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特許7388456活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体及びレンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体及びレンズ
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20231121BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231121BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20231121BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20231121BHJP
   G02B 1/04 20060101ALN20231121BHJP
【FI】
B32B27/30 A
B32B7/023
C08G63/91
C08F290/06
G02B1/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021575842
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2021004015
(87)【国際公開番号】W WO2021157632
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2020018810
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】石丸 竜士
(72)【発明者】
【氏名】井口 優子
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚
(72)【発明者】
【氏名】男庭 一輝
(72)【発明者】
【氏名】西澤 茂年
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/105441(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/157590(WO,A1)
【文献】特開2013-204011(JP,A)
【文献】特開2011-074280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
C08F 290/00-290/14
G02B 1/00- 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層及び無機層を有する積層体の樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、(メタ)アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A)を含有するものであり、
前記多分岐型高分子化合物(A)が、デンドリマー構造を有する化合物、ハイパーブランチ構造を有する化合物、及びスター構造を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記多分岐型高分子化合物(A)の重量平均分子量は1000~10000の範囲であり、
前記多分岐型高分子化合物(A)の含有量が、樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全体を100質量部に対して、1~80質量部であり、
カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基及び一分子中にアルキレングリコール構造を有する化合物のいずれか1つ又は複数をさらに含有し、
前記のカーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基及び一分子中にアルキレングリコール構造を有する化合物の合計含有量が樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全体を100質量部に対して、30~95質量部である
樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項3】
アッベ数νDが53以上である請求項に記載の硬化物。
【請求項4】
波長589nmにおける屈折率nDが1.48以上である請求項2又は3に記載の硬化物。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項記載の硬化物からなる樹脂層と、無機層とを有することを特徴とする積層体。
【請求項6】
請求項記載の積層体からなることを特徴とするレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体及びレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物や、熱により硬化可能な熱硬化性樹脂組成物などの硬化性樹脂組成物は、インキ、塗料、コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において広く用いられている。なかでも、前記光学部材の分野において、スマートフォンや車載カメラに用いるレンズ用樹脂として好適に用いられている。前記レンズ用樹脂の成形方法として、レンズモジュールの薄型化と生産効率の向上に繋がることから、光インプリントを用いた製造プロセスの検討が盛んになされている。前記光インプリントは、未硬化樹脂をウエハー等の基材上に塗布した後、レンズ金型で挟み込むことで形状転写し、光硬化することにより数百個のウエハーレベルレンズ成形を一度に可能とする方法である
【0003】
前記光インプリントに用いられる樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物が知られているが(例えば、特許文献1参照。)、レンズ成形後、レンズ上層を反射防止膜で被覆して用いた場合、半田リフローなどの熱処理時にクラックが生じる等の問題があった。
【0004】
そこで、反射防止膜等の無機層成膜後の半田リフロー処理時に、無機層のクラック発生を抑制可能な優れた耐クラック性を有する樹脂層形成用材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2008/149766号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、樹脂層及び無機層を有する積層体において、無機層のクラック発生を抑制可能な優れた耐クラック性を有する樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物、積層体及び前記積層体からなるレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、樹脂層及び無機層を有する積層体の樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、(メタ)アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A)を含有するものであることを特徴とする樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物、積層体及び前記積層体からなるレンズに関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、樹脂層及び無機層を有する積層体において、無機層のクラック発生を抑制することができることから、光インプリントによるレンズ製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A)を含有することを特徴とする。
【0011】
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
【0012】
前記(メタ)アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A)としては、例えば、デンドリマー構造(樹枝状構造)を有する化合物(以下、「デンドリマー」と称することがある。)、ハイパーブランチ構造(超分岐構造)を有する化合物(以下、「ハイパーブランチ」または「ハイパーブランチポリマー」と称することがある。)、スター構造を有する化合物等が挙げられる。
【0013】
