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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20231120BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231120BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20231120BHJP
   B23K 26/18 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H01L21/78 Q
H01L21/302 105A
B23K26/36
B23K26/18
H01L21/78 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019184656
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021061317
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山銅 英之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103330(JP,A)
【文献】特開2012-104532(JP,A)
【文献】特開2017-228723(JP,A)
【文献】特開2006-086168(JP,A)
【文献】特開2016-176826(JP,A)
【文献】特開2014-107283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/3065
B23K 26/36
B23K 26/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側において互いに交差する様に設定された複数の分割予定ラインで区画される複数の領域の各々にデバイスが形成されたウェーハの加工方法であって、
該表面及び該表面とは反対側に位置する裏面のいずれかの一面を、紫外線吸収剤を含むレジスト膜で被覆するレジスト膜被覆ステップと、
該レジスト膜が被覆された該一面側に、該ウェーハに対して吸収される波長を有するレーザービームを照射し、該分割予定ラインに沿って該ウェーハの一部と該レジスト膜とを除去するレーザービーム照射ステップと、
該レーザービーム照射ステップの後、該一面側にプラズマ状態のガスを供給し、該分割予定ラインに沿って露出した該ウェーハの露出領域をプラズマエッチングして除去するプラズマエッチングステップと、
該レジスト膜被覆ステップの後に、該ウェーハの該一面側の複数の位置に紫外線を照射して紫外線を吸収した該レジスト膜の発光を検出することにより、該各位置での該レジスト膜の厚さを測定して、該レジスト膜の被覆状態を検査する検査ステップと、を備え
該検査ステップは、該プラズマエッチングステップの後に行われるエッチング後検査ステップを含み、
該エッチング後検査ステップでは、該レジスト膜の厚さが第1の閾値より薄い膜厚不足領域の有無を検出することを特徴とするウェーハの加工方法。
【請求項2】
該検査ステップは、該レジスト膜被覆ステップの後、且つ、該レーザービーム照射ステップ及び該プラズマエッチングステップの前に行われるエッチング前検査ステップを含み、
該エッチング前検査ステップで、該レジスト膜の厚さが第2の閾値より薄い膜厚不足領域が検出された場合、該レジスト膜被覆ステップを再度行う請求項に記載のウェーハの加工方法。
【請求項3】
該一面は、該デバイスが形成された該表面であり、
該レジスト膜被覆ステップでは、該表面側を該レジスト膜で被覆する請求項1又は2に記載のウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面側にデバイスが形成されたウェーハに対してプラズマエッチングを施してウェーハを加工するウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面側において格子状に設定された複数の分割予定ラインで区画される各領域にデバイスが形成されたウェーハを、各分割予定ラインに沿って分割してデバイスチップを製造する場合に、切削ブレードやレーザービームでウェーハを切断することが知られている。
【0003】
しかし、切削ブレードやレーザービームでウェーハを切断する場合、分割予定ラインを1ラインずつ順次加工する必要があるので、分割予定ラインの数が比較的多いウェーハでは、ウェーハの加工時間が長くなるという問題がある。
【0004】
そこで、効率的なウェーハの切断方法として、レジスト膜で分割予定ライン以外の領域を覆ったウェーハに対してプラズマエッチングを施すことで、全ての分割予定ラインを同時に加工するプラズマダイシングが考案された。
【0005】
但し、高額なステッパー等を用いてレジスト膜をパターニングすると非常にコストが掛かる。そこで、より安価にレジスト膜をパターニングする方法として、紫外線吸収剤を含む水溶性樹脂膜をレジスト膜として使用し、このレジスト膜をレーザービームでパターニングする方法が考案された。
【0006】
