(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】バタークリーム用油脂組成物
(51)【国際特許分類】
A23D 7/00 20060101AFI20231120BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20231120BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
A23D7/00 508
A23L9/20
A23D9/00 518
(21)【出願番号】P 2019171400
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 美穂
(72)【発明者】
【氏名】小澤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】▲羽▼染 芳宗
(72)【発明者】
【氏名】豊口 柚実子
(72)【発明者】
【氏名】塩田 野依
(72)【発明者】
【氏名】野口 修
(72)【発明者】
【氏名】櫻澤 千誠
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-085564(JP,A)
【文献】特開2017-175982(JP,A)
【文献】国際公開第2012/121010(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/050488(WO,A1)
【文献】特開2016-116486(JP,A)
【文献】藤田 哲,食用油脂,日本,幸書房,2000年04月10日,p.36-37
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00 - 9/06
A23L 2/00 - 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バタークリーム用油脂組成物中の全油脂分中に下記油脂Aを
2~25質量%、下記油脂Bを
35~60質量%、下記油脂Cを
3~27質量%、
下記油脂Dを5~20質量%、下記油脂Eを15~40質量%含有するバタークリーム用油脂組成物。
油脂A:下記の条件(A1)~(A8)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸としてステアリン酸を3~25質量%含有する。
(A4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を10~29質量%含有する。
(A5)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有する。
(A6)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が1.5~5.0である。
(A7)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
(A8)ヨウ素価が12~35である。
油脂B:下記の条件(B1)~(B8)を満たす油脂である。
(B1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有する。
(B2)構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有する。
(B3)構成脂肪酸としてステアリン酸を10質量%未満含有する。
(B4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を30~50質量%含有する。
(B5)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有する。
(B6)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が5.5~12.0である。
(B7)C42~48TAGを40~70質量%含有する。
(B8)ヨウ素価が32~50である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を70質量%以上含有する。
油脂D:下記の条件(D1)~(D2)を満たす油脂である。
(D1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を50~80質量%含有する。
(D2)ヨウ素価が25以下である。
油脂E:下記の条件(E1)~(E5)を満たす油脂である。
(E1)構成脂肪酸としてパルミチン酸を30~65質量%含有する。
(E2)構成脂肪酸としてステアリン酸を15質量%以下含有する。
(E3)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が6.0以上である。
(E4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を30~65質量%含有する。
(E5)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を10質量%未満含有する。
上記の条件において、C42~48TAGは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48であるトリグリセリドのことである。
【請求項2】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する請求項1に記載のバタークリーム用油脂組成物。
【請求項3】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、トリグリセリンパルミチン酸エステルである
請求項2に記載のバタークリーム用油脂組成物。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のバタークリーム用油脂組成物を使用したバタークリーム。
【請求項5】
請求項4に記載のバタークリームを使用した食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バタークリーム用油脂組成物及びバタークリームに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
バタークリームは、通常、マーガリン又はショートニングに呈味成分を加えて起泡させることにより製造される。バタークリームは、日持ちが良いことから、製菓・製パン領域のフィリングクリーム、トッピングクリーム、サンドクリーム等に使用されている。バタークリーム用のマーガリン又はショートニングとしては、例えば、特許文献1~4が提案されている。
【0003】
バタークリームの製造には、通常、原料として油中水型乳化物又は油相のみからなるショートニングが使用される。そのため、バタークリームは、口どけが油っぽくなりやすい。そこで、バタークリームの口どけを良くするために、バタークリームの呈味成分には水性成分である液糖が使用されることが多い。しかしながら、水性成分である液糖がバタークリーム用のマーガリン又はショートニングに加えられると、起泡力が悪くなるという問題があった。
【0004】
また、起泡させたバタークリームは、菓子やパンにナッペしたり、デコレーションして使用される。そのため、バタークリームには、耐熱保形性が求められる。バタークリームに耐熱保形性を付与する手段としては、バタークリーム用のマーガリン又はショートニングに融点の高い油脂を配合することが考えられる。しかしながら、バタークリーム用のマーガリン又はショートニングに融点の高い油脂が配合されると、バタークリームの口どけが悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで、良好な耐熱保形性、口どけを有するバタークリームを提供することのできる、良好な起泡力を有するバタークリーム用油脂組成物の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-223465
