(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-16
(45)【発行日】2023-11-27
(54)【発明の名称】吸水性樹脂粒子
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20231117BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20231117BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CEY
A61F13/53 300
(21)【出願番号】P 2020559330
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2019048811
(87)【国際公開番号】W WO2020122211
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-01-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2018232724
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019054972
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【氏名又は名称】沖田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100189452
【氏名又は名称】吉住 和之
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 志保
【合議体】
【審判長】植前 充司
【審判官】加藤 友也
【審判官】淺野 美奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-88552(JP,A)
【文献】国際公開第2008/015980(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181565(WO,A1)
【文献】特開平9-323038(JP,A)
【文献】特開平8-53550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/12
A61F13/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%であり、生理食塩水保水量が
41~51g/gであり、下記測定方法により行う減圧下水分保持試験において、水分保持率6時間値が
59~65質量%である、吸水性樹脂粒子。
100mlビーカー内で600rpmで撹拌させた生理食塩水38g中に吸水性樹脂粒子2gを投入し、渦が消失した時点から25℃で30分間静置し、膨潤ゲルを作製する。12cm×10cmのEDANA WSP241.2R3(12)に規定される、坪量が16.5±1.5g/m
2で、圧力損失124Paにおける透気度が230±50l/分/100cm
2である不織布製の120mm×100mmのティーバッグに前記膨潤ゲル20gを入れ、袋を閉じたものを評価サンプルとし、質量を測定する。篩の上に載せた前記評価サンプルを、35℃、内圧0.2kPaの真空乾燥機内に置き、1時間毎に前記評価サンプルの質量を測定する。
膨潤ゲル量(g/g)=(評価サンプル質量(g)-風袋質量(g))/測定する膨潤ゲルに含まれる吸水性樹脂粒子乾燥質量(g)
水分保持率(%)=(減圧後膨潤ゲル量(g/g)/初期膨潤ゲル量(g/g))×100
【請求項2】
請求項1に記載の吸水性樹脂粒子を含有する、吸収体。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収体を備える、吸収性物品。
【請求項4】
おむつである、請求項3に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、紙おむつ等の衛生用品の分野で使用されている。例えば特許文献1には、液透過性の表面層、液不透過性の防漏層及び液保持性の吸収層を有する吸収性物品において、該吸収層は、水で膨潤しない親水性繊維若しくは親水性発泡体、又は水で膨潤させた後に遠心脱水したときの水保持量が0.7g/g以下である親水性繊維若しくは親水性発泡体と、高吸水性ポリマーとからなり、上記吸収性物品に生理食塩水を10g吸収させ、5分後に遠心脱水したときの該生理食塩水の固定化率が90%以上である吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において評価されている生理食塩水の固定化率は、生理食塩水を5分間吸収させた吸収性物品が、遠心脱水後にどれだけの水を保持しているかを示す値である。しかしながら、当該値は、吸収性物品を構成する各材質が十分に固定化(保持)できていない水、すなわち、材質表層又は材質間に存在する余剰の水を、遠心脱水によって除去した後の保水能を示すものと考えられ、吸水性樹脂粒子自体がその内部に吸収した水分を再度外部に放出することについては何ら検討されていない。従って、吸収性物品のムレ抑制には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、衛生用品として使用された際のムレを抑制することができる吸水性樹脂粒子、並びにそれを用いた吸収体及び吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸水性樹脂粒子は、下記測定方法により行う減圧下水分保持試験において、水分保持率6時間値が55質量%以上である。
100mlビーカー内で600rpmで撹拌させた生理食塩水38g中に吸水性樹脂粒子2gを投入し、渦が消失した時点から25℃で30分間静置し、膨潤ゲルを作製する。12cm×10cmのEDANA WSP241.2R3(12)に規定される不織布製のティーバッグに上記膨潤ゲル20gを入れ、袋を閉じたものを評価サンプルとし、質量を測定する。篩の上に載せた上記評価サンプルを、35℃、内圧0.2kPaの真空乾燥機内に置き、1時間毎に上記評価サンプルの質量を測定する。
膨潤ゲル量(g/g)=(評価サンプル質量(g)-風袋質量(g))/測定する膨潤ゲルに含まれる吸水性樹脂粒子乾燥質量(g)
水分保持率(%)=(減圧後膨潤ゲル量(g/g)/初期膨潤ゲル量(g/g))×100
【0007】
上記吸水性樹脂粒子は、生理食塩水保水量が30~70g/gであってよい。
【0008】
本発明はまた、上記吸水性樹脂粒子を含有する吸収体を提供する。
【0009】
本発明はまた、上記吸収体を備える吸収性物品を提供する。
【0010】
上記吸収性物品は、おむつであってよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、衛生用品として使用された際のムレを抑制することができる吸水性樹脂粒子、並びにそれを用いた吸収体及び吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本明細書において、「アクリル」及び「メタクリル」を合わせて「(メタ)アクリル」と表記する。「アクリレート」及び「メタクリレート」も同様に「(メタ)アクリレート」と表記する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「水溶性」とは、25℃において水に5質量%以上の溶解性を示すことをいう。本明細書に例示する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0015】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、下記測定方法により行う減圧下水分保持試験において、水分保持率6時間値が55質量%以上である。更に具体的な測定方法は、後述の実施例において示される。
100mlビーカー内で600rpmで撹拌させた生理食塩水38g中に吸水性樹脂粒子2gを投入し、渦が消失した時点から25℃で30分間静置し、膨潤ゲルを作製する。12cm×10cmの、EDANA WSP241.2R3(12)に規定される不織布製のティーバッグに上記膨潤ゲル20gを入れ、袋を閉じたものを評価サンプルとし、初期値として質量を測定する。篩の上に載せた上記評価サンプルを、35℃、内圧0.2kPaの真空乾燥機内に置き、1時間毎に上記評価サンプルの質量を測定する。
