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特許7389140情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 15/20 20110101AFI20231121BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20231121BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20231121BHJP
【FI】
G06T15/20 500
G06T19/00 A
H04N23/60 500
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021566898
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2020042159
(87)【国際公開番号】W WO2021131375
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2019237490
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入江 史憲
(72)【発明者】
【氏名】青木 貴嗣
(72)【発明者】
【氏名】田村 一紀
(72)【発明者】
【氏名】宮田 真彦
(72)【発明者】
【氏名】村上 泰規
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206025(JP,A)
【文献】特開2006-166255(JP,A)
【文献】特開2019-020845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00-19/00
H04N 23/60
H04N 5/66
H04N 7/18
H04N 13/00
H04N 17/00
H04N 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
前記プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を備え、
前記プロセッサは、
少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得し、
複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、前記視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報として、前記品質が閾値以上である時間帯と前記閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示する
情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記仮想視点映像を編集することにより作成される動画ファイルの再生速度が高いほど前記閾値を下げる
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記品質情報を、前記複数の撮像装置による撮像期間と対応させて提示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記視点情報には、前記仮想視点の位置、視線方向、及び画角が含まれており、
前記品質は、前記視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体のオクルージョン領域の割合に関する値であり、
前記プロセッサは、前記オクルージョン領域の割合が小さいほど前記品質が高いと判定する
請求項1又は請求項2に情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記オクルージョン領域の割合に応じて提示態様を変更する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提示態様は、前記プロセッサがディスプレイを制御することにより行われる表示態様である
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記視点情報には、前記仮想視点の位置、視線方向、及び画角が含まれており、
前記品質は、前記視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体の画素数又は合焦度に関する値であり、
前記プロセッサは、前記画素数が多いほど、又は前記合焦度が高いほど前記品質が高いと判定する
請求項1又は請求項2に情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記品質情報として、前記品質が閾値以上である時間帯及び前記閾値未満である時間帯を区別して提示する
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記閾値を複数有しており、
前記閾値ごとに、前記品質が閾値以上である時間帯と前記閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示する
請求項から請求項のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記視点情報には、複数の仮想視点が含まれており、
前記プロセッサは、前記仮想視点ごとに前記品質情報を提示する
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記視点情報には、1つの仮想視点の時間的な移動を表す軌跡が含まれており、
前記品質情報は、前記軌跡を構成する各仮想視点の位置から作成可能な仮想視点映像の品質を表す情報である
請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
受付デバイスにより指定された少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得する
請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記複数の動画データのうちの少なくとも1つの動画データに基づいて設定された少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得する
請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
プロセッサと、
前記プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を備え、
前記プロセッサは、
少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得し、
複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、前記視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報として、前記品質が閾値以上である時間帯と前記閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示する
情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記閾値を複数有しており、
前記閾値ごとに、前記品質が閾値以上である時間帯と前記閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示する
情報処理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記品質情報を、前記複数の撮像装置による撮像期間と対応させて提示する
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記視点情報には、前記仮想視点の位置、視線方向、及び画角が含まれており、
前記品質は、前記視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体のオクルージョン領域の割合に関する値であり、
前記プロセッサは、前記オクルージョン領域の割合が小さいほど前記品質が高いと判定する
請求項13又は請求項14に情報処理装置。
【請求項16】
少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得すること
複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、前記視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報として、前記品質が閾値以上である時間帯と前記閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示すること、及び、
前記仮想視点映像を編集することにより作成される動画ファイルの再生速度が高いほど前記閾値を下げることを含む
情報処理方法。
【請求項17】
少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得すること
