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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20231117BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20231117BHJP
   F25D 13/00 20060101ALI20231117BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
G06Q10/04
F25D11/00 101B
F25D13/00 Z
F25D17/06 301
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021052072
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149770
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2022-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206405
【弁理士】
【氏名又は名称】岸 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲甘▼蔗 寂樹
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】白土 博之
【審判官】水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/229838(WO,A1)
【文献】特開2018-124059(JP,A)
【文献】国際公開第2011/111382(WO,A1)
【文献】特開2000-258015(JP,A)
【文献】特開2002-147916(JP,A)
【文献】特開2009-215007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00-29/00
B65G 1/00
G06Q 10/04
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍または冷蔵を行う庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間と、当該庫内における各位置の温度と、当該庫内に収容する収容物が発する熱の当該庫内における各位置の温度への影響とを予測する予測部と、
前記予測部が予測した前記庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間と、前記予測部が予測した当該庫内における各位置の温度と、前記予測部が予測した当該庫内における各位置の温度への影響とに基づいて、当該庫内に収容する収容物の配置に関する提案情報を出力する出力部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物の熱時定数を用いて、当該庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間を予測する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物の収容前の温度情報をさらに用いて、当該庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間を予測する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物の目標の温度情報をさらに用いて、当該庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間を予測する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物をモデル化した物理モデルを用いて、当該庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間を予測する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物がより短時間で冷える収容物の配置を提案する前記提案情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物の積み方の情報を含む前記提案情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物と他の収容物との間の間隔の情報を含む前記提案情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物に対応するオブジェクト画像を用いて前記配置を表現する前記提案情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記庫内の冷凍または冷蔵を行う冷却装置の設定に関する前記提案情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
冷凍または冷蔵を行う庫内における収容物の冷え方と、当該庫内における各位置の温度と、当該庫内に収容する収容物が発する熱の当該庫内における各位置の温度への影響とを予測する予測部と、
前記予測部が予測した前記庫内における収容物の冷え方と、前記予測部が予測した当該庫内における各位置の温度と、前記予測部が予測した当該庫内における各位置の温度への影響とに基づいて、当該庫内に収容する収容物の配置に関する提案情報を出力する出力部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項12】
