(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】半導体素子とその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20231116BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L29/78 626C
H01L29/78 618B
H01L29/78 618C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022031369
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2022-03-02
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】洪 以則
(72)【発明者】
【氏名】周 昂昇
(72)【発明者】
【氏名】江 宏禮
(72)【発明者】
【氏名】陳 自強
(72)【発明者】
【氏名】鄭 兆欽
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-136312(JP,A)
【文献】特開2003-131588(JP,A)
【文献】特表2009-527127(JP,A)
【文献】特開2018-098504(JP,A)
【文献】特開2017-120895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子であって、
基板上方に配置された第1の伝熱層と、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有し、前記第1の表面が前記第1の伝熱層に接触した状態で、前記第1の伝熱層上に配置されるチャンネル材料層と、
前記チャンネル材料層の上方に配置されたゲート構造と、
前記チャンネル材料層に接触し、前記ゲート構造の両側に位置するソース及びドレイン端子と、を備え
、
前記チャンネル材料層の材料は、2Hフェーズを有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)を含む半導電性2D材料を含み、前記第1の伝熱層の材料は、絶縁性2D材料を含む、半導体素子。
【請求項2】
前記ソース及びドレイン端子は、前記第1の伝熱層上に位置し、前記チャンネル材料層を貫通する請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記チャンネル材料層上に配置され、前記チャンネル材料層の前記第2の表面と接触した第2の伝熱層をさらに備え、前記ソース及びドレイン端子は、前記第2の伝熱層と前記チャンネル材料層とを貫通する請求項2に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記ソース及びドレイン端子は、前記チャンネル材料層上に直接位置する請求項1に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記チャンネル材料層上に配置され、前記チャンネル材料層の前記第2の表面に接触する第2の伝熱層をさらに備え、前記ソース及びドレイン端子は、前記第2の伝熱層を貫通する請求項4に記載の半導体素子。
【請求項6】
半導体素子であって、
窒化ホウ素を含む伝熱層と、
前記伝熱層上に配置され、
2Hフェーズを有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)を含む半導電性2D材料を含むチャンネル層と、
前記チャンネル層上方に配置されるゲート構造と、
前記ゲート構造と前記チャンネル層との間に配置されるゲート誘電層と、
前記ゲート構造の隣に配置され、前記チャンネル層と接触するソース及びドレインと、
を備える半導体素子。
【請求項7】
前記
2Hフェーズを有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)は、MoS
2、WS
2、又はWSe
2を含む請求項
6に記載の半導体素子。
【請求項8】
半導体素子の製造方法であって、
基板上方に伝熱層を形成すること
であって、形成された前記伝熱層の材料は、絶縁性2D材料を含むことと、
前記伝熱層上にチャンネル材料層を形成することで
あって、形成された前記チャンネル材料層は、2Hフェーズを有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)を含む半導電性2D材料を含むことと、
前記チャンネル材料層上に誘電層を形成することと、
前記誘電層をパターニングして、前記誘電層内に開口を形成することと、
前記開口内にソース及びドレイン端子を形成することと、
前記誘電層上方にゲート構造を形成することと、を備える方法。
【請求項9】
前記伝熱層を形成することは、化学気相蒸着プロセスを実施して、窒化ホウ素の多層を形成することを含む請求項
8に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体素子とその製造方法全般に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の小型化及び高集積密度化により、放熱が困難となっている。
【発明の概要】
【技術的課題】
【0003】
本開示は、小型化、高集積密度化の半導体素子の放熱の困難を解決することを意図するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の目的を達成するために、本開示は、第1の伝熱層と、チャンネル材料層と、ゲート構造と、ソース及びドレイン端子と、を備える半導体素子を提供する。第1の伝熱層は、基板上方に配置される。チャンネル材料層は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を有し、第1の表面が第1の伝熱層に接触した状態で、第1の伝熱層上に配される。ゲート構造は、チャンネル材料層の上方に配置される。ソース及びドレイン端子は、チャンネル材料層に接触し、ゲート構造の両側に位置する。
【0005】
以上の目的を達成するために、本開示は、伝熱層と、チャネル層と、ゲート構造と、ゲート誘電層と、ソース及びドレインと、を備える半導体素子も提供する。伝熱層は、窒化ホウ素を含む。チャンネル層は、伝熱層上に配置され、低次元材料を含む。ゲート構造は、チャンネル層上方に配置される。ゲート誘電層は、ゲート構造とチャネル層との間に配置される。ソース及びドレインは、ゲート構造の隣に配置され、チャンネル層に接触する。
【0006】
以上の目的を達成するために、本開示は、半導体素子の製造方法も提供する。この方法は、基板上方に伝熱層を形成することと、伝熱層上にチャンネル材料層を形成することと、チャンネル材料層上に誘電層を形成することと、誘電層をパターニングして、誘電層内に開口を形成することと、開口内にソース及びドレイン端子を形成することと、誘電層上方にゲート構造を形成することと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
基板とチャンネル層との間に配置された熱伝導率の高い伝熱層により、素子の放熱能力を向上し、素子の性能を向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の態様は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに読むことで最もよく理解される。なお、当分野の標準的な慣行により、種々の特徴が正寸でない。実際のところ、種々の特徴の寸法は、検討を明確に行うため、任意で増減され得る。
【
図1】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図2】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図3】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図4】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図5】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図6】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図7】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図8】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図9】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における種々の段階の模式図である。
