(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】注射デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20231120BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
A61M5/315 550P
A61M5/31 520
(21)【出願番号】P 2020551831
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2019057390
(87)【国際公開番号】W WO2019185516
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マウリス・トーポレク
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・プローフ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ブランケ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-517734(JP,A)
【文献】特表2015-516242(JP,A)
【文献】特表2015-506771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射デバイスであって、
製品用のレセプタクル(2)を備えたハウジング(5)と、
投与予定の製品投与量を設定するための、および設定された製品投与量を表示するための用量機構と、
製品を投薬するための投薬機構とを含み、該投薬機構は、
設定された製品投与量をその設定された製品投与量に対応する投薬ストローク内で排出するためにハウジング(5)に対して投薬方向に可動であるピストンロッド(8)と、
設定された製品投与量を排出するためにハウジング(5)に対して可動である少なくとも1つのスリーブ(7;40)と、
製品投与量を設定中にハウジング(5)および少なくとも1つのスリーブ(7;40)に対して、および設定された製品投与量の排出中に少なくとも1つのスリーブ(7;40)と一緒にハウジング(5)に対して、止めホイール(30)が可動になるように少なくとも1つのスリーブ(7;40)に連結された、止めホイール(30)とを含み、
デバイスはさらに、ハウジング(5)および/または少なくとも1つのスリーブ(7;40)に対する止めホイール(30)の動きを検出するための第1の検出器(21)と、第1の検出器(21)から受けた信号を読み出す、記憶する、処理する、伝達する、および/または表示するための、第1の検出器(21)に接続されたデータ処理ユニット(20)とを少なくとも含むことを特徴とする、前記注射デバイス。
【請求項2】
第1の検出器(21)およびデータ処理ユニット(20)は、止めホイール(30)の回転運動の開始および停止、止めホイール(30)の回転運動の回転角度、ならびに止めホイール(30)の回転運動の方向を検出するように適用される、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
データ処理ユニット(20)は、レセプタクル(2)内の残留内容物、用量サイズ、および/または投薬機構によってデバイスから排出される製品の量についての、および/または第1の検出器(21)から受けた回転プロトコル包含データに基づいて用量機構によって設定された最大用量についての情報を提供するように適用される、請求項1または2
に記載の注射デバイス。
【請求項4】
止めホイール(30)は、少なくとも1つのキャビティ(30a)を含み、第1の検出器(21)および/またはデータ処理ユニット(20)は、少なくとも1つのキャビティ(30a)に受け入れられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項5】
止めホイール(30)は、用量機構の数字スリーブの対応する内側リブと係合するためのリブを備えた外側スカートと、少なくとも1つのスリーブ(7;40)内に回転可能に取り付けられる弾性的に変形可能な軸とを含み、キャビティ(30a)は、外側スカートと弾性的に変形可能な軸との間の環状空間である、請求項4に記載の注射デバイス。
【請求項6】
第1の検出器(21)は、光学センサ、容量センサ、誘導センサ、磁気センサ、たとえば磁気回転エンコーダ、および振動構造微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項7】
少なくとも1つのスリーブ(7;40)の、または該少なくとも1つのスリーブ(7;40)に連結された構成要素部材(7a;30)の回転運動を検出するための第2の検出器(22)をさらに含み、データ処理ユニット(20)は、第2の検出器(22)から受けた信号を読み出す、記憶する、処理する、伝達する、および/または表示するための第2の検出器(22)に接続される、請求項1~6のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項8】
第2の検出器(22)は、光学センサ、容量センサ、誘導センサおよび磁気センサ、ならびに振動構造微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の注射デバイス。
【請求項9】
データ処理ユニット(20)は、その用量設定モード、その用量修正モード、またはその用量投薬モードにあるデバイスについての情報を、第1の検出器(21)および第2の検出器(22)から受けたデータに基づいて提供するように適用される、請求項7または8のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項10】
データ処理ユニット(20)は、近距離無線通信(NFC)によって、またはブルートゥース(BT)によって少なくとも第1の検出器(21)に接続され、および/またはデータ処理ユニット(20)は、別個のデータ処理デバイスおよび/または表示デバイスとの間で、近距離無線通信(NFC)によって、またはブルートゥース(BT)によってデータを送出する、および/または受けるように適用される、請求項1~9のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項11】
