(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】基板搬送方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231117BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231117BHJP
C23C 14/56 20060101ALI20231117BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20231117BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/302 101G
C23C14/56 G
H01L21/31 A
(21)【出願番号】P 2020049569
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠治
(72)【発明者】
【氏名】佐野 僚
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-232071(JP,A)
【文献】特開2017-128796(JP,A)
【文献】特開2007-142284(JP,A)
【文献】特開2000-306974(JP,A)
【文献】特開2016-011719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0058529(US,A1)
【文献】特表2005-527120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/3065
C23C 14/56
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置における基板搬送方法であって、
前記基板処理装置は、
処理対象の基板を搬出入する第1の開口と、複数の貫通孔が設けられたシャワープレートを有し、内部にガス拡散室が設けられた第1のガス供給部と、第1の排気システムとを有する処理容器と、
前記基板を搬出入する第2の開口と、第2のガス供給部と、第2の排気システムとを有する真空容器と、
前記処理容器と前記真空容器との間に介在し、前記第1の開口と前記第2の開口とを連通または遮断する遮蔽体を有する開閉装置と、を備え、
前記開閉装置の開放を許可する圧力を開放圧力とし、
前記開閉装置が遮断した状態で、前記第1のガス供給部から前記処理容器の内部に処理ガスを供給し、前記処理容器の内部に配置された前記基板に処理を施す工程と、
前記処理ガスの供給を停止し、前記処理容器の内部において、前記第1のガス供給部から第1のガス流量で第1のパージガスを供給しながら前記第1の排気システムにより前記第1のパージガスを排気し、前記処理容器の内部の第1の圧力を前記開放圧力に調整する工程と、
前記真空容器の内部において、前記第2のガス供給部から第2のガス流量で第2のパージガスを供給しながら前記第2の排気システムにより前記第2のパージガスを排気し、前記開閉装置の内部であって前記遮蔽体の前記真空容器側の第2の圧力、および、前記真空容器の内部の第3の圧力のいずれか一方若しくは両方を前記開放圧力に調整する工程と、
前記第1の圧力と、前記第2の圧力または前記第3の圧力とが等しくなった時に、前記第2のガス流量を、前記第1のガス流量よりも大きな第3のガス流量に変更するとともに、前記第2の排気システムを遮断し、前記開閉装置を開放する工程と、
前記基板を、前記第1の開口および前記第2の開口を経て、前記処理容器から前記真空容器に移送する工程と、
を有する基板搬送方法。
【請求項2】
前記第1の圧力は、前記処理容器に設けられた第1の圧力計で測定し、
前記第2の圧力は、前記開閉装置に設けられた第2の圧力計で測定し、
前記第3の圧力は、前記真空容器に設けられた第3の圧力計で測定する、
請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記第2の圧力は、前記遮蔽体である弁体と、該弁体を収容する筐体とから構成されたゲートバルブである前記開閉装置において、前記筐体に取り付けられた前記第2の圧力計で測定する、
請求項2に記載の基板搬送方法。
【請求項4】
前記開閉装置を開放する工程は、前記第1の圧力と、前記第2の圧力とが等しくなった時に、前記第2のガス流量を、前記第1のガス流量よりも大きな第3のガス流量に変更するとともに、前記第2の排気システムを遮断し、前記開閉装置を開放する、
請求項1~3のいずれか1つに記載の基板搬送方法。
【請求項5】
前記開閉装置の開放直後における前記第1の圧力、前記第2の圧力および前記第3の圧力の圧力勾配は、前記第3の圧力が前記第2の圧力より大きく、前記第2の圧力が前記第1の圧力より大きくなる、
請求項1~4のいずれか1つに記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記第1の圧力と前記第3の圧力との圧力差は、5mTorr以内である、
請求項5に記載の基板搬送方法。
【請求項7】
前記真空容器は、前記基板を搬送する搬送装置を備えた搬送室である、
請求項1~6のいずれか1つに記載の基板搬送方法。
【請求項8】
前記ガス拡散室は、内部の圧力が、前記第1の圧力よりも高い圧力である、
請求項1~7のいずれか1つに記載の基板搬送方法。
【請求項9】
基板処理装置であって、
