(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ウェーハ搬送装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231122BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20231122BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 L
H01L21/02 Z
(21)【出願番号】P 2020057223
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山木 賢
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/038207(WO,A1)
【文献】特開2008-066452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/67
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハガイドが複数段設けられたウェーハ収容容器からウェーハを取り出し、前記ウェーハ収容容器に前記ウェーハを収容するウェーハ搬送ロボットと、
前記ウェーハ収容容器に収容された前記ウェーハの位置をセンシングするマッピングセンサーと、
前記ウェーハ収容容器と対向する位置に設けられ、前記ウェーハ収容容器を含む撮像画像を生成するカメラと、
前記マッピングセンサーから送信されるセンシング信号に基づき前記ウェーハ収容容器内の前記ウェーハのマッピング情報を取得し、画像処理後の前記撮像画像に基づき画像ウェーハ情報を取得し、前記マッピング情報と前記画像ウェーハ情報とを比較するコンピュータシステムと、
を備えた、
ウェーハ搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記コンピュータシステムが、前記マッピング情報と前記画像ウェーハ情報とが一致しないと判断すると、
前記カメラは、撮影条件を変更した撮像画像を生成し、
前記コンピュータシステムは、前記マッピング情報と撮影条件を変更した前記撮像画像に基づく新たな画像ウェーハ情報とを比較するリトライを行う、
ウェーハ搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のウェーハ搬送装置において、
前記コンピュータシステムは、前記リトライの回数がリトライ上限回数より小さい場合、前記リトライを行い、前記リトライの回数がリトライ上限回数である場合、エラーを出力する、
ウェーハ搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記マッピング情報および前記画像ウェーハ情報には、前記ウェーハの位置が含まれる、
ウェーハ搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記コンピュータシステムは、画像処理後の前記撮像画像と前記マッピング情報に基づくウェーハ画像とを合成表示した合成画像を生成し、前記合成画像を搬送対象の前記ウェーハの選択画面としてモニターに表示させる、
ウェーハ搬送装置。
【請求項6】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記カメラは、赤外線カメラまたは赤外線の透過率が高い光学系を備え、赤外線画像を生成し、
前記コンピュータシステムは、前記赤外線画像に基づき、前記ウェーハ収容容器の内部の温度を測定する、
ウェーハ搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載のウェーハ搬送装置において、
前記コンピュータシステムは、前記赤外線画像と前記マッピング情報に基づくウェーハ画像とを合成表示した合成画像を生成し、前記合成画像をモニターに表示させる、
ウェーハ搬送装置。
【請求項8】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記カメラは、偏光カメラまたは偏光を制御する光学系を備え、偏光画像を生成する、
ウェーハ搬送装置。
【請求項9】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記ウェーハ収容容器と対向する位置に設けられ、前記ウェーハ収容容器を含む領域を照明する照明系を備えている、
ウェーハ搬送装置。
【請求項10】
請求項9に記載のウェーハ搬送装置において、
前記カメラが、赤外線カメラまたは赤外線の透過率が高い光学系を備えるとき、
前記照明系は、赤外線を照明する、
ウェーハ搬送装置。
【請求項11】
請求項9に記載のウェーハ搬送装置において、
前記カメラが、偏光カメラまたは偏光を制御する光学系を備えるとき、
前記照明系は、偏光状態を制御した光を照明する、
ウェーハ搬送装置。
【請求項12】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記ウェーハ収容容器を載置するウェーハ載置台を備え、
前記ウェーハ載置台に基準スリットが設けられ、
前記コンピュータシステムは、前記基準スリットに基づき、前記ウェーハ搬送ロボットの位置と、前記撮像画像の前記ウェーハ搬送ロボットの位置とを合わせる、
ウェーハ搬送装置。
【請求項13】
請求項1に記載のウェーハ搬送装置において、
前記ウェーハ収容容器を載置するウェーハ載置台を備え、
前記ウェーハ載置台に校正用の基準スケールが設けられ、
前記コンピュータシステムは、前記基準スケールに基づき、前記撮像画像内の寸法計測対象の寸法を計測する、
ウェーハ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェーハ収容容器の外側にカメラが設置され、カメラは観察窓を通して輸送容器の内部を検出または観察するように構成される旨が記載されている。また、特許文献1には、温度センサによって、ウェーハ収容容器内のウェハ温度を測定する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理対象のウェーハは、搬送ロボットによりカセット(ウェーハ収容容器)から上位装置であるウェーハ処理ユニットへ搬送される。処理済みのウェーハは、搬送ロボットによりカセットへ戻される。
【0005】
ところで、ウェーハ処理中に、何らかの理由でカセットが別のものに入れ替えられてしまう場合がある。各カセットには、形状や寸法に個体差があるためカセットの位置ずれが生じるおそれがある。また、作業者やロボットがカセットに触れてしまうことによっても、位置ずれが生じる可能性がある。
【0006】
しかし、カセット内のウェーハの間隔は非常に狭いため、位置ずれが生じると、搬送ロボットのアームがウェーハやカセットに不用意に触れたり、ウェーハ同士が接触するおそれがある。このため、ウェーハに、割れ、傷、擦れ等が発生する可能性がある。このように、ウェーハ搬送ユニットでは、ウェーハ搬送リスクが存在する。
【0007】
そこで、本発明は、ウェーハ搬送リスクを低減させたウェーハ搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0009】
本発明の代表的な実施の形態によるウェーハ搬送装置は、ウェーハガイドが複数段設けられたウェーハ収容容器からウェーハを取り出し、ウェーハ収容容器にウェーハを収容するウェーハ搬送ロボットと、ウェーハ収容容器に収容されたウェーハの位置をセンシングするマッピングセンサーと、ウェーハ収容容器と対向する位置に設けられ、ウェーハ収容容器を含む撮像画像を生成するカメラと、マッピングセンサーから送信されるセンシング信号に基づきウェーハ収容容器内のウェーハのマッピング情報を取得し、画像処理後の撮像画像に基づき画像ウェーハ情報を取得し、マッピング情報と画像ウェーハ情報とを比較するコンピュータシステムと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0011】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、ウェーハ搬送リスクを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るウェーハ搬送装置を含む半導体製造装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係るウェーハ搬送装置の構成の一例を示す上面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係るウェーハ搬送ユニットの構成の一例を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係るウェーハ搬送ユニットの構成の一例を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る位置検出方法の一例を示すフロー図である。
【
図7】マッピング動作の概略およびウェーハの位置検出結果を一例を示す図である。
【
図8】ウェーハの厚みに異常が検出された場合を含めたウェーハの配置を例示する図である。
【
図9】カセットの寸法計測処理に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
【
図14】サーモグラフィー画像が表示されたGUIを例示する図である。
【
図15】ワーニング表示を行うGUIを例示する図である。
【
図16】
図6のカセット計測処理の後、下から1段目のスロットへウェーハを収容可能な状態を示すGUIである。
【
図17】
図12のウェーハチェックボックスに表示されたカセットのスロット段数が画像処理により算出される例を示す図である。
【
図18】本発明の実施の形態2に係る位置検出方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する各実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明の技術範囲を限定するものではない。なお、実施例において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、特に必要な場合を除き省略する。