【
図10】
図10及び
図11は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子を示す模式横断面図である。
【
図11】
図10及び
図11は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子を示す模式横断面図である。
【
図12】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係るトランジスタ素子を作成する方法における各段階を示す模式上面図及び断面図である。
【
図13】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係るトランジスタ素子を作成する方法における各段階を示す模式上面図及び断面図である。
【
図14】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係るトランジスタ素子を作成する方法における各段階を示す模式上面図及び断面図である。
【
図15】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係るトランジスタ素子を作成する方法における各段階を示す模式上面図及び断面図である。
【
図16】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係るトランジスタ素子を作成する方法における各段階を示す模式上面図及び断面図である。
【
図17】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係るトランジスタ素子を作成する方法における各段階を示す模式上面図及び断面図である。
【
図18】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係るトランジスタ素子を作成する方法における各段階を示す模式上面図及び断面図である。
【
図19】
図19及び
図20は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子を示す模式横断面図である。
【
図20】
図19及び
図20は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子を示す模式横断面図である。
【詳細な説明】
【0009】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多数の異なる実施形態又は実例を提供する。本開示を簡易化すべく、部品、値、動作、材料、配置等の具体例を以下に説明する。当然のことながら、これらは単なる例であり、限定を意図するものでない。他の部品、値、動作、材料、配置等が考えられる。例えば、以下の説明において、第2の特徴の上方又は上にある第1の特徴の形成は、第1及び第2の特徴が直接接触するように形成される実施形態を含んでもよく、第1及び第2の特徴の間に追加の特徴が形成されて、第1及び第2の特徴が直接接触しないようにする実施形態も含んでよい。また本開示は、種々の例において参照符号及び/又は文字を反復することがある。この反復は、簡易さ及び明確さを目的としたものであり、それ自体が種々の実施形態、及び/又は、討論対象の構成の間の関係を命じるものでない。
【0010】
さらに、「下部」「下方」「下側」「上方」「上側」等、空間的に相対的な用語は、本明細書中、図中に示される1つの要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を示す説明を簡単にするために使用されることがある。空間的に相対的な用語は、図中に描かれる向きに加えて、使用中又は動作中の素子の異なる向きを包含することが意図されている。素子は、他の向きを向いていてもよく(90度又は他の向きに回転される)、本明細書において使用される空間的に相対的な説明は、それに合わせて同様に解釈されてもよい。
【0011】
また「第1の」「第2の」「第3の」「第4の」等の用語は、図中に示される同様又は異なる要素又は特徴を示す説明を簡単にするために、本明細書中において使用されることがあり、説明の有無又は文脈の順により、相互交換可能に使用されてもよい。
【0012】
本開示の以下の実施形態は、広範に亘る具体的な文脈において実施可能である、適用可能な概念を提供するものであると理解されなければならない。実施形態は、さらなる説明を提供することが意図されるものであり、本開示の範囲を限定するために使用されるものでない。本明細書に記載の具体的な実施形態は、1つ以上の半導体素子を含む構造に関連しており、本開示の範囲を限定することが意図されるものでない。本開示の実施形態は、トランジスタ及びそれから作成される一体構造等、1つ以上の半導体素子により形成される構造の例としての製造プロセスを説明する。本開示の或る実施形態は、半導体トランジスタと、その他の要素と、を含む構造に関連する。基板、及び/又は、ウェハは、1つ以上の種別の集積回路、又はその内部の電子部品を含んでもよい。半導体素子は、バルク半導体基板又はシリコン/ゲルマニウム・オン・インシュレータ基板上に形成されてもよい。
【0013】
図1~
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子の製造方法における各段階の模式図である。
図1~
図7及び
図9には、構造の素子領域DRの模式断面図が示されており、
図8には、構造の模式上面図が示されている。
【0014】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、上にオーバーレイ層102を有する基板100が提供される。
図1に示されるとおり、いくつかの実施形態において、オーバーレイ層102は、基板100上の素子領域DR内に形成される。隔離構造103(
図8に図示)は、基板100内に含まれてもよく、素子領域DRは、隔離構造の配置によって規定されてもよいことが理解される。
図1~
図7は、図示を目的として、基板100の素子領域DRの一部のみが示されている。
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、基板100には、半導体基板が含まれる。一実施形態において、基板100は、結晶性シリコン基板又はドープ半導体基板(例えば、p型又はn型の半導体基板)等、バルク半導体基板を備える。一実施形態において、基板100は、シリコン・オン・インシュレータ基板又はゲルマニウム・オン・インシュレータ基板を備える。或る実施形態において、基板100は、設計要件に応じて、1つ以上のドープ領域又は種々の種別のドープ領域を含む。いくつかの実施形態において、ドープ領域には、p型、及び/又は、n型のドーパントでドープされる。例えば、p型ドーパントは、ホウ素又はBF
2であり、n型ドーパントは、リン又は砒素である。いくつかの実施形態において、基板100は、ダイアモンド又はゲルマニウム等の他の好適な元素半導体、砒化ガリウム、炭化ケイ素、砒化インジウム、又はリン化インジウム等の好適な化合物半導体、炭化ケイ素ゲルマニウム、リン化ガリウム砒素、又はリン化ガリウムインジウム等の好適な合金半導体等で作成された半導体基板を含む。いくつかの実施形態において、基板100は、サファイア基板を含む。いくつかの実施形態において、基板100は、酸化インジウム錫(ITO)基板等のガラス基板を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、オーバーレイ層102は、窒化ケイ素層を含む。いくつかの実施形態において、オーバーレイ層102は、オプションであり、省略されてもよい。いくつかの実施形態において、
図8中の隔離構造103は、トレンチ隔離構造である。他の実施形態において、隔離構造103は、ケイ素の局所酸化(LOCOS)構造を含む。いくつかの実施形態において、隔離構造103の絶縁材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、スピン・オン誘電材料、又は低誘電率誘電材料を含む。一実施形態において、絶縁材料は、高密度プラズマ化学気相蒸着(HDP-CVD)及び亜大気圧CVD(SACVD)等のCVDによって形成されてもよく、又はスピン・オンで形成されてもよい。
