(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20231116BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231116BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20231116BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/68 N
B23K26/70
B23K26/08 D
(21)【出願番号】P 2019236258
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽平
(72)【発明者】
【氏名】田之上 隼斗
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127108(JP,A)
【文献】実開昭63-090840(JP,U)
【文献】特開2019-083280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0243708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
B23K 26/70
B23K 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板が接合された重合基板
において、前記第1の基板から前記第2の基板を剥離して、前記第2の基板の表面に形成されたデバイス層を第1の基板に適切に転写する装置であって、
前記第1の基板の下面を保持する第1の保持部と、
前記第1の保持部が前記第1の基板を保持した状態で、前記第2の基板の上方より
、前記第2の基板に形成されたレーザ吸収層にレーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記第1の保持部が前記第1の基板を保持した状態で、前記第2の基板を保持する第2の保持部を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記第2の保持部は、前記第2の基板の上面又は側面を保持する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2の保持部の動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記レーザ照射部によって前記レーザ光を照射する際に、前記第2の基板を保持するように前記第2の保持部を制御する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2の保持部は、前記第2の基板の保持する保持位置と、前記第2の基板を保持しない非保持位置との間で移動自在に構成され、
前記制御部は、
前記第1の基板から前記第2の基板の剥離が進んだ段階から、前記第2の保持部が前記非保持位置から前記保持位置に移動
して前記第2の保持部による前記第2の基板の保持を開始するように前記第2の保持部を制御する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の保持部を水平方向に移動させる第1の移動機構を有し、
前記制御部は、前記レーザ照射部による前記レーザ光の照射が終了した後、前記第1の保持部が水平方向に移動する際に、前記第2の基板を保持するように前記第2の保持部を制御する、請求項3又は4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の保持部は、前記第2の基板の上面を保持し、かつ前記レーザ光を透過させる、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の保持部を回転させる回転機構を有し、
前記第1の保持部と前記第2の保持部は一体に回転する、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第2の基板に対して接触又は離間させるように、前記第2の保持部を移動させる第2の移動機構を有し、
前記第2の保持部は、前記第2の基板と接触している状態で、前記第1の保持部とともに回転自在に構成されている、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第2の保持部は、
前記第1の保持部から鉛直上方に延伸して設けられた垂直部と、
前記垂直部から上方に向けて径が広がるように設けられた傾斜部と、を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第1の保持部は、前記第1の基板の下面全面を保持する、請求項1~9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第1の基板から剥離された前記第2の基板を搬送する搬送部を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
第1の基板と第2の基板が接合された重合基板