薬剤を含むカートリッジをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項12】
データ処理ユニット(20)は、ハウジング(5)から取り外し可能に設けられた別個の構成要素部材である、請求項1~11のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項13】
設定された製品投与量を排出するために、ハウジング(5)に対して、および少なくとも1つのスリーブ(7;40)に対して、用量設定位置から投薬位置へ投薬方向に可動であるボタン(14)をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項14】
第2のセンサ(22)はボタン(14)に設置される、請求項7~13のいずれか1項
に記載の注射デバイス。
【請求項15】
止めホイール(30)は内容物終了止めホイールであり、および/または、注射デバイスはさらに、第1の止め手段を有する用量スリーブ(50)と、第2の止め手段を有する止めホイール(30)とを備えた制限デバイスを含み、止めホイール(30)は、用量設定運動中の用量スリーブ(50)の動きに規定の伝達比で追従し、止めホイール(30)は、投与過程中には用量スリーブ(50)に対して動かず、第1の止め手段および第2の止め手段はそれぞれ、その動きによって経路曲線を2つの経路曲線が少なくとも1つの点で交差するようにして、または非常に近くに一緒に位置するので止め手段が互いに止め位置で接触するようにして描き、それによって、用量設定運動中の止めホイール(30)と用量スリーブ(50)の互いに対する動きを阻止することが行われ、第1および第2の止め手段によって描かれたそれぞれの経路曲線は閉じられ、これらの止め手段が互いに止め位置で接触するまで、第1の止め手段もしくは第2の止め手段または両方の止め手段が、
1回または複数回通ることができる、請求項1~14のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項16】
少なくとも1つのスリーブ(7;40)は、設定された製品投与量を排出するためにハウジング(5)に対して回転可能であり、止めホイール(30)は、製品投与量設定中にハウジング(5)および少なくとも1つのスリーブ(7;40)に対して、また設定された製品投与量の排出中に少なくとも1つのスリーブ(7;40)と一緒にハウジング(5)に対して、回転可能である、請求項1~15のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項17】
少なくとも1つのスリーブ(7;40)は、設定された製品投与量を排出するためにハウジング(5)に対して軸方向に変位可能であり、止めホイール(30)は、製品投与量設定中にハウジング(5)および少なくとも1つのスリーブ(7;40)に対して、また設定された製品投与量の排出中に少なくとも1つのスリーブ(7;40)と一緒にハウジング(5)に対して、軸方向に変位可能である、請求項1~15のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項18】
止めホイール(30)は、ハウジング(5)に回転不能に拘束される、および少なくとも1つのスリーブ(7;40)とねじ係合しているナットであり、デバイスはさらに、製品投与量を設定中に触覚および/または音響クリック信号が生成されるように止めホイール(30)と少なくとも1つのスリーブ(7;40)の間に組み込まれたクリッカ機構を含み、第1の検出器(21
)は、ハウジング(5)および/または少なくとも1つのスリーブ(7;40)に対する止めホイール(30)の動きを、クリッカ機構によって生成されたクリック信号を検出することによって検出するように適用される、請求項17に記載の注射デバイス。
【請求項19】
第1の検出器(21)は、微小電子機械システム(MEMS)加速度センサである、請求項18に記載の注射デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、注射デバイス、すなわち薬剤のいくつかの使用者可変用量を選択および投薬するための薬物送達デバイスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
ペン型薬物送達デバイスには、正式な医療訓練を受けていない人によって定期的な注射が行われる適用例がある。こうした適用例は、糖尿病の患者の間でますます一般的になっており、自己療法では、このような患者が自分の糖尿病の効果的な管理を行うことが可能になる。実際に、このような薬物送達デバイスは、使用者が薬剤のいくつかの使用者可変用量を個別に選択し投薬することを可能にする。本発明は、単に所定の用量を投薬できるようにするだけで設定用量を増加または減少させる可能性のない、いわゆる固定用量デバイスは対象としない。
【0003】
基本的に2つのタイプの薬物送達デバイス:再設定可能デバイス(すなわち、再使用可能)および再設定不能デバイス(すなわち、使い捨て)がある。たとえば、使い捨てペン型送達デバイスは自己充足型デバイスとして供給される。このような自己充足型デバイスには、着脱可能充填済みカートリッジがない。というより、充填済みカートリッジは、デバイス自体を壊さなければこれらのデバイスから取り出し、取り替えることができない。それゆえに、このような使い捨てデバイスには、再設定可能用量設定機構がなくてもよい。本発明は、両方のタイプのデバイス、すなわち使い捨てデバイスならびに再使用可能デバイスに適用することができる。
【0004】
これらのタイプのペン送達デバイスは(拡大された万年筆に似ていることが多いのでこのように名づけられた)、一般に3つの主な要素:多くの場合ハウジングまたはホルダの中に含まれるカートリッジを含むカートリッジセクション;カートリッジセクションの一端に連結されたニードルアセンブリ;およびカートリッジセクションの他端に連結された用量セクションを含む。カートリッジ(アンプルと呼ばれることが多い)は通常、医薬品(たとえば、インスリン)が充填されている貯蔵器と、カートリッジ貯蔵器の一端に設置された可動ゴム型の栓またはストッパと、多くはくびれている他端に設置された穿孔可能ゴム封止を有する上部とを含む。圧着環状金属帯が通常、ゴム封止を適所に保持するために使用される。カートリッジハウジングは通常、プラスチックで作られるが、カートリッジ貯蔵器は歴史的にガラスで作られてきた。
