(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20231121BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231121BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231121BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20231121BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231121BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20231121BHJP
H01M 50/249 20210101ALN20231121BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/519
H01M50/105
H01M50/124
H01M50/211
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/625
H01M10/6555
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2020507933
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2019012110
(87)【国際公開番号】W WO2019182117
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2018056556
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 宏和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-041292(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0010470(KR,A)
【文献】特開2015-170454(JP,A)
【文献】実公昭47-028609(JP,Y1)
【文献】特開2007-095599(JP,A)
【文献】特開2007-042453(JP,A)
【文献】特開2002-117828(JP,A)
【文献】特開2007-165328(JP,A)
【文献】特開2002-198016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
H01M 50/10
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/625
H01M 10/6555
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極端子および第2の電極端子を有する電池に電気的に接続されるブスバー
と、前記第1の電極端子と、前記第2の電極端子と、カバーフィルムと、を有し、
前記ブスバーは、第1の絶縁層、第1の導電層、第2の絶縁層、第2の導電層、および第3の絶縁層がこの順で積層された構造を有し、
前記第1の導電層の一部は、前記第1の電極端子と電気的に接続可能な第1の通電部として露出し、
前記第2の導電層の一部は、前記第2の電極端子と電気的に接続可能な第2の通電部として露出
し、
前記第1の絶縁層と前記第3の絶縁層のうち少なくとも一方は、樹脂で形成され、
前記第1の電極端子は、前記第1の通電部と電気的に接続され、
前記第2の電極端子は、前記第2の通電部と電気的に接続され、
前記カバーフィルムは、前記第1の通電部と前記第1の電極端子との接続箇所、および、前記第2の通電部と前記第2の電極端子との接続箇所を覆う、
接続構造。
【請求項2】
前記第1の絶縁層に、前記第1の通電部を露出させる第1の切欠きが形成され、
前記第1の絶縁層、前記第1の導電層、および前記第2の絶縁層に、前記第2の通電部を露出させる第2の切欠きが形成されている、請求項1記載の
接続構造。
【請求項3】
前記第1の絶縁層に、前記第1の通電部を露出させる第1の切欠きが形成され、
前記第3の絶縁層に、前記第2の通電部を露出させる第2の切欠きが形成されている、請求項1記載の
接続構造。
【請求項4】
複数の前記電池
をさらに備え、
前記第1の電極端子のうち少なくとも1つは、前記第1の通電部と電気的に接続され、
前記第2の電極端子のうち少なくとも1つは、前記第2の通電部と電気的に接続されている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の
接続構造。
【請求項5】
前記電池は、扁平形状である、請求項4記載の
接続構造。
【請求項6】
前記電池は、電池本体と、前記電池本体を収容する内部空間を有する収容体と、を備え、
前記収容体は、金属層と樹脂層とが積層された積層体から構成され、前記樹脂層が前記内部空間の側に向けられている、請求項4または5に記載の
接続構造。
【請求項7】
前記電池を外装する電池外装体をさらに備え、
前記電池外装体は、少なくとも一対の向かい合う外装板を備え、
前記外装板は、幅方向に間隔をおいて複数の当接部で互いに当接し、
前記当接部によって区画された複数の筒状部に、それぞれ前記電池が収容されている、請求項4~6のうちいずれか1項に記載の
接続構造。
【請求項8】
前記電池外装体を介して複数の
前記電池のうち2以上と接触する熱拡散シート、をさらに備え、
前記熱拡散シートは、前記電池外装体の被接触面における熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する、請求項7記載の
接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続構造に関する。