処理対象の基板を搬出入する第1の開口と、複数の貫通孔が設けられたシャワープレートを有し、内部にガス拡散室が設けられた第1のガス供給部と、第1の排気システムとを有する処理容器と、
前記基板を搬出入する第2の開口と、第2のガス供給部と、第2の排気システムとを有する真空容器と、
前記処理容器と前記真空容器との間に介在し、前記第1の開口と前記第2の開口とを連通または遮断する遮蔽体を有する開閉装置と、
前記開閉装置の開放を許可する圧力を開放圧力とし、前記開閉装置が遮断した状態で、前記第1のガス供給部から前記処理容器の内部に処理ガスを供給し、前記処理容器の内部に配置された前記基板に処理を施す工程と、前記処理ガスの供給を停止し、前記処理容器の内部において、前記第1のガス供給部から第1のガス流量で第1のパージガスを供給しながら前記第1の排気システムにより前記第1のパージガスを排気し、前記処理容器の内部の第1の圧力を前記開放圧力に調整する工程と、前記真空容器の内部において、前記第2のガス供給部から第2のガス流量で第2のパージガスを供給しながら前記第2の排気システムにより前記第2のパージガスを排気し、前記開閉装置の内部であって前記遮蔽体の前記真空容器側の第2の圧力、および、前記真空容器の内部の第3の圧力のいずれか一方若しくは両方を前記開放圧力に調整する工程と、前記第1の圧力と、前記第2の圧力または前記第3の圧力とが等しくなった時に、前記第2のガス流量を、前記第1のガス流量よりも大きな第3のガス流量に変更するとともに、前記第2の排気システムを遮断し、前記開閉装置を開放する工程と、前記基板を、前記第1の開口および前記第2の開口を経て、前記処理容器から前記真空容器に移送する工程とを実行する制御部と、
を有する基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置において、基板に対して処理を行う処理室と、処理室に基板を搬送する搬送室との間で、減圧雰囲気に保持された状態で基板の搬出入を行う際、処理室と搬送室の間に設けられるゲートバルブを開放することになる。このとき、処理室から搬送室へダストやパーティクルが侵入することを防止するために、搬送室側を陽圧としてからゲートバルブを開放することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ゲートバルブ開放時に処理室から搬送室への腐食性ガスや反応生成物などの汚染物質の拡散を抑制しつつ処理室内でのパーティクルの舞い上がりを抑制できるとともに、ガス拡散室への残留ガスの侵入を抑制できる基板搬送方法および基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板搬送方法は、基板処理装置における基板搬送方法であって、基板処理装置は、処理対象の基板を搬出入する第1の開口と、複数の貫通孔が設けられたシャワープレートを有し、内部にガス拡散室が設けられた第1のガス供給部と、第1の排気システムとを有する処理容器と、基板を搬出入する第2の開口と、第2のガス供給部と、第2の排気システムとを有する真空容器と、処理容器と真空容器との間に介在し、第1の開口と第2の開口とを連通または遮断する遮蔽体を有する開閉装置と、を備え、開閉装置の開放を許可する圧力を開放圧力とし、開閉装置が遮断した状態で、第1のガス供給部から処理容器の内部に処理ガスを供給し、処理容器の内部に配置された基板に処理を施す工程と、処理ガスの供給を停止し、処理容器の内部において、第1のガス供給部から第1のガス流量で第1のパージガスを供給しながら第1の排気システムにより第1のパージガスを排気し、処理容器の内部の第1の圧力を開放圧力に調整する工程と、真空容器の内部において、第2のガス供給部から第2のガス流量で第2のパージガスを供給しながら第2の排気システムにより第2のパージガスを排気し、開閉装置の内部であって遮蔽体の真空容器側の第2の圧力、および、真空容器の内部の第3の圧力のいずれか一方または両方を開放圧力に調整する工程と、第1の圧力と、第2の圧力または第3の圧力とが等しくなった時に、第2のガス流量を、第1のガス流量よりも大きな第3のガス流量に変更するとともに、第2の排気システムを遮断し、開閉装置を開放する工程と、基板を、第1の開口および第2の開口を経て、処理容器から真空容器に移送する工程とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ゲートバルブ開放時に処理室から搬送室への腐食性ガスや反応生成物などの汚染物質の拡散を抑制しつつ処理室内でのパーティクルの舞い上がりを抑制できるとともに、ガス拡散室への残留ガスの侵入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における基板処理装置の断面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるゲートバルブを閉じた状態のプロセスチャンバと搬送チャンバにおけるパージガスの流れの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3の状態におけるパージガスの流量の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3の状態における各空間の圧力の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態におけるゲートバルブを開放した状態のプロセスチャンバと搬送チャンバにおけるパージガスの流れの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6の状態におけるパージガスの流量の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図6の状態における各空間の圧力の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における搬送処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示する基板搬送方法および基板処理装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