【0005】
ニードルアセンブリは通常、交換可能両頭針アセンブリである。注射の前に、交換可能両頭針アセンブリがカートリッジアセンブリの一端に取り付けられ、用量が設定され、次いで設定用量が投与される。このような着脱可能ニードルアセンブリは、カートリッジアセンブリの穿孔可能封止端に装着または押し付けられる(すなわち、カチッと留められる)。
【0006】
用量セクションまたは用量設定機構は通常、ペンデバイスの、用量を設定(選択)するために使用される部分である。注射の間、用量設定機構の中に含まれるスピンドルまたはピストンロッドが、カートリッジの栓またはストッパを押す。この力により、カートリッジの中に含まれる医薬品が、取り付けられたニードルアセンブリを通して注射される。注射の後、ほとんどの薬物送達デバイスおよび/またはニードルアセンブリの製造業者および納入業者によって一般に推奨されるように、ニードルアセンブリは取り外され廃棄される。
【0007】
薬物送達デバイスタイプの別の区分は駆動機構に当てはまる:たとえば使用者が注射ボタンに力を加えることによって手で駆動されるデバイス、ばねなどによって駆動されるデバイス、およびこれら2つの構成概念を合わせたデバイス、すなわち使用者が注射力をかけることがやはり必要とされるばね補助式デバイスがある。ばね型デバイスは、予負荷がかけられているばねと、用量選択中に使用者によって負荷がかけられるばねとを含む。いくつかの蓄積エネルギーデバイスでは、ばね予負荷と、たとえば用量設定中に使用者によって提供される追加エネルギーとの組合せを使用する。
【0008】
製品用のレセプタクル付きハウジングと、投与予定の製品投与量を設定するための、および設定された製品投与量を表示するための用量機構と、製品を投薬するための投薬機構とを含む注射デバイスが、たとえば、手で駆動されるデバイスを開示する特許文献1により、あるいはばね駆動デバイスを開示する特許文献2、特許文献3、特許文献4により知られている。
【0009】
これらの知られているデバイスのいくつかは、たとえば用量投薬の動作を表示するのに適しているフィードバックを、使用者に非視覚フィードバック信号を提供することによって生成するフィードバック機構を備えるが、いくつかの用途では、このような情報を別の方法で、たとえばこの情報を記憶および処理することを可能にする方法で得ることが望ましいことがある。さらに、デバイスの状態、すなわち、デバイスが投薬モードであるか用量設定モードであるかについての情報を受けることが望ましいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】EP2814547B1
【文献】WO2014/117944A1
【文献】WO2016/016184A1
【文献】WO2017/134131A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記の解決策の改善された代替形態を提供することである。特に、本発明の目的は、デバイスの実際の動作モードに関して使用者に付加的な情報をもたらす注射デバイスまたは薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の注射デバイスによって解決される。
【0013】
本発明による注射デバイスは、製品用のレセプタクルを備えたハウジングと、投与予定の製品投与量を設定するための、および設定された製品投与量を表示するための用量機構と、製品を投薬するための投薬機構とを含む。このデバイスの投薬機構は、設定された製品投与量をその設定された製品投与量に対応する投薬ストローク内で排出するためにハウジングに対して投薬方向に可動であるピストンロッドと、設定された製品投与量を排出するためにハウジングに対して可動である少なくとも1つのスリーブと、ハウジングおよび製品投与量を設定するための少なくとも1つのスリーブに対して、および設定された製品投与量を排出するために少なくとも1つのスリーブと共にハウジングに対して、止めホイールが可動になるように少なくとも1つのスリーブに連結された、たとえば内容物終了止めホイールである止めホイールとを含み得る。本発明は、注射デバイスの1つまたはそれ以上の構成要素部材の動きを検出することが、デバイスの実際の動作モードを特定するために用いられる、というアイデアに基づく。
【0014】
たとえば、デバイスはさらに、ハウジングおよび/または少なくとも1つのスリーブに対する止めホイールの動きを検出するための第1の検出器と、第1の検出器から受けた信号を読み出す、記憶する、処理する、伝達する、および/または表示するための、第1の検出器に接続されたデータ処理ユニットとを含み得る。より詳細には、第1の検出器およびデータ処理ユニットは、止めホイールの回転運動の開始および停止、止めホイールの回転運動の回転角度、ならびに止めホイールの回転運動の方向を検出するように適用される。回転運動の開始および停止を検出することが、止めホイールが動いている、または動いていないことを示す。さらに回転角が、薬物送達デバイスによって選択および/または投薬される用量のサイズを示す。回転運動の方向は、デバイスの動作モードを示し、たとえば止めホイールが、用量設定中に第1の方向に回転し、用量修正および/または用量投薬中に第2の、反対の方向に回転するかどうかを示す。要約すると、止めホイールの動きを検出すると、デバイスの動作モードに関して使用者にフィードバックを与えるために必要な情報がもたらされる。一実施形態によれば、少なくとも1つの検出器および/またはデータ処理ユニットは、注射デバイス内に一体化されて提供され、または一代替実施形態では、注射デバイスに恒久的もしくは取り外し可能に連結される別個の外部ユニットとして提供される。
【0015】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのスリーブは、設定された製品投与量を排出するためにハウジングに対して回転可能にすることができ、止めホイールは、製品投与量設定中にハウジングおよび少なくとも1つのスリーブに対して、また設定された製品投与量の排出中に少なくとも1つのスリーブと共にハウジングに対して、回転可能にすることができる。本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのスリーブは、設定された製品投与量を排出するためにハウジングに対して、たとえばピストンロッドの軸方向運動の方向と平行に、軸方向に変位可能とすることができ、止めホイールは、製品投与量設定中にハウジングおよび少なくとも1つのスリーブに対して、また設定された製品投与量の排出中に少なくとも1つのスリーブと共にハウジングに対して、たとえばピストンロッドの軸方向運動の方向と平行に、軸方向に変位可能とすることができる。
