば電球色の光を出射する。上述したように、第3蛍光体43Pは、第2蛍光体42Pよりも多い割合で赤色蛍光体を含む。第2LED22および第3LED23から出射した光が透過する封止部材61の第1蛍光体61Pに赤色蛍光体が含まれていても、その割合は封止部材61中において、概ね同じであるから、第3光源23全体における赤色蛍光体の配合比は、第2光源22全体における赤色蛍光体の配合比よりも大きくなる。よって、第3光源23の色温度は第2光源22の色温度よりも低い。言い換えると、第2光源22の色温度は、第3光源23の色温度よりも高い。
【0053】
[パッケージ55]
パッケージ55は、基板51および樹脂部材52を含み、第1光源21、第2光源22、第3光源23を収納する。
【0054】
図12は、発光装置101から封止部材61、樹脂部材52および、第1光源21の第1透光性部材41、第2光源22の第2透光性部材42、第3光源23の第3透光性部材43を取り除いた平面図である。
図12において、取り除いた樹脂部材52の基板51の上面51aにおける内周縁の位置を破線で示している。
図13および
図14は、基板51の上面図および下面図であり、
図15は、
図13に示すXV-XV線における基板51の断面図である。
【0055】
図7、
図9および
図10に示すように、樹脂部材52は、基板51の上面51aにおいて上面51aの外周縁に沿う枠形状を有し、樹脂部材52と基板51とによって凹部55cを構成している。凹部55cの底において基板51の上面51aの一部が露出している。
【0056】
樹脂部材52は、上述したように、基板51の上面51aに配置され、上面51aにおいて空間を囲むように枠形状に構成されている。樹脂部材52は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などによって形成することができる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂を用いることができる。特に、樹脂部材52は、耐熱性および耐光性に優れたシリコーン樹脂組(例えばSMC樹脂)によって形成されることが好ましい。樹脂部材52は、光反射性を有することが好ましい。例えば、酸化チタン粒等の光反射性粒子を含むことが好ましい。樹脂部材52が光反射性を有することにより、第1光源21、第2光源22、第3光源23をからの光を効率よく外部へ出射することができる。また、光反射性の樹脂部材52が第1配線、第2配線、第3配線、保護素子及び/又は導電性ワイヤの少なくとも一部を覆うことが好ましい。このようにすることで、第1光源21、第2光源22、第3光源23をからの光が第1配線、第2配線、第3配線、保護素子及び/又は導電性ワイヤに吸収されることを抑制できる。
【0057】
基板51は、第1光源21、第2光源22、第3光源23を支持するとともに、
図1に示す回路の一部を構成する配線を備えている。基板51は、板状の支持体10と、支持体10の上面でもある上面51aに位置すし、導電性を有する第1配線11、第2配線12、第3配線13とを含む。また、上面51aには、抵抗体25が配置されている。
図12に示すように、本実施形態では、上面51aは矩形形状を有し、第1配線11、第2配線12、第3配線13は上面51aの有する矩形の外周縁の近傍に沿って配置されている。例えば第1配線11は、矩形の1つの辺に沿って位置し、第2配線は、矩形の他の2つの辺に沿ったL字状に形成されている。抵抗体25は、後述するように、例えば印刷によって形成されるストリップ状の印刷抵抗であり、両端がそれぞれ第1配線11の一部および第2配線12の一部と重なっている。
【0058】
図13および
図14に示すように、支持体10の下面でもある下面51bには、第1電極16および第2電極17が位置している。支持体10は、第2配線12および第2電極17と重なる位置にビアホール51cを有し、ビアホール51c内にビア導体14が配置されることによって、第2配線12と第2電極17とがビア導体14によって電気的に接続される。同様に、支持体10の第3配線13および第1電極16と重なる位置にビアホール51cが位置しており、ビアホール51c内にビア導体14が配置されることによって、第3配線13と第1電極16とがビア導体14によって電気的に接続される。
【0059】
図9、
図10および
図12から分かるように、第1配線11、第2配線12および第3配線13と、抵抗体25とは、樹脂部材52に覆われている。第1光源21の第1LED31、第2光源22の第2LED32、第3光源23の第LEDは、基板51の上面51aのうち凹部55cの底で露出する領域に配置され、接合部材などによって基板51に固定されている。
【0060】
第1LED31、第2LED32、第3LED33は一端が第1配線11または第2配線12と電気的に接続され、他端が、第3配線13と電気的に接続される。本実施形態では、第2配線12および第3配線13が、外部回路と接続される第2電極17および第1電極16と電気的に接続しているので、