膨潤ゲル量(g/g)=(評価サンプル質量(g)-風袋質量(g))/測定する膨潤ゲルに含まれる吸水性樹脂粒子乾燥質量(g)
水分保持率(%)=(減圧後膨潤ゲル量(g/g)/初期膨潤ゲル量(g/g))×100
【0016】
上記ティーバッグとしては、EDANA WSP241.2R3(12)に規定される不織布製のバッグを用いる。すなわち、開口のない、加熱シール可能な不織布製のバッグであって、その不織布は坪量が16.5±1.5g/m2であり、圧力損失124Paにおける透気度が230±50l/分/100cm2である。このようなティーバッグとしては、具体的には例えば、日本製紙パピリア製ヒートパック(MWA18:18gsm)を所定のサイズに裁断し、必要により折り曲げ、各辺を加熱シールにより閉じたものを用いることができる。
【0017】
本実施形態に係る吸水性樹脂は、減圧下の6時間後という厳しい条件においても高い水分保持率を有しており、一度吸収した水分を外部に放出しにくい性質を有するといえる。そのため、おむつ等の衛生用品の構成材料として用いた際に、吸収した水分が外部に放出されにくく、使用時のムレを低減することができる。
【0018】
水分保持率6時間値は、57質量%以上であってよく、58質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。水分保持率6時間値は、例えば、80質量%以下であってよい。
【0019】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量は、ムレを抑制する観点から、30g/g以上、32g/g以上、35g/g以上、38g/g以上、39g/g以上、40g/g以上、41g/g以上、42g/g以上、44g/g以上、又は46g/g以上であってよい。吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量は、70g/g以下、65g/g以下、60g/g以下、55g/g以下、又は、52g/g以下であってよい。生理食塩水の保水量は、30~70g/g、30~60g/g、30~55g/g、又は32~55g/gであってよい。また、生理食塩水の保水量は、35~70g/g、38~70g/g、41~70g/g、41~65g/g、41~60g/g、42~55g/g又は44~55g/gであってもよい。吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量は、後述する実施例に記載の方法によって測定できる。
【0020】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、中位粒子径が例えば250~850μmで、300~700μm、又は300~600μmであってよい。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、例えば、後述の製造方法により得られた時点で所望の粒度分布を有するものとすることができ、更に篩による分級を用いた粒度調整等の操作を行うことにより、粒度分布を所定のものとしてもよい。
【0021】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、例えば、エチレン性不飽和単量体を含有する単量体を重合させて得られる架橋重合体を含むことができる。すなわち、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有することができる。
【0022】
上記単量体を重合させる方法としては、逆相懸濁重合法、水溶液重合法、バルク重合法、沈殿重合法等が挙げられる。これらの中では、得られる吸水性樹脂粒子の良好な吸水特性の確保、及び重合反応の制御が容易である観点から、逆相懸濁重合法又は水溶液重合法が好ましい。以下においては、エチレン性不飽和単量体を重合させる方法として、逆相懸濁重合法を例にとって説明する。
【0023】
エチレン性不飽和単量体は水溶性であることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸及びその塩、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体がアミノ基を含有する場合には、当該アミノ基は4級化されていてもよい。上記単量体が有するカルボキシル基及びアミノ基等の官能基は、後述する表面架橋工程において架橋が可能な官能基として機能しうる。これらのエチレン性不飽和単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0024】
これらの中でも、工業的に入手が容易という観点から、エチレン性不飽和単量体は、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド並びにN,N-ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、並びにアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。吸水特性をより高める観点から、エチレン性不飽和単量体は、アクリル酸及びその塩、並びにメタクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが更に好ましい。
【0025】
単量体としては、上記のエチレン性不飽和単量体以外の単量体が一部使用されてもよい。このような単量体は、例えば、上記エチレン性不飽和単量体を含む水溶液に混合して用いることができる。エチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体全量に対し70~100モル%であることが好ましい。中でも(メタ)アクリル酸及びその塩が、単量体全量に対し70~100モル%であることがより好ましい。
【0026】
エチレン性不飽和単量体は、通常、水溶液として用いるのが好適である。エチレン性不飽和単量体を含む水溶液(以下、単量体水溶液という)におけるエチレン性不飽和単量体の濃度は、通常20質量%以上飽和濃度以下とすればよく、25~70質量%が好ましく、30~55質量%がより好ましい。使用される水は、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
【0027】
単量体水溶液は、用いられるエチレン性不飽和単量体が酸基を含む場合、その酸基をアルカリ性中和剤によって中和して用いてもよい。エチレン性不飽和単量体における、アルカリ性中和剤による中和度は、得られる吸水性樹脂粒子の浸透圧を高くし、保水量などの吸水特性をより高める観点から、エチレン性不飽和単量体中の酸性基の10~100モル%、好ましくは50~90モル%、より好ましくは60~80モル%である。アルカリ性中和剤としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア等が挙げられる。これらのアルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態にして用いられてもよい。上述のアルカリ性中和剤は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。エチレン性不飽和単量体の酸基の中和は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を上記単量体水溶液に滴下して混合することにより行うことができる。
【0028】
逆相懸濁重合法においては、界面活性剤の存在下で、炭化水素分散媒中で単量体水溶液を分散し、ラジカル重合開始剤等を用いて、エチレン性不飽和単量体の重合が行われる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。重合の際に、内部架橋剤を用いてもよい。
