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特許7388149画像形成装置、画像形成装置の異常判定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の異常判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20231121BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20231121BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20231121BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231121BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20231121BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20231121BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20231121BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G02B26/10 F
G02B26/12
B41J2/47 101Z
G03G21/00 386
G03G21/00 510
G03G15/04
G01H9/00 Z
H04N1/113
G03G15/00 446
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019212225
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021085905
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】植松 瑛
(72)【発明者】
【氏名】一宮 和正
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-000682(JP,A)
【文献】特開平09-096943(JP,A)
【文献】特開2009-073616(JP,A)
【文献】特開平06-213704(JP,A)
【文献】特開2008-309668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0048082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10,26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
G03G 15/00,15/04,15/36,21/00
G01H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射されたレーザ光を、潜像担持体上に潜像を形成するための第1走査範囲と装置内の振動を検知するための第2走査範囲とに渡って走査する走査手段と、
支軸、及び前記支軸に対して回転自在に取り付けられた搬送ローラを含み、且つ前記潜像に基づく画像が形成されるシートを搬送する搬送手段と、
前記装置内の振動検知箇所に配置され、前記第2走査範囲内の前記レーザ光を反射する反射手段と、
前記反射手段が反射した後の前記レーザ光を受光し、受光量に応じて変化する信号を出力する受光手段と、
前記信号に基づいて、正常時には発生しない異音の発生を伴う異常の有無を判定する判定手段と
を備え、
前記走査手段は、前記シートの搬送中に前記レーザ光を走査し、
前記反射手段は、前記支軸に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2走査範囲内の前記レーザ光の進路を変更する進路変更手段を備えたことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記進路変更手段は、前記レーザ光を前記反射手段に向けて反射させ、且つ前記反射手段が反射した後の前記レーザ光を透過するハーフミラーを含むことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記反射手段は、第1振動検知箇所に配置された第1反射手段、及び前記第1振動検知箇所とは異なる第2振動検知箇所に配置された第2反射手段を含み、
前記進路変更手段は、前記レーザ光を前記第1反射手段、及び前記第2反射手段に対して選択的に照射し、
前記受光手段は、前記第1反射手段が反射した後の前記レーザ光、及び前記第2反射手段が反射した後の前記レーザ光をそれぞれ受光することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記反射手段は、第1振動検知箇所に配置された第1反射手段、及び前記第1振動検知箇所とは異なる第2振動検知箇所に配置された第2反射手段を含み、
前記受光手段は、前記第1反射手段が反射した後の前記レーザ光を受光し、受光量に応じて変化する第1信号を出力する第1受光手段と、前記第2反射手段が反射した後の前記レーザ光を受光し、受光量に応じて変化する第2信号を出力する第2受光手段とを含み、
前記進路変更手段は、前記レーザ光を前記第1反射手段、及び前記第2反射手段に対して選択的に照射し、
前記判定手段は、前記第1信号と前記第2信号の少なくとも一方に基づいて異常の有無を判定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定手段による判定結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
レーザ光を出射する光源、前記レーザ光の照射によって潜像が形成される潜像担持体支軸、及び前記支軸に対して回転自在に取り付けられた搬送ローラを含み、且つ前記潜像に基づく画像が形成されるシートを搬送する搬送手段と、前記レーザ光を走査する走査手段前記支軸に配置されて前記レーザ光を反射する反射手段、前記反射手段が反射した後のレーザ光を受光し、受光量に応じて変化する信号を出力する受光手段と、前記信号に基づいて、正常時には発生しない異音の発生を伴う異常の有無を判定する判定手段と、を備えた画像形成装置の異常判定方法であって、
前記光源から出射された前記レーザ光を、前記シートの搬送中に、前記走査手段によって潜像担持体上に潜像を形成するための第1走査範囲と装置内の振動を検知するための第2走査範囲とに渡って走査させるステップと、
前記第2走査範囲内の前記レーザ光を前記支軸に配置された前記反射手段によって反射させた後に前記受光手段に受光させ、前記信号を出力させるステップと、
前記信号に基づいて、前記判定手段に前記異常の有無を判定させるステップと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置の異常判定方法。
【請求項8】
