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  • 特許-歯間清掃具 図1
  • 特許-歯間清掃具 図2
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  • 特許-歯間清掃具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】歯間清掃具
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/02 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A61C15/02 502
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019239155
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021106719
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智和
【審査官】五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-295710(JP,A)
【文献】特開2013-192866(JP,A)
【文献】特開2019-118516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と前記基部の一方の端部の側に配置された軸部とを有する本体と、
前記本体の硬度より低い硬度を有する弾性材料からなり、前記軸部の先端から前記基部に向かう所定長さを覆い、歯間への挿入が可能な外形を有する清掃部本体と、を備え、
前記清掃部本体は、前記軸部の前記所定長さの全周に密着した被覆部と、前記被覆部から外方に向けて突出した複数の毛を有するブラシ部とからなり、
前記被覆部は、前記先端から前記基部に向かって第1被覆部と第2被覆部とがこの順に配置されており、
前記第2被覆部は、前記先端から前記基部に向かう方向における拡径度合が前記第1被覆部の前記拡径度合よりも小さい歯間清掃具。
【請求項2】
前記本体の前記軸部のうち前記清掃部本体に覆われた部分は、前記基部から前記先端に向かって線形テーパを有する、請求項1に記載の歯間清掃具。
【請求項3】
前記本体の前記軸部のうち前記第2被覆部に覆われた部分、及び、前記第2被覆部の外周面は、前記軸部の軸芯に平行である、請求項1に記載の歯間清掃具。
【請求項4】
前記第2被覆部の肉厚は、前記先端から前記基部に向かう方向において次第に薄くなる、請求項1又は2に記載の歯間清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間を清掃する歯間清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、奥歯の歯間を清掃することに適した歯間清掃具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の歯間清掃具は、指で把持することが可能な持ち手としてのハンドル部(本願では「把持部」に相当)と、ハンドル部から延出した芯部(本願では「軸部」に相当)の先端側に位置する歯間清掃用の清掃部と、を備えている。清掃部を歯間に挿入して往復移動させることにより、歯間に挟まった異物(食べカス等)や歯に付着した異物(歯垢等)を取り除くことができる。
【0003】
特許文献1に記載の歯間清掃具の清掃部は、合成樹脂からなる芯部の先端側にエラストマー材料からなる清掃部本体を一体成形して構成されている。芯部のうち清掃部本体に覆われた部分は、基端側から先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。清掃部本体は、芯部に被覆された被覆部と、被覆部の長手方向に間隔をあけて外方へ突出して形成した複数の突起部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/065368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の歯間清掃具においては、清掃部本体の被覆部の肉厚(厚み)は先端側から基端側までほぼ一定である(特許文献1の図3参照)。一方、芯部は基端側から先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されているので、芯部と被覆部とを含めた清掃部の外径は先端側から基端側に向かうにつれて徐々に大きくなる。歯間に挿入できる清掃部の外径には限界があるため、特許文献1に記載の清掃部の構成では、歯間に挿入して往復移動可能な清掃部本体の長さを長くすることは困難である。清掃部本体の長さが短いと、歯間清掃具の清掃能力が不足するおそれがある。