複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、前記視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報として、前記品質が閾値以上である時間帯と前記閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示すること、及び、
前記仮想視点映像を編集することにより作成される動画ファイルの再生速度が高いほど前記閾値を下げることを含む
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-47432号公報には、情報処理装置が開示されている。特開2019-47432号公報に記載の情報処理装置は、コンテンツを生成するために用いられる素材データに対応付けられた時刻に関する情報を取得し、コンテンツを生成するために用いられる素材データが存在する有効時間範囲を、取得された情報に基づいて特定し、特定された有効時間範囲を示す情報を出力する。
【0003】
特開2019-102907号公報には、設定装置が開示されている。設定装置は、仮想視点の位置及び向きに関する第1パラメータの設定に関するユーザ操作を受け付け、第1パラメータに基づいて、仮想視点に関する第2パラメータの設定可能範囲を決定し、第1パラメータと、設定可能範囲の第2パラメータとを仮想視点に関するパラメータとして設定する。
【0004】
特開2019-16862号公報には、撮影対象領域におけるイベントの種類を受け付ける受付手段と、撮影対象領域に対して定められた、仮想視点画像の生成に係る制限内容と、撮影対象のイベントの種類に対して定められた、仮想視点画像の生成に係る制限内容と、を参照し、仮想視点画像の生成を制限する制限手段と、を有する情報処理装置が開示されている。
【0005】
国際公開第2018/066381号には、再生装置が開示されている。再生処理部は、複数種類の動画像コンテンツを、それぞれの動画像コンテンツが対応している再生モードで再生する処理を行う。ユーザインタフェース表示処理部は、再生中の動画像コンテンツの種類又は再生モードの少なくとも一方を表すユーザインタフェースを表示する処理を行う。本技術は、例えば、2D動画像コンテンツ、全天球動画像コンテンツ、及び自由視点動画像コンテンツを再生可能な再生装置に適用できる。
【0006】
特開2019-118040号公報には、医療動画処理システムが開示されている。医療動画処理システムは、施術に関する複数の動画ファイルを複数の入力系統に分けて入力するエンコーダと、複数の動画ファイルを共通のタイムコードに対応付けて記憶するサーバ装置と、複数の動画ファイル及び動画ファイルに関する情報を表示する視聴端末装置と、を備え、視聴端末装置は、複数の動画ファイルに係る複数のタイムラインを入力系統ごとに分けて表示し、表示されているタイムラインに対応する複数の動画ファイルに含まれる画像のうち、当該タイムラインに含まれる或る時点のタイムコードに対応付いている複数の画像の少なくとも一部を同期表示し、ユーザの操作入力を受け付けて同期表示領域に同期表示されている動画ファイルに関する編集処理を実行する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、仮想視点映像の編集を支援することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の技術に係る第1の態様は、プロセッサと、プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を備え、プロセッサが、少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得し、複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報を提示する情報処理装置である。
【0009】
本開示の技術に係る第2の態様は、プロセッサが、品質情報を、複数の撮像装置による撮像期間と対応させて提示する第1の態様に係る情報処理装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第3の態様は、視点情報には、仮想視点の位置、視線方向、及び画角が含まれており、品質が、視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体のオクルージョン領域の割合に関する値であり、プロセッサは、オクルージョン領域の割合が小さいほど品質が高いと判定する第1の態様又は第2の態様に係る情報処理装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第4の態様は、プロセッサが、オクルージョン領域の割合に応じて提示態様を変更する第3の態様に係る情報処理装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第5の態様は、提示態様が、プロセッサがディスプレイを制御することにより行われる表示態様である第4の態様に係る情報処理装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第6の態様は、視点情報には、仮想視点の位置、視線方向、及び画角が含まれており、品質が、視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体の画素数又は合焦度に関する値であり、プロセッサは、画素数が多いほど、又は合焦度が高いほど品質が高いと判定する第1の態様又は第2の態様に係る情報処理装置である。
【0014】
本開示の技術に係る第7の態様は、プロセッサが、品質情報として、品質が閾値以上である時間帯と閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示する第1の態様から第6の態様のうちいずれか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0015】
本開示の技術に係る第8の態様は、プロセッサが、品質情報として、品質が閾値以上である時間帯及び閾値未満である時間帯を区別して提示する第7の態様に係る情報処理装置である。
【0016】
本開示の技術に係る第9の態様は、プロセッサが、仮想視点映像を編集することにより作成される動画ファイルの再生速度に応じて閾値を変更する第7の態様又は第8の態様に係る情報処理装置である。
【0017】
本開示の技術に係る第10の態様は、プロセッサが、再生速度が高いほど閾値を下げる第9の態様に係る情報処理装置である。
【0018】
本開示の技術に係る第11の態様は、プロセッサが、閾値を複数有しており、閾値ごとに、品質が閾値以上である時間帯と閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示する第7の態様から第10の態様のうちいずれか1つの態様に記載の情報処理装置である。
【0019】
本開示の技術に係る第12の態様は、視点情報には、複数の仮想視点が含まれており、プロセッサが、仮想視点ごとに品質情報を提示する第1の態様から第11の態様のうちいずれか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0020】
本開示の技術に係る第13の態様は、視点情報には、1つの仮想視点の時間的な移動を表す軌跡が含まれており、プロセッサが、軌跡を構成する各仮想視点の位置から作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報を提示する第1の態様から第12の態様のうちいずれか1つに係る情報処理装置である。
【0021】
本開示の技術に係る第14の態様は、プロセッサが、受付デバイスにより指定された少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得する第1の態様から第13の態様のうちいずれか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0022】
本開示の技術に係る第15の態様は、プロセッサが、複数の動画データのうちの少なくとも1つの動画データに基づいて設定された少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得する第1の態様から第13の態様のうちいずれか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0023】
本開示の技術に係る第16の態様は、少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得すること、及び、複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報を提示することを含む情報処理方法である。
【0024】
本開示の技術に係る第17の態様は、少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得すること、及び、複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報を提示することを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】情報処理システムの外観構成の一例を示す概略斜視図である。
