(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】テープ拡張装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20231117BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
H01L21/78 X
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019157212
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 繁史
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117891(JP,A)
【文献】特開2012-186445(JP,A)
【文献】特開2018-207003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキスパンドテープを介して分割予定ラインに分割の起点が形成された板状の被加工物、又は複数のチップに分割された板状の被加工物が環状フレームの開口に支持されたフレームユニットの該環状フレームを保持するフレーム保持部と、
該フレーム保持部に対して被加工物を、該被加工物の表面に垂直な方向に所定距離移動させて該エキスパンドテープを拡張し、被加工物を該分割予定ラインに沿って複数のチップに分割してチップ間隔を所望の距離に拡張し、又は複数のチップ間隔を所望の距離に拡張するチップ間隔形成ユニットと、
該チップの拡張された間隔を維持した状態で複数のチップを、該エキスパンドテープを介して保持面で吸引固定するチャックテーブルと、
該環状フレームと該複数のチップとの間の該エキスパンドテープの拡張によって弛んだ部分を加熱し、該エキスパンドテープの弛みを除去する加熱ユニットと、
該加熱ユニットによる該エキスパンドテープに与える熱量を調整する熱量調整ユニットと、
を備えるテープ拡張装置であって、
該熱量調整ユニットは、
該エキスパンドテープの耐熱温度および熱収縮量に基づいて設定される該加熱ユニットと該フレームユニットの該エキスパンドテープとの距離を調整するテープ拡張装置。
【請求項2】
該熱量調整ユニットは、
該加熱ユニットの熱源部と該エキスパンドテープとの距離と加熱時間とが設定される制御部を備える請求項1に記載のテープ拡張装置。
【請求項3】
エキスパンドテープを介して分割予定ラインに分割の起点が形成された板状の被加工物、又は複数のチップに分割された板状の被加工物が環状フレームの開口に支持されたフレームユニットの該環状フレームを保持するフレーム保持部と、
該フレーム保持部に対して被加工物を、該被加工物の表面に垂直な方向に所定距離移動させて該エキスパンドテープを拡張し、被加工物を該分割予定ラインに沿って複数のチップに分割してチップ間隔を所望の距離に拡張し、又は複数のチップ間隔を所望の距離に拡張するチップ間隔形成ユニットと、
該チップの拡張された間隔を維持した状態で複数のチップを、該エキスパンドテープを介して保持面で吸引固定するチャックテーブルと、
該環状フレームと該複数のチップとの間の該エキスパンドテープの拡張によって弛んだ部分を加熱し、該エキスパンドテープの弛みを除去する加熱ユニットと、
該加熱ユニットによる該エキスパンドテープに与える熱量を調整する熱量調整ユニットと、
を備えるテープ拡張装置であって、
該熱量調整ユニットは、
該加熱ユニット
の熱源部と該フレームユニットの該エキスパンドテープとの距離を調整する
とともに、予め設定された条件に基づいて加熱時間を設定する制御部を備えるテープ拡張装置。
【請求項4】
該加熱ユニットは、
該被加工物の周囲の該エキスパンドテープを部分的に加熱する熱源部と、
該熱源部を該被加工物の外周を周方向に沿って移動させる回転ユニットと、を備える請求項1
から3のいずれか1項に記載のテープ拡張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスがシリコン等の基板に形成されたウエーハを分割予定ラインに沿って分割する方法として、切削ブレードを用いたダイシングの他に、基板の表面にレーザー加工溝を形成したり、基板の内部に破断基点となる改質層を形成したりする加工方法が知られている。一般的に、ウエーハは、樹脂製のエキスパンドテープで環状フレームの開口に支持された状態で加工されることによって、個々のチップに分割されてもハンドリング性が保たれるようになっている。ウエーハは、チップに分割された後、ピックアップ装置によってエキスパンドテープから一チップずつピックアップされる。この際、チップ同士の間隔が狭いとチップ同士が擦れて傷が付いたり破損したりする可能性があるため、チップが環状フレームに固定された状態でエキスパンドテープを拡張することで、チップ同士の間隔を拡張する方法が考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方法では、ウエーハの外周のエキスパンドテープが弛むため、環状フレームのハンドリング中にエキスパンドテープが揺れて、さらに擦れが発生しやすくなる可能性がある。