【0006】
特許文献1に記載の歯間清掃具の構成で清掃部本体の長さを長くするためには、芯部の外径を小さくするか、被覆部全体の肉厚を薄くする必要があるが、芯部の外径を小さくすると歯間清掃具の清掃部として必要な強度を確保することが困難になり、被覆部全体の肉厚を薄くすると被覆部を含む清掃部本体の全体にエラストマーを充填することが困難になる。
【0007】
さらに、清掃部のうち外径の大きな箇所を歯間に挿入して往復移動させると、清掃部本体と歯との間の摩擦抵抗により、清掃部本体の一部がちぎれて破断するおそれがある。
【0008】
そこで、奥歯の歯間を清掃することに適した歯間清掃具において、清掃部の強度を確保しつつ、清掃部本体の長さを長くして清掃能力を高めた歯間清掃具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る歯間清掃具は、基部と前記基部の一方の端部の側に配置された軸部とを有する本体と、前記本体の硬度より低い硬度を有する弾性材料からなり、前記軸部の先端から前記基部に向かう所定長さを覆い、歯間への挿入が可能な外形を有する清掃部本体と、を備え、前記清掃部本体は、前記軸部の前記所定長さの全周に密着した被覆部と、前記被覆部から外方に向けて突出した複数の毛を有するブラシ部とからなり、前記被覆部は、前記先端から前記基部に向かって第1被覆部と第2被覆部とがこの順に配置されており、前記第2被覆部は、前記先端から前記基部に向かう方向における拡径度合が前記第1被覆部の前記拡径度合よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
本歯間清掃具では、第2被覆部の先端から基部に向かう方向における拡径度合が第1被覆部の拡径度合よりも小さいので、先端から基部に向かう方向における被覆部の外方への広がりが、第2被覆部では第1被覆部と比較して抑制される。その結果、清掃部本体(第2被覆部)を長くしても清掃部本体が極端に拡径されず、清掃部本体の全部を歯間に挿入して清掃することができる。これにより、歯間に挿入可能な清掃部本体のストローク量を大きく確保して、歯間清掃具の清掃能力を高めることができる。
【0011】
また、本歯間清掃具では、清掃部本体のストローク量を大きくするために軸部の外径を小さくする必要がないので、歯間清掃具の清掃部として必要な強度を維持することができる。また、被覆部全体の肉厚を薄くする必要がないので、被覆部を含む清掃部本体の全体にエラストマーを充填することができる。
【0012】
さらに、清掃部本体を長くしても清掃部本体が極端に拡径されないので、清掃部本体を歯間に挿入する際、清掃部本体と歯との間の摩擦抵抗を小さくすることが可能となり、清掃時に清掃部本体の一部がちぎれて破断するのを抑制することができる。このように、奥歯の歯間を清掃する歯間清掃具において、軸部と清掃部本体とからなる清掃部の強度を確保しつつ、清掃部本体の長さを長くして清掃能力を高めた歯間清掃具を提供することができた。
【0013】
他の構成として、前記本体の前記軸部のうち前記清掃部本体に覆われた部分は、前記基部から前記先端に向かって線形テーパを有すると好ましい。
【0014】
このようにすれば、軸部のうち清掃部本体に覆われた部分は、基部から先端に向かって線形テーパを有するので、被覆部を容易に所望の外形に形成することができると共に、被覆部を軸部に密着させることができる。
【0015】
他の構成として、前記本体の前記軸部のうち前記第2被覆部に覆われた部分、及び、前記第2被覆部の外周面は、前記軸部の軸芯に平行であると好ましい。
【0016】
このようにすれば、軸部のうち第2被覆部に覆われた部分と第2被覆部の外周面とが軸部の軸芯と平行であるため、第2被覆部の外径は先端から基部に向かう方向において外方へは広がらず、清掃部本体(第2被覆部)の長さをどれだけ長くしても、清掃部全体を容易に歯間に挿入して清掃することができる。また、清掃部を歯間に挿入するときの清掃部本体と歯との間の摩擦抵抗をさらに小さくすることが可能となるので、清掃時に清掃部本体の一部がちぎれて破断するのを大幅に抑制することができる。
【0017】
他の構成として、前記第2被覆部の肉厚は、前記先端から前記基部に向かう方向において次第に薄くなると好ましい。
【0018】
このようにすれば、弾性材料の材料コストを節約できるため、製造コストを低減することができる。また、軸部のうち清掃部本体に覆われた部分が線形テーパであっても、第2被覆部の外径がテーパに合わせて拡径されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る歯間清掃具を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る清掃部本体を示す部分拡大断面図である。
図3】第1実施形態の変形例に係る清掃部本体を示す部分拡大断面図である。
