(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231120BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20231120BHJP
B24B 37/013 20120101ALI20231120BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H01L21/304 621D
H01L21/304 622K
H01L21/304 622S
B24B37/005 A
B24B37/013
B24B49/10
(21)【出願番号】P 2020018110
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 暢行
(72)【発明者】
【氏名】安田 穂積
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001325(JP,A)
【文献】特開2016-074074(JP,A)
【文献】特開2011-029643(JP,A)
【文献】特開2003-229388(JP,A)
【文献】特表2004-517479(JP,A)
【文献】特開2002-018710(JP,A)
【文献】特開平11-333722(JP,A)
【文献】特開2006-245410(JP,A)
【文献】特開平10-071562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/005
B24B 37/013
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するためのテーブルと、
前記テーブルに支持された基板を研磨するための研磨パッドを保持するためのパッドホルダと、
前記パッドホルダを前記基板に対して昇降させるための昇降機構と、
前記パッドホルダを前記基板の径方向に揺動させるための揺動機構と、
前記揺動機構によって前記テーブルの外側へ揺動された研磨パッドを支持するための支持部材と、
前記基板を研磨しながら前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整するための駆動機構と、
前記基板を研磨しながら前記基板の被研磨面の膜厚プロファイルを計測するための膜厚計測器と、
を含み、
前記駆動機構は、前記膜厚計測器によって計測された膜厚プロファイルに応じて前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整するように構成される、
基板処理装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記テーブルの外側の前記研磨パッドの揺動経路に配置された第1の支持部材と、前記テーブルを挟んで前記第1の支持部材と反対側の前記研磨パッドの揺動経路に配置された第2の支持部材と、を含む、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1の支持部材および前記第2の支持部材はそれぞれ、前記研磨パッドの前記基板と接触する研磨面の全体を支持可能な支持面を有する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記膜厚計測器によって計測された膜厚プロファイルにおける前記基板のエッジ部の膜厚が中央部の膜厚よりも厚い場合には、前記支持部材の高さを下げるまたは前記基板に対する距離を広げるように構成される、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記テーブルに設置される基板の厚みを計測するための基板厚計測器をさらに含み、
前記駆動機構は、基板の研磨を開始する前に、前記基板厚計測器によって計測された基板の厚みに基づいて前記支持部材の高さを調整するように構成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記テーブルに設置された基板の直径を計測するための直径計測器をさらに含み、
前記駆動機構は、基板の研磨を開始する前に、前記直径計測器によって計測された基板の直径に基づいて前記支持部材の前記基板に対する距離を調整するように構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記基板の径方向に沿った仮想的な分割ラインを挟んで分割された複数の支持部材を含み、
前記駆動機構は、前記複数の支持部材のそれぞれについて独立して、前記基板を研磨しながら前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整するように構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記支持部材は、前記研磨パッドの前記基板と接触する研磨面を支持するための支持面を含み、前記支持部材の前記支持面には、前記研磨パッドの目立てをするためのドレッサが埋設されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記研磨パッドの前記基板と接触する研磨面を支持するための支持面を含み、前記支持部材の前記支持面には、吸引部材と連通する吸引経路が埋設されている、
請求項1から
8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記揺動機構は、前記パッドホルダを保持するための第1のアームと、洗浄具を保持するための洗浄具ホルダを保持する第2のアームと、前記研磨パッドとは径が異なる研磨パッドを保持するためのパッドホルダを保持する第3のアームと、撮影部材を保持するための第4のアームと、前記第1、第2、第3、および第4のアームを支持する揺動シャフトと、前記揺動シャフトを回転駆動するための回転駆動機構と、を含み、
前記第1、第2、第3、および第4のアームはそれぞれ、前記揺動シャフトの周りに放射状に配置される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第2のアームは、前記洗浄具とともに、前記洗浄具の両側に配置されたアトマイザをさらに保持するように構成される、