請求項に記載された画像形成装置の異常判定方法における各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の異常判定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、レーザプリンタ、ファクシミリ、及び多機能周辺装置(MFP:Multifunction Peripheral)等の画像形成装置において、装置に異常が発生した時にはカスタマーエンジニアが現地に行って異常の内容を確認している。
異常内容の確認方法として、例えば画像形成装置が備えている各種センサの検知値を読み取る方法があるが、確認すべきセンサを誤ってしまう等のヒューマンエラーが生じ得る。
また、異音の発生を伴う異常では、異音の発生箇所は異常箇所に対応していることから、異音の発生箇所の部品を交換して部品の交換後に異音が消えたか否かを確認する方法も行われている。しかし、この方法では、部品を実際に交換してみないと修理が適切に行われたか否かが判断できないし、部品の交換作業が必須になるために時間を要してしまうという問題がある。さらに、周囲の音が大きいと異音を聞き取れないという問題もある。
そこで、異音を音センサによって検知することが考えられている。例えば特許文献1には、クリーニング動作音を検知する音センサと、音センサからの検知信号に基づいてクリーニング動作音のデータを取得する動作音データ取得手段と、動作音データ取得手段で取得されたクリーニング動作音のデータに基づいてクリーニング動作音を発するクリーニングブレードの動作状態を判断する判断手段と、を備えた画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の画像形成装置では、音センサによって異音を検知する構成であるため、異音以外の音も検知してしまう可能性がある。異音以外の音も検知できる画像形成装置を設置することは、プライバシー保護の観点から受け入れ難いという課題があった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、音センサを用いずに画像形成装置における異常の発生箇所を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、光源から出射されたレーザ光を、潜像担持体上に潜像を形成するための第1走査範囲と装置内の振動を検知するための第2走査範囲とに渡って走査する走査手段と、支軸、及び前記支軸に対して回転自在に取り付けられた搬送ローラを含み、且つ前記潜像に基づく画像が形成されるシートを搬送する搬送手段と、前記装置内の振動検知箇所に配置され、前記第2走査範囲内の前記レーザ光を反射する反射手段と、前記反射手段が反射した後の前記レーザ光を受光し、受光量に応じて変化する信号を出力する受光手段と、前記信号に基づいて、正常時には発生しない異音の発生を伴う異常の有無を判定する判定手段とを備え、前記走査手段は、前記シートの搬送中に前記レーザ光を走査し、前記反射手段は、前記支軸に配置されていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、画像形成装置における異常の発生箇所を音センサを用いずに検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置内の要部を説明する斜視図である。
図2】画像形成装置の概略構成図である。
図3】トナー像形成部の概略構成図である。
図4】画像形成装置のハードウェア構成図である。
図5】プリンタ部のハードウェア構成図である。
図6】異常検知処理のフローチャートである。
図7】振動検知処理のフローチャートである。
図8】異常箇所の表示例を説明する図である。
図9】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置内の要部を説明する斜視図である。
図10】プリンタ部の要部を説明するハードウェア構成図である。
図11】振動検知処理の要部を説明するフローチャートである。
図12】本発明の第三実施形態に係る画像形成装置内の要部を説明する斜視図である。
図13】プリンタ部の要部を説明するハードウェア構成図である。
図14】振動検知処理の要部を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の第一実施形態に係る画像形成装置内の要部を説明する斜視図である。
図1に示すように、本発明は、レーザ光Lを用いて感光体ドラム428(潜像担持体)の表面に潜像を形成する画像形成装置1(図2を参照)に関するものであり、用紙搬送ローラ431(振動の検知箇所)に反射部材(反射手段)52を配置し、ポリゴンミラー423(走査手段)によってレーザ照射ユニット421(光源)から出射されたレーザ光Lを、第1反射ミラー426によって反射される範囲(感光体ドラム428の表面に潜像を形成するための第1走査範囲P1-P2)と第2反射ミラー427によって反射される範囲(装置内の振動を検知するための第2走査範囲P4)とに渡って走査し、第2反射ミラー427によって反射されたレーザ光L(第2走査範囲内のレーザ光)を反射部材52に照射して反射後のレーザ光Lを振動検知センサ53(受光手段)に受光させ、振動検知センサ53が出力した信号に基づいてコントローラ100(判定手段、図4を参照)に異常の有無を判定させることを特徴としている。
本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0008】
<画像形成装置1の概略>
図2は、画像形成装置1の概略構成図である。
図2に示す画像形成装置1は、プリンタとしても使用可能なデジタル方式の電子写真式複写機であり、原稿台2aに載置された原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャナ部2と、画像が形成される用紙P(シート)を積層して収容するとともに、収容した用紙Pを一枚ずつ分離して供給する給紙部3と、給紙部3が供給した用紙Pに対して画像データに基づく画像を形成するプリンタ部4と、各種の表示を行うと共に使用者による操作を受け付ける操作パネル140(操作部、図5参照)と、を備えている。
【0009】
給紙部3は、装置内における下側半部に収納されており、積層した用紙Pを収容すると共に収容した用紙Pを一枚ずつ分離して繰り出すことができる給紙カセット31と、給紙カセット31から一枚ずつ繰り出された用紙Pを給紙部3よりも上方に位置するプリンタ部4へ供給する用紙供給路32と、を備えている。
本実施形態における給紙カセット31は、上段カセット31aと、上段カセット31aよりも下方に配置された中段カセット31bと、中段カセット31bよりも下方に配置された下段カセット31cと、を備えている。上段カセット31a、中段カセット31b、及び下段カセット31cには同じサイズの用紙Pを収容してもよいし、異なるサイズの用紙Pを収容してもよい。
【0010】
上段カセット31a、中段カセット31b、及び下段カセット31cのそれぞれには、用紙Pが載置される給紙トレイが設けられている。給紙トレイは、トレイ駆動モータ81(図5参照)によって上下方向に移動可能に構成されており、最上面の用紙高さが規定の上限位置になるように給紙トレイを上方へ移動させる。このため、上限位置には、用紙Pを検出するための用紙上限検知センサ82(図5参照)が設けられている。また、用紙Pの補充時において、給紙トレイは、トレイ駆動モータ81によって最下位置まで下降される。トレイ駆動モータ81は、例えば出力と電流とが比例した直流モータによって構成される。用紙供給路32には、複数の用紙供給ローラ321が設けられており、給紙カセット31から繰り出された用紙Pをプリンタ部4に供給する。