において、前記第1の基板から前記第2の基板を剥離して、前記第2の基板の表面に形成されたデバイス層を第1の基板に適切に転写する方法であって、
第1の保持部が前記第1の基板の下面を保持した状態で、前記第2の基板の上方より
、前記第2の基板に形成されたレーザ吸収層にレーザ光を照射することと、
前記レーザ光を照射中、前記第1の保持部が前記第1の基板を保持した状態で、第2の保持部が前記第2の基板を保持することと、を有する、基板処理方法。
【請求項13】
前記第2の保持部は、前記第2の基板の上面又は側面を保持する、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記レーザ光を照射する際に、前記第2の保持部は前記第2の基板を保持する、請求項12又は13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第1の基板から前記第2の基板の剥離が進んだ段階から、前記第2の保持部は、前記第2の基板を保持しない位置から、前記第2の基板を保持する位置に移動
して、前記第2の保持部による前記第2の基板の保持を開始する、請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記レーザ光の照射が終了した後、前記第1の保持部が水平方向に移動する際に、前記第2の保持部は前記第2の基板を保持する、請求項14又は15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記第2の保持部は、前記第2の基板の上面を保持し、かつ前記レーザ光を透過させる、請求項12又は13に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記第2の保持部は、前記第2の基板に対して接触又は離間するように移動し、
前記第2の保持部は、前記第2の基板と接触している状態で、前記第1の保持部とともに回転する、請求項12~17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記第2の保持部は、前記第1の保持部から鉛直上方に延伸して設けられた垂直部と、前記垂直部から上方に向けて径が広がるように設けられた傾斜部とを有し、
前記レーザ光を照射する前に、前記第2の保持部で前記重合基板が案内され、前記第1の保持部が前記第1の基板を保持する、請求項12~18のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記第1の保持部は、前記第1の基板の下面全面を保持する、請求項12~19のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置の製造方法が開示されている。かかる半導体装置の製造方法は、半導体基板の裏面よりCO2レーザを照射して剥離酸化膜を局所的に加熱する加熱工程と、剥離酸化膜中、及び/又は剥離酸化膜と半導体基板との界面において剥離を生じさせて、半導体素子を転写先基板に転写させる転写工程と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板において、第2の基板の表面に形成されたデバイス層を第1の基板に適切に転写する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板において、前記第1の基板から前記第2の基板を剥離して、前記第2の基板の表面に形成されたデバイス層を第1の基板に適切に転写する装置であって、前記第1の基板の下面を保持する第1の保持部と、前記第1の保持部が前記第1の基板を保持した状態で、前記第2の基板の上方より、前記第2の基板に形成されたレーザ吸収層にレーザ光を照射するレーザ照射部と、前記第1の保持部が前記第1の基板を保持した状態で、前記第2の基板を保持する第2の保持部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板において、第2の基板の表面に形成されたデバイス層を第1の基板に適切に転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ウェハ処理システムにおいて処理される重合ウェハの構成の概略を示す側面図である。
【
図2】ウェハ処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。
【
図3】本実施形態にかかるレーザ照射装置の構成の概略を示す側面図である。
【
図4】本実施形態にかかるレーザ照射装置の構成の概略を示す平面図である。
【
図5】本実施形態にかかるガイド部の構成の概略を示す側面図である。
【
図6】本実施形態にかかる保持部材の構成の概略を示す側面図である。
【
図7】本実施形態にかかるガイド部と保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【
図8】レーザ吸収層にレーザ光を照射する様子を示す説明図である。
【
図9】レーザ吸収層にレーザ光を照射する様子を示す説明図である。
【