請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
テーブルに基板を設置する設置ステップと、
前記テーブルに設置された基板を研磨するための研磨パッドを前記基板に押圧する押圧ステップと、
前記研磨パッドを前記基板の径方向に揺動させる揺動ステップと、
前記揺動ステップによって前記テーブルの外側へ揺動される研磨パッドを支持するため
の支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を、前記基板を研磨しながら調整する調整ステップと、
前記基板を研磨しながら前記基板の被研磨面の膜厚プロファイルを計測する膜厚計測ステップをさらに含み、
を含み、
前記調整ステップは、前記膜厚計測ステップによって計測された膜厚プロファイルに応じて前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整することを含む、
基板処理方法。
【請求項13】
前記調整ステップは、前記膜厚計測ステップによって計測された膜厚プロファイルにおける前記基板のエッジ部の膜厚が中央部の膜厚よりも厚い場合には、前記支持部材の高さを下げるまたは前記基板に対する距離を広げることを含む、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体加工工程において用いられる基板処理装置の一種にCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)装置が存在する。CMP装置は、基板の被研磨面が向いている方向によって「フェースアップ式(基板の被研磨面が上向きの方式)」と「フェースダウン式(基板の被研磨面が下向きの方式)」に大別され得る。
【0003】
特許文献1には、フェースアップ式のCMP装置において、基板よりも小径の研磨パッドを回転させながら基板に接触させて揺動させることによって基板を研磨することが開示されている。このCMP装置では、基板の周囲に支持部材を設け、基板の外側まで揺動させた研磨パッドを支持部材によって支持するとともに、支持部材の高さおよび水平方向の位置を調整可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、研磨中の基板の被研磨面の状態に応じて支持部材を調整することは考慮されていない。
【0006】
すなわち、特許文献1における支持部材の高さ調整は、支持部材の支持面と基板の被研磨面の高さをほぼ同一にするためのものである。また、特許文献1における支持部材の水平方向の移動は、基板のローディング時に邪魔にならないように支持部材を基板から遠い位置に移動させ、ローディングが終わったら支持部材を基板に近い位置に移動させるものである。したがって、特許文献1に記載された支持部材の調整は、研磨中の基板の被研磨面の状態に適切に対応するのが難しく、その結果、基板の被研磨面の研磨の均一性が損なわれる場合がある。
【0007】
そこで、本願は、研磨中の基板の被研磨面の状態に適切に対応して被研磨面の研磨の均一性を向上させることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、基板を支持するためのテーブルと、前記テーブルに支持された基板を研磨するための研磨パッドを保持するためのパッドホルダと、前記パッドホルダを前記基板に対して昇降させるための昇降機構と、前記パッドホルダを前記基板の径方向に揺動させるための揺動機構と、前記揺動機構によって前記テーブルの外側へ揺動された研磨パッドを支持するための支持部材と、前記基板を研磨しながら前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整するための駆動機構と、を含む、基板処理装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す平面図である。
【
図3】一実施形態による多軸アームを概略的に示す斜視図である。
【
図4】一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す斜視図である。
【
図5】一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す側面図である。
【
図6】一実施形態によるテーブル、支持部材、および膜厚計測器を概略的に示す斜視図である。
【
図7】一実施形態による基板厚計測器を概略的に示す斜視図である。
【
図8】一実施形態による基板の膜厚プロファイルを概略的に示す図である。
【
図9】一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図である。
【
図10】一実施形態による直径計測器を概略的に示す側面図である。
【
図11】一実施形態による基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図12】一実施形態による支持部材を概略的に示す平面図である。
【
図13】一実施形態による支持部材を概略的に示す斜視図である。
【
図14】一実施形態による支持部材を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る基板処理装置および基板処理方法の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0011】
図1は、一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。
図2は、一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す平面図である。
図1および
図2に示される基板処理装置1000は、テーブル100と、多軸アーム200と、支持部材300A,300Bと、直径計測器400(センタリング機構400A,400B,400C)と、ドレッサ500と、膜厚計測器(終点検出器)600と、洗浄ノズル700A、700Bと、を有する。
【0012】