具体的には、まず、紫外線吸収剤を含む水溶性樹脂膜(即ち、レジスト膜)でウェーハの表面全体を被覆する。次に、紫外線領域の波長を有するレーザービームを分割予定ラインに沿って照射することで、分割予定ラインに沿ってレジスト膜の一部とウェーハの表面側の一部とをアブレーション加工により除去する。これにより、レジスト膜をパターニングする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-207737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
但し、上述のレジスト膜は可視光に対してほぼ透明であるので、ウェーハにレジスト膜が形成されているか否かは、目視では分かり難い。仮に、レジスト膜が部分的に又は全く形成されていない状態でウェーハに対してプラズマエッチングが施されると、デバイスが損傷する、デバイスチップの厚さが不均一になる等の加工不良が発生する。
【0009】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、レジスト膜を利用してウェーハにプラズマエッチングを施す場合に、加工不良を検出する、又は、加工不良の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、表面側において互いに交差する様に設定された複数の分割予定ラインで区画される複数の領域の各々にデバイスが形成されたウェーハの加工方法であって、該表面及び該表面とは反対側に位置する裏面のいずれかの一面を、紫外線吸収剤を含むレジスト膜で被覆するレジスト膜被覆ステップと、該レジスト膜が被覆された該一面側に、該ウェーハに対して吸収される波長を有するレーザービームを照射し、該分割予定ラインに沿って該ウェーハの一部と該レジスト膜とを除去するレーザービーム照射ステップと、該レーザービーム照射ステップの後、該一面側にプラズマ状態のガスを供給し、該分割予定ラインに沿って露出した該ウェーハの露出領域をプラズマエッチングして除去するプラズマエッチングステップと、該レジスト膜被覆ステップの後に、該ウェーハの該一面側の複数の位置に紫外線を照射して紫外線を吸収した該レジスト膜の発光を検出することにより、該各位置での該レジスト膜の厚さを測定して、該レジスト膜の被覆状態を検査する検査ステップと、を備え、該検査ステップは、該プラズマエッチングステップの後に行われるエッチング後検査ステップを含み、該エッチング後検査ステップでは、該レジスト膜の厚さが第1の閾値より薄い膜厚不足領域の有無を検出するウェーハの加工方法が提供される。
【0012】
また、好ましくは、該検査ステップは、該レジスト膜被覆ステップの後、且つ、該レーザービーム照射ステップ及び該プラズマエッチングステップの前に行われるエッチング前検査ステップを含み、該エッチング前検査ステップで、該レジスト膜の厚さが第2の閾値より薄い膜厚不足領域が検出された場合、該レジスト膜被覆ステップを再度行う。
【0013】
また、好ましくは、該一面は、該デバイスが形成された該表面であり、該レジスト膜被覆ステップでは、該表面側を該レジスト膜で被覆する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係るウェーハの加工方法では、ウェーハの一面に紫外線吸収剤を含むレジスト膜を被覆するレジスト膜被覆ステップと、レジスト膜被覆ステップの後に、レジスト膜の発光を検出することによりウェーハの複数の位置のそれぞれでのレジスト膜の厚さを測定して、レジスト膜の被覆状態を検査する検査ステップとを備える。
【0015】
検査ステップにより、レジスト膜がウェーハを適切に被覆しているかを検査できる。例えば、プラズマエッチングステップの後に検査ステップを行う場合、レジスト膜が部分的に又は全く形成されていない状態でウェーハに対してプラズマエッチングが施されたかどうかを検査できる。それゆえ、損傷したと推定されるデバイスや、厚さが不均一になったと推定されるデバイスチップを検出できる。
【0016】
更に、レジスト膜被覆ステップの後、且つ、レーザービーム照射ステップ及びプラズマエッチングステップの前に検査ステップを行う場合、レジスト膜が部分的に又は全く形成されていない状態でウェーハに対してプラズマエッチングが施されるという事態を未然に防ぐことができる。従って、デバイスが損傷する、デバイスチップの厚さが不均一になる等の加工不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ウェーハ等の斜視図である。
図2】レーザー加工装置の斜視図である。
図3】ウェーハの一面に水溶性樹脂を塗布する様子を示す図である。
図4】膜厚測定器の概要図である。
図5】レジスト膜の厚さと発光強度との関係の概要を示すグラフである。
図6図6(A)はレジスト膜被覆ステップ後のウェーハの一例を示す断面図であり、図6(B)はレジスト膜被覆ステップ後のウェーハの他の例を示す断面図である。
図7図7(A)はレーザービーム照射ステップを示す図であり、図7(B)はレーザービーム照射ステップ後のウェーハの断面図である。
図8図8(A)はリモートプラズマエッチングステップを示す図であり、図8(B)ダイレクトプラズマエッチングステップにより切断されたウェーハ等の断面図である。
図9】エッチング後検査ステップを示す図である。
図10】第1の実施形態に係るウェーハの加工方法のフロー図である。
図11】第2の実施形態に係るウェーハの加工方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、第1の実施形態で加工されるウェーハ11について説明する。図1は、ウェーハ11等の斜視図である。