図2】情報処理システムに含まれる情報処理装置、スマートデバイス、受像機、無人航空機、及び撮像装置の関係の一例を示す概念図である。
図3】情報処理装置の電気系のハードウェア構成の一例、及び情報処理装置と周辺機器との関係性の一例を示すブロック図である。
図4】スマートデバイスの電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5】情報処理装置の要部機能の一例を示すブロック図である。
図6】動画編集を開始するに際して表示される画面の一例を示す概念図である。
図7】仮想視点指定処理の処理内容の一例の説明に用いる概念図である。
図8】仮想視点指定処理における画面の遷移の一例の説明に用いる概念図である。
図9】仮想視点映像生成処理の処理内容の一例の説明に用いる概念図である。
図10】品質判定処理の処理内容の一例の説明に用いる概念図である。
図11】オクルージョン率の算出方法の一例の説明に用いる概念図である。
図12】提示処理の処理内容の一例の説明に用いる概念図である。
図13】動画編集用画面の一例を示す概念図である。
図14】編集処理の処理内容の一例の説明に用いる概念図である。
図15】仮想視点処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図16】仮想視点映像生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図17】品質判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図18】提示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図19】編集処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図20】品質情報の提示態様の第1変形例の説明に用いる概念図である。
図21】品質判定処理の第1変形例の説明に用いる概念図である。
図22】品質情報の提示態様の第2変形例の説明に用いる概念図である。
図23】品質情報の提示態様の第3変形例の説明に用いる概念図である。
図24】品質判定処理の第1変形例の説明に用いる概念図である。
図25】品質判定処理の第2変形例の説明に用いる概念図である。
図26】仮想視点の指定に係る変形例の説明に用いる概念図である。
図27】記憶媒体から情報処理装置のコンピュータにプログラムがインストールされる態様の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面に従って本開示の技術に係る実施形態の一例について説明する。
【0027】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0028】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。DRAMとは、“Dynamic Random Access Memory”の略称を指す。SRAMとは、“Static Random Access Memory”の略称を指す。ROMとは、“Read Only Memory”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。LANとは、“Local Area Network”の略称を指す。3Dとは、“3 Dimension”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。“HMD”とは、“Head Mounted Display”の略称を指す。GUIとは、“Graphical User Interface”の略称を指す。LTEとは、“Long Term Evolution”の略称を指す。5Gとは、“5th generation (wireless technology for digital cellular networks)”の略称を指す。TDMとは“Time-Division Multiplexing”の略称を指す。また、本明細書の説明において、「一致」の意味には、完全な一致の意味の他に、設計上及び製造上において許容される誤差を含む略一致の意味も含まれる。
【0029】
一例として図1に示すように、情報処理システム10は、情報処理装置12、スマートデバイス14、複数の撮像装置16、撮像装置18、無線通信基地局(以下、単に「基地局」と称する)20、及び受像機34を備えている。なお、ここで、「スマートデバイス14」とは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ(時計型多機能端末)、及びHMD型多機能端末等の携帯型の多機能端末を指す。なお、ここでは、受像機34を例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、ディスプレイ付きの電子機器(例えば、スマートデバイス)であってもよい。また、基地局20は1ヵ所に限らず複数存在していてもよい。さらに、基地局で使用する通信規格には、5G規格、LTE規格等を含む無線通信規格と、WiFi(802.11)規格及び/又はBluetooth(登録商標)規格を含む無線通信規格と、TDM規格及び/又はイーサネット(登録商標)規格を含む有線通信規格が含まれる。
【0030】
撮像装置16及び18は、CMOSイメージセンサを有する撮像用のデバイスであり、光学式ズーム機能及び/又はデジタルズーム機能が搭載されている。なお、CMOSイメージセンサに代えてCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサを採用してもよい。以下では、説明の便宜上、撮像装置18及び複数の撮像装置16を区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「複数の撮像装置」と称する。
【0031】
複数の撮像装置16は、サッカー競技場22内に設置されている。複数の撮像装置16の各々は、サッカーフィールド24を取り囲むように配置されており、サッカーフィールド24を含む領域を撮像領域として撮像する。ここでは、複数の撮像装置16の各々がサッカーフィールド24を取り囲むように配置されている形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されず、複数の撮像装置16の配置は、視聴者28等によって生成されることが要求された仮想視点映像に応じて決定される。サッカーフィールド24の全部を取り囲むように複数の撮像装置16を配置してもよいし、特定の一部を取り囲むように複数の撮像装置16を配置してもよい。撮像装置18は、無人航空機(例えば、マルチ回転翼型無人航空機)に設置されており、サッカーフィールド24を含む領域を撮像領域として上空から俯瞰した状態で撮像する。サッカーフィールド24を含む領域を上空から俯瞰した状態の撮像領域とは、サッカーフィールド24に対する撮像装置18による撮像面を指す。
【0032】
情報処理装置12は、管制室32に設置されている。詳しくは後述するが、情報処理装置12は、コンピュータ50と、ディスプレイ53と、受付デバイス52とを有しており、ディスプレイ53には動画編集用画面53Aが表示される。複数の撮像装置16及び情報処理装置12は、LANケーブル30を介して接続されており、情報処理装置12は、複数の撮像装置16を制御し、かつ、複数の撮像装置16の各々によって撮像されることで得られた画像を取得する。なお、ここでは、LANケーブル30による有線通信方式を用いた接続を例示しているが、これに限らず、無線通信方式を用いた接続であってもよい。
【0033】
サッカー競技場22には、サッカーフィールド24を取り囲むように観戦席26が設けられており、観戦席26には視聴者28が着座している。視聴者28は、スマートデバイス14を所持しており、スマートデバイス14は、視聴者28によって用いられる。なお、ここでは、サッカー競技場22内に視聴者28が存在している形態例を挙げて説明しているが、本開示の技術はこれに限定されず、視聴者28は、サッカー競技場22外に存在していてもよい。
【0034】
基地局20は、情報処理装置12及び無人航空機27と電波を介して各種情報の送受信を行う。すなわち、情報処理装置12は、基地局20を介して、無人航空機27と無線通信可能に接続されている。情報処理装置12は、基地局20を介して無人航空機27と無線通信を行うことにより、無人航空機27を制御したり、撮像装置18によって撮像されることで得られた画像を無人航空機27から取得したりする。
【0035】
基地局20は、受像機34に対して無線通信を介して各種情報を送信する。情報処理装置12は、基地局20を介して、各種映像を受像機34に送信し、受像機34は、情報処理装置12から送信された各種映像を受信し、受信した各種映像を画面34Aに表示する。なお、受像機34は、例えば、不特定多数の観戦者等の視聴に使用される。受像機34の設置個所は、サッカー競技場22内であってもよいし、サッカー競技場22外(例えば、パブリックビューイング会場)等であってもよい。なお、ここでは、情報処理装置12が受像機34に対して無線通信を介して各種情報を送信する形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、情報処理装置12が受像機34に対して有線通信を介して各種情報を送信する形態であってもよい。
【0036】
