(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】積層体の製造方法、及び、貼合装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20231122BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231122BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231122BHJP
B29C 65/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G02F1/13 101
G02F1/1335 510
G09F9/00 342
B29C65/00
(21)【出願番号】P 2020069275
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019234975
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】西野 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 力也
(72)【発明者】
【氏名】出口 修央
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-021124(JP,A)
【文献】特開2013-186185(JP,A)
【文献】特開2003-011225(JP,A)
【文献】特開2012-053170(JP,A)
【文献】特開2015-186883(JP,A)
【文献】特開2013-137538(JP,A)
【文献】特開2010-145597(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084703(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0255033(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1335
G09F 9/00
H10K 59/10 - 59/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学表示パネルと光学フィルムとを有する積層体の製造方法であって、
光学表示パネルと光学フィルム
とを、一対の回転するニップロール間で押圧
して、貼り合わせることにより積層体を形成する押圧工程を備え、
前記押圧工程において、前記
光学フィルムが貼り付けられる前記光学表示パネルに対して、一方の前記ニップロールの表面に沿うように反りを与える、方法。
【請求項2】
前記光学表示パネルを上流側水平搬送手段で前記一対のニップロールに向かって搬送する工程、及び、
前記一対のニップロールから排出された前記積層体を下流側水平搬送手段で搬送する工程を更に備え、
前記一対のニップロールの各回転軸は上下方向に離れて配置され、
前記押圧する工程では、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さよりも低く又は高くして、前記
光学表示パネルに反りを与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達するまでは前記
光学表示パネルに前記反りを与えず、
前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達した後に、前記
光学表示パネルに前記反りを与え、
前記光学表示パネルの流れ方向の後側端部が、前記上流側水平搬送手段の上面に支持されている間に、前記反りを解消させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記上流側水平搬送手段及び下流側水平搬送手段はそれぞれローラコンベアである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記一方のニップロールの直径は、他方の前記ニップロールの直径よりも大きい、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記光学フィルムは偏光板であり、前記ニップロール間で
形成される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記一対のニップロールの軸とが平行に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記光学表示パネルの表面は矩形形状を有し、前記ニップロール間で
形成される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記光学表示パネルの表面の短手方向とが平行に配置されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光学表示パネルは液晶パネルであり、前記液晶パネルのTFT側に、前記偏光板が貼合される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