【0019】
ウェーハ11は、円盤状であり、それぞれ略円形の表面11aと、表面11aとは反対側に位置する裏面11bとを含む。ウェーハ11の表面11a側には、互いに交差する態様で複数の分割予定ライン13が設定されている。
【0020】
複数の分割予定ライン13で区画された複数の領域の各々には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)等のデバイス15が形成されている。
【0021】
本実施形態のウェーハ11は、シリコンで形成された円盤状の基板11cと、基板11c上に設けられ表面11a側に位置する機能層15aとを有する(図6(A)及び図6(B)参照)。機能層15aは、低誘電率材料(いわゆる、Low-k材料)で形成された層間絶縁膜と、金属配線層とが交互に積層された多層配線層である。
【0022】
機能層15aのうち分割予定ライン13に対応する領域は、デバイス15に対応する領域よりも低くなっており、この領域には金属で形成されたTEG(Test Element Group)15b(図6(A)及び図6(B)参照)が、分割予定ライン13に沿って離散的に形成されている。
【0023】
なお、本実施形態の基板11cは、シリコン等の半導体材料で成るが、基板11cの材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。同様に、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。
【0024】
ウェーハ11を加工するときには、図1で示す様に、ウェーハ11、ダイシングテープ17及び環状のフレーム19で構成されるウェーハユニット21を形成する。ダイシングテープ17は、ウェーハ11の径よりも大きな径を有する円形のテープである。
【0025】
ダイシングテープ17は、例えば、基材層及び粘着層(糊層)の積層構造を有する。基材層は、ポリオレフィン(PO)等の樹脂で形成されており、基材層の一面の全体又は一部には、紫外線(UV)硬化型樹脂等の粘着性の樹脂で形成された粘着層が形成されている。
【0026】
基材層の略中央部には、粘着層を介してウェーハ11が貼り付けられ、基材層の外周部には、金属で形成された環状のフレーム19の一面が粘着層を介して貼り付けられる。これにより、ウェーハ11がダイシングテープ17を介してフレーム19で支持されたウェーハユニット21が形成される。
【0027】
なお、ダイシングテープ17は、基材層及び粘着層の積層構造に限定されない。例えば、ダイシングテープ17は基材層のみを有してもよい。この場合、ウェーハ11等に基材層を熱圧着することで、ウェーハ11等にダイシングテープ17が貼り付けられ、ウェーハユニット21が形成される。
【0028】
ウェーハ11は、ウェーハユニット21の態様でレーザー加工装置へ搬送されて加工される。図2は、レーザー加工装置2の斜視図である。なお、図2では、レーザー加工装置2の構成要素の一部を機能ブロックで示す。また、以下の説明において、X軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向(鉛直方向、高さ方向)は互いに垂直である。
【0029】
レーザー加工装置2は、各構造を支持する基台4を備える。基台4の角部には、Z軸方向に突き出す態様で突出部4aが設けられている。突出部4aの内部には空間が形成されており、この空間には、Z軸方向に沿って昇降可能なカセットエレベータ8が設けられている。カセットエレベータ8の上面には、複数のウェーハユニット21を収容したカセット10が載せられる。
【0030】
突出部4aのY軸方向の一方側には、ウェーハ11を仮置きするための仮置き機構12が設けられている。仮置き機構12は、Y軸方向に平行な状態を維持しながら近づいたり離れたりする一対のガイドレール12a,12bを含む。
【0031】
仮置き機構12は、ウェーハユニット21をX軸方向において挟むことにより、ウェーハユニット21のX軸方向の位置を所定の位置に合わせる。仮置き機構12の上方には、ウェーハユニット21を搬送する搬送機構14が設けられている。
【0032】
搬送機構14は、フレーム19の一部を把持するための把持部14aを有している。搬送機構14は、把持部14aでフレーム19を把持した状態で、ウェーハユニット21をカセット10から仮置き機構12へ引き出す。
【0033】
搬送機構14の底部には、フレーム19の複数箇所を吸引して保持する吸引機構(不図示)が設けられている。吸引機構で吸引保持されたウェーハユニット21は、搬送機構14により、後述する塗布洗浄ユニット16や、チャックテーブル38へ搬送される。
【0034】
仮置き機構12のY軸方向の一方側には、塗布洗浄ユニット16が設けられている。塗布洗浄ユニット16は、円筒状の空間を有し、この円筒状の空間には、ウェーハユニット21を吸引保持した状態で回転可能なスピンナテーブル16aが設けられている。
【0035】
スピンナテーブル16aの下部には、スピンナテーブル16aを回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。スピンナテーブル16aの近傍には、紫外線吸収剤が添加された水溶性樹脂23(図3参照)を噴射する塗布用ノズル16bが設けられている。