【0016】
止めホイールは、歯車ホイールの形を有することができ、および/またはリング、スリーブもしくはナットの形を有することができる。
【0017】
上述の情報は、追加の情報、たとえば最初の使用の前にレセプタクルに提供される薬物の量に関する情報と一緒に使用される。データ処理ユニットは、レセプタクル内の残留内容物、用量サイズ、および/または投薬機構によってデバイスから排出される製品の量、および/または第1の検出器から受けた回転プロトコル包含データに基づいて用量機構によって設定された最大用量についての情報を、たとえば追加の情報と一緒に提供するように適用される。
【0018】
好ましい実施形態によれば、注射デバイスは実質的に、特許文献1に開示された、修正された止めホイールを備えるデバイスである。特許文献1では、止めホイールはキャビティを、止めホイールのキャビティに第1の検出器および/またはデータ処理ユニットを設けることによって止めホイールが修正されるように、含む。より詳細には、止めホイールは、デバイスの用量機構の数字スリーブの対応する内側リブと係合するためのリブを備えた外側スカートと、少なくとも1つのスリーブ内に回転可能に取り付けられる弾性的に変形可能な軸とを含むことができ、キャビティは、外側スカートと弾性的に変形可能な軸との間の環状空間である。特許文献1の止めホイールに設けられたキャビティは特に、第1の検出器および/またはデータ処理ユニットを受けるのに、また収容するのに適しており、デバイスのさらなる構成要素部材の適合を必要としない。加えて、特許文献1に記載されたデバイスのすべての機能および利点を実現することが可能である。止めホイール内に設置された検出器または検出器のセンサは、止めホイールのその回転軸まわりの回転を検出するように適用される。
【0019】
一代替形態として、注射デバイスは実質的に、内容物終了リングが管状クラッチと駆動管の間に入れられている、特許文献2に記載のデバイスである。内容物終了リングは、用量設定中に管状クラッチに対して回転する、また用量投薬中に管状クラッチおよび駆動管と一緒に回転する、止めホイールを形成する。少なくとも第1の検出器が内容物終了リングの中に、たとえば第1の検出器および/またはデータ処理ユニットを受けるために内容物終了リング内にキャビティを設けることによって、設けられる。さらに別の代替実施形態は、特許文献3または特許文献4の内容物終了要素のうちの1つを本発明による止めホイールとして使用することを含む。
【0020】
さらに別の実施形態によれば、注射デバイスは実質的に、最終用量ナットの形の止めホイールを有するEP2437829B1に記載のデバイスとすることができ、この止めホイールは、スプライン連結インターフェースによってハウジングに回転不能に拘束され、また、最終用量ナットの動きを制限する回転端止め具を有する軸とねじ係合している。
【0021】
第1の検出器は、光学センサ、容量センサ、誘導センサおよび磁気センサ、たとえば磁気回転エンコーダ(直交エンコーダ)、のうちの少なくとも1つを含み得る。この検出器は、注射デバイスの止めホイールまたは他の構成要素部材が、誘導センサまたは磁気センサによる検出を可能にする材料からなる少なくとも一部分を含むことを必要とすることがある。たとえば、第1の検出器は、振動構造微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープを含み得る。このような、コリオリ振動ジャイロスコープとしても知られる振動構造ジャイロスコープは、注射デバイスの構成要素部材の中に実装されるのに十分に小さく、大きい構築空間を必要とすることがない。検出器は、ジャイロスコープおよび少なくとも1つの加速度計を1つの検出器ユニットに組み込む、1つまたはそれ以上のセンサを含み得る。
【0022】
第1の検出器は、たとえば、注射デバイスの止めホイールまたは他の構成要素部材の回転運動に関する情報を得るには十分であるが、注射デバイスから追加の情報を得ることが望ましいことがある。このためには、注射デバイスがさらに、注射デバイスの構成要素部材(たとえば少なくとも1つのスリーブもしくは少なくとも1つのスリーブに連結された構成要素部材)の回転運動を検出するための第2の検出器をさらに含むことが必要になり得る。データ処理ユニットは、第2の検出器から受けた信号を読み出す、記憶する、処理する、伝達する、および/または表示するための第2の検出器に接続される。第2の検出器は、第1の検出器と同じタイプであっても、異なるタイプの検出器でもよい。たとえば、第2の検出器は、光学センサ、容量センサ、誘導センサおよび磁気センサ、ならびに振動構造微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0023】
データ処理ユニットは、その用量設定モード、その用量修正モード、またはその用量投薬モードにあるデバイスについての情報を、第1の検出器および第2の検出器から受けたデータに基づいて提供するように適用される。ペン型注射デバイスでは、デバイスが動作しているときに、すなわち用量を設定または投薬中に回転している少なくとも1つの構成要素部材、通常ではいくつかの構成要素部材、がある。注射の開始および終了を検出するために、本体またはハウジングに対する止めホイールの回転が検出される。回転は、注射が終了すると停止する。しかし、用量ダイヤル設定と注射を区別することが必要とされる。特許文献1に記載のデバイスと同様であり得る本発明による注射デバイスでは、ダイヤル設定中に、少なくとも1つのスリーブ(たとえば連結スリーブ)と止めホイールの回転は等しい。一方、注射中に少なくとも1つのスリーブ(たとえば連結スリーブ)は回転しているが、止めホイールは、少なくとも1つのスリーブに対して回転していない。たとえば、特許文献1のデバイスでは、止めホイール、連結スリーブおよび用量スリーブは一緒に、用量投薬中に本体またはハウジングに対して回転する。このような相対運動は、磁気センサまたは誘導センサによって検出される。
【0024】