本願は、2018年3月23日に日本に出願された特願2018-056556号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
環境に対する意識が高まる中、電気エネルギーを貯蔵するための蓄電池として、リチウムイオン電池等の二次電池などが注目を集めている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車用の蓄電池などにおいては、大容量化のため、複数の単電池(リチウムイオン電池等)を接続して構成した組電池が用いられている。複数の単電池は、例えば、金属等から構成されるブスバーを介して、並列または直列に接続される。前記ブスバーは、前記単電池に対して容易に接続できることが要望されている。
【0005】
本発明の一態様は、組電池を構成する複数の単電池を容易に接続することができる接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、第1の電極端子および第2の電極端子を有する電池に電気的に接続されるブスバーである。前記ブスバーは、第1の絶縁層、第1の導電層、第2の絶縁層、第2の導電層、および第3の絶縁層がこの順で積層された構造を有する。前記第1の導電層の一部は、前記第1の電極端子と電気的に接続可能な第1の通電部として露出する。前記第2の導電層の一部は、前記第2の電極端子と電気的に接続可能な第2の通電部として露出する。
【0007】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様のブスバーにおいて、前記第1の絶縁層に、前記第1の通電部を露出させる第1の切欠きが形成されている。前記ブスバーは、前記第1の絶縁層、前記第1の導電層、および前記第2の絶縁層に、前記第2の通電部を露出させる第2の切欠きが形成されている。
【0008】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様のブスバーにおいて、前記第1の絶縁層に、前記第1の通電部を露出させる第1の切欠きが形成されている。前記ブスバーは、前記第3の絶縁層に、前記第2の通電部を露出させる第2の切欠きが形成されている。
【0009】
本発明の第4の態様は、前記第1から第3のうちいずれか1つの態様のブスバーと、複数の前記電池とを備える組電池である。前記第1の電極端子のうち少なくとも1つは、前記第1の通電部と電気的に接続されている。前記第2の電極端子のうち少なくとも1つは、前記第2の通電部と電気的に接続されている。
【0010】
本発明の第5の態様は次の構成を有する。前記第4の態様の組電池において、前記電池は、扁平形状である。
【0011】
本発明の第6の態様は次の構成を有する。前記第4または第5の態様の組電池において、前記電池は、電池本体と、前記電池本体を収容する内部空間を有する収容体とを備える。前記収容体は、金属層と樹脂層とが積層された積層体から構成されている。前記樹脂層は、前記内部空間の側に向けられている。
【0012】
本発明の第7の態様は、前記第4から第6のうちいずれか1つの態様の組電池において、前記電池を外装する電池外装体をさらに備える。前記電池外装体は、少なくとも一対の向かい合う外装板を備える。前記外装板は、幅方向に間隔をおいて複数の当接部で互いに当接する。前記当接部によって区画された複数の筒状部に、それぞれ前記電池が収容されている。
【0013】
本発明の第8の態様は、前記第7の態様の組電池において、前記電池外装体を介して前記複数の電池のうち2以上と接触する熱拡散シートをさらに備える。前記熱拡散シートは、前記電池外装体の被接触面における熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。
【0014】
本発明の第9の態様は、前記第4から第8のうちいずれか1つの態様の組電池と、前記組電池によって駆動する駆動機構と、を備えた電動装置である。
【0015】
本発明の他の態様は、第1の電極端子および第2の電極端子を有する電池に電気的に接続されるブスバーである。前記ブスバーは、第1の樹脂層、第1の導電層、第2の樹脂層、第2の導電層、および第3の樹脂層がこの順で積層された構造を有する。前記第1の樹脂層に、前記第1の導電層の一部であって前記第1の電極端子と電気的に接続可能な第1の通電部を露出させる第1の切欠きが形成されている。前記第1の樹脂層、前記第1の導電層、および前記第2の樹脂層に、前記第2の導電層の一部であって前記第2の電極端子と電気的に接続可能な第2の通電部を露出させる第2の切欠きが形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、組電池を構成する複数の単電池を容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態のブスバーを用いた組電池を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す組電池の組み立て後の斜視図である。
【
図3】
図1に示す組電池に使用される単電池の例を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示すブスバーおよび単電池の斜視図である。
【
図6】
図1に示すブスバーを用いた組電池の他の例の構成図である。
【
図7】
図6に示す組電池の一部を分解して示す模式図である。
【
図8】
図6に示す組電池の一部を展開して示す模式図である。
【
図10】
図1に示すブスバーを用いた組電池のさらに他の例の構成図である。
【
図11】単電池のリードとブスバーとの接続構造の例を示す分解斜視図である。
【
図13】一実施形態の電動装置を模式的に示す図である。
【
図14】
図2に示す組電池の変形例の斜視図である。
【
図15】第2実施形態のブスバーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、実施形態のブスバー3を用いた組電池10を示す分解斜視図である。