【文献】特開2007-135443号公報
【文献】特開2001-178361
【文献】特開平8-47373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、良好な耐熱保形性、口どけを有するバタークリーム及び該バタークリームを製造することのできる、良好な起泡力を有するバタークリーム用油脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、バタークリーム用油脂組成物に含まれる油脂が、特定の油脂を特定量含有することにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明は、バタークリーム用油脂組成物中の全油脂分中に下記油脂Aを2~25質量%、下記油脂Bを35~60質量%、下記油脂Cを3~27質量%、下記油脂Dを5~20質量%、下記油脂Eを15~40質量%含有するバタークリーム用油脂組成物である。
油脂A:下記の条件(A1)~(A8)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸としてステアリン酸を3~25質量%含有する。
(A4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を10~29質量%含有する。
(A5)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有する。
(A6)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が1.5~5.0である。
(A7)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
(A8)ヨウ素価が12~35である。
油脂B:下記の条件(B1)~(B8)を満たす油脂である。
(B1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有する。
(B2)構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有する。
(B3)構成脂肪酸としてステアリン酸を10質量%未満含有する。
(B4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を30~50質量%含有する。
(B5)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有する。
(B6)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が5.5~12.0である。
(B7)C42~48TAGを40~70質量%含有する。
(B8)ヨウ素価が32~50である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を70質量%以上含有する。
油脂D:下記の条件(D1)~(D2)を満たす油脂である。
(D1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を50~80質量%含有する。
(D2)ヨウ素価が25以下である。
油脂E:下記の条件(E1)~(E5)を満たす油脂である。
(E1)構成脂肪酸としてパルミチン酸を30~65質量%含有する。
(E2)構成脂肪酸としてステアリン酸を15質量%以下含有する。
(E3)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が6.0以上である。
(E4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を30~65質量%含有する。
(E5)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を10質量%未満含有する。
上記の条件において、C42~48TAGは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48であるトリグリセリドのことである。
本発明の第2の発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する第1の発明に記載のバタークリーム用油脂組成物である。
本発明の第3の発明は、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、トリグリセリンパルミチン酸エステルである第2の発明に記載のバタークリーム用油脂組成物である。
本発明の第4の発明は、第1の発明~第3の発明のいずれか1つの発明に記載のバタークリーム用油脂組成物を使用したバタークリームである。
本発明の第5の発明は、第4の発明に記載のバタークリームを使用した食品である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、良好な耐熱保形性、口どけを有するバタークリーム及び該バタークリームを製造することのできる、良好な起泡力を有するバタークリーム用油脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が下記油脂Aを1~35質量%、下記油脂Bを30~70質量%、下記油脂Cを1~30質量%含有する。
油脂A:下記の条件(A1)~(A8)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸としてステアリン酸を3~25質量%含有する。
(A4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を10~29質量%含有する。
(A5)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有する。
(A6)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が1.5~5.0である。
(A7)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
(A8)ヨウ素価が12~35である。
油脂B:下記の条件(B1)~(B8)を満たす油脂である。
(B1)構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有する。
(B2)構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有する。
(B3)構成脂肪酸としてステアリン酸を10質量%未満含有する。
(B4)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を30~50質量%含有する。
(B5)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有する。
(B6)構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比が5.5~12.0である。
(B7)C42~48TAGを40~70質量%含有する。
(B8)ヨウ素価が32~50である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を70質量%以上含有する。
【0012】
本発明でバタークリーム用油脂組成物に含まれる油脂とは、含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分のことである(例えば、バタークリーム用油脂組成物が油脂a、油脂b、油脂cを含む場合、バタークリーム用油脂組成物に含まれる油脂は、油脂aと油脂bと油脂cの混合油になる。)。バタークリーム用油脂組成物に含まれる油脂は、配合される油脂の他に、バター、全脂粉乳等の含油原料に含まれる油脂(乳脂等)も含む。
