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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】自動分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022509309
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2021001437
(87)【国際公開番号】W WO2021192537
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2020050598
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓也
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-080957(JP,A)
【文献】特開2008-170191(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033576(WO,A1)
【文献】特開2007-078375(JP,A)
【文献】特開2010-151707(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
性質が既知である標準検体の測定値と検体の測定値との相対的関係に基づいて、前記検体に係る性質を導出する分析を行うように構成された分析装置と、
前記分析装置に対して前記標準検体を使用して実行されるキャリブレーションまたは精度管理に係る情報を表示する表示装置とを含む自動分析システムであって、
前記表示装置は、操作者が持ち運んで使用するモバイル端末であって、
前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方の依頼に係る依頼情報を含む依頼リスト、および
前記依頼に応じて前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方に使用される前記標準検体の準備に係る準備情報を含む準備リストを表示するよう構成され、
前記準備リストは、前記標準検体の名称と、前記標準検体が設置されるラックのポジションに付与されたラック内ポジション番号とを対応づけて表示すると共に、前記標準検体が設置されないラック内ポジション番号の行の標準検体の欄に空白を表示するよう構成され
前記依頼リストには、前記分析装置の状況に応じて点滅するアイコンが表示されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記表示装置は、前記依頼に応じて前記キャリブレーションおよび前記精度管理の少なくともいずれか一方が実行された結果に係る結果情報を含む結果リストを更に表示するよう構成されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記表示装置は、前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方の前記準備リストを表示することを特徴とする自動分析システム。
【請求項4】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記準備リストは、前記標準検体のコードとロット番号をさらに含むことを特徴とする自動分析システム。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記キャリブレーションの前記依頼リストは、前記キャリブレーションの項目名と、前記キャリブレーションに使用される試薬が設置されるポジションと、前記キャリブレーションの実行方法と、前記試薬の使用状況とを含むことを特徴とする自動分析システム。
【請求項6】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記精度管理の前記依頼リストは、前記精度管理の項目名と、前記精度管理に使用される試薬が設置されるポジションと、前記依頼の要因とを含むことを特徴とする自動分析システム。
【請求項7】
請求項2に記載の自動分析システムにおいて、
前記キャリブレーションの前記結果リストは、前記キャリブレーションの項目名と、前記キャリブレーションに使用される試薬が設置されるポジションと、前記キャリブレーションを実行した結果と、前記試薬の使用状況と、前記標準検体の名称とコードとロット番号とを含むことを特徴とする自動分析システム。
【請求項8】
請求項2に記載の自動分析システムにおいて、
前記精度管理の前記結果リストは、前記精度管理の項目名と、前記精度管理に使用される試薬が設置されるポジションと、前記精度管理を実行した結果と、前記標準検体の名称とコードとロット番号とを含むことを特徴とする自動分析システム。
【請求項9】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記アイコンは前記分析装置に異常が生じたときに点滅することを特徴とする自動分析システム。
【請求項10】
請求項9に記載の自動分析システムにおいて、
複数の異常が通知された場合、異常のレベルが最も高い内容に応じて前記アイコンが点滅することを特徴とする自動分析システム。
【請求項11】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記アイコンは、試薬の残量不足が生じたときに点滅することを特徴とする自動分析システム。
【請求項12】
請求項11に記載の自動分析システムにおいて、
複数の試薬の残量不足が通知された場合、緊急性が最も高い試薬に対応する前記アイコンが点滅することを特徴とする自動分析システム。
【請求項13】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記アイコンは、前記キャリブレーションまたは前記精度管理に係る測定が終了したときに点滅することを特徴とする自動分析システム。
【請求項14】
請求項13に記載の自動分析システムにおいて、
管理範囲内と管理範囲外が同時に通知された場合、管理範囲外の通知内容が優先され対応する前記アイコンが点滅することを特徴とする自動分析システム。
【請求項15】
請求項1に記載の自動分析システムにおいて、
前記アイコンは、緊急検体の測定が終了したときに点滅することを特徴とする自動分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を分析する自動分析システムに関し、特にキャリブレーション及び精度管理に係る。
【背景技術】
【0002】
