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  • 特許-観察用治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】観察用治具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20231120BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H01L21/78 F
H01L21/66 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020012700
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021118332
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】楠 欣浩
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207752968(CN,U)
【文献】特開平07-146224(JP,A)
【文献】特開平05-152394(JP,A)
【文献】特開2016-162914(JP,A)
【文献】実開平01-084436(JP,U)
【文献】特開2011-009304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップの側面を観察する際に用いる観察用治具であって、
チップを保持する粘着層を表面に備えたテーブルと、
該テーブルを伏せた状態から起立した状態に変化するように回転可能に支持すると共に該テーブルの裏面に対応して形成された貫通開口を備えた枠体と、
該貫通開口に挿入され該テーブルを伏せた状態から起立した状態にする突起を備えた基台と、を有する観察用治具。
【請求項2】
該枠体は該テーブルを複数支持し、該基台は該複数のテーブルに対応して該突起を複数備える請求項1記載の観察用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップの側面を観察する際に用いる観察用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、切削ブレードを回転可能に備えたダイシング装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
また、デバイスチップを配線基板に複数整列させてモールド樹脂によってパッケージングしたQFN(Quad Flat Non-leaded package)と称されるチップサイズパッケージ基板もダイシング装置によって個々のパッケージデバイスチップに分割される(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
そして、QFNは、隣接するデバイスに跨って電極が形成され分割予定ラインを横切って配設されていることから切削ブレードで分割予定ラインを切断すると、金属の延性によって電極が伸びて電極同士が短絡するおそれがある。このため、パッケージデバイスチップは、側面が上を向くように粘着テープに貼り付けられ、顕微鏡により側面が観察され電極が短絡しているか否かが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-145558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、パッケージデバイスは数mm角程度と小さく、かつパッケージデバイスの厚みも薄いため、パッケージデバイスチップの側面を粘着テープに貼り付けるには相当の注意力が必要であると共に、パッケージデバイスチップの側面が上を向いた状態を保つことが困難であり、顕微鏡によりパッケージデバイスチップの側面を観察することには手間がかかるという問題がある。
【0007】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、パッケージデバイスチップ等のチップの側面を容易に観察するための観察用治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために以下の観察用治具を提供する。すなわち、チップの側面を観察する際に用いる観察用治具であって、チップを保持する粘着層を表面に備えたテーブルと、該テーブルを伏せた状態から起立した状態に変化するように回転可能に支持すると共に該テーブルの裏面に対応して形成された貫通開口を備えた枠体と、該貫通開口に挿入され該テーブルを伏せた状態から起立した状態にする突起を備えた基台と、を有する観察用治具を本発明は提供する。
【0009】
好ましくは、該枠体は該テーブルを複数支持し、該基台は該複数のテーブルに対応して該突起を複数備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の観察用治具は、チップを保持する粘着層を表面に備えたテーブルと、該テーブルを伏せた状態から起立した状態に変化するように回転可能に支持すると共に該テーブルの裏面に対応して形成された貫通開口を備えた枠体と、該貫通開口に挿入され該テーブルを伏せた状態から起立した状態にする突起を備えた基台と、を有するので、パッケージデバイスチップ等のチップの側面を容易に上に向けて顕微鏡で観察することが可能となり、顕微鏡での観察に手間がかかるという問題が解消する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された観察用治具の分解斜視図。
図2図1に示すテーブルにチップを保持させている状態を示す斜視図。