基板処理装置において、処理室と搬送室の間に設けられるゲートバルブを、搬送室側を陽圧とした状態で開放する場合、処理室と搬送室の圧力差が大きいと、差圧による乱気流が発生し、処理室若しくは搬送室に付着していたパーティクルを舞い上げてしまい、製品不良の原因となる。また、搬送室側を陽圧とした状態では、処理室において、処理ガスを供給するガス拡散室内に、腐蝕性の残留ガスや基板処理に伴う生成物が逆拡散してしまい、ガス拡散室が汚染され、新たなパーティクル源となる場合がある。そこで、ゲートバルブ開放時にパーティクルの舞い上がりを抑制するとともに、ガス拡散室への残留ガスの侵入を抑制することが期待されている。
【0010】
[基板処理装置100の構成]
図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置の一例を示す図である。
図1に示す基板処理装置100は、フラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板(以下、単に「基板」と称する)PLに対してエッチング処理を行なうためのマルチチャンバータイプの装置である。FPDとしては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が挙げられる。
【0011】
図1に示すように、基板処理装置100は、その中央部に搬送チャンバ1が配置されている。搬送チャンバ1の周囲には、真空予備室であるロードロック室7と、真空処理室である複数(本例では5つ)のプロセスチャンバ8a~8eが配置されている。プロセスチャンバ8a~8eは、成膜処理室、エッチング処理室、アッシング処理室等として構成することが可能である。なお、プロセスチャンバ8a~8eは、処理容器の一例である。また、本例の搬送チャンバ1は、ロードロック室7と、プロセスチャンバ8a~8eとの計6つの室が周囲に配置される形状、例えば平面視で略六角形状、全体として上面と底面を合わせて八面体形状に構成されているが、室の配置数および全体の形状はこれに限定されない。
【0012】
搬送チャンバ1と各プロセスチャンバ8a~8eとの間には、これらの間を気密にシールし、かつ開閉可能に構成されるゲートバルブ15がそれぞれ設けられている。また、搬送チャンバ1とロードロック室7との間、および、ロードロック室7と外側の大気雰囲気とを連通する開口部には、同様の機能を有するゲートバルブ16が設けられている。
【0013】
ロードロック室7の外側には、基板PLを収容する3つのカセット9が配置されている。これらカセット9には、例えば未処理の基板や処理済みの基板が収容されている。これら3つのカセット9の間には、基板搬送装置90が配置されている。基板搬送装置90は、基板PLを載せるスライドアーム部と、スライドアーム部を進出退避および回転可能に支持する基部とを有している。
【0014】
搬送チャンバ1は、基板PLを搬送するための搬送装置13が内部に設置されている。搬送チャンバ1は、その内部空間を所定の減圧雰囲気(例えば、真空環境下)に保持することができるように構成されている。なお、搬送チャンバ1は、真空容器(搬送室)の一例である。
【0015】
搬送チャンバ1では、搬送装置13により、ロードロック室7およびプロセスチャンバ8a~8e間において基板PLの移載が行われる。搬送装置13は、ベース部と、下段ハンドベース13bと、上段ハンドベース13dと、を有している。ベース部は、搬送チャンバ1のほぼ中央部に設けられ、搬送装置13を昇降および旋回させる駆動機構部と、駆動機構部に対して旋回および昇降自在に設けられる被駆動部とを備える。この被駆動部に、下段ハンドベース13bおよび上段ハンドベース13dが設けられる。
【0016】
被駆動部は、下段ハンドベース13bおよび上段ハンドベース13dを、被駆動部に対して進退動させるためのアクチュエータ、ガイド部およびスライダを備える。各スライダには、下段ハンドベース13bおよび上段ハンドベース13dが固定される。いずれかのスライダを駆動させることにより、下段ハンドベース13bまたは上段ハンドベース13dが進退動される。下段ハンドベース13bおよび上段ハンドベース13dには、それぞれ下段ハンド13cおよび上段ハンド13e(例えば、
図1中では4本のフォークハンド)が設けられる。駆動機構部の駆動により、被駆動部が搬送チャンバ1の内部空間で旋回、昇降され、下段ハンドベース13bまたは上段ハンドベース13dを進退動させることで、ロードロック室7およびプロセスチャンバ8a~8e間において基板PLの移載が行われる。
【0017】
ロードロック室7およびプロセスチャンバ8a~8eは、搬送チャンバ1と同様に、それぞれの内部空間を所定の減圧雰囲気に保持することができるように構成されている。プロセスチャンバ8a~8eの内部では、例えば成膜や、プラズマによるエッチングまたはアッシングなどの処理が行なわれる。プロセスチャンバ8a~8eは、同様に構成されてもよく、また、処理内容に応じて異なって構成されてもよい。