前記デンドリマー構造を有する化合物の市販品としては、例えば、大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#1000LT」、MIWON社製「Miramer SP1106」が挙げられる。これらのデンドリマー構造を有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0014】
前記ハイパーブランチ構造を有する化合物の市販品としては、例えば、Arkema社製「CN2302」、「CN2303」、「CN2304」、IGM社製「Photomer 5500」等が挙げられる。これらのハイパーブランチ構造を有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0015】
前記多分岐型高分子化合物(A)の1分子当たりの平均(メタ)アクリロイル基数は、無機層のクラック発生を抑制可能な優れた耐クラック性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、6~64個の範囲がより好ましく、10~32個の範囲が特に好ましい。
【0016】
前記多分岐型高分子化合物(A)の重量平均分子量(Mw)は、無機層のクラック発生を抑制可能な優れた耐クラック性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、500~30,000の範囲が好ましく、1,000~10,000の範囲がより好ましい。なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0017】
前記多分岐高分子化合物(A)の25℃での粘度は、10mPa・s~1,500mPa・sの範囲が好ましく、100mPa・s~1,000mPa・sの範囲がより好ましい。なお、本発明において、粘度は、E型粘度計にて測定した値を示す。
【0018】
前記多分岐型高分子化合物(A)の製造方法としては、特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。例えば、中心コア分子に世代ごとに分子を結合させて分岐を形成するダイバージェント法、予め合成した枝部分をコア分子に結合させるコンバージェント法、2以上の反応点Bを有する分岐部分と別の反応点Aを有するつなぎ部分とを1分子内に持つモノマーABxを用いて1段階で合成する方法等が挙げられる。なかでも、前記ダイバージェント法が好ましく、例えば、多価アルコールと、1つ以上のカルボキシル基及び2つ以上の水酸基を有する化合物とを、エステル化反応させることで多分岐ポリエステルポリオールを得、次いで、末端の水酸基と(メタ)アクリル酸とを反応させる方法にて製造することが好ましい。
【0019】
本発明の樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記多分岐型高分子化合物(A)の含有量は、樹脂層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全体を100質量部とした場合に1~80質量部であることが好ましく、耐クラック性が向上することから5~45質量部であることがより好ましく、10~35質量部であると更に耐クラック性が向上するため特に好ましい。
【0020】
前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、及びこれらのアルキレンオキサイド付加物もしくはカプロラクトン付加物等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0021】
前記1つ以上のカルボキシル基及び2つ以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、2,3-ジヒドロキシプロピオン酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、酒石酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、2,6-ジヒドロキシ-4-メチル安息香酸、3,5-ジヒドロキシ-4-メチル安息香酸、シトラジン酸、2,3-ジヒドロキシフェニル酢酸、2,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、2,5-ジヒドロキシフェニル酢酸、2,6-ジヒドロキシフェニル酢酸、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0022】
前記多分岐ポリエステルポリオールとしては、上述のとおり、多価アルコールと、1つ以上のカルボキシル基及び2つ以上の水酸基を有する化合物とを、エステル化反応させて得る以外に、市販品を用いることもできる。
【0023】
前記多分岐ポリエステルポリオールの市販品としては、例えば、パーストープ社製「BOLTORN H20」、「BOLTORN H30」、「BOLTORN H40」、「BOLTORN H311」、「BOLTORN H2003」、「BOLTORN H2004」、「BOLTORN P500」、「BOLTORN P501」、「BOLTORN P1000」等が挙げられる。
【0024】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、必要に応じて、光重合開始剤を含有することもできる。
【0025】
前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。
【0026】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0027】
前記光重合開始剤の含有量は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の溶剤以外の成分の合計中に0.05~10質量%の範囲であることが好ましく、0.1~5質量%の範囲であることがより好ましい。
【0028】
また、前記光重合開始剤は、光増感剤と併用することもできる。
【0029】
前記光増感剤としては、例えば、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等が挙げられる。
【0030】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、必要に応じて、カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基及び一分子中にアルキレングリコール構造を有する化合物を含有することもできる。
【0031】
前記カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ポリカーボネートポリオールと、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとを反応させたもの等が挙げられる。
【0032】
前記ポリカーボネートボリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有する化合物と炭酸エステルとの反応物等が挙げられる。
【0033】
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0034】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0035】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0036】
また、前記カーボネート構造を有する(メタ)アクリル化合物の市販品としては、例えば、宇部興産株式会社製「UH-100DA」、「UM-90(1/3)DA」、「UM-90(1/1)DA」、「UM-90(3/1)DA」、「UH-100DM」、「UM-90(1/3)DM」、「UM-90(1/1)DM」、「UM-90(3/1)DM」等が挙げられる。
【0037】
前記環状構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、モノシクロアルカン構造、ベンゼン環、トリシクロデカン構造、ジシクロペンテニル構造、イソボルニル構造、酸素原子をヘテロ原子とする複素環構造等を有する(メタ)アクリル化合物を用いることができる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0038】
前記モノシクロアルカン構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0039】
前記ベンゼン環を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0040】