図4】別実施形態に係る歯間清掃具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る歯間清掃具の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る歯間清掃具Dは、把持部11及び延出部12を有する基部1と屈曲部2と軸部3とが一体成形された本体Aと、本体Aの硬度よりも低い硬度を有する弾性材料である軟質部材からなり、軸部3を覆う清掃部本体4を備えている。以下では、軸部3のうち清掃部本体4で覆われた部分と、清掃部本体4と、を清掃部Bと総称する。使用者は、把持部11を持ち、清掃部Bを奥歯等の歯間に挿入して往復移動させて歯間清掃具Dを使用する。以下、歯間清掃具Dのうち、基部1から屈曲部2にかけての屈曲外側(図1の紙面右側)を背側、屈曲内側(図1の紙面左側)を腹側として説明する。
【0022】
本体Aは、ポリプロピレン、ABS、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアセタール等の合成樹脂の1種又は2種以上の組み合わせで構成されている。本実施形態における本体Aは、ポリプロピレンで構成されている。また、本体Aを構成する合成樹脂には、剛性を高める強化剤が含まれることが好ましい。強化剤としては、ガラス繊維、ナノセルロース繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維状の強化剤、マイカ、ガラスフレーム等の板状の強化剤、タルク等の粉末状の強化剤、ワラストナイト等の針状の強化剤が挙げられる。強化剤の含有量としては、5重量%以上50重量%以下であり、好ましくは10重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは15重量%以上40重量%以下である。
【0023】
清掃部本体4の材料である軟質部材は、本体Aの硬度よりも低い硬度を有するエラストマーで構成されている。このエラストマーとして、スチレン系エラストマーが好ましく、シリコン、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等を用いても良い。
【0024】
本体Aにおいて、延出部12は、把持部11から第一方向Xaに延出した扁平棒状に構成されている。また、屈曲部2は、延出部12の把持部11とは反対側の端部から延出して、第一方向Xaから第一方向Xaと交差する(図1の実施形態では屈曲内角が120度)第二方向Xbに向けて屈曲した扁平形状で構成されている。なお、第一方向Xaと第二方向Xbとの交差角(屈曲内角)は、30度以上150度以下、好ましくは80度以上140度以下、さらに好ましくは100度以上130度以下で構成されているのが良い。
【0025】
本体Aの延出部12と屈曲部2のうち背側の約半分には、軟質部材で覆われた背面部5が形成されている。本体Aの延出部12と屈曲部2のうち腹側の約半分は、合成樹脂が露出している。
【0026】
本体Aにおいて、軸部3は、屈曲部2に対して延出部12とは反対側の端部から第二方向Xbに沿って次第に先細り形状となる円錐台棒状に形成されている(図2参照)。本実施形態において、軸部3の全体の外形は、屈曲部2との接続部位(以下、「基端」と称する場合もある)から先端に向かって一定割合で直径が小さくなる(縮径する)テーパ面(線形テーパの一例)31を有している。
【0027】
軟質部材からなる清掃部本体4は、軸部3の外周面全体を被覆すると共に歯間への挿入が可能な外形を有しており、軸部3と共に清掃部Bを構成している。本実施形態における清掃部本体4は、軸部3の長手方向(第二方向Xbに沿う方向)全体を覆って密着する被覆部41と、被覆部41から外方に突出した複数(多数)の毛を有するブラシ部42とを有している。被覆部41は、軸部3の直径よりも小さい肉厚(厚み)で構成されている。ブラシ部42は、被覆部41から離間するにつれて(軸部3の軸芯Xに対して径方向外側に向かうにつれて)先細り形状となる円錐状に形成されている。本実施形態に係る歯間清掃具Dにおいては、清掃部Bが歯間に挿入されたとき、ブラシ部42の毛が柔軟に変形すると共に、被覆部41やブラシ部42が歯に当接して、歯間に存在する異物(食べカス等)や歯に付着した異物(歯垢等)を取り除くことができる。延出部12と屈曲部2のうち背側の約半分に形成された背面部5は、清掃部本体4と一体的に形成されている。なお、清掃部本体4は、軸部3の長手方向で、軸部3の先端からの一部分を覆う構造であってもよい。
【0028】