【0018】
基板処理装置100は、制御装置10を有する。制御装置10は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROMまたは補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、基板処理装置100の各構成要素の動作を制御する。
【0019】
次に、
図2を用いて基板処理装置100の断面における各部について説明する。なお、以下の説明では、プロセスチャンバ8a~8eを区別せず、プロセスチャンバ8として説明する。
図2は、本実施形態における基板処理装置の断面の一例を示す図である。
図2に示すように、プロセスチャンバ8は、第1の開口20と、第1のガス供給部21と、第1の排気システム26と、載置台27と、第1の圧力計29とを有する。なお、プロセスチャンバ8は、プロセスモジュール(PM:Process Module)とも呼ばれる。
【0020】
第1の開口20は、処理対象の基板PLを、ゲートバルブ15を介して搬送チャンバ1から搬出入する開口部である。第1のガス供給部21は、シャワープレート22と、ガス拡散室23とを有する。シャワープレート22には、複数の貫通孔22aが設けられ、ガス拡散室23と、プロセスチャンバ8内の処理空間28とが流体連通している。ガス拡散室23には、ガス供給管24aを介してガスソース24が接続され、処理ガスおよび第1のパージガスが供給される。処理ガスは、例えば、Cl2等のハロゲン含有ガス、希ガス、H2ガス、O2ガス等の各種のガスを用いることができる。また、第1のパージガスは、例えば、Arガス、O2ガス、N2ガス等を用いることができる。また、ガス拡散室23には、拡散室圧力計25が設けられ、ガス拡散室23の圧力が計測可能である。なお、ガス拡散室23の圧力については、拡散室圧力計25を設けず、ガス拡散室23に供給されるガスのガス流量と、シャワープレート22のコンダクタンスと、後述する処理空間28の第1の圧力計29から取得される圧力とから算出するようにしてもよい。
【0021】
第1の排気システム26は、処理空間28内の処理ガスおよびパージガスを排気する真空ポンプを有する。真空ポンプとしては、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)を用いることができる。第1の排気システム26は、プロセスチャンバ8内の処理空間28を所望の真空度まで減圧することができる。また、第1の排気システム26は、APC(Auto Pressure Controller)バルブを有し、プロセスチャンバ8の圧力を自動制御する。
【0022】
載置台27は、処理対象の基板PLを載置する。載置台27は、上面から突出自在な複数の細棒状のリフトピン(図示せず)を有する。載置台27は、リフトピンを用いて基板PLを持ち上げることで、搬送チャンバ1の搬送装置13と基板PLの受け渡しを行う。第1の圧力計29は、プロセスチャンバ8内の処理空間28の圧力を測定する。第1の圧力計29は、測定した圧力データを制御装置10に出力する。
【0023】
ゲートバルブ15は、弁体30と、筐体31と、第2の圧力計32とを有する。弁体30は、プロセスチャンバ8の第1の開口20と、搬送チャンバ1の第2の開口40とを連通または遮断する遮断体である。筐体31は、弁体30を収容する。第2の圧力計32は、筐体31内の空間33の圧力を測定する。第2の圧力計32は、測定した圧力データを制御装置10に出力する。空間33は、搬送チャンバ1の第2の開口40を介して、搬送チャンバ1内の空間45と連通している。なお、ゲートバルブ15は、開閉装置の一例である。また、ゲートバルブ16も同様の構造を有する。
【0024】
搬送チャンバ1は、搬送装置13と、第2の開口40と、第2のガス供給部41と、第2の排気システム42と、第3の圧力計43と、第3の開口44とを有する。なお、搬送チャンバ1は、トランスファーモジュール(TM:Transfer Module)とも呼ばれる。
【0025】
搬送装置13は、上述のように、ロードロック室7およびプロセスチャンバ8間において基板PLの移載を行う。第2の開口40は、処理対象の基板PLを、ゲートバルブ15を介してプロセスチャンバ8から搬出入する開口部である。第2のガス供給部41は、ガス供給管41aを介して搬送チャンバ1に接続された、第2のパージガスを供給するガスソース46を有する。第2のガス供給部41は、搬送チャンバ1内の空間45に第2のパージガスを供給する。第2のパージガスは、例えば、N2ガス、Arガス等を用いることができる。
【0026】
第2の排気システム42は、空間45内のパージガスを排気する真空ポンプを有する。真空ポンプとしては、例えば、メカニカルブースターポンプ(MBP:Mechanical Booster Pump)や拡散ポンプ(DP:Diffusion Pump)を用いることができる。第2の排気システム42は、搬送チャンバ1内の空間45を所望の真空度まで減圧することができる。また、第2の排気システム42は、例えばアイソレーションバルブを有し、第2の排気システム42の排気を遮断または開放する。第3の圧力計43は、搬送チャンバ1内の空間45の圧力を測定する。第3の圧力計43は、測定した圧力データを制御装置10に出力する。
【0027】