【0014】
(実施の形態1)
<ウェーハ搬送装置を含む半導体製造装置の概要>
図1は、本発明の実施の形態1に係るウェーハ搬送装置を含む半導体製造装置の一例を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、半導体製造装置1は、ウェーハ搬送ユニット(ウェーハ搬送装置)100、ウェーハ処理ユニット200、および操作卓300を備えている。ウェーハ搬送ユニット100、ウェーハ処理ユニット200、および操作卓300は、図示しないネットワークを介して相互に通信可能である。ここで、半導体製造装置1のユーザは、例えば、半導体製造工場の作業者、あるいは半導体製造工場の上位コンピュータシステムである。
【0016】
半導体製造装置1に含まれる各ユニットは、各ユニットに設けられたコンピュータシステムに、操作卓300から命令や制御パラメータ等が入力されることで、自動でウェーハWAF(
図2)の搬送や処理を行う。そして、各ユニットは、ウェーハWAFの搬送結果や処理結果等を操作卓300や上位コンピュータシステムへ送信する。
【0017】
《ウェーハ搬送ユニット》
ウェーハ搬送ユニット100は、上位装置であるウェーハ処理ユニット200との間で処理対象(搬送対象)のウェーハを搬送するユニットである。ウェーハ搬送ユニット100内へのウェーハWAFの搬入および搬出は、ウェーハ収容容器であるカセットにより行われる。カセットの搬入および搬出は、
図1に示す開閉機構103を介して行われる。
【0018】
ウェーハ搬送ユニット100内に設けられたウェーハ搬送ロボットは、処理対象のウェーハをカセットから取り出し、ウェーハ処理ユニット200へ搬送する。ウェーハ処理ユニット200における処理が完了すると、ウェーハ搬送ロボットは、ウェーハ処理ユニット200から処理済みのウェーハを受け取り、カセットへ収容する。処理済みのウェーハは、カセットとともにウェーハ搬送ユニット100の外へ搬出される。ウェーハ搬送ユニット100の構成については、後で詳しく説明する。
【0019】
《ウェーハ処理ユニット》
ウェーハ処理ユニット200は、ウェーハ搬送ユニット100から搬送されたウェーハの処理を行うユニットである。ウェーハ処理ユニット200における処理には、例えばウェーハへの半導体素子の形成や、ウェーハに形成された素子の寸法計測等の各種処理が含まれる。
【0020】
ウェーハ処理ユニット200は、ウェーハの処理を行う処理部、処理部を制御するコンピュータシステム、電源等(いずれも図示は省略)を備えている。コンピュータシステムは、例えばCPU等のプロセッサ、プロセッサから直接アクセスされるRAMやROMを含む。また、コンピュータシステムは、これら以外にも制御基板等を含んでもよい。
【0021】
例えば、ウェーハ処理ユニット200が、測長SEM(Scanning Electron Microscope)である場合、処理部には、電子銃、ステージ、真空排気装置等が含まれる。コンピュータシステムは、操作卓300から送信された命令に基づいて処理部を制御することで、ウェーハに形成された微細パターンの寸法計測を行う。微細パターンの寸法計測結果は、ネットワークを介して操作卓300へ送信される。
【0022】
半導体製造装置1を構成する各機能ユニットの仕様は規格化されている。このため、ユーザは、同じ規格に準拠したユニットを任意に組み合わせて半導体製造装置1を構成することが可能である。本実施の形態では、ウェーハ搬送ユニット100と同じ規格のウェーハ処理ユニット200が用いられる。
【0023】
なお、ウェーハ処理ユニット200は、1項目の処理のみを行うものでもよいし、複数項目の処理を実行可能なものでもよい。また、
図1では、1つの処理ユニットのみが示されているが、複数のウェーハ処理ユニット200が半導体製造装置1に含まれてもよい。
【0024】
《操作卓》
操作卓300は、半導体製造装置1の各ユニットを操作する機能ブロックである。操作卓300は、
図1に示すように、コンピュータシステム310、モニター320、入力装置としてのキーボード330を備えている。また、操作卓300は、マウスおよび制御スイッチ(いずれも図示は省略)を入力装置として備えてもよい。
【0025】
コンピュータシステム310は、例えばCPU等のプロセッサ、プロセッサから直接アクセスされるRAMやROMを含む。また、コンピュータシステム310は、これらに加えて、制御基板等を含んでもよい。また、操作卓300は、コンピュータシステム310と接続される、図示しない記憶装置や通信装置等を備えている。
【0026】
コンピュータシステム310は、操作卓300に含まれる各要素の制御や、ウェーハ搬送ユニット100およびウェーハ処理ユニット200に対する命令、ウェーハ搬送ユニット100およびウェーハ処理ユニット200間における各種情報の送受信等を行う。また、コンピュータシステム310は、モニター320へのGUI(Graphical User Interface)の表示、GUIを介した情報の入出力、半導体製造工場の上位コンピュータシステムとの通信等を行う。GUIのソフトウェアは、コンピュータシステム310または記憶装置に格納されている。
【0027】
作業者は、モニター320に表示されたGUIに対して、入力装置(キーボード330、マウス、制御スイッチ等)、モニター320のタッチパネル等を用いて、コンピュータシステム310に命令を入力する。
【0028】
ウェーハ搬送ユニット100およびウェーハ処理ユニット200から受信したウェーハの搬送結果や処理結果等の情報は、モニター320のGUIに表示されるとともに、コンピュータシステム310あるいは記憶装置に保存される。半導体製造工場の上位コンピュータシステムが半導体製造装置1のユーザである場合、上位コンピュータシステムは、ネットワークを介して、コンピュータシステム310と通信を行い、命令やウェーハの搬送結果および処理結果等の情報の送受信を行う。
【0029】
記憶装置は、操作卓300を制御する制御プログラム等のプログラムを格納する記憶領域、ウェーハ搬送ユニット100およびウェーハ処理ユニット200から受信するウェーハの搬送結果や処理結果等の情報を格納する記憶領域を有する。通信装置は、ネットワークを介して、ウェーハ搬送ユニット100、ウェーハ処理ユニット200および上位コンピュータシステムとの通信を行う機能ブロックである。
【0030】
コンピュータシステム310は、半導体製造ラインに要求される高い信頼性が必要である。このため、コンピュータシステム310には、産業用コンピュータなどの24時間365日稼働可能な耐久性に優れた安定稼働するコンピュータシステムが用いられることが望ましい。
【0031】
<ウェーハ>
ウェーハWAFは、例えばシリコン(Si)、あるいはガリウムヒ素とも呼ばれるヒ化ガリウム(GaAs)等を材料とする円盤型の板状部材である。
【0032】
ウェーハWAFの直径は、例えば25mm~450mmの範囲内で複数のサイズが存在する。ウェーハWAFの厚みは、例えば約280μm~1000μmである。ウェーハWAFには、円盤の方向を位置決めするためのオリフラやノッチ等が形成されている。オリフラやノッチの寸法も規格化されている。これらの寸法は、各国の各協会や団体により規格化されているものがある。例えば直径200mmおよび300mmのシリコンウェーハの寸法は、規格に基づき標準化されている。
【0033】
その一方で、例えば直径150mm以下の場合、厚みが規格に準拠していないウェーハが存在する。これは、素子の機能確保等のためである。さらに、許容されるウェーハの厚みは、規格によって異なる。例えば、ある規格では、直径150mmのウェーハの厚みは、625±15μmと規定されている。しかし。これとは別の規格では、直径150mmのウェーハWAFの厚みは、675±20μmと規定されている。したがって、これらの規格間におけるウェーハの厚みの差は最大で85μmとなる。
【0034】
<ウェーハ搬送ユニットの構成>
次に、ウェーハ搬送ユニット100の構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るウェーハ搬送装置の構成の一例を示す上面図である。
図3、
図4は、本発明の実施の形態1に係るウェーハ搬送ユニットの構成の一例を示す側面図である。
【0035】
ウェーハ搬送ユニット100は、
図2~
図4に示すように、カセット載置台110、プリアライナ120、ウェーハ搬送ロボット130、カメラ140、コンピュータシステム190等を備えている。
【0036】
カセット載置台110は、開閉機構103を介して、カセットCASを載置するための置台であり、ウェーハ搬送ロボット130がウェーハWAFへアクセスする搬送口としての機能を有する。カセット載置台110は、ウェーハ搬送ユニット100内に複数(
図2では2台)設けられてもよい。この場合、ウェーハ搬送ユニット100内に複数のカセットCASが載置することが可能である。
【0037】
図示は省略しているが、カセット載置台110には、カセットCASを載置する載置面内においてカセットCASを再現良く位置決めできるような位置決めブロックが設けられている。
【0038】
作業者または半導体製造工場内のカセット搬送ロボットは、カセットCASを位置決めブロックへ押し当てながら、カセット載置台110に載置できるようになっている。
【0039】
また、カセット載置台110には、カセットCASの位置や有無、カセットCASからのウェーハWAFの飛び出し等を検出するセンサーやスイッチ等が設けられている。コンピュータシステム190は、センサーやスイッチ等の情報に基づき、カセットCASがカセット載置台110に正常に載置されているかどうかの確認、カセットCASの有無の履歴の保存、カセットCASからのウェーハWAFの飛び出しの検出等を行う。
【0040】
また、カセット載置台110には、カセットCASに貼り付けられたバーコードやシリアルを読み取るリーダーが設けられている。半導体製造工場の上位コンピュータシステムは、リーダーにより、カセットCASに貼り付けられたバーコードやシリアルを読み取ることで、カセットCASの管理を行うことができる。
【0041】
