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特許7388113熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法
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  • 特許-熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法 図1
  • 特許-熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法 図2
  • 特許-熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 27/00 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
F28F27/00 501Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019187087
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021063601
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】中野 達馬
(72)【発明者】
【氏名】栩内 優仁
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124021(JP,A)
【文献】実開昭57-013994(JP,U)
【文献】特開昭58-224299(JP,A)
【文献】特開2001-235182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 27/00
F28D 7/00
F28D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を冷却又は加温するプロセス流体の供給管に熱交換可能に接続された熱交換システムの熱媒体のバイパス率の推定方法あって、
前記熱交換システムが、熱媒体の温度調整機構と、前記温度調整機構を循環して前記供給管と交差するように設けられた温度調整流路と、前記温度調整流路の途中に設けられた熱媒体のポンプと、前記供給管と前記温度調整流路とが交差する位置に設けられた熱交換器とを備え、
前記熱交換器を基点として、前記温度調整流路は温度調整機構側往路と温度調整機構側復路とに分割されており、
前記温度調整機構側往路には、前記熱交換器を迂回して前記温度調整機構復路に連通する流通量を調整可能なバイパス弁を有するバイパス流路が設けられており、
前記温度調整機構側往路の前記熱媒体の温度(Ti)と、前記熱交換器を通過した後の前記熱媒体の温度(Te)と、前記バイパス流路を流通した前記熱媒体が合流した後の前記温度調整機構側復路の前記熱媒体の温度(To)とからバイパス率(R)を推定し、
前記バイパス率(R)は、前記熱交換システムの前記熱媒体の全流量に対する前記バイパス流路を流通する流量の比率である、熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムの熱媒体のバイパス率の推定方法。
【請求項2】
前記バイパス率(R)を下記式
R=(To-Te)/(Ti-Te)
(式中、Tiは前記温度調整機構側往路の前記熱媒体の温度であり、Teは前記熱交換器を通過した後の前記熱媒体の温度であり、Toは前記バイパス流路を流通した前記熱媒体が合流した後の前記温度調整機構側復路の前記熱媒体の温度である。)
により推定する、請求項1に記載の熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムの熱媒体のバイパス率の推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス流路に熱媒体が流れる割合(バイパス率)を推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場や空調設備などで発生する熱を冷却するために循環使用される水を、冷却塔を備えた熱交換システムで冷却して、これら工場や空調設備などを目標とする温度に調整することが一般的に行われている。また、これとは逆に装置や水などの処理対象物をプロセス流体により加温することも行われている。
【0003】
例えば、図3は処理対象物を冷却するための熱交換システムを示している。図3において、11は図示しない生産設備などの処理対象物を冷却するためのプロセス流体としてのプロセス冷却水が流通する供給管であり、この供給管11には必要に応じてポンプなどの送液手段(図示せず)が設けられている。一方、熱交換システム21は、温度調整機構としての冷却塔22と、この冷却塔22を循環して供給管11と交差するように設けられた温度調整流路としての冷却水流路23と、この冷却水流路23の途中に設けられた冷却水ポンプ24とを有する。この供給管11と冷却水流路23とが交差する位置には、熱交換器25が設けられている。そして、この熱交換器25を基点として、冷却水流路23は温度調整機構側往路としての冷却塔側往路23Aと温度調整機構側復路としての冷却塔側復路23Bとに分割され、冷却塔側往路23Aには熱交換器25を迂回して冷却塔側復路23Bに連通するバイパス弁27を備えたバイパス流路26が設けられている。なお、12、13は、それぞれ供給管11におけるプロセス冷却水の熱交換器25の入口側及び出口側の温度センサであり、31,32は、それぞれ冷却水流路23における冷却水の熱交換器25の入口側及び出口側の温度センサである。