ロードロック室7は、ステージ50と、第4の開口51と、第5の開口52と、第3の排気システム53とを有する。ステージ50は、搬送チャンバ1の搬送装置13と、基板搬送装置90のスライドアーム部との間で基板PLをやり取りするための台である。第4の開口51は、基板PLを、ゲートバルブ16を介して搬送チャンバ1から搬出入する開口部である。第5の開口52は、基板PLを、ゲートバルブ16を介して基板搬送装置90から搬出入する開口部である。第3の排気システム53は、空間54内を排気する真空ポンプを有する。真空ポンプとしては、例えば、メカニカルブースターポンプ(MBP)や拡散ポンプ(DP)を用いることができる。第3の排気システム53は、ロードロック室7内の空間54を所望の真空度まで減圧することができる。
【0028】
[パージガスの流れ]
次に、
図3から
図8を用いて、ゲートバルブ15の開閉状態それぞれにおけるパージガスの流れについて説明する。
図3は、本実施形態におけるゲートバルブを閉じた状態のプロセスチャンバと搬送チャンバにおけるパージガスの流れの一例を示す図である。なお、以下の説明では、プロセスチャンバ8の処理空間28に供給されるパージガスの流れをフローF1と表し、搬送チャンバ1の空間45に供給されるパージガスの流れをフローF2,F3と表す。また、第1のパージガスをパージガスG1と表し、第2のパージガスをパージガスG2と表す。さらに、ガス拡散室23の圧力を圧力P0と表し、処理空間28の圧力を圧力P1(第1の圧力)と表し、空間33の圧力を圧力P2(第2の圧力)と表し、空間45の圧力を圧力P3(第3の圧力)と表す。また、
図3では簡略化して描かれているが、実際には、フローF1はガス供給管24aを経由して処理空間28に供給されるパージガスG1の流れであり、フローF2、F3はガス供給管41aを経由して空間45に供給されるパージガスG2の流れである。
【0029】
図3に示すように、プロセスチャンバ8にフローF1で供給されるパージガスG1は、ガス拡散室23およびシャワープレート22の貫通孔22aを介して、処理空間28に供給され、第1の排気システム26によって排気される。搬送チャンバ1にフローF2で供給されるパージガスG2は、空間45に供給され、第2の排気システム42によって排気される。すなわち、ゲートバルブ15を閉じた状態では、第1の開口20が弁体30によって閉じられているので、プロセスチャンバ8のパージガスG1の流れと、搬送チャンバ1のパージガスG2の流れとは、それぞれ独立している。
【0030】
図3の状態において、各空間の圧力P0~P3が安定した時の各フローの流量と各空間の圧力値を
図4および
図5に示す。
図4は、
図3の状態におけるパージガスの流量の一例を示す図である。
図5は、
図3の状態における各空間の圧力の一例を示す図である。
図4および
図5に示すように、
図3の状態では、フローF1は、パージガスG1が流量2500sccmで供給され、ガス拡散室23の圧力P0が1000mTorr、処理空間28の圧力P1が30mTorrとなっている。このとき、処理空間28の圧力P1は、第1の排気システム26のAPCバルブによって、30mTorrに調整されている。つまり、制御装置10は、第1の圧力計29により処理空間28の圧力P1を監視して、APCバルブが処理空間28の圧力P1を自動制御する。
【0031】
また、フローF2は、パージガスG2が流量300sccmで供給され、空間33の圧力P2が30mTorr、空間45の圧力P3が30mTorrとなっている。このとき、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3は、第2のガス供給部41がフローF2の流量を調整することで制御されている。なお、フローF2とフローF3は、第2のガス供給部41において切り替え可能である。第2のガス供給部41では、それぞれ流量が設定され、フローF2が「Slow」(流量が小さい設定)に対応し、フローF3が「Busy」(流量が大きい設定)に対応する。
【0032】
次に、
図6を用いて、ゲートバルブ15の開放、フローF2からフローF3への変更、および、第2の排気システム42における排気の遮断を行った直後の状態について説明する。
図6は、本実施形態におけるゲートバルブを開放した状態のプロセスチャンバと搬送チャンバにおけるパージガスのフローの一例を示す図である。
【0033】
図6に示すように、プロセスチャンバ8にフローF1で供給されるパージガスG1は、ガス拡散室23およびシャワープレート22の貫通孔22aを介して、処理空間28に供給され、第1の排気システム26によって排気される。搬送チャンバ1にフローF3で供給されるパージガスG2は、空間45に供給され、第2の開口40、空間33および第1の開口20を介して、フローF4に示すように処理空間28に流れ込む。すなわち、ゲートバルブ15を開放した状態では、第2の排気システム42が遮断されているので、パージガスG1,G2が第1の排気システム26によって排気される。
【0034】
図6の状態における各フローの流量と各空間の圧力値を
図7および
図8に示す。
図7は、
図6の状態におけるパージガスの流量の一例を示す図である。
図8は、
図6の状態における各空間の圧力の一例を示す図である。
図7および
図8に示すように、
