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特許7386619電子ビーム検査方法及び電子ビーム検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】電子ビーム検査方法及び電子ビーム検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2251 20180101AFI20231117BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
G01N23/2251
G01N21/956 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019089218
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020183928
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】杉原 真児
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-017571(JP,A)
【文献】特開2017-050222(JP,A)
【文献】特開2004-163420(JP,A)
【文献】特開平11-238484(JP,A)
【文献】特開2019-020292(JP,A)
【文献】特開2011-197120(JP,A)
【文献】特開2010-283079(JP,A)
【文献】特開2003-021605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01B 15/00 - G01B 15/08
G01M 11/00
G03F 1/84
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 3/60
G06T 5/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06V 10/00 - G06V 10/98
G06V 20/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
H01J 37/00 - H01J 37/36
H01L 27/027
H01L 21/64 - H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形パターンが形成された基板に1次電子ビームを照射して、前記1次電子ビームの照射に起因して前記基板から放出される2次電子を検出することにより、前記基板の2次電子画像を取得する工程と、
前記2次電子画像が格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第1のグリッドのうち隣接する第1のグリッド群で囲まれる第1の矩形領域毎に、当該第1の矩形領域内において前記第1のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が予め設定された基準輝度値よりも大きい第1の領域の第1の面積を演算する工程と、
前記2次電子画像と比較するための参照画像を用いて、前記参照画像が前記2次電子画像と同じサイズで格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第2のグリッドのうち、前記第1のグリッド群に対応する位置の第2のグリッド群で囲まれる第2の矩形領域内において前記第2のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が前記基準輝度値よりも大きい第2の領域の第2の面積を演算する工程と、
第1の矩形領域毎に、前記第1の面積と前記第2の面積とを比較する工程と、
を備え、
前記第1の矩形領域内に配置される図形パターンのエッジの位置を検査する場合に、前記第1の面積と前記第2の面積との差分が、所定の範囲内に無い場合には前記エッジの位置に欠陥が存在すると判定することを特徴とする電子ビーム検査方法。
【請求項2】
前記第1の矩形領域内に配置される図形パターンの線幅を検査する場合に、前記線幅の基になる一方のエッジにおける前記第1の面積と前記第2の面積との差分と、他方のエッジにおける前記第1の面積と前記第2の面積との差分と、の差分値が、所定の範囲内に無い場合には前記線幅の欠陥が存在すると判定することを特徴とする請求項1記載の電子ビーム検査方法。
【請求項3】
前記第1のグリッド群は、直交する2方向の座標系において2×2個の第1のグリッド群で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子ビーム検査方法。
【請求項4】
図形パターンが形成された基板に1次電子ビームを照射して、前記1次電子ビームの照射に起因して前記基板から放出される2次電子を検出することにより、前記基板の2次電子画像を取得する2次電子画像取得機構と、
前記2次電子画像が格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第1のグリッドのうち隣接する第1のグリッド群で囲まれる第1の矩形領域毎に、当該第1の矩形領域内において前記第1のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が予め設定された基準輝度値よりも大きい第1の領域の第1の面積を演算する第1の面積演算部と、
前記2次電子画像と比較するための参照画像を用いて、前記参照画像が前記2次電子画像と同じサイズで格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第2のグリッドのうち、前記第1のグリッド群に対応する位置の第2のグリッド群で囲まれる第2の矩形領域内において前記第2のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が前記基準輝度値よりも大きい第2の領域の第2の面積を演算する第2の面積演算部と、
第1の矩形領域毎に、前記第1の面積と前記第2の面積とを比較する比較部と、
を備え、
前記第1の矩形領域内に配置される図形パターンのエッジの位置を検査する場合に、前記第1の面積と前記第2の面積との差分が、所定の範囲内に無い場合には前記エッジの位置に欠陥が存在すると判定することを特徴とする電子ビーム検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム検査方法及び電子ビーム検査装置に関する。例えば、電子線によるマルチビームを照射して放出されるパターンの2次電子画像を用いて検査する検査装置およびその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、LSIを構成するパターンは、10ナノメータ以下のオーダーを迎えつつあり、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。よって、半導体ウェハ上に転写された超微細パターンの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。その他、歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0003】