【0036】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系の紫外線吸収剤が用いられる。また、水溶性樹脂23としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)、PEO(酸化ポリエチレン)が用いられる。
【0037】
スピンナテーブル16aの近傍の塗布用ノズル16bとは異なる位置には、洗浄用ノズル16c(図参照)が設けられている。洗浄用ノズル16cは、例えば、水とエアーとが混合された二流体を噴射する。
【0038】
塗布洗浄ユニット16に対してX軸方向の一方側に位置する基台4の表面(上面)には、水平移動機構20が設けられている。水平移動機構20は、基台4の上面に固定されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール22を備える。Y軸ガイドレール22には、Y軸移動テーブル24がスライド可能に取り付けられている。
【0039】
Y軸移動テーブル24の裏面側(下面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール22に平行なY軸ボールネジ26が回転可能な態様で結合されている。Y軸ボールネジ26の一端部には、Y軸パルスモータ28が連結されている。
【0040】
Y軸パルスモータ28でY軸ボールネジ26を回転させれば、Y軸移動テーブル24は、Y軸ガイドレール22に沿ってY軸方向に移動する。Y軸移動テーブル24の表面(上面)には、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール30が設けられている。
【0041】
X軸ガイドレール30には、X軸移動テーブル32がスライド可能に取り付けられている。X軸移動テーブル32の裏面側(下面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール30に平行なX軸ボールネジ34が回転可能な態様で結合されている。
【0042】
X軸ボールネジ34の一端部には、X軸パルスモータ(不図示)が連結されている。X軸パルスモータでX軸ボールネジ34を回転させれば、X軸移動テーブル32は、X軸ガイドレール30に沿ってX軸方向に移動する。
【0043】
X軸移動テーブル32の表面側(上面側)には、テーブルベース36が設けられている。テーブルベース36の上部には、ウェーハ11を吸引保持するためのチャックテーブル38が設けられている。チャックテーブル38の周囲には、フレーム19を四方から固定する4個のクランプ40が設けられている。
【0044】
チャックテーブル38の底部は、テーブルベース36の内部に設けられたモータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向に平行な回転軸の周りに回転可能である。チャックテーブル38の上面は、ウェーハユニット21を吸引して保持する保持面38aとなっている。
【0045】
保持面38aは、チャックテーブル38やテーブルベース36の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。吸引源を動作させると保持面38aには、負圧が発生する。
【0046】
基台4のY軸方向の一方側の端部には、Z軸方向に沿って延在する壁状の支持構造6が設けられている。支持構造6には、基台4の中央側に向けて突出する支持アーム6aが設けられている。この支持アーム6aの先端部には、下方に向けてレーザービームを照射する集光器42が設けられている。
【0047】
集光器42には、パルス状のレーザービームを発生させるためのレーザー発振器(不図示)が光学的に接続されている。集光器42、レーザー発振器等は、レーザービーム照射ユニットを構成する。
【0048】
集光器42から照射されるレーザービームは、ウェーハ11に対して吸収される波長を有する。当該レーザービームの波長は、紫外線領域の波長(例えば、355nm)である。また、当該レーザービームの平均出力は、例えば、0.5Wに調整され、当該レーザービームのパルスの繰り返し周波数は、例えば、200kHzに調整される。
【0049】
集光器42のX軸方向の一方側には、膜厚測定器44の測定ヘッド44aが設けられている。ここで、図4を参照して膜厚測定器44について説明する。図4は、膜厚測定器44の概要図である。なお、図4では、膜厚測定器44の構成要素の一部を機能ブロックで示す。
【0050】
膜厚測定器44は、測定用光源44bを有する。測定用光源44bは、例えば、紫外線を照射する紫外線(UV)ライトである。但し、測定用光源44bは、集光器42から照射されるレーザービームよりも低い出力と、紫外線領域の波長とを有するレーザービームを照射するレーザー発振器であってもよい。
【0051】
測定用光源44bから照射される紫外線の一部は、ハーフミラー44cを透過し、ミラー44dにより反射され、測定ヘッド44a内に設けられた集光レンズ44eに入射する。測定ヘッド44aの下方には、保持面38aで保持されたウェーハユニット21が配置されている。
【0052】
図4に示すウェーハユニット21は、ウェーハ11の表面(一面)11aが露出する態様で、保持面38aで保持されている。ウェーハ11の表面11aには、紫外線吸収剤を含むレジスト膜25が形成されている。
【0053】