図2は、組み立て後の組電池10の斜視図である。
図3は、組電池10に使用される単電池1の例を示す斜視図である。
図1および
図2に示すように、組電池10は、複数の単電池1(電池)と、電池外装体2と、ブスバー3とを備える。
【0019】
組電池10は、1または複数の電池外装体2を備える。
図1に示す組電池10は、1つの電池外装体2を備える。電池外装体2は、向かい合う一対の外装板6,6を備えている。外装板6,6を、
図1における上から順に、第1外装板6Aおよび第2外装板6Bという。
【0020】
外装板6は、例えば、金属、非金属材料(例えば樹脂)などから構成される。外装板6を構成する金属は、例えば、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、アルミニウムなどでもよいし、これらのうち1以上を含む合金でもよい。外装板6を構成する非金属材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ナイロン(Ny)等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;フッ素樹脂;アクリル樹脂;ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0021】
外装板6は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。外装板6は、金属層と非金属層とを含む多層構造体であってもよい。外装板6は、平面視において矩形状、例えば長方形状に形成されている。
【0022】
図1および
図2において、X方向は外装板6の幅方向である。Y方向は外装板6(例えば基板部11)に沿う面内においてX方向と直交する延在方向である。Z方向はX方向およびY方向に直交する方向であり、外装板6の厚さ方向である。平面視とはZ方向から見ることをいう。
【0023】
向かい合う外装板6,6は、複数の当接部7において互いに当接している。当接部7は、例えばY方向に沿う一定幅の帯状に形成されている。複数の当接部7はX方向に間隔をおいて形成されている。外装板6の、X方向に隣り合う当接部7,7の間の部分を中間部8(非当接部)という。中間部8は、基板部11と、基板部11に対して傾斜した一対の側板部12,12とを有する。
【0024】
基板部11は、例えばXY平面に沿って形成されている。第1外装板6Aの基板部11の内面は、単電池1の一方の面に面的に当接する。第2外装板6Bの基板部11の内面は、単電池1の他方の面に面的に当接する。
【0025】
側板部12,12は、基板部11の両側縁からそれぞれ当接部7,7に向けて延出する。側板部12,12は、基板部11の両側縁から拡幅しつつ相手側の外装板6に近づくように傾斜して延出している。側板部12,12は平坦な形状であり、基板部11に対して角度θ1(0°<θ1<90°)(
図1参照)で傾斜している。
中間部8は、当接部7,7を通るXY平面に対して、相手側の外装板6から離れる方向(外方)に凸となる曲げ形状となっている。
【0026】
図2に示すように、向かい合う外装板6,6の中間部8,8は、中空の角筒状の筒状部14を形成する。筒状部14の内部空間は電池収容部15である。筒状部14は、当接部7,7によって区画されている。外装板6,6は、幅方向(X方向)に並ぶ2以上の筒状部14を有する。一対の向かい合う外装板が形成する筒状部の数は2以上が好ましく、例えば2~200とすることができる。
【0027】
図2に示す組電池10では、電池外装体2を構成する外装板6,6は、X方向に間隔をおいて4つの当接部7で互いに当接している。そのため、電池外装体2は3つの筒状部14を有する。外装板6,6は、いずれも3つの筒状部14にわたって連続して形成されている。
【0028】
図2に示す組電池10では、側板部12,12が傾斜しているため、筒状部14は、基板部11と側板部12とを備えた六角筒状となっている。一方の中間部が、基板部と、拡幅しつつ相手側の板体に近づくように傾斜した一対の側板部とを有し、他方の中間部が、基板部と、拡幅しつつ相手側の板体に近づくように傾斜した一対の側板部とを有するとき、これら基板部および側板部から構成される筒状部の形状は六角筒状である。筒状部が六角筒状であると、電池外装体の強度が向上するため好ましい。
【0029】
当接部7,7は、接着剤から構成された接着層9(
図1参照)によって互いに接着することもできる。当接部7,7を接着するための接着剤としては、例えばポリオレフィン系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ナイロン系接着剤、ポリエステル系接着剤などを挙げることができる。接着剤は絶縁材料であってもよい。
【0030】
図2に示す電池外装体2では、複数の筒状部14が外装板6の幅方向(X方向)に並んで配列されているため、複数の筒状部14が規則的に配列されたハニカム状構造体である。電池外装体2(一対の外装板6,6)の数は、1でもよいし、2以上(例えば2~20)であってもよい。電池外装体2が複数ある場合、複数の電池外装体2は、厚さ方向(Z方向)に重ねることができる。
【0031】
図3に示すように、単電池1は、例えばリチウムイオン電池である。単電池1は、電池本体50と、収容体51とを備える。収容体51は、トレイ状の容器本体52と、容器本体52の開口を閉止する蓋部53とを有する。収容体51は、電池本体50を収容する内部空間を有する。収容体51は、容器本体52と蓋部53とを重ね、周縁部54をヒートシールすることにより形成されている。符号55は、電池本体50の電極(正極)に接続された正極リード(第1の電極端子)である。符号56は、電池本体50の電極(負極)に接続された負極リード(第2の電極端子)である。正極リード55および負極リード56は収容体51の一端部から延出している。
【0032】