光学表示パネルと光学フィルム
とを押圧
して、貼り合わせることにより積層体を形成する一対のニップロールと、
前記
光学フィルムが貼り付けられる前記光学表示パネルに対して、一方の前記ニップロールの表面に沿うように反りを与える反り付与機構と、を備える、貼合装置。
【請求項10】
前記一対のニップロールの各回転軸は上下方向に離れて配置され、
前記反り付与機構は、前記一対のニップロールに対して光学表示パネルを搬送する上流側水平搬送手段、
前記一対のニップロールから排出される前記光学表示パネルと光学フィルムとの積層体を搬送する下流側水平搬送手段、及び、
前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さが、前記上流側水平搬送手段
の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段
の上面の高さよりも低く又は高くなるように、前記一対のニップロールの位置を規定する位置決め機構と、を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達するまでは、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さと同一の高さに維持し、
前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達した後に、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さよりも低く又は高くなるように、前記一対のニップロールの位置を前記上流側水平搬送手段及び前記下流側水平搬送手段に対して変化させ、
前記光学表示パネルの流れ方向の後側端部が前記上流側水平搬送手段の上面に支持されている間に、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さと同一の高さに戻すように、前記位置決め機構を制御する制御部を更に備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記上流側水平搬送手段及び下流側水平搬送手段はそれぞれローラコンベアである、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記一方のニップロールの直径は、他方の前記ニップロールの直径よりも大きい、請求項9~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記光学フィルムは偏光板であり、前記ニップロール間で
形成される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記一対のニップロールの軸とが平行に配置されている、請求項9~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記光学表示パネルの表面は矩形形状を有し、前記ニップロール間で
形成される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記光学表示パネルの表面の短手方向とが平行に配置されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記光学表示パネルは液晶パネルであり、前記液晶パネルのTFT側に、前記偏光板が貼合される、請求項14又は15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイなどの光学表示デバイスに用いられる積層体の製造方法及び貼合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶パネルなどの光学表示パネルに対して偏光板などの光学フィルムを貼り合わせて積層体を得ることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、液晶パネル等の光学表示パネルにおいて、貼り合わせ時の光学表示パネルおよび光学フィルムの残留応力や、光学フィルムの経時的な収縮/膨張などにより、貼り合わせた後に積層体に反りが発生することがあった。光学表示パネルが大きくなると、この傾向は更に顕著となる。かかる反りの問題を解消するための一方法として、光学表示パネルに、前記反りの方向と逆方向に予め、わずかに反りを与えておく方法がある。
【0005】
本発明は、貼り合わせ後の、光学表示パネルおよび光学フィルムを有する積層体の反りの量及び方向を容易に制御することができる、積層体の製造方法及び貼合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる方法は、光学表示パネルと光学フィルムとを有する積層体の製造方法であって、
光学表示パネルと光学フィルムとの積層体を、一対の回転するニップロール間で押圧する押圧工程を備え、
前記押圧工程において、前記積層体に対して、一方の前記ニップロールの表面に沿うように反りを与える。
【0007】
ここで、上記方法は、前記光学表示パネルを上流側水平搬送手段で前記一対のニップロールに向かって搬送する工程、及び、