図12に示すように、2つの第1LED31は、第2配線12と第3配線13との間において、導電性ワイヤ18によって、直列に接続されている。一方第2LED32および第3LED33は、抵抗体25を介して第2電極17と接続するため、第2LED32は、第1配線11と第3配線13との間で導電性ワイヤ18により接続されている。同様に、第3LED33は、第1配線11と第3配線13との間で導電性ワイヤ18により電気的に接続されている。これにより、第2LED32と第3LED33とは並列に接続される。
【0061】
第1LED31、第2LED32、第3LED33が導電性ワイヤ18で第1配線11、第2配線12および第3配線13で接続されることにより、第1電極16および第2電極17との間で、
図1に示す回路が構成される。
【0062】
支持体10は、例えば、樹脂、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックス、パルプ、ガラス、またはこれらの複合材料等の公知の材料を用いて形成することができる支持体10は、単層構造を備えていてもよいし、複数の層を含む多層構造を備えていてもよい。
【0063】
第1配線11、第2配線12、第3配線13、第1電極16、第2電極17およびビア導体14は、例えば、導電性ペーストを支持体10の上面51aおよび下面51bに印刷し、また、ビアホール51c内に充填した後、導電性ペーストを硬化させることによって形成することができる。また、抵抗ペーストを、第1配線の一部および第2配線の一部と重なるように印刷し、硬化させることによって形成することができる。
【0064】
導電ペーストは、例えば、未硬化の樹脂組成物、有機溶媒に溶解した樹脂などの母材と、母材に分散した金、銀、銅などの導電性粒子を含む。また、抵抗ペーストは、未硬化の樹脂組成物、有機溶媒に溶解した樹脂などの母材と酸化ルテニウムなどの抵抗粒子を含む。抵抗体25の厚さおよび幅は、第1配線11と第2配線12とが所定の抵抗値で接続されるように調整される。
【0065】
図16に示すように、基板51において、第1配線11、第2配線12、第3配線13および第1電極16、第2電極17の表面は、1または2以上のめっき層27で覆われていてもよい。2以上のめっき層27が設けられる場合、最表面のめっき層27は金を含むことが好ましい。この場合、抵抗体25の表面にめっき層27が形成されないように抵抗体25の表面は、ガラス、セラミックスなどを含む絶縁層28で覆われていることが好ましい。
【0066】
[保護素子26]
発光装置101は、第1LED31、第2LED32、第3LED33が逆バイアス電圧によって故障するのを抑制するために保護素子26を備えていてもよい。保護素子26は、例えばツエナーダイオードである。発光装置101が保護素子26を備える場合には、例えば、底面に電極の一方が位置する保護素子26を第3配線13に電気的に接続し、保護素子の他方の電極を導電性ワイヤ18によって第2配線12と接続する。保護素子26および導電性ワイヤ18は、第2配線12および第3配線13を覆う樹脂部材52内に埋設されていてもよい。
【0067】
[発光装置101の製造方法]
発光装置101は、例えば、以下の方法によって作製することができる。まず、支持体10の集合基板を用意し、1つの基板51となるそれぞれの領域に、ビアホール51c、第1配線11、第2配線12、第3配線13、ビア導体14、第1電極16、第2電極17と、抵抗体25を形成する。必要に応じて、抵抗体25の表面を被覆するようにガラスまたはセラミックスを含む絶縁層28を形成し、めっき法により、第1配線11、第2配線12、第3配線13、第1電極16および第2電極17の表面にめっき層27を形成する。
【0068】
次に、第1LED31、第2LED32、第3LED33を基板51となるそれぞれの領域接合し、導電性ワイヤ18で第1LED31、第2LED32、第3LED33と第1配線11、第2配線12、第3配線13とを電気的に接続する。必要に応じて、保護素子26も第3配線13に接合し、導電性ワイヤ18で第2配線12と接続する。
【0069】
その後、第1LED31、第2LED32、第3LED33の上面に第1透光性部材41、第2透光性部材42、第3透光性部材43をそれぞれ形成する。第1LED31、第2LED32、第3LED33を囲むように、支持体10上に樹脂部材52を形成し、樹脂部材52に囲まれた凹部内に、第1LED31、第2LED32、第3LED33を覆うように、封止部材61を形成する。
【0070】
最後に、樹脂部材52および支持体の集合基板を切断し、個片化することにより、発光装置101が完成する。
【0071】