情報処理装置12はサーバに相当するデバイスであり、スマートデバイス14は、情報処理装置12に対するクライアント端末に相当するデバイスである。情報処理装置12及びスマートデバイス14が、基地局20を介して互いに無線通信を行うことにより、スマートデバイス14は、情報処理装置12に対して各種サービスの提供を要求し、情報処理装置12は、スマートデバイス14からの要求に応じたサービスをスマートデバイス14に提供する。
【0037】
一例として図2に示すように、情報処理装置12は、上空から観察した場合のサッカーフィールド24を含む領域を示す俯瞰映像46Aを無人航空機27から取得する。俯瞰映像46Aは、サッカーフィールド24を含む領域が撮像領域(以下、単に「撮像領域」とも称する)として上空から俯瞰した状態で無人航空機27の撮像装置18によって撮像されることで得られた動画像である。なお、撮像装置18によって撮像されることで得られた動画像は、本開示の技術に係る「動画データ」の一例である。
【0038】
情報処理装置12は、複数の撮像装置16の各々の位置から観察した場合の撮像領域を示す撮像映像46Bを複数の撮像装置16の各々から取得する。撮像映像46Bは、撮像領域が複数の撮像装置16の各々によって撮像されることで得られた動画像である。なお、撮像装置16によって撮像されることで得られた動画像は、本開示の技術に係る「動画データ」の一例である。
【0039】
使用者は、ディスプレイ53に表示される動画編集用画面53Aに基づいて受付デバイス52を操作することにより、仮想視点映像の編集作業を行うことができる。これにより、情報処理装置12によって、仮想視点映像が編集され、編集結果が配信用映像として生成される。
【0040】
一例として図3に示すように、情報処理装置12は、コンピュータ50、受付デバイス52、ディスプレイ53、第1通信I/F54、及び第2通信I/F56を備えている。コンピュータ50は、CPU58、ストレージ60、及びメモリ62を備えており、CPU58、ストレージ60、及びメモリ62は、バス64を介して接続されている。図3に示す例では、図示の都合上、バス64として1本のバスが図示されているが、複数のバスであってもよい。また、バス64には、シリアルバス、又は、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等で構成されるパラレルバスが含まれていてもよい。
【0041】
CPU58は、情報処理装置12の全体を制御する。ストレージ60は、各種パラメータ及び各種プログラムを記憶している。ストレージ60は、不揮発性の記憶装置である。ここでは、ストレージ60の一例として、フラッシュメモリが採用されているが、これに限らず、EEPROM、HDD、又はSSD等であってもよい。メモリ62は、記憶装置である。メモリ62には、各種情報が一時的に記憶される。メモリ62は、CPU58によってワークメモリとして用いられる。ここでは、メモリ62の一例として、DRAMが採用されているが、これに限らず、他の種類の記憶装置であってもよい。なお、CPU58は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。また、ストレージ60及びメモリ62は、本開示の技術に係る「メモリ」の一例である。
【0042】
受付デバイス52は、情報処理装置12の使用者等からの指示を受け付ける。受付デバイス52の一例としては、キーボード、タッチパネル、及びマウス等が挙げられる。受付デバイス52は、バス64等に接続されており、受付デバイス52によって受け付けられた指示は、CPU58によって取得される。
【0043】
ディスプレイ53は、バス64に接続されており、CPU58の制御下で、各種情報を表示する。ディスプレイ53の一例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。なお、液晶ディプレイに限らず、有機ELディスプレイ等の他の種類のディスプレイがディスプレイ53として採用されてもよい。
【0044】
第1通信I/F54は、LANケーブル30に接続されている。第1通信I/F54は、例えば、FPGAを有するデバイスによって実現される。第1通信I/F54は、バス64に接続されており、CPU58と複数の撮像装置16との間で各種情報の授受を司る。例えば、第1通信I/F54は、CPU58の要求に従って複数の撮像装置16を制御する。また、第1通信I/F54は、複数の撮像装置16の各々によって撮像されることで得られた撮像映像46B(図2参照)をCPU58に出力する。なお、ここでは、第1通信I/F54は有線通信I/Fとして例示されているが、高速無線LAN等の無線通信I/Fであってもよい。
【0045】
第2通信I/F56は、基地局20に対して無線通信可能に接続されている。第2通信I/F56は、例えば、FPGAを有するデバイスによって実現される。第2通信I/F56は、バス64に接続されている。第2通信I/F56は、基地局20を介して、無線通信方式で、CPU58と無人航空機27との間で各種情報の授受を司る。また、第2通信I/F56は、基地局20を介して、無線通信方式で、CPU58とスマートデバイス14との間で各種情報の授受を司る。また、第2通信I/F56は、基地局20を介して、無線通信方式で、CPU58による受像機34に対する各種映像の送信を司る。なお、第1通信I/F54及び第2通信I/F56の少なくとも一方は、FPGAの代わりに固定回路で構成することも可能である。また、第1通信I/F54及び第2通信I/F56の少なくとも一方は、ASIC、FPGA、及び/又はPLD等で構成された回路であってもよい。
【0046】
一例として図4に示すように、スマートデバイス14は、コンピュータ70、受付デバイス76、ディスプレイ78、マイクロフォン80、スピーカ82、撮像装置84、及び通信I/F86を備えている。コンピュータ70は、CPU88、ストレージ90、及びメモリ92を備えており、CPU88、ストレージ90、及びメモリ92は、バス94を介して接続されている。図4に示す例では、図示の都合上、バス94として1本のバスが図示されているが、バス94は、複数本のバスであってもよい。バス94は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0047】
CPU88は、スマートデバイス14の全体を制御する。ストレージ90は、各種パラメータ及び各種プログラムを記憶している。ストレージ90は、不揮発性の記憶装置である。ここでは、ストレージ15Bの一例として、フラッシュメモリが採用されている。フラッシュメモリはあくまでも一例に過ぎず、ストレージ15Bとしては、例えば、フラッシュメモリに代えて、又は、フラッシュメモリと併せて、磁気抵抗メモリ及び/又は強誘電体メモリなどの各種の不揮発性メモリが挙げられる。また、不揮発性の記憶装置は、EEPROM、HDD、及び/又はSSD等であってもよい。メモリ92は、各種情報を一時的に記憶し、CPU88によってワークメモリとして用いられる。メモリ15Cの一例としては、RAMが挙げられるが、これに限らず、他の種類の記憶装置であってもよい。
【0048】
受付デバイス76は、スマートデバイス14の使用者等(ここでは、一例として、視聴者28)からの指示を受け付ける。受付デバイス76の一例としては、タッチパネル76A及びハードキー等が挙げられる。受付デバイス76は、バス94に接続されており、受付デバイス76によって受け付けられた指示は、CPU88によって取得される。
【0049】
ディスプレイ78は、バス94に接続されており、CPU88の制御下で、各種情報を表示する。ディスプレイ78の一例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。なお、液晶ディプレイに限らず、有機ELディスプレイ等の他の種類のディスプレイがディスプレイ78として採用されてもよい。
【0050】
スマートデバイス14は、タッチパネル・ディスプレイを備えており、タッチパネル・ディスプレイは、タッチパネル76A及びディスプレイ78によって実現される。すなわち、ディスプレイ78の表示領域に対してタッチパネル76Aを重ね合わせることによって、あるいはディスプレイ78の内部にタッチパネル機能を内蔵(「インセル」型)することでタッチパネル・ディスプレイが形成される。
【0051】
マイクロフォン80は、収集した音を電気信号に変換する。マイクロフォン80は、バス94に接続されている。マイクロフォン80によって収集された音が変換されて得られた電気信号は、バス94を介してCPU88によって取得される。
【0052】
スピーカ82は、電気信号を音に変換する。スピーカ82は、バス94に接続されている。スピーカ82は、CPU88から出力された電気信号を、バス94を介して受信し、受信した電気信号を音に変換し、電気信号を変換して得た音をスマートデバイス14の外部に出力する。
【0053】
撮像装置84は、被写体を撮像することで、被写体を示す画像を取得する。撮像装置84は、バス94に接続されている。撮像装置84によって被写体が撮像されることで得られた画像は、バス94を介してCPU88によって取得される。
【0054】
通信I/F86は、基地局20に対して無線通信可能に接続されている。通信I/F86は、例えば、回路(例えば、ASIC、FPGA、及び/又はPLD等)で構成されたデバイスによって実現される。通信I/F86は、バス94に接続されている。通信I/F86は、基地局20を介して、無線通信方式で、CPU88と外部装置との間で各種情報の授受を司る。ここで、「外部装置」としては、例えば、情報処理装置12が挙げられる。