前記一対のニップロールから排出された前記積層体を下流側水平搬送手段で搬送する工程を更に備え、
前記一対のニップロールの各回転軸は上下方向に離れて配置され、
前記押圧する工程では、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さよりも低く又は高くして、前記積層体に反りを与えることができる。
【0008】
また、上記方法において、前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達するまでは前記積層体に前記反りを与えず、
前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達した後に、前記積層体に前記反りを与え、
前記光学表示パネルの流れ方向の後側端部が、前記上流側水平搬送手段の上面に支持されている間に、前記反りを解消させることができる。
【0009】
また、上記方法において、前記上流側水平搬送手段及び下流側水平搬送手段はそれぞれローラコンベアであることができる。
【0010】
また、前記一方のニップロールの直径は、他方の前記ニップロールの直径よりも大きくてよい。
【0011】
また、前記光学フィルムは偏光板であり、前記ニップロール間で押圧される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記一対のニップロールの回転軸とが平行に配置されていることができる。
【0012】
また、前記光学表示パネルの表面は矩形形状を有し、前記ニップロール間で押圧される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記光学表示パネルの表面の短手方向とが平行に配置されていることができる。
【0013】
また、前記光学表示パネルは液晶パネルであり、前記液晶パネルの短手方向に、前記偏光板の透過軸が略平行になるように貼合されることができる。また、液晶パネルのTFT側に偏光板が貼合されることができる。
【0014】
本発明にかかる貼合装置は、光学表示パネルと光学フィルムとの積層体を押圧する一対のニップロールと、前記積層体に対して、一方の前記ニップロールの表面に沿うように反りを与える反り付与機構と、を備える。
【0015】
ここで、前記一対のニップロールの各回転軸は上下方向に離れて配置され、
前記反り付与機構は、前記一対のニップロールに対して光学表示パネルを搬送する上流側水平搬送手段、
前記一対のニップロールから排出される前記光学表示パネルと光学フィルムとの積層体を搬送する下流側水平搬送手段、及び、
前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さが、前記上流側水平搬送手段で搬送される前記積層体の高さ及び前記下流側水平搬送手段で搬送される前記積層体の高さよりも低く又は高くなるように、前記一対のニップロールの位置を規定する位置決め機構と、を有することができる。
【0016】
また、上記装置は、前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達するまでは、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さと同一の高さに維持し、
前記積層体の流れ方向の先頭側端部が、前記下流側水平搬送手段の上に到達した後に、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さよりも低く又は高くなるように、前記一対のニップロールの位置を前記上流側水平搬送手段及び前記下流側水平搬送手段に対して変化させ、
前記光学表示パネルの流れ方向の後側端部が前記上流側水平搬送手段の上面に支持されている間に、前記積層体における前記一対のニップロールに挟まれる部分の高さを、前記上流側水平搬送手段の上面の高さ及び前記下流側水平搬送手段の上面の高さと同一の高さに戻すように、前記位置決め機構を制御する制御部を更に備えることができる。
【0017】
また、前記上流側水平搬送手段及び下流側水平搬送手段はそれぞれローラコンベアであることができる。
【0018】
また、前記一方のニップロールの直径は、他方の前記ニップロールの直径よりも大きくてもよい。
【0019】
また、前記光学フィルムは偏光板であり、前記ニップロール間で押圧される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記一対のニップロールの軸とが平行に配置されていることができる。
【0020】
また、前記光学表示パネルの表面は矩形形状を有し、前記ニップロール間で押圧される積層体において、前記偏光板の透過軸の方向と、前記光学表示パネルの表面の短手方向とが平行に配置されていることができる。
【0021】
また、前記光学表示パネルは液晶パネルであり、前記液晶パネルのTFT側に、前記偏光板が貼合されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、貼り合わせ後の、光学表示パネルおよび光学フィルムを有する積層体の反りの量及び方向を容易に制御することができる、積層体の製造方法及び貼合装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1の(a)は、本発明の一実施形態に係る液晶パネル(光学表示パネル)の断面構造を示す模式図であり、