【0013】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が下記油脂Aを含有する。
【0014】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、下記の条件(A1)~(A8)を満たす油脂である。
【0015】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有し、好ましくは20~40質量%含有し、より好ましくは25~35質量%含有する(条件(A1))。
【0016】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有し、好ましくは23~43質量%含有し、より好ましくは25~40質量%含有する(条件(A2))。
【0017】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてステアリン酸を3~25質量%含有し、好ましくは5~22質量%含有し、より好ましくは6~20質量%含有する(条件(A3))。
【0018】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を10~29質量%含有し、好ましくは12~27質量%含有し、より好ましくは15~25質量%含有する(条件(A4))。なお、本発明において、不飽和脂肪酸は、炭素数が16~24である。
【0019】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有し、好ましくは0~1.5質量%含有し、より好ましくは0~1質量%含有する(条件(A5))。なお、本発明において、炭素数20以上の脂肪酸は、炭素数が20~24である。
【0020】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比(パルミチン酸/ステアリン酸)が1.5~5.0であり、好ましくは1.7~4.0であり、より好ましくは1.8~3.5である(条件(A6))。
【0021】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、C42~48TAGを40~65質量%含有し、好ましくは45~62質量%含有し、より好ましくは47~60質量%含有する(条件(A7))。
なお、本発明でC42~48TAGは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48であるトリグリセリドのことである。また、トリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。また、C42~C48TAGを構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数8~24の脂肪酸である。
【0022】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、ヨウ素価が12~35であり、好ましくは15~32であり、より好ましくは17~30である(条件(A8))。
【0023】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、好ましくは上記の条件(A1)~(A8)に加えて、さらに下記の条件(A9)~(A12)のいずれか1つ以上を満たす油脂である。
【0024】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、融点が好ましくは32~45℃であり、より好ましくは33~43℃であり、さらに好ましくは35~40℃である(条件(A9))。なお、本発明で融点とは、上昇融点のことである。
【0025】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてラウリン酸を好ましくは10~33質量%含有し、より好ましくは13~30質量%含有し、さらに好ましくは15~28質量%含有する(条件(A10))。
【0026】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは3質量%未満含有し、より好ましくは2質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する(条件(A11))。
【0027】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量の比(不飽和脂肪酸含有量/ステアリン酸含有量)が、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは1.0~4.0であり、さらに好ましくは1.2~3.0である(条件(A12))。
【0028】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、上記条件を満たす限り、原料油脂として、どのような食用油脂を使用してもよい。油脂Aの原料油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aの原料油脂は、上記食用油脂を1種又は2種以上組み合せて使用することができる。
【0029】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、好ましくはエステル交換油脂であり、より好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのエステル交換油脂であり、さらに好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのランダムエステル交換油脂である。
【0030】
本発明でラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が35質量%以上の油脂であり、例えば、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン、パーム核ステアリン等の分別油、これらをエステル交換した油脂、及びこれらの硬化油(例えば、パーム核油の極度硬化油、パーム核オレインの極度硬化油)等が挙げられる。ラウリン系油脂は、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
【0031】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aがエステル交換油脂である場合、エステル交換油脂の製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはパーム核油の極度硬化油である。
【0032】
本発明で非ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%を超える油脂である。非ラウリン系油脂の具体例は、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、ヒマワリ油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油等、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された1又は2以上の処理を施した加工油脂である。非ラウリン系油脂は、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aがエステル交換油脂である場合、エステル交換油脂の製造に使用される非ラウリン系油脂は、好ましくはパーム系油脂である。本発明でパーム系油脂は、パーム油及びパーム分別油等のパーム油の加工油脂のことである。パーム系油脂の具体例は、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点部(パームミッドフラクション(PMF))、ソフトパーム、ハードステアリン等である。パーム系油脂は、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aがエステル交換油脂である場合、エステル交換油脂の製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはパームステアリン(ヨウ素価5~40、好ましくは15~35)、パーム中融点部(ヨウ素価40~50)である。