前記トリシクロデカン(ジシクロペンタニル)構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレ-ト、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0041】
前記ジシクロペンテニル構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ-ト等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0042】
前記イソボルニル構造を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0043】
前記酸素原子をヘテロ原子とする複素環構造等を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、環状トリメチルロールプロパンホルマールアクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0044】
前記一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基及び一分子中にアルキレングリコール構造を有する化合物としては、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基及びアルキレングリコール構造を必須として有するものである。
【0045】
前記アルキレングリコール構造としては、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ヘプタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、3,6-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、2,8-ノナンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。これらのアルキレングリコール構造は、一分子中に1種のみで有することも、2種以上を有することもできる。
【0046】
また、前記一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基及び一分子中にアルキレングリコール構造を有する化合物の市販品としては、例えば、MIWON社製「Miramer M170」、「Miramer M202」、「Miramer M210」、「Miramer M216」、「Miramer M220」、「Miramer M222」、「Miramer M232」、「Miramer M280」、「Miramer M282」、「Miramer M284」、「Miramer M286」、「Miramer M2040」、「Miramer M231」、「Miramer M233」、「Miramer M235」、「Miramer M281」、「Miramer M283」、新中村化学工業株式会社製「NKエステル A-30G」、「NKエステル A-90G」、「NKエステル A-130G」、「NKエステル AM-30PG」、「NKエステル A-200」、「NKエステル A-400」、「NKエステル A-600」、「NKエステル APG-100」、「NKエステル APG-200」、「NKエステル APG-400」、「NKエステル APG-700」、「NKエステル A-PTMG-65」、「NKエステル M-20G」、「NKエステル M-30G」、「NKエステル M-40G」、「NKエステル M-90G」、「NKエステル M-130G」、「NKエステル M-30PG」、「NKエステル EH-4E」、「NKエステル B-20G」、「NKエステル S-12E」、「NKエステル 2G」、「NKエステル 3G」、「NKエステル 4G」、「NKエステル 9G」、「NKエステル 14G」、「NKエステル 3PG」、「NKエステル 9PG」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルBC」、「ライトエステル130MA」、「ライトエステルBC」、「ライトエステル2EG」、「ライトエステル3EG」、「ライトエステル4EG」、「ライトエステル9EG」、「ライトエステル14EG」、「ライトアクリレートEC-A」、「ライトアクリレートMTG-A」、「ライトアクリレートEHDG-AT」、「ライトアクリレート130A」、「ライトアクリレートDPM-A」、「ライトアクリレートP2H-A」、「ライトアクリレートP-200A」、「ライトアクリレート3EG-A」、「ライトアクリレート4EG-A」、「ライトアクリレート9EG-A」、「ライトアクリレート14EG-A」、「ライトアクリレートPTMGA-250」、日立化成株式会社製「ファンクリルFA-240A」、「ファンクリルFA-P240A」、「ファンクリルFA-P270A」、「ファンクリルFA-PTG9A」、「ファンクリルFA-400M(100)」、「ファンクリルFA-240M」、「ファンクリルFA-PTG9M」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティア ME-3」、「ニューフロンティア ME-4S」、「ニューフロンティア MPE-600」、「ニューフロンティア PE-200」、「ニューフロンティア PE-300」、「ニューフロンティア PE-400」、「ニューフロンティア PE-600」、「ニューフロンティア MPEM-400」、「ニューフロンティア TEGDMA」、日本化薬株式会社製「KAYARAD PEG400DA」、「KAYARAD PEG400DA」、大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#190」、「ビスコート#MTG」、「MPE400A」、「MPE550A」、「ビスコート#310HP」等が挙げられる。
【0047】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、必要に応じて、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート等を含有することもできる。
【0048】
本発明の硬化物は、例えば、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0049】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0050】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、100~10,000mJ/cmであることが好ましく、300~8,000mJ/cmであることがより好ましい。積算光量を上記範囲内とすることで、光量不足による硬化不良、及び光量過剰による硬化物の劣化を抑制できる。
【0051】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0052】
前記硬化物のアッベ数νDは、色収差を抑制できる観点から、53以上であることが好ましく、55~60の範囲であることがより好ましい。
【0053】
また、前記硬化物の波長589nmにおける屈折率nDは、1.48以上であることが好ましく、1.49~1.55の範囲がより好ましい。
【0054】
本発明の積層体は、前記硬化物からなる樹脂層と、無機層とを有するものである。また、必要に応じて、基材を有していてもよい。
【0055】
前記無機層としては、無機化合物からなる層をいい、一般に、反射防止、耐擦り傷性等の機能を有するものである。
【0056】
前記無機化合物としては、例えば、金属酸化物、複酸化物、金属窒化物、金属フッ化物、複フッ化物、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0057】
前記金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、イットリウム、インジウム、スズ、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、ハフニウム、タンタル、等が挙げられる。
【0058】
前記無機層を反射防止膜層として用いる場合、前記反射防止膜層は単層であってもよいが、低屈折率層と、高屈折率層とを有していてもよい。また、低屈折率層と高屈折率層は、それぞれ1層でも複数層であってもよい。なお、低屈折率層と高屈折率層の積層順序も特に限定されない。
【0059】