自動分析システムは、血液や尿等の検体に含まれる特定成分の濃度の測定に用いられる。より具体的には、検体と試薬を反応させた反応液の吸光度や発光量等が測定され、吸光度や発光量等の測定結果と検量線から特定成分の濃度が算出される。検量線は、濃度が既知である複数の標準液を用いた測定であるキャリブレーションの実行により作成される。また自動分析システムの精度管理として、検量線の経時変化が管理範囲内にあることが確認される。キャリブレーションや精度管理の業務は効率的に行われることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、キャリブレーションの業務を効率的に行えるようにするために、キャリブレーションに用いられる各標準液の測定状況を項目毎に表示する自動分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-072287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、キャリブレーションまたは精度管理の各工程における確認に時間を要する場合がある。より具体的には、キャリブレーションまたは精度管理の依頼内容や準備状況、得られた結果を確認するために、複数の画面の確認を要する場合がある。
【0006】
そこで本発明は、キャリブレーションまたは精度管理での確認時間を短縮する自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、性質が既知である標準検体の測定値と検体の測定値との相対的関係に基づいて、前記検体に係る性質を導出する分析を行うように構成された分析装置と、前記分析装置に対して前記標準検体を使用して実行されるキャリブレーションまたは精度管理に係る情報を表示する表示装置とを含む自動分析システムであって、前記表示装置は、前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方の依頼に係る依頼情報を含む依頼リスト、および前記依頼に応じて前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方に使用される前記標準検体の準備に係る準備情報を含む準備リストの少なくともいずれか一つを表示するよう構成され、前記準備リストは、前記標準検体の名称と、前記標準検体が設置されるラックのポジションに付与されたラック内ポジション番号とを対応づけて表示すると共に、前記標準検体が設置されるべきでないラック内ポジション番号に対応する標準検体の欄に空白を表示するよう構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャリブレーションまたは精度管理での確認時間を短縮する自動分析装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自動分析システムの構成の一例を説明する図である。
図2】複数の分析装置を備える自動分析システムの構成の一例を説明する図である。
図3】自動分析システムが有する操作PC、情報管理PC、モバイル端末の機能構成の一例を説明する図である。
図4】情報管理PCの情報管理部で実行される処理の流れの一例を示す図である。
図5A】モバイル端末に表示されるキャリブレーションの依頼リストの一例を示す図である。
図5B】モバイル端末に表示される精度管理の依頼リストの一例を示す図である。
図6A】モバイル端末に表示されるキャリブレーションの準備リストの一例を示す図である。
図6B】モバイル端末に表示される精度管理の準備リストの一例を示す図である。
図7A】モバイル端末に表示されるキャリブレーションの結果リストの一例を示す図である。
図7B】モバイル端末に表示される精度管理の結果リストの一例を示す図である。
図8A】モバイル端末に表示される比色分析項目のキャリブレーションの詳細結果の一例を示す図である。
図8B】モバイル端末に表示される比色分析項目のキャリブトレースのグラフの一例を示す図である。
図9】モバイル端末に表示される電解質分析項目のキャリブレーションの詳細結果の一例を示す図である。
図10A】モバイル端末に表示される精度管理の詳細結果の一例を示す図である。
図10B】モバイル端末に表示される精度管理の日内チャートの一例を示す図である。
図11】固定モニタ装置に表示されるルーチン操作モニタ画面の一例を示す図である。
図12】固定モニタ装置に表示されるキャリブレーションモニタ画面の一例を示す図である。
図13】固定モニタ装置に表示されるキャリブレーション結果モニタ画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の自動分析システムは、分析装置と、表示装置とを有する。分析装置は、性質が既知である標準検体の測定値と検体の測定値との相対的関係に基づいて、前記検体に係る性質を導出する分析を行うように構成される。表示装置は、前記分析装置に対して前記標準検体を使用して実行されるキャリブレーションまたは精度管理に係る情報を表示する。
【0011】
また前記表示装置は、前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方の依頼に係る依頼情報を含む依頼リストと、前記依頼に応じて前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方に使用される前記標準検体の準備に係る準備情報を含む準備リストと、前記依頼に応じて前記キャリブレーションと前記精度管理の少なくとも一方が実行された結果に係る結果情報を含む結果リストの少なくともいずれか一つを表示する。
【0012】
このような構成の自動分析システムによれば、キャリブレーションまたは精度管理の前記依頼リストと前記準備リストと前記結果リストの少なくともいずれか一つが表示されるので、依頼、準備、結果の各工程での確認に要する時間を短縮できる。
【0013】
以下、添付図面に従って本発明に係る自動分析システムの好ましい実施形態について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、図面は実施形態を模式的に表したものであり、現実の物体を簡略化して示す場合がある。
【0014】
図1を用いて、自動分析システム100の構成について説明する。図1の自動分析システム100は、一台の自動分析装置101とともに、通信機器110、操作部PC111、通信機器130、情報管理PC112 、無線通信機器113、モバイル端末114を備える。また、操作部PC111は、自動分析装置101における情報が表示される固定モニタ装置115を有する。
【0015】
操作部PC111は、例えばデスクトップコンピュータであり、ハブ等の通信機器110を介して自動分析装置101を制御する。情報管理PC112は、例えばデスクトップコンピュータであり、通信機器130を介して通信機器110に接続され、通信機器110を介して操作部PC111における装置状態などの情報を取得する。