電池本体50は、例えば、正極板(図示略)と、正極板に接する正極活物質層(図示略)と、負極板(図示略)と、負極板に接する負極活物質層(図示略)と、正極活物質層と負極活物質層とを隔てるセパレータ(図示略)と、電解質(図示略)とを有する。正極板および負極板は、例えば金属から構成される。正極活物質層は、例えばリチウム系材料などの正極活物質を含む。負極活物質層は、例えばカーボン系材料などの負極活物質を含む。電池本体50は、扁平な形状であって、厚さが一定であることが好ましい。
【0033】
収容体51を構成する容器本体52および蓋部53は、例えば、金属層57と、金属層57に積層された樹脂層58とを備えた積層体で構成されていてもよい。金属層57は、アルミニウム、ステンレスなどの金属から構成される。樹脂層58は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂から構成される。収容体51は、樹脂層58を内部空間側に向けて構成されている。
図示はしないが、積層体は、金属層と、金属層の第1の面に積層された第1樹脂層と、前記金属層の第2の面(第1の面とは反対の面)に積層された第2樹脂層とを備えた構造(すなわち、樹脂層/金属層/樹脂層の構造)であってもよい。この構造は、積層体の加工性、耐久性の観点から好ましい。
【0034】
単電池1は扁平な形状であり、厚さ方向をZ方向に向けて電池外装体2の電池収容部15(
図2参照)に収容されている。単電池1が扁平な形状であるとは、単電池1の厚さ寸法(Z方向の寸法)が、幅方向(X方向)の寸法および延在方向(Y方向)の寸法より小さいことをいう。単電池1は扁平な形状であるため、組電池10を薄型化できる。
【0035】
図2に示すように、単電池1は、複数(
図2では3つ)の筒状部14にそれぞれ収容されている。単電池1は、筒状部14に収容されているため、電池外装体2に外装されている。単電池1は、筒状部14に、出し入れ自在に収容されることが好ましい。
【0036】
図4は、ブスバー3および単電池1の斜視図である。
図5は、ブスバー3の分解斜視図である。
図5に示すように、ブスバー3は、第1の樹脂層31、第1の導電層32、第2の樹脂層33、第2の導電層34、および第3の樹脂層35がこの順で積層された構造を有する。第1の樹脂層31(第1の絶縁層)、第1の導電層32、第2の樹脂層33(第2の絶縁層)、第2の導電層34、および第3の樹脂層35(第3の絶縁層)は、長さ方向をそろえて積層されている。
【0037】
ブスバー3は、3つの樹脂層31,33,35と、2つの導電層32,34とを備えたシート状の積層体である。ブスバーは、複数の樹脂層と、1または複数の導電層とが積層されて構成されている。ブスバーは、樹脂層と、導電層とを備えた積層体であって、最表面側に樹脂層が配置されている。樹脂層と、導電層とは、例えば交互に積層される。ブスバーは、シート状の積層体であるため、組電池を作製する際に、加工がしやすいという利点がある。
【0038】
第1の導電層32は、第1の樹脂層31の第1面31aに積層されている。第2の樹脂層33は、第1の導電層32の第1面32a(第1の樹脂層31側の面とは反対の面)に積層されている。第2の導電層34は、第2の樹脂層33の第1面33a(第1の導電層32側の面とは反対の面)に積層されている。第3の樹脂層35は、第2の導電層34の第1面34a(第2の樹脂層33側の面とは反対の面)に積層されている。
【0039】
図4に示すように、ブスバー3は、帯状に形成されている。
図4では、ブスバー3はX方向に延在している。ブスバー3の幅方向はY方向と一致する。ブスバー3はXY平面に平行とされている。樹脂層31,33,35および導電層32,34は、互いに同じ幅の帯状に形成することもできる。
【0040】
樹脂層31,33,35は、導電層32,34より幅を広くすることもできる。樹脂層31,33,35の幅を導電層32,34の幅より広くすることは、導電層32,34の間の短絡防止の観点からは好ましい。導電層の幅は、例えば3~50mmとすることができ、5~20mmとすることができる。導電層がある程度の幅(例えば3mm以上)を有することにより、集電をしやすくなるという利点がある。
【0041】
図4および
図5に示すブスバー3は、組電池を構成する複数の単電池を容易に接続することができる組電池用のブスバーであるが、組電池以外にも電子回路、電子装置、電動装置の部材として用いることができる。ブスバーを電子回路、電子装置、電動装置の部材として用いる場合、ブスバーは帯状で薄く、端子との接続がしやすいという効果がある。
【0042】
図5に示すように、第1の導電層32および第2の導電層34は、例えば金属から構成される。導電層32,34を構成する金属としては、例えば銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、鉄を挙げることができる。導電層32,34を構成する金属は、これらのうち2以上を含む合金であってもよい。導電層32,34は、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、鉄のうち1以上を含む金属箔である。導電層32,34は、基材金属層と、その表面に形成されたメッキ層とを有する構造であってもよい。基材金属層およびメッキ層は、例えば前述の金属から構成される。例えば、導電層32,34は、銅から構成される基材金属層とニッケルメッキ層とを備えた構造であってよい。導電層32,34の厚みは、特に限定はないが、例えば、20~500μm程度とすることができ、50~400μm程度とすることもできる。なお、第1の導電層32および第2の導電層34の構成材料としては、金属だけでなく炭素材料、導電性樹脂なども考えられるが、導電性の点で金属が好ましい。
【0043】
第1の樹脂層31、第2の樹脂層33および第3の樹脂層35は、例えば樹脂フィルムから構成される。樹脂層31,33,35を構成する樹脂としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、フッ素樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等がある。なかでも熱融着性のある樹脂フィルムであることが好ましく、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)が好ましい。