前記高屈折率層に用いる無機化合物としては、例えば、チタン酸ランタン(LaTiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0060】
前記低屈折率層に用いる無機化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)、二酸化ケイ素(SiO)、フッ化アルミニウム(AlF)、及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0061】
前記無機層は、前記樹脂層の表面に成膜することで得られるものである。前記無機層の成膜方法は、特に制限されず、適宜公知の成膜方法を用いることができるが、物理蒸着(PVD)または化学蒸着(CVD)により成膜することが好ましい。
【0062】
前記成膜方法は、成膜工程の一貫性及び簡素化の観点から、前記物理蒸着(PVD)を用いることがより好ましく、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法が挙げられる。
【0063】
前記真空蒸着としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、電子ビーム加熱方式等を用いることができる。
【0064】
前記スパッタリングは、DCスパッタでもRFスパッタでもよく、マグネトロンスパッタでもイオンビームスパッタでもよい。また、平行平板ターゲット方式でも対向ターゲット方式でもよい。また、真空チャンバー内に導入する気体としては、例えば、アルゴン、クリプトン、酸素、窒素、等が挙げられ、各々単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0065】
前記無機層の膜厚は、目的とする機能により適宜調整し得るが、反射防止機能を目的とする場合、10nm~5,000nmの範囲が好ましく、無機層の膜強度と生産性の観点から、100nm~2,000nmの範囲がより好ましく、250nm~1,000nmの範囲が特に好ましい。
【0066】
前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;セルロースアセテート(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン一酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂;ノルボルネン系樹脂(例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」)、変性ノルボルネン系樹脂(例えば、JSR株式会社製「アートン」)、環状オレフィン共重合体(例えば、三井化学株式会社製「アペル」)などの樹脂フィルム;シリコン、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、サファイア、アルミニウムナイトライド、リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム等の半導体ウエハー;石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸塩ガラス、光学ガラス(クラウンガラス、フリントガラス)等のガラスなどを用いることができる。
【0067】
前記フィルム基材に本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗工する方法としては、例えば、ダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、ディップコート、スピンナーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0068】
本発明のレンズは、前記積層体からなるものである。
【0069】
前記レンズの製造方法としては、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ウエハーやセンサー基板上に塗布し、金型等を用いて所望の形状となるように活性エネルギー線を照射することで前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させたのち、未硬化部分を有機溶剤で洗い流し、物理蒸着等によって無機層を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物表面に成膜させて得られた積層体を所望の形状に裁断する方法等が挙げられる。
【0070】
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【実施例
【0071】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0072】
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0073】
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0074】
(合成例1:アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)の製造)
パーシャルコンデンサー、温度計、攪拌棒を具備した反応釜にトリメチロールプロパン134質量部、ジメチロールプロピオン酸2,500質量部、パラトルエンスルホン酸15質量部を仕込み100℃下にて攪拌し、均一な液状混合溶融物とした。次いで、トルエン100質量部を注入後140℃に昇温し、トルエンを還流しつつ発生する水を共沸により系外に留去した。次いで、140℃で3時間反応を継続した後、系外へトルエンを留去し、多分岐ポリエステルポリオール(a)を得た。多分岐ポリエステルポリオール(a)の重量平均分子量は1,800であった。
【0075】
次いで、パーシャルコンデンサー、温度計、攪拌棒を具備した反応釜に、多分岐ポリエステルポリオール(a)100質量部とアクリル酸80質量部、メトキノン0.26質量部、パラトルエンスルホン酸1.70質量部、トルエン120質量部を仕込み、反応温度110℃でトルエンを還流しながら水を共沸により系外に除いた。次いで、110℃で5時間反応を継続した後、反応混合物を20質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和し、食塩水で3回洗浄した。最後に系外へトルエンを減圧蒸留して、アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)を得た。このアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)の重量平均分子量は2,600であった。
【0076】
(実施例1:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)5質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)85質量部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル DCP」)10質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を得た。
【0077】
(実施例2:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)5質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)80質量部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル DCP」)15質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(2)を得た。
【0078】
(実施例3:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(3)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)10質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)75質量部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル DCP」)15質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を得た。
【0079】