<テーブル>
テーブル100は、処理対象となる基板WFを支持するための部材である。一実施形態において、テーブル100は、基板WFを支持するための支持面100aを有し、図示していないモータなどの駆動機構によって回転可能に構成される。支持面100aには複数の穴102が形成されており、テーブル100は、穴102を介して基板WFを真空吸着することができるように構成される。
【0013】
<多軸アーム>
図3は、一実施形態による多軸アームを概略的に示す斜視図である。
図2および
図3に示すように、多軸アーム200は、テーブル100に支持された基板WFに対して各種処理を行うための複数の処理具を保持する部材であり、テーブル100に隣接して配置される。本実施形態の多軸アーム200は、基板WFを研磨するための大径の研磨パッド222と、基板WFを洗浄するための洗浄具232と、基板WFを仕上げ研磨するための小径の研磨パッド242と、基板WFの直径を計測するための撮影部材(カメラ)252と、を保持するように構成される。
【0014】
具体的には、多軸アーム200は、基板WFに対して直交する方向(高さ方向)に伸びる揺動シャフト210と、揺動シャフト210を回転駆動するモータなどの回転駆動機構212と、揺動シャフト210に支持されており揺動シャフト210の周りに放射状に配置される第1のアーム220、第2のアーム230、第3のアーム240、および第4のアーム250と、を含む。第1のアーム220には高さ方向に伸びる回転シャフト224が取り付けられており、回転シャフト224の先端にはパッドホルダ226が取り付けら
れている。パッドホルダ226には大径の研磨パッド222が保持される。パッドホルダ226は、例えばエアシリンダなどの駆動機構で構成される昇降機構227によって基板WFに対して高さ方向に昇降可能になっている。第2のアーム230には高さ方向に伸びる回転シャフト234が取り付けられており、回転シャフト234の先端には洗浄具ホルダ236が取り付けられている。洗浄具ホルダ236には洗浄具232が保持される。洗浄具ホルダ236は、例えばエアシリンダなどの駆動機構で構成される昇降機構237によって基板WFに対して高さ方向に昇降可能になっている。第3のアーム240には高さ方向に伸びる回転シャフト244が取り付けられており、回転シャフト244の先端にはパッドホルダ246が取り付けられている。パッドホルダ246には小径の研磨パッド242が保持される。パッドホルダ246は、例えばエアシリンダなどの駆動機構で構成される昇降機構247によって基板WFに対して高さ方向に昇降可能になっている。第4のアーム250には撮影部材252が保持される。
【0015】
第1のアーム220は、研磨パッド222とともにノズル228をさらに保持するように構成される。ノズル228は、研磨パッド222を挟んで研磨パッド222の揺動方向の両側に設けられ、研磨液または洗浄水を基板WFに放出するように構成される。第2のアーム230は、洗浄具232とともにアトマイザ238をさらに保持するように構成される。アトマイザ238は、洗浄具232を挟んで洗浄具232の揺動方向の両側に設けられ、純水などの液体を基板WFに放出するように構成される。第3のアーム240は、研磨パッド242とともにノズル248をさらに保持するように構成される。ノズル248は、研磨パッド242を挟んで研磨パッド242の揺動方向の両側に設けられ、研磨液または洗浄水を基板WFに放出するように構成される。
【0016】
図2に示すように、本実施形態では、第1のアーム220、第2のアーム230、第3のアーム240、および第4のアーム250は、平面視で反時計回りに90度ずれて揺動シャフト210の周りに放射状に伸びる。回転駆動機構212は、揺動シャフト210を回転駆動することによって、大径の研磨パッド222、洗浄具232、小径の研磨パッド242、および撮影部材252のいずれかを基板WF上に移動させることができる。また、回転駆動機構212は、揺動シャフト210を回転駆動することによって、研磨パッド222または研磨パッド242をドレッサ500上に移動させることができる。また、回転駆動機構212は、揺動シャフト210を時計回りおよび反時計回りに交互に回転駆動することによって、第1のアーム220、第2のアーム230、第3のアーム240、および第4のアーム250を揺動させる揺動機構の機能を有する。具体的には、回転駆動機構212は、研磨パッド222、洗浄具232、または研磨パッド242が基板WF上に位置している状態で、揺動シャフト210を時計回りおよび反時計回りに交互に回転駆動することによって、研磨パッド222(パッドホルダ226)、洗浄具232(洗浄具ホルダ236)、または研磨パッド242(パッドホルダ246)を基板WFに対して揺動させることができる。本実施形態では、研磨パッド222、洗浄具232、または研磨パッド242を回転駆動機構212によって基板WFの径方向に旋回揺動させる、すなわち円弧に沿って往復運動させる例を示すが、これに限定されない。例えば、揺動機構は、研磨パッド222、洗浄具232、または研磨パッド242を基板の径方向に直線揺動させる、すなわち直線に沿って往復運動させるような構成を有し得る。
【0017】
また、多軸アーム200は、回転シャフト224、234、244を回転させるための図示していないモータなどの回転駆動機構を含んでおり、これにより、研磨パッド222、洗浄具232、および研磨パッド242を、回転シャフト224、234、244を軸に回転させることができるようになっている。基板処理装置1000は、例えば研磨パッド222が基板WF上にある場合には、テーブル100を回転させるとともに研磨パッド222を回転させ、昇降機構227によって研磨パッド222を基板WFに押圧しながら回転駆動機構212によって研磨パッド222を揺動させることによって、基板WFの研
磨を行うように構成される。
【0018】
<支持部材>
図1および