【0016】
低次元材料は、ナノ粒子、カーボンナノチューブ又はナノワイヤ等の1次元(1D)材料、グラフェン、六方晶窒化ホウ素(h-BN)、黒リン、及び遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)等の2次元(2D)材料を含む。2D材料のうち、異なる種別の2D材料が、その性質に基づき、半導電性2D材料(例えば、2H TMD)、金属性2D材料(例えば、IT TMD)、及び絶縁性2D材料(例えば、h-BN)に分類されることがある。TMDは、化学式MX2を有し、Mは、モリブデン(Mo)又はタングステン(W)等の遷移金属であり、Xは、硫黄(S)、セレニウム(Se)、又はテルリウム(Te)等のカルコゲンである。種々の結晶構造を有するTMDでは、最も一般的な結晶構造が、三方対称性を備えた2Hフェーズであり、これは半導電性の特性を生じる(例えば、MoS2、WS2、MoSe2、又はWSe2)。TMDの他の可能な結晶構造は、1Tフェーズであり、これは金属性の特性を生じる(例えば、WTe2)。
【0017】
TMDバルク結晶は、ファン・デル・ワールス引力によって互いに結合される単層によって形成される。TMD単層は、直接バンドギャップを有し、TMDベース電界効果トランジスタ(TMD-FET)等の電子素子に使用可能である。
【0018】
図2を参照すると、伝熱層104が提供される。いくつかの実施形態において、伝熱層104は、キャリアC1によって運搬され、キャリアC1及び伝熱層104は、基板100の上方の位置まで移動される。一実施形態において、伝熱層104は、素子領域DR内の所定の箇所に載置される。いくつかの実施形態において、伝熱層104は、基板100上方に配置され、基板100の素子領域DR全体を被覆する。いくつかの実施形態において、伝熱層104には、パターンが設けられ、基板100上方に配置され、基板100の素子領域DRの一部を被覆する。伝熱層104の形成には、化学気相蒸着(CVD)、溶液ベースの化学合成、及び/又は、機械的又は液体による剥離といった方法が含まれる。いくつかの実施形態において、伝熱層104は、約30W/m/K以上の熱伝導率を有する材料で作成されてもよい。いくつかの実施形態において、伝熱層104は、約200~400W/m/Kの熱伝導率を有する材料で作成されてもよい。いくつかの実施形態において、伝熱層104の材料は、絶縁性2D材料を含む。いくつかの実施形態において、伝熱層104の材料は、窒化ホウ素を含む。例えば、窒化ホウ素は、非晶質窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素(h-BN)、又は立方晶窒化ホウ素(c-BN)であってもよい。例えば、伝熱層104の形成には、CVDによリ金属箔又は銅合金箔上にh-BNの単層を形成した後、キャリアに移すことを含まれる。いくつかの実施形態において、伝熱層104の材料は、窒化アルミニウム(AlN)を含む。いくつかの実施形態において、伝熱層104の材料は、酸化マグネシウム(MgO)又は窒化ケイ素を含む。
【0019】
図3を参照すると、伝熱層104は、基板100上に移され、オーバーレイ層102上に配置される。いくつかの実施形態において、伝熱層104は、約0.3nm~約10nmの厚さを有する。一実施形態において、伝熱層104は、h-BNの多層を含む。その後、チャンネル材料層106が提供され、キャリアC2によって運搬される。キャリアC2及びチャンネル材料層106は、基板100の上方の位置まで移動される。一実施形態において、チャンネル材料層106は、その後に、伝熱層104上において、素子領域DR内の所定箇所に載置される。チャンネル材料層106の形成には、パルスレーザー蒸着(PLD)、CVD、プラズマ促進原子層蒸着(PEALD)、溶液ベースの化学合成、及び/又は、機械的又は液体による剥離といった方法が含まれる。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106の材料は、半導電性2D材料を含む。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106の材料は、化学式MX
2を有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)を含み、Mはモリブデン(Mo)又はタングステン(W)であり、Xは、硫黄(S)、セレニウム(Se)、又はテルリウム(Te)である。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106の材料は、MoS
2、WS
2、又はWSe
2を含む。例えば、チャンネル材料層106の形成には、CVDによリMoS
2、WS
2、又はWSe
2の2Hフェーズ等、TMDの単層を選択的に形成した後、キャリアに移すことを含まれる。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノリボンを含む。
【0020】
図4を参照すると、いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106は、基板100上に移され、伝熱層104上に配置される。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106は、約0.3nm~約5nmの厚さ、又は約0.3nm~約1nmの厚さを有する。一実施形態において、チャンネル材料層106は、1つ又は数個のMoS
2原子層を含む。いくつかの実施形態において、伝熱層104及びチャンネル材料層106は、続いて、オーバーレイ層102の上方に順次載置され、伝熱層104及びチャンネル材料層106は、個別に、異なるキャリアC1及びC2を通じて移される。他のいくつかの実施形態において、伝熱層104及びチャンネル材料層106は、移され、1つのキャリア上に積層として重ね合わせられた後、その積層が基板100上のオーバーレイ層102上に載置される。
【0021】
或いは、いくつかの実施形態において、伝熱層104又はチャンネル材料層106のうちのいずれか、又は双方が、基板100上方に、成長プロセスを通じて形成されてもよい。TMDを形成するためのパターン化核形成シードを利用した成長プロセスは、よく制御されたプロセスであり、その形成は現場で(同一の場所で)実施されてもよい。いくつかの実施形態において、成長プロセスは、CVDプロセスを含む。CVDプロセスは、電子サイクロトロン共鳴CVD(ECR-CVD)、マイクロ波プラズマCVD、プラズマCVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)、熱CVD、又は熱フィラメントCVDを含んでもよい。他の実施形態において、成長プロセスは、物理気相蒸着(PVD)プロセスである。移送形成法に比べて、成長法は、高密度又は精密ピッチの集積回路によく適用可能である。
【0022】
いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106は、基板100の上方に配され、基板100の素子領域DR全体を被覆する。一実施形態において、伝熱層104及びチャンネル材料層106は、略同一のパターンを有するように、フォトリソグラフィ及びエッチングの技術によりパターニングされる。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106には、パターンが設けられ、基板100上方に配されて、基板100の素子領域DRの一部を被覆する。一実施形態において、伝熱層104のパターンは、チャンネル材料層106のパターンと略同一である。一実施形態において、伝熱層104のパターンは、チャンネル材料層106のパターンより大きなスパンである。
【0023】
上述のとおり、いくつかの実施形態において、伝熱層104と、伝熱層104上に直接配置されたチャンネル材料層106とは、積層フィルムを形成し、下層の伝熱層104は、素子の放熱の改善を助ける。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106は、半導電性2D材料を含んでもよく、伝熱層104は、伝熱性の高い2D材料を含んでもよいため、材料相容性により、多くの表面散乱を伴うことなく、チャンネル材料層106と伝熱層104との間の界面を原子的にスムーズな界面とする。