(実施例4:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(4)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)45質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)55質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(4)を得た。
【0080】
(実施例5:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(5)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)70質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)30質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(5)を得た。
【0081】
(実施例6:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(6)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)60質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)40質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(6)を得た。
【0082】
(実施例7:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(7)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)50質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)50質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(7)を得た。
【0083】
(実施例8:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(8)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)35質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)65質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(8)を得た。
【0084】
(実施例9:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(9)の調製)
200mL褐色ビンに合成例1で得たアクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A-1)35質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(9)を得た。
【0085】
(実施例10:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(10)の調製)
200mL褐色ビンにアクリロイル基を有するデンドリマー型高分子化合物(大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#1000LT」)35質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(10)を得た。
【0086】
(実施例11:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(11)の調製)
200mL褐色ビンにアクリロイル基を有するハイパーブランチ型高分子化合物(Arkema社製「CN2302」)35質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(11)を得た。
【0087】
(実施例12:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(12)の調製)
200mL褐色ビンにアクリロイル基を有するハイパーブランチ型高分子化合物(Arkema社製「CN2303」)35質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(12)を得た。
【0088】
(実施例13:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(13)の調製)
200mL褐色ビンにアクリロイル基を有するハイパーブランチ型高分子化合物(Arkema社製「CN2304」)35質量部、ポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性組成物(13)を得た。
【0089】
(比較例1:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)の調製)
200mL褐色ビンにポリカーボネートジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)81質量部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル DCP」)19質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」)1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)を得た。
【0090】
(比較例2:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R2)の調製)
200mL褐色ビンにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学株式会社製「A-DPH6A」)35質量部、(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」)1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R2)を得た。
【0091】
(比較例3:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R3)の調製)
200mL褐色ビンにポリペンタエリスリトールポリアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#802」)35質量部、(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」)1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R3)を得た。
【0092】
(比較例4:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R4)の調製)
200mL褐色ビンにポリペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル TPOA-30」)35質量部、(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」)45質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK エステル A-400」)20質量部、光重合開始剤(Runtech Chemical社製「Runtecure1104」)1質量部配合し、60℃で30分加温して均一に溶解し、脱泡することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R4)を得た。
【0093】
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。評価結果を表1および表2に記載する。
【0094】
[屈折率の測定方法]
実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を三角プリズム型(厚さ5mm、1辺の長さ10mm)に流し込み、アイグラフィックス株式会社製ベルトコンベアー式紫外線照射装置(120Wメタルハライドランプ)を使用して、3,000mJ/cmの紫外線を照射して三角プリズム形状の硬化物を作製した。得られた硬化物を株式会社島津製作所製カルニュー精密屈折計「KPR-3000」を使用して屈折率を測定した。なお、硬化物の屈折率(nD)に最も近い屈折率(nD)を有するマッチング液を適宜選択して用いた。