【0011】
プリンタ部4は、装置内における上側半部に収納されており、画像データに基づいてトナー像を形成するトナー像形成部41と、レーザ光Lを出射するレーザ光学系ユニット42と、給紙部3(用紙供給路32)から供給された用紙Pを搬送する用紙搬送部43と、トナー像形成部41が形成したトナー像が転写され、当該トナー像を用紙搬送部43が搬送する用紙Pに転写する中間転写ベルト44と、用紙Pに転写されたトナー像を当該用紙Pに定着させる定着部45と、を備えている。用紙搬送部43には、複数の用紙搬送ローラ431が設けられており、プリンタ部4内において用紙Pを搬送する。
【0012】
<トナー像形成部41>
次に、トナー像形成部41について説明する。
図2に示すように、トナー像形成部41は、イエローのトナー像を形成する第1トナー像形成部41Yと、シアンのトナー像を形成する第2トナー像形成部41Cと、マゼンタのトナー像を形成する第3トナー像形成部41Mと、ブラックのトナー像を形成する第4トナー像形成部41Kと、を備えている。各トナー像形成部41Y、41C、41M、41Kは、トナーの色が異なるものの何れも同じ構成である。以下、トナー像形成部41の構成について説明する。
【0013】
図3は、トナー像形成部41の概略構成図である。
図3に示すように、トナー像形成部41は、感光体ユニット41Aと現像ユニット41Bと一次転写ローラ417とを備えている。感光体ユニット41A、及び現像ユニット41Bは、画像形成装置1に対して一体的に着脱可能な構成となっている。
感光体ユニット41Aは、潜像担持体であるドラム型の感光体(以下「感光体ドラム」という)428と、感光体ドラム428の表面(被走査面)に付着されている転写残トナー等を除去して回収するクリーニング手段であるクリーニングブレード412と、感光体ドラム428の表面摩擦係数を所定の値にするための滑剤を塗布する滑剤塗布ブラシ413と、感光体ドラム428の被走査面を均一に帯電するための帯電ローラ414と、を備えている。
現像ユニット41Bは、トナーを排出自在に収容したトナーカートリッジ415と、表面が粗面化処理された非磁性材料製のパイプ(例えばアルミパイプ)によって作製され、矢印方向に回転される現像スリーブ416(トナー担持体)と、を備えている。トナーカートリッジ415から排出されたトナーは、現像スリーブ416の表面に保持される。
【0014】
一次転写ローラ417は、中間転写ベルト44を挟んで感光体ドラム428の被走査面に対向し、一次転写ニップ部を形成している。一次転写ローラ417に、感光体ドラム428の被走査面にそれぞれ形成された各単色のトナー画像のトナーとは逆極性の転写バイアスが印加されることで、その各トナー画像が中間転写ベルト44上に転写される。
以上の構成を有するトナー像形成部41では、感光体ドラム428の被走査面に付着されている転写残トナー等がクリーニングブレード412によって除去された後、当該被走査面に対して滑剤塗布ブラシ413が滑剤を塗布する。その後、帯電ローラ414によって感光体ドラム428の被走査面が一様に帯電され、レーザ光Lの照射によって感光体ドラム428の被走査面に潜像が形成される。潜像に対して現像スリーブ416の表面に保持されたトナーが転写されると、感光体ドラム428の被走査面には単色のトナー画像が形成される。各色のトナー画像は、それぞれ中間転写ベルト44上に転写されるため、中間転写ベルト44上には多色のトナー画像が形成される。
【0015】
<レーザ光学系ユニット42>
次に、レーザ光学系ユニット42について説明する。
図2に示すように、レーザ光学系ユニット42は、第1トナー像形成部41Yに対してレーザ光Lを出射する第1レーザ光学系ユニット42Yと、第2トナー像形成部41Cに対してレーザ光Lを出射する第2レーザ光学系ユニット42Cと、第3トナー像形成部41Mに対してレーザ光Lを出射する第3レーザ光学系ユニット42Mと、第4トナー像形成部41Kに対してレーザ光Lを出射する第4レーザ光学系ユニット42Kと、を備えている。各レーザ光学系ユニット42の基本的な構成は同じである。そこで、最も用紙供給路32に近い第4レーザ光学系ユニット42Kを例に挙げて説明する。
【0016】
図1に示すように、レーザ光学系ユニット42(第4レーザ光学系ユニット42K)は、複数本(例えば4本)のレーザ光Lを半導体レーザ等の発光素子421aから出射させる(対象に向けて照射する)レーザ照射ユニット421(光源)と、レーザ照射ユニット421から出射された各レーザ光Lを集光するシリンドリカルレンズ422と、シリンドリカルレンズ422で集光されたレーザ光Lを主走査方向に走査させるポリゴンミラー423(走査手段)と、ポリゴンミラー423で走査されたレーザ光Lの走査速度を一定にするためのfθレンズ424、及びトロイダルレンズ425と、トロイダルレンズ425を透過した後の第1走査範囲(P1-P2)内のレーザ光Lを感光体ドラム428に向けて反射させる第1反射ミラー426と、第1反射ミラー426の側方(主走査方向の一側)に隣接して配置され、トロイダルレンズ425を透過した後の第2走査範囲(P4)内のレーザ光Lをハーフミラー51(進路変更手段)に向けて反射する第2反射ミラー427と、レーザ光Lの第1走査範囲と第2走査範囲の境界(P3)に配置されてレーザ光Lを受光する第1同期検知センサ429Aと、主走査範囲(第2走査範囲)の終端(P5)に配置されてレーザ光Lを受光する第2同期検知センサ429Bと、を備えている。
【0017】
本実施形態のレーザ照射ユニット421は、潜像を形成する時に出射するレーザ光Lについては潜像を形成可能な程度の高出力とし、振動を検知する時に出射するレーザ光Lについては潜像を形成する時よりも出力を抑えた低出力としている。なお、レーザ照射ユニット421はこの構成に限らず、潜像形成時と振動検知時とで出力するレーザ光Lの種類を異ならせてもよい。
以上の構成を有するレーザ光学系ユニット42では、レーザ照射ユニット421から出射されたレーザ光Lは、シリンドリカルレンズ422で集光されてポリゴンミラー423の側面(反射面)に照射される。ポリゴンミラー423は軸中心に回転しているため、反射面で反射したレーザ光Lは、第1反射ミラー426上の主走査方向の始端(P1)から主走査方向に沿って走査される。第1反射ミラー426上の主走査方向の終端(P2)までの範囲(第1走査範囲)において、第1反射ミラー426によって反射されたレーザ光Lは、感光体ドラム428の被走査面に照射されて潜像を形成させる。
【0018】
ポリゴンミラー423で反射されたレーザ光Lは、第1反射ミラー426(P2)を越えると、第1同期検知センサ429Aによって検知される(P3)。第1同期検知センサ429Aの信号はコントローラ100(図4を参照)に入力されるため、コントローラ100は第1同期検知センサ429Aからの検知信号を監視することにより、レーザ光Lが第1走査範囲を超えたことを検知できる。