特に、レーザー光線で基板の内部に改質層を形成し、エキスパンドテープを拡張して各チップに分割する加工方法では、チップの間隔が非常に狭いため、このような問題が発生しやすい可能性があった。特許文献1の方法では、エキスパンドテープを拡張後、ウエーハの外周のエキスパンドテープの弛みを加熱によって除去する装置および方法が考案された。しかしながら、特許文献1の方法では、エキスパンドテープの種類および拡張量が異なる場合、加熱するための熱源の温度を都度制御する必要があるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エキスパンドテープの種類および拡張量に応じて、被加工物の外周のエキスパンドテープが弛んだ部分を好適に除去することができるテープ拡張装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のテープ拡張装置は、エキスパンドテープを介して分割予定ラインに分割の起点が形成された板状の被加工物、又は複数のチップに分割された板状の被加工物が環状フレームの開口に支持されたフレームユニットの該環状フレームを保持するフレーム保持部と、該フレーム保持部に対して被加工物を、該被加工物の表面に垂直な方向に所定距離移動させて該エキスパンドテープを拡張し、被加工物を該分割予定ラインに沿って複数のチップに分割してチップ間隔を所望の距離に拡張し、又は複数のチップ間隔を所望の距離に拡張するチップ間隔形成ユニットと、該チップの拡張された間隔を維持した状態で複数のチップを、該エキスパンドテープを介して保持面で吸引固定するチャックテーブルと、該環状フレームと該複数のチップとの間の該エキスパンドテープの拡張によって弛んだ部分を加熱し、該エキスパンドテープの弛みを除去する加熱ユニットと、該加熱ユニットによる該エキスパンドテープに与える熱量を調整する熱量調整ユニットと、を備えるテープ拡張装置であって、該熱量調整ユニットは、該エキスパンドテープの耐熱温度および熱収縮量に基づいて設定される該加熱ユニットと該フレームユニットの該エキスパンドテープとの距離を調整することを特徴とする。
【0007】
該熱量調整ユニットは、該加熱ユニットの熱源部と該エキスパンドテープとの距離と加熱時間とが設定される制御部を備えてもよい。
【0008】
また、本発明のテープ拡張装置は、エキスパンドテープを介して分割予定ラインに分割の起点が形成された板状の被加工物、又は複数のチップに分割された板状の被加工物が環状フレームの開口に支持されたフレームユニットの該環状フレームを保持するフレーム保持部と、該フレーム保持部に対して被加工物を、該被加工物の表面に垂直な方向に所定距離移動させて該エキスパンドテープを拡張し、被加工物を該分割予定ラインに沿って複数のチップに分割してチップ間隔を所望の距離に拡張し、又は複数のチップ間隔を所望の距離に拡張するチップ間隔形成ユニットと、該チップの拡張された間隔を維持した状態で複数のチップを、該エキスパンドテープを介して保持面で吸引固定するチャックテーブルと、該環状フレームと該複数のチップとの間の該エキスパンドテープの拡張によって弛んだ部分を加熱し、該エキスパンドテープの弛みを除去する加熱ユニットと、該加熱ユニットによる該エキスパンドテープに与える熱量を調整する熱量調整ユニットと、を備えるテープ拡張装置であって、該熱量調整ユニットは、該加熱ユニットの熱源部と該フレームユニットの該エキスパンドテープとの距離を調整するとともに、予め設定された条件に基づいて加熱時間を設定する制御部を備えることを特徴とする。また、該加熱ユニットは、該被加工物の周囲の該エキスパンドテープを部分的に加熱する熱源部と、該熱源部を該被加工物の外周を周方向に沿って移動させる回転ユニットと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、エキスパンドテープの種類および拡張量に応じて、被加工物の外周のエキスパンドテープが弛んだ部分を好適に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るテープ拡張装置の加工対象のフレームユニットの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたフレームユニットの要部の断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るテープ拡張装置の構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示されたテープ拡張装置の構成例を分解して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るテープ拡張装置によるテープ拡張方法の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5に示されたテープ拡張方法の固定ステップ後のテープ拡張装置の要部を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示されたテープ拡張方法の拡張ステップ後のテープ拡張装置の要部を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示されたテープ拡張方法の吸引保持ステップ後