欠陥検査手法としては、半導体ウェハやリソグラフィマスク等の基板上に形成されているパターンを撮像した測定画像と、設計データ、あるいは基板上の同一パターンを撮像した測定画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、パターン検査方法として、同一基板上の異なる場所の同一パターンを撮像した測定画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計された設計データをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、これとパターンを撮像した測定データとなる測定画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
【0004】
上述したパターン検査装置には、レーザ光を検査対象基板に照射して、この透過像或いは反射像を撮像する装置の他、検査対象基板上を1次電子ビームで走査(スキャン)して、1次電子ビームの照射に伴い検査対象基板から放出される2次電子を検出して、パターン像を取得する検査装置の開発も進んでいる。試料上のパターンのエッジ位置を高精度に検出するため、電子ビーム検査では、画素値同士の比較よりも画像内のパターンの輪郭線を抽出して、参照画像の輪郭線との距離を判定指標に用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。電子ビームを照射して得られる画像は、レーザ光を照射して得られる画像に比べてノイズが多く含まれる。そのため、かかる輪郭線を抽出する処理では、ノイズの影響を低減するための処理が行われる。そのため計算処理量が多くなってしまうといった問題があった。さらに、パターン密度が大きい場合や、パターンが複雑化した場合には計算処理量が膨大になってしまう。また、電子線検査装置では数nmに絞ったビームを走査する必要があるために、総画素数が非常に多くなり、やはり計算処理量が膨大になる。そして、画像分解能が高いために、従来の検査装置より微細な欠陥の検出が要求されており、そのために輪郭線の抽出処理や距離の計算方法が複雑化して計算処理量が増加することも問題となっている。よって、できるだけ処理量の少ない計算処理で検査が行えることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-151202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、かかる計算処理は、CPU等のコンピュータでの演算に適したアルゴリズムが用いられることが想定される。そのため、FPGA(field-programmable gate array)等のハードウェアの実装が難しいといった側面もある。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、電子ビーム検査において輪郭線検査の処理量を低減可能な検査方法および検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の電子ビーム検査方法は、
図形パターンが形成された基板に1次電子ビームを照射して、1次電子ビームの照射に起因して基板から放出される2次電子を検出することにより、基板の2次電子画像を取得する工程と、
2次電子画像が格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第1のグリッドのうち隣接する第1のグリッド群で囲まれる第1の矩形領域毎に、当該第1の矩形領域内において第1のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が予め設定された基準輝度値よりも大きい第1の領域の第1の面積を演算する工程と、
2次電子画像と比較するための参照画像を用いて、参照画像が2次電子画像と同じサイズで格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第2のグリッドのうち、第1のグリッド群に対応する位置の第2のグリッド群で囲まれる第2の矩形領域内において第2のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が基準輝度値よりも大きい第2の領域の第2の面積を演算する工程と、
第1の矩形領域毎に、第1の面積と第2の面積とを比較する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、第1の矩形領域内に配置される図形パターンのエッジの位置を検査する場合に、第1の面積と第2の面積との差分が、所定の範囲内に無い場合にはエッジ位置に欠陥が存在すると判定すると好適である。
【0010】
また、第1の矩形領域内に配置される図形パターンの線幅を検査する場合に、線幅の基になる一方のエッジにおける第1の面積と第2の面積との差分と、他方のエッジにおける第1の面積と第2の面積との差分と、の差分値が、所定の範囲内に無い場合には線幅の欠陥が存在すると判定すると好適である。
【0011】
また、第1のグリッド群は、直交する2方向の座標系において2×2個の第1のグリッド群で構成されると好適である。
【0012】
本発明の一態様の電子ビーム検査装置は、
図形パターンが形成された基板に1次電子ビームを照射して、1次電子ビームの照射に起因して基板から放出される2次電子を検出することにより、基板の2次電子画像を取得する2次電子画像取得機構と、
2次電子画像が格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第1のグリッドのうち隣接する第1のグリッド群で囲まれる第1の矩形領域毎に、当該第1の矩形領域内において第1のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が予め設定された基準輝度値よりも大きい第1の領域の第1の面積を演算する第1の面積演算部と、
2次電子画像と比較するための参照画像を用いて、参照画像が2次電子画像と同じサイズで格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される、分割した際の交点となり対象となる画素の中心になる複数の第2のグリッドのうち、第1のグリッド群に対応する位置の第2のグリッド群で囲まれる第2の矩形領域内において第2のグリッド群に定義される輝度値で補間された輝度値が基準輝度値よりも大きい第2の領域の第2の面積を演算する第2の面積演算部と、
第1の矩形領域毎に、第1の面積と第2の面積とを比較する比較部と、
を備え、
前記第1の矩形領域内に配置される図形パターンのエッジの位置を検査する場合に、前記第1の面積と前記第2の面積との差分が、所定の範囲内に無い場合には前記エッジの位置に欠陥が存在すると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、電子ビーム検査において輪郭線検査の処理量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1におけるパターン検査装置の構成の一例を示す構成図である。
図2】実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。
図3】実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。
図4】実施の形態1におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。
図5】実施の形態1における検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図6】実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示す構成図である。
図7】実施の形態1における画素群およびグリッド領域を説明するための図である。
図8】実施の形態1におけるグリッド領域の回転を説明するための図である。