前記予測部は、前記庫内の所定位置の温度を測定した測定情報を用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記予測部は、前記庫内の熱特性をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記予測部は、前記庫内の冷凍または冷蔵を行う冷却装置の運転情報をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記予測部は、前記庫内に既に存在する収容物が発する熱の情報をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記予測部は、前記庫内に生じる外乱の情報をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記予測部は、前記庫内をモデル化した物理モデルを用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物をモデル化した物理モデルを用いて、当該庫内における各位置の温度への影響を予測する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項19】
コンピュータに、
冷凍または冷蔵を行う庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間と、当該庫内における各位置の温度と、当該庫内に収容する収容物が発する熱の当該庫内における各位置の温度への影響とを予測する機能と、
予測した前記庫内における収容物を内部まで冷却するのに必要な時間と、予測した当該庫内における各位置の温度と、予測した当該庫内における各位置の温度への影響とに基づいて、当該庫内に収容する収容物の配置に関する提案情報を出力する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば、商品等の物品を、その物品に適った温度の空間内の鉛直温度分布域に配置することで、商品等の適正な保管管理を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-112605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
庫内に収容される収容物の冷え方は、条件に応じて異なってくる。そのため、庫内に収容物を単に配置するだけでは、収容物を効率的に冷やすことが難しい。
【0005】
本開示は、冷凍または冷蔵を行う庫内に収容される収容物の冷え方に応じた、収容物の配置の提案を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の情報処理装置は、冷凍または冷蔵を行う庫内における収容物の冷え方を予測する予測部と、前記予測部が予測した前記庫内における収容物の冷え方に基づいて、当該庫内に収容する収容物の配置に関する提案情報を出力する出力部と、を備える、情報処理装置である。
【0007】
この情報処理装置によれば、冷凍または冷蔵を行う庫内に収容される収容物の冷え方に応じた、収容物の配置の提案を行うことができる。
【0008】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物の熱時定数を用いて、当該庫内における収容物の冷え方を予測する、ものであってよい。
【0009】
このようにすれば、複雑な計算を行うことなく、収容物の冷え方を予測することができる。
【0010】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物の収容前の温度情報をさらに用いて、当該庫内における収容物の冷え方を予測する、ものであってよい。
【0011】
このようにすれば、庫内に収容する収容物の収容前の温度情報を考慮して、収容物の冷え方を予測することができる。
【0012】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物の目標の温度情報をさらに用いて、当該庫内における収容物の冷え方を予測する、ものであってよい。
【0013】
このようにすれば、庫内に収容する収容物の目標の温度情報を考慮して、収容物の冷え方を予測することができる。
【0014】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物をモデル化した物理モデルを用いて、当該庫内における収容物の冷え方を予測する、ものであってよい。
【0015】
このようにすれば、物理モデルを用いない場合に比べ、少ない計算量で、収容物の冷え方を予測することができる。
【0016】
前記予測部は、前記庫内における各位置の温度を予測し、前記出力部は、前記予測部が予測した前記庫内における各位置の温度にさらに基づいて、前記提案情報を出力する、ものであってよい。
【0017】
このようにすれば、冷凍または冷蔵を行う庫内の各位置の温度に応じた、収容物の配置の提案を行うことができる。
【0018】
前記予測部は、前記庫内の所定位置の温度を測定した測定情報を用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、ものであってよい。
【0019】
このようにすれば、庫内の温度を測定する機器の数を抑えつつ、庫内の各位置の温度を予測することができる。
【0020】
前記予測部は、前記庫内の熱特性をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、ものであってよい。
【0021】
このようにすれば、庫内の熱特性を考慮して、庫内の各位置の温度を予測することができる。
【0022】
前記予測部は、前記庫内の冷凍または冷蔵を行う冷却装置の運転情報をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、ものであってよい。
【0023】