【0035】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aがラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのエステル交換油脂である場合、エステル交換反応を行う原料油脂のラウリン系油脂と非ラウリン系油脂との混合比(ラウリン系油脂:非ラウリン系油脂)は、好ましくは質量比35:65~65:35であり、より好ましくは質量比40:60~60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55~55:45である。
【0036】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Aがラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのエステル交換油脂である場合、エステル交換の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも行うことができる。
【0037】
上記化学的エステル交換によるエステル交換反応は、位置特異性の乏しい反応であり、ランダムエステル交換反応となる。
上記化学的エステル交換は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1~1質量%添加した後、減圧下、80~120℃で0.5~1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
【0038】
上記酵素的エステル交換は、1,3位特異性の高いエステル交換反応、又は、ランダムエステル交換反応(位置特異性の乏しいエステル交換反応)のどちらでも行うことができる。1,3位特異性の高いエステル交換反応を行うことのできるリパーゼ製剤としては、リゾプスオリザエ由来及び/又はリゾプスデルマ由来(例えば、国際公開第2009/031679号に記載)や、リゾムコールミーハイ由来の固定化リパーゼ(ノボザイムズ社製のリポザイムTLIM、リポザイムRMIM等)等が挙げられる。ランダムエステル交換反応を行うことのできるリパーゼ製剤としては、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
【0039】
酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02~10質量%、好ましくは0.04~5質量%添加した後、40~80℃、好ましくは40~70℃で0.5~48時間、好ましくは0.5~24時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、濾過等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
【0040】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が油脂Aを1~35質量%含有し、好ましくは1~30質量%含有し、より好ましくは2~25質量%含有する。
【0041】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が下記油脂Bを含有する。
【0042】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、下記の条件(B1)~(B8)を満たす油脂である。
【0043】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を15~45質量%含有し、好ましくは17~40質量%含有し、より好ましくは20~30質量%含有する(条件(B1))。
【0044】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~45質量%含有し、好ましくは23~40質量%含有し、より好ましくは25~35質量%含有する(条件(B2))。
【0045】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸としてステアリン酸を10質量%未満含有し、好ましくは8質量%未満含有し、より好ましくは1~6質量%含有する(条件(B3))。
【0046】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を30~50質量%含有し、好ましくは30~48質量%含有し、より好ましくは33~45質量%含有する(条件(B4))。
【0047】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を2質量%未満含有し、好ましくは0~1.5質量%含有し、より好ましくは0~1質量%含有する(条件(B5))。
【0048】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比(パルミチン酸/ステアリン酸)が5.5~12.0であり、好ましくは6.0~11.0であり、より好ましくは6.5~10.0である(条件(B6))。
【0049】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、C42~48TAGを40~70質量%含有し、好ましくは45~68質量%含有し、より好ましくは50~65質量%含有する(条件(B7))。
【0050】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、ヨウ素価が32~50であり、好ましくは32~48であり、より好ましくは35~45である(条件(B8))。
【0051】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、好ましくは上記の条件(B1)~(B8)に加えて、さらに下記の条件(B9)~(B11)のいずれか1つ以上を満たす油脂である。
【0052】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、融点が好ましくは20~40℃であり、より好ましくは23~38℃であり、さらに好ましくは25~35℃である(条件(B9))。
【0053】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸としてラウリン酸を好ましくは10~33質量%含有し、より好ましくは10~30質量%含有し、さらに好ましくは13~25質量%含有する(条件(B10))。
【0054】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは3質量%未満含有し、より好ましくは2質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する(条件(B11))。
【0055】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、上記条件を満たす限り、原料油脂として、どのような食用油脂を使用してもよい。油脂Bの原料油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bの原料油脂は、上記食用油脂を1種又は2種以上組み合せて使用することができる。
【0056】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、好ましくはエステル交換油脂であり、より好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのエステル交換油脂であり、さらに好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのランダムエステル交換油脂である。