【0024】
いくつかの実施形態において、
図8に示されるとおり、オーバーレイ層102はスキップされ、チャンネル材料層106が伝熱層104の上方に積層された状態で、伝熱層104が基板100の表面上に直接配置される。
【0025】
図4を参照すると、チャンネル材料層106が提供され、伝熱層104上に配された後、開口Oを有するフォトレジストパターン108が、チャンネル材料層106上、且つ、基板100の上方に形成される。フォトレジストパターン108の形成は、CVDによる基板100上方へのフォトレジスト層(図示せず)の形成又は塗布と、露光及び現像によるフォトレジスト層のパターニングと、を含む。例えば、フォトレジストパターンの開口Oは、後に形成されるソース及びドレイン領域を規定する輪郭又は形状を備えるように形成され、後に形成されるソース及びドレイン領域に対応する箇所に形成される。いくつかの実施形態において、フォトレジストパターン108は、開口部Oがチャンネル材料層106の一部を露出するように、チャンネル材料層106を被覆する。
【0026】
図5を参照すると、フォトレジストパターン108をマスクとして使用して、エッチングプロセスを実施し、チャンネル材料層106の一部と、下層の伝熱層104の一部を除去し、パターン化されたチャンネル材料層106Aと、パターン化された伝熱層104Aとを形成する。いくつかの実施形態において、エッチングプロセスを通じて、オーバーレイ層102が露出されるまで、開口Oによって露出されたチャンネル材料層106の一部と、直下の伝熱層104を除去されて、パターン化されたチャンネル材料層106Aとパターン化された伝熱層104Aとに、トレンチ開口S1が形成される。
【0027】
いくつかの実施形態において、エッチングプロセスは、1つ以上の異方性エッチングプロセス、等方性エッチングプロセス、又はこれらの組み合わせを実施することを含む。いくつかの実施形態において、エッチングプロセスは、反応性イオンエッチングプロセス又は原子層エッチングプロセスを実施することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、エッチングプロセスは、反応性ガスアシストエッチングプロセス又は金属アシスト化学エッチングプロセスを実施することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、エッチングプロセスは、レーザエッチングプロセス、及び/又は、熱アニーリングプロセスを実施することを含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、フォトレジストパターン108をマスクとして使用して、エッチングプロセスを実施し、下層の伝熱層104を除去することなく、開口Oによって露出されたチャンネル材料層106の一部を除去する。
【0029】
図6を参照すると、ソース及びドレイン端子110が、トレンチ開口S1内、且つ、オーバーレイ層102上に形成される。いくつかの実施形態において、パターン化されたチャンネル材料層106A上にフォトレジストパターン108を残した状態でトレンチ開口S1が形成された後、ソース及びドレイン端子110が、トレンチ開口S1内部に形成され、トレンチ開口S1を埋める。ソース及びトレイン端子が形成された後、フォトレジストパターン108が除去される。ソース及びドレイン端子110の形成を通じて、ソース及びドレイン端子110の間に位置するパターン化されたチャンネル材料層106Aの領域は、チャンネル領域CRとして機能してもよい。一方、ソース及びドレイン端子110の外部に位置するパターン化されたチャンネル材料層106Aの一部は、電気的に浮遊させて、機能的は効果を果たさない。
【0030】
ソース及びドレイン端子110の形成は、パターン化されたチャンネル材料層106Aの上方に金属材料(図示せず)を形成して、トレンチ開口S1を埋めることを含む。例えば、選択のシード/ライナ材料層(図示せず)が形成され、金属材料の形成に先立って、トレンチ開口S1の側壁及び底部を被覆してもよい。いくつかの実施形態において、金属材料は、例えば、チタニウム(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、スカンジウム(Sc)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、これらの合金、およびこれらの窒化物から選択される1つ以上の材料を含む。いくつかの実施形態において、金属材料は、チタニウム(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、スカンジウム(Sc)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、金属材料は、CVD(金属有機CVD等)又はPVD(熱蒸着等)によって形成される。いくつかの実施形態において、金属材料の形成は、めっきプロセス(電気化学めっき法(ECP)等)を実施することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、金属材料は、金属有機CVDプロセスによって形成された金、パラジウム、又はチタニウムを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、余分のシード/ライナ材料と、余分の金属材料は、平坦化プロセス、エッチングプロセス、又はその他の好適なプロセスを実施することによって除去してもよい。いくつかの実施形態において、平坦化プロセスは、化学機械研磨(CMP)プロセスを実施することを含んでもよい。
【0032】
上述のとおり、いくつかの実施形態において、伝熱層が、この素子構造に含まれ、伝熱層は、伝熱性の高い2D材料を含む。基板とチャンネル層との間に位置し、熱伝導率の高い伝熱層(又は、放熱材料)が、素子の放熱能力を改善し、素子の性能を向上する。また、チャンネル層を貫通するソース及びドレイン端子110が伝熱層上に直接着地するとき、より良好な放熱を達成することができ、動作中に生成される熱は、ソース及びドレイン端子下方に位置する伝熱層を通じて、放散されることができます。
【0033】
図7を参照すると、誘電層112は、パターン化されたチャンネル材料層106Aと、ソース及びドレイン端子110との上方に形成される。いくつかの実施形態において、誘電層112は、素子領域DR内において、パターン化されたチャンネル材料層106Aとソース及びドレイン端子110を等角に(conformally)被覆する。いくつかの実施形態において、誘電層112の材料は、酸化ハフニウム(例えば、HfO
2)、酸化アルミニウム(例えば、Al
2O
3)、酸化ジルコニウム(例えば、ZrO
2)、又はその他の好適な高誘電率誘電材料等の酸化物材料を含む。なお、高誘電率誘電材料は、通常、3.9超、約10超、約12超、又は約16超の誘電率を有する誘電材料である。例えば、高誘電率誘電材料は、ZrO
2、Gd
2O
3、HfO
2、BaTiO
3、Al
2O
3、LaO
2、TiO
2、Ta
2O
5、Y
2O
3、STO、BTO、BaZrO、HfZrO、HfLaO、HfTaO、HfTiO、又はこれらの組み合わせ等の酸化金属を含んでもよい。いくつかの実施形態において、誘電層112の材料は、六方晶窒化ホウ素(h-BN)を含む。例えば、誘電層112は、高密度プラズマ化学気相蒸着(HDP-CVD)、亜大気圧CVD(SACVD)、又は原子層蒸着(ALD)等のCVDにより、形成されてもよい。いくつかの実施形態において、誘電層112は、約0.5nm~約15nmの範囲の厚さを有する。
【0034】
図7及び
図8を参照すると、誘電層112が形成された後、ゲート構造120が、誘電層112上、且つ、ソース及びドレイン端子110の間に形成される。いくつかの実施形態において、ゲート構造120は、パターン化されたチャンネル材料層106Aのアクティブチャンネル領域CR上方に形成される。いくつかの実施形態において、ゲート構造120が形成された後、ゲート構造120の外側に位置する余分の誘電層112が除去される。ゲート構造120の下方の残余の誘電層112Aは、ゲート誘電層として機能する。いくつかの実施形態において、
図8に示されるとおり、隔離構造103によって規定される素子領域内において、パターン化された伝熱層104Aとパターン化されたチャンネル材料層106Aとは、各々、X方向に延設されたストリップとしての形状を有し、ソース及びドレイン端子110とゲート構造120とは、X方向に略直交するY方向に沿って延設された平行ストリップとしての形状を有する。