図6の状態では、フローF1は、パージガスG1が流量2500sccmで供給され、ガス拡散室23の圧力P0が1000mTorr、処理空間28の圧力P1が30mTorrとなっている。また、フローF3は、パージガスG2が流量3000sccmで供給され、空間33の圧力P2が32mTorr、空間45の圧力P3が35mTorrとなっている。このとき、処理空間28の圧力P1は、第1の排気システム26のAPCバルブによって、30mTorrに調整されている。つまり、制御装置10は、第1の圧力計29および第2の圧力計32により、処理空間28の圧力P1と空間33の圧力P2とを監視して、APCバルブが処理空間28の圧力P1を自動制御する。また、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3は、第2のガス供給部41によるフローF3の流量の調整、および、第1の排気システム26のAPCバルブによる排気量の調整により制御されている。
【0035】
図6の状態において、ゲートバルブ15の開放直後の各空間の圧力P1~P3の関係は、P3>P2>P1といった圧力勾配を有することになる。このため、ゲートバルブ15の開放時に、処理空間28から空間45への腐蝕性ガスや反応生成物などの汚染物質の拡散を抑制することができる。また、ゲートバルブ15を開放する時点においては、予め圧力P1と圧力P2が同じ圧力に調整されているため、ゲートバルブ15の開放時にパージガスG2をパージガスG1よりも大きな流量に変更することにより、圧力P2が上昇しても、圧力P1と圧力P2の圧力差は小さく抑えられる。このため、処理空間28への急激なガスの流入を避けることができ、その結果、パーティクルの舞い上がりを抑制することができる。また、ガス拡散室23の圧力P0と処理空間28の圧力P1との関係は、P0>>P1となる。このため、ガス拡散室23への処理空間28に残留した処理ガス(残留ガス)の侵入を抑制することができる。
【0036】
[基板搬送方法]
続いて、本実施形態に係る基板搬送方法について説明する。
図9は、本実施形態における搬送処理の一例を示すシーケンス図である。
図9では、基板処理装置100におけるプロセスチャンバ8と搬送チャンバ1との間での基板搬送方法について説明する。また、
図9では、各ステップにおける圧力P0~P3、差圧#1=(P0-P1)および差圧#2=(P2-P1)と、パージガスG1,G2の流量とを示す。
【0037】
まず、ゲートバルブ15が遮断した状態において、制御装置10は、プロセスチャンバ8の処理空間28に対して、第1のガス供給部21から処理ガスを供給し、基板PLに対して処理を施す(ステップS1)。このとき、ガス拡散室23には、処理ガスが供給された状態であり、ガス拡散室23の圧力P0は、例えば1000mTorrであるとする。なお、ステップS1における圧力P0は、処理の内容によって変化し、例えば、500mTorr~1500mTorr程度となる。また、処理空間28の圧力P1は、15mTorrであり、差圧#1は、985mTorrである。なお、ステップS1では、基板PLに対して処理中であるので、パージガスG1の流量は0sccmである。
【0038】
一方、制御装置10は、搬送チャンバ1の内部において、第2のガス供給部41から第2のガス流量(F2)でパージガスG2を供給しながら、第2の排気システム42によりパージガスG2を排気する。制御装置10は、空間33の圧力P2(第2の圧力)および空間45の圧力P3(第3の圧力)を、それぞれゲートバルブ15の開放を許可する開放圧力に調整する。ここで、パージガスG2の流量(第2のガス流量(F2))は、例えば300sccmであり、開放圧力は、30mTorrである。このとき、差圧#2は、15mTorrである。
【0039】
制御装置10は、基板PLに対する処理が完了すると、プロセスチャンバ8における処理ガスの供給を停止する。制御装置10は、第1のガス供給部21から第1のガス流量(F1)でパージガスG1を供給しながら第1の排気システム26によりパージガスG1を排気し、プロセスチャンバ8の内部、つまり処理空間28の圧力P1(第1の圧力)を開放圧力に調整する(ステップS2)。ここで、パージガスG1の流量(第1のガス流量(F1))は、例えば2500sccmであり、開放圧力は、圧力P2および圧力P3の場合と同じく、30mTorrである。また、ステップS2における空間33の圧力P2および空間45の圧力P3は、ステップS1から引き続いて30mTorrに調整されている。すなわち、制御装置10は、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3と等しくなるように調整する。なお、制御装置10は、処理空間28の圧力P1および空間33の圧力P2を測定して、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2と等しくなるように調整するようにしてもよく、また、処理空間28の圧力P1および空間45の圧力P3を測定して、処理空間28の圧力P1が、空間45の圧力P3と等しくなるように調整するようにしてもよい。
【0040】
制御装置10は、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3と等しいか否かを判定する。なお、制御装置10は、圧力P1と圧力P2、若しくは圧力P1と圧力P3とが等しいか否かを判定するようにしてもよい。制御装置10は、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3と等しいと判定した場合、パージガスG2の流量を3000sccmに変更するとともに、第2の排気システム42を遮断し、ゲートバルブ15を開放する(ステップS3)。
【0041】