パッケージ55で構成された発光装置101によれば、抵抗体が印刷抵抗であることにより、抵抗体の形成及び配置が簡略化できる。また、抵抗体が印刷抵抗であることにより配線の一部を省略することができる。さらに、抵抗体および第1配線11、第2配線12、および第3配線13をパッケージの樹脂部材52で覆うことによって、配線および抵抗体を形成する領域を別に確保する場合に比べて、パッケージ55を小型化することが可能である。さらに、第1配線11、第2配線12、第3配線13、抵抗体25、保護素子26および導電性ワイヤ18の一部を樹脂部材52で覆うことによって、第1光源21、第2光源22、第3光源23からの光がこれらに吸収されるのを抑制することができる。
【0072】
また、パッケージ55で構成された発光装置101によれば、封止部材61で第1光源21、第2光源22、第3光源23が一体化しているため、光源が切り替わるのではなく、封止部材61全体から出射する光の色温度が変化するような外観が得られる。このため、発光色の色温度が変化するように見える優れた発光装置を実現することが可能である。
【0073】
(変形例)
上記実施形態は本開示の発光装置の一例であり、発光装置には種々の改変が可能である。まず、第1光源21、第2光源22および第3光源23に含まれる発光部の数は一例であり、発光装置は、上記実施形態以外の数の発光部を含んでいてもよい。例えば、第1光源21は3つ以上のLEDを含んでいてもよいし、第2光源22および第3光源23は少なくとも1つのLEDを含んでいればよく、第2光源22および第3光源23のそれぞれは、2以上のLEDを含んでいてもよい。また、抵抗体は印刷抵抗に限られず、リードタイプ、面実装タイプ等であってもよい。また抵抗体は、半固定抵抗器や可変抵抗器であってもよい。
【0074】
また、本開示の発光装置が実現する、電流と色温度との関係は、上記実施形態に限られない。例えば、第3光源23の色温度は、第1光源21および第2光源22の色温度よりも高く、第2光源22の色温度は、第1光源21の色温度よりも高くてもよい。この場合、発光装置に電流を流し始めると、発光装置は白色光を出射し、電流が増加するにつれて色温度が低下した光を出射する。また、電流量に対して発光装置から出射する光の色温度が変化するのではなく、電流量に応じて色相が変化するように各光源から出射する光の色を選択してもよい。
【0075】
また、本開示の発光装置は、上述したパッケージ以外の実装形態で構成されていてもよい。例えば、
図1の回路パターンが形成された回路基板に、第1光源21、第2光源22および第3光源23を構成する発光部が個別に実装されていてもよい。
【0076】
また、各光源は他の構造を備えていてもよい。
図17および
図18は、発光装置102の模式的断面図である。発光装置102において、第1光源21’である発光部21A’、21B’のそれぞれは、第1LED31’と、第1透光性部材81と、封止部材61の一部とを含む。第1透光性部材81は、透光体75を含む。透光体75は第1LED31’の発光面上に位置している。第1LED31’は、第1LED31’の側面の一部と透光体75の下面の一部とを覆う導光体76をさらに備えていてもよい。導光体76は第1LED31’の上面と蛍光体層71の間にも配置されていてもよい。また、第1透光性部材81は、第1蛍光体層をさらに含み、第1LED31’の上面と透光体75の間に第1蛍光体層が配置されていてもよい。
【0077】
第2光源22’は、第2LED32’と、第2透光性部材82と、封止部材61の一部とを含む。第2透光性部材82は、透光体75と、第2蛍光体層72とを含む。第2蛍光体層72は第2LED32’の発光面と対向するように位置している。また、透光体75は、第2蛍光体層72の上面に位置している。第2光源22’が導光体76を備える場合には、導光体76は、第2LED32’の側面の一部と第2蛍光体層72の下面の一部とを覆っている。
【0078】
同様に、第3光源23’は、第3LED33’と、第3透光性部材83と、封止部材61の一部とを含む。第3透光性部材83は、透光体75と、第3蛍光体層73とを含む。第3蛍光体層73は第3LED33’の発光面と対向するように位置している。また、透光体75は、第3蛍光体層73の上面に位置している。第3光源23’が導光体76を備える場合には、導光体76は、第3LED33’の側面の一部と第3蛍光体層73の下面の一部とを覆っている。
【0079】
透光体75は、無機材料によって構成されていることが好ましい。また、透光体75は、封止部材61の母材よりも小さい屈折率を有する無機材料によって構成されていることが好ましい。これにより、各LEDから出射された光が透光体75と封止部材61の界面で全反射しないので、各LEDから出射された光を効率よく外部へ出射することができる。無機材料の屈折率は一般に樹脂材料に比べて材料の種類によって大きく異なっており、種々値の屈折率を有する無機材料を選択することができる。例えば、種々の組成を有するガラス等を透光体75として用いることができる。