第2の検出器は、注射デバイスのハウジングに設けられ、または別法として、用量投薬をトリガする、または行うために設けられたボタンに設けられる。ボタンは、デバイスの特定のモードにおいてのみに、たとえば用量投薬中にボタンが完全に押し下げられた場合に、少なくとも1つのスリーブと軸方向に重なり合う部分を備える。少なくとも1つのスリーブに対するボタンの、この相対的な軸方向運動は、第2の検出器による少なくとも1つのスリーブの動きを検出するために用いられ、たとえば第2の検出器は、この軸方向運動によって起動および動作停止され、あるいは少なくとも1つのスリーブの回転を検出するのは、第2の検出器を保持するボタンの少なくとも一部分が、少なくとも1つのスリーブの中に軸方向に設置されることを必要とすることがある。
【0025】
データ処理ユニットは、注射デバイスのハウジングの中に設けられる。たとえば、データ処理ユニットならびに第1および第2の検出器は、注射デバイスのハウジングの中に恒久的に設けられる。これには、データ処理ユニットが第1および第2の検出器のうちの少なくとも1つに線で接続される実施形態が含まれる。一代替実施形態として、データ処理ユニットは、ハウジングから取り外し可能とすることができ、かつ/または第1および第2の検出器のうちの少なくとも1つに無線接続手段によって接続される。言い換えると、データ処理ユニットは、ハウジングに取り付けられハウジングから取り外される、アドオンデバイスとすることができる。データ処理ユニットと少なくとも1つの検出器の間の無線通信の例としては、近距離無線通信(NFC)による、またはブルートゥース(BT)による通信が挙げられる。
【0026】
さらに、データ処理ユニットは、別個のデータ処理デバイスおよび/または表示デバイス、たとえば携帯型手持ち電子デバイスとの間で、近距離無線通信(NFC)によって、またはブルートゥース(BT)によってデータを送出する、および/または受けるように適用される。データは、それぞれの使用(注射)の後に照会され、読み出され、またはアドオンデバイスが、そのデータを読み出し、処理し、収納し、さらなる処理のために回転プロトコルを別のデバイスへ送出することもできる。アドオンデバイスは別法として、未処理データを送信することもできる。
【0027】
少なくとも1つのスリーブは、ピストンロッドと直接係合している構成要素部材とすることができる。たとえば、少なくとも1つのスリーブは、ピストンロッドとスプライン連結している、またはピストンロッドとねじ係合している駆動スリーブとすることができる。しかし、一代替実施形態として、少なくとも1つのスリーブは、ピストンロッドに間接的に、たとえば少なくとも1つのスリーブとピストンロッドの間に入れられたクラッチまたは伝達要素によって連結される、構成要素部材とすることができる。少なくとも1つのスリーブは、ピストンロッドに恒久的に連結され、または注射デバイスの特定のモードにおいてのみ、たとえば用量投薬中に、ピストンロッドと選択的に連結される。
【0028】
注射デバイスは2つのスリーブを含むことができ、これらは、設定された製品投与量を排出するためにハウジングに対して回転可能であり、また、互いに回転不能に拘束されるが、投薬方向には互いに変位可能である。第2の検出器は、これらのスリーブのうちの一方または両方のスリーブの起動、すなわち回転を検出することができる。
【0029】
注射デバイスは、デバイスの構成要素部材が動く間に、たとえばデバイスの用量設定、用量修正、用量投薬および/または再設定の間にフィードバック信号を生成するための少なくとも1つのクリッカ機構を備える。たとえば、少なくとも1つのスリーブは、用量投薬中の、ハウジングに対する少なくとも1つのスリーブの回転運動中にフィードバック信号を生成するためのクリッカ機構を備える。
【0030】
注射デバイスは通常、薬剤を含むカートリッジを含む。「薬剤」という用語は、本明細書で用いられる場合、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態では、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、かつ/あるいはペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモン、もしくはオリゴヌクレオチド、または上述した薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病もしくは糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害、たとえば、深部静脈血栓塞栓症もしくは肺血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチの治療および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはそのアナログもしくは誘導体、もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4のアナログもしくは誘導体を含む。
【0031】
インスリンアナログは、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0032】
インスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0033】
エキセンジン-4は、たとえば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2の配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0034】
エキセンジン-4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);もしくは
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0035】
もしくは、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5 desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物
から選択される。
【0036】
ホルモンは、たとえば、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンである。