のテープ拡張装置の要部を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図5に示されたテープ拡張方法の加熱ステップ中のテープ拡張装置の要部を示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図5に示されたテープ拡張方法の加熱ステップ後のテープ拡張装置の要部を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例に係るテープ拡張装置によりチップ間隔が拡張される被加工物の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係るテープ拡張装置10を図面に基づいて説明する。まず、実施形態に係るテープ拡張装置10の加工対象のフレームユニット200の構成およびテープ拡張装置10の構成について説明する。
図1は、実施形態に係るテープ拡張装置10の加工対象のフレームユニット200の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されたフレームユニット200の要部の断面図である。
図3は、実施形態に係るテープ拡張装置10の構成例を示す斜視図である。
図4は、
図3に示されたテープ拡張装置10の構成例を分解して示す斜視図である。
【0013】
実施形態に係るテープ拡張装置10は、
図1に示す被加工物201を複数のチップ202に分割する、または複数のチップ202のチップ間隔を拡張するための装置である。以下の説明において、実施形態のテープ拡張装置10は、改質層208が形成された被加工物201を複数のチップ202に分割するものとして説明する。被加工物201は、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素またはSiC(炭化ケイ素)等を基板203とする円板状の半導体ウエーハ、光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物201は、
図1に示すように、基板203の表面206に形成される複数の分割予定ライン204と、格子状に交差する複数の分割予定ライン204によって区画された各領域に形成されるデバイス205とを有する。
【0014】
また、被加工物201は、
図2に示すように、基板203の表面に機能層209が積層されている。実施形態では、機能層209は、SiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(以下、Low-k膜と呼ぶ)と、導電性の金属により構成された導電体膜とを備えている。Low-k膜は、導電体膜と積層されて、デバイス205を形成する。導電体膜は、デバイス205の回路を構成する。このために、デバイス205は、互いに積層されたLow-k膜と、Low-k膜間に積層された導電体膜とにより構成される。
【0015】
なお、分割予定ライン204の機能層209は、Low-k膜により構成され、TEG(Test Element Group)を除いて導電体膜を備えていない。TEGは、デバイス205に発生する設計上や製造上の問題を見つけ出すための評価用の素子である。
【0016】
被加工物201は、環状フレーム210およびエキスパンドテープ211に支持される。環状フレーム210は、被加工物201の外径より大きな開口を有する。エキスパンドテープ211は、外周が環状フレーム210の裏面側に貼着される。エキスパンドテープ211は、伸縮性を有する樹脂から構成され、加熱されると収縮する熱収縮性を有する。被加工物201は、環状フレーム210の開口の所定の位置に位置決めされ、裏面207がエキスパンドテープ211に貼着されることによって、環状フレーム210およびエキスパンドテープ211に固定される。なお、実施形態では、被加工物201の裏面207側にエキスパンドテープ211を貼着して固定したが、本発明では、被加工物201の表面206側にエキスパンドテープ211を貼着して固定してもよい。
【0017】
被加工物201は、裏面207側から基板203に対して透過性を有する波長のレーザー光線が分割予定ライン204に沿って照射されることによって、
図2に示すように、基板203の内部に分割予定ライン204に沿った分割の起点である改質層208が形成される。改質層208とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味する。改質層208は、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、およびこれらの領域が混在した領域等である。実施形態では、改質層208は、基板203の他の部分よりも機械的な強度が低い。
【0018】
分割予定ライン204に沿って改質層208が形成された被加工物201と、被加工物201の裏面207に貼着されたエキスパンドテープ211と、エキスパンドテープ211の外周が貼着された環状フレーム210とは、フレームユニット200を構成する。すなわち、フレームユニット200は、被加工物201と、エキスパンドテープ211と、環状フレーム210とからなる。
【0019】