【0055】
一例として図5に示すように、情報処理装置12において、ストレージ60には、編集用プログラム60Aが記憶されている。CPU58は、ストレージ60から編集用プログラム60Aを読み出し、読み出した編集用プログラム60Aをメモリ62上で実行する。CPU58は、メモリ62上で実行する編集用プログラム60Aに従って、スマートデバイス14、撮像装置16、及び無人航空機27との間で各種情報の授受を行い、かつ、受像機34に対する各種映像の送信を行う。なお、編集用プログラム60Aは、コンピュータ50に処理を実行させるためのプログラムであって、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。
【0056】
CPU58は、ストレージ60から編集用プログラム60Aを読み出し、読み出した編集用プログラム60Aをメモリ62上で実行する。CPU58は、メモリ62上で実行する編集用プログラム60Aに従って取得部102、実行部104、制御部106、及び設定部108として動作することで、後述の各種情報処理を実行する。
【0057】
一例として図6に示すように、情報処理装置12において、制御部106は、使用者から与えられた指示に従ってディスプレイ53に各種情報を表示させ、受付デバイス52の操作を受け付け、かつ、受付結果に応じた処理を実行するGUI制御を行う。具体的には、制御部106は、受付デバイス52の操作に応じて、ディスプレイ53に、動画編集用画面53Aを表示させる。そして、制御部106は、受付デバイス52の一例としてのマウスが使用者によって操作されることにより、情報処理装置12によって動画編集に関する各種処理が実行されるように情報処理装置12を制御する。
【0058】
制御部106は、動画編集を開始する際に、例えば、動画編集用画面53A内に、仮想視点映像を生成するための仮想視点の指定を使用者に促すダイアログ110を表示させる。ダイアログ110には、仮想視点の指定を開始するための開始ボタン112が表示されている。使用者は、動画編集用画面53A中に表示されるカーソル114を、上記マウスの操作により開始ボタン112上に位置させた状態でクリック操作を行うことにより、仮想視点の指定を開始することができる。
【0059】
一例として図7に示すように、取得部102は、撮像装置18から俯瞰映像46Aを取得する。設定部108は、使用者による仮想視点の指定を可能とするための仮想視点指定処理を行う。具体的に説明すると、設定部108は、GUI制御を行う制御部106と協働して、ディスプレイ53に、仮想視点指定用画面53Bを表示させる。設定部108は、取得部102によって取得された俯瞰映像46Aを仮想視点指定用画面53Bに表示させる。
【0060】
使用者は、例えば、俯瞰映像46Aを参照しながら、受付デバイス52の一例としてのマウスを操作することにより、仮想視点の指定(位置、視線方向、及び画角の指定)を行うことができる。設定部108は、指定された仮想視点の位置、視線方向、及び画角を含む視点情報を生成して、生成した視点情報をメモリ62に記憶させる。なお、設定部108は、受付デバイス52を介して使用者から与えられた指示に従って、複数の仮想視点を指定することを可能とする。
【0061】
一例として図8に示すように、具体的には、設定部108は、まず、仮想視点の位置を指定可能とする第1指定画面53Cをディスプレイ53に表示させることにより、使用者に仮想視点の位置を指定させる。第1指定画面53Cには、例えば、「仮想視点の位置を指定して下さい。」というメッセージ表示が行われる。使用者は、受付デバイス52の一例としてのマウスを操作することにより、俯瞰映像46Aにおいて複数の仮想視点の位置を指定することができる。第1指定画面53Cには、決定ボタン116及び取消ボタン118が表示されている。使用者は、上記マウスの操作によりカーソル114を決定ボタン116又は取消ボタン118上に移動させた状態でクリック操作を行うことにより、仮想視点の位置の決定又は取消を行うことができる。
【0062】
設定部108は、仮想視点の位置の指定が終了すると、仮想視点の視線方向及び画角を指定可能とする第2指定画面53Dをディスプレイ53に表示させることにより、使用者に仮想視点の視線方向及び画角を指定させる。第2指定画面53Dには、例えば、「視線方向及び画角を指定して下さい。」というメッセージ表示が行われる。使用者は、上記マウスを操作することにより、俯瞰映像46Aにおいて視線方向及び画角を指定することができる。第2指定画面53Dには、決定ボタン116及び取消ボタン118が表示されている。使用者は、上記マウスの操作によりカーソル114を決定ボタン116又は取消ボタン118上に移動させた状態でクリック操作を行うことにより、仮想視点の視線方向及び画角の決定又は取消を行うことができる。
【0063】
設定部108は、第1指定画面53C及び第2指定画面53Dにおいて指定された複数の仮想視点のそれぞれについて、仮想視点の位置、視線方向、及び画角を含む視点情報を生成して、生成した視点情報をメモリ62に記憶させる。なお、図8に示す例では、3つの仮想視点が指定されている。P1~P3は、仮想視点の位置を表す。D1~D3は、仮想視点の視線方向を表す。A1~A3は、仮想視点の画角を表す。
【0064】
一例として図9に示すように、情報処理装置12では、実行部104により、視点情報を基準とした仮想視点映像を生成するための仮想視点映像生成処理が行われる。実行部104は、取得部102を介して、複数の動画データ(一例として俯瞰映像46A及び複数の撮像映像46B)を取得する。また、実行部104は、仮想視点指定処理により生成された視点情報を、メモリ62から読み出すことにより取得する。そして、実行部104は、取得した視点情報を基準として、複数の動画データに基づいて仮想視点映像を生成する。具体的には、実行部104は、複数の動画データに基づいて3Dポリゴンを生成することにより、視点情報により決定される視野範囲を表す仮想視点映像を生成する。仮想視点映像は、仮想視点の位置から視線方向に撮像領域を観察した場合における仮想的な映像である。
【0065】
実行部104は、視点情報に複数の仮想視点に関する情報が含まれている場合には、各仮想視点について仮想視点映像を生成する。図9に示す仮想視点映像47A~47Cは、図8に示す3つの仮想視点に対応する映像である。実行部104は、生成した仮想視点映像をストレージ60に記憶させる。
【0066】
一例として図10に示すように、情報処理装置12では、実行部104により、視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を判定するための品質判定処理が行われる。実行部104は、視点情報を基準として仮想視点映像生成処理により生成された仮想視点映像をストレージ60から読み出す。そして、実行部104は、ストレージ60から読み出した仮想視点映像の品質を判定する。本実施形態では、一例として、品質を、視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体のオクルージョン領域の割合に関する値とする。オクルージョンとは、仮想視点に対して手前側にある被写体が背後側にある被写体を隠すことにより、背後側の被写体が少なくとも部分的に観測できない状態が生じていることを意味する。オクルージョン領域の割合(以下、オクルージョン率ともいう。)が小さいほど、仮想視点映像の品質が高い。
【0067】
本実施形態では、実行部104は、例えば、視野範囲の中央に位置する被写体を対象被写体MSとして特定し、特定した対象被写体MSのオクルージョン率Rを算出する。なお、本開示の技術に係る「特定の被写体」の一例である対象被写体MSは、受付デバイス52を用いた使用者の操作により特定されるようにしてもよいし、顔認識等のパターンマッチング機能等により特定されるようにしてもよい。
【0068】
実行部104は、仮想視点が複数指定されている場合には、仮想視点映像生成処理により生成された各仮想視点映像を用いてオクルージョン率Rを算出する。実行部104は、指定された仮想視点ごとに算出したオクルージョン率Rを、オクルージョン情報としてメモリ62に記憶させる。
【0069】
具体的には、実行部104は、一例として図11に示す手順でオクルージョン率Rを算出する。まず、実行部104は、仮想視点映像から、対象被写体MSと、その手前に存在する別の被写体Sとを特定する。次に、実行部104は、対象被写体MSの全面積Aを求め、かつ、別の被写体Sにより生じた対象被写体MSのオクルージョン領域の面積Bを求める。そして、実行部104は、例えば、計算式「R=B/A×100」に基づいて、オクルージョン率R(%)を算出する。実行部104は、例えば、仮想視点映像に含まれる各フレームについてオクルージョン率Rを算出する。すなわち、オクルージョン情報は、指定された仮想視点ごとのオクルージョン率Rの時間変化を含む情報である。
【0070】
一例として図12に示すように、情報処理装置12では、実行部104により、仮想視点映像の品質を提示するための提示処理が行われる。実行部104は、品質判定処理により得られた品質情報を使用者に対して提示するための提示処理が行われる。実行部104は、品質判定処理により算出された各仮想視点映像のオクルージョン情報をメモリ62から読み出す。また、実行部104は、予め設定された品質に対する閾値Rthをストレージ60から読み出す。