図2に示すように、基板処理装置1000は、テーブル100の外側の研磨パッド222の揺動経路に配置された第1の支持部材300Aと、テーブル100を挟んで第1の支持部材300Aと反対側の研磨パッド222の揺動経路に配置された第2の支持部材300Bと、を含む。第1の支持部材300Aおよび第2の支持部材300Bは、基板WFを挟んで線対称になっている。このため、以下では第1の支持部材300Aおよび第2の支持部材300Bをまとめて支持部材300として説明する。また、以下では、一例として、大径の研磨パッド222を基板WFに対して揺動させる場合の支持部材300の機能について説明を行うが、洗浄具232または小径の研磨パッド242についても同様である。
【0019】
支持部材300は、揺動シャフト210の回転によってテーブル100の外側へ揺動された研磨パッド222を支持するための部材である。すなわち、基板処理装置1000は、基板WFを研磨する際に研磨パッド222を基板WFの外側に飛び出すまで揺動させる(オーバーハングさせる)ことによって、基板WFの被研磨面を均一に研磨するように構成される。ここで、研磨パッド222をオーバーハングさせた場合には、パッドホルダ226が傾くなど様々な要因によって基板WFの周縁部に研磨パッド222の圧力が集中して、基板WFの被研磨面が均一に研磨されないおそれがある。そこで、本実施形態の基板処理装置1000は、基板WFの外側にオーバーハングした研磨パッド222を支持するための支持部材300をテーブル100の両側に設けている。
【0020】
図4は、一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す斜視図である。
図5は、一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す側面図である。
図5に示すように、支持部材300(第1の支持部材300Aおよび第2の支持部材300Bそれぞれ)は、研磨パッド222の基板WFと接触する研磨面222aの全体を支持可能な支持面301a,301bを有する。すなわち、支持面301a,301bはそれぞれ、研磨パッド222の研磨面222aの面積よりも大きな面積を有しているので、研磨パッド222が完全に基板WFの外側までオーバーハングしたとしても研磨面222aの全体が支持面301a,301bに支持される。これにより、本実施形態では、研磨パッド222は、基板WF上を揺動しているときには研磨面222aの全体が基板WFに接触して支持されており、テーブル100の外側まで揺動しているときも研磨面222aの全体が支持部材300に支持されているので、揺動中に基板WFの被研磨面および支持面301a,301bの領域からはみ出さないようになっている。
【0021】
<膜厚計測器>
図1および
図2に示すように、基板処理装置1000は、基板WFを研磨しながら基板WFの被研磨面の膜厚プロファイルを計測するための膜厚計測器600を含む。膜厚計測器600は、渦電流式センサまたは光学式センサなどの様々なセンサで構成することができる。
図6は、一実施形態によるテーブル、支持部材、および膜厚計測器を概略的に示す斜視図である。
図6に示すように、高さ方向に伸びる回転シャフト610がテーブル100に隣接して配置されている。回転シャフト610は、図示していないモータなどの回転駆動機構によって回転シャフト610の軸周りに回転可能になっている。回転シャフト610には揺動アーム620が取り付けられおり、膜厚計測器600は、揺動アーム620の先端に取り付けられている。膜厚計測器600は、回転シャフト610の回転によって回転シャフト610の軸周りに旋回揺動するように構成される。具体的には、膜厚計測器600は、基板WFの研磨中に、回転シャフト610の回転によって基板WFの径方向に沿って揺動することができるようになっている。膜厚計測器600は、研磨パッド222が基板WF上を揺動しているときには
図6の破線で示すように基板WF上から退避した位
置に揺動し、研磨パッド222が基板WF上を揺動していないときに
図6の実線で示すように基板WF上を揺動するように構成される。すなわち、膜厚計測器600は、基板WF上を揺動する研磨パッド222と干渉しないタイミングで基板WF上を揺動することができるようになっており、研磨パッド222によって研磨される基板WFの膜厚プロファイルを経時的に計測することができる。膜厚計測器600は、計測した基板WFの膜厚プロファイルが所望の膜厚プロファイルになったら、基板WFの研磨の終点を検出することができる。
【0022】
<基板厚計測器>
図7は、一実施形態による基板厚計測器を概略的に示す斜視図である。基板処理装置1000は、基板WFの厚みを計測するための基板厚計測器630を含む。基板厚計測器630は、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)とテーブル100との間に設置され、FOUPから取り出されテーブル100に設置される基板WFの厚みを計測することができる。基板厚計測器630は、例えばレーザー測長器などで構成することができる。基板厚計測器630は、基板WFの表面側に設けられた第1の基板厚計測部材630aと、基板WFの裏面側に設けられた第2の基板厚計測部材630bを含む。第1の基板厚計測部材630aは、基板WFの表面に向けてレーザー光を放射し、反射したレーザー光を受光する。第2の基板厚計測部材630bは、基板WFの裏面に向けてレーザー光を放射し、反射したレーザー光を受光する。基板厚計測器630は、第1の基板厚計測部材630aが受光したレーザー光および第2の基板厚計測部材630bが受光したレーザー光に基づいて基板WFの厚みを計測するようになっている。
【0023】
<駆動機構>
図4および
図5に示すように、基板処理装置1000は、支持部材300の高さを調整するための駆動機構310を含む。駆動機構310は、モータおよびボールねじなどの様々な公知の機構で構成することができ、支持部材300(支持面301aおよび支持面301b)を所望の高さに調整することができる。また、基板処理装置1000は、支持部材300の水平方向の位置、すなわちテーブル100に支持された基板WFの径方向に沿った位置を調整することによって基板WFに対する支持部材300の距離を調整するための駆動機構320を含む。駆動機構320は、モータおよびボールねじなどの様々な機構で構成することができる。
【0024】