プリアライナ120は、カセット載置台110に載置されたカセットCASに収容されたウェーハWAFの偏芯量を測定し、測定結果に基づきオリフラやノッチの向きを揃える装置である。各ウェーハWAFの偏芯量測定結果は、コンピュータシステム190へ送信され、コンピュータシステム190内で保持されるか、あるいは記憶装置に格納される。
【0042】
ウェーハ搬送ロボット130は、ウェーハ搬送ユニット100とウェーハ処理ユニット200との間でウェーハWAFの受け渡しを行う装置である。ウェーハ搬送ロボット130は、
図2~
図4に示すように、アーム132、ハンド134、マッピングセンサー136を備えている。アーム132には、一端側にウェーハWAFを真空吸着または把持するハンド134が接続され、ハンド134とは反対側の他端側にマッピングセンサー136が接続されている。なお、アームの本数は1本でよいし3本以上でもよい。
【0043】
ウェーハ搬送ロボット130は、例えば、コンピュータシステム190から各ウェーハWAFの偏芯量測定結果を受信し、受信した偏芯量測定結果に基づいて偏芯量を補正することで、向きを揃えてカセットCASからウェーハWAFを取り出す。そして、ウェーハ搬送ロボット130は、取り出したウェーハWAFを上位ポート203へ搬送する。このように、ウェーハ搬送ユニット100とウェーハ処理ユニット200との間でのウェーハWAFの受け渡しは、上位ポート203を介して行われる。
【0044】
ウェーハ搬送ロボット130は、ウェーハ処理ユニット200で処理されて戻ってきた処理済みのウェーハWAFを上位ポート203から取り出す。そして、ウェーハ搬送ロボット130は、上位ポート203から取り出したウェーハWAFをカセットCASに収容する。このとき、処理済みのウェーハWAFは、原則として、処理実行前と同じカセットCASの同じスロットに収容される。
【0045】
ウェーハ搬送ロボット130の水平方向の駆動軸は、カセット載置台110から
図2の上位ポート203へ向かう方向のX軸、およびX軸と直交するY軸である。ウェーハ搬送ロボット130の垂直方向の駆動軸は、Z軸である。また、ウェーハ搬送ロボット130は、Z軸を中心としてXY平面内で回転可能であり、その回転角はΘで表される。ウェーハ搬送ロボット130は、アーム132およびハンド134を、これら各駆動軸に沿って動作(回転を含む)することで、ウェーハWAFの搬送動作を行う。
【0046】
図2~
図4には、ウェーハ搬送ロボット130として、直行駆動型のロボットが例示されているが、このような構成に限定されない。ウェーハ搬送ロボット130は、例えば複数軸が連動して動作するような多関節型のロボット等、ウェーハWAFを搬送する機能を備えていればどのような構成でも構わない。
【0047】
マッピングセンサー136は、カセットCASに収容されたウェーハWAFのセンシングを行うセンサーである。具体的に述べると、マッピングセンサー136は、カセットCASに収容されたウェーハWAFの位置をセンシングする。
【0048】
マッピングセンサー136として、例えば、光を用いた透過型センサが用いられる。図に示すように、マッピングセンサー136は、ウェーハWAFの位置検出用の位置検出光を照射する投光器136aと、投光器136aから照射された位置検出光を受光する受光器136bとを備えている。投光器136aは受光器136bへ向けて位置検出光を照射し、受光器136bは位置検出光を受光すると受光信号をセンシング信号として出力する。また、受光器136bは位置検出光を受光していないときは受光信号の反転信号をセンシング信号として出力してもよい。
【0049】
受光信号および反転信号は、例えばコンピュータシステム190へ送信され、コンピュータシステム190において、受光信号(および反転信号)に基づくウェーハWAFの位置検出処理が行われる。なお、マッピングセンサー136は、このような構成に限定されず、反射した位置検出光に基づき位置検出を行う反射型センサ等が用いられてもよい。
【0050】
なお、
図2~
図4には、マッピングセンサー136がウェーハ搬送ロボット130に実装された例が示されているが、マッピングセンサー136は、カセット載置台110やカセットオープナー(図示は省略)等に実装されてもよい。
【0051】
カメラ140は、ウェーハ搬送ユニット100内で、カセット載置台110と対向する上位ポート203側の筐体の所定位置に設置されている。カメラ140は、カセット載置台110、カセット載置台110に載置されたカセットCAS、およびカセットCASに収容されたウェーハWAFを含む撮像画像を生成する撮像装置である。
図2では、カセット載置台110a(110)、110b(110)のそれぞれに対応するカメラ140a(140)、140b(140)が設けられている。
【0052】
カメラ140は、可視光カメラ(カラーカメラ)、赤外線カメラ、および偏光カメラのいずれかの機能を備えてもよいし、これら複数の機能を備えてもよい。赤外線カメラは、サーモグラフィーとして撮影領域の温度分布画像(赤外線画像)を生成する。赤外線画像に基づき、コンピュータシステム190は、カセットCAS内部の温度を測定することができる。
【0053】
赤外線カメラの機能を備える場合、カメラ140は、赤外線カメラや赤外線の透過率が高い光学系を備える。偏光カメラの機能を備える場合、カメラ140は、偏光カメラや偏光を制御する光学系を備える。
【0054】
偏光カメラは、カセットCASが黒や透明等で識別しにくい場合に用いられ、撮影領域における光の偏光状態における撮像画像(偏光画像)を生成する。赤外線画像や偏光画像を用いた場合、可視光の撮像画像よりも、ウェーハWAFやカセットCASのエッジや形状を検出しやすくなる場合がある。
【0055】
カメラ140および光学系144は、カセットCASの色や材質に応じて最適なものが選択される。使用されるカメラ140のイメージセンサーや、光学系144の波長に対する感度を示す分光感度にもよるが、光学系144は、例えば、波長選択用のフィルタ、偏光板、波長板等を実装し、偏光状態における撮像領域の撮像画像や赤外線の撮像画像を生成しても構わない。その場合、光学系144は、分光機能やフィルタにより、特定の波長域の光のみを透過するように構成される。
【0056】
カメラ140には、撮像画像にカセット載置台110、カセットCAS、およびカセットCASが含まれるよう光路148が調整された光学系144(
図4)が実装されている。なお、カメラ140の光学系は、少なくともカセット載置台110に載置されたカセットCAS、およびカセットCASに収容されたウェーハWAFを含むように調整されてもよい。
【0057】
光学系144は、光学ズームによる拡大撮影機能を備えてもよい。拡大撮影機能を実現するためには、カメラ140に、レンズの切り替えや焦点距離の調整を行うレンズ可動部が設けられる。また、カメラ140は、デジタルズーム機能を備えてもよい。したがって、拡大画像は、光学ズームにより生成されてもよいし、光学系を変更せずにデジタルズームにより生成されてもよい。
【0058】
また、カメラ140は、動画撮影機能を備えてもよい。動画データは、所定期間、ウェーハ搬送ユニット100内の記憶装置やコンピュータシステム190等に保存される。これにより、作業者や半導体製造工場の上位コンピュータシステムは、カセットCASの搬入や搬出、カセットCASに対するウェーハWAFの取り出しや収容等の様子を記録することが可能となる。
【0059】
異常発生時には、録画された動画をモニター320に表示し、異常発生時の状況を目視で確認することで、異常発生の原因を究明することができ、再発防止への注意喚起や対策を実施することが可能となる。
【0060】
ここでいう異常とは、例えば、作業者による人為的ミスでカセットCASが斜めに載置された場合や、カセット載置台110にカセットCASを載置した際にウェーハWAFが飛び出して破損した場合等を含む。
【0061】
照明系142は、カセットCASと対向する位置に設けられ、カセットCASを含む領域を照明する。照明系142は、例えば、カメラ140による撮影のタイミングに合わせて、照明光のON/OFFを切り換えることが可能である。照明系142は、カメラ140に実装されるフラッシュ等の照明でもよいし、カメラ140とは別体で設けられてもよい。照明系142の光路146は、カセット載置台110、カセットCAS、およびウェーハWAFに、照明が最適に照射されるように調整される。
【0062】
カメラ140が、赤外線カメラや赤外線の透過率が高い光学系を備えている場合、照明系142は赤外線を照明する。これにより、カセットCASがパッシブでは検出しにくい材質や色で構成された場合や、工場の照明が暗い場合においても、カセットCASやウェーハWAFを精度よく検出することが可能になる。
【0063】
また、カメラ140が、偏光カメラや偏光状態を観察可能な光学系を備えている場合、照明系142は、偏光状態を制御した光を照明する。また、照明系142は、いつも決められた所定の光路を通る照明光や、レーザを制御した偏光照明光を照射することで、形状識別のための偏光状態の選択が容易になり、カセットCASやウェーハWAFを精度よく検出することが可能になる。
【0064】
コンピュータシステム190は、コンピュータシステム310の命令に従い、ウェーハ搬送ユニット100内の各要素を制御し、ウェーハ処理ユニット200との間でのウェーハWAFの受け渡しや、カセットCASに対するウェーハWAFの取り出しや収容等を処理を行う。
【0065】
コンピュータシステム190は、例えば、各種演算や解析を行うプロセッサ、ウェーハ搬送ロボット130を制御するロボットコントローラ、プリアライナ120を制御するプリアライナコントローラ等を備えている。ロボットコントローラおよびプリアライナコントローラは、プログラムを実行することによりプロセッサ上に実現されてもよい。また、コンピュータシステム190には、これらを駆動させる電源等が含まれてもよい。
【0066】
ウェーハ搬送ユニット100は、通信装置を備え、通信装置を介して操作卓300のコンピュータシステム310、およびウェーハ処理ユニット200のコンピュータシステムと通信を行い、命令、信号、および情報等の送受信を行う。
【0067】
なお、操作卓300にコンピュータシステム310が設けられない場合もある。この場合、ウェーハ搬送ユニット100のコンピュータシステム190に、コンピュータシステム310に機能が含まれてもよい。すなわち、この場合、コンピュータシステム190がホストコンピュータとなって、半導体製造装置1全体の制御を行う。