図8の上面図において、ソース及びドレイン端子110とゲート構造120とは、個別に、パターン化された伝熱層104Aとパターン化されたチャンネル材料層106Aとのストリップ形状パターンに交差し、これらを被覆する。ゲート構造は、素子の設計要件に基づき、異なる区画に分離/切断されてもよいことが理解される。いくつかの実施形態において、ゲート構造120は、ゲート電極材料層(図示せず)を全面的に形成し、ゲート電極材料層をストリップ形状のゲート構造にパターニングすることにより、形成されてもよい。いくつかの実施形態において、ゲート構造120は、約1nm~約30nmの範囲の厚さを有する。
【0035】
いくつかの実施形態において、ゲート構造120の材料は、金属、金属合金、又は窒化金属を含む。例えば、いくつかの実施形態において、ゲート構造120の材料は、Ti、Pt、Pd、Au、W、Ag、Ni、Al、TiN、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)、又はこれらの組み合わせを含む。さらに、ゲート構造は、ライナ層、界面層、仕事関数層、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの代替の実施形態において、シード層、バリア層、接着層、又はこれらの組み合わせはまた、ゲート構造120とチャンネル材料層106Aとの間に含まれてもよい。いくつかの実施形態において、ゲート構造120は、CVD(MOCVD等)又はPVD(熱蒸着等)により形成される。いくつかの実施形態において、ゲート構造120の形成は、めっきプロセス(ECP等)を実施することを含んでもよい。
【0036】
図9を参照すると、層間誘電(ILD)層130は、基板100上方を全面的に形成され、パターン化されたチャンネル材料層106Aと誘電層112Aとを被覆する。いくつかの実施形態において、ILD層130は、ゲート構造120とソース及びドレイン端子110を被覆する。いくつかの実施形態において、ILD層130の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は1つ以上の低誘電率誘電材料を含む。低誘電率誘電材料の例として、リンケイ酸ガラス(PSG)及びホウリンケイ酸ガラス(BPSG)等のケイ酸塩ガラス、BLACK DIAMOND(登録商標)、SILK(登録商標)、水素シルセスキオキサン(HSQ)、フッ素化酸化ケイ素(SiOF)、非晶質フッ素化炭素、パリレン、BCB(ビス-ベンゾシクロブテン)、フレア(FLARE)、及びこれらの組み合わせ、を含む。ILD層130は、1つ以上の誘電材料又は1つ以上の誘電層を含んでもよいことが理解される。いくつかの実施形態において、ILD層130は、流動性CVD(FCVD)、PECVD、HDPCVD、SACVD、スピン・オン・コーティング、又はその他の好適な方法により、好適な厚さに形成される。例えば、層間誘電材料層(図示せず)は、PECVDにより形成されてもよく、エッチング又は研磨のプロセスを実施して、ILD層130を形成するのに所望の厚さとなるまで、層間誘電材料層の厚さを低減してもよい。
【0037】
図9を参照すると、ILD層130を形成した後、コンタクト142及び144を形成し、トランジスタ素子90(例えば、FET素子)を形成する。いくつかの実施形態において、コンタクト142は、ILD層130内の、ソース及びドレイン端子110の直上の箇所に形成され、コンタクト144(1つのみ図示)は、ILD層130内の、ゲート構造120の直上の箇所に形成される。いくつかの実施形態において、コンタクト142及び144は、それぞれ、ソース及びドレイン端子110とゲート構造120と、直接接触し、これらに接続される。
【0038】
いくつかの実施形態において、コンタクト142及び144の形成は、ILD層130上方にパターン化されたマスク層(図示せず)を形成することと、パターン化されたマスク層をマスクとして使用してILDをドライエッチングすることで、ソース及びドレイン端子110とゲート構造120とを露出するコンタクト開口S2を形成することと、を含む。
図9に示されるとおり、コンタクト開口S2が、傾いた側壁を備えた状態で示されている。コンタクト開口は、実現可能であれば、略垂直の側壁を備えて形成されてもよいことが理解され、コンタクト開口S2の数は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定することが意図されるものでない。いくつかの実施形態において、ILD層130は、コンタクト開口の形成を支援するため、内部にエッチング停止層(図示せず)をさらに備えてもよい。その後、金属材料がコンタクト開口内に配置されてこれを埋め、コンタクト142及び144を形成する。金属材料は、例えば、Al、銅(Cu)、W、コバルト(Co)、これらの合金、又はこれらの窒化物を含む。一実施形態において、金属材料は、CVDプロセス又はPVDプロセスを実施することにより形成される。任意で、平坦化プロセス、エッチングプロセス、又はその他の好適なプロセスを実施することにより、余分の金属材料が除去されてもよい。いくつかの実施形態において、平坦化プロセスは、CMPプロセスを実施することを含んでもよい。
図9に示されるとおり、ILD層130の上面は、コンタクト142及び144の上面と略同一平面であり、これと平らである。
【0039】
図9を参照すると、トランジスタ素子90の構造は、基板100上に配置されたオーバーレイ層102と、オーバーレイ層102上に配されたパターン化された伝熱層104A及びパターン化されたチャンネル材料層106Aと、を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ素子90の構造は、パターン化されたチャンネル材料層106A上に配置されたゲート構造120及びゲート誘電層112Aと、オーバーレイ層102上に配置されたソース及びドレイン端子110と、を備える。いくつかの実施形態において、ソース及びドレイン端子110の間に位置するチャンネル材料層106Aは、トランジスタのチャンネル領域CR(チャンネル層)として機能し、ソース及びドレイン端子110は、トランジスタのチャンネル領域CR(チャンネル層)に電気的に接触される(例えば、エッジ接触される)。いくつかの実施形態において、トランジスタ素子90において、ゲート構造120とチャンネル材料層106Aとの間に挟まれたゲート誘電層112Aは、チャンネル領域CRと接触するものの、ソース及びドレイン端子110からは離間している。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90は、それぞれソース及びドレイン端子110とゲート構造120とに接触したコンタクト142及び144を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90は、トップゲート・トランジスタ構造である。
【0040】
図示の実施形態において、説明した方法及び構造は、現在の半導体製造プロセスに相容性を備えるように形成されてもよい。例示としての実施形態において、説明された方法及び構造は、フロント・エンド・オブ・ライン(FEOL)プロセス中に形成される。一実施形態において、トランジスタ素子90は、論理素子である。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層106の材料は、TMDを含み、トランジスタ素子90は、TMDベース電界効果トランジスタ(TMD-FET)である。
【0041】
図示したトランジスタ素子90の構造は、集積回路の一部であってもよい。いくつかの実施形態において、図示の構造は、薄膜トランジスタ、高電圧トランジスタ等の能動素子、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、フューズ等の受動素子、及び/又は、その他の好適な部品を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本方法の追加実施形態として、
図1~
図9に描かれたプロセスステップ前、途中、及びその後に、追加のステップが設けられてもよく、上述のステップの一部が置換又は削除されてもよい。
【0042】
図10及び
図11は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子を示す模式横断面図である。