【0037】
多糖は、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化形たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。
【0038】
抗体は、基本構造を共有するイムノグロブリンとしても公知の球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位はイムノグロブリン(Ig)単量体(Ig単位のみを含む)であり、分泌型抗体は、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0039】
Ig単量体は、4本のポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合した2本の同一の重鎖および2本の同一の軽鎖からなる「Y」字型の分子である。各重鎖は約440アミノ酸長であり、各軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化する鎖内ジスルフィド結合を含む。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインで構成される。これらのドメインは、70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に従って異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的なイムノグロブリン折り畳み構造を有する。
【0040】
α、δ、ε、γ、およびμで表される5タイプの哺乳動物Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプにより抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見出される。
【0041】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)とを有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つのイムノグロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0042】
哺乳動物では、λおよびκで表される2タイプのイムノグロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は、2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を含み、哺乳動物の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0043】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)について3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0044】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化により、Igプロトタイプが3つのフラグメントに切断される。1つの完全なL鎖と約半分のH鎖とをそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズは同等であるが鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶化可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合を、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域を融合して、単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することができる。
【0045】
薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類、たとえば、Na+、もしくはK+、もしくはCa2+から選択されるカチオン、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容可能な塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0046】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0047】
次に、非限定的、例示的な実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明による注射デバイスの一実施形態の個々の部材の分解組立図である。
【
図3】本発明による注射デバイスの別の実施形態の構成要素を互いに第1の位置で示す図である。
【
図4】
図3の構成要素部材を互いに第2の位置で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明による注射デバイスの一実施形態の個々の部材の分解組立図を示す。この実施形態は、いわゆる使い捨てペンとして設計されている。すなわち、注射デバイスは、完全に組み立てられて、すなわち使用者に投与予定の製品と一緒に、使用者に支給される。
【0050】
注射処置の典型的な過程は次の通りとすることができる:使用者は、保護キャップ1を注射デバイスから取り外し、注射針(図示せず)をレセプタクル2のニードルホルダ2aに取り付ける。次に、投与量が回転つまみ11aによって調整される。この目的のために、回転つまみ11aが回され、それにより、用量機構を形成する、または用量機構の一部である用量スリーブ50が注射デバイスから回し出される。用量スリーブ50は、所望の投与量がねじ付きスリーブ9の窓に表示されるまで注射デバイスから回し出される。過度に高い投与量が間違って設定された場合には、投与量は、回転つまみを反対方向に回すことによって修正され、用量スリーブ50はハウジングに回し戻される。用量スリーブは、最大調整可能投与量を所定の値に制限する。この値を通り越してハウジングの外へ用量スリーブを回して出そうとすることがあれば、用量スリーブ50の径方向制限止め具とねじ付きスリーブ9の対向制限止め具とが、相互作用によってさらなる回転を防止する。用量設定および修正運動の間、用量スリーブ50は、連結スリーブ40に対して回転する。連結スリーブ40は、フォームフィットまたは摩擦フィットの形でハウジング5に対して逆転ロックによって、たとえば、ねじ付きナット7に対して回転不能の歯付きリング7aによって回転不能に保持され、また、ハウジング5の内面のラチェット歯の対応する組に向けて、ばね7bによって軸方向に付勢される。ハウジング5とねじ付きナット7の間のこのラチェットは、投薬中にリング7aの歯がハウジング5の対応する歯の上で滑るときに、可聴および/または触覚のフィードバックを生成するクリッカを形成することができる。