【0071】
実行部104は、オクルージョン率Rを閾値Rthと比較し、オクルージョン率Rが閾値Rth未満である時間帯を、仮想視点映像の品質が高品質である高品質時間帯Thqとして特定する。閾値Rthは、例えば20%である。実行部104は、オクルージョン率Rが20%未満である時間帯を特定する。閾値Rthは、予め設定された固定値であってもよいが、使用者の受付デバイス52を用いた操作により設定変更可能としてもよい。
【0072】
実行部104は、特定した各仮想視点映像の高品質時間帯Thqを高品質時間帯情報としてメモリ62に記憶させる。そして、実行部104は、使用者に対して高品質時間帯情報を提示する。具体的には、実行部104は、制御部106によるGUI制御によって、動画編集用画面53A(図6参照)内に高品質時間帯Thqを表示させる。この高品質時間帯Thqは、視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報に対応する。
【0073】
高品質時間帯Thqの長さは、オクルージョン率Rに応じて変化する。すなわち、実行部104は、オクルージョン率Rに応じて高品質時間帯Thqの提示態様を変更する。本実施形態では、高品質時間帯Thqの提示態様は、制御部106がディスプレイ53を制御することにより変更される表示態様である。
【0074】
具体的には、高品質時間帯Thqは、一例として図13に示すように、動画編集用画面53A中に表示される。実行部104は、高品質時間帯Thqを、指定された仮想視点ごとに、複数の撮像装置による撮像期間Tvと対応させて提示する。図13に示す例では、3つの仮想視点のそれぞれについて高品質時間帯Thqが表示されている。なお、通常、複数の撮像装置の撮像期間はすべて同一であるので、1つの撮像期間Tvのみを表示している。複数の撮像装置で撮像期間が異なる場合には、それぞれ個別に表示してもよい。
【0075】
使用者は、動画編集用画面53Aにおいて、例えば、受付デバイス52の一例としてのマウス操作によって、各仮想視点に対する高品質時間帯Thqから複数の期間を選択して繋ぎ合わせることにより、配信用映像を作成することができる。
【0076】
動画編集用画面53Aには、配信用映像をプレビュー表示するための第1表示部120が設けられている。また、動画編集用画面53Aには、第1表示部120に隣接して、再生操作部122が設けられている。使用者は、再生操作部122を、上記マウス等を用いて操作することにより、配信用映像の再生、停止、及び再生速度の変更などを行うことができる。
【0077】
同様に、動画編集用画面53Aには、仮想視点の指定に用いられた俯瞰映像を表示するための第2表示部124が設けられている。また、動画編集用画面53Aには、第2表示部124に隣接して、再生操作部126が設けられている。使用者は、再生操作部122を、上記マウス等を用いて操作することにより、俯瞰映像の再生、停止、及び再生速度の変更などを行うことができる。
【0078】
一例として図14に示すように、制御部106により、仮想視点映像を編集して配信用映像を生成するためのGUI制御を行う。使用者は、動画編集用画面53Aに表示された高品質時間帯ThqにトリムマーカT1及びT2を設定することができる。トリムマーカT1は、トリムの開始位置を表す。トリムマーカT2は、トリムの終了位置を表す。使用者は、トリムマーカT1及びT2で規定される部分を、配信用映像の作成領域に対してドラッグアンドドロップすることにより、高品質時間帯Thqから、使用者が意図する部分を抽出することができる。使用者は、複数の高品質時間帯Thqに対して同様のトリミング操作を行うことにより、各仮想視点映像から、使用者が意図する時間帯を選択することができる。
【0079】
実行部104は、トリミング操作により選択された複数の仮想視点映像の部分を結合することにより配信用映像を生成する結合処理を行う。実行部104は、生成された配信用映像に基づき動画ファイルを生成し、生成した動画ファイルをストレージ60に記憶させる。ストレージ60に記憶された配信用映像は、実行部104によって、スマートデバイス14及び受像機34などに提供される。
【0080】
次に、情報処理システム10の作用について説明する。
【0081】
まず、情報処理装置12のCPU58によって実行される仮想視点指定処理の流れの一例について図15を参照しながら説明する。
【0082】
図15に示す仮想視点指定処理では、まず、ステップST100で、設定部108は、仮想視点指定処理を終了する条件(以下、「仮想視点指定処理開始条件」と称する。)を満足したか否かを判定する。仮想視点指定処理開始条件としては、例えば、受付デバイス52により、仮想視点指定処理を開始させる指示が受け付けられた、という条件が挙げられる(図6参照)。ステップST100において、仮想視点指定処理開始条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップST100の判定が再び行われる。ステップST100において、仮想視点指定処理開始条件を満足した場合には、判定が肯定されて、仮想視点指定処理はステップST101へ移行する。
【0083】
ステップST101で、取得部102は、撮像装置18から俯瞰映像46Aを取得し(図7参照)、その後、仮想視点指定処理はステップST102へ移行する。ステップST102において、設定部108は、俯瞰映像46Aを仮想視点指定用画面53Bに表示させ、その後、仮想視点指定処理はステップST103へ移行する。
【0084】
ステップST103で、設定部108は、受付デバイス52による仮想視点の位置、視線方向、及び画角を含む設定操作を受け付ける(図8参照)。
【0085】
次のステップST104で、設定部108は、仮想視点指定処理を終了する条件(以下、「仮想視点指定処理終了条件」と称する。)を満足したか否かを判定する。仮想視点指定処理終了条件としては、例えば、受付デバイス52により、仮想視点指定処理を終了させる指示が受け付けられた、という条件が挙げられる。
【0086】
ステップST104において、仮想視点指定処理終了条件を満足していない場合には、判定が否定されて、仮想視点指定処理がステップST103へ移行する。ステップST104において、仮想視点指定処理終了条件を満足した場合には、判定が肯定されて、仮想視点指定処理はステップST105へ移行する。
【0087】
ステップST105で、設定部108は、視点情報を生成してメモリ62に記憶させる。これにより、仮想視点指定処理が終了する。
【0088】
次に、情報処理装置12のCPU58によって実行される仮想視点映像生成処理の流れの一例について図16を参照しながら説明する。
【0089】
図16に示す仮想視点映像生成処理では、まず、ステップST200で、実行部104は、メモリ62に記憶された視点情報を読み出す。
【0090】
次のステップST201で、取得部102は、複数の撮像装置から複数の動画データ(一例として俯瞰映像46A及び複数の撮像映像46B)を取得し、その後、仮想視点映像生成処理はステップST202へ移行する。
【0091】
ステップST202で、実行部104は、視点情報により決定される視野範囲を表す仮想視点映像を生成し、生成した仮想視点映像をストレージ60に記憶させる(図9参照)。
【0092】
次のステップST203で、実行部104は、仮想視点映像生成処理を終了する条件(以下、「仮想視点映像生成処理終了条件」と称する。)を満足したか否かを判定する。仮想視点映像生成処理終了条件としては、例えば、仮想視点指定処理により指定された全ての仮想視点を基準とする仮想視点映像の生成が終了した、という条件が挙げられる。
【0093】
ステップST203において、仮想視点映像生成処理終了条件を満足していない場合には、判定が否定されて、仮想視点映像生成処理はステップST202へ移行する。ステップST203において、仮想視点映像生成処理終了条件を満足した場合には、判定が肯定されて、仮想視点映像生成処理が終了する。
【0094】
次に、情報処理装置12のCPU58によって実行される品質判定処理の流れの一例について図17を参照しながら説明する。
【0095】
図17に示す品質判定処理では、まず、ステップST300で、実行部104は、ストレージ60に記憶された仮想視点映像を読み出す。次のステップST301において、実行部104は、視点情報により決定される視野範囲内に含まれる対象被写体を特定し、その後、品質判定処理はステップST302へ移行する。
【0096】
ステップST302で、実行部104は、仮想視点映像の品質として、対象被写体のオクルージョン率を算出する(図10及び図11参照)。
【0097】
次のステップST303で、実行部104は、品質判定処理を終了する条件(以下、「品質判定処理終了条件」と称する。)を満足したか否かを判定する。品質判定処理終了条件としては、例えば、仮想視点映像生成処理により生成された全ての仮想視点映像についてオクルージョン率の算出が終了した、という条件が挙げられる。
【0098】
ステップST303において、品質判定処理終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、品質判定処理はステップST300へ移行する。ステップST303において、品質判定処理終了条件を満足した場合には、判定が肯定されて、品質判定処理はステップST304へ移行する。