図10及び
図11に示される例としての構造は、
図1~
図9に示されるような、上述の実施形態に記載のようなプロセスステップに従って作成されてもよく、上述の実施形態に記載のと同様の材料が使用されてもよいが使用されてもよい。しかしながら、任意の他の相容性の或るプロセスステップ又は方法又は任意の他の材料が利用されてもよく、本開示の例示的な構造を形成するために、理解可能な変更又は調整がなされてもよいことが理解される。
【0043】
図10を参照すると、トランジスタ構造90Aは、基板100上に直接配置された積層構造12を備え、積層構造12は、底部から上部に向けて連続的に積層された、伝熱層104’と、チャンネル材料層106’と、ゲート誘電層112’と、を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90Aは、伝熱層104’上に配され、チャンネル材料層106’及びゲート誘電層112’を貫通するソース及びドレイン端子110を備える。いくつかの実施形態において、ソース及びドレイン端子110の間に位置するチャンネル材料層106’は、トランジスタのチャンネル領域CR(チャンネル層)として機能し、ソース及びドレイン端子110は、チャンネル領域と電気的に接続される。換言すると、ソース及びドレイン端子110は、トランジスタのチャンネル領域CR(チャンネル層)とエッジ接触される。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90Aは、積層構造12の頂上部上に位置し、ゲート誘電層112’と接触するゲート構造120を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90Aは、それぞれソース及びドレイン端子110とゲート構造120とに接触したコンタクト142及び144を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90Aは、トップゲート・トランジスタ構造である。
【0044】
図11を参照すると、トランジスタ構造90Aと同様のトランジスタ構造90Bが示されている。トランジスタ構造90Bは、基板100上に直接配された積層構造14を備え、積層構造14は、底部から上部に向けて連続的に積層された、伝熱層104”と、チャンネル材料層106”と、ゲート誘電層112”とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90Bは、チャンネル材料層106”上に直接配置され、ゲート誘電層112”を貫通するソース及びドレイン端子110を備える。いくつかの実施形態において、ソース及びドレイン端子110の間に位置するチャンネル材料層106”は、トランジスタのチャンネル領域CR(チャンネル層)として機能し、ソース及びドレイン端子110は、チャンネル領域CRと電気的に接続される(例えば、上部接触される)。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90Bは、積層構造14の上部に位置し、ゲート誘電層112”と接触するゲート構造120を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造90Bは、それぞれソース及びドレイン端子110とゲート構造120と接触したコンタクト142及び144を備える。
【0045】
上述のとおり、基板100上に直接、且つ、基板100とチャンネル層CRとの間に配置した伝熱性の高い伝熱層104’又は104”の配置により、素子の放熱能力をさらに改善し、素子の性能を向上する。またソース及びドレイン端子110がチャンネル層CRとエッジ接触され、伝熱層104’上に直接着地するとき、より良好な放熱を達成することができ、動作中に発生した熱は、ソース及びドレイン端子の下方に位置する伝熱層を通じて放熱されてもよい。また、ソース及びドレイン端子110がチャンネル層CRとエッジ接触されるため、明確なフェルミレベルデピニング効果が達成され、素子の電流注入効率が向上される。
【0046】
図12~
図18は、本開示のいくつかの実施形態に係る、トランジスタ素子の製造方法における種々の段階を示す模式上面図及び断面図である。いくつかの実施形態に係るFET素子の製造プロセスについて、以下に詳細に説明する。
【0047】
図12は、本開示のいくつかの実施形態に係るFET素子の製造方法における1つの段階の模式上面図を示している。
図12を参照すると、基板300が設けられ、基板300上に材料層302が形成される。いくつかの実施形態において、基板300は、上述の実施形態において説明した基板100と同様であり、例示を目的として、基板300の素子領域DRの一部のみが示されている。いくつかの実施形態において、材料層302の形成は、基板300にCVDを施すことにより、絶縁性材料(図示せず)を形成することと、1つ以上のエッチングプロセスを通じて絶縁性材料を材料層302にパターニングして、部分的に下層の基板300を露出することと、を備える。いくつかの実施形態において、材料層302は、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は窒化ケイ素等の絶縁性材料を含む。いくつかの実施形態において、材料層302は、プラズマCVD(PECVD)又は低圧CVD(LPCVD)又は原子層蒸着(ALD)等の化学気相蒸着(CVD)によって形成される。いくつかの実施形態において、材料層302は、X方向に延設されたストリップフィンパターンSFを備え、このフィンパターンは、基板300の表面からまっすぐ(厚さ方向に)突出する。
図12に示されるとおり、ストリップフィンパターンSFは、1つのストリップフィンを有するが、2つ以上のフィンを有することも可能であり、パターンの数、幾何学形状、及び配置は、本開示の実施形態に限定されるものでない。
【0048】
図13は、本開示のいくつかの実施形態に係る、FET素子の製造方法における1つの段階の模式上面図を示している。
図14及び
図15は、それぞれ、横断面線I-I’とII-II’に沿って、
図13に示された構造の模式横断面図を示している。
図13、
図14、及び
図15を参照すると、第1の伝熱層304、チャンネル材料層306、及び第2の伝熱層308は、基板300及び材料層302の上方に連続的に形成される。いくつかの実施形態において、
図15に示されるとおり、第1の伝熱層304、チャンネル材料層306、及び第2の伝熱層308は、積層構造16として連続的に積層される。
図13の上面図によると、積層構造16は、X方向に延設されたワイドストリップパターンWPが下地のストリップフィンパターンSFを完全に被覆した状態で形成され、ワイドストリップパターンWPは、ストリップフィンパターンSFよりも広い幅(Y方向)を有する。
図14に示されるとおり、チャンネル材料層306は、材料層302のストリップフィンパターンSFの外形に沿って形成され、3次元構造(ストリップフィンパターンSF)の存在により、効果的なチャンネル幅を増加させることができ、これは、素子の性能に有利であり、素子密度をより高くするためのアクティブ領域をセーブする。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1の伝熱層304又は第2の伝熱層308のいずれかは、約30W/m/K以上の熱伝導率を有する材料で作成される。いくつかの実施形態において、第1の伝熱層304又は第2の伝熱層308は、約200~400W/m/Kの熱伝導率を有する材料で作成される。いくつかの実施形態において、第1の伝熱層304の材料は、絶縁性2D材料を含む。いくつかの実施形態において、第1の伝熱層304の材料は、窒化ホウ素を含む。例えば、窒化ホウ素は、非晶質窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素(h-BN)、又は立方晶窒化ホウ素(c-BN)であってもよい。いくつかの実施形態において、第2の伝熱層308の材料は、絶縁性2D材料を含む。いくつかの実施形態において、第2の伝熱層308の材料は、六方晶窒化ホウ素(h-BN)又は立方晶窒化ホウ素(c-BN)等の窒化ホウ素を含む。いくつかの実施形態において、第2の伝熱層308の材料は、第1の伝熱層304の材料と略同一である。いくつかの実施形態において、第2の伝熱層308の材料は、第1の伝熱層304の材料とは異なる。いくつかの実施形態において、第2の伝熱層308の材料は、第1の伝熱層304の材料より低い熱伝導率を有する。いくつかの実施形態において、第2の伝熱層308の材料は、窒化アルミニウム(AlN)を含む。いくつかの実施形態において、第2の伝熱層308の材料は、酸化マグネシウム(MgO)又は窒化ケイ素を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、チャンネル材料層306の材料は、半導電性2D材料を含む。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層306の材料は、化学式MX2を有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)を含み、Mは、モリブデン(Mo)又はタングステン(W)であり、Xは、硫黄(S)、セレニウム(Se)、又はテルリウム(Te)である。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層306の材料は、MoS2、WS2、又はWSe2を含む。いくつかの実施形態において、チャンネル材料層306は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノリボンを含む。