改質層208が形成された被加工物201は、外力が加えられることによって分割予定ライン204の改質層208に沿って個々のデバイス205に分割されて、チップ202に製造される。チップ202は、基板203の一部分と、基板203上のデバイス205とを含む。チップ202の平面形状は、実施形態では正方形状であるが、本発明では長方形状であってもよい。
【0020】
被加工物201を個々のチップ202に分割するための外力は、
図3および
図4に示すテープ拡張装置10によって与えられる。テープ拡張装置10は、チャンバ20と、チャックテーブル30と、フレーム保持部40と、チップ間隔形成ユニット50と、加熱ユニット60と、熱量調整ユニット70と、制御ユニット80とを備える。なお、
図2のX方向およびY方向は、いずれも水平方向に含まれ、互いに直交する。
【0021】
チャンバ20は、上部が開口した箱状に形成されている。チャンバ20は、チャックテーブル30と、フレーム保持部40のフレーム載置プレート41と、チップ間隔形成ユニット50とを収容している。また、チャンバ20は、フレームユニット200を出し入れするとともに開閉扉21により開閉される図示しない搬入出口が設けられている。
【0022】
チャックテーブル30は、チップ202の拡張された間隔を維持した状態で複数のチップ202を、エキスパンドテープ211を介して保持面31で吸引固定するものである。チャックテーブル30は、円板形状である。チャックテーブル30は、エキスパンドテープ211を介してフレームユニット200の被加工物201を吸引保持する保持面31を有する。チャックテーブル30は、保持面31がポーラスセラミック等の多孔質材で構成されている。
【0023】
フレームユニット200は、チャックテーブル30まで、図示しない搬送ユニットにより搬送される。チャックテーブル30は、フレームユニット200のエキスパンドテープ211を介して被加工物201の裏面207側が保持面31に載置される。チャックテーブル30は、真空吸引源により保持面31が吸引されることで、被加工物201の裏面207側を保持面31に吸引保持することが可能である。
【0024】
フレーム保持部40は、フレームユニット200の環状フレーム210を保持し固定するものである。フレーム保持部40は、フレーム載置プレート41と、フレーム押さえプレート42とを備える。
【0025】
フレーム載置プレート41は、平面形状が円形の開口部411が設けられ、かつ上面412が水平方向と平行に平坦に形成された板状に形成されている。フレーム載置プレート41の開口部411の内径は、環状フレーム210の内径と等しく形成されている。フレーム載置プレート41は、開口部411内にチャックテーブル30を配置する。開口部411は、チャックテーブル30と同軸に配置されている。
【0026】
フレーム載置プレート41は、昇降用シリンダ43により昇降自在に設けられている。フレーム載置プレート41は、昇降用シリンダ43のロッド431の先端が取り付けられて、ロッド431が伸縮することで、チャンバ20内で昇降する。なお、実施形態では、フレーム載置プレート41は、昇降用シリンダ43により上面412がフレーム押さえプレート42との間にフレームユニット200の環状フレーム210およびエキスパンドテープ211の外周部を挟む位置から下降される。
【0027】
フレーム押さえプレート42は、フレーム載置プレート41とほぼ同寸法の板状に形成される。フレーム押さえプレート42は、中央に開口部411と同寸法の円形の開口部421が設けられている。フレーム押さえプレート42は、チャンバ20内に固定されている。
【0028】
フレーム保持部40は、フレーム載置プレート41の上面412に、図示しない搬送ユニットにより搬送されてきたフレームユニット200の環状フレーム210が載置される。この際、フレーム保持部40は、昇降用シリンダ43のロッド431が縮小して、フレーム載置プレート41が下方に位置付けられている。フレーム保持部40は、昇降用シリンダ43のロッド431が伸張して、フレーム載置プレート41が上昇することで、フレームユニット200の環状フレーム210をフレーム載置プレート41とフレーム押さえプレート42との間に挟んで固定する。
【0029】
チップ間隔形成ユニット50は、フレーム保持部40に対して被加工物201を、被加工物201の表面206に垂直な方向に所定距離移動させることによって、エキスパンドテープ211を拡張する。チップ間隔形成ユニット50は、エキスパンドテープ211を拡張することによって、被加工物201を分割予定ライン204に沿って複数のチップ202に分割してチップ202間の間隔を所望の距離に拡張するものである。チップ間隔形成ユニット50は、テーブル昇降ユニット53と、突き上げ部材51とを有する。テーブル昇降ユニット53は、チャックテーブル30を保持面31と垂直な方向である鉛直方向に移動させるものである。
【0030】
突き上げ部材51は、円筒状に形成される。突き上げ部材51は、外径がフレーム載置プレート41の上面412に載置される環状フレーム210の内径よりも小さく形成されている。突き上げ部材51は、内径がエキスパンドテープ211に貼着される被加工物201およびチャックテーブル30の外径よりも大きく形成されている。突き上げ部材51は、内側にチャックテーブル30を配置して、チャックテーブル30の外周に配置されている。突き上げ部材51は、チャックテーブル30と同軸に配置されている。突き上げ部材51の上端には、チャックテーブル30の保持面31と同一平面上に配置されたコロ部材511(