【0095】
[アッベ数の測定方法]
実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を三角プリズム型(厚さ5mm、1辺の長さ10mm)に流し込み、アイグラフィックス株式会社製ベルトコンベアー式紫外線照射装置(120Wメタルハライドランプ)を使用して、3,000mJ/cmの紫外線を照射して三角プリズム形状の硬化物を作製した。得られた硬化物を株式会社島津製作所製カルニュー精密屈折計「KPR-3000」を使用してアッベ数を測定した。なお、硬化物の屈折率(nD)に最も近い屈折率(nD)を有するマッチング液を適宜選択して用いた。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
(実施例14:積層体(1)の作製)
実施例1で得た活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)を、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM-5103」)により密着処理を施したガラス基板上にスポイトを用いて滴下し、金型で挟み込み、LED光照射装置(岩崎電気株式会社製「LHPUV365」)を用いて、照射強度50mW/cm、積算光量450mJ/cmで半硬化させ、金型を離形した。得られた半硬化物上の未硬化の樹脂組成物を、シクロペンタノンを溶剤として用いて洗い流したのち、同LED照射装置を用いて、照射強度50mW/cm、積算光量7550mJ/cmで完全に硬化させた。次いで、100℃に熱したオーブン内に硬化物を入れて、90分間のアニール処理を行い硬化物を得た。こうして得られた硬化物を、マグネトロンスパッタ装置(株式会社島津製作所製「HSR-522」)を用いて、ターゲット:SiO、導入ガス:Ar、ガス流量:15sccm、室温25℃、スパッタ時間:55minの条件でスパッタリングを行い、前記硬化物の表面上に、SiO膜を0.6μmの厚さで積層して積層体(1)を得た。
【0099】
(実施例15:積層体(2)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(2)を得た。
【0100】
(実施例16:積層体(3)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(3)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(3)を得た。
【0101】
(実施例17:積層体(4)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(4)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(4)を得た。
【0102】
(実施例18:積層体(5)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(5)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(5)を得た。
【0103】
(実施例19:積層体(6)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(6)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(6)を得た。
【0104】
(実施例20:積層体(7)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(7)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(7)を得た。
【0105】
(実施例21:積層体(8)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(8)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(8)を得た。
【0106】
(実施例22:積層体(9)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(9)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(9)を得た。
【0107】
(実施例23:積層体(10)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(10)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(10)を得た。
【0108】
(実施例24:積層体(11)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(11)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(11)を得た。
【0109】
(実施例25:積層体(12)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(12)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(11)を得た。
【0110】
(実施例26:積層体(13)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(13)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(13)を得た。
【0111】
(比較例5:積層体(R1)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(R1)を得た。
【0112】
(比較例6:積層体(R2)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R2)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(R2)を得た。
【0113】
(比較例7:積層体(R3)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R3)を用いた以外は、実施例11と同様にして積層体(R3)を得た。
【0114】
(比較例8:積層体(R4)の作製)
実施例14で用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)に代えて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R4)を用いた以外は、実施例14と同様にして積層体(R4)を得た。
【0115】
上記の実施例及び比較例で得られた積層体を用いて、下記の評価を行った。
【0116】
[耐クラック性の評価方法]
実施例11から20で得られた積層体(1)から(10)、及び比較例8から14で得られた積層体(R1)から(R7)を、175℃に加温したオーブンに入れ、5分間熱処理を行った後、積層体(無機層)の表面をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX900」)で観察し、下記の基準に従い評価した。
○:積層体表面にクラックが生じなかった。
△:積層体表面に1~3本クラックが生じた。
×:積層体表面に4本以上のクラックが生じた。
【0117】
実施例11から20で得られた積層体(1)から(10)、及び比較例8から14で得られた積層体(R1)から(R7)の評価結果を表3および表4に示す。
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】
表1及び3に示した実施例1から26は、(メタ)アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有する積層体は、前記樹脂層上に成膜した無機層のクラック発生を抑制し、優れた耐クラック性を有することが確認できた。
【0121】
一方、比較例1から8は、(メタ)アクリロイル基を有する多分岐型高分子化合物(A)を含有しない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有する積層体は、175℃で5分間の熱処理後、表面に4本以上のクラックが生じたことから、前記樹脂層上に成膜した無機層のクラック発生を抑制する耐クラック性は著しく不十分であることが確認できた。