【0044】
樹脂層31,33,35は、絶縁性を有する絶縁層である。前記樹脂フィルムは、無延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸または二軸延伸されたフィルムであってもよい。樹脂層31,33,35の厚みは、特に限定はないが、例えば、10~500μm程度とすることができ、100~300μm程度とすることもできる。樹脂層31,33,35の素材、膜厚はそれぞれの層で相違があってもよい。各層の素材および厚さは個別に選択することもできる。
【0045】
図4および
図5に示すように、第1の樹脂層31には、1または複数の第1の切欠き36が形成されている。第1の切欠き36は、ブスバー3の厚さ方向(Z方向)から見て矩形状とすることができる。この実施形態では、第1の樹脂層31に、複数の第1の切欠き36が形成されている。複数の第1の切欠き36は、ブスバー3の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
【0046】
第1の切欠き36は矩形以外の形状、例えば半円状等とすることもできるが、リードとの接続の観点から矩形状とすることが好ましい。
図5に示すように、第1の切欠き36は、第1の樹脂層31の第1の側縁31bを含む位置に形成されている。第1の切欠き36は、第1の側縁31bを起点として第2の側縁31cに向かって凹状に形成されている。例えば、第1の切欠き36は、第1の側縁31bから第2の側縁31cに向かってY方向に延びる2つの対向縁36a,36aと、X方向に沿う奥縁36bとによって形成される矩形状の切欠きである。
図4に示すように、第1の切欠き36の幅(X方向の寸法)は、第1の通電部41に接続される第1のリード(例えば、正極リード55)の幅と同じ、またはこの幅より大きい。
【0047】
第1の樹脂層31に第1の切欠き36が形成されることによって、第1の導電層32の一部は露出している。この露出部分を第1の通電部41という。第1の通電部41は、第1の導電層32の第2面32b(第1面32aとは反対の面)の一部領域である。第1の通電部41には、単電池1のリード55,56のうち第1のリード(例えば、正極リード55)の先端部が接触する。第1の通電部41には、第1のリードの先端部が重ねられて面的に接触するのが好ましい。第1の通電部41に第1のリードが接触することによって、第1の導電層32と第1のリードとは電気的に接続される。
【0048】
図5に示すように、第1の樹脂層31、第1の導電層32、および第2の樹脂層33には、1または複数の第2の切欠き37が形成されている。第2の切欠き37は、第1の樹脂層31の切欠き31dと、第1の導電層32の切欠き32bと、第2の樹脂層33の切欠き33bとによって形成される。切欠き31d,32b,33bは、ブスバー3の厚さ方向(Z方向)から見て同じ形状であって、互いに重なる位置にある。第2の切欠き37は、切欠き31d,32b,33bの総称である。この実施形態では、第1の樹脂層31、第1の導電層32、および第2の樹脂層33に、複数の第2の切欠き37が形成されている。複数の第2の切欠き37は、ブスバー3の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
【0049】
第2の切欠き37は、ブスバー3の厚さ方向(Z方向)から見て矩形状とすることができる。第2の切欠き37は矩形以外の形状、例えば半円状等とすることもできるが、リードとの接続の観点から矩形状とすることが好ましい。第2の切欠き37は、樹脂層31,33および導電層32の第1の側縁を含む位置に形成されている。第2の切欠き37は、前記第1の側縁を起点として第2の側縁に向かって凹状に形成されている。例えば、第1の樹脂層31の切欠き31dは、第1の側縁31bから第2の側縁31cに向かってY方向に延びる2つの対向縁31d1,31d1と、X方向に沿う奥縁31d2とによって形成される矩形状の切欠きである。切欠き32bおよび切欠き33bは、切欠き31dと同様の矩形状である。第2の切欠き37の幅(X方向の寸法)は、第2の通電部42に接続される第2のリード(例えば、
図4に示す負極リード56)の幅と同じ、またはこの幅より大きい。
【0050】
樹脂層31,33および導電層32に第2の切欠き37が形成されることによって、第2の導電層34の一部は露出している。
図4に示すように、この露出部分を第2の通電部42という。第2の通電部42は、第2の導電層34の第2面34b(第1面34aとは反対の面)の一部領域である。第2の通電部42には、単電池1のリード55,56のうち第2のリード(例えば、負極リード56)の先端部が接触する。第2の通電部42には、第2のリードの先端部が重ねられて面的に接触するのが好ましい。第2の通電部42に第2のリードが接触することによって、第2の導電層34と第2のリードとは電気的に接続される。
【0051】
第1の切欠き36と第2の切欠き37とは、ブスバー3の長さ方向の位置が互いに異なる。
図1に示すように、ブスバー3には、1つの第1の切欠き36と1つの第2の切欠き37とを有する切欠き群40が複数形成されている。切欠き群40を構成する第1の切欠き36と第2の切欠き37とは、ブスバー3の長さ方向に間隔をおいて形成されている。第1の切欠き36と第2の切欠き37の並び順は、複数の切欠き群40について共通であることが好ましい。
図1では、3つの第1の切欠き36と3つの第2の切欠き37とがブスバー3の長さ方向に交互に形成されている。
【0052】
図2に示すように、ブスバー3は、外装板6,6の当接部7,7に挟み込まれることよって固定されることが好ましい。また、