図1の(b)は、本発明の一実施形態に係る偏光板(光学フィルム)の断面構造を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る貼合装置の模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る貼合装置の模式図であり、
図2に続く状態を示す図である。
【
図4】
図4は、液晶パネルの搬送方向の長さLと、H1’との関係を示す図である。
【
図5】
図5の(a)~(c)は、貼り付け後の種々の態様の積層体の短手方向から見た(水平方向が長手方向)端面模式図である。
【
図6】
図6は、実施例における固定反り量の概要を示す模式図であり、(a)は先頭固定反り量を、(b)は後ろ固定反り量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、発明の説明のため、図面の寸法は任意である。
【0025】
本実施形態においては、光学表示パネルとして液晶パネル、光学フィルムとして偏光板である場合を例にとり、前記液晶パネルと前記偏光板とを貼り合わせる方法及び装置を説明する。まず、
図1の(a)及び(b)を参照して、対象となる液晶パネル100及び偏光板200について説明する。
【0026】
図1の(a)に示すように、液晶パネル100は、第1透明基板100A、液晶層100B、及び、第2透明基板100Cをこの順に備えることができる。液晶パネルの場合、第1及び第2透明基板の材料は典型的には、ガラスであることができる。
【0027】
本実施形態において、液晶パネル100の形状は矩形形状である。
【0028】
液晶パネル100の矩形の大きさに特に限定はないが、長辺の大きさは、20~2600mmであることができる。特に、大型の液晶パネルの場合ほど反りの問題が生じやすい傾向があることから、長辺の大きさが1200mm以上であることが好適である。
【0029】
液晶パネル100の厚みに特に限定はないが、例えば、0.5~5mm程度であることができ、好ましくは1~5mmであることができる。
【0030】
図1の(b)に示すように、偏光板200は、一対の保護フィルム200A,200Cと、一対の保護フィルム200A,200C間に配置された偏光子層200Bと、一方の保護フィルム200C上に設けられた粘着剤/接着剤層200Dを有することができる。
【0031】
保護フィルム200A、200Cは、例えば、トリアセチルセルロースフィルム(以下、「TAC」ということがある)、シクロオレフィンフィルム、アクリルフィルム等、偏光板の技術分野で汎用のものを挙げることができる。なお、
図1(b)においては、偏光子層200Bの両面に保護フィルム200A及び200Bが設けられた偏光板の断面構造を示したが、偏光子層の片面のみに保護フィルムを設ける形式の偏光板(片保護偏光板)を、本発明に適用することもできる。図示はしないが、片保護偏光板の場合は通常、偏光子層200Bの保護フィルムを有していない面には直接、粘着剤/接着剤層200Dが設けられている。
【0032】
偏光子層200Bを形成する偏光子は、ヨウ素などの2色性色素で染色されたポリビニルアルコールフィルムであることができ、一軸延伸により製造されることができる。以下、このように、ヨウ素などの2色性色素で染色されたポリビニルアルコールフィルムを「PVA」ということがある。
【0033】
粘着剤/接着剤層200Dは例えば、アクリル樹脂層であることができる。
【0034】
偏光板200の厚みに特に限定はないが、例えば、25~200μmとすることができる。
【0035】
本実施形態では、偏光板200における粘着剤/接着剤層200Dを介して液晶パネル100の一方の表面に貼り付ける。
【0036】
図2は、本発明の第1実施形態に係る貼合装置1の模式図である。本実施形態に係る貼合装置1は、主として、上流側ローラコンベア10、一対のニップロール21、22、下流側ローラコンベア40、一対のニップロール21,22の高さを調節する位置決め機構50、位置決め機構50を制御する制御部60、を有し、液晶パネル100及び偏光板200を貼り合わせて積層体300を製造する。一対のニップロール21、22、上流側ローラコンベア10、下流側ローラコンベア40、及び、位置決め機構50が、反り付与機構5を構成する。
【0037】
上流側ローラコンベア(上流側水平搬送手段)10は複数の搬送ロール10aを備え、各搬送ロールの回転軸は水平方向に配置されかつ水平面内に互いに平行に配置されている。上流側ローラコンベア10は、図示しない供給源から供給される液晶パネル100を、上流側ローラコンベアの上面で水平方向(
図1では左から右に向かう方向)に搬送し、一対のニップロール21,22間に供給する。
【0038】
本実施形態では、上流側ローラコンベア10は、液晶パネル100を、両矩形表面が上下方向に向くように、かつ、矩形表面の短手方向がニップロール21,22の軸と平行に、になるように搬送する。
【0039】