レーザ光Lは、第1同期検知センサ429Aによって検知された後、主走査方向に沿って走査され、第2反射ミラー427に照射される(P4)。第2反射ミラー427で反射したレーザ光Lは、ハーフミラー51に照射されて装置内の振動検知に使用される。ポリゴンミラー423で反射されたレーザ光Lは、第2反射ミラー427によって反射可能な範囲(第2走査範囲、P4)を越えると、第2同期検知センサ429Bによって検知される(P5)。第2同期検知センサ429Bの信号はコントローラ100に入力されるため、コントローラ100は第2同期検知センサ429Bからの検知信号を監視することにより、レーザ光Lが第2走査範囲の終端に到達したことを検知できる。本実施形態において、レーザ光Lは、第2同期検知センサ429Bで検知された後、主走査方向の始端(P1)から主走査方向に沿って走査される。
【0019】
<振動の検知機構>
本実施形態の画像形成装置1において、第2反射ミラー427によって反射されたレーザ光Lは、装置内の振動を検知するために使用される。例えば、プリンタ部4が備えた用紙搬送ローラ431の振動を検知するために使用される。
【0020】
図1に示すように、振動の検知機構は、第2反射ミラー427で反射したレーザ光Lが照射されるハーフミラー51と、用紙搬送ローラ431に取り付けられ、ハーフミラー51が反射したレーザ光Lをハーフミラー51に向けて反射する反射部材52と、ハーフミラー51を透過した後のレーザ光L(反射部材52が反射したレーザ光L)を受光し、受光量に応じて大きさ(電圧や電流の大きさ)が変化する電気信号を出力する振動検知センサ53と、を備えている。
用紙搬送ローラ431は、用紙搬送モータ83(図5)によって軸中心に回転する駆動ローラ部431aと、用紙Pの搬送に伴って回転する従動ローラ部431bと、を備えている。駆動ローラ部431aは、用紙搬送モータ83によって回転される駆動軸431cと、駆動軸431cに接合されて駆動軸431cとともに回転する駆動ローラ431dと、を備えている。従動ローラ部431bは、回転しない支軸431eと、支軸431eに対して回転自在に取り付けられた従動ローラ431fと、を備えている。駆動ローラ431dと従動ローラ431fは近接して配置されており、用紙Pの搬送時に用紙Pを挟持する。
反射部材52は、レーザ光Lを反射でき、且つ従動ローラ部431bの支軸431eに取り付けできれば、どのようなものであってもよいが、例えば第1反射ミラー426や第2反射ミラー427と同等な反射ミラーを用いることができる。
用紙搬送ローラ431(従動ローラ部431bの支軸)は、用紙Pの搬送に伴って振動をすることから、反射部材52が反射した後のレーザ光Lの進路(反射方向)は振動に伴って変化する。レーザ光Lの進路の変更に伴って振動検知センサ53の受光量が変換するため、振動検知センサ53が出力する信号(検知信号)の大きさも変化する。
【0021】
画像形成装置1の正常時において、用紙Pの搬送に伴う用紙搬送ローラ431の振動はほぼ一定のパターンになり、大きな変化はない。従って、振動検知センサ53が出力する検知信号の変化パターン(振動波形)もほぼ同じパターンになる。一方、異音の発生を伴う画像形成装置1の異常時には、用紙Pの搬送に伴う用紙搬送ローラ431の振動は正常時とは異なるパターンになる。従って、振動検知センサ53が出力する検知信号の変化パターンと正常時の検知信号の変化パターンとを比較し、相関係数を取得することにより、画像形成装置1に異常が発生しているか否かを判定することができる。
さらに、異常発生時における検知信号の変化パターンは、異常の原因毎に固有のパターンを示す。例えば、検知信号の変化パターンは、留め具(Eリングやブラケット等)が外れた時、用紙搬送ローラ431の軸受けに溶接クラック等の異常が発生した時、並びに給紙カセット31とフリクションパッドとの間に不具合があった時のそれぞれにおいて固有の変化パターンを示す。従って、振動検知センサ53が出力する検知信号の変化パターンと正常時の検知信号の変化パターンとの相関を示す相関係数は、異常の原因毎に異なることとなる。実験等によって異常の原因毎の相関係数を予め取得し、相関係数と異常の原因とを対応付けてコントローラ100のROM(図4を参照)に記憶しておくことにより、コントローラ100は相関係数に基づいて異常の原因を特定することができる。
【0022】
また、本実施形態の検知機構では、ハーフミラー51、及び振動検知センサ53を用いているので、振動検知箇所の位置の制限を緩和することができ、位置の自由度を高めることができる。また、ハーフミラー51を用いているので、ハーフミラー51を挟んで反射部材52と振動検知センサ53とを配置でき、検知機構を小型化できる。
【0023】
<画像形成装置1のハードウェア構成>
図4は、画像形成装置1のハードウェア構成図である。図4に示すように、画像形成装置1は、コントローラ100、近距離通信回路120、エンジン制御部130、操作パネル140、及びネットワークI/F(InterFace)150を備えている。なお、画像形成装置1のハードウェア構成は、図4に示す構成に限定されない。例えば、操作パネル140はASIC(Application Specific Integrated Circuit)105ではなく、SB104に接続される構成であってもよい。
これらのうち、コントローラ100は、コンピュータの主要部であるCPU101、システムメモリ(MEM-P)102、ノースブリッジ(NB)103、サウスブリッジ(SB)104、ASIC105、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)106、HDDコントローラ107、及び記憶部である磁気ディスク(HD)108を有し、NB103とASIC105との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス161で接続した構成となっている。ただし、コントローラ100の構成はこれに限定されない。例えば、CPU101、NB103、SB104などの2以上の構成要素をSoC(System on Chip)によって実現してもよい。この場合、SoCとASIC105との間をPCI-express(登録商標)バスで接続してもよい。
これらのうち、CPU101は、画像形成装置1の全体制御を行う制御部である。NB103は、CPU101と、MEM-P102、SB104、及びAGPバス161と、を接続するためのブリッジであり、MEM-P102に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
MEM-P102は、コントローラ100の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM102a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM102bとからなる。本実施形態において、ROM102aには、振動検知センサ53が出力する検知信号の正常時の変化パターン、異常の原因毎の相関係数、及びトレイ駆動モータ81における正常時の駆動電流の波形も記憶されている。
【0024】
なお、RAM102bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