【0016】
モバイル端末114は、操作者が持ち運んで使用する端末、例えばスマートフォンやタブレット端末、ノート型PC等であり、無線LANルータ等の無線通信機器113を介して、情報管理PC112と無線通信を行い、操作部PC111から取得される情報を表示する。無線通信機器113に接続されるモバイル端末114は一台以上であれば数に限りはない。操作者は、モバイル端末114に表示される情報を確認しながら、モバイル端末114を通じて自動分析装置101の情報を遠隔管理できる。
【0017】
自動分析装置101は、検体投入部104、検体搬送部105、検体分析部106a、106b、106c、および検体収納部109などを有する。自動分析装置101が有する検体分析部の数は図1に例示される三台に限定されず、一台以上であれば良い。
【0018】
患者から供せられる血液や尿等の検体や、キャリブレーションおよび精度管理に使用される標準検体が分注される検体カップ102は、検体ラック103に積載される。検体カップ102が積載される検体ラック103は、検体投入部104に投入される。操作部PC111に対して測定開始が依頼されると、検体搬送部105によって検体ラック103が検体収納部109へ向けて搬送される。検体搬送部105には、検体分析部106a、106b、106cが接続され、搬送の過程で検体が測定される。
【0019】
検体分析部106aは、反応ディスク120a、検体分注部121a、試薬ディスク108a、試薬分注部122a、測光部123aを有する。試薬ディスク108aには、検体と反応させられる試薬が封入された試薬容器107が収納される。検体分析部106b、106cも、検体分析部106aと同様の構成であり、反応ディスク120b、120c、検体分注部121b、121c、試薬ディスク108b、108c、試薬分注部122b、122c、測光部123b、123cを有する。
【0020】
検体搬送部105によって搬送される検体は、例えば検体分析部106aが有する検体分注部121aによって反応ディスク120aに分注される。検体が分注された反応ディスク120aには、試薬ディスク108aに封入される試薬が試薬分注部122aによって分注され、検体と試薬が反応させられる。反応によって得られた反応液は、測光部123aによって吸光度や散乱光強度が測定される。測光部123aによって測定された吸光度は、標準検体の測定値と検体の測定値との相対的関係、例えば検量線に基づいて、検体中の特定成分の濃度に換算される。検量線は、濃度が既知である複数の標準液を用いた測定であるキャリブレーションの実行により作成される。また検量線の経時変化が管理範囲にあることが確認されることで自動分析システム100の精度管理が実行される。
【0021】
図2を用いて、複数の自動分析装置101a、101b、101c、101dを備える自動分析システム100の構成について説明する。図2の自動分析システム100は、通信機器130、情報管理PC112 、無線通信機器113、モバイル端末114を備えるとともに、四台の自動分析装置101a~101dのそれぞれが通信機器110a~110d、操作部PC111a~111d、固定モニタ装置115a~115dに接続される。
【0022】
情報管理PC112は、通信機器130及び通信機器110a~110dを介して、自動分析装置101a~101d、操作部PC111a~111dに接続される。なお通信機器130を介して接続される自動分析装置101は一台以上であれば数に限りはなく、複数台である場合には構成や機種等が異なっても良い。情報管理PC112は、通信機器130及び通信機器110a~110dを介して接続される自動分析装置101a~101dの情報を収集する。モバイル端末114は、無線通信機器113を介して、情報管理PC112と無線通信を行い、操作部PC111a~111dより取得した情報を表示する。
【0023】
図3を用いて、図2に例示される自動分析システム100が備える操作部PC111a~111d、情報管理PC112、モバイル端末114の機能構成について説明する。なお操作部PC111a~111dは同じ機能構成であるので、操作部PC111aを例示し、操作部PC111b~111dを省略する。
【0024】
操作部PC111aは、通信機器110aを介して自動分析装置101aと通信し、検体投入部104、検体搬送部105、検体分析部106a、106b、106c、検体収納部109等の動作を制御する。操作部PC111aは、入力部201、表示部202、装置情報管理部203、対分析部通信部204、対情報管理PC通信部205、記憶部206を有する。
【0025】
表示部202は、例えばモニタ装置等である。入力部201は、例えばマウス、キーボードであり、表示部202がタッチパネルである場合、タッチパネルに表示されるGUI(Graphical User Interface)であっても良い。入力部201を用いて入力された情報等に基づいて作成された画面が表示部202に表示される。
【0026】
装置情報管理部203は、アラーム情報管理部221、試薬情報管理部222、測定終了管理部223、キャリブレーション情報管理部224、精度管理情報管理部225等を有する。アラーム情報管理部221は、自動分析装置101aから発せられる異常を表示部202やモバイル端末114へ通知するために、異常に係る情報を記憶部206に記憶する。
【0027】
試薬情報管理部222は、試薬ディスク108a、108b、108cに収納される試薬容器107等の試薬に関する情報を管理する。試薬情報管理部222によって管理される情報には、分析項目に対応する試薬、各試薬容器107に収容される試薬の残量、1つの分析項目に対して複数の試薬容器107が設置された場合の使用優先順、試薬有効期限等が含まれる。
【0028】
測定終了管理部223は、自動分析装置101aから検体の測定結果が出力されたかどうかを監視し、測定結果が出力されるとモバイル端末114へ通知するために、検体の測定終了に係る情報を記憶部206に記憶する。自動分析装置101aから出力される測定結果には、患者から供される検体のみならず、キャリブレーションや精度管理に用いられる標準検体の測定結果が含まれる。
【0029】
キャリブレーション情報管理部224は、自動分析装置101aで実行されるキャリブレーションに係る情報を管理する。キャリブレーション情報管理部224によって管理される情報には、キャリブレーションの分析項目に対応する標準検体、該標準検体が分注された検体カップ102が積載される検体ラック103に係る情報、キャリブレーションの結果として得られる検量線やキャリブレーションファクターに係る情報等が含まれる。
【0030】
精度管理情報管理部225は、自動分析装置101aで実行される精度管理に係る情報を管理する。精度管理情報管理部225によって管理される情報には、精度管理の分析項目に対応する標準検体、該標準検体が分注された検体カップ102が積載される検体ラック103に係る情報、精度管理の結果に係る情報等が含まれる。