ニップロール21,22はそれぞれ回転軸21a,22aを有し、回転軸21a、22aは、上下方向に離れて配置され、さらに、回転軸21a,22aは互いに平行且つ、上流側ローラコンベア10の搬送ロール10aの回転軸と平行に配置されている。ニップロールの表面の材質に特に限定はなく、ゴム、金属などを適用できるが、液晶パネルを著しく損なわない面からはゴムが好適である。
【0040】
本実施形態では、上側のニップロール21の直径が、下側のニップロール22の直径よりも大きくされている。これにより、直径の大きい上側のニップロール21に沿わせて適切な反りを積層体300に与えることができる一方、直径の小さい下側のニップロール22を用いて十分な積層体300の押圧が可能となることから好ましい。
【0041】
上側のニップロール21の直径は30~300mmとすることができる。また、下側のニップロール22の直径は10~100mmとすることができる。
【0042】
積層体300は
図1の上流側(左側)から下流側(右側)に搬送されるため、上側のニップロール21は
図1において反時計回りに、下側のニップロール22は時計回りに動くことができる。一対のニップロールは、駆動ロールでも従動ロールでもよく、少なくとも一方は駆動ロールであることが好適である。
【0043】
下側のニップロール22には、偏光板ロール30から偏光板200が供給される。本実施形態では、偏光板200の透過軸の方向は、ニップロール21,22の回転軸と平行に配置されている。すなわち、偏光板の吸収軸の方向は、液晶パネルの搬送方向と平行とされる。ニップロール21及びニップロール22間で、液晶パネル100に対して偏光板200が貼り付けられ、これらを含む積層体300が得られ、下流側に排出される。
【0044】
なお、偏光板200はセパレートフィルム210上に支持されることで粘着剤/接着剤層を保護し、液晶パネル100の大きさに合わせて偏光板200のみがハーフカットされた状態で下側のニップロール22を介して搬送され、セパレートフィルム210は、偏光板の貼り付け後にリール80にて回収される。このようにセパレートフィルム210を用いることにより、偏光板200にある粘着剤/接着剤層に異物等が付着することを防止することができる。
【0045】
図示は省略するが、一対のニップロール21,22には、一方のニップロールが他方のニップロールに対して所定の圧力で押しつけられるように、圧力付与機構が設けられている。これにより、一対のニップロール21,22間に供給された積層体300を厚み方向の両側から挟み、液晶パネル100と偏光板200とを押圧して密着させることができる。
【0046】
押圧の圧力は、積層体300の求める反り量、液晶パネル100や偏光板200の特性等に応じて適宜設定できるが例えば、0.1~0.7MPaとすることができる。
【0047】
下流側ローラコンベア(下流側水平搬送手段)40は複数の搬送ロール40aを備え、各搬送ロール40aの回転軸が水平方向に配置され、かつ、水平面内に互いに平行に配置されている。下流側ローラコンベア40は、一対のニップロール21,22から排出される積層体300を上面で水平方向(
図1では左から右に向かう方向)に搬送する。得られた積層体300は、後段の液晶ディスプレイのアセンブリ工程に供される。
【0048】
位置決め機構50は、一対のニップロール21,22の位置を上下方向に移動させることができる。
図2に示すように、位置決め機構50は、積層体300における一対のニップロール21,22間に挟まれる部分Pの高さH1を、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2、及び、下流側ローラコンベア40の上面の高さH3と同じ高さにすることができる。通常、高さH2と高さH3とは同じである。なお、位置決め機構50はニップロール21,22の一方のニップロールの位置決めを行い、他方は一方のニップロールに摺動する形式でもよいが、ニップロール21,22の両方のニップロールの位置決めを制御する形式とすることもできる。
【0049】
さらに、位置決め機構50は、
図3に示すように、積層体300における一対のニップロール21,22間に挟まれる部分Pの高さH1を、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3よりも低くすることができる。
【0050】
高さH1が高さH2及び高さH3よりも低くなったときの高さH1の値をH1minとした時、H1minは、高さH2及び高さH3より1mm以上低いことが好ましく、2mm以上低いことがより好ましく、3mm以上低いことが更に好ましい。高さの差の上限は特にないが、例えば、10mm以下であることができる。
【0051】
ここで、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2とは、上流側ローラコンベア10で水平搬送される液晶パネル100の下面の高さと言い換えることができ、下流側ローラコンベア40の上面の高さH3とは、下流側ローラコンベア40で水平搬送される積層体300の下面の高さと言い換えることができる。また、積層体300における一対のニップロール21,22間に挟まれる部分Pの高さH1とは、積層体300において一対のニップロール21,22間に挟まれる部分Pの底面の内の最も低い部分の高さである。