SB104は、NB103とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC105は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス161、PCIバス162、HDDコントローラ107およびMEM-C106をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC105は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC105の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C106を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部2及びプリンタ部4との間でPCIバス162を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC105には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0025】
MEM-C106は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD108は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ107は、CPU101の制御に従ってHD108に対するデータの読出し又は書込みを制御する。
AGPバス161は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインターフェースであり、MEM-P102に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。ただし、MEM-C106は搭載されていなくてもよい。
また、近距離通信回路120には、データを送受信するアンテナ120aが備わっている。近距離通信回路120は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
更に、エンジン制御部130は、スキャナ部2、及びプリンタ部4によって構成されている。また、操作パネル140は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部141、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー、コピー開始指示を受け付けるスタートキー、及び画像形成装置1が行う機能の切り替え指示を受け付けるアプリケーション切り替えキー等からなるパネル操作部142を備えている。
【0026】
コントローラ100は、画像形成装置1全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル140からの入力等を制御する。スキャナ部2又はプリンタ部4には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
なお、画像形成装置1は、操作パネル140のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。操作パネル140は、各種情報を表示するLCDや動作状態を点灯/消灯により表示するLEDといった表示部及びタッチパネルやハードキースイッチを有する入力部等を備えている。なお、操作パネル140はタッチパネルを備える場合にはハードキースイッチはなくてもよい。
また、ネットワークI/F150は、通信ネットワークNWを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路120及びネットワークI/F150は、PCIバス162を介して、ASIC105に電気的に接続されている。
【0027】
<プリンタ部4のハードウェア構成>
図5は、プリンタ部4のハードウェア構成図である。図5に示すように、プリンタ部4は、プリンタ部4の全体制御を行う制御部であるCPU71と、プリンタ部4の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM72と、プログラムやデータの展開時に用いられるRAM73と、プリンタ部4が備えた各種モータ(トレイ駆動モータ81等)や各種センサ(用紙上限検知センサ82等)と電気的に接続するためのI/O(Input/Output)制御部74と、を備えている。
なお、プリンタ部4のハードウェア構成は、図5に示す構成に限定されない。また、RAM73に記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0028】
I/O制御部74には、例えば、給紙カセット31が備えた給紙トレイを移動させるためのトレイ駆動モータ81と、給紙カセット31内において上限位置の用紙Pを検出するための用紙上限検知センサ82と、用紙搬送ローラ431の駆動ローラ部431aを回転させるための用紙搬送モータ83と、感光体ドラム428を回転させるための感光体駆動モータ84と、発光素子421aからレーザ光Lを出射させるレーザ照射ユニット421と、ポリゴンミラー423を回転させるためのポリゴンミラー駆動モータ86と、レーザ光学系ユニット42が備えた第1同期検知センサ429Aと、レーザ光学系ユニット42が備えた第2同期検知センサ429Bと、振動の検知機構を構成する振動検知センサ53と、が電気的に接続されている。
【0029】
<異常検知処理>
次に、本実施形態の画像形成装置1の動作、具体的には異常が発生した時に異常の発生箇所を検知するための異常検知処理について説明する。図6は、異常検知処理のフローチャートである。図7は、異常検知処理にて行われる振動検知処理のフローチャートである。この異常検知処理は、画像形成装置1が備えたコントローラ100が主体になって行われ、プリンタ部4はコントローラ100からの指示に従って各モータ(トレイ駆動モータ81等)を駆動したり、各センサ(用紙上限検知センサ82等)からの検知信号を取得する。このため、異常検知処理については、コントローラ100による制御として説明をする。
【0030】
図6に示す異常検知処理において、コントローラ100は、トレイ駆動モータ81を制御して各給紙トレイを上昇させる(S1)。この時、コントローラ100は、トレイ駆動モータ81の駆動電流の波形を取得し、且つ用紙上限検知センサ82からの検知信号を監視する。
なお、コントローラ100は、各給紙トレイを現位置から上昇させてもよいし、現位置から最下位置まで下降させた後に上昇させてもよい。現位置から最下位置まで下降させることにより、最上面の用紙高さが上限位置にある給紙トレイであっても、給紙トレイを上昇させるための高さを確保できる。
【0031】
次に、コントローラ100は、トレイ駆動モータ81に異常があるか否かを判定する(S3)。この判定は、例えば、トレイ駆動モータ81の駆動電流の波形に基づいて行う。本実施形態では、トレイ駆動モータ81が直流モータであるので、駆動電流の波形がトレイ駆動モータ81の出力と比例する。例えば、トレイ駆動モータ81の出力が通常よりも高くなった時には、駆動電流は正常時よりも大きくなる。このため、コントローラ100は、トレイ駆動モータ81における正常時の駆動電流の波形と取得した駆動電流の波形とを比較し、両波形の違いに基づいて異常があるか否かを判定する。そして、コントローラ100は、トレイ駆動モータ81に異常があると判定した時には(S3,Yes)、トレイ駆動モータ81に異常がある旨を操作パネル140(操作部)にて表示する(S5)。