図2に示すように、ブスバー3またはリード55,56を折り曲げずに平面状に配置をすることもできるが、ブスバー3またはリード55,56を折り曲げて、ブスバー3の少なくとも一部を外装板6に重ねることもできる。
【0053】
図1および
図2に示すように、複数の単電池1の第1のリード(例えば、正極リード55)は第1の導電層32に接続される。複数の単電池1の第2のリード(例えば、負極リード56)は第2の導電層34に接続される。そのため、複数の単電池1は、ブスバー3によって並列に接続される。
【0054】
図6は、ブスバー3を用いた組電池の他の例である組電池110の構成図である。
図7は、組電池110の一部(
図6にIで示す部分)を示す分解図である。
図8は、電池110の一部(
図7にIIで示す部分)を展開して示す模式図である。
図9は、組電池110の模式図である。なお、
図1および
図2に示す組電池10との共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
図6および
図7に示すように、組電池110は、複数の電池ユニット11(11A~11G)が積層されて構成されている。電池ユニット11は、複数の単電池1と、電池外装体2と、ブスバー3とを備える(
図1および
図2参照)。電池ユニット11は、
図1および
図2に示す組電池10とほぼ同じ構成である。
【0056】
図7および
図9に示すように、第1層(最上層)の電池ユニット11(電池ユニット11A)では、単電池1(単電池1A)の正極リード55は、ブスバー3(第1層ブスバー3A)の第1の導電層32に電気的に接続されている。単電池1(単電池1A)の負極リード56は、ブスバー3(第1層ブスバー3A)の第2の導電層34に電気的に接続されている。
第1層ブスバー3Aの第2の導電層34の一方の端部は、第2層ブスバー3Bの第2の導電層34の一方の端部と、接続部38(第1の接続部38A)を介して電気的に接続されている。
【0057】
第2層の電池ユニット11(電池ユニット11B)では、単電池1(単電池1B)の正極リード55は、ブスバー3(第2層ブスバー3B)の第2の導電層34に電気的に接続されている。単電池1(単電池1B)の負極リード56は、ブスバー3(第2層ブスバー3B)の第1の導電層32に電気的に接続されている。
第2層ブスバー3Bの第1の導電層32の他方の端部は、第3層ブスバー3Cの第1の導電層32の他方の端部と、接続部38(第2の接続部38B)を介して電気的に接続されている。
【0058】
第3層の電池ユニット11(電池ユニット11C)では、単電池1(単電池1C)の正極リード55は、ブスバー3(第3層ブスバー3C)の第1の導電層32に電気的に接続されている。単電池1(単電池1C)の負極リード56は、ブスバー3(第3層ブスバー3C)の第2の導電層34に電気的に接続されている。
第3層ブスバー3Cの第2の導電層34の一方の端部は、第4層ブスバー3Dの第2の導電層34の一方の端部と、接続部38(第3の接続部38C)を介して電気的に接続されている。
【0059】
第4層の電池ユニット11(電池ユニット11D)では、単電池1(単電池1D)の正極リード55は、ブスバー3(第4層ブスバー3D)の第2の導電層34に電気的に接続されている。単電池1(単電池1D)の負極リード56は、ブスバー3(第4層ブスバー3D)の第1の導電層32に電気的に接続されている。
【0060】
図8に示すように、組電池110は、積層された複数の電池ユニット11を展開することもできる。
【0061】
組電池110は、並列配置された複数の単電池1を備えた電池ユニット11を複数用意し、これら複数の電池ユニット11を直列に配置した構造とすることができる。例えば、組電池110では、
図6および
図9に示すように、電池ユニット11を構成する3つの単電池1(電池群)はブスバー3によって並列に接続される。7つの電池ユニット11は、直列に接続されている。
【0062】
図1および
図2に示す組電池10では、複数の単電池1はブスバー3によって並列に接続される。
図6および
図9に示す組電池110では、複数の単電池1はブスバー3によって並列および直列に接続される。このように、ブスバー3は複数の接続形態に対応できる。また、ブスバー3は、構造が簡略であるため複数の単電池1を接続する作業が容易となる。ブスバー3は、単電池1のリード55,56を同じ面側(
図1において上面側)から接続できるため、組み立てが容易である。
【0063】
図10は、ブスバー3を用いた組電池のさらに他の例である組電池210の構成図である。なお、既出の組電池との共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、組電池210は、複数の電池ユニット11と、熱拡散シート12とを備える。熱拡散シート12は、厚さ方向(Z方向)に隣り合う電池ユニット11,11の間に設けられる。熱拡散シート12は、例えば、グラファイトなどの炭素系材料を含む。熱拡散シート12は、グラファイトシートであることが好ましい。グラファイトシートの厚さは、例えば単層当たり10~1000μmが好ましい。
【0064】
グラファイトシートの特性としては、例えば、平面方向の熱伝導率が100~3000W/(m・K)、厚さ方向の熱伝導率が1~30W/(m・K)等が挙げられる。熱伝導率の測定法としては、例えばASTM D5470、ASTM E1530、JIS R2616、ASTM D5930、JIS R1611などがある。
【0065】
熱拡散シート12は、外装板6(詳しくは基板部11)における熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。そのため、熱拡散シート12は、単電池1で発生した熱を面内方向に拡散させることができる。よって、通電時の単電池1の温度上昇を抑制し、複数の単電池1の間の温度差を小さくできる。
【0066】
図11は、単電池1のリード55,56とブスバー3との接続構造の例を示す分解斜視図である。
図12は、前記接続構造を分解して示す平面図である。
図11および