【0029】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤及びアニオン系界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味するものとする。以下同じ。)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、及びポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、W/O型逆相懸濁の状態が良好で、吸水性樹脂粒子が好適な粒子径で得られやすく、工業的に入手が容易であるという観点から、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。さらに、得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性が向上するという観点から、界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステルを含むことがより好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0030】
界面活性剤の量は、使用量に対する効果が十分得られ、かつ経済的である観点から、エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0.05~10質量部であることが好ましく、0.08~5質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることが更に好ましい。
【0031】
また、逆相懸濁重合では、上述した界面活性剤と共に、高分子系分散剤を併せて用いてもよい。
【0032】
高分子系分散剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの高分子系分散剤の中でも、特に、単量体の分散安定性の面から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体を用いることが好ましい。これらの高分子系分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0033】
高分子系分散剤の量は、使用量に対する効果が十分得られ、かつ経済的である観点から、エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0.05~10質量部であることが好ましく、0.08~5質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることが更に好ましい。
【0034】
ラジカル重合開始剤は水溶性であることが好ましく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、及び過酸化水素等の過酸化物;2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-フェニルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等のアゾ化合物などが挙げられる。これらの中でも、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}2塩酸塩が好ましい。これらラジカル重合開始剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0035】
ラジカル重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.00005~0.01モルであってよい。ラジカル重合開始剤の使用量が0.00005モル以上であると、重合反応に長時間を要さず、効率的である。使用量が0.01モル以下であると、急激な重合反応が起こらない傾向がある。
【0036】
上記ラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L-アスコルビン酸等の還元剤と併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
【0037】
重合反応の際には、重合に用いるエチレン性不飽和単量体水溶液の中に、連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類等が挙げられる。
【0038】
また、吸水性樹脂粒子の粒子径を制御するために、重合に用いるエチレン性不飽和単量体水溶液の中に、増粘剤を含んでいてもよい。
【0039】
増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を用いることができる。なお、重合時の撹拌速度が同じであれば、エチレン性不飽和単量体水溶液の粘度が高いほど得られる粒子の中位粒子径は大きくなる傾向にある。
【0040】
炭化水素分散媒は、炭素数6~8の鎖状脂肪族炭化水素、及び炭素数6~8の脂環族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。炭化水素分散媒としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、n-オクタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans-1,2-ジメチルシクロペンタン、cis-1,3-ジメチルシクロペンタン、trans-1,3-ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの炭化水素分散媒は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。工業的に入手が容易であり、かつ品質が安定している観点から、炭化水素分散媒は、n-ヘプタン、シクロヘキサン、又はこれらの両方を含んでいてもよい。また、同観点から、上記炭化水素分散媒の混合物としては、例えば、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:n-ヘプタン及び異性体の炭化水素75~85%含有)を用いてもよい。
【0041】
炭化水素分散媒の使用量は、重合熱を適度に除去し、重合温度を制御しやすくする観点から、単量体水溶液100質量部に対して、30~1000質量部が好ましく、40~500質量部がより好ましく、50~300質量部が更に好ましい。炭化水素分散媒の使用量が30質量部以上であることにより、重合温度の制御が容易である傾向がある。炭化水素分散媒の使用量が1000質量部以下であることにより、重合の生産性が向上する傾向があり、経済的である。
【0042】
通常、重合の際に自己架橋による内部架橋が生じ得るが、更に内部架橋剤を用いることで内部架橋を施し、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御してもよい。用いられる内部架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類のジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;上記ポリオール類とマレイン酸、フマール酸等の不飽和酸とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N’’-トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の、反応性官能基を2個以上有する化合物等が挙げられる。これらの内部架橋剤の中でも、ポリグリシジル化合物を用いることが好ましく、ジグリシジルエーテル化合物を用いることがより好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルを用いることが特に好ましい。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0043】
内部架橋剤の量は、得られる重合体が適度に架橋されることにより水溶性の性質が抑制され、充分な吸水量を示すようにする観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0~0.03モルであることが好ましく、0.00001~0.01モルであることがより好ましく、0.00002~0.005モルであることが更に好ましい。
【0044】
エチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開始剤、必要に応じて内部架橋剤等の成分を含む水相と、炭化水素系分散媒、必要に応じて界面活性剤、高分子系分散剤等の成分を含む油相とを混合して、撹拌下で加熱し、油中水系において、逆相懸濁重合を行うことができる。