図10】レーザ吸収層にレーザ光を照射する様子を示す説明図である。
【
図11】レーザ吸収層から第2のウェハを剥離する様子を示す説明図である。
【
図12】他の実施形態にかかる保持部材の構成の概略を示す側面図である。
【
図13】他の実施形態にかかる保持部材の構成の概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
近年、LEDの製造プロセスにおいては、レーザ光を用いてサファイア基板からGaN(窒化ガリウム)系化合物結晶層(材料層)を剥離する、いわゆるレーザリフトオフが行われている。このようにレーザリフトオフが行われる背景には、サファイア基板が短波長のレーザ光(例えばUV光)に対して透過性を有するため、吸収層に対して吸収率の高い短波長のレーザ光を使用することができ、レーザ光についても選択の幅が広いことが挙げられる。
【0009】
一方、半導体デバイスの製造プロセスにおいては、一の基板(半導体などのシリコン基板)の表面に形成されたデバイス層を他の基板に転写することが行われる。シリコン基板は、一般的にNIR(近赤外線)の領域のレーザ光に対しては透過性を有するが、吸収層もNIRのレーザ光に対して透過性を有するため、デバイス層が損傷を被るおそれがある。そこで、半導体デバイスの製造プロセスにおいてレーザリフトオフを行うためには、FIR(遠赤外線)の領域のレーザ光を使用する。
【0010】
一般的には、例えばCO2レーザにより、FIRの波長のレーザ光を使用することができる。上述した特許文献1に記載の方法では、剥離酸化膜にCO2レーザを照射することで、剥離酸化膜と基板の界面において剥離を生じさせている。
【0011】
ここで、上述した特許文献1に記載の方法では、剥離酸化膜に対してCO2レーザを局所的に照射している。この点、発明者らが鋭意検討した結果、このように剥離酸化膜の一部にCO2レーザを照射しただけでは、剥離が生じる部分が小さ過ぎ、酸化剥離膜からの基板の剥離が適切に行われない場合があることが分かった。そこで、基板が剥離できる程度に酸化剥離膜に対してCO2レーザを照射する範囲を大きくする必要がある。かかる場合、レーザヘッドからCO2レーザを一度に照射する範囲には限界があるため、例えば基板を保持するチャックを回転又は移動させて、CO2レーザを照射する範囲を大きくする。
【0012】
但し、剥離が進んだ状態でチャックを回転又は移動させると、基板に遠心力や慣性力が作用し、基板が酸化剥離膜からずれ、レーザ処理中に、処理対象位置以外の場所にレーザ光が照射されるおそれがある。また、剥離された基板が滑落する可能性もある。しかしながら、特許文献1の方法では、このような基板のずれや滑落については全く考慮されておらず、その示唆もない。したがって、従来のデバイス層の転写方法には改善の余地がある。
【0013】
本開示にかかる技術は、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板において、第2の基板の表面に形成されたデバイス層を第1の基板に適切に転写する。以下、本実施形態にかかる基板処理装置としてのレーザ照射装置を備えたウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法ついて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
本実施形態にかかる後述のウェハ処理システム1では、
図1に示すように第1の基板としての第1のウェハW1と第2の基板としての第2のウェハW2とが接合された重合基板としての重合ウェハTに対して処理を行う。以下、第1のウェハW1において、第2のウェハW2に接合される側の面を表面W1aといい、表面W1aと反対側の面を裏面W1bという。同様に、第2のウェハW2において、第1のウェハW1に接合される側の面を表面W2aといい、表面W2aと反対側の面を裏面W2bという。
【0015】
第1のウェハW1は、例えばシリコン基板等の半導体ウェハである。第1のウェハW1の表面W1aには、デバイス層D1と表面膜F1が表面W1a側からこの順で積層されている。デバイス層D1は、複数のデバイスを含む。表面膜F2としては、例えば酸化膜(SiO2膜、TEOS膜)、SiC膜、SiCN膜又は接着剤などが挙げられる。なお、表面W1aには、デバイス層D1と表面膜F1が形成されていない場合もある。
【0016】
第2のウェハW2も、例えばシリコン基板等の半導体ウェハである。第2のウェハW2の表面W2aには、レーザ吸収層P、デバイス層D2、表面膜F2が表面W2a側からこの順で積層されている。レーザ吸収層Pは、後述するようにレーザヘッド140から照射されたレーザ光を吸収する。レーザ吸収層Pには、例えば酸化膜が用いられるが、レーザ光を吸収するものであれば特に限定されない。デバイス層D2と表面膜F2はそれぞれ、第1のウェハW1のデバイス層D1と表面膜F1と同様である。そして、第1のウェハW1の表面膜F1と第2のウェハW2の表面膜F2が接合される。なお、レーザ吸収層Pの位置は、上記実施形態に限定されず、例えばデバイス層D2と表面膜F2の間に形成されていてもよい。また、表面W2aには、デバイス層D2と表面膜F2が形成されていない場合もある。この場合、レーザ吸収層Pは第1のウェハW1側に形成され、第1のウェハW1側のデバイス層D1が第2のウェハW2側に転写される。