集光レンズ44eから照射された紫外線は、ウェーハ11の表面11a側で集光する態様で表面11a側のレジスト膜25に入射する。レジスト膜25中の紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して発光する。例えば、紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して所定の帯域(例えば、360nm以上560nm以下)の蛍光を発する。
【0054】
蛍光は、集光レンズ44e、ミラー44d、ハーフミラー44cを順に経て、受光部44fへ入射する。受光部44fは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子(不図示)を有する。
【0055】
受光部44fへ入射した蛍光は、撮像素子により光電変換され、発光強度に対応する電圧信号へと変換される。この電圧信号は、後述する制御部48(図参照)へ送られ、電圧信号に応じたレジスト膜25の厚さが算出される。
【0056】
紫外線吸収剤は、レジスト膜25中に一様に分散しているので、所定の出力の紫外線をレジスト膜25に照射した場合、レジスト膜25が厚いほど蛍光の発光強度は高くなる。図5は、レジスト膜25の厚さと発光強度との関係の概要を示すグラフである。
【0057】
図5の横軸は、レジスト膜25の厚さ(nm)であり、図5の縦軸は、受光部44fに入射する蛍光の強度(a.u.)である。レジスト膜25が無い(即ち、ゼロである)場合、蛍光の強度はゼロであるが、レジスト膜25の厚さが増加するにつれて、蛍光の強度は増加する。
【0058】
レジスト膜25の厚さは、表面11a側の複数の位置で測定される。この場合、例えば、水平移動機構20を動作させて、測定用光源44bから照射された紫外線で表面11aを走査する。なお、レジスト膜25の厚さの測定方法として、特開2012-104532号公報に開示されているように、蛍光の発光強度と所定の波長帯域との対応関係に基づいて、レジスト膜25の厚さを測定してもよい。
【0059】
ここで、図2に戻り、レーザー加工装置2の他の構成要素について説明する。集光器42に対して測定ヘッド44aとは反対側には、ウェーハ11を撮像するためのカメラユニットの撮像ヘッド46が設けられている。このカメラユニットは、可視光カメラユニット(不図示)又は赤外線(IR)カメラユニット(不図示)であり、例えば、ウェーハ11のアライメントや、カーフチェックに用いられる。
【0060】
また、レーザー加工装置2は、搬送機構14、塗布洗浄ユニット16、水平移動機構20、チャックテーブル38、レーザービーム照射ユニット、膜厚測定器44、カメラユニット等の各構成要素に接続されている制御部48を有する。制御部48は、ウェーハ11の加工に必要な一連の工程に合わせて、各構成要素を制御する。
【0061】
制御部48は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成される。記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、制御部48は、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
【0062】
制御部48は、受光部44fからの電圧信号に応じてレジスト膜25の厚さを算出する算出部(不図示)を有する。当該算出部は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムである。算出部は、記憶装置の一部の領域に記憶された蛍光の強度と、レジスト膜25の厚さとの対応関係を読み出し、当該対応関係に基づいてレジスト膜25の厚さを算出する。なお、算出部が記憶装置から読み出す、蛍光の強度とレジスト膜25の厚さとの対応関係は、例えば、図5に示すグラフを特定する数式や、予め得られているテーブル等である。
【0063】
次に、ウェーハ11の加工方法について説明する。なお、図10は、第1の実施形態に係るウェーハ11の加工方法のフロー図である。本実施形態では、まず、塗布洗浄ユニット16を用いて、ウェーハ11の表面11aをレジスト膜25で被覆する(レジスト膜被覆ステップ(S10))。
【0064】
レジスト膜被覆ステップ(S10)では、まず、塗布洗浄ユニット16にウェーハユニット21を搬送し、表面(一面)11aが露出する様にスピンナテーブル16aでウェーハユニット21を吸引して保持する。
【0065】
次に、スピンナテーブル16aを回転させた状態で、紫外線吸収剤を含む液状の水溶性樹脂23を塗布用ノズル16bから噴射する。図3は、ウェーハ11の一面に水溶性樹脂23を塗布する様子を示す図である。
【0066】
水溶性樹脂23は遠心力により外側に広がり、ウェーハ11の表面11a全体に水溶性樹脂23が塗布される。塗布後に、水溶性樹脂23を乾燥させることで、水溶性樹脂23はレジスト膜25となる。つまり、表面11aの全体は、紫外線吸収剤を含むレジスト膜25で被覆される。
【0067】
図6(A)は、レジスト膜被覆ステップ(S10)後のウェーハ11の一例を示す断面図である。図6(A)に示すレジスト膜25は、デバイス15及び分割予定ライン13に対応する領域に一様な厚さで形成されている。
【0068】
しかし、水溶性樹脂23の粘性、表面11aの濡れ性、スピンナテーブル16aの単位時間当たりの回転数等の要因に起因して、レジスト膜25には、穴25aや、塗り斑(部分的に厚さが厚い又は薄い領域)が形成される場合がある。