図6等に示す)が回転自在に取り付けられている。コロ部材511は、突き上げ部材51がエキスパンドテープ211を突き上げている際に、エキスパンドテープ211との摩擦を緩和する。実施形態において、突き上げ部材51は、テーブル昇降ユニット53によりチャックテーブル30と一体に昇降する。
【0031】
エキスパンドテープ211は、コロ部材511および保持面31が上昇されたフレーム載置プレート41の上面412と同一平面上に位置する状態から、一体に上昇することにより、面方向に拡張する。テーブル昇降ユニット53は、コロ部材511が上端に取り付けられた突き上げ部材51と、保持面31を有するチャックテーブル30とを一体に上昇させることにより、エキスパンドテープ211を面方向に拡張させる。
【0032】
加熱ユニット60は、環状フレーム210と複数のチップ202との間すなわち被加工物201との間のエキスパンドテープ211の拡張によって弛んだ弛み部分213(
図8に示す)を加熱し収縮させることによって、エキスパンドテープ211の弛みを除去するものである。加熱ユニット60は、熱量調整ユニット70により昇降自在に設けられている。加熱ユニット60は、円板状のユニット本体61と、ユニット本体61に取り付けられた複数の熱源部62と、回転ユニット63とを備える。
【0033】
ユニット本体61は、チャックテーブル30の上方でかつチャックテーブル30と同軸に配置されている。ユニット本体61は、回転ユニット63により鉛直方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。ユニット本体61は、熱量調整ユニット70により、昇降自在に設けられている。
【0034】
熱源部62は、ユニット本体61の外縁部に周方向に等間隔に配置されている。熱源部62は、チャックテーブル30およびフレーム保持部40に保持されたフレームユニット200のエキスパンドテープ211の環状フレーム210の内縁と被加工物201の外縁との間である環状領域212に対して鉛直方向に対向する位置に配置されている。熱源部62は、エキスパンドテープ211の環状フレーム210の内縁と被加工物201の外縁との間を部分的に加熱する。実施形態において、熱源部62は、四つ設けられているが、本発明では、四つに限定されない。熱源部62は、赤外線を下方に照射して、エキスパンドテープ211の環状領域212を加熱する形式のもの、例えば、電圧が印加されると加熱されて、赤外線を放射する赤外線セラミックヒータであるが、本発明では、これに限定されない。
【0035】
回転ユニット63は、熱源部62を被加工物201の外周を周方向に沿って移動させる。回転ユニット63は、実施形態において、ユニット本体61を回転させることによって、熱源部62を被加工物201の外周を周方向に沿って移動させるが、ユニット本体61に対して熱源部62を周方向に相対的に移動させるようにしてもよい。
【0036】
熱量調整ユニット70は、加熱ユニット60によるエキスパンドテープ211に与える熱量を調整する。熱量調整ユニット70は、加熱ユニット60の熱源部62とエキスパンドテープ211との距離を調整する。熱量調整ユニット70は、エキスパンドテープ211を加熱する時間を調整する。熱量調整ユニット70は、実施形態において、ユニット本体61を昇降させることによって、熱源部62とエキスパンドテープ211との垂直方向の距離を調整するが、ユニット本体61に対して熱源部62を垂直方向に相対的に移動させるようにしてもよい。熱量調整ユニット70は、熱源部62とエキスパンドテープ211との距離と加熱時間とが設定される制御部71を備える。
【0037】
制御部71は、CPU(central processing unit)等のマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)等のメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する、例えば、コンピュータである。制御部71の機能は、記憶装置に記憶されたプログラムを演算処理装置が実行することで実現される。制御部71は、制御ユニット80に備えられていてもよい。
【0038】
制御ユニット80は、テープ拡張装置10の上述した構成要素、すなわち、チップ間隔形成ユニット50と加熱ユニット60等とをそれぞれ制御して、被加工物201に対する加工動作をテープ拡張装置10に実施させるものである。制御ユニット80は、例えば、CPU(central processing unit)等のマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)等のメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット80は、加工動作の状態および画像等を表示する液晶表示装置等により構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工内容情報等を登録する際に用いる図示しない入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0039】