図9】実施の形態1における輝度等高線とサブ領域を説明するための図である。
図10】実施の形態1における差分領域の一例を示す図である。
図11】実施の形態1の計算領域の変形例を説明するための図である。
図12】実施の形態1におけるエッジ探索の手法の一例を説明するための図である。
図13】実施の形態1におけるペアエッジ探索の手法の一例を説明するための図である。
図14】実施の形態1における図形パターンの線幅検査を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態では、複数の電子ビームによるマルチビームを用いて画像を取得する検査装置について説明するが、これに限るものではない。1本の電子ビームによるシングルビームを用いて画像を取得する検査装置であっても構わない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成の一例を示す構成図である。図1において、基板に形成されたパターンを検査する検査装置100は、マルチ電子ビーム検査装置の一例である。検査装置100は、画像取得機構150(2次電子画像取得機構)、及び制御系回路160を備えている。画像取得機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)及び検査室103を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、副偏向器209、ビームセパレーター214、偏向器218、電磁レンズ224、電磁レンズ226、及びマルチ検出器222が配置されている。図1の例において、電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、及び副偏向器209は、マルチ1次電子ビームを基板101に照射する1次電子光学系を構成する。ビームセパレーター214、偏向器218、電磁レンズ224、及び電磁レンズ226は、マルチ2次電子ビームをマルチ検出器222に照射する2次電子光学系を構成する。
【0017】
検査室103内には、少なくともXY方向に移動可能なステージ105が配置される。ステージ105上には、検査対象となる基板101(試料)が配置される。基板101には、露光用マスク基板、及びシリコンウェハ等の半導体基板が含まれる。基板101が半導体基板である場合、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されている。基板101が露光用マスク基板である場合、露光用マスク基板には、チップパターンが形成されている。チップパターンは、複数の図形パターンによって構成される。かかる露光用マスク基板に形成されたチップパターンが半導体基板上に複数回露光転写されることで、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されることになる。以下、基板101が半導体基板である場合を主として説明する。基板101は、例えば、パターン形成面を上側に向けてステージ105に配置される。また、ステージ105上には、検査室103の外部に配置されたレーザ測長システム122から照射されるレーザ測長用のレーザ光を反射するミラー216が配置されている。マルチ検出器222は、電子ビームカラム102の外部で検出回路106に接続される。
【0018】
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、磁気ディスク装置等の記憶装置109、モニタ117、及びメモリ118に接続されている。また、偏向制御回路128は、DAC(デジタルアナログ変換)アンプ144,146,148に接続される。DACアンプ146は、主偏向器208に接続され、DACアンプ144は、副偏向器209に接続される。DACアンプ148は、偏向器218に接続される。
【0019】
また、検出回路106は、チップパターンメモリ123に接続される。チップパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、ステージ105は、ステージ制御回路114の制御の下に駆動機構142により駆動される。駆動機構142では、例えば、ステージ座標系におけるX方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系が構成され、XYθ方向にステージ105が移動可能となっている。これらの、図示しないXモータ、Yモータ、θモータは、例えばステッピングモータを用いることができる。ステージ105は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、ステージ105の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。レーザ測長システム122は、ミラー216からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でステージ105の位置を測長する。ステージ座標系は、例えば、マルチ1次電子ビームの光軸(電子軌道中心軸)に直交する面に対して、X方向、Y方向、θ方向が設定される。
【0020】
電磁レンズ202、電磁レンズ205、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、電磁レンズ224、電磁レンズ226、及びビームセパレーター214は、レンズ制御回路124により制御される。また、一括ブランキング偏向器212は、2極以上の電極により構成され、電極毎に図示しないDACアンプを介してブランキング制御回路126により制御される。副偏向器209は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ144を介して偏向制御回路128により制御される。主偏向器208は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ146を介して偏向制御回路128により制御される。偏向器218は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ148を介して偏向制御回路128により制御される。
【0021】
電子銃201には、図示しない高圧電源回路が接続され、電子銃201内の図示しないフィラメント(カソード)と引出電極(アノード)間への高圧電源回路からの加速電圧の印加と共に、別の引出電極(ウェネルト)の電圧の印加と所定の温度のカソードの加熱によって、カソードから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって放出される。
【0022】
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
【0023】
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、2次元状の横(x方向)m列×縦(y方向)n段(m,nは、一方が2以上の整数、他方が1以上の整数)の穴(開口部)22がx,y方向に所定の配列ピッチで形成されている。図2の例では、23×23の穴(開口部)22が形成されている場合を示している。各穴22は、理想的には共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、理想的には同じ外径の円形であっても構わない。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、m×n本(=N本)のマルチ1次電子ビーム20が形成されることになる。
【0024】
次に、検査装置100における画像取得機構150の動作について説明する。