駆動機構310は、支持部材300の初期調整として、基板WFがテーブル100に設置されたら、基板厚計測器630によって計測された基板WFの厚みに基づいて、支持部材300の高さを調整することができる。例えば、駆動機構310は、基板WFの被研磨面と支持部材300(支持面301aおよび支持面301b)とが同一高さになるように、支持部材300の高さ調整を行うことができる。駆動機構310は、これに限らず、テーブル100に設置された基板WFの被研磨面より所定の値だけ高め、所定の値だけ低めなど、支持部材300を所望の高さに調整することができる。
【0025】
また、駆動機構320は、支持部材300の初期調整として、後述する方法によって得られた基板WFの直径に基づいて、テーブル100に設置された基板WFに対する支持部材300の距離を調整することができる。例えば、基板WFの被研磨面を均一に研磨するためには、基板WFと支持部材300との間に隙間がないことが好ましい。しかしながら、基板WFは研磨処理中にテーブル100の回転に伴って回転する一方、支持部材300は回転しないので、支持部材300を基板WFの外周部に接触させることはできない。そこで、駆動機構320は、得られた基板WFの直径に基づいて、基板WFの外周部に接触しない範囲で最も接近する位置に支持部材300を配置することができる。
【0026】
これに加えて、駆動機構310,320は、基板WFを研磨しながら基板WFの被研磨
面の状態に応じて支持部材300の高さおよび基板WFの径方向に沿った基板WFに対する距離の少なくとも一方を調整することができる。すなわち、上述のように、初期調整で支持部材300を所望の高さおよび水平方向の位置に調整したとしても、様々な研磨条件の違いによって基板WFごとに研磨中の膜厚プロファイルは異なり得る。そこで、本実施形態では、駆動機構310,320は、基板WFの研磨中に膜厚計測器600によって得られた基板WFの膜厚プロファイルに応じて、支持部材300の高さ方向の位置および水平方向の位置を調整するように構成される。
【0027】
この点について
図8を用いて説明する。
図8は、一実施形態による基板の膜厚プロファイルを概略的に示す図である。
図8には、研磨中の基板WFの膜厚プロファイル810と、膜厚プロファイル810に応じて支持部材300の高さ方向の位置および水平方向の位置を調整した後の基板WFの膜厚プロファイル820と、が示されている。本実施形態のように研磨パッド222を揺動させながら基板WFを研磨する場合、研磨パッド222をオーバーハングさせたとしても、膜厚プロファイル810に示すように、基板WFのエッジ部において研磨が不十分になり局所的に残膜が厚くなる場合がある。このように、膜厚計測器600によって計測された膜厚プロファイル810における基板WFのエッジ部の膜厚830が中央部の膜厚840よりも厚い場合には、駆動機構310,320は、支持部材300の高さを下げるかまたは基板WFに対する支持部材300の距離を広げるように構成される。なお、駆動機構310,320は、支持部材300の高さを下げ、かつ、基板WFに対する支持部材300の距離を広げてもよい。これにより、基板WFのエッジ部に研磨パッド222の大きな押圧力が加わるようになるので、エッジ部の研磨レートを高めることができる。その結果、膜厚プロファイル820に示すように、基板WFのエッジ部における局所的な残膜の厚みを平坦にすることができる。このように、本実施形態によれば、研磨中の基板WFの被研磨面の状態(膜厚プロファイル)に適切に対応して被研磨面の研磨の均一性を向上させることができる。
【0028】
<センタリング機構および直径計測器>
図1および
図2に示すように、基板処理装置1000は、基板WFの直径を計測するための直径計測器400を含む。直径計測器400は、本実施形態では、テーブル100に支持された基板WFをテーブル100の中心方向に押圧して位置合わせするための少なくとも3個のセンタリング機構400A,400B,400Cを含む。センタリング機構400A,400B,400Cは、テーブル100の周囲に適宜の間隔をあけて配置される。直径計測器400は、センタリング機構400A,400B,400Cによる基板WFの位置合わせ結果に基づいて基板WFの直径を算出するように構成される。
【0029】
この点について、
図9を用いて詳細に説明する。
図9は、一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図である。
図9に示すように、センタリング機構400A,400B,400Cはそれぞれ、高さ方向に伸びる回転シャフト430と、回転シャフト430に取り付けられたセンタリング部材440と、を含む。回転シャフト430は図示していないモータなどの回転駆動機構によって回転可能に構成される。センタリング部材440は、基板WFと同じ高さ位置で回転シャフト430に取り付けられた棒状の部材であり、回転シャフト430の両側に伸びている。センタリング部材440は、回転シャフト430が第1の方向(例えば時計回り方向)に回転したときに基板WFと接触する第1の接触部440aと、回転シャフト430が第1の方向とは反対の第2の方向(例えば反時計回り方向)に回転したときに基板WFと接触する第2の接触部440bと、を含む。
【0030】
直径計測器400は、センタリング部材440の第1の方向の回転角度、またはセンタリング部材440の第2の方向の回転角度に基づいて、基板WFの直径を算出するように構成される。すなわち、センタリング機構400A,400B,400Cはそれぞれ、テーブル100に基板WFが設置されたら、回転シャフト430を同じタイミングで第1の
方向に回転させて第1の接触部440aで基板WFを押圧する。すると、3個のセンタリング部材440のうち基板WFに一番近いセンタリング部材の第1の接触部440aが基板WFをテーブル100の中心方向に押圧する。その後、残りのセンタリング部材440の第1の接触部440aも順次基板WFをテーブル100の中心方向に押圧し、その結果、基板WFは3方向からテーブル100の中心方向に押圧される。3個のセンタリング部材440の第1の接触部440aが均等に基板WFを押圧したところで基板WFはテーブル100の中心位置にセンタリングされて位置合わせされる。以下では、回転シャフト430を第1の方向に回転させて行う基板WFの位置合わせを「第1の位置合わせ」という。