コントローラ100は、トレイ駆動モータ81に異常がないと判定した時には(S3,No)、用紙上限検知センサ82が用紙上限を検知したか否かを判定する(S7)。例えば、コントローラ100は、トレイ駆動モータ81の駆動開始から規定時間内に用紙上限検知センサ82が用紙上限の検知信号を出力した時に紙上限を検知したと判定する。反対に、コントローラ100は、トレイ駆動モータ81を規定時間に渡って駆動したにも拘わらず、用紙上限検知センサ82が用紙上限の検知信号を出力しなかった時に、用紙上限を検知しなかったと判定する。そして、コントローラ100は、用紙上限を検知しなかったと判定した時には(S7,Yes)、用紙上限検知センサ82に異常がある旨を操作パネル140(操作部)にて表示する(S9)。
コントローラ100は、用紙上限検知センサ82に異常がないと判定した時には(S7,No)、振動検知処理(S11)を行う。図7に示すように、コントローラ100は、振動検知処理において、まず用紙Pを搬送する(S21)。例えば、コントローラ100は、上段カセット31aから用紙Pを繰り出させ、この用紙Pを用紙搬送部43によって搬送させる。なお、この用紙Pには画像は形成されない。
コントローラ100は、レーザ照射ユニット421を制御して反射部材52に対してレーザ光Lを照射させる(S23)。本実施形態において、レーザ照射ユニット421が出射するレーザ光Lは、第1反射ミラー426によって反射される範囲内(第1走査範囲内)では潜像形成用の高出力であり、第2反射ミラー427によって反射される範囲内(第2走査範囲内)では振動検出用の低出力である。従って、反射部材52には、第2反射ミラー427によって反射された低出力のレーザ光Lが照射される。
【0032】
なお、レーザ光Lの出力を切り替えるため、コントローラ100は、主走査の開始位置(図1に符号P1で示す位置)から第1同期検知センサ429Aにレーザ光Lが検出されるまでの間はレーザ照射ユニット421に高出力のレーザ光Lを出力させる。そして、コントローラ100は、第1同期検知センサ429Aがレーザ光Lを検知すると、レーザ照射ユニット421に低出力のレーザ光Lを出力させる。さらに、コントローラ100は、第2同期検知センサ429Bがレーザ光Lを検知すると、レーザ照射ユニット421に高出力のレーザ光Lを出力させる。これにより、高出力のレーザ光Lが主走査の開始位置(P1)から走査される。
コントローラ100は、反射部材52からの反射光に基づいて振動波形を検知する(S25)。すなわち、コントローラ100は、振動検知センサ53からの検知信号に基づき、レーザ光Lの受光量に応じた検知信号の変化パターンを振動波形として取得する。次に、コントローラ100は、振動検知センサ53からの検知信号の変化パターン(振動波形)と正常時の検知信号の変化パターン(振動波形)とを比較する(S27)。例えば、振動検知センサ53に基づく振動波形と正常時の振動波形との間の相関係数を算出する。なお、振動検知センサ53に基づく振動波形振動波形と正常時の振動波形との間の類似度を評価できれば、相関係数の算出に限られない。また、コントローラ100は、振動検知センサ53に基づく振動波形と異常時の振動波形とを比較する。異常時の振動波形としては、例えば、留め具が外れた時の振動波形、軸受けに異常が発生した時の振動波形、並びに給紙カセット31に不具合があった時の振動波形が挙げられる。異常時の振動波形についても、振動検知センサ53に基づく振動波形との間の相関係数を算出する。
【0033】
以上のS21からS27の処理を、給紙カセット31を構成する各カセット(上段カセット31a、中段カセット31b、下段カセット31c)について行ったならば、振動検知処理を終了して図6のS13へ移行する。なお、S21からS27の処理を給紙カセット31に含まれる一部のカセットについて行った時に振動検知処理を終了し、図6のS13へ移行してもよい。
【0034】
図6に戻り、コントローラ100は、振動検知処理(S11)が終了した後、用紙搬送経路中の検知対象パーツに異常があったか否かを判定する(S13)。この判定は、振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形と、正常時や異常時の振動波形との比較結果(例えば相関係数)とによって行われる。
例えば、コントローラ100は、振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形と正常時の振動波形との間の相関が高ければ、異音の原因を特定できなかったと判定する(S13,No)。この場合、コントローラ100は、操作パネル140のパネル表示部に原因が特定できなかった旨を表示させ、一連の処理を終了する。
一方、コントローラ100は、相関が低かった時には異常ありと判定する(S13,Yes)。さらに、コントローラ100は、相関係数に応じて異常の内容を特定する。前述したように、異常発生時における検知信号の変化パターンは異常の原因毎に固有のパターンを示すことから、相関係数と異常の原因とを対応付けてコントローラ100のROM102aに記憶させている。従って、コントローラ100は、相関係数に基づいて異常の原因を特定することができる。
【0035】
次に、コントローラ100は、操作パネル140のパネル表示部141に異常箇所を表示させる(S15)。図8は、異常箇所の表示例を説明する図である。図8に示すように、パネル表示部141の表示領域141aには、エラーコード及び異音発生箇所141bと、異常発生箇所の解説及び対応方法141cと、異常発生箇所を説明するイラスト141dとが表示されている。
コントローラ100は、上記の各表示をパネル表示部141に行わせた後、一連の処理を終了する。
【0036】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の画像形成装置1では、レーザ照射ユニット421の光源が出射したレーザ光Lを、ポリゴンミラー423(走査手段)によって第1反射ミラー426に対応する第1走査範囲(P1-P2)と、第2反射ミラー427に対応する第2走査範囲(P4)に渡って走査している。そして、第2走査範囲内のレーザ光Lを装置内の振動検知箇所に配置した反射部材52(反射手段)によって反射させ、反射部材52が反射した後のレーザ光Lを振動検知センサ53(受光手段)によって受光している。さらに、コントローラ100は、振動検知センサ53が出力した受光量に応じて変化する信号に基づいて異常の有無を判定している。
以上の構成を有した画像形成装置1では、装置内に異常が生じていれば振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形は正常時の振動波形と相違し、且つ異常の発生箇所に応じた固有の振動波形になる。このため、振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形に基づいて異常の発生箇所を特定することができる。