制御ユニット80は、チャックテーブル30およびフレーム保持部40を拡張位置と近接位置との間を移動させるようにチップ間隔形成ユニット50を制御する。拡張位置とは、チャックテーブル30とフレーム保持部40とが軸心に沿って離れて、エキスパンドテープ211が拡張した位置を示している。より詳しくは、拡張位置とは、チャックテーブル30の保持面31とフレーム保持部40のフレーム載置プレート41の上面412とが軸心方向に離れた際のチャックテーブル30およびフレーム保持部40の位置を示している。近接位置とは、チャックテーブル30とフレーム保持部40とが近接した位置を示している。より詳しくは、近接位置とは、チャックテーブル30の保持面31とフレーム保持部40のフレーム載置プレート41の上面412とが同一平面上に位置付けられた際のチャックテーブル30およびフレーム保持部40の位置を示している。
【0040】
次に、実施形態に係るテープ拡張装置10による、エキスパンドテープ211を拡張し、被加工物201を分割予定ライン204に沿って複数のチップ202に分割して、チップ202間隔を所望の距離に拡張する方法を説明する。
図5は、実施形態に係るテープ拡張装置10によるテープ拡張方法の流れを示すフローチャートである。テープ拡張方法は、
図5に示すように、固定ステップST1と、拡張ステップST2と、吸引保持ステップST3と、加熱ステップST4と、を含む。
【0041】
図6は、
図5に示されたテープ拡張方法の固定ステップST1後のテープ拡張装置10の要部を示す断面図である。固定ステップST1は、エキスパンドテープ211を介してフレームユニット200の被加工物201をチャックテーブル30の保持面31に載置し、環状フレーム210をフレーム保持部40で固定するステップである。
【0042】
固定ステップST1では、まず、制御ユニット80は、昇降用シリンダ43のロッド431を縮小させて、フレーム保持部40のフレーム載置プレート41を下方に位置付ける。次に、制御ユニット80は、保持面31およびコロ部材511の上端が下方に位置付けられたフレーム載置プレート41の上面と同一平面上に位置するようにテーブル昇降ユニット53により突き上げ部材51とチャックテーブル30とを一体に下降させる。この際、フレーム載置プレート41とチャックテーブル30とは、下降した状態で近接位置に位置付けられる。
【0043】
次に、制御ユニット80は、チャンバ20の搬入出口を開閉扉21に開放させて、図示しない搬送ユニットに、
図2に示すように分割予定ライン204に沿った改質層208が形成されたフレームユニット200を、搬入出口を通してチャンバ20内に搬入し、チャックテーブル30の上方まで搬送させる。制御ユニット80は、搬送ユニットにエキスパンドテープ211を介して被加工物201の裏面207を保持面31に載置させるとともに、環状フレーム210をフレーム載置プレート41の上面412に載置させる。
【0044】
次に、制御ユニット80は、昇降用シリンダ43のロッド431を伸張させてフレーム載置プレート41を上昇させるとともに、テーブル昇降ユニット53に突き上げ部材51とチャックテーブル30とを一体に上昇させる。これにより、
図4に示すように、フレームユニット200の環状フレーム210は、フレーム載置プレート41とフレーム押さえプレート42との間に挟まれる。
【0045】
固定ステップST1では、制御ユニット80は、フレームユニット200の環状フレーム210をフレーム載置プレート41とフレーム押さえプレート42との間に固定する。この際、フレーム載置プレート41の上面412と、チャックテーブル30の保持面31および突き上げ部材51の上端に取り付けられたコロ部材511とが同一平面上に位置する近接位置に位置しているため、コロ部材511は、エキスパンドテープ211の環状領域212に当接する。
【0046】
図7は、
図5に示されたテープ拡張方法の拡張ステップST2後のテープ拡張装置10の要部を示す断面図である。拡張ステップST2は、固定ステップST1の後、チャックテーブル30とフレーム保持部40とを被加工物201の表面206と直交する軸心方向に相対的に移動させることによって、エキスパンドテープ211を拡張するステップである。
【0047】
拡張ステップST2では、まず、制御ユニット80は、チップ間隔形成ユニット50のテーブル昇降ユニット53によって突き上げ部材51およびチャックテーブル30を一体に上昇させる。この際、エキスパンドテープ211の外周部がフレーム載置プレート41とフレーム押さえプレート42との間に固定されているため、エキスパンドテープ211の環状領域212は、面方向に拡張される。さらに、突き上げ部材51の上端に設けられたコロ部材511がエキスパンドテープ211との摩擦を緩和するので、エキスパンドテープ211全体が、面方向に拡張される。拡張ステップST2では、エキスパンドテープ211の拡張の結果、エキスパンドテープ211に放射状に引張力が作用する。
【0048】
被加工物201の裏面207に貼着されたエキスパンドテープ211に放射状に引張力が作用すると、被加工物201は、