【0031】
対分析部通信部204は、自動分析装置101aとの通信の制御、自動分析装置101aに送信される通信テキスト、例えば分析項目を依頼するテキストの作成、および自動分析装置101aから受信した通信テキストの情報の分配を行う。
【0032】
対情報管理PC通信部205、情報管理PC112からの要求に応じる情報、例えば装置情報管理部203によって管理される情報等を情報管理PC112へ送信する。
【0033】
情報管理PC112は、情報管理PC通信部231、情報管理部232、情報管理記憶部233を有する。
【0034】
情報管理PC通信部231は、モバイル端末114との無線通信の制御、モバイル端末114に送信される通信テキストの作成、およびモバイル端末114から受信した通信テキストの情報の分配を行い、操作部PC111aに情報を送信する。
【0035】
情報管理部232は、自動分析装置101a~101dの識別情報、例えばIPアドレス等を情報管理記憶部233に記憶させる。また情報管理部232は、モバイル端末114からの指示内容に応じて、情報管理PC通信部231を通じて該当自動分析装置に対して装置情報の取得等の通信を行う。
【0036】
モバイル端末114は、端末表示部208、端末通信部209、端末情報管理部210、端末入力部211等を有する。モバイル端末114は、無線通信機器113及び情報管理PC112を介して操作部PC111a~111dと通信することにより、自動分析装置101a~101dから情報を取得したり自動分析装置101a~101dを操作したりする。
【0037】
端末通信部209は、情報管理PC112や操作部PC111a~111dとの通信を制御するとともに、情報管理PC112に送信される通信テキストの作成や情報管理PC112から受信した通信テキストの情報の分配等を行う。
【0038】
端末情報管理部210は、端末通信部209が受信した情報に基づいて作成される画面を 端末表示部208に表示させたり、端末入力部211に入力される情報を端末通信部209に送信したりする。
【0039】
端末表示部208はタッチパネルであり、端末入力部211はタッチパネルに表示されるGUIである。端末表示部208には、キャリブレーションや精度管理に係る画面が表示され、端末入力部211に入力される情報に基づいて、表示される画面が切り替わる。キャリブレーションや精度管理に係る画面は、例えば依頼リストや、準備リスト、結果リストを含む画面である。
【0040】
依頼リストは、キャリブレーションまたは精度管理の依頼に係る情報である依頼情報を含むリストであり、図5A及び図5Bを用いて後述される。準備リストは、キャリブレーションまたは精度管理の依頼に応じて使用される標準検体の準備に係る情報である準備情報を含むリストであり、図6A及び図6Bを用いて後述される。なおキャリブレーションに使用される標準検体は標準液と呼ばれ、精度管理に使用される標準検体はコントロールと呼ばれる。結果リストは、依頼に応じてキャリブレーションまたは精度管理を実行した結果に係る情報である結果情報を含むリストであり、図7A及び図7Bを用いて後述される。
【0041】
なお、図3に示した情報管理部232、通信機器130、および情報管理PC通信部231は、これらを一組として、情報管理PC112の外部(例えば、操作部PC111a、111b、・・・や、自動分析装置101a、101b、・・・等)に設けられてもよい。その場合、通信機器130は、データ通信を行うのではなく、当該一組が設けられる装置や機能部分の内部でのデータ受渡しを行うことになる。
【0042】
図4を用いて、情報管理PC112の情報管理部232で実行される処理の流れの一例についてステップ毎に説明する。
【0043】
(S401)
情報管理部232は、モバイル端末114からの指示内容に応じて自動分析装置101の情報を取得する。取得される情報は、情報管理記憶部233から読み出されても良いし、情報管理PC通信部231を介して外部から受信しても良い。
【0044】
(S402)
情報管理部232は、S401で取得された情報に、キャリブレーションまたは精度管理の依頼に係る項目が含まれるか否かを判定する。依頼に係る項目が含まれていればS403へ処理が進められ、含まれていなければS407へ処理が進められる。
【0045】
(S403)
情報管理部232は、S401で取得された情報から依頼リスト用のデータを抽出する。キャリブレーションの依頼リスト用のデータには、キャリブレーションの項目名と、キャリブレーションに使用される試薬が設置されるポジション、キャリブレーションの実行方法が含まれ、試薬の使用状況がさらに含まれても良い。精度管理の依頼リスト用のデータには、精度管理の項目名と、精度管理に使用される試薬が設置されるポジションが含まれ、依頼の要因がさらに含まれても良い。
【0046】
(S404)
情報管理部232は、S403で抽出されたデータを用いて依頼リストを作成する。作成された依頼リストは、例えば端末表示部208に表示される。
【0047】
図5Aを用いて、キャリブレーションの依頼リストを含む画面の一例であるキャリブレーション依頼リスト画面500を説明する。キャリブレーション依頼リスト画面500には、接続装置表示部501a~501d、画面遷移タブ503、リストタブ504、キャリブレーション依頼リスト505、装置切替ボタン506a~506dが表示される。
【0048】
接続装置表示部501a~501dは、自動分析システム100が備える自動分析装置101a~101dにそれぞれ対応するボタンであり、自動分析装置101a~101dの中のいずれの情報が表示されるかが示される。例えば図5Aでは、四台の自動分析装置101a~101dの中のSystem1の情報が表示されることが、接続装置表示部501a~501dの下側に配置される下向きの三角形によって示される。接続装置表示部501には、少なくとも一台の自動分析装置101が表示されていればよく、その数に制限はない。
【0049】
接続装置表示部501a~501dのそれぞれには、対応する自動分析装置101の状況を示すアイコンが表示されても良い。図5Aには、アラーム通知アイコン511や、試薬残量不足通知アイコン512、標準検体測定終了通知アイコン513、緊急検体測定終了通知アイコン514が例示される。なおアラーム通知アイコン511や、試薬残量不足通知アイコン512、標準検体測定終了通知アイコン513、緊急検体測定終了通知アイコン514の表示は、端末情報管理部210によって制御される。
【0050】