【0017】
図2に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ブロック10、搬送ブロック20、及び処理ブロック30を一体に接続した構成を有している。搬入出ブロック10と処理ブロック30は、搬送ブロック20の周囲に設けられている。具体的に搬入出ブロック10は、搬送ブロック20のY軸負方向側に配置されている。処理ブロック30の後述するレーザ照射装置31は搬送ブロック20のX軸負方向側に配置され、後述する洗浄装置32は搬送ブロック20のX軸正方向側に配置されている。
【0018】
搬入出ブロック10は、例えば外部との間で複数の重合ウェハT、複数の第1のウェハW1、複数の第2のウェハW2をそれぞれ収容可能なカセットCt、Cw1、Cw2がそれぞれ搬入出される。搬入出ブロック10には、カセット載置台11が設けられている。図示の例では、カセット載置台11には、複数、例えば3つのカセットCt、Cw1、Cw2をX軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台11に載置されるカセットCt、Cw1、Cw2の個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
【0019】
搬送ブロック20には、X軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されたウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、重合ウェハT、第1のウェハW1、第2のウェハW2を保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム23、23を有している。各搬送アーム23は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム23の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置22は、そして、ウェハ搬送装置22は、カセット載置台11のカセットCt、Cw1、Cw2、後述するレーザ照射装置31及び洗浄装置32に対して、重合ウェハT、第1のウェハW1、第2のウェハW2を搬送可能に構成されている。
【0020】
処理ブロック30は、レーザ照射装置31と洗浄装置32を有している。レーザ照射装置31は、第2のウェハW2のレーザ吸収層Pにレーザ光を照射する。なお、レーザ照射装置31の構成は後述する。
【0021】
洗浄装置32は、レーザ照射装置31で分離された第1のウェハW1の表面W1aに形成されたレーザ吸収層Pの表面を洗浄する。例えばレーザ吸収層Pの表面にブラシを当接させて、当該表面をスクラブ洗浄する。なお、表面の洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、洗浄装置32は、第1のウェハW1の表面W1a側と共に、裏面W1bを洗浄する構成を有していてもよい。
【0022】
以上のウェハ処理システム1には、制御部としての制御装置40が設けられている。制御装置40は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置40にインストールされたものであってもよい。
【0023】
次に、上述したレーザ照射装置31について説明する。
【0024】
図3及び
図4に示すようにレーザ照射装置31は、重合ウェハTを上面で保持する、第1の保持部としてのチャック100を有している。チャック100は、第1のウェハW1の裏面W1bの全面を吸着保持する。なお、チャック100は裏面W1bの一部を吸着保持してもよい。チャック100には、重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは、チャック100を貫通して形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、昇降自在に構成されている。
【0025】
図5に示すようにチャック100の上面には、重合ウェハTをチャック100に対して案内する第2の保持部としてのガイド部110が設けられている。ガイド部110は、チャック100から鉛直上方に延伸して設けられた垂直部111と、垂直部111から上方に向けて径が広がるように設けられた傾斜部112と、を有している。垂直部111の内径は、重合ウェハTの径と若干大きい。そして、チャック100の上方に配置された重合ウェハTは、傾斜部112でセンタリングされ、さらに垂直部111に案内されて、チャック100に保持される。
【0026】
図6及び