図3】(a)チップを保持したテーブルと共に枠体を基台に載せる状態を示す斜視図、(b)テーブルが伏せた状態から起立した状態に変化した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された観察用治具の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に全体を符号2で示す観察用治具は、チップを保持する粘着層を表面に備えたテーブル4と、テーブル4を伏せた状態から起立した状態に変化するように回転可能に支持すると共にテーブル4の裏面に対応して形成された貫通開口を備えた枠体6と、貫通開口に挿入されテーブル4を伏せた状態から起立した状態にする突起を備えた基台8とを有する。
【0014】
テーブル4は矩形板状に形成されており、テーブル4の表面にはチップを保持する矩形状の粘着層10が設けられている。テーブル4の表面のサイズと同一でよい粘着層10のサイズは、様々なサイズのチップを保持できるサイズが好ましく、たとえば1cm×1cm程度でよい。図1を参照することによって理解されるとおり、テーブル4の表面は平坦に形成されている一方、テーブル4の裏面には段差が形成されており、テーブル4は、厚みが比較的大きい第一の部分12と、第一の部分12よりも厚みが小さい第二の部分14とを有する。図示の実施形態の各テーブル4には、第一の部分12の側面16から突出する円柱状の一対の軸18が付設されており、一対の軸18は互いに対向する位置に配置されている。
【0015】
枠体6は、全体として長方形状に形成されており、テーブル4を収容可能な矩形状の一対の貫通開口20が枠体6の長手方向に間隔をおいて形成されている。枠体6の内周面22には、テーブル4の軸18が挿入される円形の複数の支持孔24が形成されており、各支持孔24は互いに対向する位置に配置されている。そして、枠体6においては、各支持孔24にテーブル4の各軸18が挿入されると、テーブル4を伏せた状態から起立した状態に変化するように回転可能に支持するようになっている。
【0016】
図1に示すとおり、各貫通開口20には、内周面22の下側部分から突出する一対の突出片26が枠体6の長手方向に間隔L1をおいて配置されている。そして、枠体6にテーブル4が支持された際は、テーブル4の第二の部分14が各突出片26に支持されるようになっている。このように、各貫通開口20の形状はテーブル4の裏面の形状に対応して形成されている。
【0017】
基台8は、全体として直方体状の主部28と、主部28の長手方向に間隔をおいて主部28の上面から上方に突出する一対の突起30とを備える。各突起30は、主部28の短手方向片側に配置されていると共に、主部28の上面に枠体6が載せられた際に、各貫通開口20に形成された一対の突出片26間に位置するように配置されている。主部28の長手方向における突起30の寸法L2は、各貫通開口20に形成された一対の突出片26の間隔L1よりも若干小さい。また、主部28の短手方向他側には、主部28の長手方向に間隔をおいて矩形状の一対の収容開口32が形成されている。
【0018】
そして、テーブル4を支持した枠体6が基台8の主部28の上面に載せられると共に、枠体6の各貫通開口20に基台8の各突起30が挿入され、各貫通開口20に形成された一対の突出片26間を各突起30が通過すると、各テーブル4の第二の部分14の裏面を各突起30が上方に押し、各テーブル4を回転させて伏せた状態から起立した状態に変化させるようになっている。また、各テーブル4が起立した状態に変化した際には、各テーブル4の第一の部分12が基台8の各収容開口32に収容される。
【0019】
次に、上述したとおりの観察用治具2を用いてチップの側面を観察する方法について説明する。図示の実施形態では図2に示すとおり、まず、枠体6に回転自在に支持されたテーブル4の粘着層10にチップ34を保持させる。
【0020】
図示の実施形態におけるチップ34は、QFNと称されるチップサイズパッケージ基板が個々のパッケージデバイスチップに分割された矩形板状のチップであり、チップ34の表面34aおよび側面34bに電極36が露出している。
【0021】
次いで、図3に示すとおり、枠体6を基台8の主部28の上面に載せ、枠体6の各貫通開口20に基台8の各突起30を挿入して、各貫通開口20に形成された一対の突出片26間に各突起30を通過させる。そうすると、各テーブル4の第二の部分14の裏面が各突起30によって上方に押され、各テーブル4が回転して伏せた状態から起立した状態に変化すると共に、各テーブル4の第一の部分12が基台8の各収容開口32に収容される。これによって、図3(b)に示すとおり、各テーブル4に保持されたチップ34の側面34bを上に向けることができ、顕微鏡によってチップ34の側面34bを観察することが可能となる。各テーブル4が回転する際や、各テーブル4が回転して起立した状態に変化した後においても、チップ34はテーブル4の粘着層10に保持されているので、チップ34の側面34bが上を向いた状態が安定して保たれる。
【0022】
以上のとおりであり、図示の実施形態の観察用治具2は、チップ34を保持する粘着層10を表面に備えたテーブル4と、テーブル4を伏せた状態から起立した状態に変化するように回転可能に支持すると共にテーブル4の裏面に対応して形成された貫通開口20を備えた枠体6と、貫通開口20に挿入されテーブル4を伏せた状態から起立した状態にする突起30を備えた基台8と、を有するので、チップ34の側面34bを容易に上に向けて顕微鏡で観察することが可能となり、顕微鏡での観察に手間がかかるという問題が解消する。
【0023】
なお、図示の実施形態の枠体6は一対のテーブル4を支持するようになっているが、枠体6は1個のテーブル4を支持するようになっていてもよく、あるいは3個以上のテーブル4を支持するようになっていてもよい。図示の実施形態の基台8は一対の突起30を備えているが、基台8はテーブル4の数量に対応して1個または3個以上の突起30を備えていてもよい。また、図示の実施形態の観察用治具2を複数個連結してもよい。
【符号の説明】
【0024】
2:観察用治具
4:テーブル
6:枠体
8:基台
10:粘着層
20:貫通開口
30:突起
34:チップ
34a:チップの表面
34b:チップの側面
図1
図2
図3