アラーム通知アイコン511は、自動分析装置101に異常が生じたことを示すアイコンであり、アラーム情報管理部221から通知される内容に応じて、点滅したり、変色したりする。例えば異常のレベルが「注意」と「ストップ」の二段階である場合、アラーム通知アイコン511は「注意」レベルでは黄色に変色し、「ストップ」レベルでは赤色で点滅する。複数の異常がモバイル端末114に通知された場合、異常のレベルが最も高い内容に応じてアラーム通知アイコン511が点滅する。
【0051】
試薬残量不足通知アイコン512は、試薬容器107に収容される試薬の残量に不足が生じたことを示すアイコンであり、試薬情報管理部222から通知される内容に応じて、点滅したり、変色したりする。例えば残量不足のレベルが「準備」、「不足」、「警告」の三段階である場合、試薬残量不足通知アイコン512は段階に応じて変色し点滅する。複数の試薬の残量不足がモバイル端末114に通知された場合、緊急性が最も高い試薬に対応する試薬残量不足通知アイコン512が点滅する。
【0052】
標準検体測定終了通知アイコン513は、キャリブレーションまたは精度管理に係る測定が終了したことを示すアイコンであり、キャリブレーション情報管理部224または精度管理情報管理部225から通知される内容に応じて、点滅したり、変色したりする。例えばキャリブレーション情報管理部224から通知される内容が「成功」と「失敗」の二段階である場合、標準検体測定終了通知アイコン513は「成功」のときに青色、「失敗」のときに赤色で点滅する。複数の分析項目のキャリブレーションが実行され、「成功」と「失敗」が同時にモバイル端末114へ通知された場合、「失敗」の通知内容が優先され対応する標準検体測定終了通知アイコン513が点滅する。また例えば精度管理情報管理部225から通知される内容が「管理範囲内」と「管理範囲外」の二段階である場合、標準検体測定終了通知アイコン513は「管理範囲内」のときに青色、「管理範囲外」のときに赤色で点滅する。複数の分析項目の精度管理が実行され、「管理範囲内」と「管理範囲外」が同時にモバイル端末114へ通知された場合、「管理範囲外」の通知内容が優先され対応する標準検体測定終了通知アイコン513が点滅する。なお標準検体測定終了通知アイコン513は、キャリブレーション用と精度管理用とに分けられても良い。さらに「成功」と「失敗」または「管理範囲内」と「管理範囲外」の二段階を、三段階以上の数のレベルにしても良い。
【0053】
緊急検体測定終了通知アイコン514は、緊急検体の測定が終了したことを示すアイコンであり、測定終了管理部223から通知される内容に応じて、点滅したり、変色したりする。測定された検体が緊急検体であるか否かは、検体カップ102が積載される検体ラック103に張り付けけられるバーコードによって見分けられる。すなわち緊急検体用のバーコードが張り付けけられた検体ラック103に積載される検体カップ102の検体が測定されるときに、バーコードが読み取られて緊急検体であることが認識される。緊急検体の測定が終了したことがモバイル端末114に通知されると、緊急検体測定終了通知アイコン514が点滅する。複数の試薬の残量不足がモバイル端末114に通知された場合、緊急性が最も高い試薬に対応する試薬残量不足通知アイコン512が点滅する。
【0054】
装置切替ボタン506a~506dは、自動分析システム100が備える自動分析装置101a~101dの中のいずれの情報をキャリブレーション依頼リスト画面500に表示させるかを切り替えるためのボタンである。例えばSystem1の情報を表示中に装置切替ボタン506bが押下されると、キャリブレーション依頼リスト画面500に表示される情報はSystem2の情報に切り替わる。
【0055】
画面遷移タブ503は、端末表示部208に表示される画面を切り替えるためのタブである。画面遷移タブ503には、例えばアラーム情報を表示するアラームタブ、試薬残量等の試薬の使用状況を表示する試薬タブ、測定された検体の状況を表示するラックタブ、キャリブレーションの情報を表示するキャリブタブ、精度管理の情報を表示するQCタブが含まれる。例えばアラーム情報を表示中にキャリブタブが押下されると、キャリブレーションの情報が表示される。なおキャリブタブまたはQCタブが押下されると、リストタブ504が表示される。またキャリブタブとQCタブが統合されたキャリブ・QCタブが表示されても良い。
【0056】
リストタブ504は、端末表示部208に表示されるリストを切り替えるためのタブである。リストタブ504には、例えば依頼リストを表示する依頼タブ、準備リストを表示する準備タブ、結果リストを表示する結果タブが含まれる。例えば、キャリブタブの依頼タブを表示中に準備タブが押下されると、準備リストが表示される。
【0057】
キャリブレーション依頼リスト505には、少なくともキャリブレーションの項目名と、キャリブレーションに使用される試薬が設置されるポジション、キャリブレーションの実行方法が表示される。項目名、ポジション、実行方法が表示されることにより、操作者はキャリブレーションの依頼内容を確認できる。またキャリブレーション依頼リスト505には、試薬の使用状況が表示されても良い。試薬の使用状況が表示されることにより、操作者はキャリブレーションに使用される試薬の使用状況を確認できる。なおポジション列に表示され上向き三角形状を有するソートボタンの押下によって、試薬が設置されるポジションでの並べ替えがなされても良い。ポジションでの並べ替えにより、操作者はポジションの並びに従って依頼内容を確認できるので、確認時間を短縮できる。
【0058】
図5Bを用いて、精度管理の依頼リストを含む画面の一例である精度管理依頼リスト画面550を説明する。精度管理依頼リスト画面550には、キャリブレーション依頼リスト画面500と同様に、接続装置表示部501a~501d、画面遷移タブ503、リストタブ504、装置切替ボタン506a~506dが表示されるとともに、精度管理依頼リスト555が表示される。精度管理依頼リスト555以外は、図5Aと同じであるので説明を省略する。
【0059】
精度管理依頼リスト555には、少なくとも精度管理の項目名と、精度管理に使用される試薬が設置されるポジションが表示される。項目名、ポジションが表示されることにより、操作者は精度管理の依頼内容を確認できる。また精度管理依頼リスト555には、依頼の要因が表示されても良い。依頼の要因が表示されることにより、精度管理が何に基づいて依頼されたかを操作者が確認できる。例えば、要因列に「マニュアル」と表示されていれば、操作者によって依頼された精度管理であることが確認できる。また「マニュアル」と表示される項目の中に操作者が依頼予定であった分析項目が含まれない場合、依頼漏れに気づくことができる。
【0060】
なおキャリブレーション依頼リスト505と精度管理依頼リスト555を統合したキャリブレーション・精度管理依頼リストが含まれる画面が端末表示部208に表示されても良い。またキャリブレーションと精度管理が続けて実行される場合、キャリブレーション依頼リスト505に表示されるキャリブレーションの依頼項目が精度管理依頼リスト555に表示されても良い。