このようにすれば、庫内の冷凍または冷蔵を行う冷却装置の運転情報を考慮して、庫内の各位置の温度を予測することができる。
【0024】
前記予測部は、前記庫内に既に存在する収容物が発する熱の情報をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、ものであってよい。
【0025】
このようにすれば、庫内に既に存在する収容物が発する熱の情報を考慮して、庫内の各位置の温度を予測することができる。
【0026】
前記予測部は、前記庫内に生じる外乱の情報をさらに用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、ものであってよい。
【0027】
このようにすれば、庫内に生じる外乱の情報を考慮して、庫内の各位置の温度を予測することができる。
【0028】
前記予測部は、前記庫内をモデル化した物理モデルを用いて、当該庫内における各位置の温度を予測する、ものであってよい。
【0029】
このようにすれば、物理モデルを用いない場合に比べ、少ない計算量で、庫内の各位置の温度を予測することができる。
【0030】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物が発する熱の当該庫内における各位置の温度への影響を予測し、前記出力部は、前記予測部が予測した前記庫内における各位置の温度への影響にさらに基づいて、前記提案情報を出力する、ものであってよい。
【0031】
このようにすれば、冷凍または冷蔵を行う庫内に収容される収容物が発する熱の庫内の各位置の温度への影響に応じて、収容物の配置の提案を行うことができる。
【0032】
前記予測部は、前記庫内に収容する収容物をモデル化した物理モデルを用いて、当該庫内における各位置の温度への影響を予測する、ものであってよい。
【0033】
このようにすれば、物理モデルを用いない場合に比べ、少ない計算量で、収容物が発する熱の庫内の各位置の温度への影響を予測することができる。
【0034】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物がより短時間で冷える収容物の配置を提案する前記提案情報を出力する、ものであってよい。
【0035】
このようにすれば、より短時間で冷える冷凍または冷蔵の環境での収容物の配置の提案を行うことができる。
【0036】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物の積み方の情報を含む前記提案情報を出力する、ものであってよい。
【0037】
このようにすれば、好ましい積み方での収容物の配置の提案を行うことができる。
【0038】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物と他の収容物との間の間隔の情報を含む前記提案情報を出力する、ものであってよい。
【0039】
このようにすれば、好ましい間隔での収容物の配置の提案を行うことができる。
【0040】
前記出力部は、前記庫内に収容する収容物に対応するオブジェクト画像を用いて前記配置を表現する前記提案情報を出力する、ものであってよい。
【0041】
このようにすれば、オブジェクト画像を用いない場合に比べ、収容物の配置の提案を見易くすることができる。
【0042】
前記出力部は、前記庫内の冷凍または冷蔵を行う冷却装置の設定に関する前記提案情報を出力する、ものであってよい。
【0043】
このようにすれば、好ましい配置を行えない場合であっても、好ましい冷凍または冷蔵の環境で収容物を収容させることができる。
【0044】
また、本開示のプログラムは、コンピュータに、冷凍または冷蔵を行う庫内における収容物の冷え方を予測する機能と、予測した前記庫内における収容物の冷え方に基づいて、当該庫内に収容する収容物の配置に関する提案情報を出力する機能と、を実現させるプログラムである。
【0045】
このプログラムをインストールしたコンピュータによれば、冷凍または冷蔵を行う庫内に収容される収容物の冷え方に応じた、収容物の配置の提案を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本実施の形態が適用される冷凍冷蔵システムの全体構成例を示した図である。
図2】本実施の形態における情報処理装置のハードウェア構成例を示した図である。
図3】本実施の形態における情報処理装置の機能構成例を示したブロック図である。
図4】本実施の形態における情報処理装置の動作例を示したフローチャートである。
図5】本実施の形態で取得される新規収容物情報を入力するための入力画面の例を示した図である。
図6】本実施の形態で配置情報が出力される出力画面の例を示した図である。
図7】(a),(b)は、本実施の形態で別の配置情報が出力される出力画面について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
【0048】
[冷凍冷蔵システムの全体構成]
図1は、本実施の形態が適用される冷凍冷蔵システム10の全体構成例を示した図である。図示するように、この冷凍冷蔵システム10は、冷凍冷蔵倉庫100の冷凍または冷蔵を行うものであり、冷凍冷蔵装置200と、制御装置300と、温度センサ400と、入出力装置500と、情報処理装置600とを備える。
【0049】
冷凍冷蔵倉庫100は、庫内に収容される収容物の冷凍または冷蔵を行うための倉庫である。冷凍冷蔵倉庫100は、断熱壁110と、開閉扉120と、収容空間130とを有する。断熱壁110は、断熱パネルで覆われることにより、冷凍冷蔵倉庫100の保温性を高めるための壁である。開閉扉120は、冷凍冷蔵倉庫100に収容物を収容する際に開閉される扉である。開閉扉120も、断熱材が充填されることにより、閉められているときは、冷凍冷蔵倉庫100の保温性を高める。収容空間130は、収容物を収容するための空間である。収容空間130には、図示しないが、収容物を載せて収容する複数の棚が断熱壁110に設置されていてもよい。