すなわち、制御装置10は、第1の圧力(P1)と、第2の圧力(P2)または第3の圧力(P3)とが等しくなった時に、第2のガス流量(F2)を、第1のガス流量(F1)よりも大きな第3のガス流量(F3)に変更するとともに、第2の排気システム42を遮断し、ゲートバルブ15を開放する。なお、第1のガス流量(F1)は2500sccmであり、第2のガス流量(F2)は300sccmであり、第3のガス流量(F3)は3000sccmである。一方、制御装置10は、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3と等しくないと判定した場合、引き続き各空間の圧力P1~P3を調整し、当該判定を繰り返す。
【0042】
ゲートバルブ15が開放された直後の各空間の圧力は、ガス拡散室23の圧力P0が1000mTorrであり、処理空間28の圧力P1が30mTorrであり、空間33の圧力P2が32mTorrであり、空間45の圧力P3が35mTorrである。すなわち、パージガスG2の流量が300sccmから3000sccmに増加することで、空間45の圧力P3が上昇し、各空間の圧力勾配がP3>P2>P1となる。また、差圧#1は970mTorrであり、差圧#2は2mTorrである。このとき、処理空間28の圧力P1と空間45の圧力P3との圧力差は、5mTorr以内であることが好ましい。
【0043】
制御装置10は、ゲートバルブ15の開放後も引き続き、処理空間28の圧力P1が開放圧力である30mTorrとなるように、第1の排気システム26のAPCバルブを調整する(ステップS4)。このときの各空間の圧力は、ガス拡散室23の圧力P0が1000mTorrであり、処理空間28の圧力P1が30mTorrであり、空間33の圧力P2が30mTorrであり、空間45の圧力P3が30mTorrである。ゲートバルブの開放直後に一時的に上昇した圧力P2および圧力P3は、ステップS4において定常的な圧力へと移行する。また、差圧#1は970mTorrであり、差圧#2は0mTorrである。パージガスG1の流量(第1のガス流量(F1))は、2500sccmであり、パージガスG2の流量(第3のガス流量(F3))は、3000sccmである。
【0044】
制御装置10は、搬送装置13を用いてプロセスチャンバ8の載置台27に載置された基板PLを、第1の開口20および第2の開口40を経て、搬送チャンバ1に移送して搬出する(ステップS5)。このときの各空間の圧力、および、パージガスの流量は、ステップS4と同様である。
【0045】
制御装置10は、基板PLのプロセスチャンバ8からの搬出が完了すると、ゲートバルブ15を閉めるとともに、パージガスG2の流量を300sccmに変更し、第2の排気システム42を開放する(ステップS6)。このときの各空間の圧力は、ガス拡散室23の圧力P0が1000mTorrであり、処理空間28の圧力P1が30mTorrであり、空間33の圧力P2が30mTorrであり、空間45の圧力P3が30mTorrである。また、差圧#1は970mTorrであり、差圧#2は0mTorrである。パージガスG1の流量(第1のガス流量(F1))は、2500sccmであり、パージガスG2の流量(第2のガス流量(F2))は、300sccmである。
【0046】
制御装置10は、ゲートバルブ15を閉めると、搬送装置13上の基板PLをロードロック室7に移送し、次の基板PLをロードロック室7から受け取って、搬入準備を行う(ステップS7)。このときの各空間の圧力、および、パージガスの流量は、ステップS6と同様である。
【0047】
制御装置10は、次の基板PLの搬入準備が整うと、ステップS3と同様に、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3と等しいか否かを判定する。なお、制御装置10は、圧力P1と圧力P2、若しくは圧力P1と圧力P3とが等しいか否かを判定するようにしてもよい。制御装置10は、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3と等しいと判定した場合、パージガスG2の流量を3000sccmに変更するとともに、第2の排気システム42を遮断し、ゲートバルブ15を開放する(ステップS8)。
【0048】
一方、制御装置10は、処理空間28の圧力P1が、空間33の圧力P2および空間45の圧力P3と等しくないと判定した場合、引き続き各空間の圧力P1~P3を調整し、当該判定を繰り返す。ゲートバルブ15が開放された直後の各空間の圧力、および、パージガスの流量は、ステップS3と同様である。
【0049】
制御装置10は、ステップS4と同様に、ゲートバルブ15の開放後も引き続き、処理空間28の圧力P1が開放圧力である30mTorrとなるように、第1の排気システム26のAPCバルブを調整する(ステップS9)。このときの各空間の圧力、および、パージガスの流量は、ステップS4と同様である。
【0050】
制御装置10は、搬送チャンバ1内の搬送装置13に載置された基板PLを、第2の開口40および第1の開口20を経て、プロセスチャンバ8に搬入し載置台27に載置する(ステップS10)。このときの各空間の圧力、および、パージガスの流量は、ステップS9と同様である。
【0051】
制御装置10は、次の基板をプロセスチャンバ8に搬入すると、ゲートバルブ15を閉めるとともに、パージガスG2の流量を300sccmに変更し、第2の排気システム42を開放する(ステップS11)。このときの各空間の圧力、および、パージガスの流量は、ステップS6と同様である。
【0052】