【0052】
一対のニップロール21,22の回転軸21a、22aと、上流側ローラコンベア10における最もニップロール21,22に近いロール10a1の回転軸と、の搬送方向における距離CV1、及び、一対のニップロール21,22の回転軸21a、22aと、下流側ローラコンベア40における最もニップロール21,22近いロール40a1の回転軸と、の搬送方向における距離CV2にも、特に限定はないが、一対のニップロール21,22の内の大径側のロールの径の2~5倍程度とすることが好適である。また、液晶パネル100の搬送方向の長さ(例えば、長辺の長さ)は、CV1+CV2を超え、通常2倍以上である。
【0053】
制御部60は、位置決め機構50を制御して一対のニップロール21,22を上下運動させて、積層体300における一対のニップロール21,22間に挟まれる部分Pの高さH1を変動させる。具体的には、本実施形態では、制御部60は、一枚の液晶パネル100が一対のニップロール21,22間を通過する際に、部分Pの高さH1を上下に変動させる。
【0054】
具体的には、制御部60は
図4に示すように高さH1を変化させることができる。横軸は、液晶パネル100の搬送方向(例えば、矩形の長手方向または短手方向)における長さであり、長さL=0は貼り合わせの開始側(搬送方向先頭側)の端部であり、長さLmaxは貼り合わせ終了側(搬送方向後端側)の端部である。縦軸の高さH1は、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3を基準としたときの、積層体300における一対のニップロール21,22間に挟まれる部分Pの高さH1であり、マイナス符号は高さH2及びH3よりも低いことを意味する。
【0055】
高さH1は、長さ0(貼り合わせ開始位置)から長さL1までは0に維持され、長さL1から長さL2まで低下し、長さL2から長さL3までは高さH2及びH3よりも低い高さH1minに維持され、長さL3から長さL4までは上昇し、長さL4から長さLmax(貼り合わせ終了位置)までは0に維持される。本実施形態では、Lmaxは、液晶パネルの長辺の長さに対応する。
【0056】
L1は10~500mm、L2-L1は100~2500mm、Lmax-L4は10~500mm、及び、L4-L3は10~500mmとすることができる。
【0057】
高さH1minは、前述の値とすることが好適である。
【0058】
言い換えると、制御部60は、一対のニップロール21,22間に形成される積層体300の先頭側端部Fが、下流側ローラコンベア40の上面(一部でよい)に接触するまでは、積層体300における一対のニップロールに挟まれる部分Pの高さH1を、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3と同一の高さに維持するように、位置決め機構50を制御する。
【0059】
また、制御部60は、積層体300の先頭側端部Fが、下流側ローラコンベア40の上面(一部でよい)と接触した後に、積層体300の後側端部Rが上流側ローラコンベア10の上面(一部でよい)と接触した状態下で、積層体300における一対のニップロールに挟まれる部分Pの高さH1を、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3よりも低くなるように、位置決め機構50を制御する。
【0060】
さらに、制御部60は、積層体300の先頭側端部Fが、下流側ローラコンベア40の上面(一部でよい)と接触している状態下で、かつ、積層体300の後側端部Rが、上流側ローラコンベアの上面(一部でよい)と接触している状態下で、積層体300における一対のニップロールに挟まれる部分Pの高さを、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3と同一の高さに戻すように、位置決め機構50を制御し、その後、積層体300が一対のニップロール間から排出されるまで同一の高さを維持する。
【0061】
なお、制御部60の高さの変動のタイミングは、搬送されてくる液晶パネル100の先頭側端部F、後側端部Rを適切なセンサ等で検出する、搬送ラインの速度を認識するなどの方法により実現できる。
【0062】
続いて、本発明の実施形態に係る光学表示デバイスの製造方法について説明する。
【0063】
まず、
図2に示すように、上流側ローラコンベア10により液晶パネル100を一対のニップロール21,22間に供給し、及び、偏光板ロール30から供給される偏光板200を下方のニップロール22の表面にそって一対のニップロール21,22間に供給し、液晶パネル100と偏光板200との積層体300を、一対のニップロール21,22で押圧する。これにより、液晶パネル100と偏光板200の粘着剤/接着剤層200Dとが接触し、先頭側端部Fから後側端部Rに向かって順に貼り付けがなされる。
【0064】
ここで、制御部60は、積層体300の流れ方向の先頭側端部Fが、下流側ローラコンベア40の上に到達するまでは、積層体300における一対のニップロール21,22に挟まれる部分Pの高さH1を、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3と同一となるように、位置決め機構50を制御し、積層体300に反りを与えない。これにより、積層体300の先頭側端部Fの破損等が抑制される。