【0061】
図4の説明に戻る。
【0062】
(S405)
情報管理部232は、S401で取得された情報から準備リスト用のデータを抽出する。キャリブレーションの準備リスト用のデータには、キャリブレーションに使用される標準液が設置されるラックに付与された番号であるラック番号、当該標準液が設置される当該ラック内の各ポジションに付与された番号であるラック内ポジション番号、および標準液の名称が含まれ、標準液のコードとロット番号がさらに含まれても良い。精度管理の準備リスト用のデータには、精度管理に使用されるコントロールが設置されるラックに付与された番号であるラック番号、当該コントロールが設置される当該ラック内の各ポジションに付与された番号であるラック内ポジション番号、およびコントロールの名称が含まれ、コントロールのコードとロット番号がさらに含まれても良い。
【0063】
(S404)
情報管理部232は、S405で抽出されたデータを用いて準備リストを作成する。作成された準備リストは、例えば端末表示部208に表示される。
【0064】
図6Aを用いて、キャリブレーションの準備リストを含む画面の一例であるキャリブレーション準備リスト画面600を説明する。キャリブレーション準備リスト画面600には、キャリブレーション依頼リスト画面500と同様に、接続装置表示部501a~501d、画面遷移タブ503、リストタブ504、装置切替ボタン506a~506dが表示されるとともに、キャリブレーション準備リスト605が表示される。キャリブレーション準備リスト605以外は、図5Aと同じであるので説明を省略する。
【0065】
キャリブレーション準備リスト605には、キャリブレーション依頼リスト505に表示される全ての分析項目に対して、少なくともキャリブレーションに使用される標準液が設置されるポジション(ラック内のどの位置か)を示すラック内ポジション番号と標準液の名称とが互いに対応づけられて表示される。ここで、ラック内ポジション番号は、例えば、ラック番号(30001等)とそのラック内の標準液配置位置を示す番号(1~5等)との組合せとして構成してもよい。ラック内ポジション番号と標準液名とが互いに対応づけられて表示されることにより、操作者は依頼に応じるキャリブレーションの準備に必要な情報を確認できる。例えば、装置内で設定されなかったことにより標準液が設置されないラック内ポジション番号の行は空白で表示され、標準液が設置されるラック内ポジション番号の行は該当する標準液の名称が表示される。図6Aでは、ラック内ポジション番号30001-3~30001-5、30002-4、および30003-1には標準液が設置されないことが示される。このような表示により、操作者は検体ラック103における検体カップ102の積載有無を判断でき、標準液の置き間違えが抑制される。
【0066】
またキャリブレーション準備リスト605には、標準液のコードとロット番号が表示されても良い。標準液のコードとロット番号が表示されることにより、標準液を一意に決定できる。さらにキャリブレーション準備リスト605にはチェックボックスが表示されても良い。チェックボックスは、例えば標準液の取り出し忘れを防ぐために用いられても良く、標準液が保管されている冷蔵庫から取り出された際にチェックがつけられる。なお標準液名列に表示され上向き三角形状を有するソートボタンの押下によって、標準液名での並べ替えがなされても良い。標準液名での並べ替えにより、操作者は標準液名の並びに従って依頼内容を確認できるので、確認時間を短縮できる。
【0067】
図6Bを用いて、精度管理の準備リストを含む画面の一例である精度管理準備リスト画面650を説明する。精度管理準備リスト画面650には、キャリブレーション依頼リスト画面500と同様に、接続装置表示部501a~501d、画面遷移タブ503、リストタブ504、装置切替ボタン506a~506dが表示されるとともに、精度管理準備リスト655が表示される。精度管理準備リスト655以外は、図5Aと同じであるので説明を省略する。
【0068】
精度管理準備リスト655には、精度管理依頼リスト555に表示される全ての分析項目に対して、少なくとも精度管理に使用されるコントロールが設置されるポジション(ラック内のどの位置か)を示すラック内ポジション番号とコントロールの名称とが互いに対応づけられて表示される。ここで、ラック内ポジション番号は、例えば、ラック番号(20001等)とそのラック内のコントロール配置位置を示す番号(1~5等)との組合せとして構成してもよい。ラック内ポジション番号とコントロール名とが互いに対応づけられて表示されることにより、操作者は依頼に応じる精度管理の準備に必要な情報を確認できる。装置内で設定されなかったことによりコントロールが設置されないラック内ポジション番号の行は空白で表示され、コントロールが設置されるラック内ポジション番号の行は該当するコントロールの名称が表示される。図6Bでは、ラック内ポジション番号20001-3~20001-5、20002-4、および20003-1にはコントロールが設置されないことが示される。このような表示により、操作者は検体ラック103における検体カップ102の積載有無を判断でき、コントロールの置き間違えが抑制される。
【0069】
また精度管理準備リスト655には、コントロールのコードとロット番号が表示されても良い。コントロールのコードとロット番号が表示されることにより、コントロールを一意に決定できる。さらに精度管理準備リスト655にもチェックボックスが表示されても良い。
【0070】
なおキャリブレーション準備リスト605と精度管理準備リスト655を統合したキャリブレーション・精度管理準備リストが含まれる画面が端末表示部208に表示されても良い。
【0071】
図4の説明に戻る。
【0072】
(S407)
情報管理部232は、S401で取得された情報に、キャリブレーションまたは精度管理の結果情報が含まれるか否かを判定する。結果情報が含まれていればS408へ処理が進められ、含まれていなければ処理の流れは終了となる。
【0073】
(S408)
情報管理部232は、S401で取得された情報から結果リスト用のデータを抽出する。キャリブレーションの結果リスト用のデータには、キャリブレーションの項目名と、キャリブレーションに使用される試薬が設置されるポジション、キャリブレーションが実行された結果が含まれ、試薬の使用状況や、標準液の名称、コード、ロット番号がさらに含まれても良い。精度管理の結果リスト用のデータには、精度管理の項目名と、精度管理に使用される試薬が設置されるポジション、精度管理が実行された結果が含まれ、コントロールの名称、コード、ロット番号がさらに含まれても良い。
【0074】
(S409)
情報管理部232は、S408で抽出されたデータを用いて結果リストを作成する。作成された結果リストは、例えば端末表示部208に表示される。