【0031】
ここで、
図9に示すように、基板WFの外周部にノッチ(切り欠き)NCがあり、3個のセンタリング部材440の第1の接触部440aのいずれかがノッチNCを押圧した場合には、基板WFの位置合わせがテーブル100の中心からずれるとともに、基板WFの直径の算出が正しく行われない。そこで、本実施形態では、第1の位置合わせを行った後、回転シャフト430を第2の方向に回転させて第2の接触部440bで基板WFを押圧することによって基板WFをテーブル100の中心位置にセンタリングして位置合わせすることができる。以下では、回転シャフト430を第2の方向に回転させて行う基板WFの位置合わせを「第2の位置合わせ」という。
【0032】
第2の位置合わせにおいて第2の接触部440bのいずれかが基板WFのノッチNCを押圧した場合には基板WFの位置合わせがずれるので、再度、第1の位置合わせを行うことによって、基板WFをテーブル100の中心位置にセンタリングすることができる。これは、第1の接触部440aおよび第2の接触部440bのいずれか一方がノッチNCを押圧する可能性はあるが、両方がノッチNCを押圧することはないためである。本実施形態によれば、基板WFの外周部にノッチNCがある場合であっても、確実に基板WFをテーブル100の中心位置に位置合わせすることができる。
【0033】
直径計測器400は、回転シャフト430の第1の方向の回転角度および第2の方向の回転角度と基板WFの直径とを対応付けるための参照テーブルを有している。すなわち、基板WFは、規格で定められた所定のサイズを有しているが、実際には基板WFの直径には公差(バラツキ)が存在する。そこで、直径計測器400は、例えば直径が既知であるテーブル100に対して第1の接触部440aおよび第2の接触部440bを押圧したときの回転シャフト430の第1の方向の回転角度および第2の方向の回転角度に基づいて、回転シャフト430の回転角度と基板WFの直径との対応関係の参照テーブルをあらかじめ作成して保存している。直径計測器400は、保存している参照テーブルに基づいて、基板WFを位置合わせする際の回転シャフト430の第1の方向の回転角度および第2の方向の回転角度に対応する直径を導き出すことによって、基板WFの直径を算出することができる。
【0034】
具体的には、直径計測器400は、第1の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の第1の方向の回転角度と参照テーブルに基づいて基板WFの直径(第1の直径)を算出する。その後、直径計測器400は、第2の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の第2の方向の回転角度と参照テーブルに基づいて基板WFの直径(第2の直径)を算出する。直径計測器400は、第1の直径と第2の直径を比較して、両者が等しい場合には、第1の位置合わせおよび第2の位置合わせのいずれを行ったときも基板WFのノッチNCを押圧していないと考えられるので、第1の直径または第2の直径のいずれかを基板WFの直径として出力する。一方、直径計測器400は、第2の直径が第1の直径よりも大きい場合には、第1の位置合わせを行ったときに基板WFのノッチNCを押圧したと考えられるので、第2の直径を基板WFの直径として出力する。他方、直径計測器400は、第1の直径が第2の直径よりも大きい場合には、第2の位置合わせを行ったときに基
板WFのノッチNCを押圧したと考えられるので、再度、第1の位置合わせを行うとともに第1の直径を基板WFの直径として出力する。このように、直径計測器400は、回転シャフト430の第1の方向の回転角度および第2の方向の回転角度のうち、ノッチNCを押圧しなかったときの回転角度を用いて基板WFの直径を算出することができる。
【0035】
上記の実施形態では、直径計測器400がセンタリング機構400A,400B,400Cを含む例を示したが、これに限定されない。直径計測器400は、上述した撮影部材(カメラ)252を含んでいてもよい。
図10は、一実施形態による直径計測器を概略的に示す側面図である。
図2および
図10に示すように、撮影部材252は、基板WFの外周部の画像を取得できる位置に配置される。撮影部材252は、基板WFの外周部の画像を取得し、取得した画像内の基板WFの外周部の曲率から基板WFの直径を算出することができる。
【0036】
<ドレッサ>
図1および
図2に示すように、ドレッサ500は、揺動シャフト210の回転による研磨パッド222、242の旋回経路に配置される。ドレッサ500は、表面にダイヤモンド粒子などが強固に電着しており、研磨パッド222、242を目立て(ドレッシング)するための部材である。ドレッサ500は、図示していないモータなどの回転駆動機構によって回転するように構成される。ドレッサ500の表面には図示していないノズルから純水を供給可能になっている。基板処理装置1000は、ノズルから純水をドレッサ500に供給しながらドレッサ500を回転させるとともに、研磨パッド222、242を回転させ、ドレッサ500に押圧しながらドレッサ500に対して揺動させる。これによって、ドレッサ500により研磨パッド222、242が削り取られ、研磨パッド222、242の研磨面がドレッシングされる。
【0037】
<洗浄ノズル>
図1および
図2に示すように、洗浄ノズル700A、700Bは、テーブル100に隣接して配置される。洗浄ノズル700Aは、テーブル100と支持部材300Aとの間の隙間に向けて純水などの洗浄液を供給するように構成される。これにより、テーブル100と支持部材300Aとの間に入った研磨カスなどを洗い流すことができる。洗浄ノズル700Bは、テーブル100と支持部材300Bとの間の隙間に向けて純水などの洗浄液を供給するように構成される。これにより、テーブル100と支持部材300Bとの間に入った研磨カスなどを洗い流すことができる。
【0038】
<フローチャート>
次に、本実施形態による支持部材300の高さ位置および水平位置の調整を含む基板処理方法の手順を説明する。