【0050】
冷凍冷蔵装置200は、冷凍冷蔵倉庫100の冷凍または冷蔵を実際に行う装置である。冷凍冷蔵装置200は、室内機210a~210cと、室外機220と、配管230とを有する。室内機210a~210cは、冷凍冷蔵倉庫100内に設置され、配管230を通ってきた冷媒と冷凍冷蔵倉庫100内の空気との間で熱交換を行うことにより、冷凍冷蔵倉庫100内の空気から熱を吸収する。室外機220は、冷凍冷蔵倉庫100外に設置され、配管230内を通ってきた冷媒と冷凍冷蔵倉庫100外の空気との間で熱交換を行うことにより、冷凍冷蔵倉庫100外に熱を排出する。配管230は、室内機210a~210cと室外機220とをつなぐ管であり、その内部を冷媒が通過する。尚、図では、室内機210a~210cを示したが、これらを区別する必要がない場合は、室内機210と称することもある。図には、3つの室内機210を示したが、1つ、2つ、または4つ以上の室内機210を設けてもよい。本実施の形態では、庫内の冷凍または冷蔵を行う冷却装置の一例として、冷凍冷蔵装置200を設けている。
【0051】
制御装置300は、設定された条件に基づいて、冷凍冷蔵装置200が動作するように制御する装置である。
【0052】
温度センサ400は、冷凍冷蔵倉庫100内の所定位置に設置され、その所定位置の温度を測定する。
【0053】
入出力装置500は、例えば、冷凍冷蔵倉庫100の開閉扉120の横に設置され、冷凍冷蔵倉庫100内に収容する収容物の情報を入力するユーザ操作を受け付けたり、冷凍冷蔵倉庫100内に収容する収容物の配置に関する提案情報を出力したりする。入出力装置500は、例えば、タッチパネルであってよい。
【0054】
情報処理装置600は、冷凍冷蔵倉庫100に収容する収容物の配置に関する提案情報を作成し、入出力装置500に出力する。具体的には、情報処理装置600は、まず、冷凍冷蔵装置200、温度センサ400、入出力装置500等から各種情報を取得する。次に、情報処理装置600は、この各種情報を用いて、冷凍冷蔵倉庫100内の温度分布、冷凍冷蔵倉庫100内に収容する収容物の冷え方等を求める。次いで、情報処理装置600は、温度分布、収容物の冷え方等に基づいて、提案情報を作成する。そして、情報処理装置600は、この提案情報を入出力装置500に出力する。
【0055】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態における情報処理装置600のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、情報処理装置600は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)601と、記憶手段であるRAM(Random Access Memory)602、ROM(Read Only Memory)603、記憶装置604とを備える。RAM602は、主記憶装置(メインメモリ)であり、CPU601が演算処理を行う際の作業用メモリとして用いられる。ROM603にはプログラムや予め用意された設定値等のデータが保持されており、CPU601はROM603から直接プログラムやデータを読み込んで処理を実行することができる。記憶装置604は、プログラムやデータの保存手段である。記憶装置604にはプログラムが記憶されており、CPU601は記憶装置604に格納されたプログラムを主記憶装置に読み込んで実行する。また、記憶装置604には、CPU601による処理の結果が格納され、保存される。記憶装置604としては、例えば磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。
【0056】
[情報処理装置の機能構成]
図3は、本実施の形態における情報処理装置600の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、本実施の形態における情報処理装置600は、取得部610と、予測部620と、出力部630とを備える。
【0057】
取得部610は、各種情報を取得する。取得部610は、測定情報取得部611と、熱特性情報取得部612と、運転情報取得部613と、既存収容物情報取得部614と、新規収容物情報取得部615とを含む。
【0058】
測定情報取得部611は、温度センサ400が測定した温度を示す情報(以下、「測定情報」という)を取得する。ここで、測定情報とは、温度センサ400が設置された位置の現在の温度の情報である。
【0059】
熱特性情報取得部612は、冷凍冷蔵倉庫100内の熱特性を示す熱特性情報を取得する。熱特性情報取得部612は、例えば、記憶装置604から、予め計算して記憶しておいた熱特性情報を取得するとよい。ここで、熱特性情報とは、温度センサ400が設置された位置から特定位置への熱拡散率および熱伝導率である。
【0060】
運転情報取得部613は、冷凍冷蔵装置200の運転に関する情報(以下、「運転情報」という)を取得する。運転情報取得部613は、例えば、制御装置300から、運転情報を取得するとよい。ここで、運転情報とは、冷凍冷蔵装置200の給気温度、還気温度、風速、風向等である。
【0061】
既存収容物情報取得部614は、冷凍冷蔵倉庫100に既に存在する収容物である既存収容物に関する情報(以下、「既存収容物情報」という)を取得する。既存収容物情報取得部614は、例えば、既存収容物を収容した際に既存収容物情報を記憶した記憶装置604から、既存収容物情報を取得するとよい。ここで、既存収容物情報には、例えば、既存収容物が発する熱の情報がある。既存収容物が呼吸する食品(野菜、果物等)である場合、呼吸により熱が発生するので、既存収容物情報は、このような熱の情報を含む。また、既存収容物情報には、例えば、既存収容物の配置位置、体積、形状等もある。
【0062】