【0075】
図7Aを用いて、キャリブレーションの結果リストを含む画面の一例であるキャリブレーション結果リスト画面700を説明する。キャリブレーション結果リスト画面700には、キャリブレーション依頼リスト画面500と同様に、接続装置表示部501a~501d、画面遷移タブ503、リストタブ504、装置切替ボタン506a~506dが表示されるとともに、キャリブレーション結果リスト705が表示される。キャリブレーション結果リスト705以外は、図5Aと同じであるので説明を省略する。
【0076】
キャリブレーション結果リスト705には、少なくともキャリブレーションの項目名と、キャリブレーションに使用される試薬が設置されるポジション、キャリブレーションが実行された結果が表示される。キャリブレーションが実行された結果としては、例えばキャリブレーション情報管理部224から通知される内容である「成功」または「失敗」が表示される。項目名、ポジション、実行結果が表示されることにより、操作者は依頼に応じて実行されたキャリブレーションの結果を把握できる。なお「失敗」の表示の代わりに、失敗の要因、例えば「試薬不足」等が表示されても良い。
【0077】
またキャリブレーション結果リスト705には、標準液の名称とコードとロット番号が表示されても良い。標準液の名称が表示されることにより、結果が得られたときに使用された標準液を確認できる。また標準液のコードとロット番号が表示されることにより、標準液を一意に決定できる。さらにキャリブレーション結果リスト705には詳細結果を呼び出すための「>」リンクが表示されても良い。「>」リンクの押下によって、キャリブレーションの詳細結果を表示する画面が呼び出される。キャリブレーションの詳細結果を表示する画面については、図8A図8B図9を用いて後述される。
【0078】
図7Bを用いて、精度管理の結果リストを含む画面の一例である精度管理結果リスト画面750を説明する。精度管理結果リスト画面750には、キャリブレーション依頼リスト画面500と同様に、接続装置表示部501a~501d、画面遷移タブ503、リストタブ504、装置切替ボタン506a~506dが表示されるとともに、精度管理結果リスト755が表示される。精度管理結果リスト755以外は、図5Aと同じであるので説明を省略する。
【0079】
精度管理結果リスト755には、少なくとも精度管理の項目名と、精度管理に使用される試薬が設置されるポジション、精度管理が実行された結果が表示される。キャリブレーションが実行された結果としては、例えば精度管理情報管理部225から通知される内容である「管理範囲内」または「管理範囲外」が表示される。項目名、ポジション、実行結果が表示されることにより、操作者は依頼に応じて実行された精度管理の結果を把握できる。
【0080】
また精度管理結果リスト755には、コントロールの名称、コード、ロット番号が表示されても良い。コントロールの名称が表示されることにより、結果が得られたときに使用されたコントロールを確認できる。またコントロールのコード、ロット番号が表示されることにより、コントロールを一意に決定できる。さらに精度管理結果リスト755にも詳細結果を呼び出すための「>」リンクが表示されても良い。精度管理の詳細結果を表示する画面については、図10A図10Bを用いて後述される。
【0081】
図8Aを用いて、キャリブレーションの詳細結果を含む画面の一例である比色キャリブレーション詳細結果画面800について説明する。比色キャリブレーション詳細結果画面800には、比色キャリブトレースボタン801、検量線ボタン802、比色キャリブファクター803、比色用の試薬情報804、比色用の標準液情報805が表示される。比色キャリブトレースボタン801は、図8Bに例示されるキャリブトレースグラフ806を表示するためのボタンである。キャリブトレースグラフ806は、縦軸が測定値であり横軸が測定回数であるグラフである。キャリブトレースグラフ806の縦軸である測定値は項目毎に異なる単位を有する。キャリブトレースグラフ806は、モバイル端末114が横向きであっても縦向きであっても操作者が確認可能に表示されればよい。
【0082】
検量線ボタン802は、縦軸が吸光度であり横軸が検体に含まれる特定成分の濃度である検量線グラフを表示するためのボタンである。比色キャリブファクター803は、キャリブレーション用の標準液を測定して得られる吸光度等から演算される係数である。係数には、S1Abs、K、A、B、C、L、H、Iが含まれ、これらの係数は検量線の作成に用いられる。なおLは血清の混濁度合いを、Hは血清の溶血度合いを、Iは血清の黄色度合いをそれぞれ示す係数である。比色キャリブファクター803の表示は必須である。
【0083】
比色用の試薬情報804は、比色項目の測定のために使用される試薬に係る情報であり、試薬番号R1やR3毎にポジション、ロット、シーケンスが関連付けられる。比色用の試薬情報804は表示されることが好ましい。比色用の標準液情報805は、比色項目の測定のために使用される標準液に係る情報であり、標準液名毎にラック番号、ラック内ポジション番号、コード、ロットが関連付けられる。
【0084】
図9を用いて、キャリブレーションの詳細結果を含む画面の一例である電解質キャリブレーション詳細結果画面900について説明する。電解質キャリブレーション詳細結果画面900には、電解質キャリブトレースボタン901、電解質キャリブファクター902、電解質標準液情報903が表示される。電解質キャリブトレースボタン901は、縦軸が測定値であり横軸が測定回数であるキャリブトレースグラフを表示するためのボタンである。
【0085】
電解質キャリブファクター902は、ISE(Ion Selective Electrode)用の検量線の作成に用いられる係数であり、IS.EMF、S1.EMF、S2.EMF、S3.EMF、SLOPE、IS.CONC、S3.CONC、C.VALUEが含まれる。なおIS.EMFは内部起電力、S1.EMFは低濃度の標準液の起電力、S2.EMFは高濃度の標準液の起電力、S3.EMFは中間濃度の標準液の起電力である。またSLOPEはスロープ値、IS.CONCは内部標準液の濃度、S3.CONCは中間濃度の標準液の測定濃度、C.VALUEは補正係数である。電解質キャリブファクター902の表示は必須である。 電解質標準液情報903は、電解質項目の測定のために使用される標準液に係る情報であり、標準液名毎にラック番号、ラック内ポジション番号、コード、ロットが関連付けられる。
【0086】