【0051】
連結スリーブ40は、用量スリーブ50によって軸方向に運ばれる連結スリーブ40と固定ねじ付きナット7との間の相対軸方向運動を可能にするスプラインによって、軸方向固定ねじ付きナット7に恒久的に回転不能にロックされる。ねじ付きナット7は、ばね7bによる付勢に抗してねじ付きナット7を保持する挿入物6によって、ハウジング5内に保持される。歯付きリングが
図1に示されており、このリングは、回転つまみ11aと連結スリーブ40のフランジとの間に、用量スリーブ50と連結スリーブ40の相対回転が用量設定中に可能になるように入れられている。
【0052】
所望の投与量が設定されたならば、注射針が使用者の体の意図された位置に挿入される。次に使用者は、ボタン14と連結スリーブ40の間に入れられているばね13による付勢に抗して、排出ボタン14を遠位軸方向に押す。この軸方向運動は、連結スリーブ40と用量スリーブ50の間の相対回転を歯付きリングによって阻止する。遠位軸方向にさらに押した場合には、用量スリーブは螺合運動の形でハウジングの中に戻り始める。用量スリーブ50と連結スリーブ40の間に回転ロックが確立されているので、連結スリーブ40は用量スリーブ50と同じ運動を行う。連結スリーブ40が軸方向固定ねじ付きナット7に恒久的に回転不能にロックされているので、用量スリーブ50の回転運動はねじ付きナット7に伝達される。連結スリーブ40がねじ付きナット7に軸方向に可動に取り付けられているので、軸方向の力はねじ付きナット7に伝達されない。したがって、回転するねじ付きナット7は、ねじ付きピストンロッド8の軸方向運動を遠位方向に生じさせ、後者は、軸方向に案内され、スプライン8aによってハウジング5内で回転不能にロックされ、外部ねじ山8gによってねじ付きナット7とねじ係合している。フランジ4は、カートリッジ3の栓に作用し、ねじ付きピストンロッド8の遠位方向の変位にも対応して栓を押し、以前に設定された投与量が排出すなわち投与される。用量スリーブがハウジングの中に完全に回し戻されたときの投与の終了時に、用量スリーブ50の径方向止め具およびねじ付きスリーブ9が、さらなる排出および用量スリーブの過回転を防止する。
【0053】
図1の実施形態は、最後に設定された投与量が完全に排出または注射されることを確実にする、任意選択の制限デバイスを示す。この目的のために、用量スリーブ50には、同軸に付けられた内側歯部があり、連結スリーブ40には、止めホイール30が挿入される横方向切り欠きがある。用量スリーブ50は第1の止め手段を有し、止めホイール30は第2の止め手段を有し、止めホイール30は、用量設定運動中の用量スリーブ50の動きに規定の伝達比で追従し、止めホイール30は、投与過程中には用量スリーブ50に対して動かず、第1の止め手段および第2の止め手段はそれぞれ、その動きによって経路曲線を2つの経路曲線が少なくとも1つの点で交差するようにして、または非常に近くに一緒に位置するので止め手段が互いに止め位置で接触するようにして描き、それによって、用量設定運動中の止めホイール30と用量スリーブ50の互いに対する動きを阻止することが行われ、第1および第2の止め手段によって描かれたそれぞれの経路曲線は閉じられ、これらの止め手段が互いに止め位置で接触するまで、第1の止め手段もしくは第2の止め手段または両方の止め手段が、好ましくは複数回通ることができる。制限デバイスの機能は、特許文献1により詳細に記載されている。
【0054】
図1の実施形態はさらに、第1および第2の検出器21、22から受けた信号に応答するデータを読み出すための、第1の検出器21および第2の検出器22に接続されたデータ処理ユニット20を示す。データ処理ユニット20は、ハウジング5の外面に配置されている構成要素部材として描かれている。このデータ処理ユニットは、ハウジング5に恒久的に取り付けられてよく、またはハウジングの一体化している部材とする、もしくは別個の取り外し可能ユニットとすることができる。データ処理ユニット20は、電源と、データ処理、データ収納および/または情報の表示に適しているPCBとを含み得る。
【0055】
第1の検出器21は、止めホイール30内に配置される。より詳細に
図2は、止めホイール30の環状キャビティ30aに設置された第1の検出器21を描写し、この環状キャビティは、止めホイール30の中心軸と止めホイール30の外側スカートとの間に設けられ挿入されている。
【0056】
図示の実施形態では、第1の検出器は、磁気回転エンコーダ(直交)、振動構造微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープ、またはMEMSジャイロスコープと加速度計の組合せとすることができる。これらの小型デバイスは、止めホイール30のキャビティ30aの中に容易に組み込むことができる。必要であれば、キャビティ30aは拡張される。一般に、ジャイロスコープは回転運動を測定する。MEMS(微小電子機械システム)ジャイロスコープは、角速度を測定する小型で安価なセンサである。角速度の単位は、度毎秒(°/s)または回毎秒(RPS)で測定される。それゆえに、測定の継続期間を決定するときに、用量サイズについての情報をもたらす回転角度が決定される。
【0057】
任意選択の第2の検出器22がハウジング5に、連結スリーブ40の回転運動を検出するのに適している位置で、好ましくは連結スリーブの軸方向位置にかかわらず、たとえばハウジング5の近位端またはその近くに、配置される。第2の検出器22がハウジング5の内側に配置されている図示の実施形態の一代替実施形態として、第2の検出器22は、ハウジング5の外側、またはねじ付きスリーブ6に設置される。さらに、第2の検出器22は、ボタン14に、たとえばボタンのステム14aに設けられる。