図2に示す改質層208を基点として、分割予定ライン204に沿って分割される。これにより、被加工物201は、デバイス205間に間隔が形成されることによって、複数のチップ202に分割される。また、拡張ステップST2後において、エキスパンドテープ211の環状領域212は、
図7に示すように、断面が、環状フレーム210の下面からコロ部材511の上面に向かって直線状になる。
【0049】
図8は、
図5に示されたテープ拡張方法の吸引保持ステップST3後のテープ拡張装置10の要部を示す断面図である。吸引保持ステップST3は、拡張ステップST2の後、エキスパンドテープ211を介して被加工物201をチャックテーブル30の保持面31で吸引保持することによって、エキスパンドテープ211の拡張を維持するステップである。
【0050】
吸引保持ステップST3では、まず、制御ユニット80は、真空吸引源を駆動することによって、真空吸引源がチャックテーブル30の保持面31を吸引する。チャックテーブル30は、エキスパンドテープ211を介して保持面31に被加工物201の裏面207側を吸引保持する。これにより、制御ユニット80は、チップ202間の間隔を維持する。
【0051】
吸引保持ステップST3では、次に、制御ユニット80は、チップ間隔形成ユニット50のテーブル昇降ユニット53によって、突き上げ部材51およびチャックテーブル30を一体に下降させる。この際、エキスパンドテープ211の外周部がフレーム載置プレート41とフレーム押さえプレート42との間に固定され、かつエキスパンドテープ211の中心部が吸引保持されているため、エキスパンドテープ211は、
図8に示すように、環状領域212に弛み部分213が生じる。
【0052】
図9は、
図5に示されたテープ拡張方法の加熱ステップST4中のテープ拡張装置10の要部を示す断面図である。
図10は、
図5に示されたテープ拡張方法の加熱ステップST4後のテープ拡張装置10の要部を示す断面図である。加熱ステップST4は、吸引保持ステップST3の後、拡張されたエキスパンドテープ211の環状領域212の弛み部分213を加熱し収縮させて、エキスパンドテープ211の弛みを除去するステップである。
【0053】
加熱ステップST4では、制御ユニット80は、加熱ユニット60の熱源部62に電圧を印加する等によって、熱源部62を所定温度まで加熱する。所定温度は、予め設定された一定の温度である。加熱された熱源部62は、赤外線を放射する。加熱ユニット60は、回転ユニット63によって軸心回りに回転することによって、熱源部62をエキスパンドテープ211の環状領域212を周方向に沿って移動させる。また、熱量調整ユニット70は、オペレータによって制御部71に予め設定された条件に基づいて、加熱ユニット60を制御する。熱量調整ユニット70は、予め設定された条件に基づいて、ユニット本体61を昇降させることによって、熱源部62とエキスパンドテープ211との垂直方向の距離を調整する。熱量調整ユニット70は、エキスパンドテープ211の環状領域212と加熱ユニット60熱源部62との距離を短くすることによって、エキスパンドテープ211に与える熱量を大きくする。熱量調整ユニット70は、エキスパンドテープ211の環状領域212と加熱ユニット60熱源部62との距離を長くすることによって、エキスパンドテープ211に与える熱量を小さくする。熱量調整ユニット70の制御部71は、予め設定された条件に基づいて、加熱ユニット60による加熱時間を調整する。
【0054】
【0055】
表1は、熱量調整ユニット70による加熱調整の目安の例を記載した表である。表1に示すように、エキスパンドテープ211の耐熱温度および熱収縮量は、エキスパンドテープ211の材質および厚み等を含む種類毎に異なる。したがって、エキスパンドテープ211の環状領域212と加熱ユニット60熱源部62との距離は、エキスパンドテープ211の種類毎に異なる数値が設定される。表1に示すように、耐熱温度が高く、熱収縮量が中程度のテープAにおいて、エキスパンドテープ211の環状領域212と加熱ユニット60の熱源部62との距離は、短く設定されることが好ましい。表1に示すように、耐熱温度が高く、熱収縮量が大きいテープBにおいては、エキスパンドテープ211の環状領域212と加熱ユニット60の熱源部62との距離は、中程度に設定されることが好ましい。表1に示すように、耐熱温度が中程度であって、熱収縮量が大きいテープCにおいては、エキスパンドテープ211の環状領域212と加熱ユニット60の熱源部62との距離は、長く設定されることが好ましい。
【0056】
加熱ステップST4では、制御ユニット80は、拡張ステップST2で拡張されたエキスパンドテープ211の環状領域212を加熱する。エキスパンドテープ211は、加熱されることによって収縮するので、
図10に示すように、弛み部分213を加熱されることによってエキスパンドテープ211の弛みが除去される。この際、熱源部62がエキスパンドテープ211の環状領域212を周方向に沿って移動しながら、昇降することによって、エキスパンドテープ211に与える熱量を調整する。これにより、熱量調整ユニット70は、エキスパンドテープ211の弛みの量が不均一であっても、熱源部62の温度を変えることなく、エキスパンドテープ211に与える熱量を調整することができる。