図7に示すようにチャック100の上面には、当該チャック100の上面から鉛直上方に延伸し、第2のウェハW2の側面を保持する第2の保持部としての保持部材120が設けられている。保持部材120は、チャック100の同心円上に複数箇所、例えば3箇所に配置されている。保持部材120は、移動機構121(本開示における第2の移動機構に相当)によって、第2のウェハW2に対して接触又は離間するように進退自在に構成されている。そして、保持部材120が第2のウェハW2を保持することで、当該第2のウェハW2の位置ずれや滑落を防止することができる。なお、ガイド部110における保持部材120の対応する位置には切り欠き部113が形成され、保持部材120は切り欠き部113を移動することで、ガイド部110に干渉しないようになっている。
【0027】
なお、本実施形態では、ガイド部110と保持部材120が両方設けられているが、ガイド部110だけ設けてもよいし、保持部材120だけ設けてもよい。ガイド部110だけを設けた場合は、垂直部111によって第2のウェハW2の位置ずれや滑落を抑制することができる。特に、垂直部111と第2のウェハW2の間の隙間が位置ずれの許容範囲である場合、ガイド部110は有用となる。但し、ガイド部110と保持部材120の両方を設けた方が、重合ウェハTのセンタリングと、第2のウェハW2の位置ずれおよび滑落防止の効果が高まる。
【0028】
図3及び
図4に示すようにチャック100は、エアベアリング130を介して、スライダテーブル131に支持されている。スライダテーブル131の下面側には、回転機構132が設けられている。回転機構132は、駆動源として例えばモータを内蔵している。チャック100は、回転機構132によってエアベアリング130を介して、θ軸(鉛直軸)回りに回転自在に構成されている。また、この回転機構132によって、保持部材120もチャック100と一体に回転自在に構成されている。スライダテーブル131は、その下面側に設けられた移動機構133(本開示における第1の移動機構に相当)によって、基台135に設けられY軸方向に延伸するレール134に沿って移動可能に構成されている。なお、移動機構133の駆動源は特に限定されるものではないが、例えばリニアモータが用いられる。
【0029】
チャック100の上方には、レーザ照射部としてのレーザヘッド140が設けられている。レーザヘッド140は、レンズ141を有している。レンズ141は、レーザヘッド140の下面に設けられた筒状の部材であり、チャック100に保持された重合ウェハTにレーザ光を照射する。本実施形態ではレーザ光はCO2レーザ光であり、レーザヘッド140から発せられたレーザ光は第2のウェハW2を透過し、レーザ吸収層Pに照射される。なお、CO2レーザ光の波長は、例えば8.9μm~11μmである。また、レーザヘッド140は、昇降機構(図示せず)によって昇降自在に構成されている。なお、レーザ光の光源は、レーザヘッド140の外部の離れた位置に設けられている。
【0030】
また、チャック100の上方には、搬送部としての搬送パッド150が設けられている。搬送パッド150は、昇降機構(図示せず)によって昇降自在に構成されている。また、搬送パッド150は、第2のウェハW2の吸着面を有している。そして、搬送パッド150は、チャック100と搬送アーム23との間で、第2のウェハW2を搬送する。具体的には、チャック100を搬送パッド150の下方(搬送アーム23との受渡位置)まで移動させた後、搬送パッド150は第2のウェハW2の裏面W2bを吸着保持し、第1のウェハW1から剥離する。続いて、剥離された第2のウェハW2を搬送パッド150から搬送アーム23に受け渡して、レーザ照射装置31から搬出する。なお、搬送パッド150は、反転機構(図示せず)により、ウェハ表裏面を反転させるように構成されていてもよい。
【0031】
図7に示したレーザ照射装置31においては、搬送アーム23は搬送パッド150に対してX軸正方向側からアクセスする。但し、
図7に示したレーザ照射装置31を反時計回りに90度回転させ、搬送アーム23は搬送パッド150に対してY軸負方向側からアクセスしてもよい。
【0032】
なお、重合ウェハTをレーザ照射装置31に搬入する際には、搬送アーム23から昇降ピンに重合ウェハTが受け渡され、昇降ピンを下降させることでチャック100に載置される。また、剥離された第1のウェハW1をレーザ照射装置31から搬出する際には、チャック100に載置された重合ウェハTが昇降ピンによって上昇し、昇降ピンから搬送アーム23に受け渡される。
【0033】
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。なお、本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において、第1のウェハW1と第2のウェハW2が接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
【0034】
先ず、重合ウェハTを複数収納したカセットCtが、搬入出ブロック10のカセット載置台11に載置される。
【0035】