図10Aを用いて、精度管理の詳細結果を含む画面の一例である精度管理詳細結果画面1000について説明する。精度管理詳細結果画面1000には、日内チャートボタン1001、日差チャートボタン1002、測定値1003、試薬情報1004、コントロール情報1005が表示される。日内チャートボタン1001は、図10Bに例示される日内チャート1006を表示するためのボタンである。日内チャート1006は、縦軸が管理範囲に対する測定値であり横軸が測定回数であるグラフであり、日内の測定値の推移の確認に用いられる。日内チャート1006の縦軸である管理範囲に対する測定値は、管理範囲の平均値を0としたときの管理範囲の標準偏差SD(Standard Deviation)に対する値として表示される。日差チャートボタン1002は、日内チャート1006を日毎に累積し、日差のデータをグラフ化した日差チャートを表示するためのボタンである。日内チャート1006や日差チャートは、モバイル端末114が横向きであっても縦向きであっても操作者が確認可能に表示されればよい。
【0087】
測定値1003は、精度管理が実行された結果に係るデータであり、測定結果と、上限値、下限値、管理SDが含まれる。測定結果は精度管理の実行により測定された測定値であり、上限値と下限値によって定められる管理範囲内にあることが確認される。管理SDはコントロールの許容変動の標準偏差である。測定値1003の表示は必須である。
【0088】
試薬情報1004は、精度管理に使用される試薬に係る情報であり、試薬番号R1やR3毎にポジション、ロット、シーケンスが関連付けられる。試薬情報1004は表示されることが好ましい。コントロール情報1005は、精度管理に使用されるコントロールに係る情報であり、コントロール名毎にラック番号、ラック内ポジション番号、コード、ロットが関連付けられる。
【0089】
図4を用いて説明した処理の流れにより、キャリブレーションまたは精度管理に係る情報を含む依頼リスト、準備リスト、結果リストの少なくともいずれか一つがモバイル端末114に表示される。依頼リスト、準備リスト、結果リストの少なくともいずれか一つが表示されることにより、キャリブレーションまたは精度管理の依頼、準備、結果の各工程における確認時間を短縮できる。
【0090】
なおキャリブレーションまたは精度管理に係る情報の表示は、モバイル端末114に限定されず、固定モニタ装置115であっても良い。図11乃至図13を用いて固定モニタ装置115に表示される画面の一例について説明する。
【0091】
図11は、操作者が行うルーチン業務に必要な情報が表示されるルーチン操作モニタ画面1101の一例である。ルーチン操作モニタ画面1101では、分析項目単位で必要となる標準液が表示される。すなわちルーチン操作モニタ画面1101は分析項目毎の確認には適するものの、分析装置単位で必要となる標準液を確認するには、全分析項目を確認しなければならない。これに対し、図6Aに示されるキャリブレーション準備リスト画面600では、分析装置毎に必要となる標準液が一括で表示されるので、キャリブレーションの準備の確認に要する時間を短縮できる。
【0092】
図12は、キャリブレーションに係る情報全般を表示するキャリブレーションモニタ画面1201の一例である。キャリブレーションモニタ画面1201は、キャリブレーションに係る情報全般の確認には適するものの、例えば操作者によって依頼された項目を確認するには該当する項目を操作者が抽出しなければならい。これに対し、図5Bに例示される精度管理依頼リスト画面550では、操作者によって依頼された項目のみが表示されているので、精度管理の依頼の確認に要する時間を短縮できる。
【0093】
図13は、キャリブレーションモニタ画面1201に表示される分析項目のキャリブレーションが実行された結果を表示するキャリブレーション結果モニタ画面1301の一例である。キャリブレーション結果モニタ画面1301は、キャリブレーションを実行した全結果の確認には適するものの、例えばキャリブレーションが失敗したときの要因を分析するには表示される情報を見返されなければならない。これに対し、図8Aに示される比色キャリブレーション詳細結果画面800には比色用の試薬情報804や比色用の標準液情報805が表示されているので、試薬や標準液が失敗の要因であるか否かを素早く判断できる。
【0094】
以上、本発明の実施例について説明した。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形しても良い。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0095】
100:自動分析システム、101:自動分析装置、102:検体カップ、103:検体ラック、104:検体投入部、105:検体搬送部、106:検体分析部、107:試薬容器、108:試薬ディスク、109:検体収納部、110:通信機器、111:操作部PC、112:情報管理PC、113:無線通信機器、114:モバイル端末、115:固定モニタ装置、120:反応ディスク、121:検体分注部、122:試薬分注部、123:測光部、130:通信機器、201:入力部、202:表示部、203:装置情報管理部、204:対分析部通信部、205:対情報管理PC通信部、206:記憶部、208:端末表示部、209:端末通信部、210:端末情報管理部、211:端末入力部、221:アラーム情報管理部、222:試薬情報管理部、223:測定終了管理部、224:キャリブレーション情報管理部、225:精度管理情報管理部、231:情報管理PC通信部、232:情報管理部、233:情報管理記憶部、500:キャリブレーション依頼リスト画面、501:接続装置表示部、503:画面遷移タブ、504:リストタブ、505:キャリブレーション依頼リスト、506:装置切替ボタン、511:アラーム通知アイコン、512:試薬残量不足通知アイコン、513:標準検体測定終了通知アイコン、514:緊急検体測定終了通知アイコン、550:精度管理依頼リスト画面、555:精度管理依頼リスト、600:キャリブレーション準備リスト画面、605:キャリブレーション準備リスト、650:精度管理準備リスト画面、655:精度管理準備リスト、700:キャリブレーション結果リスト画面、705:キャリブレーション結果リスト、750:精度管理結果リスト画面、755:精度管理結果リスト、800:比色キャリブレーション詳細結果画面、801:比色キャリブトレースボタン、802:検量線ボタン、803:比色キャリブファクター、804:比色用の試薬情報、805:比色用の標準液情報、806:キャリブトレースグラフ、900:電解質キャリブレーション詳細結果画面、901:電解質キャリブトレースボタン、902:電解質キャリブファクター、903:電解質標準液情報、1000:精度管理詳細結果画面、1001:日内チャートボタン、1002:日差チャートボタン、1003:測定値、1004:試薬情報、1005:コントロール情報、1101:ルーチン操作モニタ画面、1201:キャリブレーションモニタ画面、1301:キャリブレーション結果モニタ画面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13