【0069】
図6(B)は、レジスト膜被覆ステップ(S10)後のウェーハ11の他の例を示す断面図である。図6(B)に示すレジスト膜25では、デバイス15上に穴25aが形成されている。なお、穴25aがある場合には、後述するプラズマエッチングステップで、デバイス15が損傷する、デバイスチップの厚さが不均一になる等の加工不良が発生する原因となる。
【0070】
本実施形態では、レジスト膜被覆ステップ(S10)後に、集光器42等のレーザービーム照射ユニットを用いて表面11a側にレーザービームを照射し、分割予定ライン13に沿って、レジスト膜25とウェーハ11の一部とを除去する(レーザービーム照射ステップ(S20))。
【0071】
図7(A)は、レーザービーム照射ステップ(S20)を示す図である。レーザービーム照射ステップ(S20)では、まず、ウェーハユニット21をチャックテーブル38に搬送する。そして、可視光カメラユニットを用いて、ウェーハ11のアライメントを行い、1つの分割予定ライン13をX軸方向に平行に位置付ける。
【0072】
次に、集光器42からレーザービームを照射した状態で、集光器42とチャックテーブル38とをX軸方向に沿って相対的に動かす。これにより、1つの分割予定ライン13に沿って、レジスト膜25とウェーハ11の一部とがアブレーション加工されて除去される。
【0073】
1つの分割予定ライン13に沿ってレーザービームを照射した後、チャックテーブル38を割り出し送りする。そして、加工後の分割予定ライン13のY軸方向に隣接する他の分割予定ライン13に沿って、同様にレーザービームを照射する。
【0074】
X軸方向に平行な全ての分割予定ライン13に沿ってレーザービームを照射した後、チャックテーブル38を90度回転させる。そして、加工が施されていない残りの分割予定ライン13に沿って、同様にレーザービームを照射する。
【0075】
これにより、レジスト膜25及びウェーハ11の一部は、全ての分割予定ライン13に沿ってアブレーション加工され、表面11a側にはウェーハ11の露出領域である溝11dが形成される。
【0076】
図7(B)は、レーザービーム照射ステップ(S20)後のウェーハ11の断面図である。なお、レーザービーム照射ステップ(S20)後のレジスト膜25には、アブレーション加工に伴い生じたデブリ25bが付着することがあり、溝11dには熱で変質した熱影響層(不図示)が形成されることがある。
【0077】
レーザービーム照射ステップ(S20)の後、レーザー加工装置2とは別途に設けられたプラズマエッチング装置(不図示)を用いて、表面11a側にプラズマ状態のガスを供給し、ウェーハ11をエッチングする(プラズマエッチングステップ(S30))。
【0078】
プラズマエッチング装置は、金属で形成されたチャンバー(不図示)を有する。チャンバーには、ウェーハユニット21の搬送経路となるドア部(不図示)が設けられている。また、チャンバーには、内部を排気するための排気装置(不図示)が接続されている。
【0079】
チャンバー内には、テーブルベース(不図示)が設けられている。テーブルベースには、ウェーハユニット21を保持する静電チャック(不図示)と、静電チャックから電気的に分離され、ブロッキングコンデンサ(不図示)を介して高周波電源(不図示)に接続されたバイアス用電極(不図示)とが設けられている。
【0080】
テーブルベースの上方に位置するチャンバーの天井部には、リモートプラズマを発生させるためのアプリケーター(不図示)が設けられている。アプリケーターは、チャンバーの天井部に略垂直に接続するガス供給管(不図示)と、ガス供給管に略直交する態様で接続された導波管(不図示)と、導波管の一端側に設けられた高周波発生源(不図示)とを含む。
【0081】
ガス供給管には、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを有する不活性ガス供給源(不図示)と、第1のフッ素系ガス(SF)を有する第1のフッ素系ガス供給源と、第2のフッ素系ガス(C)を有する第2のフッ素系ガス供給源とが接続されている。
【0082】
プラズマエッチングステップ(S30)では、まず、ウェーハユニット21を静電チャックに搬送し、表面11aが露出する態様で、ウェーハユニット21を静電チャック(不図示)で保持する。
【0083】
本実施形態では、プラズマエッチング装置を用いて、最初に、ウェーハ11にリモートプラズマエッチングステップ(S32)を行い、次に、ダイレクトプラズマエッチングステップ(S34)を行う。
【0084】
リモートプラズマエッチングステップ(S32)では、ガス供給管に不活性ガス及びSFガスを供給し、これらのガスに対して導波管を介して2.45GHz、2000Wのマイクロ波を照射する。マイクロ波によりプラズマ化したガス(リモートプラズマP1)は、アプリケーターからウェーハ11へ到達し、溝11dの底部及び側部をエッチングする。
【0085】
図8(A)は、リモートプラズマエッチングステップ(S32)を示す図である。リモートプラズマエッチングステップ(S32)では、溝11dの底部及び側部の熱影響層や、溝11d内に付着したデブリ25bが除去される。
【0086】
リモートプラズマエッチングステップ(S32)の後、チャンバー内部を排気して、更に、チャンバー内で発生させたプラズマ(ダイレクトプラズマP2)で、溝11dの底部をエッチングして除去する(ダイレクトプラズマエッチングステップ(S34))。