【0058】
たとえば、連結スリーブ40は、用量スリーブ50が少なくとも部分的に透明もしくは半透明であるか窓を備える場合に、第2の検出器22としての光学センサによって検出可能なマーキングを備え、あるいは連結スリーブ40は、少なくとも部分的に金属材料を備え、この金属部の回転は、第2の検出器22を形成するセンサによって検出可能である。連結スリーブ40の回転を検出することに対する一代替実施形態として、ねじ付きナット7の回転および/または歯付きリング7aの回転が検出されることを理解されたい。一代替実施形態として、第2の検出器は、用量投薬中にラチェットによって、すなわちハウジング5の内側の対応する歯の上を滑るリング7aの歯によって、生成されるクリックを検出する音響センサを含み得る。
【0059】
ダイヤル設定(用量設定)中に止めホイール30が、ハウジングに回転不能に拘束される連結スリーブ40に対して、用量スリーブ50をその中で回転させることによって駆動されて回転する。しかし注射中には、連結スリーブ40は、止めホイール30が用量スリーブ50および連結スリーブ40と共に共通回転運動を行うように、用量スリーブ50に回転不能に連結される。この相対運動は、第1および/または第2の検出器によって検出される。
【0060】
図1および
図2に描かれたデバイスでは、ねじ付きナット7および連結スリーブ40は、用量設定または用量修正中に、たとえばクリッカラチェット7a、7bによってハウジング5に回転不能に拘束されるのに対し、止めホイール30は、用量設定または用量修正中に連結スリーブ40に対して回転する。一方、ねじ付きナット7および連結スリーブ40は、用量投薬中にハウジング5に対して回転するのに対し、止めホイール30は、用量投薬中に連結スリーブ40に対して回転しない。したがって、それぞれの回転運動は、デバイスが薬剤の用量を実際に投薬しているかどうかを識別するために使用される。第1の検出器21および第2の検出器22から受けた各信号の組合せが、用量投薬の開始および用量投薬の終了を検出するために使用される。
【0061】
図1および
図2に描かれた実施形態は、回転の開始/停止(すなわち運動)、止めホイール30の回転角度(すなわち用量サイズ)、および回転方向(すなわち回転)が用量を増加させているか低減させているか(用量修正)を捉えるための、止めホイール30に設置されたおよび/または組み込まれたセンサ配置21、22を特徴とする。検知された信号は、データ処理ユニット20で処理され記憶される。たとえば、カートリッジ3内の残留内容物、排出された薬剤の用量サイズもしくは量、および/またはダイヤル設定された最大用量についての情報をもたらす回転プロトコルが生成される。そのデータは、それぞれの使用(注射)後に参照され、近距離無線通信によって読み出され、またはアドオンデバイスがデータを読み出し、処理および収納し、さらなる処理のために回転プロトコルを別のデバイスへブルートゥースによって送出することができる。アドオンデバイスは別法として、未処理データを送信することもできる。
【0062】
上記のように、デバイスが特定のモードで動作していることを検証するために第1の検出器21、および場合により第2の検出器22の信号を使用するデータ処理ユニット20の機能は、止めホイールまたはリングのような構成要素部材、および別の構成要素部材(たとえば用量投薬中にだけ特定の軸方向運動および/または回転運動を行うスリーブ)を有する他の薬物送達デバイスに適用されてもよい。第1の検出器21および第2の検出器22を備えたデータ処理ユニット20が実装されるデバイスの例は、特許文献2、特許文献3、特許文献4に、またはWO2016/001304A1に開示されている。
【0063】
別の実施形態が
図3および
図4に描かれており、この注射デバイスは本質的に、EP2437829B1に開示されたものと類似している。
図3および
図4は、ねじ付き最終用量ナットの形の止めホイール30を示し、この止めホイールは、デバイスのハウジング(図示せず)に止めホイール30を回転不能に拘束するための外部スプライン31を有する。さらに、
図3および
図4は、止めホイール30とねじ係合しているねじ付き軸の形のスリーブ40を示す。止めホイール30は、
図3ではスリーブ40に対して開始位置で示されているのに対し、
図4は、スリーブ40に対する止めホイール30の位置を示し、この位置では、止めホイール30が回転端止め具に当接および係合して、実際に設定される用量を超える用量を設定することが防止される。
【0064】
止めホイール30は、ハウジングに対してスリーブ40が回転するので、注射デバイスのダイヤル設定中にスリーブ40に対して動く。しかし、投薬中には、スリーブ40と止めホイール30の間の相対運動がない。追加のクリッカシステム60が、スリーブ40と止めホイール30の間に組み込まれる。このクリッカシステム60は、注射デバイスのダイヤル設定中に触覚および/または音響クリック信号を生成する。薬剤の1単位が、クリッカシステム60によって生成される1つのクリックに対応する。このクリック雑音は、組み込みセンサ21によって検出される。このセンサ21は、止めホイール30に近接して設置される。こうすることにより、信号が他の雑音によって妨げられることが防止される。
【0065】
本発明のこの実施形態によれば、止めホイール30(最終用量ナット)の位置は、たとえばMEMS加速度センサによって測定または検出される。この方法は、注射用量の計算に用いられる。
【0066】
EP2437829B1のデバイスに加えて、またはその一代替実施形態として、投薬中にスリーブ40と止めホイール30の間に相対運動がある場合に、センサ21は、ダイヤル設定クリック信号に加えてクリック信号を測定することができる。これらのカウントされたクリックの差が用量サイズになる。
【符号の説明】
【0067】
1 キャップ
2 レセプタクル
2a ニードルホルダ
3 カートリッジ
4 フランジ
5 ハウジング
6 挿入物
7 ねじ付きナット
7a 歯付きリング
7b ばね
8 ピストンロッド
8a スプライン
8b ねじ山
9 ねじ付きスリーブ
11a 回転つまみ
13 ばね
14 ボタン
14a ステム
20 データ処理ユニット
21 第1の検出器
22 第2の検出器
30 止めホイール
30a キャビティ
31 スプライン
40 連結スリーブ
50 用量スリーブ
60 クリッカ