【0068】
<カセットの構成>
図5は、カセットの構成の一例を示す正面図である。カセットCASには、ウェーハWAFを載置するウェーハガイド(以下では溝とも呼ぶ)が複数段設けられ、複数枚のウェーハWAFを収容可能である。ウェーハガイドは、スロットやポケット等も称される。
【0069】
カセットCASは、ウェーハ収容容器、FOUP(Front Opening Unify Pod)、オープンカセット、ポッドなどとも呼ばれる。カセットCASも、規格化されている。
【0070】
ある規格では、直径150mmのウェーハに対応するスロット間ピッチ(PIT_1、PIT_2)は、4.76±0.25mmと規定されている。また、直径200mmのウェーハに対応するスロット間ピッチは、6.35±0.38mmと規定されている。このように、カセットCASに収容されたときのウェーハ間の距離は、直径150mmのウェーハのほうが直径200mmのウェーハよりも狭くなる。
【0071】
また、直径150mm以下のウェーハに対応するカセットCASでは、直径200mmや直径300mmに対応するカセットCASと比較して、スロット間ピッチは狭い。
【0072】
スロット間ピッチは、同じカセットCAS内でも、それぞれの寸法の差、すなわち、バラつきが大きい場合がある。直径が150mm以下のカセットCASでは、スロット間ピッチが狭いので、ウェーハ搬送ロボット130のハンド134が動作可能な空きスペースに対し寸法バラつきの占める割合が大きくなる。
【0073】
カセット載置台110に載置されたカセットCASの高さ方向(Z軸方向)におけるスロットの位置は、同じ製造メーカの別のカセットや製造メーカが異なるカセットとの間で異なる場合がある。例えば、カセットCASの底面から、1段目のスロットまでの位置(高さH1)が、スロット間で異なる場合がある。このように、カセットCASが異なるとウェーハWAFを搬送する高さが異なると、ウェーハ搬送リスクが高まる。
【0074】
<カセットおよびウェーハの位置検出方法>
次に、撮像画像等を用いたカセットおよびウェーハの位置検出方法について説明する。ウェーハWAFに対する処理を行うに際し、カセットCASの位置およびカセットCAS内における各ウェーハWAFの位置が特定される。
【0075】
図6は、本発明の実施の形態1に係る位置検出方法の一例を示すフロー図である。
図6の例では、カセットおよびウェーハの位置検出に際し、ステップS10~S120の処理が行われる。
【0076】
《ステップS10》
まず、ステップS10では、カセットCASに収容されたウェーハWAFのマッピング情報の取得が行われる。マッピング情報の取得に際し、カセットCASに収容されたウェーハWAFの位置を検出するマッピング処理が行われる。マッピング処理では、マッピングセンサー136をZ軸方向に動作(以下マッピング動作とも称する)させることにより、用いてカセットCASに収容されたウェーハWAFをセンシングすることで、Z軸方向におけるウェーハWAFの位置が検出される。
【0077】
図7は、マッピング動作の概略およびウェーハの位置検出結果を一例を示す図である。
図7では、カセットCASに3枚のウェーハWAFが収容され、これらウェーハWAFの位置が検出される場合が例示されている。
【0078】
カセット載置台110のセンサー等によって、カセットCASがカセット載置台110に正常に載置され、カセットCASからのウェーハWAFの飛び出しが検出されていなければ、ウェーハ搬送ユニット100のコンピュータシステム190は、ウェーハ搬送ロボット130を駆動して、マッピングセンサー136をカセットCASの正面に移動させる。このとき、マッピングセンサー136は、マッピング動作用に予め設定された所定のホームポジション(HP)に配置される。
【0079】
その後、ウェーハWAFの位置のみが検出されるように、すなわちカセットCASと干渉させないように、コンピュータシステム190は、ウェーハ搬送ロボット130を駆動して、マッピングセンサー136をZ軸に沿って上から下へ駆動させる。なお、このときのマッピング動作は下から上でも構わないが、再現性を良くするため、常に決められた方向とすることが望ましい。
【0080】
マッピング処理についてより具体的に述べる。
図7の右側の図には、マッピング動作により検出されたウェーハWAFの位置やマッピング範囲設定情報等が示されている。ウェーハ搬送ロボット130には、操作卓300から、Z方向のマッピング範囲設定情報が教示されている。マッピング範囲設定情報は、マッピング動作時に、マッピングセンサー136が、カセットCAS、カセット載置台110、およびウェーハ搬送ユニット100の筐体等と物理的に接触しない安全な範囲を示すものである。マッピング範囲設定情報として、例えば、マッピング動作の上限位置(+Limit)および下限位置(-Limit)が設定される。これらのマッピング範囲設定情報は、作業者により予め設定される。
【0081】
マッピングセンサー136は、上限位置(+Limit)および下限位置(-Limit)間を移動することでマッピング処理を行う。なお、カセットCASの周囲にはスペースがあるため、マッピング範囲設定情報の上限値および下限値は、カセットCASの種類によらず同じ値を用いることが可能である。したがって、一度教示されたマッピング範囲設定情報は、ウェーハ搬送ユニット100内(例えば記憶装置やコンピュータシステム190)に保存しておくことが望ましい。これにより、次回以降のマッピング処理を即座に開始することができる。
【0082】
マッピング動作中、マッピングセンサー136は、ウェーハWAFが収容されている位置付近でON、OFFを切り換える。具体的に述べると、まず、受光器136bが投光器136aからの位置検出光を受光しているとき、マッピングセンサー136はONであり、受光器136bが投光器136aからの位置検出光を受光していないとき、マッピングセンサー136はOFFである。
【0083】
マッピングセンサー136がウェーハWAFの上面位置(高さ)まで下がっていなければ、受光器136bは位置検出光を受光し受光信号(センシング信号)を出力する。一方、マッピングセンサー136がウェーハWAFの上面位置(Upper)まで下がると、位置検出光はウェーハWAFによって遮られる。このため、受光器136bは、位置検出光を受光できず受光信号を出力することができない。ただし、受光器136bは、受光信号の反転信号(センシング信号)を出力してもよい。そして、マッピングセンサー136がウェーハWAFの下面位置(Lower)まで下がると、受光器136bは、再び位置検出光を受光し、受光信号(センシング信号)の出力を再開する。
【0084】
図7の例では、カセットCASの下段に収容されたウェーハWAF1については上面位置(Upper1)、下面位置(Lower1)がそれぞれ検出される。カセットCASの中段に収容されたウェーハWAF2については上面位置(Upper2)、下面位置(Lower2)がそれぞれ検出される。カセットCASの上段に収容されたウェーハWAF3については上面位置(Upper3)、下面位置(Lower3)がそれぞれ検出される。
【0085】
ウェーハ搬送ロボット130は、マッピングセンサー136がウェーハWAFの上面位置(Upper)、下面位置(Lower)に来たときのエンコード値をコンピュータシステム190へ送信する。例えば、ウェーハ搬送ロボット130は、マッピングセンサー136がONからOFFに切り換わったときの上面位置に対応するエンコード値、およびOFFからONに切り換わったときの下面位置に対応するエンコード値をコンピュータシステム190へ送信する。コンピュータシステム190は、受信したエンコード値を保持するか、記憶装置に格納する。
【0086】
なお、エンコード値とは、ウェーハ搬送ロボット130の姿勢を制御するための制御値である。本実施の形態では、ウェーハ搬送ロボット130をZ軸方向に動作させるための制御値がエンコード値として用いられる。
【0087】
ウェーハ搬送ロボット130は、エンコード値を送信した回数によりカセットCASに収容されているウェーハWAFの枚数を認識することができる。
図7の例では、上面位置(Upper)および下面位置(Lower)が3セットあるため、ウェーハ搬送ロボット130は、エンコード値を6回送信する。よって、ウェーハ搬送ロボット130は、ウェーハWAFが3枚であると認識することができる。例えば、上述したこれらの情報がマッピング情報に含まれる。
【0088】
コンピュータシステム190は、ウェーハ搬送ロボット130から送信されたエンコード値により、ウェーハ搬送ロボット130(マッピングセンサー136)のZ軸方向の移動量を把握することができる。これにより、コンピュータシステム190は、エンコード値に基づき、カセットCASに収容されたウェーハWAFのZ軸における位置を検出することが可能である。このように、コンピュータシステム190は、マッピングセンサー136から送信されるセンシング信号に基づきウェーハWAFのマッピング情報を取得する。
【0089】
また、コンピュータシステム190は、上面位置(Upper)および下面位置(Lower)のそれぞれ対応するエンコード値から、各ウェーハWAFの厚みを算出することが可能である。これにより、コンピュータシステム190は、カセットCASにウェーハWAFが正常に収容されているかどうかを判定することが可能である。このような判定結果もマッピング情報に含まれる。
【0090】
図8は、ウェーハの厚みに異常が検出された場合を含めたウェーハの配置を例示する図である。
図8のカセットCASには、複数のウェーハ(WAF11~WAF17)が収容されている。上端側のウェーハWAF11~WAF12、および下端側のウェーハWAF13~WAF14は、正常にカセットCASに収容された場合を示している。
【0091】
一方、ウェーハWAF15~WAF17は、ウェーハWAFの厚みが異常である場合の例を示している。具体的に述べると、ウェーハWAF15~WAF16は、同一スロットに2枚のウェーハが収容された場合が示している。そして、ウェーハWAF17は、図示で左右異なるスロットに収容された、段違収容の例を示している。このような、異常な状態のままでウェーハWAFを搬送しようとすれば、ウェーハWAFが傷ついたり、ウェーハWAFが割れるおそれがある。
【0092】