図11は、一実施形態による基板処理方法を示すフローチャートである。
図11に示すように、基板処理方法は、まず、テーブル100に基板WFを設置する(設置ステップS110)。続いて、基板処理方法は、センタリング機構400A、400B、400Cによって基板WFの位置合わせを行う(位置合わせステップS120)。続いて、基板処理方法は、支持部材300の高さおよび基板WFとの距離の初期調整を行う(初期調整ステップS130)。初期調整ステップS130は、例えば、基板厚計測器630によって事前に計測された基板WFの厚みに基づいて支持部材300の高さを調整するとともに、位置合わせステップS120によって得られた基板WFの直径に基づいて支持部材300の水平方向の位置を調整することができる。
【0039】
続いて、基板処理方法は、テーブル100を回転させるとともに研磨パッド222を回転させながら基板WFに押圧する(押圧ステップS140)。続いて、基板処理方法は、研磨パッド222を揺動させる(揺動ステップS150)。続いて、基板処理方法は、基板WFを研磨しながら膜厚計測器600によって基板WFの被研磨面の膜厚プロファイル
を計測する(膜厚計測ステップS160)。続いて、基板処理方法は、駆動機構310,320によって、基板WFを研磨しながら支持部材300の高さおよび基板WFに対する距離の少なくとも一方を調整する(調整ステップS170)。例えば、調整ステップS170は、膜厚計測ステップS160によって計測された膜厚プロファイルに応じて支持部材300の高さおよび基板WFに対する距離の少なくとも一方を調整することができる。一例では、調整ステップS170は、
図8における膜厚プロファイル810に示すように、膜厚計測ステップS160によって計測された膜厚プロファイルにおける基板WFのエッジ部の膜厚830が中央部の膜厚840よりも厚い場合には、支持部材300の高さを下げるか、または基板WFに対する距離を広げることができる。
【0040】
続いて、基板処理方法は、膜厚計測ステップS160によって計測された膜厚プロファイルが所望の膜厚プロファイルになっているか否かを判定する(判定ステップS180)。基板処理方法は、所望の膜厚プロファイルが得られていないと判定した場合には(判定ステップS180,No)、膜厚計測ステップS160へ戻って処理を繰り返す。一方、基板処理方法は、所望の膜厚プロファイルが得られたと判定した場合には(判定ステップS180,Yes)、研磨処理を終了する。
【0041】
本実施形態によれば、例えば
図8における膜厚プロファイル820に示すように、基板WFのエッジ部における局所的な残膜の厚みを平坦にすることができる。このように、本実施形態によれば、研磨中の基板WFの被研磨面の状態(膜厚プロファイル)に適切に対応して被研磨面の研磨の均一性を向上させることができる。
【0042】
<支持部材の変形例>
次に、支持部材300の変形例を説明する。
図12は、一実施形態による支持部材を概略的に示す平面図である。
図13は、一実施形態による支持部材を概略的に示す斜視図である。
図12および
図13に示すように、支持部材300A,300Bはそれぞれ、基板WFの径方向に沿った仮想的な分割ライン330を挟んで分割された複数(本実施形態では2個)の支持部材を含む。具体的には、支持部材300Aは、分割ライン330を挟んで分割された支持部材300A-1と支持部材300A-2とを含む。支持部材300Bは、分割ライン330を挟んで分割された支持部材300B-1と支持部材300B-2とを含む。
【0043】
本実施形態では、駆動機構310,320は、複数の支持部材300(支持部材300A-1、支持部材300A-2、支持部材300B-1、支持部材300B-2)のそれぞれについて設けられる。したがって、駆動機構310,320は、複数の支持部材300のそれぞれについて独立して、基板WFを研磨しながら支持部材300の高さおよび基板WFに対する距離の少なくとも一方を調整することができる。例えば、
図12に示すように研磨パッド222が時計回りに回転しながら揺動しているとすると、支持部材300B-1は、基板WFから支持部材300Bに向かって回転する研磨パッド222を支持する役割を有する。一方、支持部材300B-2は、支持部材300Bから基板WFに向かって回転する研磨パッド222を支持する役割を有する。そこで、例えば、駆動機構310,320は、支持部材300B-1の支持面よりも支持部材300B-2の支持面のほうが高くなるように、支持部材300B-1および支持部材300B-2の高さ位置を調整することができる。
【0044】
次に、支持部材300の他の変形例を説明する。
図14は、一実施形態による支持部材を概略的に示す斜視図である。
図14に示すように、支持部材300Bの支持面301bには、研磨パッド222の目立てをするためのドレッサ340が埋設されている。本実施形態によれば、基板WFの研磨を行いながら、研磨パッド222が支持部材300B上を揺動したときに研磨パッド222の目立てを同時に行うことができる。
【0045】
また、
図14に示すように、支持部材300Aの支持面301aには、気体を吸引するためのポンプなどで構成される吸引部材350と連通する複数の吸引経路360が埋設されている。本実施形態によれば、吸引部材350と連通する吸引経路360が支持面301aに開口しているので、基板WFの研磨中に研磨パッド222が支持部材300A上を揺動したときに、研磨パッド222に付着した研磨カスなどを吸引することができる。
【0046】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0047】
本願は、一実施形態として、基板を支持するためのテーブルと、前記テーブルに支持された基板を研磨するための研磨パッドを保持するためのパッドホルダと、前記パッドホルダを前記基板に対して昇降させるための昇降機構と、前記パッドホルダを前記基板の径方向に揺動させるための揺動機構と、前記揺動機構によって前記テーブルの外側へ揺動された研磨パッドを支持するための支持部材と、前記基板を研磨しながら前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整するための駆動機構と、を含む、基板処理装置を開示する。