【0025】
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、電磁レンズ202によって屈折させられ、成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、図2に示すように、複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、マルチ1次電子ビーム20が形成される。
【0026】
形成されたマルチ1次電子ビーム20は、電磁レンズ205、及び電磁レンズ206によってそれぞれ屈折させられ、中間像およびクロスオーバーを繰り返しながら、マルチ1次電子ビーム20の各ビームのクロスオーバー位置に配置されたビームセパレーター214を通過して電磁レンズ207(対物レンズ)に進む。そして、電磁レンズ207は、マルチ1次電子ビーム20を基板101にフォーカス(合焦)する。対物レンズ207により基板101(試料)面上に焦点が合わされた(合焦された)マルチ1次電子ビーム20は、主偏向器208及び副偏向器209によって一括して偏向され、各ビームの基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。なお、一括ブランキング偏向器212によって、マルチ1次電子ビーム20全体が一括して偏向された場合には、制限アパーチャ基板213の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板213によって遮蔽される。一方、一括ブランキング偏向器212によって偏向されなかったマルチ1次電子ビーム20は、図1に示すように制限アパーチャ基板213の中心の穴を通過する。かかる一括ブランキング偏向器212のON/OFFによって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが一括制御される。このように、制限アパーチャ基板213は、一括ブランキング偏向器212によってビームOFFの状態になるように偏向されたマルチ1次電子ビーム20を遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板213を通過したビーム群により、検査用(画像取得用)のマルチ1次電子ビーム20が形成される。
【0027】
基板101の所望する位置にマルチ1次電子ビーム20が照射されると、かかるマルチ1次電子ビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチ1次電子ビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含む2次電子の束(マルチ2次電子ビーム300)が放出される。
【0028】
基板101から放出されたマルチ2次電子ビーム300は、電磁レンズ207を通って、ビームセパレーター214に進む。
【0029】
ここで、ビームセパレーター214はマルチ1次電子ビーム20の中心ビームが進む方向(電子軌道中心軸)に直交する面上において電界と磁界を直交する方向に発生させる。電界は電子の進行方向に関わりなく同じ方向に力を及ぼす。これに対して、磁界はフレミング左手の法則に従って力を及ぼす。そのため電子の侵入方向によって電子に作用する力の向きを変化させることができる。ビームセパレーター214に上側から侵入してくるマルチ1次電子ビーム20には、電界による力と磁界による力が打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20は下方に直進する。これに対して、ビームセパレーター214に下側から侵入してくるマルチ2次電子ビーム300には、電界による力と磁界による力がどちらも同じ方向に働き、マルチ2次電子ビーム300は斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20から分離する。
【0030】
斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20から分離したマルチ2次電子ビーム300は、偏向器218によって、さらに曲げられ、電磁レンズ224,226によって、屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。マルチ検出器222は、投影されたマルチ2次電子ビーム300を検出する。マルチ検出器222には、反射電子及び2次電子が投影されても良いし、反射電子は途中で発散してしまい残った2次電子が投影されても良い。マルチ検出器222は、2次元センサを有する。そして、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子が2次元センサのそれぞれ対応する領域に衝突して、電子を発生し、2次電子画像データを画素毎に生成する。言い換えれば、マルチ検出器222には、マルチ1次電子ビーム20の1次電子ビームi(23×23本のマルチ1次電子ビーム20であれば、i=1~529)毎に、検出センサが配置される。そして、各1次電子ビームiの照射によって放出された対応する2次電子ビームを検出する。よって、マルチ検出器222の複数の検出センサの各検出センサは、それぞれ担当する1次電子ビーム10iの照射に起因する画像用の2次電子ビームの強度信号を検出することになる。マルチ検出器222にて検出された強度信号は、検出回路106に出力される。
【0031】
図3は、実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。図3において、基板101が半導体基板(ウェハ)である場合、半導体基板(ウェハ)の検査領域330には、複数のチップ(ウェハダイ)332が2次元のアレイ状に形成されている。各チップ332には、露光用マスク基板に形成された1チップ分のマスクパターンが図示しない露光装置(ステッパ、スキャナ等)によって例えば1/4に縮小されて転写されている。各チップ332の領域は、例えばy方向に向かって所定の幅で複数のストライプ領域32に分割される。画像取得機構150によるスキャン動作は、例えば、ストライプ領域32毎に実施される。例えば、-x方向にステージ105を移動させながら、相対的にx方向にストライプ領域32のスキャン動作を進めていく。各ストライプ領域32は、長手方向に向かって複数の矩形領域33に分割される。対象となる矩形領域33へのビームの移動は、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。
【0032】
図4は、実施の形態1におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図4の例では、5×5列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。1回のマルチ1次電子ビーム20の照射で照射可能な照射領域34は、(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じたx方向サイズ)×(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じたy方向サイズ)で定義される。各ストライプ領域32の幅は、照射領域34のy方向サイズと同様、或いはスキャンマージン分狭くしたサイズに設定すると好適である。図3及び図4の例では、照射領域34が矩形領域33と同じサイズの場合を示している。但し、これに限るものではない。照射領域34が矩形領域33よりも小さくても良い。或いは大きくても構わない。