【0057】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bがエステル交換油脂である場合、エステル交換油脂の製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはパーム核油である。
【0058】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bがエステル交換油脂である場合、エステル交換油脂の製造に使用される非ラウリン系油脂は、好ましくはパーム系油脂であり、より好ましくはパーム油である。
【0059】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bがラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのエステル交換油脂である場合、エステル交換反応を行う原料油脂のラウリン系油脂と非ラウリン系油脂との混合比(ラウリン系油脂:非ラウリン系油脂)は、好ましくは質量比25:75~55:45であり、より好ましくは質量比30:70~50:50であり、さらに好ましくは質量比35:65~45:55である。
【0060】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Bがラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのエステル交換油脂である場合、エステル交換の方法は、油脂Aの場合と同様である。
【0061】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が油脂Bを30~70質量%含有し、好ましくは33~65質量%含有し、より好ましくは35~60質量%含有する。
【0062】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が下記油脂Cを含有する。
【0063】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
【0064】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、20℃で液状である(条件(C1))。
【0065】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を70質量%以上含有し、好ましくは80質量%以上含有し、より好ましくは80~95質量%含有する(条件(C2))。
【0066】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、好ましくは上記の条件(C1)~(C2)に加えて、さらに下記の条件(C3)を満たす油脂である。
【0067】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは5質量%未満含有し、より好ましくは3質量%未満含有し、さらに好ましくは2質量%未満含有する(条件(C3))。
【0068】
なお、油脂が上記A1~A8及び上記条件C1~C2を満たす場合、該油脂は油脂Aに属するものとする。また、油脂が上記B1~B8及び上記条件C1~C2を満たす場合、該油脂は油脂Bに属するものとする。
【0069】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cの具体例は、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油やこれらの油脂の加工油脂(エステル交換油脂、分別油、硬化油(水素添加油)等)等が挙げられる。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、2種以上を併用することもできる。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、好ましくは、大豆油、菜種油である。
【0070】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が油脂Cを好ましくは1~30質量%含有し、より好ましくは1~28質量%含有し、さらに好ましくは3~27質量%含有する。
【0071】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂中の油脂A、油脂B及び油脂Cの合計含有量が好ましくは45~90質量%であり、より好ましくは50~85質量%であり、さらに好ましくは55~80質量%である。
【0072】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物が上記油脂A、上記油脂B、上記油脂Cを前記範囲で含有すると、バタークリーム用油脂組成物の起泡力は良好になるとともに、良好な耐熱保形性、口どけを有するバタークリームが得られる。
【0073】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が好ましくは下記油脂Dを含有する。
【0074】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、ラウリン系油脂である。また、本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、下記の条件(D1)~(D2)を満たす油脂である。
【0075】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を好ましくは50~80質量%含有し、より好ましくは53~78質量%含有し、さらに好ましくは55~75質量%含有する(条件(D1))。
【0076】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、ヨウ素価が好ましくは25以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下である(条件(D2))。
【0077】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、好ましくは上記の条件(D1)~(D2)に加えて、さらに下記の条件(D3)~(D5)のいずれか1つ以上を満たす油脂である。
【0078】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、構成脂肪酸としてラウリン酸を好ましくは35質量%以上含有し、より好ましくは38~60質量%含有し、さらに好ましくは40~55質量%含有する(条件(D3))。
【0079】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは3質量%未満含有し、より好ましくは2質量%未満含有し、さらに好ましくは1.5質量%未満含有する(条件(D4))。
【0080】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を好ましくは30質量%以下含有し、より好ましくは20質量%以下含有し、さらに好ましくは5質量%以下含有する(条件(D5))。
【0081】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Dは、好ましくはヤシ油の極度硬化油である。
【0082】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が油脂Dを好ましくは1~30質量%含有し、より好ましくは3~25質量%含有し、さらに好ましくは5~20質量%含有する。
【0083】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が好ましくは下記油脂Eを含有する。