【0004】
この熱交換システム21において、生産設備などの処理対象物で発生した熱は、供給管11を流通するプロセス冷却水により冷却されることで、一定の温度以下に冷却される。このとき冷却水ポンプ24を稼働して冷却水流路23を冷却水が循環することで、熱交換器25において、供給管11を流通するプロセス冷却水と冷却水流路23を流通する冷却水との間で熱交換が行われプロセス冷却水が冷却される。このようなプロセス冷却水の冷却工程において、供給管11における熱交換後のプロセス冷却水の水温の温度センサ13による測定結果から、バイパス弁27の開度を調整する。具体的には、熱交換後のプロセス冷却水の水温が設定している温度範囲よりも高ければ、バイパス弁27の開度を小さくして、熱交換器25を通過する冷却水の流量を増加する一方、熱交換後のプロセス冷却水の水温が設定している温度範囲よりも低ければ、バイパス弁27の開度を大きくして、熱交換器25を通過する冷却水の流量を減少させる。これらの熱交換の結果、冷却水の温度は上昇するので、冷却塔22でこれを冷却する。このような操作を連続することで、生産設備などの処理対象物を連続して冷却することができる。
【0005】
上述したような熱交換システム21では、供給管11を流通するプロセス冷却水の熱交換器25の出口側の水温が所定の温度となるように熱交換を行うが、熱交換量は供給管11における熱需要を満足させる必要があり、そのためには、冷却水の冷却塔22の出口温度が一定であるとすると、冷却水ポンプ24の送り流量を必要量に維持する必要がある。このとき省エネを図ることを目的として、冷却水ポンプ24の流量を少なくして冷却水ポンプ24の能力を100%で運転した際に熱需要を丁度満足するように選択した場合には、何らかの要因により熱需要が増加した場合には対応できない。
【0006】
このため、冷却水ポンプ24として、熱需要に対してある程度能力に余裕のあるものを選定してバイパス弁27を設けている。そして、供給管11におけるプロセス冷却水の熱交換器25の出口側の水温が目標の温度となるようにバイパス弁27の開度を制御して、冷却水流路23の熱交換器25の流通量を調整する。すなわち、温度センサ13の検出温度が高ければバイパス弁27を閉じ、温度センサ13の検出温度が低ければバイパス弁27を開くようにバイパス弁27の開度調整を行っている。このようにバイパス流路26を流れる冷却水の流量を一定以上に維持することが熱交換における余裕度となるので、このバイパス流路26の流量を調整することで、急激な熱需要の変化に対応して、熱交換器25の冷却水の通水量を調整していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような熱交換システムにおける制御方法では、一定量のバイパス流路26の流量を維持しながら冷却水ポンプ24の出口流量(運転出力)を調整できれば省エネの点で理想的であるが、現状ではバイパス弁27の開度は監視しているもののバイパス流路26の流量の計測は行われておらず、冷却水ポンプ24の出口流量の調整が困難である、という問題点があった。冷却水のバイパス流路26を流れる割合(バイパス率)を推測することができれば、冷却水ポンプ24の出口流量を省エネの点で適切に制御できて望ましい。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス流路に熱媒体が流れる割合(バイパス率)を推定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、処理対象物を冷却又は加温するプロセス流体の供給管に熱交換可能に接続された熱交換システムであって、前記熱交換システムが、熱媒体の温度調整機構、熱媒体のポンプ及び熱交換器と、前記熱媒体が流通する前記温度調整機構を循環する前記熱交換器を基点として温度調整機構側往路及び温度調整機構側復路と、前記温度調整機構側往路から前記熱交換器を迂回して前記温度調整機構復路に連通する流通量を調整可能なバイパス弁を有するバイパス流路とを備え、前記熱交換システムの前記熱媒体の全流量に対する前記バイパス流路を流通する流量の比率(バイパス率)を推定する方法において、前記冷却塔側往路の熱媒体の温度(Ti)と、熱交換器を通過した後の熱媒体の温度(Te)と、バイパス流路を流通した熱媒体が合流した後の前記冷却塔側復路の熱媒体の温度(To)とからバイパス率(R)を推定する、熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムの熱媒体のバイパス率の推定方法を提供する(発明1)。
【0010】
かかる発明(発明1)によれば、バイパス流路を流通した熱媒体が合流した後の温度(To)と熱交換器を通過した後の熱媒体の温度(Te)の差と、冷却塔側往路の熱媒体の温度(Ti)と熱交換器を通過した後の熱媒体の温度(Te)の差とから、バイパス率を推定することができる。これにより、あらかじめ所定のバイパス率を設定しておくことにより、この設定されたバイパス率に対してあらかじめ決定しておいた閾値を超えたら、熱媒体のポンプの出力を制御して所定のバイパス率の範囲に保持することで、熱交換システムをエネルギー効率良く運転することができる。