なお、カセットCASの全スロットにウェーハWAFが収容されていれば、上面位置(Upper)および下面位置(Lower)から、隣り合うウェーハWAF間の距離を算出し、スロット間のピッチを把握することが可能である。ただし、カセットCASの全スロットにウェーハWAFが収容されるとは限らない。このため、キャリブレーションを行うために、カセットCASの全スロットにウェーハWAFを収容して、マッピング処理を行うのは、手間や時間が掛かり効率的ではない。そこで、後述するように、カメラ140を用いてカセットCASの形状やスロット間のピッチが検出される。このような情報も、マッピング情報に含まれてもよい。
【0093】
《ステップS20》
ステップS20において、コンピュータシステム190は、カメラ140の光路148および照明系142の光路146を遮らないように、ウェーハ搬送ロボット130を退避させる。
【0094】
《ステップS30》
ステップS30において、コンピュータシステム190は、カメラ140の撮影条件の設定を行う。コンピュータシステム190は、作業者や上位コンピュータシステムからの命令に応じて、例えば、オートフォーカス等の光学ズーム、レンズの切り替え、フィルタの切り替え、波長板の切り替え、可視光カメラと赤外線カメラとの切り替え、露光時間の設定等、撮影に必要な光学系144の設定や位置調整等を行う。
【0095】
また、コンピュータシステム190は、照明系142に関わる撮影条件の設定や調整等も行う。照明系142に関わる撮影条件には、例えば、照明の光量、赤外光と可視光との切り替え、照明時間、照明位置等が含まれる。また、照明光がレーザ等の偏光を持つ場合、照明光の偏光の切り替えも撮影条件に含まれる。
【0096】
作業者は、ウェーハ搬送ユニット100に搬入されている各カセットCASを識別している。このため、モニター320に表示されるGUIに、カセットCASを選択できるチェックボックスを予め用意しておき、選択したカセットCASごとに、撮影条件を入力または選択できるようにしてもよい。
【0097】
また、後述するステップS70の後、ステップS30が再度実行される場合、コンピュータシステム190は、予め用意した別の撮影条件を、予め指定した順序で順次設定してもよい。
【0098】
《ステップS40》
ステップS40において、カメラ140は、コンピュータシステム190からの命令に従い、カセットCAS、ウェーハWAF、およびカセット載置台110を含む領域、あるいはその一部の領域を撮影する。撮像画像は、コンピュータシステム190のRAMに保持された後、ウェーハ搬送ユニット100の記憶装置に格納される。
【0099】
また、撮像画像は、ネットワークを介して、コンピュータシステム310へ送信され、コンピュータシステム310のRAMに保持された後、操作卓300の記憶装置に格納されてもよい。コンピュータシステム310へ送信された撮像画像は、モニター320に逐次表示され、作業者は、モニター320に表示された撮像画像をモニタリングすることができる。
【0100】
《ステップS50》
ステップS50において、コンピュータシステム190は、撮像画像に対する画像処理を行う。画像処理には、例えば、ウェーハWAF、カセットCAS、およびカセット載置台110の形状を識別可能なアルゴリズムが用いられる。具体的に述べると、ラプラシアンフィルタ、ゾーベルフィルタ、キャニーフィルタ、二値化等のアルゴリズムを用いてウェーハWAF、カセットCAS、およびカセット載置台110のエッジや形状の検出が行われる。ただし、これ以外の画像処理が行われてもよい。
【0101】
ステップS50において、それぞれ異なるアルゴリズムを用いて画像処理を複数回行ってもよいし、事前に得られた知見に基づいて選択したアルゴリズムを用いた画像処理のみを行ってもよい。
【0102】
なお、コンピュータシステム190において、モニター320への表示させるための画像処理を行ってもよい。例えば、コンピュータシステム190は、作業者がモニター320に表示させる画像の種類を選択したときに、選択された種類の画像がすぐに表示されるよう、色彩を変更した画像や、ウェーハWAFのみの画像、サーモグラフィー画像等を、表示させるための画像処理を予め行ってもよい。
【0103】
《ステップS60》
ステップS60では、撮像画像に基づき画像ウェーハ情報の取得が行われる。コンピュータシステム190は、例えば、画像処理後の撮像画像からエッジや形状を検出し、パターン認識によりウェーハWAFの検出を行う。
【0104】
具体的に述べると、カセットCASのサイズからウェーハの直径は容易に推測できる。これにより、検出されたエッジがウェーハWAFの直径に近い長さの横線であれば、このエッジはウェーハWAFのものであると容易に識別することが可能である。よって、コンピュータシステム190は、このようなエッジがウェーハWAFのものであると判定し、ウェーハWAFの直径、厚み、枚数を認識することができる。そして、コンピュータシステム190は、検出したエッジからウェーハWAFの位置(上面位置、下面位置)を検出する。これらの情報は、画像処理により取得した画像ウェーハ情報に含まれる。このように、コンピュータシステム190は、撮像画像に基づき画像ウェーハ情報を取得する。
【0105】
また、コンピュータシステム190は、ウェーハWAFのエッジが水平かどうかを検出し、ウェーハWAFがカセットCASに正常に収容されているどうかを判別する。
図8のようなスロットの段違いで斜めに入っている等の異常が検出された場合、後述のステップS120において警告表示が行われる。また、このような異常に関する情報も画像ウェーハ情報に含まれてもよい。
【0106】
《ステップS70》
ステップS70において、コンピュータシステム190は、ステップS10において取得したマッピング情報と、ステップS60において画像処理後の撮像画像に基づき取得した画像ウェーハ情報とが一致するかどうかを判定する。コンピュータシステム190は、例えば、ウェーハWAFの有無、枚数、厚み、異常の有無を含めた収容状態、収容された位置(高さ)、収容されたスロットの段数等の項目についてマッピング情報と画像ウェーハ情報とを比較する。なお、マッピング情報と画像ウェーハ情報との比較には、これらのうちの一部項目のみで比較を行ってもよい。
【0107】
なお、撮像画像を複数の領域に区切り、マッピング情報と画像ウェーハ情報との比較が、領域ごとに行われるようにしてもよい。領域の区切り方として、例えば、撮像画像の下端から上端に向けて順次区切ることが挙げられる。
【0108】
マッピング情報と画像ウェーハ情報とが一致しない場合(NO)、ステップS80に移行する。一方、マッピング情報と画像ウェーハ情報とが一致する場合(YES)、ステップS90に移行する。
【0109】
《ステップS80》
マッピング情報と画像ウェーハ情報とが一致しない場合、撮影条件の変更を行い画像ウェーハ情報を再取得するリトライが行われる。ただし、リトライを繰り返すとウェーハ処理が滞るため、リトライ回数の上限値が設けられる。
【0110】
ステップS80において、コンピュータシステム190は、すでに行われたリトライのリトライ回数が予め設定されたリトライ上限回数であるかどうかを判定する。リトライ回数がリトライ上限回数より小さい場合(NO)、ステップS30~S70の処理が再度実行され、撮影条件変更後の画像ウェーハ情報の取得、およびマッピング情報と画像ウェーハ情報との比較が行われる。なお、リトライ回数は、例えば、ステップS80においてリトライ回数がリトライ上限回数より小さいと判定された回数で規定される。
【0111】
一方、リトライ回数がリトライ上限回数である場合(YES)、ステップS120へ移行する。そして、コンピュータシステム190は、リトライ回数がリトライ上限回数であることを示すエラーをコンピュータシステム310へ出力し、エラーをモニター320に表示させる。
【0112】
《ステップS90》
ステップS90において、コンピュータシステム190は、ステップS70におけるマッピング情報と画像ウェーハ情報との比較結果から、カセットCASにウェーハWAFが収容されているかどうかを判断する。カセットCASにウェーハWAFが収容されていると判定された場合(YES)、ステップS100へ移行する。一方、カセットCASにウェーハWAFが収容されていないと判定された場合(NO)、ステップS110へ移行する。
【0113】
《ステップS100》
ステップS100において、コンピュータシステム190は、収容先が不明のウェーハWAFがあるかどうかが判定される。ウェーハWAFがカセットCASから取り出され、再び収容されるまで、同じ場所に同じカセットCASが載置されていた場合、コンピュータシステム190は、搬送または処理されているウェーハWAFの収容先は不明ではないと判断する(NO)。
【0114】
一方、ウェーハWAFがカセットCASから取り出され、搬送または処理されているとき、作業者や半導体製造工場のカセット搬送ロボットによってカセットCASがカセット載置台110から取り除かれた後、同じ場所にカセットCASが載置された場合、ウェーハ搬送ロボット130またはコンピュータシステム190は、後のカセットCASが前のカセットCASと同じであるかどうかを判断することができない。このため、コンピュータシステム190は、搬送または処理されているウェーハWAFの収容先は不明であると判断する(YES)。
【0115】
また、ウェーハ処理中の停電や非常停止ボタンの押下等により電源が遮断された後、電源が復帰した場合についても、ウェーハ搬送ロボット130またはコンピュータシステム190は、電源遮断の前後において検出されたカセットCASが同じであるかどうかは判断することができない。このため、コンピュータシステム190は、搬送または処理されているウェーハWAFの収容先は不明であると判断する(YES)。
【0116】
各カセットCASでは、Z軸方向におけるスロットの位置が異なったり、バラついたりする場合がある。このため、ここで述べたような事態が生じた場合、コンピュータシステム190は、ウェーハWAFの収容先が不明であると判断し、安全性を確保している。
【0117】