そして、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、自身のビームが位置するx方向のビーム間ピッチとy方向のビーム間ピッチとで囲まれるサブ照射領域29内に照射され、当該サブ照射領域29内を走査(スキャン動作)する。マルチ1次電子ビーム20を構成する各1次電子ビーム10は、互いに異なるいずれかのサブ照射領域29を担当することになる。そして、各ショット時に、各1次電子ビーム10は、担当サブ照射領域29内の同じ位置を照射することになる。サブ照射領域29内の1次電子ビーム10の移動は、副偏向器209によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。かかる動作を繰り返し、1つの1次電子ビーム10で1つのサブ照射領域29内を順に照射していく。そして、1つのサブ照射領域29のスキャンが終了したら、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射位置が同じストライプ領域32内の隣接する矩形領域33へと移動する。かかる動作を繰り返し、ストライプ領域32内を順に照射していく。1つのストライプ領域32のスキャンが終了したら、ステージ105の移動或いは/及び主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射位置が次のストライプ領域32へと移動する。以上のように各1次電子ビーム10iの照射によってサブ照射領域29毎の2次電子画像が取得される。これらのサブ照射領域29毎の2次電子画像を組み合わせることで、矩形領域33の2次電子画像、ストライプ領域32の2次電子画像、或いはチップ332の2次電子画像が構成される。
【0033】
なお、図4に示すように、各サブ照射領域29が矩形の複数のフレーム領域30に分割され、フレーム領域30単位の2次電子画像(被検査画像)が検査に使用される。図4の例では、1つのサブ照射領域29が、例えば4つのフレーム領域30に分割される場合を示している。但し、分割される数は4つに限るものではない。その他の数に分割されても構わない。
【0034】
なお、例えばx方向に並ぶ複数のチップ332を同じグループとして、グループ毎に例えばy方向に向かって所定の幅で複数のストライプ領域32に分割されるようにしても好適である。そして、ストライプ領域32間の移動は、チップ332毎に限るものではなく、グループ毎に行っても好適である。
【0035】
ここで、ステージ105が連続移動しながらマルチ1次電子ビーム20を基板101に照射する場合、マルチ1次電子ビーム20の照射位置がステージ105の移動に追従するように主偏向器208によって一括偏向によるトラッキング動作が行われる。そのため、マルチ2次電子ビーム300の放出位置がマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸に対して刻々と変化する。同様に、サブ照射領域29内をスキャンする場合に、各2次電子ビームの放出位置は、サブ照射領域29内で刻々と変化する。このように放出位置が変化した各2次電子ビームをマルチ検出器222の対応する検出領域内に照射させるように、偏向器218は、マルチ2次電子ビーム300を一括偏向する。
【0036】
ここで、電子ビームを照射して得られる画像は、レーザ光を照射して得られる画像に比べてノイズが多く含まれる。例えば、10倍のノイズが含まれる。そのため、マルチ検出器222で得られた画像は、例えば、画素毎に周囲の画素を用いて、所定のモデル関数に従ってノイズ成分を低減することが行われる。その後に、ノイズ低減処理された画像から図形パターンの輪郭線が求められる。そのため計算処理量が多くなってしまうといった問題があった。特に、パターン密度が大きい場合や、パターンが複雑化した場合には計算処理量が膨大になってしまう。また、電子線検査装置では数nmに絞ったビームを走査する必要があるために、総画素数が非常に多くなり、やはり計算処理量が膨大になる。そして、画像分解能が高いために、従来の検査装置より微細な欠陥の検出が要求されており、そのために輪郭線の抽出処理や距離の計算方法が複雑化して計算処理量が増加することも問題となっている。そこで、実施の形態1では、具体的な輪郭線を求めるのではなく、被検査画像と参照画像とについて、それぞれ周囲の画素の輝度値を4隅に定義した矩形領域内を予め設定される輝度値の等高線を分離した小領域の面積を演算し、得られた面積の差分を演算することで、かかる矩形領域内における輪郭線のずれを検査する。
【0037】
図5は、実施の形態1における検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図5において、実施の形態1における検査方法は、2次電子画像取得工程(S102)と、参照画像作成工程(S110)と、画素選択工程(S120)と、グリッド領域回転工程(S122)と、サブ領域面積演算工程(S124)と、画素選択工程(S130)と、グリッド領域回転工程(S132)と、サブ領域面積演算工程(S134)と、比較工程(S140)と、いう一連の工程を実施する。エッジ位置検査を行う場合、比較工程(S140)は、内部工程として、面積差分演算工程(S142)と、判定工程(S144)と、を実施する。或いは、図形パターンの線幅検査を行う場合、比較工程(S140)は、内部工程として、面積差分演算工程(S142)と、ペアエッジ探索工程(S145)と、差分演算工程(S146)と、判定工程(S148)と、を実施する。或いは、エッジ位置検査と図形パターンの線幅検査との両方を行う場合、比較工程(S140)は、内部工程として、面積差分演算工程(S142)と、判定工程(S144)と、ペアエッジ探索工程(S145)と、差分演算工程(S146)と、判定工程(S148)と、を実施する。
【0038】
2次電子画像取得工程(S102)として、画像取得機構150は、図形パターンが形成された基板101にマルチ1次電子ビーム20を照射して、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300を検出することにより、基板101の2次電子画像を取得する。上述したように、マルチ検出器222には、反射電子及び2次電子が投影されても良いし、反射電子は途中で発散してしまい残った2次電子(マルチ2次電子ビーム300)が投影されても良い。
【0039】
画像の取得は、上述したように、マルチ1次電子ビーム20を照射して、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300をマルチ検出器222で検出する。マルチ検出器222によって検出された各サブ照射領域29内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、比較回路108に転送される。比較回路108に転送される。
【0040】
参照画像作成工程(S110)として、参照画像作成回路112(参照画像作成部)は、基板101に形成された図形パターンの基となる設計パターンデータ(設計データ)を用いて、フレーム画像(2次電子画像)に対応する位置の参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
【0041】
上述したように、設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0042】
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとなる。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
【0043】