【0011】
上記発明(発明1)においては、前記バイパス率(R)を下記式
R=(To-Te)/(Ti-Te)
(式中、Tiは冷却塔側往路の熱媒体の温度であり、Teは熱交換器を通過した後の熱媒体の温度であり、Toはバイパス流路を流通した熱媒体が合流した後の温度である。)により推定することが好ましい(発明2)。
【0012】
かかる発明(発明2)によれば、熱交換システムのバイパス流路を流通した熱媒体が合流した後の温度(To)と熱交換器を通過した後の熱媒体の温度(Te)の差を冷却塔側往路の熱媒体の温度(Ti)と熱交換器を通過した後の熱媒体の温度(Te)の差で除することにより、簡単にバイパス率を推定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱交換システムのバイパス流路を流通した熱媒体が合流した後の温度(To)と熱交換器を通過した後の熱媒体の温度(Te)の差を冷却塔側往路の熱媒体の温度(Ti)とを測定するだけで、バイパス率を推定することができる。このバイパス率に基づき、熱交換システムを制御することにより、熱交換システムをエネルギー効率良く運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法を適用可能な熱交換システムを示す概略図である。
図2】本発明の熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法における、バイパス率と予測誤差との関係を示すグラフである。
図3】従来の熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムの制御システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法について後述する実施形態に基づき詳細に説明する。
【0016】
[熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システム]
図1は本発明の一実施形態による熱媒体のバイパス流路を備えた熱交換システムのバイパス率の推定方法を適用可能な熱交換システムを示している。この熱交換システムは前述した図3に示す従来の熱交換システムと同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0017】
本実施形態においては、熱交換システム21は、冷却塔側往路23Aを流通する熱媒体としての冷却水の温度(Ti)を測定するための温度センサ41と、熱交換器25を通過した後の冷却水の温度(Te)を測定するための温度センサ42と、バイパス流路26を流通した冷却水が合流した後の冷却塔側復路23Bの冷却水の温度(To)を測定するための温度センサ43とを有する。
【0018】
[熱交換システム21によるプロセス冷却水の冷却]
上述したような熱交換システム21では、生産設備などの処理対象物の冷却を以下のようにして行う。すなわち、生産設備などの処理対象物で発生した熱は、供給管11を流通するプロセス冷却水により冷却されることで、一定の温度以下に保持される。このとき、冷却水ポンプ24を稼働して冷却水流路23を冷却水が循環することで、熱交換器25において、供給管11を流通するプロセス冷却水と冷却水流路23を流通する冷却水との間で熱交換が行われプロセス冷却水が冷却される。このようなプロセス冷却水の冷却工程において、供給管11における熱交換後のプロセス冷却水の水温の温度センサ13による測定結果から、バイパス弁27の開度を調整する。具体的には、熱交換後のプロセス冷却水の水温が設定している温度範囲よりも高ければ、バイパス弁27の開度を小さくして、熱交換器25を通過する冷却水の流量を増加する一方、熱交換後のプロセス冷却水の水温が設定している温度範囲よりも低ければ、バイパス弁27の開度を大きくして、熱交換器25を通過する冷却水の流量を減少させる。これらの熱交換の結果、冷却水の温度は上昇するので、冷却塔22でこれを冷却する。このような操作を連続することで、生産設備などの処理対象物を連続して冷却することができる。
【0019】
[熱交換システム21の熱媒体のバイパス率の推定方法]
本実施形態においては、温度センサ41により冷却塔側往路23Aを流通する冷却水の温度(Ti)を、温度センサ42により熱交換器25を通過した後の冷却水の温度(Te)を、さらに温度センサ43によりバイパス流路26を流通した冷却水が合流した後の冷却塔側復路23Bの冷却水の温度(To)をそれぞれ測定する。これらの温度は、冷却塔側往路23Aを流通する冷却水の温度(Ti)に対して、熱交換器25を通過した後の冷却水の温度(Te)は上昇している一方、冷却塔側復路23Bの冷却水の温度(To)は、温度の変動がほとんどないバイパス流路26を流通した冷却水が合流しているので、温度(Te)よりは低くなる。
【0020】
ここで、冷却水が冷却水流路23を流通する際の管内抵抗や放熱などに伴う温度変動を無視すれば、冷却塔側復路23Bの冷却水の温度(To)における熱収支は冷却水の流量(Q)、冷却塔側往路23Aを流通する冷却水の流量に対するバイパス流路26を流通する冷却水の流量の割合(バイパス率(R))とすると、以下のようにして推定することができる。