【0084】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、パーム系油脂である。また、本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、下記の条件(E1)~(E5)を満たす油脂である。
【0085】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、構成脂肪酸としてパルミチン酸を好ましくは30~65質量%含有し、より好ましくは35~60質量%含有し、さらに好ましくは40~55質量%含有する(条件(E1))。
【0086】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、構成脂肪酸としてステアリン酸を好ましくは15質量%以下含有し、より好ましくは10質量%以下含有し、さらに好ましくは1~10質量%含有する(条件(E2))。
【0087】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、構成脂肪酸のステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量の比(パルミチン酸/ステアリン酸)が好ましくは6.0以上であり、より好ましくは7.0~13.0であり、さらに好ましくは8.0~12.0である(条件(E3))。
【0088】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を好ましくは30~65質量%含有し、好ましくは35~60質量%含有し、より好ましくは40~55質量%含有する(条件(E4))。
【0089】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、構成脂肪酸として炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸を好ましくは10質量%未満含有し、より好ましくは7質量%未満含有し、さらに好ましくは5質量%未満含有する(条件(E5))。
【0090】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、好ましくは上記の条件(E1)~(E5)に加えて、さらに下記の条件(E6)を満たす油脂である。
【0091】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは3質量%未満含有し、より好ましくは2質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する(条件(E6))。
【0092】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される油脂Eは、好ましくはパーム油、パーム分別油であり、さらに好ましくはパーム油、パーム中融点部である。
【0093】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が油脂Eを好ましくは10~50質量%含有し、より好ましくは13~45質量%含有し、さらに好ましくは15~40質量%含有する。
【0094】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、上記油脂A~油脂E以外の油脂を使用することもできる。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が乳脂等の動物油脂を含有させることができる。
【0095】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、含まれる油脂が構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは3質量%未満含有し、より好ましくは2質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する。
【0096】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、油脂を好ましくは60質量%以上含有し、より好ましくは70質量%以上含有し、さらに好ましくは75~90質量%含有する。
【0097】
油脂の各脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f-96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のC42~48TAG含有量は、AOCS Ce5-86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
油脂の融点は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に準じて測定することができる。
【0098】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくはトリグリセリン脂肪酸エステルであり、より好ましくはトリグリセリンパルミチン酸エステルである。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLBが好ましくは5~15であり、より好ましくは7~12である。
【0099】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを好ましくは0.005~3質量%含有し、より好ましくは0.007~2質量%含有し、さらに好ましくは0.01~1質量%含有する。
【0100】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、好ましくは乳製品を含有する。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造に使用される乳製品は、好ましくは粉乳、乳ペプチド、乳蛋白質、バター分解物であり、より好ましくは脱脂粉乳、乳ペプチドであり、さらに好ましくは乳ペプチドである。
【0101】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、乳製品を好ましくは0.1~10質量%含有し、より好ましくは0.1~5質量%含有し、さらに好ましくは0.2~3質量%含有する。
【0102】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、油脂、ポリグリセリン脂肪酸エステル、乳製品以外に、通常バタークリーム用油脂組成物の製造に使用される原料を配合することができる。具体的には、砂糖、乳糖及び液糖等の糖類、糖アルコール類、ステビア及びアスパルテーム等の甘味料、水、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の合成乳化剤、増粘安定剤、食塩及び塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸及びグルコン酸等の酸味料、β-カロテン、カラメル及び紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)及びルチンなどの酸化防止剤、小麦蛋白及び大豆蛋白等の植物蛋白、卵、卵加工品、香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類及び魚介類等の食品素材若しくは食品添加物を本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物に配合することができる。