【0037】
<第二実施形態について>
前述した第一実施形態では、反射部材52が一つであり、ハーフミラー51、及び振動検知センサ53の配置が固定されていたが、この構成に限定されない。例えば、ハーフミラー51によるレーザ光Lの反射方向を変更自在に構成し、且つレーザ光Lの反射方向に応じて振動検知センサ53の位置を変更自在に構成してもよい。
【0038】
図9は本発明の第二実施形態に係る画像形成装置1内の要部を説明する斜視図、図10はプリンタ部4の要部を説明するハードウェア構成図、図11は振動検知処理の要部を説明するフローチャートである。
図9に示すように、第二実施形態に係る画像形成装置1では、反射部材52を用紙供給路32が備えた用紙供給ローラ321にも設け、ハーフミラー51をハーフミラー駆動モータ91(図10を参照)によって回転自在に取り付け、且つ振動検知センサ53をハーフミラー51との相対位置関係が維持されるように、ハーフミラー51の回転に連動して移動させている。
用紙供給ローラ321は、用紙搬送ローラ431と同等な構成を採っている。すなわち、用紙供給ローラ321は、用紙供給モータによって軸中心に回転する駆動ローラ部321aと、用紙Pの供給時において用紙Pの供給に伴って回転する従動ローラ部321bと、を備えている。駆動ローラ部321aは、用紙供給モータによって回転される駆動軸321cと、駆動軸321cに接合されて駆動軸321cとともに回転する駆動ローラ321dと、を備えている。従動ローラ部431bは、回転しない支軸321eと、支軸321eに対して回転自在に取り付けられた従動ローラ321fと、を備えている。そして、反射部材52は、支軸321e上に配置されている。
【0039】
第二実施形態に係る画像形成装置1では、例えば図11に示すように、コントローラ100は、S21における用紙Pの搬送を開始した後に、ハーフミラー駆動モータ91によってハーフミラー51を回転させ、且つハーフミラー51の回転に連動して振動検知センサ53を移動させることにより(S22A)、レーザ光Lを照射する反射部材52を選択できる。
例えば、図9に示す用紙供給ローラ321に配置した反射部材52にレーザ光Lを照射したり、図1に示す用紙搬送ローラ431に配置した反射部材52にレーザ光Lを照射することができる。従って、一組のハーフミラー51、及び振動検知センサ53であっても、複数の振動検知箇所(用紙搬送ローラ431、用紙供給ローラ321)の振動を検知することができる。
【0040】
<第三実施形態について>
前述した第一実施形態では、ハーフミラー51、反射部材52、及び振動検知センサ53の組が一組であり、ハーフミラー51、反射部材52、及び振動検知センサ53の配置が固定されていたが、この構成に限定されない。例えば、ハーフミラー51、反射部材52、及び振動検知センサ53の組を複数組設け、第2反射ミラー427によるレーザ光Lの反射方向を変更することにより、複数の振動検知箇所の振動を検知するように構成してもよい。
【0041】
図12は本発明の第三実施形態に係る画像形成装置1内の要部を説明する斜視図、図13はプリンタ部4の要部を説明するハードウェア構成図、図14は振動検知処理の要部を説明するフローチャートである。
図12に示すように、第三実施形態に係る画像形成装置1では、用紙搬送ローラ431側に第1ハーフミラー51A、第1反射部材52A、及び第1振動検知センサ53Aを設け、用紙供給ローラ321側に第2ハーフミラー51B、第2反射部材52B、及び第2振動検知センサ53Bを設けている。なお、第1ハーフミラー51A、第1反射部材52A、及び第1振動検知センサ53Aについては第一実施形態と同様に構成され、第2ハーフミラー51B、第2反射部材52B、及び第2振動検知センサ53Bについては第二実施形態と同様に構成されているので、詳細な説明は省略する。
【0042】
第三実施形態に係る画像形成装置1では、第2ミラー駆動モータ92(図13を参照)によって第2反射ミラー427の向きを変更可能に構成しているため、第2反射ミラー427によって反射されたレーザ光Lを第1ハーフミラー51Aと第2ハーフミラー51Bとに対して選択的に照射することができる。
例えば図14に示すように、コントローラ100は、S21における用紙Pの搬送を開始した後に、第2ミラー駆動モータ92によって第2反射ミラー427の向きを調整することにより(S22B)、レーザ光Lを照射するハーフミラー51A、51Bを選択できる。従って、第三実施形態の画像形成装置1でも複数の振動検知箇所(用紙搬送ローラ431、用紙供給ローラ321)の振動を検知することができる。
【0043】
<変形例について>
上述した各実施形態では、第4レーザ光学系ユニット42Kを例に挙げて説明したが、他のレーザ光学系ユニット42Y、42C、42Mについても第4レーザ光学系ユニット42Kと同様に、装置内の振動検知箇所に対する振動を検知してもよい。また、各実施形態では、用紙Pの搬送時に振動検知箇所に対する振動を検知したが、用紙Pの非搬送時に振動検知箇所に対する振動を検知してもよい。また、各実施形態では、ハーフミラー51(51A、51B)や第2反射ミラー427にレーザ光Lを反射させたが、装置内のレイアウトによっては、ハーフミラー51や第2反射ミラー42にレーザ光を反射させなくてもよい。また、各実施形態では、振動検知箇所として、用紙搬送ローラ431や用紙供給ローラ321を例に挙げたが、他の部品であってもよい。
上述した各実施形態では、MFPを例に挙げて説明したが、本発明はMFPに限られない。レーザ光Lを利用した画像形成装置1であれば同様に適用できる。
また、上述した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
第二実施形態、及び第三実施形態において、振動検知箇所は2箇所であったがこの構成に限定されない。例えば、振動検知箇所を3箇所以上としてもよい。
【0044】
[本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ]
<第一の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1は、レーザ照射ユニット421(光源)から出射されたレーザ光Lを、感光体ドラム428(潜像担持体)上に潜像を形成するための第1走査範囲と装置内の振動を検知するための第2走査範囲とに渡って走査するポリゴンミラー423(走査手段)と、用紙搬送ローラ431や用紙供給ローラ321(装置内の振動検知箇所)に配置され、第2走査範囲内のレーザ光Lを反射する反射部材52(反射手段)と、反射部材52が反射した後のレーザ光Lを受光し、受光量に応じて変化する信号を出力する振動検知センサ53(受光手段)と、信号に基づいて異常の有無を判定するコントローラ100(判定手段)と、を備えたことを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、装置内に異常が生じていれば振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形は正常時の振動波形と相違し、且つ異常の発生箇所に応じた固有の振動波形になる。このため、コントローラ100は、振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形に基づいて異常の発生箇所を特定することができる。