【0021】
To×Q=Q(1-R)×Te+Q×R×Ti ・・・(1)
To=(1-R)Te+R×Ti ・・・(2)
R=(To-Te)/(Ti-Te) ・・・(3)
【0022】
このように従来直接的に把握できなかったバイパス率(R)を、バイパス流路26の流量を測定することなく、冷却水流路23の3箇所の温度を計測するだけで推定することが可能である。
【0023】
熱交換システム21では、あらかじめ所定のバイパス率(R)を設定(想定)して、システム設計されている。このバイパス率(R)が設定値より大きすぎると、過剰量の冷却水を循環させていることになり、冷却水ポンプ24の稼働エネルギーの点でロスが大きい。一方、バイパス率(R)が設定値より小さ過ぎると熱変動に対する熱交換システム21の余裕度が確保できなくなる。そこで、このあらかじめ設定したバイパス率(R)に対して所定の閾値より大きくなったら、冷却水ポンプ24の稼働率を低下させる一方、所定の閾値を下回ったら冷却水ポンプ24の稼働出力を上げて余裕度を確保するために冷却水ポンプ24の稼働出力をあげるように冷却水ポンプ24を制御すればよい。この閾値は設定するバイパス率(R)と計測機器の測定誤差とにもよるが、バイパス率(R)30%以上の場合、+5%~-10%程度とすればよい。なお、設定されるバイパス率(R)自体については、小さいほど推定値と実測値との誤差が大きくなり、バイパス率(R)に基づく制御が困難となることから、25%~50%、特に30~40%に設定することが、バイパス率の推定の上で好ましい。なお、バイパス率(R)が50%を超えると、冷却水ポンプ24の稼働率が過剰であり、省エネの点で好ましくない。
【0024】
上述したような本実施形態の熱交換システムの熱媒体のバイパス率の推定方法によれば、熱交換システム21のバイパス率(R)を連続監視することができるので、冷却水ポンプ24の稼働率を調整して熱交換システム21をエネルギー効率の点で最適に運転することができる。しかもバイパス流路26の流量自体を測定する必要がないので、バイパス流路26の流量の計測が困難な箇所でもバイパス率(R)を推定することができるため、その適用範囲は非常に大きい。
【0025】
以上、本発明について前記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施形態において温度調整機構として冷却塔22を用い、熱媒体として冷却水を用いた熱交換システム21について説明してきたが、これとは逆に温度調整機構として加温装置を用い、熱媒体として温水を流通した加温システムであっても同様に適用可能である。また、熱媒体としては、水に限らず、油や液体アンモニアなど、その冷却あるいは加温の用途や温度に応じて適宜選択すればよい。また、プロセス冷却水などのプロセス流体が流通する供給管11は循環路としてもよい。
【実施例
【0026】
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0027】
[実施例1]
図1に示す熱交換システム21において、温水を流通する加温システムを構成して70℃の温水を循環させ、バイパス率を10%(0.1)、30%(0.3)、60%(0.6)及び80%(0.8)とするともに、冷却塔側往路23Aを流通する温水の温度(Ti)と、復路23Bを流通する温水の温度(Te)と、バイパス流路26を流通した温水が合流した後の復路23Bの温水の温度(To)とをそれぞれ測定して、バイパス率(R)を予測した際の誤差を計測した。結果を図2に示す。
【0028】
図2から明らかなように、バイパス率が低いほど(熱交換器25を流通する水量が多いほど)誤差が大きくなる傾向があり、バイパス率10%と30%とでは大きく異なることがわかる。これは熱交換器25を流通する水量が多いほど、熱損失などの温度変動による要素が大きくなるためであり、バイパス率を25%以上、特に30%以上に設定すれば、誤差を5%以下に抑制することができ、本発明の方法を好適に適用できることがわかる。
【0029】
[実施例2]
図1に示す熱交換システム21を用い、冷却水として7℃の水を循環させ、バイパス率(R)を20%(0.2)、30%(0.3)及び40%(0.4)とするともに、冷却塔側往路23Aを流通する冷却水の温度(Ti)と、冷却塔側復路23Bを流通する冷却水の温度(Te)と、バイパス流路26を流通した冷却水が合流した後の冷却塔側復路23Bの冷却水の温度(To)とをそれぞれ測定して、バイパス率を予測した。結果をTi、Te及びToとともに表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、バイパス率が低いほど(熱交換器25を流通する水量が多いほど)バイパス率の誤差が大きくなる傾向がある。これは熱交換器25を流通する水量が多いほど温度上昇による要素や絵熱損失が大きくなるためであり、バイパス率を30%以上に設定した場合に本発明の方法が好適であることがわかる。
【符号の説明】
【0032】
11 供給管
12、13 温度センサ
21 熱交換システム
22 冷却塔
23 冷却水流路
23A 冷却塔側往路
23B 冷却塔側復路
24 冷却水ポンプ
25 熱交換器
26 バイパス流路
27 バイパス弁
31、32 温度センサ
41、42、43 温度センサ
図1
図2
図3