【0103】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、水相を有する乳化物(マーガリン、ファットスプレッド)又は水相を有さないショートニングである。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物が水相を有する乳化物の場合、好ましくは油中水型乳化物である。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物が油中水型乳化物の場合、水の含有量は、好ましくは2~40質量%であり、より好ましくは4~25質量%であり、さらに好ましくは5~20質量%である。
【0104】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のバタークリーム用油脂組成物の製造条件及び製造方法を適用できる。具体的には、バタークリーム用油脂組成物は、配合する油溶成分を混合溶解することで製造できる。また、バタークリーム用油脂組成物に可塑性を付与する場合、バタークリーム用油脂組成物は、配合する油溶成分を混合溶解した油相を、必要に応じて、調製した水相と混合乳化した後、冷却し、結晶化させる工程により製造できる。冷却、結晶化の工程では、バタークリーム用油脂組成物は、好ましくは冷却可塑化される。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、より好ましくは-5℃/分以上である。この際、冷却は、徐冷却より急冷却の方が好ましい。また、油相の調製後又は混合乳化後、バタークリーム用油脂組成物は、好ましくは殺菌処理される。殺菌方法としては、タンクでのバッチ式や、プレート型熱交換機、掻き取り式熱交換機を用いた連続式が挙げられる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどのマーガリン製造機や、プレート型熱交換機などが挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
【0105】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、好ましくは可塑化される。本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、好ましくは可塑性油脂組成物である。
【0106】
本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、良好な起泡力を有する。特に、本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物は、水性成分である液糖が使用された場合でも良好な起泡力を有する。
【0107】
本発明の実施の形態のバタークリームは、本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物を使用して製造される。
なお、本発明でバタークリームとは、油脂組成物に糖類等の呈味成分を加えて起泡させたもの又は油脂組成物を起泡させたものに糖類等の呈味成分を加えたもののことである。また、本発明の実施の形態のバタークリームは、油脂組成物に糖類等の呈味成分を加えた起泡前のものも包含する。
【0108】
本発明の実施の形態のバタークリームは、好ましくは呈味成分を含有する。本発明の実施の形態のバタークリームの製造に使用される呈味成分は、通常、バタークリームの製造に使用される呈味成分であれば、特に制限されることなく使用することができる。本発明の実施の形態のバタークリームの製造に使用される呈味成分は、糖類(単糖類、二糖類(砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、液糖等)、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖等の糖質、チーズ、生クリーム、合成クリーム、ヨーグルト、練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、脱脂練乳、牛乳、濃縮乳等の乳製品、乳等を主要原料とする食品、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート等のカカオ製品、卵黄、粉末卵黄等の卵類、果肉ジャム類、果汁類、ナッツ類等が挙げられる。本発明の実施の形態のバタークリームの製造に使用される呈味成分は、好ましくは糖質であり、より好ましくは糖類であり、さらに好ましくは液糖である。本発明の実施の形態のバタークリームの製造に使用される液糖は、Brixが好ましくは60~80であり、より好ましくは63~75であり、さらに好ましくは65~75である。
【0109】
本発明の実施の形態のバタークリームは、本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物100質量部に対して、呈味成分が好ましくは50~200質量部配合され、より好ましくは70~160質量部配合され、さらに好ましくは80~130質量部配合される。
【0110】
本発明の実施の形態のバタークリームは、好ましくは水を含有する。なお、ここでの水には、液糖等の原材料の水分を含まない。
本発明の実施の形態のバタークリームは、本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物100質量部に対して、水が好ましくは1~50質量部配合され、より好ましくは1~45質量部配合され、さらに好ましくは1~40質量部配合される。
【0111】
本発明の実施の形態のバタークリームには、本発明の実施の形態のバタークリーム用油脂組成物、呈味成分、水以外にも、通常バタークリームに配合される原料を配合することができる。
【0112】
本発明の実施の形態のバタークリームは、特に制限されることなく、公知の製造条件及び製造方法により製造することができる。
【0113】
本発明の実施の形態のバタークリームは、フィリングクリーム、サンドクリーム、トッピングクリーム等として使用することができる。
【0114】
本発明の実施の形態のバタークリームは、良好な耐熱保形性、口どけを有する。なお、本発明で良好な耐熱保形性を有するとは、成形したバタークリームの形状が25℃で8日間の保存でほとんど変化しないことである。
【0115】
本発明の実施の形態の食品は、本発明の実施の形態のバタークリームを使用して製造される。
本発明の実施の形態の食品は、好ましくは本発明の実施の形態のバタークリームと菓子又はパンとを組み合わせた食品である。
本発明の実施の形態の食品が、本発明の実施の形態のバタークリームと菓子又はパンとを組みあわせた食品である場合、組み合わせる方法は特に制限されない。本発明の実施の形態のバタークリームと菓子又はパンとを組み合わせる方法は、挟む、注入、トッピング、被覆等が挙げられる。
【0116】
本発明の実施の形態のバタークリームと組み合わせる、菓子、パンの具体例は、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、カットパン、ウェハース、サブレ、ラングドシャ、マカロン、タルト等の焼き菓子、バターケーキ類(パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等)、スポンジケーキ類(ショートケーキ、ロールケーキ、トルテ、デコレーションケーキ、シフォンケーキ等)、シュー菓子、発酵菓子、パイ、ワッフル等の洋生菓子、菓子パン、フランスパン、シュトーレン、パネトーネ、ブリオッシュ、ドーナツ、デニッシュ、クロワッサン等である。
【実施例】
【0117】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
油脂の各脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f-96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
油脂のC42~48TAG含有量は、AOCS Ce5-86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
油脂の融点は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に準じて測定した。