【0087】
ダイレクトプラズマエッチングステップ(S34)では、所謂ボッシュ法で溝11dの底部をエッチングすることにより基板11cを切断する。具体的には、第1のフッ素系ガス供給源からチャンバーにSFガスを第1の所定時間供給し、バイアス用電極に13.56MHz、300Wの高周波電力を印加する。プラズマ化したSFガスにより基板11cは等方的にエッチングされる。
【0088】
次いで、第1のフッ素系ガス供給源からSFガスの供給を停止し、第2のフッ素系ガス供給源からチャンバーへCガスを供給する。バイアス用電極には13.56MHz、300Wの高周波電力が印加された状態であり、Cガスを第2の所定時間供給すると、プラズマ化したCガスにより、溝11dの側壁には保護膜が形成される。
【0089】
次いで、Cガスの供給を停止する。その後、バイアス用電極に上述の高周波電力が印加された状態で、第1の所定時間のSFガスの供給と、第2の所定時間のCガスの供給とを交互に繰り返す。
【0090】
溝11dの側壁に保護膜を形成することにより、プラズマ化したSFガスにより溝11dの底部が選択的にエッチングされて、最終的に基板11cは切断される。図8(B)は、ダイレクトプラズマエッチングステップ(S34)により切断されたウェーハ11等の断面図である。
【0091】
プラズマエッチングステップ(S30)の後に、膜厚測定器44を用いて、レジスト膜25の発光を検出することにより、レジスト膜25の被覆状態を検査する(エッチング後検査ステップ(S40))。図9は、エッチング後検査ステップ(S40)を示す図である。
【0092】
エッチング後検査ステップ(S40)では、まず、ウェーハユニット21をプラズマエッチング装置から取り出して、レーザー加工装置2へ搬送し、表面11aが上方を向く態様でウェーハユニット21をチャックテーブル38で保持する。
【0093】
次いで、測定用光源44bから表面11a側に紫外線を照射した状態で、水平移動機構20でチャックテーブル38を移動させることで、レジスト膜25を走査する。例えば、紫外線は、各デバイス15を横断する様に照射される。そして、制御部48は、レジスト膜25からの蛍光に基づいて、レジスト膜25の厚さを検査する。
【0094】
なお、レジスト被覆ステップ(S10)ではスピンコーティングを行うので、レジスト膜25の厚さは、ウェーハ11の外周部が薄くなりやすい。それゆえ、エッチング後検査ステップ(S40)では、ウェーハ11の外周部の検査に使用する時間を、ウェーハ11の中心部の検査に使用する時間よりも長くしてもよい。
【0095】
具体的には、ウェーハ11の外周側に位置する複数のデバイス15(例えば、図9のX方向及びY方向の各外周側に位置する6個×4のデバイス15)については、デバイス15上を往復する様に複数回、紫外線でデバイス15を走査する。
【0096】
レジスト膜25の厚さは、プラズマエッチングステップ(S30)前には、例えば、2μm以上6μm以下であるが、プラズマエッチングステップ(S30)後には、エッチングにより厚さが目減りする。
【0097】
そこで、本実施形態では、0.1μmを第1の閾値と設定し、制御部48は、表面11a側の分割予定ライン13を除く領域のうち、レジスト膜25の厚さがこの第1の閾値より薄い膜厚不足領域27の有無を検出する。
【0098】
膜厚不足領域27は、例えば、レジスト膜25の厚さが0μmより大きく且つ第1の閾値以下である注意領域と、レジスト膜25の厚さが0μmである加工不良領域とに分類される。注意領域及びその周囲では、レジスト膜25の厚さが0μmである領域が存在する可能性がある。また、加工不良領域では、デバイス15が損傷している可能性がある。
【0099】
制御部48は、加工不良領域が検出されたウェーハ11が不良ウェーハである旨の警告をモニター(不図示)に表示させる。なお、制御部48は、不良ウェーハである旨の警告を出すことに代えて、加工不良領域が検出された領域に位置するデバイス15が不良である旨の警告を出してもよい。また、制御部48は、注意領域及び加工不良領域の分布を、レーザー加工装置2のモニターに表示させてもよい。
【0100】
本実施形態では、レジスト膜25が部分的に又は全く形成されていない状態でウェーハ11に対してプラズマエッチングが施されたかどうかを検査できる。従って、損傷したと推定されるデバイス15や、厚さが不均一になったと推定されるデバイスチップを検出できる。
【0101】
エッチング後検査ステップ(S40)後、レジスト膜25を除去する(レジスト膜除去ステップ(S50))。レジスト膜除去ステップ(S50)では、まず、チャックテーブル38からスピンナテーブル16aへウェーハユニット21を搬送する。
【0102】
そして、表面11a側が上方を向いた態様でウェーハユニット21を保持し、スピンナテーブル16aを回転させ、洗浄用ノズル16cから二流体を噴射する。これにより、水溶性樹脂23で形成されているレジスト膜25は、溶解して除去される。ウェーハ11を洗浄した後、ウェーハユニット21はカセット10へ搬送される。
【0103】
次に、第2の実施形態に係るウェーハ11の加工方法について説明する。第2の実施形態における加工方法は、エッチング後検査ステップ(S40)に加えて、レジスト膜被覆ステップ(S10)の後、且つ、レーザービーム照射ステップ(S20)及びプラズマエッチングステップ(S30)の前に行われるエッチング前検査ステップ(S12)を更に含む。