新規収容物情報取得部615は、冷凍冷蔵倉庫100に新たに収容する収容物である新規収容物に関する情報(以下、「新規収容物情報」という)を取得する。新規収容物情報取得部615は、例えば、ユーザが新規収容物情報を入出力装置500に入力することにより、入出力装置500から新規収容物情報を取得するとよい。また、新規収容物情報取得部615は、ユーザが入出力装置500に入力した情報に予め対応付けて記憶された新規収容物情報を、記憶装置604から取得してもよい。さらに、新規収容物情報取得部615は、ユーザが入出力装置500に入力した情報から計算された新規収容物情報を取得してもよい。ここで、新規収容物情報には、例えば、新規収容物の熱容量、熱伝達率、表面積、現在の表面温度、現在の内部温度、目標温度(保存温度)がある。また、新規収容物情報には、例えば、新規収容物が発する熱の情報もある。新規収容物が呼吸する食品(野菜、果物等)である場合、呼吸により熱が発生するので、新規収容物情報は、このような熱の情報を含む。さらに、新規収容物情報には、例えば、新規収容物の体積、形状等もある。
【0063】
予測部620は、各種予測を行う。予測部620は、外乱推定部621と、温度分布算出部622と、冷却時間算出部623と、影響情報算出部624とを含む。
【0064】
外乱推定部621は、新規収容物情報取得部615が取得した新規収容物情報を用いて、冷凍冷蔵倉庫100に生じる外乱を推定する。ここで、外乱とは、開閉扉120の開閉等である。この場合、例えば、新規収容物情報が示す新規収容物の個数が多ければ、開閉扉120を開けている時間は長くなると考えられるので、外乱推定部621は、大きい外乱を推定する。一方、新規収容物情報が示す新規収容物の個数が少なければ、開閉扉120を開けている時間は短くなると考えられるので、外乱推定部621は、小さい外乱を推定する。
【0065】
温度分布算出部622は、まず、冷凍冷蔵倉庫100内の複数の位置のうち、周囲の温度を求めたい位置を特定位置pとして、その温度を算出する。そのために、温度分布算出部622は、測定情報取得部611が取得した測定情報が示す温度Tから特定位置pの温度を減算した温度差ΔTを、冷凍冷蔵倉庫100内をモデル化した物理モデルを用いて算出する。この物理モデルは、取得部610が取得または外乱推定部621が推定した情報を用いて作成された次の各項を含む。
【0066】
第1の項は、温度センサ400が設置された位置から特定位置pへの熱拡散率αおよび熱伝導率βを規定した項である。熱拡散率αおよび熱伝導率βは、熱特性情報取得部612により取得される。温度センサ400が設置された位置nから特定位置pまでの距離をk(n,p)とすると、この項は、f(α,β,k(n,p))と表される。
【0067】
第2の項は、冷凍冷蔵装置200の室内機210の給気温度Ts、還気温度Tr、風速v、風向dと、既存収容物による干渉iとから求められる特定位置pの温度への影響を規定した項である。給気温度Ts、還気温度Tr、風速v、風向dは、運転情報取得部613により取得される。干渉iは、既存収容物の位置や積み方等によって変化する情報であり、既存収容物情報取得部614により取得される。冷凍冷蔵装置200の室内機210が設置された位置nから特定位置pまでの距離をk(n,p)とすると、この項は、g(T,T,v,d,i,k(n,p))と表される。
【0068】
第3の項は、既存収容物が発熱体として特定位置pの温度へ与える熱の情報eの影響を規定した項である。熱の情報eは、既存収容物情報取得部614により取得される。既存収容物が配置された位置nから特定位置pまでの距離をk(n,p)とすると、この項は、h(e,k(n,p))と表される。
【0069】
第4の項は、外乱推定部621が推定した外乱γを規定した項である。開閉扉120等の外乱γが発生する位置nから特定位置pまでの距離をk(n,p)とすると、この項は、j(γ,k(n,p))と表される。
【0070】
温度分布算出部622は、以上の項を次の式のように重ね合わせることにより、温度差ΔTを算出する。ただし、次の式では、各項の関数f,g,h,jのパラメータが記述された括弧については、省略している。
【0071】
【数1】
【0072】
そして、温度分布算出部622は、温度Tから温度差ΔTを減算することにより、特定位置pの温度を算出する。
【0073】
その後、温度分布算出部622は、冷凍冷蔵倉庫100内の全ての位置を特定位置pとして同じ処理を行うことにより、冷凍冷蔵倉庫100内の温度分布を算出する。
【0074】
このように、温度分布算出部622は、温度センサ400で測定した温度と物理モデルとを用いたソフトセンシングにより冷凍冷蔵倉庫100内の温度分布を算出するのが好ましいが、CFD(computational fluid dynamics)により温度分布を算出してもよい。また、温度分布算出部622は、外気温、隣の倉庫の情報等を用いて、温度分布を算出してもよい。
【0075】
本実施の形態では、庫内における各位置の温度を予測する予測部の一例として、温度分布算出部622を設けている。
【0076】
冷却時間算出部623は、新規収容物を内部まで冷却するのに必要な時間(以下、「内部冷却時間」という)を、新規収容物をモデル化した物理モデルを用いて算出する。
【0077】
まず、冷却時間算出部623は、新規収容物の熱容量C、熱伝達率h、表面積Sを用いて、新規収容物の熱時定数τを算出する。新規収容物の熱容量C、熱伝達率h、表面積Sは、新規収容物情報取得部615により取得される。冷却時間算出部623は、次の式により、熱時定数τを算出する。
【0078】
【数2】
【0079】