【0045】
逆相懸濁重合を行う際には、界面活性剤、必要に応じて高分子系分散剤の存在下に、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を、炭化水素分散媒に分散させる。このとき、重合反応を開始する前であれば、界面活性剤や高分子系分散剤の添加時期は、単量体水溶液添加の前後どちらであってもよい。
【0046】
その中でも、得られる吸水性樹脂に残存する炭化水素分散媒量を低減しやすいという観点から、高分子系分散剤を分散させた炭化水素分散媒に、単量体水溶液を分散させた後に、更に界面活性剤を分散させてから重合を行うことが好ましい。
【0047】
このような逆相懸濁重合を、1段、又は2段以上の多段で行うことが可能である。また、生産性を高める観点から2~3段で行うことが好ましい。
【0048】
2段以上の多段で逆相懸濁重合を行う場合には、1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物にエチレン性不飽和単量体を添加して混合し、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、エチレン性不飽和単量体の他に、上述したラジカル重合開始剤や内部架橋剤を、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述したエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。なお、2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、必要に応じて内部架橋剤を用いてもよい。内部架橋剤を用いる場合は、各段に供するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
【0049】
重合反応の温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより、経済性を高めるとともに、容易に重合熱を除去して円滑に反応を行う観点から、20~150℃が好ましく、40~120℃がより好ましい。反応時間は、通常、0.5~4時間である。重合反応の終了は、例えば、反応系内の温度上昇の停止により確認することができる。これにより、エチレン性不飽和単量体の重合体は、通常、含水ゲルの状態で得られる。
【0050】
重合後、得られた含水ゲル状重合体に架橋剤を添加して加熱することで、重合後架橋を施してもよい。重合後架橋を行なうことで含水ゲル状重合体の架橋度を高めて、吸水特性をより好ましく向上させることができる。
【0051】
重合後架橋を行うための架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等の2個以上のエポキシ基を有する化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、及びα-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等の2個以上のイソシアネート基を有する化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が好ましい。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0052】
重合後架橋に用いられる架橋剤の量は、得られる含水ゲル状重合体が適度に架橋されることによって好適な吸水特性を示すようにする観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0~0.03モルであることが好ましく、0~0.01モルであることがより好ましく、0.00001~0.005モルであることが更に好ましい。上記架橋剤の添加量が上述の範囲であると、減圧下での水分保持率が好適な吸水性樹脂粒子が得られやすい。
【0053】
重合後架橋の添加時期としては、重合に用いられるエチレン性不飽和単量体の重合後であればよく、多段重合の場合は、多段重合後に添加されることが好ましい。なお、重合時及び重合後の発熱、工程遅延による滞留、架橋剤添加時の系の開放、及び架橋剤添加に伴う水の添加等による水分の変動を考慮して、重合後架橋の架橋剤は、含水率(後述)の観点から、[重合直後の含水率±3質量%]の領域で添加することが好ましい。
【0054】
引き続き、得られた含水ゲル状重合体より水分を除去するために、乾燥を行なう。乾燥により、エチレン性不飽和単量体の重合体を含む重合体粒子が得られる。乾燥方法としては、例えば(a)上記含水ゲル状重合体が炭化水素分散媒に分散した状態で、外部から加熱することにより共沸蒸留を行い、炭化水素分散媒を還流させて水分を除去する方法、(b)デカンテーションにより含水ゲル状重合体を取り出し、減圧乾燥する方法、(c)フィルターにより含水ゲル状重合体をろ別し、減圧乾燥する方法等が挙げられる。中でも、製造工程における簡便さから、(a)の方法を用いることが好ましい。
【0055】
吸水性樹脂粒子の粒子径の制御は、例えば、重合反応時の撹拌機の回転数を調整することによって、あるいは重合反応後、又は乾燥の初期において、粉末状無機凝集剤を系内に添加することによって行うことができる。凝集剤を添加することにより、得られる吸水性樹脂粒子の粒子径を大きくすることができる。粉末状無機凝集剤の例としては、シリカ、ゼオライト、ベントナイト、酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、カオリン、クレイ、ハイドロタルサイト等が挙げられ、中でも凝集効果の観点から、シリカ、酸化アルミニウム、タルク又はカオリンが好ましい。
【0056】
逆相懸濁重合において、粉末状無機凝集剤を添加する方法としては、重合で用いられるものと同種の炭化水素分散媒又は水に、粉末状無機凝集剤を予め分散させてから、撹拌下の含水ゲル状重合体を含む炭化水素分散媒中に混合する方法が好ましい。
【0057】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の製造においては、乾燥工程又はそれ以降のいずれかの工程において、架橋剤を用いて含水ゲル状重合体の表面部分の架橋(表面架橋)が行われることが好ましい。表面架橋は、含水ゲル状重合体が特定の含水率であるタイミングで行われることが好ましい。表面架橋の時期は、含水ゲル状重合体の含水率が5~50質量%である時点が好ましく、10~40質量%である時点がより好ましく、15~35質量%である時点が更に好ましい。
【0058】
含水ゲル状重合体の含水率(質量%)は、次の式で算出される。
含水率=[Ww/(Ww+Ws)]×100
Ww:全重合工程の重合前の水性液に含まれる水分量から、乾燥工程により系外部に排出された水分量を差し引いた量に、粉末状無機凝集剤、表面架橋剤等を混合する際に必要に応じて用いられる水分量を加えた含水ゲル状重合体の水分量。
Ws:含水ゲル状重合体を構成するエチレン性不飽和単量体、架橋剤、開始剤等の材料の仕込量から算出される固形分量。
【0059】
表面架橋を行うための表面架橋剤としては、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。その例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-3-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物がより好ましい。これらの表面架橋剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0060】
表面架橋剤の量は、得られる含水ゲル状重合体が適度に架橋されることにより好適な吸水特性を示すようにする観点から、通常、重合に使用するエチレン性不飽和単量体1モルに対して、0.00001~0.02モル、好ましくは0.00005~0.01モル、より好ましくは、0.0001~0.005モルの比である。
【0061】
吸水性樹脂粒子の表面部分における架橋密度を十分に高め、吸水性樹脂粒子のゲル強度を高める観点から、表面架橋剤の使用量は0.00001モル以上であることが好ましい。また、減圧下での水分保持率を高め、吸水性樹脂粒子の保水能を高くする観点から0.02モル以下であることが好ましい。