【0048】
さらに本願は、一実施形態として、前記支持部材は、前記テーブルの外側の前記研磨パッドの揺動経路に配置された第1の支持部材と、前記テーブルを挟んで前記第1の支持部材と反対側の前記研磨パッドの揺動経路に配置された第2の支持部材と、を含む、基板処理装置を開示する。
【0049】
さらに本願は、一実施形態として、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材はそれぞれ、前記研磨パッドの前記基板と接触する研磨面の全体を支持可能な支持面を有する、基板処理装置を開示する。
【0050】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板を研磨しながら前記基板の被研磨面の膜厚プロファイルを計測するための膜厚計測器をさらに含み、前記駆動機構は、前記膜厚計測器によって計測された膜厚プロファイルに応じて前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0051】
さらに本願は、一実施形態として、前記駆動機構は、前記膜厚計測器によって計測された膜厚プロファイルにおける前記基板のエッジ部の膜厚が中央部の膜厚よりも厚い場合には、前記支持部材の高さを下げるまたは前記基板に対する距離を広げるように構成される、基板処理装置を開示する。
【0052】
さらに本願は、一実施形態として、前記テーブルに設置される基板の厚みを計測するための基板厚計測器をさらに含み、前記駆動機構は、前記基板厚計測器によって計測された基板の厚みに基づいて前記支持部材の高さを調整するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0053】
さらに本願は、一実施形態として、前記テーブルに設置された基板の直径を計測するための直径計測器をさらに含み、前記駆動機構は、前記直径計測器によって計測された基板の直径に基づいて前記支持部材の前記基板に対する距離を調整するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0054】
さらに本願は、一実施形態として、前記支持部材は、前記基板の径方向に沿った仮想的な分割ラインを挟んで分割された複数の支持部材を含み、前記駆動機構は、前記複数の支持部材のそれぞれについて独立して、前記基板を研磨しながら前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0055】
さらに本願は、一実施形態として、前記支持部材は、前記研磨パッドの前記基板と接触する研磨面を支持するための支持面を含み、前記支持部材の前記支持面には、前記研磨パッドの目立てをするためのドレッサが埋設されている、基板処理装置を開示する。
【0056】
さらに本願は、一実施形態として、前記支持部材は、前記研磨パッドの前記基板と接触する研磨面を支持するための支持面を含み、前記支持部材の前記支持面には、吸引部材と連通する吸引経路が埋設されている、基板処理装置を開示する。
【0057】
さらに本願は、一実施形態として、前記揺動機構は、前記パッドホルダを保持するための第1のアームと、洗浄具を保持するための洗浄具ホルダを保持する第2のアームと、前記研磨パッドとは径が異なる研磨パッドを保持するためのパッドホルダを保持する第3のアームと、撮影部材を保持するための第4のアームと、前記第1、第2、第3、および第4のアームを支持する揺動シャフトと、前記揺動シャフトを回転駆動するための回転駆動機構と、を含み、前記第1、第2、第3、および第4のアームはそれぞれ、前記揺動シャフトの周りに放射状に配置される、基板処理装置を開示する。
【0058】
さらに本願は、一実施形態として、前記第2のアームは、前記洗浄具とともに、前記洗浄具の両側に配置されたアトマイザをさらに保持するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0059】
さらに本願は、一実施形態として、テーブルに基板を設置する設置ステップと、前記テーブルに設置された基板を研磨するための研磨パッドを前記基板に押圧する押圧ステップと、前記研磨パッドを前記基板の径方向に揺動させる揺動ステップと、前記揺動ステップによって前記テーブルの外側へ揺動される研磨パッドを支持するための支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を、前記基板を研磨しながら調整する調整ステップと、を含む、基板処理方法を開示する。
【0060】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板を研磨しながら前記基板の被研磨面の膜厚プロファイルを計測する膜厚計測ステップをさらに含み、前記調整ステップは、前記膜厚計測ステップによって計測された膜厚プロファイルに応じて前記支持部材の高さおよび前記基板に対する距離の少なくとも一方を調整することを含む、方法を開示する。
【0061】
さらに本願は、一実施形態として、前記調整ステップは、前記膜厚計測ステップによって計測された膜厚プロファイルにおける前記基板のエッジ部の膜厚が中央部の膜厚よりも厚い場合には、前記支持部材の高さを下げるまたは前記基板に対する距離を広げることを含む、方法を開示する。
【符号の説明】
【0062】
100 テーブル
200 多軸アーム
210 揺動シャフト
212 回転駆動機構(揺動機構)
220 第1のアーム
222 研磨パッド
222a 研磨面
226 パッドホルダ
227 昇降機構
238 アトマイザ
300 支持部材
300A 第1の支持部材
300A-1 支持部材
300A-2 支持部材
300B 第2の支持部材
300B-1 支持部材
300B-2 支持部材
301a,301b 支持面
310,320 駆動機構
330 分割ライン
340 ドレッサ
350 吸引部材
360 吸引経路
400 直径計測器
600 膜厚計測器
630 基板厚計測器
810 膜厚プロファイル
820 膜厚プロファイル
1000 基板処理装置
WF 基板