【0045】
<第二の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1は、潜像に基づく画像が形成される用紙P(シート)を搬送する用紙搬送部43(搬送手段)を備え、走査手段は、用紙Pの搬送中にレーザ光Lを走査することを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、用紙Pの搬送に伴って生じる振動を利用して異常の発生箇所を特定することができる。
【0046】
<第三の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1において、用紙搬送部43(搬送手段)は、支軸、及び支軸に対して回転自在に取り付けられた用紙搬送ローラ431を含み、反射部材52(反射手段)は、支軸431eに配置されていることを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、用紙Pの搬送に伴って生じる振動を確実に検出できる。
【0047】
<第四の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1は、第2走査範囲内のレーザ光Lの進路を変更するハーフミラー51(進路変更手段)を備えたことを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、振動検知箇所の位置の自由度を高めることができる。
【0048】
<第五の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1において、ハーフミラー51(進路変更手段)は、レーザ光Lを反射部材52(反射手段)に向けて反射させ、且つ反射部材52が反射した後のレーザ光Lを透過することを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、ハーフミラー51を挟んで反射部材52と振動検知センサ53とを配置できるので、振動の検知機構を小型化できる。
【0049】
<第六の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1において、反射部材52(反射手段)は、用紙搬送ローラ431(振動の第1検知箇所)に配置された反射部材52(第1反射手段)、及び搬送ローラとは異なる用紙供給ローラ321(第2検知箇所)に配置された反射部材52(第2反射手段)を含み、ハーフミラー51(進路変更手段)は、レーザ光Lを用紙搬送ローラ431側の反射部材52、及び用紙供給ローラ321側の反射部材52に対して選択的に照射し、振動検知センサ53(受光手段)は、各反射部材52が反射した後のレーザ光Lをそれぞれ受光することを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、用紙搬送ローラ431に生じた振動と用紙供給ローラ321に生じた振動とを検知することができる。
【0050】
<第七の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1において、反射部材52(反射手段)は、用紙搬送ローラ431(振動の第1検知箇所)に配置された第1反射部材52A(第1反射手段)、及び搬送ローラとは異なる用紙供給ローラ321(第2検知箇所)に配置された第2反射部材52B(第2反射手段)を含み、振動検知センサ53(受光手段)は、第1反射部材52Aが反射した後のレーザ光Lを受光し、受光量に応じて変化する第1信号を出力する第1振動検知センサ53A(第1受光手段)と、第2反射部材52Bが反射した後のレーザ光Lを受光し、受光量に応じて変化する第2信号を出力する第2振動検知センサ53B(第2受光手段)とを含み、第2反射ミラー427(進路変更手段)は、レーザ光Lを第1反射部材52A、及び第2反射部材52Bに対して選択的に照射し、コントローラ100(判定手段)は、第1信号と前記第2信号の少なくとも一方に基づいて異常の有無を判定することを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、用紙搬送ローラ431に生じた振動と用紙供給ローラ321に生じた振動とを検知することができる。
【0051】
<第八の実施態様>
本態様に係る画像形成装置1は、コントローラ100(判定手段)による判定結果を表示する操作パネル140(表示手段)を備えたことを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、判定結果を操作パネル140によって表示することができる。
【0052】
<第九の実施態様>
本態様は、レーザ光Lを出射するレーザ照射ユニット421(光源)、レーザ光Lの照射によって潜像が形成される感光体ドラム428(潜像担持体)、レーザ光Lを走査するポリゴンミラー423(走査手段)、用紙搬送ローラ431や用紙供給ローラ321(装置内の振動検知箇所)に配置されてレーザ光Lを反射する反射部材52(反射手段)、反射部材52が反射した後のレーザ光Lを受光し、受光量に応じて変化する信号を出力する振動検知センサ53(受光手段)、及び信号に基づいて異常の有無を判定するコントローラ100(判定手段)を備えた画像形成装置1の異常判定方法であり、レーザ照射ユニット421から出射されたレーザ光Lを、ポリゴンミラー423によって感光体ドラム428上に潜像を形成するための第1走査範囲と装置内の振動を検知するための第2走査範囲とに渡って走査させる走査させるステップと、第2走査範囲内のレーザ光Lを反射部材52によって反射させた後に振動検知センサ53に受光させ、信号を出力させるステップと、信号に基づいて、コントローラ100に異常の有無を判定させるステップ(S13)と、を備えたことを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、装置内に異常が生じていれば振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形は正常時の振動波形と相違し、且つ異常の発生箇所に応じた固有の振動波形になる。このため、コントローラ100は、振動検知センサ53からの検知信号に基づく振動波形に基づいて異常の発生箇所を特定することができる。
【0053】
<第十の実施態様>
本態様は、第九の実施態様に記載された画像形成装置1の異常判定方法における各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0054】
1…画像形成装置、32…用紙供給路、321…用紙供給ローラ、42…レーザ光学系ユニット、421…レーザ照射ユニット、423…ポリゴンミラー、428…感光体ドラム、43…用紙搬送部、431…用紙搬送ローラ、51…ハーフミラー、52…反射部材、53…振動検知センサ、100…コントローラ、L…レーザ光、P…用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【文献】特開2013-257377公報
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