次に、ウェハ搬送装置22によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、レーザ照射装置31に搬送される。レーザ照射装置31において重合ウェハTは、搬送アーム23から昇降ピンに受け渡され、チャック100に吸着保持される。この際、重合ウェハTは、ガイド部110の傾斜部112でセンタリングされ、さらに垂直部111に案内されて、チャック100に保持される。また、3つの保持部材120は、第2のウェハW2に接触しない位置に退避している。
【0036】
続いて、移動機構133によってチャック100を処理位置に移動させる。この処理位置は、レーザヘッド140から重合ウェハT(レーザ吸収層P)にレーザ光を照射できる位置である。またこの際、3つの保持部材120を第2のウェハW2の側面に接触する位置に移動させ、これら保持部材120で第2のウェハW2を保持する。
【0037】
次に、
図8及び
図9に示すようにレーザヘッド140からレーザ吸収層Pにレーザ光L(CO
2レーザ光)をパルス状に照射する。この際、レーザ光Lは、第2のウェハW2の裏面W2b側から当該第2のウェハW2を透過し、レーザ吸収層Pにおいて吸収される。そして、このレーザ光Lによって、レーザ吸収層Pと第2のウェハW2との界面において剥離が生じる。なお、レーザ光Lはレーザ吸収層Pにほぼすべて吸収され、デバイス層D2に到達することがない。このため、デバイス層D2がダメージを被るのを抑制することができる。
【0038】
レーザ吸収層Pにレーザ光Lを照射する際、回転機構132によってチャック100(重合ウェハT)を回転させると共に、移動機構133によってチャック100をY軸方向に移動させる。そうすると、レーザ光Lは、レーザ吸収層Pに対して径方向外側から内側に向けて照射され、その結果、外側から内側に螺旋状に照射される。なお、
図9に示す黒塗り矢印はチャック100の回転方向を示している。
【0039】
ここで、このようにレーザ光Lを径方向外側から内側に螺旋状に照射する際、剥離が進んでいくと、チャック100が回転しているため、第2のウェハW2に遠心力が作用し、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2がずれ、レーザ処理中に、処理対象位置以外の場所にレーザ光Lが照射されるおそれがある。また、剥離された第2のウェハW2がチャック100から滑落する可能性もある。この点、本実施形態では、保持部材120で第2のウェハW2を保持しているので、かかる第2のウェハW2のずれや滑落を防止することができる。そして、このように第2のウェハW2のずれや滑落を防止できるので、適切な位置にレーザ光Lを照射することができる。なお、上述したように保持部材120は、チャック100と一体に回転する。
【0040】
レーザ光Lの照射開始位置は、第2のウェハW2の外周端Eaと、重合ウェハTにおける第1のウェハW1と第2のウェハW2の接合端Ebとの間であるのが好ましい。かかる場合、例えば重合ウェハTにおいて、第1のウェハW1の中心と第2のウェハW2の中心がずれて偏心している場合でも、その偏心分を吸収して、レーザ吸収層Pにレーザ光Lを適切に照射することができる。
【0041】
なお、
図10に示すようにレーザ吸収層Pにおいて、レーザ光Lは同心円状に環状に照射してもよい。但し、この場合、チャック100の回転とチャック100のY方向が交互に行われるため、上述したようにレーザ光Lを螺旋状に照射した方が、照射時間を短時間にしてスループットを向上させることができる。
【0042】
また、レーザ吸収層Pにおいて、レーザ光Lは径方向内側から外側に向けて照射されてもよい。但し、この場合、レーザ吸収層Pの内側が先に剥離するため、剥離に伴う応力が径方向外側に向かい、その外側においてレーザ光Lが照射されていない部分も剥離する場合がある。この点、上述したようにレーザ光Lを径方向外側から内側に向けて照射する場合、剥離に伴う応力を外側に逃がすことができるので、剥離の制御がより容易になる。また、剥離を適切に制御することで、剥離面の荒れを抑制することも可能となる。
【0043】
また、本実施形態ではレーザ吸収層Pにレーザ光Lを照射するにあたり、チャック100を回転させたが、レーザヘッド140を移動させて、チャック100に対してレーザヘッド140を相対的に回転させてもよい。また、チャック100をY軸方向に移動させたが、レーザヘッド140をY軸方向に移動させてもよい。
【0044】
こうしてレーザ照射装置31では、レーザ吸収層Pにレーザ光Lがパルス状に照射される。ここで、発明者らが鋭意検討したところ、剥離の発生要因が、レーザ光Lのエネルギー量ではなく、ピークパワー(レーザ光の最大強度)であることを見出した。例えば、レーザ光Lを連続発振させた場合(連続波を用いた場合)、ピークパワーを高くすることは難しく、剥離を発生できない場合がある。一方、レーザ光Lをパルス状に発振させた場合(パルス波を用いた場合)、ピークパワーを高くして、レーザ吸収層Pと第2のウェハW2との界面において剥離を発生させることができ、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を適切に剥離させることができる。なお、本開示においてCO2レーザをパルス状に発振させたレーザ光は、いわゆるパルスレーザであり、そのパワーが0(ゼロ)と最大値を繰り返すものである。