近年、直径200mm以下の小口径のウェーハには、例えばシリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)等の半導体材料が用いられるようになってきている。また、ウェーハWAFに形成される半導体素子が多層になってきている。これらから、ウェーハの厚みは、規格に準拠したものだけではなくなりつつある。ウェーハが厚くなると、カセットCAS内におけるウェーハ搬送ロボット130の可動範囲の裕度が少なくなる。このため、ウェーハ搬送リスクが高まることとなる。
【0118】
搬送または処理されているウェーハWAFの収容先は不明ではないと判断された場合(NO)、ステップS120へ移行する。一方、搬送または処理されているウェーハWAFの収容先は不明であると判断された場合(YES)、ステップS110へ移行する。
【0119】
《ステップS110》
ステップS110において、コンピュータシステム190は、カセットCASの寸法計測を行う。
【0120】
カセットCASの寸法計測には、ステップS40およびステップS50で説明した画像処理前後の撮像画像等が用いられる。
図9は、カセットの寸法計測処理に用いられる撮像画像の一例を示す図である。
図10は、
図9の拡大画像を示す図である。
図10は、
図9のカセットCASの左下側の領域が光学ズームやデジタルズーム等により拡大表示されている。また、
図9、
図10の画像は、カセットCASの寸法計測をしやすくするため、例えばカセットCASのエッジを検出し、グレースケールの色彩処理を行った後の撮像画像である。
【0121】
図10の画像生成に関して、使用する光学系にもよるが、例えば、カセットCASの外形の一辺を200mmとし、カセットCASの外形の一辺が一方向に配列された3000画素に結像する場合、分解能は、約0.07mm程度となる。システムとしての設計を行い、光学ズームおよびデジタルズームの選択は、要求する安全性や価格により決定される。
【0122】
カセット載置台110には、寸法計測用の基準スケール112、基準スリット114が設けられている。基準スケール112は、数mm程度から数μm程度の、任意の光学スケールである。コンピュータシステム190は、基準スケールに基づき、撮像画像の寸法計測対象の寸法を計測する。コンピュータシステム190は、例えば、基準スケール112の目盛間の実際の距離を撮像画像の画素数に変換することで基準画素数を検出する。そして、コンピュータシステム190は、撮像画像の寸法計測対象の画素数を検出することで、寸法計測対象の実際の寸法を算出する。
【0123】
なお、キャリブレーションは頻繁に行う必要はないが、例えば、光学系の可動部を動作させた場合、あるいはワーニングやエラーが発生した場合等には、寸法計測処理の実施前にキャリブレーションが行われることが望ましい。
【0124】
コンピュータシステム190は、基準スリット114に基づき、ウェーハ搬送ロボット130のZ軸方向の位置(高さ)と、撮像画像のウェーハ搬送ロボット130のZ軸方向の位置(高さ)とを合わせる。基準スリット114は、マッピングセンサー136によってスキャンされる。基準スリット114の上面位置(Upper)および下面位置(Lower)は、コンピュータシステム190に予め教示され、格納されている。なお、基準スリット114の下面位置(Lower)または上面位置(Upper)と対応する基準スケール112の目盛が、コンピュータシステム190に格納されていてもよい。
【0125】
また、コンピュータシステム190は、基準スリット114の下面位置(Lower)と、マッピングセンサー136のホームポジション(HP)との間の距離に基づいて、マッピングセンサー136のホームポジションにいるときのウェーハ搬送ロボット130と基準スリット114との位置関係(距離等)を格納しておき、カメラ140で撮影される位置と、ウェーハ搬送ロボット130の駆動位置の絶対位置とを揃えることが可能である。
【0126】
作業者は、例えば、モニター320に表示されるGUIに示される撮像画像を参照しつつ、マウス等を用いて任意の2点を指定することで任意の場所の寸法を計測することも可能である。
【0127】
カセットCASの寸法が自動計測される場合、コンピュータシステム190は、カセットCASの両端間の寸法、およびウェーハWAFのエッジ両端間の寸法を計測する。これにより、ウェーハWAFの直径を推定することが可能となる。また、撮像画像におけるカセットCASの両端の寸法から、コンピュータシステム190は、
図9に示すカセットCASの中心線CENを算出する。中心線CENは、カセットCASが正常にカセット載置台110に載置されているかどうかの判定に用いられる。
【0128】
また、コンピュータシステム190は、ウェーハガイドの溝であるスロットの中心位置SLOT_CENを検出する。コンピュータシステム190は、例えば、ウェーハガイドの上面と下面と間の距離(例えばD1、D2、D3)計測し、それぞれの距離の中心位置を検出する。そして、コンピュータシステム190は、検出したそれぞれの中心位置SLOT_CENと、基準スリット114の下面位置との距離D10を算出する。
【0129】
コンピュータシステム190は、算出したこれらの値を用いることで、ウェーハ搬送ロボット130がウェーハWAFをカセットCASに収容する位置を認識でき、ウェーハWAFを1段目のスロットへ安全に収容することができる。
【0130】
ここでは、1段目のスロットについて説明したが、コンピュータシステム190は、複数段の各スロットについて、中心位置SLOT_CEN、および基準スリット114の下面位置との距離D10を算出してもよい。複数段のスロットについて、中心位置SLOT_CEN、および基準スリット114の下面位置との距離D10を算出した場合、ウェーハ搬送ロボット130は、任意のスロットへウェーハWAFを収容することが可能となる。
【0131】
また、より安全にウェーハWAFを搬送したい場合や、寸法測定処理に要する時間を短縮させたい場合、基準スケール112や基準スリット114から近いスロットに対し、中心位置SLOT_CEN、および基準スリット114の下面位置との距離D10の算出が行われてもよい。基準スケール112や基準スリット114から近ければ、寸法計測誤差が小さくなり安全性が向上する。また、寸法計測を行うスロット数が少なくなるので、寸法計測に要する時間を短縮することができる。
【0132】
また、作業者は、カセットCASの寸法計測を目的として、カセットCASをウェーハ搬送ユニット100内へ搬入することができる。複数のカセットCASの寸法計測処理を事前に行うことにより、ステップS110を適宜スキップすることが可能となる。
【0133】
《ステップS120》
ステップS120では、アラームやワーニングの警告類を含め、操作卓300のモニター320に、ステップS10~ステップS110までの処理結果等が表示される。また、ユーザが半導体製造工場の上位コンピュータシステムである場合には、これらの処理結果が上位コンピュータシステムへ送信される。なお、各ステップの処理結果等は、随時、操作卓300または上位コンピュータシステムへ送信され、記憶装置等に格納されてもよい。この場合、処理結果等がモニター320に随時表示されてもよい。
【0134】
ステップS120の処理が完了すると、
図6のフローチャートは終了となる。その後、ウェーハWAFの搬送、処理等が行われる。
【0135】
<撮像画像およびGUI>
次に、画像処理前後を含む撮像画像およびモニター320に表示されるGUI画面の例について説明する。
図11は、撮像画像を例示する図である。
図11には、画像処理後の撮像画像が複数種類示されている。
【0136】
画像PIC_1は、撮影画像(または動画像)に、マッピング情報(ステップS10)に基づくウェーハ画像WAFaが合成表示されたものである。画像PIC_2は、カセットCASの画像を非表示とし、カメラ140の赤外線カメラで撮影したサーモグラフィー画像に、ウェーハ画像WAFaが合成表示されたものである。画像PIC_2aは、画像PIC_2の温度スケールを示す画像である。画像PIC_2aは、画面における濃淡が温度の高低を示すことを、作業者にわかりやすいように伝えており、画像PIC_2とセットで表示される。
【0137】
画像PIC_3は、カセットCASのエッジを強調した画像にウェーハ画像WAFaが合成表示されたものである。必要でない領域の画像を一定の色彩(例えば白)にすることで、ウェーハWAFやカセットCASが、識別されやすくなっている。画像PIC_4は、さらにシンプルに、エッジ検出してパターン認識したウェーハ画像WAFaのみが表示されたものである。これらの画像は、予め容易されており、作業者は、PICのプルダウン等で画像を選択することにより、表示画像を切り換えることが可能である。
【0138】
図12は、GUIを例示する図である。
図12には、画像PIC_1がモニター320に表示されたときのGUIが例示されており、処理対象のウェーハWAFの選択画面のGUIである。
【0139】
作業者がマウスを用いて任意のウェーハ画像WAFa付近にカーソルCURを移動させると、そのウェーハ画像WAFaが点滅する。
図12では、下から24段目のスロットが選択されている。この状態でマウスがクリックされると、ウェーハ画像WAFaはハイライトされた画像に切り換わる。このとき、ウェーハWAFは処理対象として仮選択された状態となり、チェックボックスBOX_1が引き出し線とともに表示される。さらに、チェックボックスBOX_1がクリックされるか、あるいはもう一度ウェーハ画像WAFaがクリックされるとチェックが入り、このウェーハWAFは、処理予約状態となる。
【0140】
なお、複数のウェーハ画像WAFaが選択される場合には、同様の作業が繰り返し行われる。この場合、クリック順やカセットCASへの収容順等、予め設定された規則に従って、対応するウェーハWAFが順次処理される。
【0141】
ウェーハチェックボックスBOX_2は、ウェーハWAFの処理予約状態の概要を示すボックスである。ウェーハチェックボックスBOX_2には、
図6のステップS70で検出されたウェーハWAFの枚数分、チェックボックスが配置されている。具体的に述べると、
図11または
図12では、下から1~2段目、10~12段目、24段目のスロットにウェーハWAF(WAFa)がそれぞれ収容されている。このため、ウェーハチェックボックスBOX_2には、スロットの各段に対応するチェックボックスが表示される。
【0142】