【0104】
図11は、第2の実施形態に係るウェーハ11の加工方法のフロー図である。エッチング前検査ステップ(S12)でも、エッチング後検査ステップ(S40)と同様に、膜厚測定器44を用いて、ウェーハ11の複数の位置でレジスト膜25の厚さを検査する。
【0105】
エッチング前検査ステップ(S12)では、第2の閾値(例えば、2μm)より薄い膜厚不足領域27の有無を検査する。なお、プラズマエッチングによるレジスト膜25の目減りを考慮して、第2の閾値は、第1の閾値よりも大きく設定される。
【0106】
エッチング前検査ステップ(S12)で、第2の閾値より薄い膜厚不足領域27が検出された場合(S14でYES)、レジスト膜被覆ステップ(S10)が再度行われる。この場合、既存のレジスト膜25に更にレジスト膜25を形成してもよいし、既存のレジスト膜25を塗布洗浄ユニット16で除去した後に、再度、表面11a側にレジスト膜25を形成してもよい。
【0107】
エッチング前検査ステップ(S12)では、レジスト膜25が部分的に又は全く形成されていない状態でウェーハ11に対してプラズマエッチング(S30)が施されるという事態を防ぐことができる。従って、デバイス15が損傷する、デバイスチップの厚さが不均一になる等の加工不良を抑制できる。
【0108】
エッチング前検査ステップ(S12)で制御部48により第2の閾値より薄い膜厚不足領域27が検出されなかった場合(S14でNO)、レーザービーム照射ステップ(S20)に進む。以降は、第1の実施形態と同じである。
【0109】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、レジスト膜被覆ステップ(S10)で、表面11aに代えて、裏面(一面)11bにレジスト膜25を形成する。この場合、レーザービーム照射ステップ(S20)でウェーハ11をアライメントするときには、赤外線カメラユニットが用いられる。また、第1及び第2の実施形態において表面11a側に施したプラズマエッチングステップ(S30)等は、裏面11b側に対して行われる。
【0110】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、プラズマエッチングステップ(S30)では、リモートプラズマエッチングステップ(S32)のみを行ってもよい。この場合、レジスト膜除去ステップ(S50)後に、例えば、所謂ステルスダイシングにより基板11cを分割する。
【0111】
ステルスダイシングでは、ウェーハ11に吸収される波長を有するレーザービームを分割予定ライン13に沿って照射することによりレーザービームが照射されていない領域に比べて脆弱な改質層を形成した後、外力等を付与することで、ウェーハ11を切断する。また、ステルスダイシングに代えて、レジスト膜除去ステップ(S50)後に、切削ブレードを用いて分割予定ライン13に沿ってウェーハ11を切削することにより、ウェーハ11を切断してもよい。
【0112】
ところで、エッチング後検査ステップ(S40)は、上述のレーザー加工装置2ではなく、水平移動機構20、テーブルベース36、チャックテーブル38、膜厚測定器44等を有する測定装置(不図示)で行ってもよい。
【0113】
また、レーザー加工装置2とは別途に設けられた加工装置(不図示)であって、水平移動機構20、テーブルベース36、チャックテーブル38、膜厚測定器44等に加えて、塗布洗浄ユニット16を有する加工装置を用いてもよい。
【0114】
例えば、この加工装置を用いて、レジスト膜被覆ステップ(S10)、エッチング前検査ステップ(S12)、エッチング後検査ステップ(S40)、及び、レジスト膜除去ステップ(S50)を行うことができる。
【0115】
それゆえ、加工装置とレーザー加工装置2とを併用することで、レーザー加工装置2で一のウェーハ11にレーザービーム照射ステップ(S20)を施すと同時に、加工装置で他のウェーハ11にエッチング後検査ステップ(S40)等を施すことができる。従って、この場合、効率的にデバイスチップを製造できる。
【符号の説明】
【0116】
11 ウェーハ
11a 表面
11b 裏面
11c 基板
11d 溝(露出領域)
13 分割予定ライン
15 デバイス
15a 機能層
15b TEG
17 ダイシングテープ
19 フレーム
21 ウェーハユニット
23 水溶性樹脂
25 レジスト膜
25a 穴
25b デブリ
27 膜厚不足領域
2 レーザー加工装置
4 基台
4a 突出部
6 支持構造
6a 支持アーム
8 カセットエレベータ
10 カセット
12 仮置き機構
12a、12b ガイドレール
14 搬送機構
14a 把持部
16 塗布洗浄ユニット
16a スピンナテーブル
16b 塗布用ノズル
16c 洗浄用ノズル
20 水平移動機構
22 Y軸ガイドレール
24 Y軸移動テーブル
26 Y軸ボールネジ
28 Y軸パルスモータ
30 X軸ガイドレール
32 X軸移動テーブル
34 X軸ボールネジ
36 テーブルベース
38 チャックテーブル
38a 保持面
40 クランプ
42 集光器
44 膜厚測定器
44a 測定ヘッド
44b 測定用光源
44c ハーフミラー
44d ミラー
44e 集光レンズ
44f 受光部
46 撮像ヘッド
48 制御部
P1 リモートプラズマ
P2 ダイレクトプラズマ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11