【0051】
例えば、積層構造16の形成には、第1の伝熱層304、チャンネル材料層306、及び第2の伝熱層308を個別に形成するCVDと、第1の伝熱層304、チャンネル材料層306、及び第2の伝熱層308を基板300上に移して、材料層302のストリップフィンパターンSFを被覆することと、が含まれる。いくつかの実施形態において、異なる成長プロセスを通じて、第1の伝熱層304、チャンネル材料層306、及び第2の伝熱層308は、基板上、且つ、材料層302のストリップフィンパターンSF上方に、局所的且つ直接的にエピタキシャル成長されてもよい。いくつかの実施形態において、
図14に示されるとおり、第1の伝熱層304、チャンネル材料層306、及び第2の伝熱層308の積層構造16は、ストリップフィンパターンSFの側壁及び上部を被覆し、基板300の一部を被覆する。
【0052】
いくつかの実施形態において、第1の伝熱層304及び第2の伝熱層308は、絶縁性2D材料を含み、チャンネル材料層306は、半導電性2D材料を含み、材料の相容性のために、チャンネル材料層306と第1の伝熱層304との間、チャンネル材料層306と第2の伝熱層308との間の接触面は、多くの表面散乱を伴うことなく、原子的にスムーズな接触面となる。いくつかの実施形態において、第1の伝熱層304が絶縁性2D材料を含み、チャンネル材料層306が半導電性2D材料を含むとき、チャンネル材料層306と第1の伝熱層304との間のスムーズな接触面が、表面散乱を最小化する助けとなる。
【0053】
図16は、本開示のいくつかの実施形態に係るFET素子の製造方法における1つの段階の模式上面図を示している。
図17及び
図18は、それぞれ、横断面線I-I’及びII-II”に沿った、
図16に示される構造の模式横断面図を示している。
図16、
図17、及び
図18を参照すると、ソース及びドレイン端子310が、第2の伝熱層308を貫通し、チャンネル材料層306上に形成される。
図16の上面図において、ソース及びドレイン端子310は、Y方向に延設され、積層構造16と交差する平行ストリップパターンとして形成され、積層構造16のワイドストリップパターンWPの2つの端部の付近に配置される。その後、ゲート構造320は、第2の伝熱層308上、且つ、ソース及びドレイン端子310との間に形成される。一実施形態において、第2の伝熱層308は、ゲート誘電層として機能してもよい。
図16の上面図によると、ゲート構造320は、Y軸方向に延設され、積層構造16と交差するストリップパターンとして形成され、ソース及びドレイン端子310の間に配置され、ソース及びドレイン端子310から離間する。ソース及びドレイン端子とゲート構造との形成方法及び材料は、上述の実施形態において説明したものと同様であってもよく、詳細についてはここでは繰り返さない。
【0054】
図18を参照すると、ゲート構造320を形成した後、1つ以上のILD層とコンタクトとが、トランジスタ素子18を含む構造の上方に形成される。上述の実施形態において説明した同様の要素、材料、及び形成方法が、構造18に適用可能であることが理解される。図示したトランジスタ素子18の構造は、集積回路の一部であってもよい。いくつかの実施形態において、図示の構造は、薄膜トランジスタ、高電圧トランジスタ等の能動素子、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、フューズ等の受動素子、及び/又は、その他の好適な部品を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本方法の追加実施形態として、
図12~
図18に描かれたプロセスステップ前、途中、及びその後に、追加のステップが設けられてもよく、上述のステップの一部が置換又は削除されてもよい。
【0055】
本方法のステップについて、一連の動作又はイベントとして図示及び説明したが、このような動作又はイベントの例示としての順序は、限定の意味で解釈されてはならないことが理解されるであろう。また本開示の1つ以上の実施形態を実施するために、すべての例示のプロセス又はステップが必要とされるものでない。
【0056】
図19及び
図20は、本開示のいくつかの実施形態に係る半導体素子を示す模式横断面図である。
図19及び
図20に示される例示としての構造は、
図1~
図9又は
図12~
図18に示されるような、上述の実施形態において説明したプロセスステップに従って作成されてもよく、上述の実施形態において説明したのと同様の材料が使用されてもよい。しかしながら、本開示の例示としての構造を形成するために、他の任意の相容性の或るプロセスステップ又は方法、又は他の任意の好適な材料が利用されてもよく、理解可能な変更又は調整がなされてもよいことが理解される。
【0057】
図19を参照すると、トランジスタ構造19は、基板300上に直接配される材料層302と、材料層302のストリップフィンパターンSF上及び上方に配される積層構造16’と、を備える。いくつかの実施形態において、積層構造16’は、底部から上部に向けて連続的に積層された、第1の伝熱層304’と、チャンネル材料層306’と、第2の伝熱層308’とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造19は、基板300上に配され、第2の伝熱層308’、チャンネル材料層306’、及び第1の伝熱層304’を貫通するソース及びドレイン端子310を備える。いくつかの実施形態において、ソース及びドレイン端子310の間に位置するチャンネル材料層306’は、トランジスタのチャンネル領域CR(チャンネル層)として機能し、ソース及びドレイン端子310は、チャンネル領域と電気的に接続される。換言すると、ソース及びドレイン端子310は、トランジスタのチェンネル領域CR(チャンネル層)とエッジ接触される。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造19は、積層構造16’の上部に位置し、第2の伝熱層308’と接触するゲート構造320を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造19は、トップゲート・トランジスタ構造である。
【0058】
図20を参照すると、トランジスタ構造19と類似のトランジスタ構造20が示されている。トランジスタ構造20は、基板300上に直接配された材料層302と、材料層302のストリップフィンパターンSF上及び上方に直接配された積層構造16”と、を備える。いくつかの実施形態において、積層構造16”は、底部から上部に連続的に積層された、第1の伝熱層304”、チャンネル材料層306”、第2の伝熱層308”、及びゲート誘電層309を備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造20は、第1の伝熱層304”上に直接配置され、ゲート誘電層309、第2の伝熱層308”、及びチャンネル材料層306”を貫通するソース及びドレイン端子310を備える。いくつかの実施形態において、ソース及びドレイン端子310の間に位置するチャンネル材料層306”は、トランジスタのチャンネル領域CR(チャンネル層)として機能し、ソース及びドレイン端子310は、チャンネル領域CRに電気的に接続される(例えば、側方接触又はエッジ接触される)。いくつかの実施形態において、トランジスタ構造20は、積層構造16”の上部に位置し、ゲート誘電層309と接触するゲート構造320を備える。一実施形態において、第2の伝熱層308”は、スキップされてもよく、ゲート誘電層309は、チャンネル材料層306”上に直接位置する。