図12に示すように、この接続構造は、ブスバー3と、一対の接着性樹脂フィルム21(接着性樹脂層)と、リード55,56と、リード封止層22と、カバーフィルム23と、を備える。
【0067】
接着性樹脂フィルム21は、ブスバー3の上面に貼り付けられる。接着性樹脂フィルム21は、ポリオレフィン系(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、ポリウレタン系、ポリエーテル系などの接着性樹脂で構成される。接着性樹脂フィルム21は、例えば、矩形枠状に形成されている。符号24は接着性樹脂フィルム21の開口である。開口24は、例えば矩形状である。接着性樹脂フィルム21は、平面視においてリード55,56と通電部41,42との接続箇所の少なくとも一部を囲む。
図11および
図12に示す2つの接着性樹脂フィルム21,21は、それぞれリード55,56の先端部分55a,56aを囲んで設けられている。接着性樹脂フィルム21の外形は、平面視において通電部41,42よりやや大きい矩形状が好ましい。接着性樹脂フィルム21の大部分の領域は通電部41,42に重ねられる。接着性樹脂フィルム21は、ブスバー3の上面に熱融着等により固定されるのが好ましい。
【0068】
図12に示すように、リード55,56は、通電部41,42および接着性樹脂フィルム21の上面に重ねて設置される。平面視において、リード55,56の先端部分55a,56aは開口24内に位置し、第1の通電部41に接触する。リード55,56の延出部分55b,56b(収容体51から延出した部分)の基端部分55c,56cは、接着性樹脂フィルム21の上面に当接する。
【0069】
図11および
図12に示すように、リード封止層22は、例えば、長さ方向がX方向に沿う長方形状に形成されている。
図12に示すように、リード封止層22は、リード55,56の基端部分55c,56c、および、接着性樹脂フィルム21の部分領域21a(基端部分55c,56cに対して両側方に隣接する接着性樹脂フィルム21の部分)を覆う。リード55,56の基端部分55c,56cは、延出部分55b,56bの基端55b1,56b1を含む一定の長さ範囲の部分である。リード封止層22は、例えば、ポリオレフィン系(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル系などの樹脂で構成される。
【0070】
カバーフィルム23は、例えば、ポリオレフィン系(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、ポリウレタン系、ポリエーテル系などの接着性樹脂で構成される。カバーフィルム23は、例えば、長さ方向がX方向に沿う長方形状であって、2つの通電部41,42を一括して覆うことができる長さを有する。カバーフィルム23は、リード55,56の延出部分55b,56b、通電部41,42、接着性樹脂フィルム21、および、リード封止層22の前部分22aを覆う。前部分22aは、リード封止層22のうちリード先端方向側の側縁22bを含む部分であって、リード封止層22の長さ方向に沿う帯状部分である。前部分22aは接着性樹脂フィルム21に重なっている。カバーフィルム23は、延出部分55b,56b、通電部41,42、接着性樹脂フィルム21、および前部分22aに、熱融着、接着等により接合されるのが好ましい。カバーフィルム23は、例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)などの樹脂で構成される。
【0071】
前記接続構造は、次に示す効果を奏する。
図4および
図5に示すように、ブスバー3の第1の導電層32および第2の導電層34には、接続されるリード55,56の材料と同じ材料が用いられるとは限らない。異種金属の接続箇所は、水に触れると腐食が生じやすいことが知られている。
図11および
図12に示すように、前記接続構造では、リード55,56の延出部分55b,56b、通電部41,42、接着性樹脂フィルム21、および、リード封止層22の前部分22aを覆うカバーフィルム23が設けられるため、リード55,56と通電部41,42との接続箇所に水または外気が浸入するのを防ぐことができる。よって、リード55,56と導電層32,34とが異なる金属材料で構成されている場合でも、前記接続箇所における腐食の発生を防ぐことができる。
【0072】
前記接続構造は、リード55,56と通電部41,42との接続箇所の少なくとも一部を囲む接着性樹脂フィルム21が設けられているため、前記接続箇所を囲むカバーフィルム23を接着性樹脂フィルム21により確実に通電部41,42に接着できる。そのため、リード55,56と通電部41,42との接続箇所に水または外気が浸入するのを防ぐことができる。よって、前記接続箇所における腐食の発生を防ぐことができる。
【0073】
リード55,56の基端部分55c,56cはリード封止層22によって覆われている。リード封止層22の前部分22aはカバーフィルム23によって覆われている。そのため、リード55,56の延出部分55b,56bはほぼ全面がカバーフィルム23およびリード封止層22によって覆われる。よって、リード55,56が水または外気に触れるのを防ぎ、リード55,56の腐食を防ぐことができる。
【0074】
なお、
図11および
図12に示すカバーフィルム23は、2つの通電部41,42を一括して覆うように形成されているが、カバーフィルムは、2つの通電部41,42を個別に覆う構成であってもよい。接着性樹脂フィルムは、リードと通電部との接続箇所の少なくとも一部を囲むことができる形状であればよく、例えば円環状等であってもよい。
【0075】
図13は、組電池10を用いた電動装置の例を模式的に示す図である。
電動装置400は、駆動機構401によって移動可能な車両である。電動装置400は、車体402と、車輪403とを備える。駆動機構401は、組電池10からの給電によって稼働するモータ等であり、車輪403を駆動させる。車体402は、駆動機構401および組電池10を搭載する。