【0062】
表面架橋反応後、公知の方法により、水及び炭化水素分散媒を留去することにより、表面架橋された乾燥品である重合体粒子を得ることができる。
【0063】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は重合体粒子のみから構成されていてもよいが、例えば、無機粉末、界面活性剤、酸化剤、還元剤、金属キレート剤(エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩、例えばジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム等)、ラジカル連鎖禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、消臭剤、ゲル安定剤、流動性向上剤(滑剤)等から選ばれる各種の追加の成分を更に含むことができる。追加の成分は、重合体粒子の内部、重合体粒子の表面上、又はそれらの両方に配置され得る。追加の成分としては、流動性向上剤(滑剤)が好ましく、その中でも無機粒子がより好ましい。無機粒子としては、例えば、非晶質シリカ等のシリカ粒子が挙げられる。例えば、重合体粒子100質量部に対し、無機粒子として0.05~5質量部の非晶質シリカを添加することで、吸水性樹脂粒子の流動性を向上させることができる。
【0064】
吸水性樹脂粒子は、重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子を含んでいてもよい。例えば、重合体粒子と無機粒子とを混合することにより、重合体粒子の表面上に無機粒子を配置することができる。この無機粒子は、非晶質シリカ等のシリカ粒子であってもよい。吸水性樹脂粒子が重合体粒子の表面上に配置された無機粒子を含む場合、重合体粒子の質量に対する無機粒子の割合は、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上であってもよく、5.0質量%以下、又は3.5質量%以下であってもよい。ここでの無機粒子は、通常、重合体粒子の大きさと比較して微小な大きさを有する。例えば、無機粒子の平均粒子径が、0.1~50μm、0.5~30μm、又は1~20μmであってもよい。ここでの平均粒子径は、動的光散乱法、又はレーザー回折・散乱法によって測定される値であることができる。無機粒子の添加量が上記範囲内であることによって、吸水特性が良好であり減圧下での水分保持率が好適な吸水性樹脂粒子が得られやすい。
【0065】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、尿、血液等の体液の吸収性に優れており、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、タンポン等の衛生用品、ペットシート、犬又は猫のトイレ配合物等の動物排泄物処理材などの分野に応用することができる。
【0066】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、吸収体に好適に用いることができる。本実施形態に係る吸収体は、吸水性樹脂粒子を含む。吸収体は、さらに、例えば繊維状物を備えていてよい。
【0067】
吸収体における、吸水性樹脂粒子の質量割合は、吸水性樹脂粒子及び繊維状物の合計に対し、2%質量~100質量%であってよく、10質量%~80質量%であることが好ましく、20質量%~70質量%であることがより好ましい。吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物が均一混合された形態であってよく、シート状又は層状に形成された繊維状物の間に吸水性樹脂粒子が挟まれた形態であってもよく、その他の形態であってもよい。
【0068】
繊維状物としては、例えば、微粉砕された木材パルプ、コットン、コットンリンター、レーヨン、セルロースアセテート等のセルロース系繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維が挙げられる。また、繊維状物は、上述の繊維の混合物でもよい。
【0069】
吸収体の使用前及び使用中における形態保持性を高めるために、繊維状物に接着性バインダーを添加することによって繊維同士を接着させてもよい。接着性バインダーとしては、例えば、熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等が挙げられる。
【0070】
熱融着性合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等の全融型バインダー、ポリプロピレンとポリエチレンとのサイドバイサイドや芯鞘構造からなる非全融型バインダーが挙げられる。上述の非全融型バインダーにおいては、ポリエチレン部分のみ熱融着する。ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー、アモルファスポリプロピレン等のベースポリマーと粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤等との配合物が挙げられる。
【0071】
接着性エマルジョンとしては、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、2ーエチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ブタジエン、エチレン、及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1つ以上の単量体の重合物が挙げられる。これら接着性バインダーは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0072】
本実施形態に係る吸収体は、さらに、無機粉末(例えば非晶質シリカ)、消臭剤、抗菌剤、香料等を含んでいてもよい。吸水性樹脂粒子が無機粒子を含む場合、吸収体は吸水性樹脂粒子中の無機粒子とは別に無機粉末を含んでいてもよい。
【0073】
本実施形態に係る吸収体の形状は、特に限定されず、例えばシート状であってよい。吸収体の厚さ(例えば、シート状の吸収体の厚さ)は、例えば0.1~20mm、0.3~15mmであってよい。
【0074】
本実施形態に係る吸収性物品は、本実施形態に係る吸収体を備える。本実施形態に係る吸収性物品は、吸収体を保形するコアラップ;吸液対象の液が浸入する側の最外部に配置される液体透過性シート;吸液対象の液が浸入する側とは反対側の最外部に配置される液体不透過性シート等が挙げられる。吸収性物品としては、おむつ(例えば紙おむつ)、トイレトレーニングパンツ、失禁パッド、衛生用品(生理用ナプキン、タンポン等)、汗取りパッド、ペットシート、簡易トイレ用部材、動物排泄物処理材などが挙げられる。
【0075】
図1は、吸収性物品の一例を示す断面図である。
図1に示す吸収性物品100は、吸収体10と、コアラップ20a,20bと、液体透過性シート30と、液体不透過性シート40と、を備える。吸収性物品100において、液体不透過性シート40、コアラップ20b、吸収体10、コアラップ20a、及び、液体透過性シート30がこの順に積層している。
図1において、部材間に間隙があるように図示されている部分があるが、当該間隙が存在することなく部材間が密着していてよい。
【0076】
吸収体10は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子10aと、繊維状物を含む繊維層10bと、を有する。吸水性樹脂粒子10aは、繊維層10b内に分散している。
【0077】
コアラップ20aは、吸収体10に接した状態で吸収体10の一方面側(
図1中、吸収体10の上側)に配置されている。コアラップ20bは、吸収体10に接した状態で吸収体10の他方面側(
図1中、吸収体10の下側)に配置されている。吸収体10は、コアラップ20aとコアラップ20bとの間に配置されている。コアラップ20a,20bとしては、ティッシュ、不織布等が挙げられる。コアラップ20a及びコアラップ20bは、例えば、吸収体10と同等の大きさの主面を有している。
【0078】