【0118】
〔油脂A1の製造〕
パームステアリン(ヨウ素価:32、炭素数16以上脂肪酸含有量:98.4質量%)15質量部とパーム中融点部(ヨウ素価:45、炭素数16以上脂肪酸含有量:98.8質量%)35質量部とパーム核油の極度硬化油(ラウリン酸含有量:48.4質量%)50質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、油脂A1(炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸含有量:30.6質量%、ラウリン酸含有量:22.1質量%、パルミチン酸含有量:31.2質量%、ステアリン酸含有量:13.1質量%、不飽和脂肪酸含有量:20.6質量%、炭素数20以上の脂肪酸含有量:0.5質量%、パルミチン酸/ステアリン酸:2.39、不飽和脂肪酸/ステアリン酸:1.58、トランス脂肪酸含有量:0.2質量%、C42~48TAG含有量:54.4質量%、ヨウ素価:23、融点:37.0℃)を得た。
エステル交換反応は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。エステル交換反応は50質量%のクエン酸水溶液を添加して中和することで終了させた。エステル交換反応を終了させた後、等量の熱湯で3回洗浄して脱水乾燥し、常法により脱色、脱臭することでエステル交換油脂を得た。
【0119】
〔油脂B1の製造〕
パーム油(ヨウ素価:51、炭素数16以上脂肪酸含有量:98.5質量%)60質量部とパーム核油(ラウリン酸含有量:47.1質量%)40質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、油脂B1(炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸含有量:26.0質量%、ラウリン酸含有量:18.8質量%、パルミチン酸含有量:29.9質量%、ステアリン酸含有量:3.7質量%、不飽和脂肪酸含有量:37.6質量%、炭素数20以上の脂肪酸含有量:0.6質量%、パルミチン酸/ステアリン酸:8.08、トランス脂肪酸含有量:0.6質量%、C42~48TAG含有量:57.1質量%、ヨウ素価:39、融点:30.0℃)を得た。
エステル交換反応は、油脂A1と同様の方法で行った。
【0120】
〔油脂C1〕
菜種油を油脂C1(20℃の性状:液状、不飽和脂肪酸含有量:92.5質量%、トランス脂肪酸含有量:1.4質量%)とした。
【0121】
〔油脂D1〕
ヤシ油の硬化油を油脂D1(炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸含有量:67.0質量%、ラウリン酸含有量:47.9質量%、不飽和脂肪酸含有量:0質量%、トランス脂肪酸含有量:0質量%、ヨウ素価:0)とした。
【0122】
〔油脂E1〕
パーム中融点部(ヨウ素価:45)を油脂E1(炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸含有量:1.2質量%、パルミチン酸含有量:47.8質量%、ステアリン酸含有量:5.1質量%、不飽和脂肪酸含有量:45.2質量%、パルミチン酸/ステアリン酸:9.37、トランス脂肪酸含有量:0.2質量%)とした。
【0123】
〔油脂E2〕
パーム油(ヨウ素価:51)を油脂E2(炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸含有量:1.5質量%、パルミチン酸含有量:44.3質量%、ステアリン酸含有量:4.5質量%、不飽和脂肪酸含有量:49.2質量%、パルミチン酸/ステアリン酸:9.84、トランス脂肪酸含有量:0.3質量%)とした。
【0124】
〔油脂E3〕
パームオレイン(ヨウ素価:56)を油脂E3(炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸含有量:1.4質量%、パルミチン酸含有量:40.5質量%、ステアリン酸含有量:4.1質量%、不飽和脂肪酸含有量:53.3質量%、パルミチン酸/ステアリン酸:9.88、トランス脂肪酸含有量:0.1質量%)とした。
【0125】
〔油脂F1の製造〕
51質量部の菜種油の極度硬化油(沃素価:1)と49質量部のMCTとを混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換することにより、油脂a1(炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸含有量:0質量%、ステアリン酸含有量:47.4質量%、不飽和脂肪酸含有量:0.2質量%)を得た。
エステル交換反応は、油脂A1と同様の方法で行った。
【0126】
トリグリセリンパルミチン酸エステル(HLB10)を乳化剤1とした。
グリセリン脂肪酸エステルを乳化剤2とした。
【0127】
〔バタークリーム用マーガリンの製造〕
表1の配合に従って、油相と水相とをそれぞれ調製し、油相に水相を混合、乳化した。当該乳化物を、急冷混捏して、実施例1~4、比較例1のバタークリーム用マーガリンを製造した。
【0128】
〔バタークリーム用マーガリンの評価1:起泡力1〕
品温15~25℃のバタークリーム用マーガリン300gを、ホバートミキサー(商品名:ホバートミキサー、ホバートジャパン株式会社製)を使用して中速モードで攪拌し、バタークリーム用マーガリンの比重が0.50になるまでの時間を測定した。なお、目標とする比重になるまでの時間が短いほど、バタークリーム用マーガリンは起泡力が高いことを示している。バタークリーム用マーガリンの比重が0.50になるまでの時間が11分以内である場合、バタークリーム用マーガリンは良好な起泡力を有すると判断した。評価結果を表2に示した。
【0129】
〔バタークリーム用マーガリンの評価2:起泡力2〕
起泡力1の評価後の比重0.50になったマーガリンに、液糖(商品名:MC-45、日本食品化工株式会社製、Brix70)324g、水84gを加え、ホバートミキサー(商品名:ホバートミキサー、ホバートジャパン株式会社製)を使用して中速モードで攪拌し、バタークリーム用マーガリンの比重が0.60になるまでの時間を測定した。バタークリーム用マーガリンの比重が0.60になるまでの時間が11分以内である場合、バタークリーム用マーガリンは良好な起泡力を有すると判断した。評価結果を表2に示した。
【0130】
<バタークリームの評価1:耐熱保形性>
バタークリーム用マーガリンの評価2で得られた各バタークリームを、透明カップに成形した後、25℃で8日間保存し、バタークリームの形状を下記評価基準により評価した。評価結果は、評価結果が○の場合、良好な耐熱保形性を有すると判断した。評価結果を表2に示した。
○:オイルオフ、脱気がなく、形状の変化がない。
△:オイルオフの前兆があり、形状が少し変化している。
×:オイルオフがあり、形状が明らかに変化している。
【0131】
<バタークリームの評価2:口どけ>
バタークリーム用マーガリンの評価2で得られた各バタークリームを、5名の専門パネルが食し、以下の基準に従って採点した。評価結果は、平均点の評価が◎又は〇の場合、良好な口どけを有すると判断した。評価結果を表2に示した。なお、バタークリームの口どけを評価した専門パネルは、食品の口どけ等の官能評価の訓練を定期的に受けており、食品の口どけ等の官能評価結果に個人差が少ない。
3点:良好
2点:やや良い
1点:やや悪い
0点:悪い
<平均点>
◎:2.0点以上
〇:1.5点以上2.0点未満
△:1.0点以上1.5点未満
×:1.0点未満
【0132】
【0133】
【0134】
実施例のバタークリーム用マーガリンは、良好な起泡力を有していた。また、実施例のバタークリーム用マーガリンを使用して製造したバタークリームは良好な耐熱保形性及び口どけを有していた。
一方、比較例のバタークリーム用マーガリンを使用して製造したバタークリームは、良好な口どけを有していなかった。