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに、所定のフィルタ関数を使ってフィルタ処理を施す。これにより、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データをマルチ1次電子ビーム20の照射によって得られる像生成特性に合わせることができる。作成された参照画像の画素毎の画像データは比較回路108に出力される。
【0044】
図6は、実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示す構成図である。図6において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置50,52、画素選択部60,61、グリッド領域回転部62,63、サブ領域面積演算部64,65、及び比較処理部66が配置される。エッジ位置検査を行う場合、比較処理部66内には、面積差分演算部67、及び判定部68が配置される。或いは、図形パターンの線幅検査を行う場合、比較処理部66内には、面積差分演算部67、ペアエッジ探索部69、差分演算部70、及び判定部72が配置される。エッジ位置検査と図形パターンの線幅検査との両方を行う場合、比較処理部66内には、面積差分演算部67、判定部68、ペアエッジ探索部69、差分演算部70、及び判定部72が配置される。
【0045】
図6において、画素選択部60,61、グリッド領域回転部62,63、サブ領域面積演算部64,65、及び比較処理部66(面積差分演算部67、判定部68、ペアエッジ探索部69、差分演算部70、及び判定部72)といった各「~部」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。画素選択部60,61、グリッド領域回転部62,63、サブ領域面積演算部64,65、及び比較処理部66(面積差分演算部67、判定部68、ペアエッジ探索部69、差分演算部70、及び判定部72)内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度図示しないメモリ、或いはメモリ118に記憶される。
【0046】
比較回路108内に入力された測定データは、フレーム領域30単位のフレーム画像(被検査画像)として、記憶装置50に格納される。比較回路108内に入力された参照画像データは、記憶装置52に格納される。
【0047】
画素選択工程(S120)として、画素選択部60は、フレーム画像の画素毎に、当該画素を基準に例えば2×2の画素群を構成する周辺の画素を選択する。
【0048】
図7は、実施の形態1における画素群およびグリッド領域を説明するための図である。図7において、各フレーム領域30のフレーム画像は、メッシュ状の複数の画素36により構成される。各画素36は、各フレーム画像(2次電子画像)を格子状に分割した際の交点となる複数のグリッド37(第1のグリッド)の各グリッド37を中心にした矩形領域で設定される。各画素36は、例えば、マルチ1次電子ビーム20の各ビームの直径サイズと同程度のサイズに設定されると好適である。各グリッド37には、当該グリッドが位置する画素の画素値として、輝度値が定義される。輝度値は、画素の分解能に応じた階調値で定義される。例えば、輝度値として0~255の256階調で定義される。画素選択部60によって選択された、対象画素を基準に例えば2×2の画素群によって、図7に示すように、2×2の隣接するグリッド37群で囲まれる矩形のグリッド領域38(矩形領域)が設定される。よって、グリッド領域38のサイズは、図7の例では、画素36のサイズと同じサイズになる。言い換えれば、矩形のグリッド領域38の4隅のグリッド37に、それぞれ輝度値が定義されている。グリッド37群は、直交するx,y方向の2方向の座標系において2×2個のグリッド群で構成される。隣接するグリッド37群及びグリッド領域38は、対象画素が変わるごとにそれぞれ構成される。よって、フレーム領域30は、端部の半画素分を除いて複数のグリッド領域38で埋め尽くされることになる。
【0049】
グリッド領域回転工程(S122)として、グリッド領域回転部62は、グリッド領域38毎に、最大の輝度値が定義されたグリッド37が原点位置(例えば、左下角)になるように、当該グリッド領域38を回転させる。
【0050】
図8は、実施の形態1におけるグリッド領域の回転を説明するための図である。図8(a)の例では、グリッド領域38の左下のグリッド37の輝度値が100、左上のグリッド37の輝度値が250、右下のグリッド37の輝度値が0、及び右上のグリッド37の輝度値が100である場合を示している。原点位置を左下に設定した場合、左上のグリッド37の輝度値が最大値を示しているので、左上のグリッド37の輝度値が原点位置になるようにグリッド領域38を半時計回りに90°回転させる。これにより、図8(b)に示すように、グリッド領域38の左下のグリッド37の輝度値が250、左上のグリッド37の輝度値が100、右下のグリッド37の輝度値が100、及び右上のグリッド37の輝度値が0にできる。最大輝度が複数のグリッドに定義される場合には、それらのうちのいずれかのグリッド37が原点位置になるように回転させればよい。これにより、x,y座標系において、最大輝度のグリッド37を原点としたグリッド領域38を定義できる。
【0051】
サブ領域面積演算工程(S124)として、サブ領域面積演算部64(第1の面積演算部)は、フレーム画像(2次電子画像)が格子状に分割され、それぞれ画素36の輝度値が定義される複数のグリッド37のうち隣接するグリッド37群で囲まれるグリッド領域38毎に、当該グリッド領域38内においてグリッド37群に定義される輝度値で補間された輝度値が予め設定された基準輝度値よりも大きいサブ領域(第1の領域)の面積(第1の面積)を演算する。グリッド領域38内の各位置の輝度値は、4隅のグリッド37の輝度値によって線形補間された値となる。
【0052】
図9は、実施の形態1における輝度等高線とサブ領域を説明するための図である。図9(a)では、フレーム画像内の1つのグリッド領域38を示している。図9(b)では、かかるフレーム画像と同じ位置の参照画像内の対応する位置のグリッド領域48を示している。フレーム画像内の図形パターンのエッジは、輝度値の立ち上がりの途中或いはピーク位置に存在する。そこで、図形パターンのエッジを決める基準輝度値を予め設定しておく。そして、グリッド領域38内のかかる基準輝度値zの輝度等高線41(y=f(x))を演算する。基準輝度値の輝度等高線41は、グリッド領域38の4隅の左下、右下、左上、及び右上の順に示す輝度値A,B,C,Dを用いて定義される係数a,b,c,dを使って、次の式(1-1)~式(1-5)で定義できる。ここで、A~Dの座標を(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,1)とする。
【0053】
【数1】
【0054】
よって、グリッド領域38内の基準輝度値よりも大きいサブ領域40の面積は、かかる基準輝度値zの輝度等高線y=f(x)を積分することで求めることができる。よって、サブ領域40の面積Sは、次の式(2-1)及び式(2-2)で定義できる。
【0055】
【数2】
【0056】
画素選択工程(S130)として、画素選択部61は、対象となるフレーム画像に対応する参照画像について、画素選択工程(S120)でフレーム画像に対して選択された例えば2×2の画素群と同じ位置の例えば2×2の画素群を構成する周辺の画素を選択する。よって、フレーム画像における2×2の隣接するグリッド37群で囲まれる矩形のグリッド領域38対応した、参照画像における2×2の隣接するグリッド47群で囲まれる矩形のグリッド領域48が設定される。
【0057】