制御装置10は、ゲートバルブ15を閉めると、パージガスG1の供給を停止し、ステップS1に戻り、次の基板PLに対して処理を施す。このように、本実施形態では、プロセスチャンバ8と搬送チャンバ1との圧力を等しくなるように調整しながら、ゲートバルブ15を開放する時に搬送チャンバ1のパージガスG2の流量を大きくするので、ゲートバルブ15の開放直後は自動的に搬送チャンバ1側が少し陽圧となる。また、ガス拡散室23にパージガスG1を供給しているので、ガス拡散室23への腐蝕性ガスの侵入を抑制する。
【0053】
以上、本実施形態によれば、基板処理装置100は、処理容器(プロセスチャンバ8)と、真空容器(搬送チャンバ1)と、開閉装置(ゲートバルブ15)と、基板処理方法を実行する制御装置10とを備える。処理容器は、処理対象の基板PLを搬出入する第1の開口20と、複数の貫通孔22aが設けられたシャワープレート22を有し、内部にガス拡散室23が設けられた第1のガス供給部21と、第1の排気システム26とを有する。真空容器は、基板PLを搬出入する第2の開口40と、第2のガス供給部41と、第2の排気システム42とを有する。開閉装置は、処理容器と真空容器との間に介在し、第1の開口20と第2の開口40とを連通または遮断する遮蔽体(弁体30)を有する。基板処理方法は、開閉装置の開放を許可する圧力を開放圧力とし、開閉装置が遮断した状態で、第1のガス供給部21から処理容器の内部に処理ガスを供給し、処理容器の内部に配置された基板PLに処理を施す工程と、処理ガスの供給を停止し、処理容器の内部において、第1のガス供給部21から第1のガス流量で第1のパージガスを供給しながら第1の排気システム26により第1のパージガスを排気し、処理容器の内部の第1の圧力を開放圧力に調整する工程と、真空容器の内部において、第2のガス供給部41から第2のガス流量で第2のパージガスを供給しながら第2の排気システム42により第2のパージガスを排気し、開閉装置の内部であって遮蔽体の真空容器側の第2の圧力、および、真空容器の内部の第3の圧力のいずれか一方若しくは両方を開放圧力に調整する工程と、第1の圧力と、第2の圧力または第3の圧力とが等しくなった時に、第2のガス流量を、第1のガス流量よりも大きな第3のガス流量に変更するとともに、第2の排気システム42を遮断し、開閉装置を開放する工程と、基板PLを、第1の開口20および第2の開口40を経て、処理容器から真空容器に移送する工程とを有する。その結果、ゲートバルブ15の開放時にパーティクルの舞い上がりを抑制できるとともに、ガス拡散室23への残留ガスの侵入を抑制できる。
【0054】
また、本実施形態によれば、第1の圧力は、処理容器に設けられた第1の圧力計29で測定し、第2の圧力は、開閉装置に設けられた第2の圧力計32で測定し、第3の圧力は、真空容器に設けられた第3の圧力計43で測定する。その結果、処理空間28と空間33または空間45の圧力とが等しいかどうかを判定することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、第2の圧力は、遮蔽体である弁体30と、該弁体30を収容する筐体31とから構成されたゲートバルブ15である開閉装置において、筐体31に取り付けられた第2の圧力計32で測定する。その結果、ゲートバルブ15内の空間33の圧力を測定することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、第1の圧力と、第2の圧力とが等しくなった時に、第2のガス流量を、第1のガス流量よりも大きな第3のガス流量に変更するとともに、第2の排気システム42を遮断し、開閉装置を開放する。その結果、ゲートバルブ15の開放時にパーティクルの舞い上がりを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態によれば、開閉装置の開放直後における第1の圧力、第2の圧力および第3の圧力の圧力勾配は、第3の圧力が第2の圧力より大きく、第2の圧力が第1の圧力より大きくなる。その結果、搬送チャンバ1側への腐蝕性ガスの侵入を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第1の圧力と第3の圧力との圧力差は、5mTorr以内である。その結果、ゲートバルブ15の開放時にパーティクルの舞い上がりを抑制できる。
【0059】
また、本実施形態によれば、真空容器は、基板PLを搬送する搬送装置を備えた搬送室である。その結果、プロセスチャンバ8に基板PLを搬出入することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、ガス拡散室23は、内部の圧力が、第1の圧力よりも高い圧力である。その結果、ガス拡散室23への残留ガスの侵入を抑制できる。
【0061】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
【0062】
また、上記した実施形態では、第2の排気システム42のバルブとして、遮断または開放を行うアイソレーションバルブを用いたが、これに限定されない。例えば、第2の排気システム42のバルブとして、第1の排気システム26と同様にAPCバルブを用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 搬送チャンバ
7 ロードロック室
8,8a~8e プロセスチャンバ
10 制御装置
15 ゲートバルブ
20 第1の開口
21 第1のガス供給部
22 シャワープレート
22a 貫通孔
23 ガス拡散室
26 第1の排気システム
30 弁体
40 第2の開口
41 第2のガス供給部
42 第2の排気システム
100 基板処理装置
PL 基板