次に、本実施形態に係る歯間清掃具Dの製造方法について説明する。歯間清掃具Dは、合成樹脂製の本体Aの軸部3に射出成形等の公知の方法により清掃部本体4等を成形する二色成形法により製造される。具体的には、まず本体Aを射出成形等の公知の方法により形成する。次に、形成された本体Aを二色成形用の金型に載置し、本体Aの軸部3の先端近傍に設けられたゲートから、溶融エラストマーを金型内に射出して充填する。充填された溶融エラストマーは固化して軟質部材となり、清掃部本体4と背面部5とが形成される。このようにして、歯間清掃具Dが製造される。
【0029】
次に、本実施形態に係る歯間清掃具Dの清掃部本体4の構造について詳述する。歯間清掃具Dの清掃部本体4は、上述したように、軸部3の全周且つ所定長さを覆って密着する被覆部41と、被覆部41から外方に突出した複数(多数)の毛を有するブラシ部42とを有している。図2に示すように、被覆部41は、第1被覆部411と、第2被覆部412と、第1被覆部411と第2被覆部412の境界部分である境界部413とを有する。清掃部本体4の構造の理解を容易にするために、図2では、軸部3のテーパ面31のテーパ角度θ、すなわち、軸部3の軸芯Xに対するテーパ面31の傾きを、実際の歯間清掃具Dよりも大きくして表している。なお、本実施形態において、被覆部41の「所定長さ」は10mm~30mmであり、好ましくは15mm~25mmであり、さらに好ましくは15~20mmである。
【0030】
図2に示すように、第1被覆部411は、軸部3のテーパ面31に沿って被覆されている。すなわち、第1被覆部411のテーパ角度は軸部3のテーパ面31のテーパ角度θと同じである。換言すると、第1被覆部411の肉厚は一定である。したがって、軸部3の先端から基端側に向かうにつれて、第1被覆部411の外径は大きくなる。
【0031】
第2被覆部412は、第1被覆部411の端部から境界部413を介して基端側に延出している。第2被覆部412は、軸部3のテーパ面31のテーパ角度θよりも小さい角度で被覆されている。本実施形態では、第2被覆部412の外周面は軸部3の軸芯Xに平行に形成されている。すなわち、軸部3の先端から基端側に向かう方向における第2被覆部412の拡径度合は、第1被覆部411の拡径度合よりも小さくなって拡径しておらず、第2被覆部412の肉厚は境界部413から基端側に向けて薄くなっていく。ここで、「拡径」とは、軸部3の先端から基端側に向かうにつれて、第1被覆部411、第2被覆部412の外径が大きくなっていくことである。また、「拡径度合」とは、軸部3の先端から基端側に向かう所定の長さの線分を仮定したときに、先端側の線分の端点における第1被覆部411(又は第2被覆部412)の外径に対して、基端側の線分の端点における第1被覆部411(又は第2被覆部412)の外径がどの程度拡径したかという「拡径の程度」のことである。この「拡径の程度」は、長さ(外径の絶対値の差)で表すこともできるし、比率(外径の絶対値の差の比率)で表すこともできる。
【0032】
このように、本実施形態に係る歯間清掃具Dにおいては、軸部3の先端から基端側に向かう方向における第2被覆部412の拡径度合が第1被覆部411の拡径度合よりも小さいので、軸部3の先端から基部1に向かう方向における被覆部41の外方への広がりが、第2被覆部412では第1被覆部411と比較して抑制される。その結果、清掃部本体4(第2被覆部412)を長くしても清掃部本体4が極端に拡径されず、清掃部本体4の全部を歯間に挿入して清掃することができる。これにより、歯間に挿入可能な清掃部本体4のストローク量を大きく確保して、歯間清掃具Dの清掃能力を高めることができる。特に、本実施形態に係る歯間清掃具Dにおいては、第2被覆部412の外周面が軸部3の軸芯Xと平行であるため、第2被覆部412の外径は先端から基端側に向かう方向において外方へは広がらず、清掃部本体4(第2被覆部412)の長さをどれだけ長くしても、清掃部Bの全体を容易に歯間に挿入して清掃することができる。これにより、清掃部本体4を歯間に挿入するときの清掃部本体4と歯との間の摩擦抵抗を小さくすることが可能となるので、清掃部本体4を長くしても、清掃時に清掃部本体4の一部がちぎれて破断するのを抑制することができる。
【0033】
本実施形態に係る歯間清掃具Dにおいては、清掃部本体4のストローク量を大きくするために軸部3の外径を小さくする必要がないので、歯間清掃具Dの清掃部Bとして必要な強度を維持することができる。また、被覆部41の肉厚を全体的に薄くする必要がないので、被覆部41を含む清掃部本体4の全体にエラストマーを充填することができる。
【0034】
本実施形態に係る歯間清掃具Dにおいては、境界部413から基端側に向かうにつれて第2被覆部412の肉厚が次第に薄くなるので、エラストマーの材料コストを低減することができる。また、第2被覆部412の外径がテーパ面31のテーパ角度θに合わせて拡径されることがない。そして、第1被覆部411と第2被覆部412は、線形テーパであるテーパ面31に形成されるので、清掃部本体4を軸部3に密着させて形成することができる。
【0035】
〔第1実施形態の変形例〕