グリッド領域回転工程(S132)として、グリッド領域回転部63は、グリッド領域48毎に、最大の輝度値が定義されたグリッド47が原点位置(例えば、左下角)になるように、当該グリッド領域48を回転させる。
【0058】
サブ領域面積演算工程(S134)として、サブ領域面積演算部65(第2の面積演算部)は、参照画像がフレーム画像と同じサイズで格子状に分割され、それぞれ画素の輝度値が定義される複数のグリッド47(第2のグリッド)のうち、グリッド37群に対応する位置のグリッド47群で囲まれる矩形のグリッド領域48(矩形領域)内においてグリッド47群に定義される輝度値で補間された輝度値が基準輝度値よりも大きいサブ領域42(第2の領域)の面積S’(第2の面積)を演算する。図9(b)に示す参照画像のグリッド領域48内のかかる基準輝度値zの輝度等高線43(y=f(x))は、グリッド領域48の4隅の左下、右下、左上、及び右上の順に示す輝度値A,B,C,Dを用いて定義される係数a,b,c,dを使って、上述した式(1-1)~式(1-5)で演算できる。また、参照画像のグリッド領域48内の基準輝度値よりも大きいサブ領域42の面積S’は、かかる基準輝度値zの輝度等高線43(y=f(x))を積分することで求めることができる。よって、サブ領域42の面積S’は、式(2)のSをS’で置き換えた式で求めることができる。
【0059】
比較工程(S140)として、比較処理部66(比較部)は、グリッド領域38毎に、面積S(第1の面積)と面積S’(第2の面積)とを比較する。具体的には、以下のように動作する。まずは、エッジ位置検査を行う場合について説明する。
【0060】
面積差分演算工程(S142)として、面積差分演算部67は、グリッド領域38毎に、グリッド領域38のサブ領域40の面積Sとグリッド領域48のサブ領域42の面積S’との差分ΔSを演算する。具体的には、面積Sから面積S’を引いた値(S-S’)を演算する。
【0061】
図10は、実施の形態1における差分領域の一例を示す図である。図10では、図9(a)のグリッド領域38のサブ領域40と図9(b)のグリッド領域48のサブ領域42との差分領域44を示している。言い換えれば、フレーム画像のグリッド領域38内の輝度等高線41と参照画像のグリッド領域48内の輝度等高線43とグリッド領域38の枠で囲まれた領域を示している。図10の例では、差分領域44が1つの場合を示しているが、これに限るものではない。フレーム画像のグリッド領域38内の輝度等高線41と参照画像のグリッド領域48内の輝度等高線43との組が2つ以上あれば、同じ数だけ差分領域44も存在することになる。実施の形態1では、かかる差分領域44の面積でエッジ位置のずれを評価する。
【0062】
判定工程(S144)として、判定部68は、グリッド領域38(48)内に配置される図形パターンの片側のエッジ位置を検査する場合に、面積Sと面積S’との差分値ΔSが、所定の範囲内に無い場合にはエッジ位置に欠陥が存在すると判定する。具体的には、面積Sと面積S’との差分値ΔSの絶対値が閾値Thより大きい場合、言い換えれば、次の式(3)を満たさない場合には、当該グリッド領域38には欠陥が存在すると判定する。
【0063】
【数3】
【0064】
なお、基準輝度値の輝度等高線41が存在しないグリッド領域38(48)については、当該グリッド領域38(48)内に図形パターンの輪郭線が存在しないものとして、サブ領域面積演算工程(S124)以降の演算処理の対象から排除しても好適である。もちろん、演算処理の対象としても構わない。かかる場合、図形パターンの輪郭線が存在しないグリッド領域38(48)については、通常、差分領域44が存在しないので、差分ΔSがゼロになる。
【0065】
以上のように、実施の形態1では、図形パターンのエッジ位置を検査する場合に、画素毎に、周囲の画素を用いて補間された輝度等高線とグリッド領域38(48)の枠で囲まれた面積の差分値を演算すれば欠陥の有無を検査できる。このように、実施の形態1では、単純に1回ずつの積分計算とその差分計算を行えば検査ができる。よって、ノイズを除去する処理量を緩和し、各画像の輪郭線を抽出する演算処理、及び画像間での輪郭線の距離を演算する演算処理等を不要にでき、大幅に処理量を低減できる。
【0066】
図11は、実施の形態1の計算領域の変形例を説明するための図である。図11に示すように、フレーム画像の輝度等高線41と参照画像の輝度等高線43とが、1つのグリッド領域38(48)内に位置しない場合もあり得る。そこで、1つのグリッド領域38(48)で計算するのではなく、例えば、2×2のグリッド領域38(48)の4隅の9つのグリッド37(47)の輝度値で2×2のグリッド領域38(48)内の各位置の輝度値を補間して、輝度等高線41と輝度等高線43とを計算するようにしても好適である。
【0067】
次に、図形パターンの線幅検査を行う場合について説明する。面積差分演算工程(S142)の内容は上述した通りである。各グリッド領域38(48)内の差分領域44の面積ΔSだけでは、かかるグリッド領域38(48)を通過する一方のエッジの位置ずれを評価することはできるが、線幅まではわからない。そのため、かかる一方のエッジのペアとなる他方のエッジを探索する必要がある。
【0068】
ペアエッジ探索工程(S145)として、ペアエッジ探索部69は、まず、フレーム領域毎に、図形パターンの少なくとも一方のエッジ(端部)を探索する。
【0069】
図12は、実施の形態1におけるエッジ探索の手法の一例を説明するための図である。図12の例では、フレーム領域30毎に、当該フレーム領域30のフレーム画像を使って、フレーム画像内の図形パターン12のエッジを探索する。図12の例では、フレーム画像の端部(例えば左端)から反対側の端部(例えば右端)に向かって、言い換えればx方向に向かって、各画素の輝度値が順に大きくなる立ち上がり個所を探索する。そして、例えば、立ち上がりの端緒から上限ピークまでの輝度値の中点を示す位置に図形パターンのエッジが位置するエッジ点と判定する。フレーム画像の端部(例えば左端)の上方から下方に順に画素毎に、繰り返し同様の動作を行うことで得られる複数のエッジ点を繋げることで、図形パターンのエッジの一方を構成できる。1つのフレーム領域30内に位置する図形パターン12の数は、1つとは限らないので、同様の動作を行うことで、同じフレーム画像内の複数の図形パターンの一方のエッジを探索できる。また、y方向に向かって同様の動作を実施する。
【0070】
次に、ペアエッジ探索部69は、得られた一方エッジと対になる他方のエッジを探査する。具体的には、以下のように動作する。
【0071】
図13は、実施の形態1におけるペアエッジ探索の手法の一例を説明するための図である。ペアエッジ探索部69は、図形パターンの一方のエッジ11a上の点(エッジ点)から、最短のエッジを探索する。図13の例では、エッジ点を中心に探索円を広げていく。そして、エッジ点に最も近いエッジ11bをペアエッジとして探索する。ペアエッジであるためには、各画素の輝度値が順に小さくなる立ち下がり個所を探索する。そして、例えば、立ち下がりの端緒から下限ピークまでの輝度値の中点を示す位置に図形パターンの他方のエッジ11bが位置するエッジ点と判定する。同じ図形パターンの一方のエッジ11a上の複数のエッジ点において同様の動作を行うことで、同じ方向に探索した結果得られる他方の複数のエッジ点を繋げることで、図形パターンの一方のエッジ11aと対となる他方のエッジ11bを構成できる。また、立ち上がりと立ち下がりは交互に出現するため、両方の探索を同一方向の走査の中で同時に行うこともできる。これにより、図形パターン12の一方のエッジ11a上の各エッジ点に最も近い、図形パターン12の他方のエッジ11b上のエッジ点がわかる。両エッジ上の対となる2つのエッジ点が決まれば、かかるエッジ点を含むグリッド領域38が求められる。