【0080】
第2蛍光体層72および第3蛍光体層73は、例えば、第2透光性部材42および第3透光性部材43と同様に構成することができる。具体的には、第2蛍光体層72は、母材70と第2蛍光体72Pを含み、第3蛍光体層73は、母材70と第3蛍光体73Pを含む。母材70、第2蛍光体72Pおよび第3蛍光体層73には、第2透光性部材42および第3透光性部材43の母材40、第2蛍光体42Pおよび第3蛍光体43Pとして用いることの材料と同様の材料から選択することができる。
【0081】
第1LED31’、第2LED32’、第3LED33’は、表面実装型の電極を備えており、導電性ワイヤ18に対応する配線パターンが上面51aに形成された基板51’に半田などの導電性接合部材によって接続されている。
【0082】
発光装置102は、あらかじめ、各LEDに透光性部材が接合された構造体を作製し、作製した構造体を基板51’に表面実装し、封止部材61で構造体を封止することによって作製することができる。
【0083】
各構造体は透光体75の集合基板を用いて作製することができる。例えば、まず、複数の第1LED31’を配置することが可能な透光体75の集合基板を用意し、集合基板上に導光体76の未硬化の材料をポッティングなどで所定の位置に配置し、その上に第1LED31’を、発光面が集合基板に対向するように配置する。導光体76の未硬化の材料を硬化させた後、集合基板を個片化することによって、第1LED31’を含む構造体が得られる。
【0084】
第2LED32’を含む構造体は、まず、透光体75の集合基板と、第2蛍光体層72となるペーストを用意する。第2蛍光体層72となるペーストは、第2蛍光体72Pと母材70と有機溶剤を混合して調整する。集合基板に作製したペーストを印刷法などによって所定の厚さで塗布する。その後、加熱などによってペーストから有機溶剤を除去し、硬化させることによって集合基板上に第2蛍光体層72が形成される。
【0085】
その後、第2蛍光体層72上に導光体76の未硬化の材料をポッティングなどで所定の位置に配置し、その上に第2LED32’を、発光面が第2蛍光体層72に対向するように配置する。導光体76の未硬化の材料を硬化させた後、集合基板および第2蛍光体層72を同時に切断し、個片化することによって、第2LED32’を含む構造体が得られる。第3LED33’を含む構造体も同様に作製することができる。
【0086】
基板51’の集合体に、作製した構造体をはんだなどを用いて表面実装し、樹脂部材52および封止部材61を形成する。その後、基板51’の集合体を切断することによって発光装置102を得ることができる。
【0087】
発光装置102によれば、透光体75の屈折率が封止部材61の母材60よりも小さいことにより、各LEDから出射し、封止部材61と外部環境との界面等で反射することによって各LEDに戻ってくる光が、封止部材61と透光体75との界面で反射しやすくなり、LEDに入射するのを抑制することができる。また、上述した方法によってLEDを含む構造体を作製する場合、各蛍光体層の側面は切断によって形成された粗面となるため、蛍光体層の側面で光を乱反射させることができる。よって、各LEDから出射した光、各蛍光体層で波長変換された光、および封止部材内の蛍光体で波長変換された光をより効率よく混合することが可能であり、パッケージ55の上面55aからより均一な光を出射させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示の発光装置は種々の用途に用いられる光源として使用可能であり、例えば、照明用途の光源として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0089】
10 支持体
11 第1配線
12 第2配線
13 第3配線
14 ビア導体
16 第1電極
17 第2電極
18 導電性ワイヤ
21、 第1光源
21A、21A’ 発光部
21B、21B’ 発光部
22、22’ 第2光源
23、23’ 第3光源
25 抵抗体
26 保護素子
27 めっき層
28 絶縁層
31 第1発光ダイオード
32 第2発光ダイオード
33 第3発光ダイオード
35 半導体積層体
36 基板
37、38 電極
40、60、70 母材
41 第1透光性部材
42 第2透光性部材
42P 第2蛍光体
43 第3透光性部材
43P 第3蛍光体
51、51’ 基板
51a 上面
51b 下面
51c ビアホール
52 樹脂部材
55 パッケージ
55a 上面
55b 下面
55c 凹部
61 第1封止部材
61P 第1蛍光体
72 第2蛍光体層
72P 第2蛍光体
73 第3蛍光体層
73P 第3蛍光体
75 透光体
76 導光体
81 第1透光性部材
82 第2透光性部材
83 第3透光性部材
101、102 発光装置