液体透過性シート30は、吸収対象の液が浸入する側の最外部に配置されている。液体透過性シート30は、コアラップ20aに接した状態でコアラップ20a上に配置されている。液体透過性シート30としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなる不織布、多孔質シートなどが挙げられる。液体不透過性シート40は、吸収性物品100において液体透過性シート30とは反対側の最外部に配置されている。液体不透過性シート40は、コアラップ20bに接した状態でコアラップ20bの下側に配置されている。液体不透過性シート40としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるシート、これらの合成樹脂と不織布との複合材料からなるシートなどが挙げられる。液体透過性シート30及び液体不透過性シート40は、例えば、吸収体10の主面よりも広い主面を有しており、液体透過性シート30及び液体不透過性シート40の外縁部は、吸収体10及びコアラップ20a,20bの周囲に延在している。
【0079】
吸収体10、コアラップ20a,20b、液体透過性シート30、及び、液体不透過性シート40の大小関係は、特に限定されず、吸収性物品の用途等に応じて適宜調整される。また、コアラップ20a,20bを用いて吸収体10を保形する方法は、特に限定されず、
図1に示すように複数のコアラップにより吸収体を包んでよく、1枚のコアラップにより吸収体を包んでもよい。
【実施例】
【0080】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0081】
[吸水性樹脂粒子の製造]
(実施例1)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び、撹拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0082】
一方、内容積300mLのビーカーに、エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW-15F)、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の水性液を調製した。
【0083】
調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間撹拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、更に添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして撹拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0084】
一方、別の内容積500mLのビーカーにエチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の水性液を調製した。
【0085】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。重合後、架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル0.580g(0.067ミリモル)を添加し、含水ゲル状重合体を得た。
【0086】
第2段目の重合後の含水ゲル状重合体に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを撹拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、256.1gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0087】
その後、n-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、乾燥品(重合体粒子)を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通過させ、乾燥品に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、吸水性樹脂粒子を230.8g得た。該粒子の中位粒子径は349μmであった。
【0088】
(実施例2)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び、撹拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0089】
一方、内容積300mLのビーカーに、エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW-15F)、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の水性液を調製した。
【0090】
調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間撹拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、更に添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして撹拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0091】
一方、別の内容積500mLのビーカーにエチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の水性液を調製した。
【0092】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。重合後、架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル0.580g(0.067ミリモル)を添加し、含水ゲル状重合体を得た。
【0093】
第2段目の重合後の含水ゲル状重合体に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを撹拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、272.5gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0094】
その後、n-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、乾燥品(重合体粒子)を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通過させ、乾燥品に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、吸水性樹脂粒子を228.8g得た。該粒子の中位粒子径は359μmであった。
【0095】
(実施例3)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び、撹拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0096】
一方、内容積300mLのビーカーに、エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW-15F)、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の水性液を調製した。
【0097】
調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間撹拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、更に添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして撹拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0098】
一方、別の内容積500mLのビーカーにエチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の水性液を調製した。
【0099】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。重合後、架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル0.580g(0.067ミリモル)を添加し、含水ゲル状重合体を得た。