【0099】
ステップST304で、実行部104は、オクルージョン情報を生成してメモリ62に記憶させる。これにより、品質判定処理が終了する。
【0100】
次に、情報処理装置12のCPU58によって実行される提示処理の流れの一例について図18を参照しながら説明する。
【0101】
図18に示す提示処理では、まず、ステップST400で、実行部104は、メモリ62からオクルージョン情報を読み出す。
【0102】
次のステップST401で、実行部104は、ストレージ60に記憶された閾値を読み出し、その後、提示処理はステップST402へ移行する。
【0103】
ステップST402で、実行部104は、オクルージョン率を閾値と比較し、オクルージョン率が閾値未満であるか否かを判定する。ステップST402において、オクルージョン率が閾値未満である場合には、判定が肯定されて、提示処理はステップST403へ移行する。ステップST402において、オクルージョン率が閾値以上である場合には、判定が否定されて、提示処理はステップST404へ移行する。
【0104】
ステップST403で、実行部104は、オクルージョン率が閾値未満である時間帯を高品質時間帯として特定する(図12参照)。次のステップST404において、実行部104は、提示処理を終了する条件(以下、「提示処理終了条件」と称する。)を満足したか否かを判定する。提示処理終了条件としては、オクルージョン情報のすべてに対して高品質時間帯の特定が終了した、という条件が挙げられる。
【0105】
ステップST404において、提示処理終了条件を満足していない場合には、判定が否定されて、提示処理はステップST402へ移行する。ステップST404において、提示処理終了条件を満足した場合には、判定が肯定されて、提示処理はステップST405へ移行する。
【0106】
ステップST405で、実行部104は、ステップST403で特定した各仮想視点映像の高品質時間帯を高品質時間帯情報としてメモリ62に記憶させ、かつ、動画編集用画面53A内に高品質時間帯を表示させることにより(図13参照)、使用者に対して高品質時間帯を提示する。
【0107】
次に、情報処理装置12のCPU58によって実行される編集処理の流れの一例について図19を参照しながら説明する。
【0108】
図19に示す編集処理では、まず、ステップST500で、実行部104は、受付デバイス52による仮想視点映像のトリミング操作を受け付ける。このトリミング操作により、配信用映像を生成するために、各仮想視点映像から、使用者が意図する時間帯が選択される(図14参照)。
【0109】
次のステップST501で、実行部104は、編集処理を終了する条件(以下、「編集処理終了条件」と称する。)を満足したか否かを判定する。編集処理終了条件としては、例えば、受付デバイス52により、編集処理を終了させる指示が受け付けられた、という条件が挙げられる。
【0110】
ステップST501において、編集処理終了条件を満足していない場合には、判定が否定されて、編集処理はステップST500へ移行する。ステップST501において、編集処理終了条件を満足した場合には、判定が肯定されて、編集処理はステップST502へ移行する。
【0111】
ステップST502で、実行部104は、ステップST500でのトリミング操作により選択された複数の仮想視点映像の部分を結合する結合処理を行う。
【0112】
次のステップST503で、実行部104は、ステップST502で結合処理を実行することで生成した配信用映像に基づいて動画ファイルを生成して、生成した動画ファイルをストレージ60に記憶させる。これにより、編集処理が終了する。
【0113】
以上説明したように、情報処理装置12では、CPU58によって、少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報が取得され、複数の撮像装置により撮像されることで得られた複数の動画データに基づき、視点情報を基準として作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報が提示される。従って、仮想視点映像の編集を支援することができる。
【0114】
また、情報処理装置12では、CPU58によって、品質情報が、複数の撮像装置による撮像期間と対応して提示される。これにより、使用者に対して、撮像期間を参照しながら効率よく編集作業を行わせることができる。
【0115】
また、情報処理装置12では、視点情報には、仮想視点の位置、視線方向、及び画角が含まれており、品質は、視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体のオクルージョン領域の割合に関する値である。オクルージョン領域の割合が小さいほど品質が高い。これにより、使用者に対して、特定の被写体についてオクルージョン領域の割合が小さい時間帯を容易に選択させることができる。
【0116】
また、情報処理装置12では、CPU58によって、オクルージョン領域の割合に応じて提示態様が変更される。これにより、使用者に対して、オクルージョン領域の割合を直観的に認識させることができる。上記実施形態では、提示態様は、CPU58がディスプレイを制御することにより変更される。具体的には、オクルージョン領域の割合が閾値未満であるか否かに応じて、対応する時間帯を表示している。
【0117】
また、情報処理装置12では、受付デバイス52により指定された少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報が設定部108によって生成されることで取得される。そして、実行部104によって、視点情報を基準にした仮想視点映像が生成される。これにより、使用者が意図する仮想視点を基準にした仮想視点映像を得ることができる。
【0118】
なお、上記実施形態では、CPU58は、閾値を用いて表示態様を変更しているが、閾値を用いずに、オクルージョン領域の割合に応じて色又は濃度など変化させる表示態様としてもよい。一例として図20に示すように、オクルージョン領域の割合(オクルージョン率R)が低いほど、すなわち品質が高いほど濃度を濃くする表示態様で、品質情報を提示してもよい。また、品質情報の提示態様は、ディスプレイ等への表示に限られず、スピーカ等を用いた音声出力、及び/又は紙媒体等へ印刷するプリント表示等であってもよい。すなわち、本開示に係る「提示」には、可視表示、音声、及び/又はプリント表示等が含まれる。
【0119】
また、上記実施形態では、仮想視点映像の品質を、特定の被写体のオクルージョン領域の割合により表しているが、オクルージョン領域の割合に代えて、他のパラメータを用いて仮想視点映像の品質を表してもよい。例えば、品質を、視点情報により決定される視野範囲内に含まれる特定の被写体の画素数又は合焦度に関する値としてもよい。この場合には、画素数が多いほど、又は合焦度が高いほど品質が高い。
【0120】
一例として図21に示すように、仮想視点映像中における対象被写体MSの画素数(すなわち大きさ)を、仮想視点映像の品質と関連付ける。この場合、対象被写体MSの画素数が多いほど(対象被写体MSが大きいほど)品質が高い。CPU58は、対象被写体MSの画素数が閾値以上である時間帯を、高品質時間帯Thqとして特定すればよい。
【0121】
仮想視点映像の品質を、特定の被写体の合焦度に関連付ける場合も同様である。例えば、CPU58は、対象被写体MSの合焦度が閾値以上である時間帯を、高品質時間帯Thqとして特定すればよい。なお、ここで、合焦度とは、例えば、特定の被写体に対する合焦の度合い、又は、仮想視点映像により示される実空間領域に対する合焦の度合いを指す。合焦の度合いは、例えば、仮想視点映像のコントラスト、及び/又は、被写界深度等によって特定される。
【0122】
さらに、仮想視点映像の品質は、1つのパラメータに限られず、複数のパラメータ(例えば、オクルージョン率、画素数、及び合焦度のうちの少なくとも2つの組み合わせ)により表されるものであってもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、CPU58は、品質が閾値以上である時間帯と品質が閾値未満である時間帯とのうち、品質が閾値以上である時間帯のみを提示している。なお、上記実施形態では、オクルージョン領域の割合が閾値未満であることが、品質が閾値以上であることに対応する。また、図21に示す例では、対象被写体MSの画素数が閾値以上であることが、品質が閾値以上であることに対応する。
【0124】
上記例に限られず、CPU58は、品質が閾値以上である時間帯と品質が閾値未満である時間帯とのうち、品質が閾値未満である時間帯を提示してもよい。一例として図22に示すように、品質が閾値未満である時間帯を低品質時間帯Tlqとして特定し、特定した低品質時間帯Tlqをディスプレイ等に表示してもよい。すなわち、品質が閾値以上である時間帯と閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示すればよい。この場合、使用者に対して、品質が閾値以上の時間帯とそれ以外の時間帯とを直観的に認識させることができる。
【0125】
さらに、CPU58は、品質が閾値以上である時間帯と品質が閾値未満である時間帯との両方を区別して提示してもよい。一例として図23に示すように、品質が閾値以上である高品質時間帯Thqと、品質が閾値未満である低品質時間帯Tlqとを、それぞれ区別可能に表示態様を代えてディスプレイ等に表示してもよい。この場合も、使用者に対して、品質が閾値以上の時間帯とそれ以外の時間帯とを直観的に認識させることができる。