電動装置としては、電動バイク、電動自転車、ロボット、電動車いす、農業機械、エスカレータ、洗濯機、冷蔵庫などでもよい。
【0076】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
図2に示す組電池では、外装板6,6は、いずれも複数の筒状部14にわたって幅方向に連続して形成されているが、外装板は、向かい合う外装板のうちいずれか一方のみが複数の筒状部にわたって幅方向に連続して形成され、他方の外装板は筒状部ごとにそれぞれ独立した構成であってもよい。
【0077】
電池外装体の筒状部の形状は、六角筒状に限定されない。例えば、電池外装体を構成する第1の外装板が基板部と一対の側板部を有し、かつ、第2の外装板が傾斜や凹凸がなく平面板状であると、筒状部は四角筒状となる。第1の外装板の一対の側板部が、拡幅しつつ第2の外装板に近づくように傾斜していると、筒状部は台形筒状となる。この電池外装体では、ブスバーは第2の外装板に接して配置することができる。この電池外装体は、第2の外装板が平面板状であるため、外装板の加工の容易さの観点で好ましい。
【0078】
図14は、組電池10の変形例である組電池10Aの斜視図である。電池外装体102を構成する一対の外装板106,106のうち第1外装板106Aは、
図1に示す第1外装板6Aと同様に、基板部11と、基板部11に対して傾斜した側板部12,12とを有する。第2外装板106Bは、平面板状に形成されている。ブスバー3は、第2外装板106Bに重ねられる。電池外装体102の筒状部114は台形筒状となっている。
【0079】
図5に示すブスバー3では、第2の通電部42を露出させる第2の切欠き37は、樹脂層31,33および導電層32に形成されているが、実施形態のブスバーはこの構造に限定されない。
図15は、第2実施形態のブスバー103の分解斜視図である。ブスバー103は、第2の切欠き37に代えて第2の切欠き137が形成されている点で、
図5に示すブスバー3と異なる。第2の切欠き137は、第3の樹脂層35に形成されている。この実施形態では、第3の樹脂層35に、複数の第2の切欠き137が形成されている。複数の第2の切欠き137は、ブスバー103の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
第2の切欠き137は、ブスバー103の厚さ方向(Z方向)から見て矩形状とすることができる。第2の切欠き137は、第3の樹脂層35の第1の側縁(第1の樹脂層31の第1の側縁31bと重なる側縁)を起点として第2の側縁に向かって凹状に形成されている。第2の切欠き137は、第2の導電層34の一部である第2の通電部142を露出させる。第2の通電部142は、第2の導電層34の第1面34aの一部領域である。
ブスバー103は、第2の切欠き137の構造が簡略であるため、製造が容易であるという利点がある。
【0080】
図5に示すブスバー3では、第1の切欠き36が第1の樹脂層31に形成され、第2の切欠き37が樹脂層31,32および樹脂層33に形成されているが、実施形態のブスバーはこの構造に限定されない。例えば、第1の切欠きは第2の樹脂層33、第2の導電層34および第3の樹脂層35に形成されていてもよい。この場合、第1の切欠きによって露出する第1の通電部は、第1の導電層32の第1面32aの一部である。第2の切欠きは、第3の樹脂層35に形成されていてもよい。この場合、第2の切欠きによって露出する第2の通電部は、第2の導電層34の第1面34aの一部である。
【0081】
実施形態のブスバーは、第1および第2の導電層(第1実施形態では導電層32,34)と、主絶縁層(第1実施形態では樹脂層33)と、2つの被覆絶縁層(第1実施形態では樹脂層31,35)とを基本構成とする。主絶縁層は、第1および第2の導電層を隔てる。主絶縁層は、第1の導電層の内面と第2の導電層の内面とに挟まれている。被覆絶縁層は、第1および第2の導電層の外面(主絶縁層側の面とは反対の面)をそれぞれ覆う。
【0082】
第1の通電部は、第1の導電層の内面の一部でもよいし、外面の一部でもよい。第1の通電部が第1の導電層の内面の一部である場合、第1の切欠きは、主絶縁層と、第2の導電層と、第2の導電層を覆う被覆絶縁層とに形成される。第1の通電部が第1の導電層の外面の一部である場合、第1の切欠きは、第1の導電層を覆う被覆絶縁層に形成される。
第2の通電部は、第2の導電層の内面の一部でもよいし、外面の一部でもよい。第2の通電部が第2の導電層の内面の一部である場合、第2の切欠きは、主絶縁層と、第2の導電層と、第2の導電層を覆う被覆絶縁層とに形成される。第2の通電部が第2の導電層の外面の一部である場合、第2の切欠きは、第2の導電層を覆う被覆絶縁層に形成される。
【0083】
図5に示すブスバー3では、第1の切欠き36が第1の樹脂層31に形成され、第2の切欠き37が樹脂層31,32および樹脂層33に形成されているが、実施形態のブスバーはこの構造に限定されない。例えば、主絶縁層(第1実施形態では第2の樹脂層33)は、単層構造に限らず多層構造であってもよい。導電層(第1の導電層32および第2の導電層34)、および被覆絶縁層(第1の樹脂層31および第3の樹脂層35)も、それぞれ多層構造であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1B,1C,1D 単電池(電池)
2,102 電池外装体
3,3A,3B,3C,3D ブスバー
6,6A,6B,106A,106B 外装板
7 当接部
10,10A,110,210 組電池
14,114 筒状部
31 第1の樹脂層(第1の絶縁層)
32 第1の導電層
33 第2の樹脂層(第2の絶縁層)
34 第2の導電層
35 第3の樹脂層(第3の絶縁層)
36 第1の切欠き
37,137 第2の切欠き
41 第1の通電部
42,142 第2の通電部
55 正極リード(第1の電極端子)
56 負極リード(第2の電極端子)
400 電動装置
401 駆動機構