次に、冷却時間算出部623は、熱時定数τと、冷凍冷蔵倉庫100内の特定位置pの温度T(p)と、新規収容物の現在の内部温度T、目標温度(保存温度)Tとを用いて、新規収容物を特定位置pに配置した場合の内部冷却時間t(p)を算出する。新規収容物の現在の内部温度T、目標温度(保存温度)Tは、新規収容物情報取得部615により取得される。新規収容物の現在の内部温度Tは、庫内に収容する収容物の収容前の温度情報の一例であり、新規収容物の目標温度(保存温度)Tは、庫内に収容する収容物の目標の温度情報の一例である。冷却時間算出部623は、次の式により、内部冷却時間t(p)を算出する。
【0080】
【数3】
【0081】
あるいは、冷却時間算出部623は、新規収容物の冷却の優先度を決めるだけであれば、厳密な内部冷却時間を算出する必要はなく、新規収容物ごとに、内部まで冷えるのに必要な吸熱量または相対時間を決定すれば十分である。したがって、冷却時間算出部623は、新規収容物の内部が冷えるまでの時間の目安である熱時定数の他、新規収容物の現在の内部温度と目標温度との差等から優先度を決定してもよい。
【0082】
また、冷却時間算出部623は、上記の物理モデルに限らず、新規収容物の冷え方に相関する情報を考慮したいかなる物理モデルを用いてもよい。物理モデルは、例えば、収容物同士が密着している場合は伝導率を用いたモデルであってよい。物理モデルは、ある温度の新規収容物をある風速の位置に配置した場合の収容物の冷え方が分かるモデルであってもよい。物理モデルは、周囲の風の温度、流速、当たり方、接している周囲の温度、収容物の表面の形状、比熱、重さ、体積、荷姿等を考慮したモデルであってもよい。物理モデルは、周囲温度に対してどれだけ多くの熱量を持っているかの物理量を出力するモデルであってもよい。
【0083】
さらに、冷却時間算出部623は、AIにより内部冷却時間を決定してもよい。この場合、冷却時間算出部623は、新規収容物の種類ごとに、教師データとして、収容前の重量、表面積、表面温度、内部温度、目標温度(保存温度)等を用いる。そして、冷却時間算出部623は、目的変数を、内部温度が目標温度になるまでの時間の実測値として機械学習し、熱特性を学習するようにすればよい。
【0084】
本実施の形態では、庫内における収容物の冷え方を予測する予測部の一例として、冷却時間算出部623を設けている。
【0085】
影響情報算出部624は、新規収容物を冷凍冷蔵倉庫100内の位置nに配置した場合に新規収容物が発熱体として特定位置pの温度へ与える熱の情報eの影響を示す影響情報を、新規収容物をモデル化した物理モデルを用いて算出する。新規収容物の熱の情報eは、新規収容物情報取得部615により取得される。新規収容物が配置された位置nから特定位置pまでの距離をk(n,p)とすると、影響情報は、h(e,k(n,p))と表される。影響情報算出部624は、次の式のように複数の新規収容物による影響情報h(e,k(n,p))を加算することにより、特定位置pの温度が受ける影響を示す影響情報u(p)を算出する。
【0086】
【数4】
【0087】
本実施の形態では、庫内に収容する収容物が発する熱の庫内における各位置の温度への影響を予測する予測部の一例として、影響情報算出部624を設けている。
【0088】
出力部630は、各種情報を出力する。出力部630は、配置決定部631と、配置情報出力部632と、設定情報出力部633とを含む。
【0089】
配置決定部631は、温度分布算出部622が算出した温度分布と、冷却時間算出部623が算出した内部冷却時間と、影響情報算出部624が算出した影響情報とに基づいて、複数の新規収容物の適切な配置を決定する。
【0090】
例えば、配置決定部631は、まず、複数の新規収容物を特定の配置パターンで配置する場合について、複数の新規収容物の内部冷却時間の平均値を算出する。具体的には、配置決定部631は、複数の新規収容物のそれぞれを配置する特定位置pの温度T(p)を、温度分布算出部622が算出した特定位置pの温度に影響情報算出部624が算出した影響情報u(p)を重ね合わせることにより算出する。そして、配置決定部631は、冷却時間算出部623が算出した内部冷却時間t(p)にこの算出した温度T(p)を適用することにより、複数の新規収容物のそれぞれの内部冷却時間t(p)を算出する。その後、配置決定部631は、複数の新規収容物の内部冷却時間t(p)の平均値を算出する。
【0091】
次に、配置決定部631は、複数の新規収容物を他の配置パターンで配置する場合についても、同じ処理を行うことにより、複数の新規収容物の内部冷却時間t(p)の平均値を算出する。
【0092】
その後、配置決定部631は、複数の新規収容物の内部冷却時間t(p)の平均値が最も短くなる配置パターンを、適切な配置として決定する。
【0093】
あるいは、配置決定部631は、新規収容物の冷却の優先度が決定された場合は、この優先度と、温度分布算出部622が算出した温度分布における冷却の度合いとを照合することにより、新規収容物の配置位置を決定してもよい。
【0094】
また、配置決定部631は、既に冷えた既存収容物を冷凍冷蔵倉庫100内の温度が比較的高い位置に配置することを決定してもよい。さらに、新規収容物の搬出入が多いことが想定される場合には、外気侵入の影響の強い開閉扉120から離れた位置に新規収容物を配置することを決定してもよい。
【0095】
配置情報出力部632は、配置決定部631が決定した適切な配置を示す配置情報を作成し、入出力装置500に出力する。
【0096】
上記のように決定された適切な配置を示す配置情報を作成することにより、配置情報は、冷凍冷蔵倉庫100内に収容する収容物がより短時間で冷える収容物の配置を提案するものとなる。また、配置情報は、冷凍冷蔵倉庫100に収容する収容物の積み方の情報を含むものであってよい。さらに、配置情報は、冷凍冷蔵倉庫100に収容する収容物を他の収容物に密接させて配置せず、所定の間隔で配置する指示を含むものであってよい。例えば、配置情報は、冷凍冷蔵倉庫100に収容する収容物と他の収容物との間の間隔の情報を含むものであってよい。
【0097】