【0045】
次に、移動機構133によってチャック100を受渡位置に移動させる。ここで、チャック100の移動中、第2のウェハW2に慣性力が作用し、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2がずれるおそれがある。かかる場合、その後に搬送パッド150で第2のウェハW2の裏面W2bを吸着保持する際、適切な位置を吸着保持できない。そこで、本実施形態では、このチャック100の移動中も、保持部材120で第2のウェハW2を保持し、当該第2のウェハW2のずれを防止する。
【0046】
受渡位置では、3つのロッドを移動させ、第2のウェハW2に接触しない位置に退避させる。そして、
図11(a)に示すように搬送パッド150で第2のウェハW2の裏面W2bを吸着保持する。その後、
図11(b)に示すように搬送パッド150が第2のウェハW2を吸着保持した状態で、当該搬送パッド150を上昇させて、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を剥離する。この際、上述したようにレーザ光Lの照射によってレーザ吸収層Pと第2のウェハW2の界面には剥離が生じているので、大きな荷重をかけることなく、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を剥離することができる。
【0047】
剥離された第2のウェハW2は、搬送パッド150からウェハ搬送装置22の搬送アーム23に受け渡され、カセット載置台11のカセットCw2に搬送される。なお、レーザ照射装置31から搬出された第2のウェハW2は、カセットCw2に搬送される前に洗浄装置32に搬送され、その剥離面である表面W2aが洗浄されてもよい。この場合、搬送パッド120によって第2のウェハW2の表裏面を反転させて、搬送アーム23に受け渡してもよい。
【0048】
一方、チャック100に保持されている第1のウェハW1については、昇降ピンによってチャック100から上昇し、搬送アーム23に受け渡され、洗浄装置32に搬送される。洗浄装置32では、剥離面であるレーザ吸収層Pの表面がスクラブ洗浄される。なお、洗浄装置32では、レーザ吸収層Pの表面と共に、第1のウェハW1の裏面W1bが洗浄されてもよい。また、レーザ吸収層Pの表面と第1のウェハW1の裏面W1bをそれぞれ洗浄する洗浄部を別々に設けてもよい。
【0049】
その後、すべての処理が施された第1のウェハW1は、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台11のカセットCw1に搬送される。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0050】
以上の実施形態によれば、レーザ光Lを径方向外側から内側に螺旋状に照射する際、保持部材120で第2のウェハW2を保持しているので、剥離が進んだとしても、第2のウェハW2のずれや滑落を防止することができる。また、レーザ光Lの照射を行った後、チャック100が移動する際にも、保持部材120で第2のウェハW2を保持し、当該第2のウェハW2のずれを防止することができる。したがって、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を適切に剥離させることができ、デバイス層D2を第1のウェハW1に転写することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、チャック100が処理位置に移動してからレーザ光Lの照射が終了するまで、保持部材120で第2のウェハW2を保持していたが、剥離が進んだ段階から、保持部材120による第2のウェハW2の保持を開始してもよい。少なくとも第2のウェハW2が完全に剥離される前に、保持部材120で第2のウェハW2が保持されていればよい。
【0052】
以上の実施形態では、保持部材120を用いて第2のウェハW2を保持したが、第2のウェハW2の保持方法はこれに限定されない。
【0053】
例えば保持部材120に代えて、
図12に示すように保持部材200を用いてもよい。保持部材200は、チャック100の上面に設けられている。保持部材200は、チャック100の上面から鉛直上方に延伸し、第2のウェハW2の側面を保持する側面保持部201と、側面保持部201の上端から水平方向に延伸し、第2のウェハW2の外周部上面を保持する上面保持部202と、を有している。保持部材200は、チャック100の同心円上に複数箇所、例えば3箇所に配置されている。保持部材200は、移動機構203によって、第2のウェハW2に対して接触又は離間するように進退自在に構成されている。
【0054】
かかる場合、重合ウェハTを保持したチャック100を処理位置に移動させた後、レーザヘッド140からレーザ吸収層Pの外周部にレーザ光Lが照射される際には、3つの保持部材200は、第2のウェハW2に接触しない位置に退避している。続いて、レーザ光Lの照射位置が径方向内側に移動すると、3つの保持部材200を第2のウェハW2の側面に接触する位置に移動させ、これら保持部材200で第2のウェハW2を保持する。すなわち、保持部材200には、レーザ光Lが照射されない。また、レーザ光Lの照射を行った後、チャック100を受渡位置に移動させる際にも、保持部材200で第2のウェハW2を保持する。