【0072】
差分演算工程(S146)として、差分演算部70は、グリッド領域38毎に、線幅の基になる図形パターンの一方のエッジにおける面積Sと面積S’との差分ΔS1と、他方のエッジにおける面積Sと面積S’との差分ΔS2と、の差分値(ΔS1-ΔS2)を演算する。この時、エッジ11aとエッジ11bの距離(例えば画素単位)を求め、その距離が、あらかじめ定めた範囲内にない場合には、差分値を演算しないものとする。
【0073】
図14は、実施の形態1における図形パターンの線幅検査を説明するための図である。図14の例では、図形パターン12の一方のエッジ11a上の1つのエッジ点を含むフレーム画像内のグリッド領域38aの輝度等高線41aと参照画像内のグリッド領域48aの輝度等高線43aとグリッド領域38a(48a)の枠とで囲まれる差分領域44aを示している。輝度等高線41aがフレーム画像内の図形パターン12の一方のエッジ11aに相当する。輝度等高線43aが参照画像内の図形パターン12の一方のエッジ13aに相当する。また、図14の例では、図形パターン12の他方のエッジ11b上の対となるエッジ点を含むフレーム画像内のグリッド領域38bの輝度等高線41bと参照画像内のグリッド領域48bの輝度等高線43bとグリッド領域38b(48b)の枠とで囲まれる差分領域44bを示している。輝度等高線41bがフレーム画像内の図形パターン12の他方のエッジ11bに相当する。輝度等高線43bが参照画像内の図形パターン12の他方のエッジ13bに相当する。言い換えれば、図14の例では、図形パターン12の一方のエッジ11a上の1つのエッジ点を含むグリッド領域38a(48a)中の差分領域44aと、同じ図形パターン12の他方のエッジ11b上の対となるエッジ点を含むグリッド領域38b(48b)中の差分領域44bとの一例を示している。実施の形態1では、かかる差分領域44aの面積である差分ΔS1と、差分領域44bの面積である差分ΔS2との差分値により、図形パターンの線幅Lのずれを評価する。
【0074】
判定工程(S148)として、判定部71は、グリッド領域38(48)内に配置される図形パターンの線幅を検査する場合に、線幅Lの基になる一方のエッジにおける面積Sと面積S’との差分値ΔS1と、他方のエッジにおける面積Sと面積S’との差分値ΔS2と、の差分値が、所定の範囲内に無い場合には線幅の欠陥が存在すると判定する。具体的には、差分値ΔS1と差分値ΔS2と、の差分値(ΔS1-ΔS2)の絶対値が閾値Th’より大きい場合、言い換えれば、次の式(4)を満たさない場合には、当該グリッド領域38には図形パターンの線幅欠陥が存在すると判定する。
【0075】
【数4】
【0076】
なお、基準輝度値の輝度等高線41が存在しないグリッド領域38(48)については、上述したように、当該グリッド領域38(48)内に図形パターンの輪郭線が存在しないものとして、サブ領域面積演算工程(S124)以降の演算処理の対象から排除しても好適である。
【0077】
以上のように、実施の形態1では、図形パターンの線幅を検査する場合に、画素毎に、周囲の画素を用いて補間された輝度等高線とグリッド領域38(48)の枠で囲まれた面積の差分値の差分を、対となる画素間で演算すれば欠陥の有無を検査できる。このように、実施の形態1では、単純に1回ずつの積分計算とその差分計算とそれら差分の差分計算とを行えば検査ができる。よって、ノイズを除去する処理量を緩和し、各画像の輪郭線を抽出する演算処理、及び画像間での輪郭線の距離を演算する演算処理等を不要にでき、大幅に処理量を低減できる。
【0078】
エッジ位置検査と図形パターンの線幅検査との両方を行う場合、比較工程(S140)は、内部工程として、上述した面積差分演算工程(S142)と、判定工程(S144)と、ペアエッジ探索工程(S145)と、差分値加算工程(S146)と、判定工程(S148)と、を実施すればよい。
【0079】
上述した例では、ダイ-データベース検査を行う場合を説明したが、これに限るものではない。被検査画像は、ダイ-ダイ検査を行う場合であっても構わない。ダイ-ダイ検査を行う場合について説明する。
【0080】
対象となるダイ1のフレーム画像と同じパターンが形成されたダイ2のフレーム画像を上述した参照画像として用いて、画素選択工程(S130)以降の各工程を実施すればよい。言い換えれば、以下、フレーム画像をダイ1のフレーム画像と読み替えると共に、参照画像をダイ2のフレーム画像と読み替えて同様の各工程を実施すればよい。
【0081】
以上のように、実施の形態1によれば、電子ビーム検査において輪郭線検査の処理量を低減できる。
【0082】
以上の説明において、一連の「~回路」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、及び偏向制御回路128は、上述した少なくとも1つの処理回路で構成されても良い。
【0083】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。図1の例では、1つの照射源となる電子銃201から照射された1本のビームから成形アパーチャアレイ基板203によりマルチ1次電子ビーム20を形成する場合を示しているが、これに限るものではない。複数の照射源からそれぞれ1次電子ビームを照射することによってマルチ1次電子ビーム20を形成する態様であっても構わない。
【0084】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0085】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての電子ビーム検査方法及び電子ビーム検査装置は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0086】
10 1次電子ビーム
11,13 エッジ
12 図形パターン
20 マルチ1次電子ビーム
22 穴
29 サブ照射領域
30 フレーム領域
32 ストライプ領域
33 矩形領域
34 照射領域
36 画素
37,47 グリッド
38,48 グリッド領域
40,42 サブ領域
41,43 輝度等高線
44 差分領域
50,52 記憶装置
60,61 画素選択部
62,63 グリッド領域回転部
64,65 サブ領域面積演算部
66 比較処理部
67 面積差分演算部
68 判定部
69 ペアエッジ探索部
70 差分演算部
72 判定部
100 検査装置
101 基板
102 電子ビームカラム
103 検査室
105 ステージ
106 検出回路
107 位置回路
108 比較回路
109 記憶装置
110 制御計算機
112 参照画像作成回路
114 ステージ制御回路
117 モニタ
118 メモリ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 チップパターンメモリ
124 レンズ制御回路
126 ブランキング制御回路
128 偏向制御回路
142 駆動機構
144,146,148 DACアンプ
150 画像取得機構
160 制御系回路
201 電子銃
202 電磁レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
205,206,207,224,226 電磁レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
212 一括ブランキング偏向器
213 制限アパーチャ基板
214 ビームセパレーター
216 ミラー
218 偏向器
222 マルチ検出器
300 マルチ2次電子ビーム
330 検査領域
332 チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14