【0057】
エキスパンドテープ211の弛みが除去されると、加熱ステップST4を終了する。加熱ステップST4の後、制御ユニット80は、加熱ユニット60を上昇させ、熱源部62の加熱および真空吸引源を停止する。制御ユニット80は、フレーム保持部40の環状フレーム210の固定を解除する。フレームユニット200は、拡張されたエキスパンドテープ211の弛みが除去されることによって、チャックテーブル30の保持面31の吸引を解除しても、複数のチップ202間の間隔が維持される。
【0058】
以上説明したように、実施形態に係るテープ拡張装置10は、エキスパンドテープ211の環状フレーム210と複数のチップ202との間の拡張による弛みを、加熱ユニット60による加熱によって除去する。この際、テープ拡張装置10は、熱量調整ユニット70が加熱ユニット60とエキスパンドテープ211との間の距離を調整することによって、エキスパンドテープ211に与える熱量を調整する。
【0059】
すなわち、テープ拡張装置10は、加熱ユニット60でエキスパンドテープ211を加熱しながら、双方の間隔を制御できるため、所望の熱量をエキスパンドテープ211の所望の位置に加えることができるという効果を奏する。これにより、加熱ユニット60の熱源部62の細かい温度制御を必要としないので、変更に時間がかかる熱源部62の温度変更ではなく、距離制御によって加熱温度を制御することができる。
【0060】
さらに、スポット的な熱源部62を被加工物201の外周を周方向に沿って移動させる回転ユニット63を備えることによって、熱源部62が環状領域212の周方向に移動しながら加熱できる。これにより、エキスパンドテープ211の弛みの量に不均一があった場合でも、多く弛んだ部分は過熱量を多くする等の制御が、熱源部62の温度を変えずに実施できるという効果も奏する。
【0061】
〔変形例〕
次に、本発明の実施形態の変形例に係るテープ拡張装置10を図面に基づいて説明する。
図11は、実施形態の変形例に係るテープ拡張装置10によりチップ間隔が拡張される被加工物201-2の要部の断面図である。なお、
図11は、実施形態と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
変形例に係るテープ拡張装置10のチップ間隔形成ユニット50は、
図11に示すように、フレームユニット200のエキスパンドテープ211を拡張して、複数のチップ202間隔を所望の距離に拡張するものである。変形例に係る被加工物201-2は、デバイス205間に分割溝216が形成されて個々のチップ202に分割されている。分割溝216は、被加工物201-2に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を分割予定ライン204(
図1参照)に沿って照射してアブレーション加工を施して形成されても良く、分割予定ライン204に沿って切削ブレードを切り込ませて切削加工を施して形成されても良い。
【0063】
変形例に係るテープ拡張装置10は、分割されたチップ202の間隔を所望の距離に拡張した際のエキスパンドテープ211の環状フレーム210と複数のチップ202との間の拡張による弛みを、加熱ユニット60による加熱によって除去する。これにより、エキスパンドテープ211が複数のチップ202を好適に保持することができるので、チップ202間の間隔を好適に維持できる。また、環状フレーム210のハンドリング中にエキスパンドテープ211が揺れたり、揺れによるチップ202同士の擦れが発生したりすることを抑制できる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0065】
例えば、エキスパンドテープ211は、引き伸ばされた引張力がかかった状態でロール状に巻回されているため、長手方向である巻回方向と、巻回方向と垂直な幅方向とで、伸びやすさおよび縮みやすさに差がある。エキスパンドテープ211は、特に、幅方向と平行方向に拡張された部分が、縮んで変形しやすく弛みが発生しやすいという特性がある。そこで、エキスパンドテープ211の伸びやすい方向である幅方向の両端部に位置する部分に与える熱量を、伸びにくい方向である巻回方向の両端部に位置する部分に与える熱量より大きくするように、熱量調整ユニット70の制御部71に予め設定してもよい。このように、本発明のテープ拡張装置10を用いることで、エキスパンドテープ211の幅方向と平行に拡張された領域の大きく弛んだ部分を、その他の領域より多く加熱することが容易にできるため、被加工物201の外周の弛んだエキスパンドテープ211の弛みを一様に除去できる。
【符号の説明】
【0066】
10 テープ拡張装置
20 チャンバ
30 チャックテーブル
31 保持面
40 フレーム保持部
50 チップ間隔形成ユニット
60 加熱ユニット
70 熱量調整ユニット
200 フレームユニット
201、201-2 被加工物
202 チップ
203 基板
204 分割予定ライン
205 デバイス
206 表面
207 裏面
208 改質層(分割起点)
209 機能層
210 環状フレーム
211 エキスパンドテープ
212 環状領域
213 弛み部分
216 分割溝