【0100】
第2段目の重合後の含水ゲル状重合体に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを撹拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、247.9gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0101】
その後、n-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、乾燥品(重合体粒子)を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通過させ、乾燥品に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、吸水性樹脂粒子を231.0g得た。該粒子の中位粒子径は357μmであった。
【0102】
(実施例4)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び、撹拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0103】
一方、内容積300mLのビーカーに、エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW-15F)、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.092g(0.339ミリモル)、及び過硫酸カリウム0.018g(0.068ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.005g(0.029ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の水性液を調製した。
【0104】
調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間撹拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、更に添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして撹拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0105】
一方、別の内容積500mLのビーカーにエチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.129g(0.475ミリモル)、及び過硫酸カリウム0.026g(0.095ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の水性液を調製した。
【0106】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。重合後、架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液0.580g(0.067ミリモル)を添加し、含水ゲル状重合体を得た。
【0107】
第2段目の重合後の含水ゲル状重合体に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを撹拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、234.2gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0108】
その後、n-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、乾燥品(重合体粒子)を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通過させ、乾燥品に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、吸水性樹脂粒子を231.1g得た。該粒子の中位粒子径は355μmであった。
【0109】
(比較例1)
日本販売の大王製紙株式会社のおむつ「GOO.Nパンツ まっさらさら通気 男の子用 Lサイズ」から採取した吸水性樹脂粒子を比較例1とした。該粒子の中位粒子径は403μmであった。
【0110】
(比較例2)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び撹拌機として翼径5cmの4枚傾斜パドル翼(フッ素樹脂にて表面処理したもの)を2段で有する撹拌翼を備えた、内径11cm、2L容の、4箇所の側壁バッフル付き丸底円筒型セパラブルフラスコ(バッフル幅:7mm)を準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン451gを入れ、界面活性剤としてHLB8.6のソルビタンモノラウレート(日油株式会社、ノニオンLP-20R)0.984gを加え、撹拌機の回転数を300rpmとして、50℃まで加熱した。加熱によって、ソルビタンモノラウレートをn-ヘプタンに溶解させた後、内温を40℃まで冷却した。
【0111】
一方、500ml容の三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)を入れ、これを外部より氷冷しながら20.9質量%水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下することによって、75モル%の中和を行なった。次に、得られたアクリル酸部分中和物水溶液に、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.101g(0.374ミリモル)を加えて溶解し、モノマー水溶液を調製した。
【0112】
上記モノマー水溶液を上記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、撹拌機の回転数を700rpmとして、フラスコを70℃の水浴に浸漬して、60分間保持した。
【0113】
その後、撹拌機の回転数を1000rpmとして、生成した含水ゲル状重合体、n-ヘプタン及び界面活性剤を含む重合液に、粉末状無機凝集剤としての非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)0.092gを予めn-ヘプタン100gに分散させたものを添加して、10分間混合した。その後、125℃の油浴に反応液を含むフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留によりn-ヘプタンを還流しながら112gの水を系外へ抜き出した後、表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの10質量%水溶液4.97g(2.85ミリモル)を添加し、内温80±2℃で2時間保持した。
【0114】
その後、水及びn-ヘプタンを蒸発させて、系内からの蒸発物がほとんど留出されなくなるまで乾燥させた後に、フラスコを一旦油浴から外し、スプレーにて水13.8gを毎秒0.3gの流量で噴霧した。その後、系内に毎分200mlの流量で窒素を吹き込みながら80℃で30分間保持して、乾燥品(重合体粒子)を得た。該乾燥品を、目開き850μmの篩に通し、吸水性樹脂粒子90.5gを得た。該粒子の中位粒子径は356μmであった。
【0115】
(比較例3)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び、撹拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、撹拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0116】