【0065】
その後、積層体300の搬送が進み、積層体300の流れ方向の先頭側端部Fが、下流側ローラコンベア40の上に到達した後に、制御部60は、積層体300の部分Pが上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3よりも低くなるように、位置決め機構50を制御する。これにより、積層体300に上方のニップロール21に沿う反りが与えられ、反りが与えられた状態で一対のニップロール21,22による液晶パネル100と偏光板200との貼り付けが行われる。
【0066】
その後、さらに積層体300の搬送が進むと、液晶パネル100の流れ方向の後側端部Rが上流側ローラコンベア10の上面に支持されている状態下で、制御部60は、積層体300における一対のニップロール21,22に挟まれる部分Pの高さを、上流側ローラコンベア10の上面の高さ及び下流側ローラコンベア40の上面の高さと同一の高さに戻すように、位置決め機構50を制御し、反りを解消させる。これにより、積層体300の後側端部Rの破損等が抑制される。
【0067】
このようにして、液晶パネル100と偏光板200とが反りのある状態下で貼合され、積層体300の形成が終了する。
【0068】
次に、必要に応じて、積層体300に、バックライトなどを組み合わせる工程を経ることにより、液晶ディスプレイ(光学表示デバイス)を得ることができる。
【0069】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0070】
液晶ディスプレイの製造において、液晶パネルの両面にそれぞれ偏光板が貼り付けられ、2つの偏光板の透過軸は互いに垂直(クロスニコル)に配置される。また、通常、偏光板の偏光子が延伸を経て製造されることから、偏光板は透過軸に直交する方向、すなわち、吸収軸に平行な方向に収縮しやすい。
【0071】
本実施形態では、偏光板200の透過軸は、一対のニップロール21,22間の回転軸21a、22aと平行、すなわち、積層体300の搬送方向と直交方向とされる。従来の方法では、
図2において、液晶パネル100と偏光板200とが一対のニップロール21,22間で反りのない状態が維持される条件下で貼り付けられる。
【0072】
特に、液晶パネル100の短手方向が、偏光板200の透過軸と平行になるように、言い換えると、液晶パネル100の長手方向が偏光板200の吸収軸と平行となるように液晶パネル100を偏光板200に貼り合わせると、貼り合わせ後に偏光板200が吸収軸方向に収縮して、貼り付け後の積層体300は、
図5の(a)に示すように、偏光板200の表面(下面)が凹面となり、液晶パネル100の表面(偏光板200との貼合面と反対面である上面)が凸面となるように反りやすい。なお、
図5の(a)~(c)において、水平方向は積層体300及び液晶パネル100の長手方向である。このような反りがあると、バックライトとの組み合わせ後の液晶ディスプレイにおける光漏れなどの不良につながるため、反りの量を減らすことが求められることがある。
【0073】
特に、
図5の(b)に示すように、液晶パネル100のTFT側面100TFTに、長手方向と平行な吸収軸を有する偏光板200を貼り付ける場合、
図5の(a)のように液晶パネル100のカラーフィルタ側面100CFが凸面となることは好ましくなく、
図5の(b)のように反りのないのも好ましいが、
図5の(c)のように逆方向に反っていることが好ましい場合がある。
【0074】
本実施形態によれば、積層体300を一対のニップロール間で押圧する際に、
図3のように、積層体300に対して一方のニップロール21の表面に沿うように反りが与えられる。すなわち、偏光板200の表面(下面)が凸面となり、液晶パネル100における偏光板の貼り付け面とは反対面(上面)が凹面となるように反りが与えられつつ、積層体が押圧され、貼り合わせられる。これにより、積層体300の液晶パネル100及び偏光板200間の応力を制御することができ、貼り付け後の積層体300の形状を、
図5の(a)のような反りとせずに、反りの向きを
図5の(a)と同様としつつ反りを軽減したり、
図5の(b)のように反りの無い形状としたり、
図5の(c)のように、逆向きの反りを与えたりすることができる。
【0075】
貼り付け後の積層体300の反りの制御は、具体的には、
図3の一対のニップロール21,22間での押圧工程における、積層体300の反りの量の調節により行うことができる。例えば、H1minをH2及びH3よりも低くして反りを大きくすればするほど、
図5の(a)のような態様、
図5の(b)のような態様、及び、
図5の(c)のような態様に順に移行させることができる。
【0076】
本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が実施可能である。
【0077】