また、配置情報は、例えば、配置画像であってよい。その場合、配置画像は、例えば、冷凍冷蔵倉庫100に対応する画像上に、収容物に対応するオブジェクト画像を用いて配置を表現したものであってよい。ここで、冷凍冷蔵倉庫100に対応する画像は、冷凍冷蔵倉庫100を三次元で表現するものが好ましい。そして、収容物に対応するオブジェクト画像は、ピン、アイコン等の画像とすればよい。
【0098】
また、配置情報出力部632は、空の冷凍冷蔵倉庫100内に新規収容物を配置する際に、冷凍冷蔵装置200の室内機210の位置等に応じて、新規収容物の配置位置を提案する配置情報を作成してもよい。その際、例えば、室内機210の吹き出し口の前に収容物を配置すると、その背後は収容物の陰になって冷え難くなるため、他の収容物をどのように配置するかを提案する配置情報を作成してもよい。あるいは、配置情報出力部632は、冷凍冷蔵倉庫100内に既存収容物がある場合に、新規収容物の配置を提案する配置情報を作成してもよい。
【0099】
本実施の形態では、庫内に収容する収容物の配置に関する提案情報の一例として、配置情報を用いており、このような提案情報を出力する出力部の一例として、配置情報出力部632を設けている。
【0100】
設定情報出力部633は、配置決定部631が決定した配置に相応しい冷凍冷蔵装置200の設定に関する設定情報を、入出力装置500に出力する。例えば、配置決定部631が、収容物の適切な配置を決定できず、適切な配置に近い配置に決定したとする。このような場合に、設定情報出力部633は、決定された配置に相応しい設定情報を入出力装置500に出力することでユーザに伝える。本実施の形態では、冷却装置の設定に関する提案情報の一例として、設定情報を用いており、このような提案情報を出力する出力部の一例として、設定情報出力部633を設けている。
【0101】
[情報処理装置の動作]
図4は、本実施の形態における情報処理装置600の動作例を示したフローチャートである。
【0102】
図示するように、情報処理装置600では、まず、測定情報取得部611が、温度センサ400が測定した温度を示す測定情報を取得する(ステップ701)。また、熱特性情報取得部612が、冷凍冷蔵倉庫100内の熱特性を示す熱特性情報を取得する(ステップ702)。また、運転情報取得部613が、冷凍冷蔵装置200の運転に関する運転情報を取得する(ステップ703)。また、既存収容物情報取得部614が、冷凍冷蔵倉庫100内に既に存在する既存収容物に関する既存収容物情報を取得する(ステップ704)。また、新規収容物情報取得部615が、冷凍冷蔵倉庫100に新たに収容する新規収容物に関する新規収容物情報を取得する(ステップ705)。
【0103】
次に、情報処理装置600では、外乱推定部621が、ステップ705で取得された新規収容物情報に基づいて、外乱を推定する(ステップ706)。
【0104】
次いで、温度分布算出部622が、ステップ701で取得された測定情報と、ステップ702で取得された熱特性情報と、ステップ703で取得された運転情報と、ステップ704で取得された既存収容物情報と、ステップ706で推定された外乱とに基づいて、冷凍冷蔵倉庫100内の温度分布を算出する(ステップ707)。具体的には、温度分布算出部622は、熱特性情報と、運転情報と、既存収容物情報と、外乱とを用いた物理モデルにより、温度センサ400による測定位置と特定位置との温度差を算出する。そして、温度分布算出部622は、測定情報が示す温度からこの温度差を減算することにより、特定位置の温度を算出する。その後、温度分布算出部622は、冷凍冷蔵倉庫100内の全ての位置を特定位置として同じ処理を行うことにより、冷凍冷蔵倉庫100内の温度分布を算出する。
【0105】
また、冷却時間算出部623が、ステップ705で取得された新規収容物情報に基づいて、新規収容物の内部冷却時間を算出する(ステップ708)。具体的には、冷却時間算出部623は、新規収容物の熱容量、熱伝達率、表面積を用いた物理モデルにより、熱時定数を算出する。そして、この熱時定数と、新規収容物の現在の内部温度および目標温度(保存温度)とを用いた物理モデルにより、新規収容物を特定位置に配置した場合の内部冷却時間を算出する。
【0106】
さらに、影響情報算出部624が、ステップ705で取得された新規収容物情報に基づいて、新規収容物が発熱体として温度分布へ与える影響を示す影響情報を算出する(ステップ709)。具体的には、影響情報算出部624は、新規収容物が発する熱の情報を用いた物理モデルにより、複数の新規収容物を他の位置に配置した場合の特定位置の温度へ与える影響を示す影響情報を算出する。そして、影響情報算出部624は、複数の新規収容物による影響情報を加算することにより、温度分布への影響を示す影響情報を算出する。
【0107】
その後、情報処理装置600では、配置決定部631が、複数の新規収容物の配置パターンのそれぞれについて、ステップ707で算出された温度分布と、ステップ708で算出された内部冷却時間と、ステップ709で算出された影響情報とに基づいて、複数の新規収容物の内部冷却時間の平均値を算出する(ステップ710)。具体的には、配置決定部631は、複数の新規収容物を特定の配置パターンで配置する場合に複数の新規収容物を配置する特定位置の温度を、温度分布算出部622が算出した特定位置の温度に影響情報算出部624が算出した影響情報を重ね合わせることにより算出する。そして、配置決定部631は、冷却時間算出部623が算出した内部冷却時間にこれらの特定位置の温度を適用することにより、複数の新規収容物の内部冷却時間を算出する。その後、配置決定部631は、複数の新規収容物の内部冷却時間を平均して、その平均値を算出する。
【0108】
次に、配置決定部631は、複数の新規収容物の配置パターンのうち、ステップ710で算出された内部冷却時間の平均値が最も短くなる配置パターンを抽出する(ステップ711)。
【0109】
次いで、配置情報出力部632が、ステップ711で抽出された配置パターンに基づいて、配置情報を作成し、入出力装置500に出力する(ステップ712)。