先ほど下から24段目のスロットのウェーハ画像WAFaがチェックされたので、ウェーハチェックボックスBOX_2にも、そのチェック状態が反映されている。なお、ウェーハチェックボックスBOX_2の各チェックボックスの隣には、対応するスロット段数が表示されているが、スロット段数の表示は適宜省略可能である。
【0143】
また、ウェーハ画像WAFaを選択せずに、ウェーハチェックボックスBOX_2の該当ウェーハチェックボックスを、チェックした場合でも、対応するウェーハWAFを処理予約状態にすることが可能である。
【0144】
ウェーハ搬送ユニット100では、処理対象のウェーハが下から何枚目のウェーハであるかという管理を行うことができる。このため、ウェーハチェックボックスBOX_2の各チェックボックスの隣には、下から何枚目のウェーハであるかを示す数字が表示されてもよい。
図12の例では、下から24段目のスロットのウェーハWAFは、下から6枚目のウェーハであるので、対応するチェックボックスに「6」が表示される。
【0145】
また、
図12の例では、作業者が下から何枚目のウェーハWAFであるかを視覚的に判断可能であるため、ウェーハチェックボックスBOX_2の各チェックボックスの隣に表示される下から何枚目のウェーハであるかを示す数字を省略するモードが設けられてもよい。
【0146】
これらにより、作業者は、スロット段数等を意識せずに、ウェーハWAFの処理予約を行うことが可能である。また、ウェーハチェックボックスBOX_2に対して、表示または非表示の選択が可能である。
【0147】
選択されたウェーハWAFの処理中、対応するウェーハ画像WAFa、チェックボックスBOX_1やウェーハチェックボックスBOX_2の対応する箇所は、通常時とは異なる色で表示され、処理中であることがわかりやすく表示される。
【0148】
処理画像等についても、種類ごとに表示または非表示の選択が可能である。作業者は、使いやすくなるよう、GUIの構成を任意にカスタマイズすることが可能である。
【0149】
また、カセットCASに複数のウェーハWAFが密集して収容されている場合、作業者は、例えば矩形の領域ARE_1の対角線上にある2箇所の角をマウスでクリックすることで、領域ARE_1を
図13に示すように拡大表示させることができる。これにより、各ウェーハWAFを識別することが可能となり、ウェーハWAFの選択ミスを防止するこができる。
【0150】
図13は、
図12を拡大表示したGUIを示す図である。
図13には、前述した領域ARE_1が拡大表示されており、連続した3段のスロットに収容された各ウェーハWAFに対応するウェーハ画像WAFaが、選択しやすいように表示されている。
【0151】
カーソルCURを中央のウェーハ画像WAFa付近に移動させると、このウェーハ画像WAFaが点滅する。処理対象のウェーハWAFの選択等に関わる処理等についてはすでに述べているので、詳細な説明は省略する。
【0152】
作業者は、拡大表示される画像の種類を任意に選択可能である。
図13には、
図12とは異なり、画像処理によりエッジ処理されたカセットCASの画像PIC_3が拡大表示されている。これにより、カセットCASとウェーハWAFが、目視により認識しやすくなっている。
【0153】
図14は、サーモグラフィー画像が表示されたGUIを例示する図である。
図14に示すGUIには、サーモグラフィー画像とウェーハ画像WAFaとが合成表示された画像PIC_2および温度スケールを示す画像PIC_2aが含まれる。なお、サーモグラフィー画像には、カセット画像CASaや、ウェーハ画像WAFaおよびカセット画像CASaを合成表示することが可能である。
【0154】
温度スケールは、色や温度レンジを任意に変更することが可能である。温度スケールは、自動で最大値および最小値を判別して温度レンジが割り振られるように設定されてもよいし、いつも決められた所定の温度レンジが割り振られるように設定されてもよい。カーソルCURを画像PIC_2aに移動させると、カーソルCURで選択された位置の温度(例えば30℃)が温度スケールの画像PIC_2a付近に表示される。
【0155】
画像PIC_2を用いて測定した各位置の温度情報はコンピュータシステム190、310内のメモリ、または記憶装置に格納される。また、画像PIC_2において複数点をクリックすることで、複数個所の温度を同時に測定することも可能である。また、図示は省略のクリアボタンをクリックすると、これまでに取得した温度情報が消去される。
【0156】
図14の画像PIC_2によれば、上部中央付近の温度が高く、下部両端の温度が低いことが、作業者は一目で確認することができる。温度スケールを固定しておくことで、作業者は、ウェーハWAFやカセットCASの温度をほぼ同じにした状態でウェーハWAFの処理を開始させることが可能となる。
【0157】
また、所定の設定温度をコンピュータシステム190に保存しておくことで、コンピュータシステム190は、ウェーハWAFやカセットCASの温度が異常であることを判断して、アラームを出すことが可能である。半導体製造装置1は、ウェーハWAFの温度が処理結果に影響を与える場合が多いため、ウェーハWAFの温度が同じであることを作業者が簡単に目視で確認できることは大きな利点である。
【0158】
図15は、ワーニング表示を行うGUIを例示する図である。
図15には、カセットCASに収容されたウェーハWAFが、異常な状態であった場合のGUIが示されている。異常な状態には、同じスロットに複数のウェーハWAFが重ねて収容された場合や、ウェーハWAFが段違いのスロットへ斜めに収容されている場合等が含まれる。
【0159】
図15には、ウェーハ画像WAFaおよびカセット画像CASaや、異常な状態が発生している領域ARE_11、ARE_12が、警告表示されている。領域ARE_11、ARE_12は、警告表示として、例えば、任意の色(例えば黄色や赤色等)に表示されてもよいし、点滅表示されてもよい。
【0160】
また、カセット画像CASa付近には、警告表示として、「Warning」の文字が表示されてもよい。これらにより、作業者は一目でカセットCASに収容されたウェーハWAFに異常があることを認識することができる。また、表示画像からカセットCAS内でウェーハWAFが2枚重なって収容されていることや、斜めに収容されていることを、作業者は直接かつ容易に、目視により識別することができる。
【0161】
半導体製造工程において、事前にウェーハWAFの厚みが規格外に厚いことが分かっている場合には、当該ウェーハWAFの厚みに起因した警告が表示されないよう、予めウェーハWAFの厚みの許容範囲を設定することが可能である。
【0162】
図15のウェーハチェックボックスBOX_11では、スロット段数が非表示である。
図15では、ウェーハWAFの収容状態が異常であるため、一番下のウェーハWAFに対応するチェックボックス、および一番上のウェーハWAFに対応するチェックボックスには「×」が表示され、これらのチェックボックスを選択できないようになっている。
【0163】
異常な状態で収容されているためウェーハWAFを安全に搬送できない場合を除き、正常な状態で収容されたウェーハWAFに対応するウェーハ画像WAFaは選択可能である。
【0164】
図16は、
図6のカセット計測処理の後、下から1段目のスロットへウェーハを収容可能な状態を示すGUIである。
図16には、下から1段目のスロットのウェーハWAFの収容位置に、ウェーハ画像WAFbが表示されている。このウェーハ画像WAFbは、通常のウェーハ画像WAFaや処理中のウェーハWAFに対応するウェーハ画像とは異なる色で表示される。
【0165】
作業者は、カーソルCURをウェーハ画像WAFbの近傍へ移動させてクリックする。そうすると、ウェーハ画像WAFb付近にチェックボックスBOX_21が表示される。そして、ウェーハ画像WAFbをもう一度クリックするか、チェックボックスBOX_21にチェックを入れることにより、収容先不明のウェーハWAFの収容先を決定することができる。
【0166】
GUIには、チェックボックスBOX_21と併せて、ウェーハの厚みを入力するウェーハ厚み入力ボックスBOX_22が表示される。ウェーハ厚み入力ボックスBOX_22には、標準的なウェーハの厚みがデフォルトで入力されている。ウェーハの厚みがデフォルトの値と異なる場合、作業者は、ウェーハ厚み入力ボックスBOX_22の値を修正することができる。これにより、カセットCASに収容されるウェーハの厚みを考慮して、ウェーハ搬送ロボット130を動作させることができ、より安全にウェーハWAFを搬送することが可能となる。
【0167】
図17は、
図12のウェーハチェックボックスに表示されたカセットのスロット段数が画像処理により算出される例を示す図である。コンピュータシステム190は、エッジ検出により生成したカセット画像CASaを用いて、カセットCASの溝部分のラインL1上の各画素データ、またはラインL1の周辺の画素データの平均値をライン波形WAVとして検出する。ここで画素データについて説明する。カラーカメラの場合、RGBの各色の階調データが画素データであり、グレースケールの場合、白黒の濃淡の階調データが画素データである。
【0168】
次に、コンピュータシステム190は、ライン波形WAVに閾値を設け、閾値に基づいてON/OFF領域をカウントすることにより、カセットCASのスロット段数を検出する。そして、ON/OFF領域の中心値をそれぞれの領域について算出することで、ウェーハWAFの収容場所を決定することができる。
【0169】
ここでは、コンピュータシステム190が、カセットCASの左側のラインL1を用いてウェーハWAFの収容場所を決定する場合について説明したが、右側のラインL2を用いてウェーハWAFの収容場所を決定してもよい。また、コンピュータシステム190は、両方のラインL1、L2を用いてウェーハWAFの収容場所を決定してもよい。
【0170】
これにより、ウェーハWAFが収容されておらず、教示内容とは異なる寸法のカセットCASが載置されたとしても、ウェーハWAFを安全に収容することが可能となる。