【0055】
また、例えば保持部材120に代えて、
図13に示すように保持部材210を用いてもよい。保持部材210は、第2のウェハW2の裏面W2b(上面)全面を保持する。また、保持部材210は、移動機構(図示せず)によって、水平方向及び鉛直方向に移動自在に構成されている。保持部材210は、レーザ光Lを透過させる材料、例えばシリコンから構成される。
【0056】
かかる場合、重合ウェハTを保持したチャック100を処理位置に移動させた後、レーザヘッド140からレーザ吸収層Pにレーザ光Lが照射される際、保持部材210は、第2のウェハW2の上面に接触して第2のウェハW2を保持する。その後、レーザ吸収層Pにレーザ光Lを照射する際、レーザ光Lは保持部材210を透過する。また、レーザ光Lの照射を行った後、チャック100を受渡位置に移動させる際にも、保持部材210で第2のウェハW2を保持する。
【0057】
以上のように保持部材200、210のいずれを用いた場合でも、上記実施形態と同様の効果を享受できる。すなわち、保持部材200、210で第2のウェハW2を保持してすることにより、当該第2のウェハW2のずれや滑落を防止することができる。
【0058】
以上の実施形態では、レーザ吸収層Pにレーザ光Lを螺旋状や同心円状に照射したが、レーザ光Lの照射パターンはこれに限定されない。また、このような種々の照射パターンに対応する装置の構成も、上記実施形態のレーザ照射装置31に限定されない。上記レーザ照射装置31では、チャック100はθ軸回りに回転自在で、一軸(Y軸)方向に移動自在であったが、二軸(X軸及びY軸)に移動させてもよい。また、レーザヘッド140には例えばガルバノを使用し、レーザヘッド140から照射されるレーザ光Lをレーザ吸収層Pに対して走査させてもよい。
【0059】
かかる場合、レーザ光Lを照射する際、レーザ吸収層Pの予め定められたスキャン範囲においてレーザ光Lを走査させる。次に、レーザ光Lの照射を停止した状態でチャック100をX軸方向に移動させる。このようにレーザ光Lの照射及び走査と、チャック100の移動とを繰り返し行って、X軸方向に一列にレーザ光Lを照射する。次に、チャック100をY軸方向にずらすように移動させ、上述と同様にレーザ光Lの照射及び走査と、チャック100の移動とを繰り返し行って、X軸方向に一列にレーザ光Lを照射する。そうすると、レーザ光Lがレーザ吸収層Pに照射される。
【0060】
また、上記レーザ光Lの照射パターンでは、レーザ光Lの照射及び走査と、チャック100の移動とを繰り返し行ったが、X軸方向一列において、チャック100を移動させながら、レーザ光Lの照射及び走査を行ってもよい。そして、X軸方向一列にレーザ光Lを照射した後、チャック100をY軸方向にずらすように移動させ、レーザ光Lをレーザ吸収層Pに照射する。
【0061】
また、以上の実施形態の、螺旋状(又は同心円状)のレーザ光Lの照射と、レーザ光Lの照射及び走査とを組み合わせてもよい。
【0062】
チャック100(重合ウェハT)を回転させる場合、レーザ光Lが径方向外側から内側に移動するにしたがって、チャック100の回転速度が大きくなる。そこで、レーザ吸収層Pの外周部においては、チャック100を回転させながら、当該チャック100を径方向外側から内側に移動させて、レーザ光Lを螺旋状に照射する。そして、チャック100の回転速度が上限に達すると、レーザ吸収層Pの中央部において、チャック100の回転を停止し、レーザ光Lを照射しながら走査させる。
【0063】
このようにレーザ吸収層Pの外周部と中央部でレーザ光Lの照射パターンを変えることで、レーザ光Lが重ならないようにして、レーザ光Lを照射する間隔、すなわちパルスの間隔を一定にすることができる。その結果、第1のウェハW1と第2のウェハW2の剥離をウェハ面内で均一に行うことができる。
【0064】
なお、レーザヘッド140のレーザ光Lの照射範囲が広い場合、例えば照射範囲がレーザ吸収層Pの径以上である場合には、レーザ吸収層Pの全面に対して一括にレーザ光Lを照射してもよい。
【0065】
以上の実施形態のウェハ処理システム1は洗浄装置32を有していたが、さらにウェハ処理システム1は、エッチング装置(図示せず)を有していてもよい。エッチング装置は、剥離後の第1のウェハW1の表面W1a、具体的にはレーザ吸収層Pの表面をエッチング処理する。例えば、洗浄装置32でレーザ吸収層Pの表面をスクラブ洗浄後、レーザ吸収層Pの表面に対して薬液(エッチング液)を供給し、当該表面をウェットエッチングする。また、ウェハ処理システム1は、洗浄装置32又はエッチング装置のいずれか一方を有していてもよい。
【0066】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
31 レーザ照射装置
100 チャック
120 保持部材
140 レーザヘッド
T 重合ウェハ
W1 第1のウェハ
W2 第2のウェハ