【0110】
[画面例]
図5は、図4のステップ705で取得される新規収容物情報を入力するための入力画面800の例を示した図である。
【0111】
図示するように、入力画面800は、分類選択領域810と、情報入力領域820とを含む。図では、分類選択領域810で「果菜類」が選択されているので、情報入力領域820の品目選択欄821には、果菜類に属する品目が表示されている。また、図では、品目選択欄821でこれらの品目から収容しようとしている「トマト」が選択されているので、情報入力領域820の各入力欄には、トマトに関する情報が入力されている。具体的には、直径入力欄822に直径として「8cm」が入力されている。そして、内部温度入力欄823に内部温度として「18℃」が、表面温度入力欄824に表面温度として「16℃」が、目標温度入力欄825に目標温度(保存温度)として「8℃」が、それぞれ入力されている。なお、トマトの熱容量および熱伝達率としては、品目選択欄821で「トマト」が選択されることにより、トマトに対して予め設定された値が取得されるようにするとよい。また、トマトの表面積としては、直径入力欄822に入力された直径から計算された値が取得されるようにするとよい。
【0112】
図6は、図4のステップ712で配置情報が出力される出力画面900の例を示した図である。
【0113】
図示するように、出力画面900には、冷凍冷蔵倉庫100を三次元で表す倉庫オブジェクト910が示されている。また、倉庫オブジェクト910上には、冷凍冷蔵倉庫100の棚を表す棚オブジェクト920と、冷凍冷蔵装置200の室内機210a~210cを表す室内機オブジェクト930a~930cとが示されている。そして、収容物の適切な配置位置が、倉庫オブジェクト910上に、収容物オブジェクト940a~940eの位置によって示されている。ここで、特に、収容物オブジェクト940cにより表される収容物は、収容物オブジェクト940bにより表される収容物の上に積み重ねて配置すべきことが示されている。また、収容物オブジェクト940eにより表される収容物は、棚オブジェクト920により表される棚の上に配置すべきことが示されている。
【0114】
図7(a),(b)は、別の配置情報が出力される出力画面950について説明するための図である。冷凍冷蔵倉庫100では、収容物の表面だけ冷えていても意味がなく、収容物の内部まで冷却されることが重要である。そこで、出力画面950は、収容物の内部が速く冷却されるように、収容物の配置位置を提案する。なお、この場合も、冷凍冷蔵倉庫100内において、収容物の周囲の温度をソフトセンシングにより予測するものとする。また、図面情報から冷凍冷蔵倉庫100のサイズおよび形状は分かっているものとする。
【0115】
図示するように、出力画面950には、冷凍冷蔵倉庫100を表す倉庫オブジェクト960が示されている。また、倉庫オブジェクト960上には、冷凍冷蔵装置200の室内機210a~210cを表す室内機オブジェクト980a~980cが示されている。そして、収容物の配置位置が、倉庫オブジェクト960上に、収容物オブジェクト990a~990jの位置によって示されている。このうち、クロスハッチングが施された収容物オブジェクト990a~990fにより表される収容物は、比熱が高く、重量が重く、容積は中程度で、形状は直方体であるとする。また、斜線ハッチングが施された収容物オブジェクト990g,990hにより表される収容物は、比熱が中程度で、重量が軽く、容積は中程度で、形状は直方体であるとする。さらに、ドットハッチングが施された収容物990i,990jにより表される収容物は、比熱が低く、重量が軽く、容積は大きく、形状は直方体であるとする。
【0116】
このような前提の下、初期状態において、図7(a)に示す出力画面950が表示されていたとする。この収容物の配置では、破線で囲んで示したように、10個の収容物の周辺部にある収容物しか冷えない。そこで、図7(b)に示す出力画面950により新規収容物の配置変更が提案される。これは、クロスハッチングが施された収容物オブジェクト990a~990fにより表される収容物のように、比熱が高く、重量が重いものは、気流が当たりやすい場所へ移動すべきことを示すものである。また、適切にスペースを空けて配置することで、10個の収容物が速く冷えることも示している。なお、この出力画面950における配置情報は、冷凍冷蔵倉庫100のサイズ、冷凍冷蔵装置200の運転情報、収容物の情報等に基づいて、計算される。
【0117】
[プログラム]
本実施の形態における情報処理装置600が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0118】
このプログラムは、コンピュータに、冷凍または冷蔵を行う庫内における収容物の冷え方を予測する機能と、予測した前記庫内における収容物の冷え方に基づいて、当該庫内に収容する収容物の配置に関する提案情報を出力する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【0119】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0120】
10…冷凍冷蔵システム、100…冷凍冷蔵倉庫、200…冷凍冷蔵装置、300…制御装置、400…温度センサ、500…入出力装置、600…情報処理装置、610…取得部、611…測定情報取得部、612…熱特性情報取得部、613…運転情報取得部、614…既存収容物情報取得部、615…新規収容物情報取得部、620…予測部、621…外乱推定部、622…温度分布算出部、623…冷却時間算出部、624…影響情報算出部、630…出力部、631…配置決定部、632…配置情報出力部、633…設定情報出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7