【0171】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、コンピュータシステム190は、カセットCAS内のウェーハWAFのマッピング情報と撮像画像に基づく画像ウェーハ情報とを比較する。そして、コンピュータシステム190は、マッピング情報と画像ウェーハ情報とが一致しない場合、撮影条件を変更した撮像画像に基づく新たな画像ウェーハ情報とを比較するリトライを行う。この構成によれば、カセットCAS内のウェーハWAFの位置、厚み等を正確に検出することができ、ウェーハ搬送リスクを低減させることが可能となる。
【0172】
また、本実施の形態によれば、リトライの回数がリトライ上限回数である場合、エラーが出力される。この構成によれば、エラーの対象となったウェーハWAFに対する位置検出処理を停止することができ、位置検出処理に要する時間を短縮することが可能となる。また、エラーの対象となったウェーハWAFの処理が行われないので、ウェーハ搬送リスクを低減させることが可能となる。
【0173】
また、本実施の形態によれば、マッピング情報および前記画像ウェーハ情報には、前記ウェーハの位置が含まれる。この構成によれば、カセットCAS内のウェーハWAFの搬送リスクを低減させることが可能となる。
【0174】
また、本実施の形態によれば、画像処理後の撮像画像とウェーハ画像(WAFa等)とを合成表示した合成画像(PIC_1等)が生成され、合成画像が搬送対象のウェーハの選択画面としてモニター320に表示される。この構成によれば、カセットCAS内部の状況がリアルタイムでモニター320に表示され、ユーザは処理対象のウェーハWAFの選択を容易に行うことが可能となる。
【0175】
また、本実施の形態によれば、コンピュータシステム190は、赤外線画像に基づき、カセットCASの内部の温度を測定する。この構成によれば、処理開始時のウェーハWAFの温度を管理することが可能となる。
【0176】
また、本実施の形態によれば、コンピュータシステムは、赤外線画像とウェーハ画像との合成画像をモニター320に表示させる。この構成によれば、ユーザは、カセットCASの内部の温度をリアルタイムで確認することが可能となる。
【0177】
また、本実施の形態によれば、カメラ140は、偏光カメラまたは偏光を制御する光学系を備え、偏光画像を生成する。この構成によれば、カセットCASが黒や透明等で識別しにくい場合でも、カセットCASの形状等を認識することが可能となる。
【0178】
また、本実施の形態によれば、カセットCASを含む領域を照明する照明系142を備えている。この構成によれば、ウェーハ搬送ユニット100が暗い場所に配置されても、明るい状況で撮影することが可能となる。
【0179】
また、本実施の形態によれば、カメラ140が、赤外線カメラまたは赤外線の透過率が高い光学系を備えるとき、照明系142は赤外線を照明する。この構成によれば、鮮明な赤外線画像が生成される。
【0180】
また、本実施の形態によれば、カメラ140が、偏光カメラまたは偏光を制御する光学系を備えるとき、照明系142は、偏光状態を制御した光を照明する。この構成によれば、鮮明な偏光画像が生成される。
【0181】
また、本実施の形態によれば、コンピュータシステム190は、基準スリット114に基づき、ウェーハ搬送ロボット130の位置と、撮像画像のウェーハ搬送ロボット130の位置とを合わせる。この構成によれば、撮像画像に基づく位置検出精度を維持することが可能となる。
【0182】
また、本実施の形態によれば、コンピュータシステム190は、基準スケール112に基づき、撮像画像内の寸法計測対象の寸法を計測する。この構成によれば、撮像画像を用いたカセットCASやウェーハWAF等の寸法計測対象に対する寸法計測精度を向上させることが可能となる。また、ウェーハWAFの直径や厚みの検出精度を向上させることが可能となる。
【0183】
また、本実施の形態によれば、載置されるカセットCASが意図せずに別のものへ交換され、カセットCASの寸法が交換前後で変化したとしても、カメラ140で撮影した画像とその画像処理から得たウェーハWAFとカセットCASの解析によって、ウェーハ搬送ロボット130の可動領域を決定できるため、ウェーハWAFを安全に搬送することが可能となる。
【0184】
また、本実施の形態によれば、カセットCASに収容されるウェーハWAFの直径やカセットCASのサイズが、異なった場合でも、カメラ140で撮影した画像と画像処理から得たウェーハWAFとカセットCASの解析によって、ウェーハ搬送ロボット130の可動領域を決定できるため、予め設定された複数の直径のサイズのウェーハWAFを、安全に搬送することができる。
【0185】
また、本実施の形態によれば、作業者は、モニター320に表示される画像及び動画像から、ウェーハWAFの収容状態やカセットCASの載置状態、姿勢、温度分布等を目視することができる。これにより、作業者は、ウェーハWAFやカセットCASの異常状態を把握でき、ウェーハWAFの収容やカセットCASの載置のやり直し等の対処を早急に行うことが可能となる。
【0186】
また、本実施の形態によれば、作業者は、カメラ140によってモニター320に表示される画像及び動画から、ウェーハWAFの収容段数を目視にて確認できるため、データのやり取りのために必要な設定値であるウェーハWAFが収容されているカセットCASのスロット段数を、意識することなく、ウェーハWAFを処理や搬送するための選択をすることができる。
【0187】
また、本実施の形態によれば、作業者は、カメラ140によってモニター320に表示される画像および動画像から、ウェーハWAFを目視できるため、予め設定された複数の直径サイズや厚みであれば、ウェーハWAFの直径や厚みを意識することなくウェーハWAFを選択することが可能となる。
【0188】
また、本実施の形態によれば、作業者または上位コンピュータシステムは、カメラ140の録画機能によって、万が一異常が起きた場合にも、保存しておいた動画によって、異常発生時の状態を確認することができる。また、異常発生の原因を究明することにより、再発防止策を講じることが可能となる。
【0189】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、画像処理のみでウェーハWAFの認識が行われる。以下では、実施の形態1と重複する箇所の説明は、原則として省略する。
【0190】
図18は、本発明の実施の形態2に係る位置検出方法の一例を示すフロー図である。
図18は、
図6に類似しており、
図6と異なる箇所について説明する。
図18の例では、カセットおよびウェーハの位置検出に際し、ステップS20~S60、S270~S280、S90~S120の処理が行われる。
【0191】
ステップS270において、コンピュータシステム190は、ステップS60において、画像ウェーハ情報を適切に取得できたかどうかを判定する。コンピュータシステム190は、例えば、ウェーハWAFの有無、枚数、厚み、異常の有無を含めた収容状態、収容された位置(高さ)、収容されたスロットの段数等の項目について、画像ウェーハ情報を適切に取得できたかどうかを判定する。例えば、元の撮像画像がぼやけている場合、画像処理を行ってもエッジの検出等ができず、ウェーハWAFの位置、枚数等を正確に検出できない等の場合には、画像ウェーハ情報が適切に取得できなかったと判定される。
【0192】
なお、本実施の形態においても、撮像画像を複数の領域に区切り、マッピング情報と画像ウェーハ情報との比較が、領域ごとに行われるようにしてもよい。領域の区切り方として、例えば、撮像画像の下端から上端に向けて順次区切ることが挙げられる。
【0193】
画像ウェーハ情報を適切に取得できなかった場合(NO)、ステップS280に移行する。一方、画像ウェーハ情報を適切に取得できた場合(YES)、ステップS90に移行する。
【0194】
ステップS280では、画像ウェーハ情報を適切に取得できなかった場合、撮影条件の変更を行い画像ウェーハ情報を再取得するリトライが行われる。ただし、リトライを繰り返すとウェーハ処理が滞るため、リトライ回数の上限値が設けられる。ステップS280は、
図6のステップS60と同様であるので詳細な説明は省略する。リトライ回数がリトライ上限回数より小さい場合(NO)、ステップS30~S60、S270の処理が再度実行される。
【0195】
一方、リトライ回数がリトライ上限回数である場合(YES)、ステップS120へ移行する。そして、コンピュータシステム190は、リトライ回数がリトライ上限回数であることを示すエラーをコンピュータシステム310へ出力し、エラーをモニター320に表示させる。
【0196】
なお、本実施の形態では、マッピング処理が行われない。このため、
図2等に示すマッピングセンサー136は設けられなくてもよい。
【0197】
本実施の形態によれば、コンピュータシステム190は、マッピング処理を行わずに、画像ウェーハ情報に基づきカセットCAS内のウェーハWAFの位置を検出する。この構成によれば、マッピング処理の時間分、位置検出に要する時間を短縮することが可能となる。また、マッピングセンサーが必要でなくなるので、装置構成が簡略化される。
【0198】
また、本実施の形態によれば、コンピュータシステム190は、画像ウェーハ情報を適切に取得できなかったと判断すると、撮影条件を変更した撮像画像に基づく新たな画像ウェーハ情報を取得するリトライを行う。この構成によれば、カセットCAS内のウェーハWAFの位置、厚み等を正確に検出することができ、ウェーハ搬送リスクを低減させることが可能となる。
【0199】
また、本実施の形態によれば、リトライの回数がリトライ上限回数である場合、エラーが出力される。この構成によれば、エラーの対象となったウェーハWAFに対する位置検出処理を停止することができ、位置検出処理に要する時間を短縮することが可能となる。また、エラーの対象となったウェーハWAFの処理が行われないので、ウェーハ搬送リスクを低減させることが可能となる。
【0200】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。なお、図面に記載した各部材や相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑な形状となる場合がある。
【符号の説明】
【0201】
1…半導体製造装置、100…ウェーハ搬送ユニット、130…ウェーハ搬送ロボット、136…マッピングセンサー、140…カメラ、142…照明系、190、310…コンピュータシステム、200…ウェーハ処理ユニット、300…操作卓、CAS…カセット、WAF…ウェーハ