【0126】
また、上記実施形態では、CPU58は、品質判定処理を行うための閾値を固定値としているが、各種のパラメータに応じて閾値を変更してもよい。一例として図24に示すように、動画ファイルの再生速度に応じて、品質に対する閾値を変更してもよい。具体的
には、再生速度が高いほど閾値を下げる。上記実施形態では、動画ファイルの再生速度は、再生操作部122の操作により変更することができる。
【0127】
動画ファイルの再生速度が高いほど配信用映像の各フレームの視認性が低下するので、再生速度が高いほど、配信用映像の視聴者にとって品質に対する許容度が上がる。従って、再生速度が高いほど閾値を下げることにより、仮想視点映像から選択可能な時間帯が拡大する。これにより編集の自由度が向上する。
【0128】
また、上記実施形態では、CPU58は、品質判定処理において1つの閾値のみを用いているが、これに限られず、品質判定処理において複数の閾値を用いてもよい。CPU58は、閾値を複数有する場合には、閾値ごとに、品質が閾値以上である時間帯と閾値未満である時間帯との少なくともいずれか一方を提示する。これにより、使用者に対して、仮想視点映像から複数の品質に基づいて時間帯を選択させることができるので、編集の自由度が向上する。
【0129】
一例として図25に示すように、CPU58は、第1閾値及び第2閾値を用いて品質判定処理を行う。ここで、第1閾値は第2閾値より大きいとする。CPU58は、例えば、品質が第1閾値以上である時間帯を高品質時間帯Thqとし、第2閾値以上第1閾値未満である時間帯を中品質時間帯Tmqとし、第2閾値未満である時間帯を低品質時間帯Tlqとしてディスプレイ等に表示する。なお、図25に示す例では、各時間帯を濃度により区別しているが、文字、記号、及び/又は数字等を付すことにより区別してもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、視点情報には、複数の仮想視点が含まれており、CPU58は、仮想視点ごとに品質情報を提示する。これにより、使用者に対して、複数の仮想視点を基準とした仮想視点映像に基づいて編集を行わせることができるので、編集の自由度が向上する。
【0131】
また、上記実施形態では、仮想視点の位置は固定されているが、仮想視点の軌跡を指定可能としてもよい。軌跡は、1つの仮想視点の時間的な移動を表す。すなわち、軌跡は、時間的に位置が異なる複数の仮想視点により構成される。一例として図26に示すように、CPU58は、仮想視点の軌跡を指定可能とする軌跡指定画面53Eをディスプレイ53に表示させて、使用者に所望とする仮想視点の軌跡130を指定させる。使用者は、マウスを操作することにより、俯瞰映像46Aにおいて複数の仮想視点の軌跡130を指定することができる。仮想視点の軌跡130は、複数の仮想視点の位置、視線方向、及び画角を指定することにより行われる。また、指定する仮想視点の粗密により、仮想視点の移動速度を変更可能としてもよい。CPU58は、軌跡130を構成する各仮想視点の位置から作成可能な仮想視点映像の品質を表す品質情報を提示する。品質情報の提示態様は、上記実施形態と同様である。これにより、視点が移動するダイナミックな映像の作成を支援することができる。
【0132】
なお、上記実施形態では、仮想視点を使用者が受付デバイス52を介して指定する構成としているが、俯瞰映像46A等のシーンに応じてCPU58が設定する構成であってもよい。すなわち、CPU58は、複数の動画データのうちの少なくとも1つの動画データに基づいて設定された少なくとも1つの仮想視点に関する視点情報を取得してもよい。この場合も、上記実施形態と同様に、使用者が意図する仮想視点を基準にした仮想視点映像を得ることができる。
【0133】
なお、上記実施形態では、サッカー競技場22を例示したが、これはあくまでも一例に過ぎず、野球場、ラグビー場、カーリング場、陸上競技場、競泳場、コンサートホール、野外音楽場、及び演劇会場等のように、複数の撮像装置が設置可能であれば、如何なる場所であってもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、基地局20を用いた無線通信方式を例示したが、これはあくまでも一例に過ぎず、ケーブルを用いた有線通信方式であっても本開示の技術は成立する。
【0135】
また、上記実施形態では、無人航空機27を例示したが、本開示の技術はこれに限定されず、ワイヤで吊るされた撮像装置18(例えば、ワイヤを伝って移動可能な自走式の撮像装置)によって撮像領域が撮像されるようにしてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、コンピュータ50及び70を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、コンピュータ50及び/又は70に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コンピュータ50及び/又は70に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、ストレージ60に編集用プログラム60Aが記憶されているが、本開示の技術はこれに限定されず、一例として図27に示すように、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体500に編集用プログラム60Aが記憶されていてもよい。この場合、記憶媒体500に記憶されている編集用プログラム60Aがコンピュータ50にインストールされ、CPU58は、編集用プログラム60Aに従って情報処理(例えば、仮想視点指定処理、仮想視点映像生成処理、品質判定処理、提示処理、及び編集処理)を実行する。
【0138】
また、通信網(図示省略)を介してコンピュータ50に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に編集用プログラム60Aを記憶させておき、情報処理装置12の要求に応じて編集用プログラム60Aが情報処理装置12にダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされた編集用プログラム60Aに基づく情報処理がコンピュータ50のCPU58によって実行される。
【0139】
また、上記実施形態では、CPU58を例示したが、本開示の技術はこれに限定されず、GPUを採用してもよい。また、CPU58に代えて、複数のCPU、又はCPUとGPUの組み合わせを採用してもよい。つまり、1つのプロセッサ、又は、物理的に離れている複数のプロセッサによって情報処理が実行されるようにしてもよい。また、CPU88に代えて、GPUを採用してもよいし、複数のCPU、又はCPUとGPUの組み合わせを採用してもよく、1つのプロセッサ、又は、物理的に離れている複数のプロセッサによって各種処理が実行されるようにしてもよい。
【0140】
情報処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、上述したように、ソフトウェア、すなわち、プログラムに従って情報処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、他のプロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが接続又は内蔵されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで情報処理を実行する。
【0141】
情報処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、情報処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0142】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、情報処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、情報処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、情報処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0143】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。更に、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0144】
また、上述した情報処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0145】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0146】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0147】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
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