次に、本発明の第1実施形態の変形例に係る歯間清掃具Dについて、図3を用いて説明する。本変形例は、軸部3と清掃部本体4の被覆部41の形状のみ第1実施形態と異なっており、他の構成は第1実施形態と同じである。
【0036】
本変形例に係る歯間清掃具Dの軸部3は、第1実施形態とは異なり、屈曲部2との接続部位から第二方向Xbに沿って(先端に向かって)軸芯Xに平行な外周面である平行面32を有する円柱形状の部位と、そこからさらに先端に向かって一定割合で直径が小さくなる(縮径する)テーパ面31が形成された先細りの円錐台棒状の部位とを有している。
【0037】
本変形例に係る歯間清掃具Dの清掃部本体4の被覆部41は全体に亘って均一な肉厚を有している。すなわち、軸部3のテーパ面31に形成された第1被覆部411の肉厚と、平行面32に形成された第2被覆部412の肉厚は同じ厚みであり、第2被覆部412の肉厚は境界部413から基端側に向かって同じである。換言すると、軸部3の平行面32、及び、第2被覆部412の外周面は、軸部3の軸芯Xに平行である。本変形例においても、清掃部本体4の構造の理解を容易にするために、図3では、軸部3のテーパ面31のテーパ角度θ、すなわち、軸部3の軸芯Xに対するテーパ面31の傾きを、実際の歯間清掃具Dよりも大きくして表している。なお、本変形例においても、被覆部41の「所定長さ」は10mm~30mmであり、好ましくは15mm~25mmであり、さらに好ましくは15~20mmである。
【0038】
このように、本変形例に係る歯間清掃具Dにおいては、軸部3の平行面32と第2被覆部412の外周面とが軸部3の軸芯Xに平行であるため、第2被覆部412は境界部413から基端側に向かっても外方へは広がらず、清掃部本体4(第2被覆部412)の長さをどれだけ長くしても、清掃部Bの全体を容易に歯間に挿入して清掃することができる。また、清掃部Bを歯間に挿入するときの清掃部本体4と歯との間の摩擦抵抗を小さくすることが可能となるので、清掃時に清掃部本体4の一部がちぎれて破断するのを抑制することができる。さらに、軸部3が円柱形状の部位を有するので、清掃部Bとして必要な強度を維持することができる。
【0039】
〔その他の実施形態〕
(a)第1実施形態及びその変形例に係る歯間清掃具Dにおいては、第2被覆部412の外径は軸部3の軸芯Xに平行であったが、第1被覆部411の拡径度合に比較して第2被覆部412の拡径度合が小さければ、第2被覆部412は境界部413から基端側に向かって拡径した形状を有していてもよい。清掃部本体4がこのような形状であっても、軸部3の先端から基端側に向かう方向で第1被覆部411と同じテーパ角度で拡径する第2被覆部412を有する形状と比較して、第2被覆部412における外方への広がりが抑制されるので、清掃部本体4を長くしても清掃部本体4の全部を歯間に挿入して清掃することができる。
【0040】
(b)第1実施形態に係る歯間清掃具Dにおいては、第2被覆部412で覆われている軸部3の外周面は、屈曲部2と軸部3との接続部位から境界部413に向かって一定割合で直径が小さくなる(縮径する)テーパ面31であった。また、第1実施形態の変形例に係る歯間清掃具Dにおいては、第2被覆部412で覆われている軸部3の外周面は、屈曲部2と軸部3との接続部位から境界部413に向かって軸部3の軸芯Xに平行な平行面32であった。しかし、軸部3の先端から基端側に向かう方向における第2被覆部412の拡径度合が第1被覆部411の拡径度合よりも小さくなる限りにおいて、第2被覆部412で覆われている軸部3の外周面が、屈曲部2と軸部3との接続部位から境界部413に向かって一定割合で直径が大きくなる(拡径する)テーパ面であってもよい。このような構成であれば、より弾性力に富んだ清掃部Bを有する歯間清掃具を提供することができる。
【0041】
(c)図4に示すように、歯間清掃具Dは、第1実施形態の屈曲部2を有しておらず、把持部11及び延出部12を有する基部1と軸部3とが一体成形された直線状の本体Aにより構成されていてもよい。本実施形態に係る歯間清掃具Dにおいては、軸部3の先端からの一部(所定長さの一例)にだけ清掃部本体4が形成されている。このときの軸部3と清掃部本体4の形状は、上述した第1実施形態、その変形例、その他の別実施形態(a)のいずれをも採ることができる。このように、軸部3と清掃部本体4の形状が上述したものであれば、本体Aの形状は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、奥歯の歯間を清掃する歯間清掃具に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 :基部
3 :軸部
4 :清掃部本体
5 :背面部
11 :把持部
12 :延出部
41 :被覆部
42 :ブラシ部
411 :第1被覆部
412 :第2被覆部
A :本体
D :歯間清掃具
図1
図2
図3
図4