一方、内容積300mLのビーカーに、エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW-15F)、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.092g(0.339ミリモル)、及び過硫酸カリウム0.018g(0.068ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0046g(0.026ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の水性液を調製した。
【0117】
調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間撹拌した後、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、更に添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして撹拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
【0118】
一方、別の内容積500mLのビーカーにエチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.129g(0.475ミリモル)、及び過硫酸カリウム0.026g(0.095ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の水性液を調製した。
【0119】
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。
【0120】
第2段目の重合後の含水ゲル状重合体に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを撹拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、219.2gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液6.62g(0.761ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
【0121】
その後、n-ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、乾燥品(重合体粒子)を得た。この乾燥品を目開き850μmの篩に通過させ、乾燥品に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S)を混合し、吸水性樹脂粒子を229.6g得た。該粒子の中位粒子径は356μmであった。
【0122】
得られた吸水性樹脂粒子について、以下の方法により、減圧6時間後の水分保持率、生理食塩水保水量、中位粒子径及びムレ性を評価した。
【0123】
[減圧6時間後の水分保持率]
温度25±2℃の室内において、100mLビーカー内に入れた生理食塩水38gをマグネチックスターラーバー(8mmφ×30mm、リング無し)で600rpmに撹拌させつつ、吸水性樹脂粒子2gを投入し、撹拌による渦が消失した時点から、ビーカー上部を市販のラップ材で蓋をして25℃下で30分間静置し、膨潤ゲルを得た。日本製紙パピリア製ヒートパック(MWA18:18gsm、120mm×200mm)を二つ折りにして、折り目を除く三辺のうち二辺をヒートシールした120mm×100mmのティーバッグを作製し、風袋(空のティーバッグ)質量を測定した。上記ティーバッグに、スパチュラを用いて上記膨潤ゲル20.0gを詰めた後、ヒートシールで袋を閉じて評価サンプルとし、直ちに初期評価サンプル質量を測定した。いずれの例でも初期の膨潤ゲル量は20.0gであったため、評価サンプル中の吸水性樹脂粒子(乾燥)質量は1.0gとみなして下記の水分保持率の計算を行った。
【0124】
上記評価サンプルを目開き38μmの篩の上に置いたものを、35℃に設定した真空乾燥機(アズワン株式会社、アズワンバキュームオーブンAVO-310N)に入れ、ポンプ(ダイアフラム型ドライ真空ポンプ、DTU-20、アルバック機工株式会社製)で排気し内圧を0.2kPaとした。内圧はデジタルマノメーター(真空計)DM-10S(柴田科学株式会社製)を用いて測定した。
【0125】
1時間ごとに評価サンプルを真空乾燥機から取り出して、すみやかに質量を測定するという操作を繰り返した。以下の計算式により、初期及び減圧6時間後の膨潤ゲル量、並びに減圧6時間後の水分保持率を算出した。結果を表1に示す。
膨潤ゲル量[g/g]=(評価サンプル質量[g]-風袋(ティーバッグ)質量[g])/評価サンプル中の吸水性樹脂粒子(乾燥)質量[g]
減圧6時間後の水分保持率[%]=(減圧6時間後の膨潤ゲル量[g/g]/初期膨潤ゲル量[g/g])×100
【0126】
[生理食塩水保水量]
吸水性樹脂粒子2.0gを量り取った綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)を500mL容のビーカー内に設置した。吸水性樹脂粒子の入った綿袋中に0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gをママコができないように一度に注ぎ込み、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、30分静置させることで吸水性樹脂粒子を膨潤させた。30分経過後の綿袋を、遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(株式会社コクサン製、品番:H-122)を用いて1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定した。吸水性樹脂粒子を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量Wb(g)を測定し、以下の式から生理食塩水保水量を算出した。
生理食塩水保水量(g/g)=[Wa-Wb]/2.0
【0127】
[中位粒子径(粒度分布)]
吸水性樹脂粒子50gを中位粒子径(粒度分布)測定用に用いた。
【0128】
JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、及び受け皿の順に組み合わせた。
【0129】
組み合わせた最上の篩に、吸水性樹脂粒子を入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。分級後、各篩上に残った吸水性樹脂粒子の質量を全量に対する質量百分率として算出し粒度分布を求めた。この粒度分布に関して粒子径の大きい方から順に篩上を積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂粒子の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
【0130】
[ムレ性試験]
プラスチックシャーレ(直径90mm×高さ20mm)に吸水性樹脂粒子1gを均一に撒き、25±1℃に調整した生理食塩水19gを滴下し、25±2℃の室内でプラスチックシャーレに蓋をして30分静置し、膨潤ゲルを作製した。
【0131】
テドラーバッグ(株式会社三商製5Lサイズ)内に、上記膨潤ゲルの入った上記プラスチックシャーレ、及び温湿度SDデータロガー(AD-5696、株式会社エー・アンド・デイ製)を入れ、プラスチックシャーレの蓋を外した後、バッグをヒートシールで閉じた。ガラス製200ml注射筒の先端部とテドラーバッグのコック部とをチューブで接続して、上記注射筒で吸引を繰り返し、内部のシャーレが動かなくなる程度までバッグ内部の空気を除去した。直径10cm、高さ20cmの円柱型容器に充填した活性炭に通した乾燥エアーを3L入れ、バッグのコックを閉じて評価サンプルを得た。なお、膨潤ゲルを入れない空バッグを同様に処理して相対湿度を測定したところ、38.8%であった。35℃の恒温恒湿機(LHU-113エスペック株式会社製)に上記評価サンプルを入れ、10分後のバッグ内の湿度を遠隔測定した。結果を表1に示す。
【0132】
【0133】
減圧6時間後の水分保持率が十分高い実施例の吸水性樹脂粒子は、比較例の吸水性樹脂粒子よりも、ムレ性試験における10分後の相対湿度が十分に低く、ムレにくい性質を有することが示された。
【符号の説明】
【0134】
10…吸収体、10a…吸水性樹脂粒子、10b…繊維層、20a,20b…コアラップ、30…液体透過性シート、40…液体不透過性シート、100…吸収性物品。