【0059】
上述のとおり、基板とチャンネル層CRとの間の伝熱性の高い伝熱層の配置により、素子の放熱能力をさらに改善し、素子の性能を向上する。また、ソース及びドレイン端子310がチャンネル層CRにエッジ接触され、伝熱層に直接着地するとき、より良好な放熱を達成することができ、動作中に生成される熱が、ソース及びドレイン端子の下方に位置する伝熱層を通じて放熱されてもよい。
【0060】
例示としての実施形態において、チャンネル材料層の下方、及び、チャンネル層とソース及びドレイン端子との間に1つ以上の伝熱層があることによって、ソース及びドレイン端子、素子のより良好な放熱効率に繋がる。総じて、半導体素子の性能が改善される。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態において、半導体素子について説明する。半導体素子は、基板の上方に配置された第1の伝熱層、チャンネル材料層、ゲート構造、及びソース及びドレイン端子を備える。チャンネル材料層は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有し、チャンネル材料層は、第1の表面が第1の伝熱層と接触した状態で、第1の伝熱層上に配置される。ゲート構造は、チャンネル材料層上方に配置される。ソース及びドレイン端子は、チャンネル材料層に接触し、ゲート構造の両側に位置する。いくつかの実施形態において、前記ソース及びドレイン端子は、前記第1の伝熱層上に位置し、前記チャンネル材料層を貫通する。そのような実施形態のうちのいくつかの実施形態において、前記半導体素子は、第2の伝熱層をさらに備え、前記第2の伝熱層は、前記チャンネル材料層上に配置され、前記チャンネル材料層の前記第2の表面と接触し、前記ソース及びドレイン端子は、前記第2の伝熱層と前記チャンネル材料層とを貫通する。いくつかの実施形態において、前記ソース及びドレイン端子は、前記チャンネル材料層上に直接位置する。そのような実施形態のうちのいくつかの実施形態において、前記半導体素子は、第2の伝熱層をさらに備え、前記第2の伝熱層は、前記チャンネル材料層上に配置され、前記チャンネル材料層の前記第2の表面に接触し、前記ソース及びドレイン端子は、前記第2の伝熱層を貫通する。いくつかの実施形態において、前記半導体素子は、前記第1の伝熱層と前記基板との間に配された材料層をさらに備え、前記材料層は、フィンパターンを有し、前記第1の伝熱層及び前記チャンネル材料層は、前記フィンパターンの側壁及び上面を被覆する。いくつかの実施形態において、前記チャンネル材料層の材料は、低次元材料を含み、前記第1の伝熱層の材料は、2次元(2D)材料を含む。前記チャンネル材料層の材料は、半導電性2D材料を含み、前記第1の伝熱層の材料は、絶縁性2D材料を含む。いくつかの実施形態において、前記半導体素子は、前記ゲート構造と前記チャンネル材料層との間に位置するゲート誘電層をさらに備える。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態において、半導体素子について説明する。半導体素子は、伝熱層、チャンネル層、ゲート構造、ゲート誘電層、並びにソース及びドレインを備える。伝熱層は、窒化ホウ素を含む。チャンネル層は、伝熱層上に配置され、チャンネル層は、低次元材料を含む。ゲート構造は、チャンネル層上方に配置される。ゲート誘電層は、ゲート構造とチャンネル層との間に配置される。ソース及びドレインは、ゲート構造の隣に配置され、チャンネル層に接触する。いくつかの実施形態において、前記チャンネル層の前記低次元材料は、MX2と示される遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)を含み、Mは、モリブデン(Mo)又はタングステン(W)であり、Xは、硫黄(S)、セレニウム(Se)、又はテルリウム(Te)である。そのような実施形態のうちのいくつかの実施形態において、前記チャンネル層の前記低次元材料は、MoS2、WS2、又はWSe2を含む。いくつかの実施形態において、前記半導体素子は、前記チャンネル層上、且つ、前記ゲート誘電層と前記チャンネル層との間に配された追加伝熱層をさらに備え、前記チャンネル層に接触した前記ソース及びドレインは、前記チャンネル層上に配置され、前記追加伝熱層を貫通する。いくつかの実施形態において、前記半導体素子は、前記チャンネル層上、且つ、前記ゲート誘電層と前記チャンネル層との間に配された追加伝熱層をさらに備え、前記チャンネル層に接触した前記ソース及びドレインは、前記伝熱層上に配置され、前記追加伝熱層と前記チャンネル層とを貫通する。いくつかの実施形態において、前記チャンネル層に接触する前記ソース及びドレインは、前記伝熱層上に配置され、前記チャンネル層を貫通する。いくつかの実施形態において、前記半導体素子は、前記伝熱層及び前記チャンネル層の下方に配置された材料層をさらに備え、前記材料層は、フィンパターンを有し、前記伝熱層及び前記チャンネル層は、前記フィンパターンの側壁及び上面を被覆する。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態において、半導体素子の形成方法について説明する。伝熱層は、基板の上方に形成される。チャンネル材料層は、伝熱層上に形成される。誘電層は、チャンネル材料層上に形成される。誘電層がパターニングされ、誘電層内に開口を形成する。ソース及びドレイン端子が、開口内に形成される。ゲート構造は、誘電層上方に形成される。いくつかの実施形態において、前記伝熱層を形成することは、化学気相蒸着プロセスを実施して、窒化ホウ素の多層を形成することを含む。いくつかの実施形態において、前記チャンネル材料層を形成することは、MoS2、WS2、又はWSe2から選択された遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)の少なくとも1つの単層を選択的に形成する化学気相蒸着プロセスを実施することを含む。いくつかの実施形態において、前記開口内に形成された前記ソース及びドレイン端子は、前記チャンネル材料層と直接接触する。
【0064】
以上、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴についてアウトラインを示した。当業者は、本明細書において紹介した実施形態と同一の目的を実施し、及び/又は、同一の効果を達成するために、他のプロセス及び構造を設計又は変更するための基板として、本開示を容易に使用してもよいことを理解しなければならない。当業者は、このような同等の構造が本開示の精神及び範囲から外れるものでなく、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更、置換、及び交替がなされてもよいことも認識しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示の半導体素子及びその製造方法は、小型化、高集積密度化の半導体素子を利用した種々の電子装置に広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
12、14、16、16’、16”:積層構造
18、90:トランジスタ素子
19、20、90A、90B:トランジスタ構造
100、300:基板
102:オーバーレイ層
103:隔離構造
104、104’、104”:伝熱層
104A:パターン化伝熱層
106、106’、106”、306、306’、306”:チャンネル材料層
106A:パターン化チャンネル材料層
108:フォトレジストパターン
110、310:ソース及びドレイン端子
112:誘電層
112A、112’、112”、309:ゲート誘電層
120、320:ゲート構造
130:層間誘電(ILD)層
142、144:コンタクト
302:材料層
304、304’、304”:第1の伝熱層
308、308’、308”:第2の伝熱層
C1、C2:キャリア
CR:チャンネル領域
DR:素子領域
I-I’、II-II’:横断面線
O:開口
S1:トレンチ開口
S2:コンタクト開口
SF:ストリップフィンパターン
WP:ワイドストリップパターン