例えば、一対のニップロール21,22の回転軸21a,22aが、貼り付け時の液晶パネル100の矩形の短手方向と平行である必要は無く、矩形の長手方向と平行でもよく、矩形の長手方向や短手方向と斜め方向でもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、貼り付け持の偏光板200の透過軸が、一対のニップロール21,22の回転軸21a,22aと平行とされているが、透過軸の方向は任意であり、一対のニップロール21,22の回転軸21a,22aと垂直でもよく、斜め方向でも実施は可能である。
【0079】
また、水平搬送手段として、ローラコンベア以外の例えばベルトコンベアなどを使用してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、
図4に示すように、積層体が、上流側ローラコンベア及び下流側ローラコンベアの両方に指示されていない状態では、高さH1を、高さH2及びH3とは異ならせない態様としているが、H1とH2及びH3との差が少ない場合には、H1をH2及びH3よりも異ならせた状態で固定しても実施は可能である。
【0081】
また、上記実施形態では液晶パネルのTFT側に偏光板を貼る場合を説明しているが、液晶パネルのカラーフィルタ側に偏光板を貼る際に適用することもできる。
【0082】
また、液晶パネルの形状も矩形である必要は無く、円形、楕円等の種々の形状とすることも可能である。
【0083】
さらに、上記実施形態では、予めカットされた積層体が長尺な支持フィルム上に貼り付けられており、液晶パネルおよび偏光板がこの支持フィルムと共に押圧されるように偏光板が供給されるが、他の方法で供給してもよい。例えば、ナイフエッジなどでカットされた積層体を支持フィルムから剥離した上で偏光板と貼り付けて一対のニップロール間に供給してもよい。
【0084】
また、偏光板は、偏光子層を含めば積層構造に特に限定はない。
【0085】
また、上記の実施形態は光学表示パネルとして液晶パネルを採用しているが、液晶パネル以外の光学表示パネル例えば、有機ELパネル、などに適用することもできる。液晶パネル以外の光学表示パネルの厚み、形状、大きさは、液晶パネルと同等とすることができる。
【0086】
有機ELパネルは、第1透明基板、有機発光ダイオード(OLED)層、及び、第2透明基板を有することができる。第1透明基板はTFT付き基板であることができる。
【0087】
また、光学表示パネルに貼り付ける光学フィルムも直線偏光板に限定されず、偏光板に位相差板を積層した円偏光板及び楕円偏光板、位相差板、輝度向上フィルム、複屈折制御フィルム、反射防止フィルムなど種々のフィルムに適用できる。光学フィルム自体が異方性の収縮挙動を示さない場合であっても、貼り付け時に反りを与えることにより、貼り付け後の反りの制御が可能である。
【0088】
更に、上記実施形態では、上流側ローラコンベア10、下流側ローラコンベア40、一対のニップロール21,22、及び、一対のニップロールの位置決め機構50を有する反り付与機構5を用い、一対のニップロール21,22を下向きに移動させて反りを付与しているが、一対のニップロールの表面に沿うように積層体に反りを与える方法もこれに限定されない。
【0089】
例えば、押圧する工程において、積層体300における一対のニップロール21,22に挟まれる部分Pの高さを、上流側ローラコンベア10の上面の高さH2及び下流側ローラコンベア40の上面の高さH3よりも高くして、重力により積層体300の部分Pを下側のニップロール22に沿わせても実施は可能である。
【0090】
また、光学表示パネルが水平でなく斜めに搬送される場合であっても実施は可能である。
【0091】
また、上記実施形態では、一対のニップロール21,22における径が互いに異なるが、互いに同一の径でも実施は可能である。なお、部分Pの高さH1を高さH2及びH3よりも下に移動して反りを与える場合には、上側のニップロールの径が大きいことが好ましく、部分Pの高さH1を高さH2及びH3よりも上に移動して反りを与える場合には、下側のニップロールの径が大きいことが好ましい。
【0092】
また、上流側ローラコンベア10,下流側ローラコンベア40のようなそれぞれ多数のロールを供える水平搬送機構でなく、単一のローラを一対のニップロール21,22の前後に配置して、反りを与えてもうよい。
【実施例】
【0093】
(実施例1~6、及び、比較例1)
図2及び
図3に示す貼合装置を用いて、液晶パネルと偏光板とを貼り合わせた。
【0094】
液晶パネル 厚み1.0mm、矩形の長辺1660mm、短辺950mm
【0095】
偏光板の積層構造 粘着剤層(厚み20μm)/TAC(厚み60μm)/PVA(厚み20μm)/TAC(厚み60μm)
なお、TACとPVAとは接着剤層を介して貼り合わせているが、当該接着剤層の厚みの記載は省略する。
【0096】
偏光板の透過軸をニップロールの回転軸と平行に配置し、液晶パネルの短辺をニップロールの回転軸と平行に配置した。液晶パネルのTFT側面に、偏光板を貼り付けた。
【0097】
ニップロールの条件 上ニップロールの直径100mm、下ニップロールの直径30mm、なお、ニップロールはゴム製のものを用いた。
【0098】
CV1、CV2、一対のニップロールによる貼合圧力、貼合速度比、貼り合わせ途中での一対のニップロールの下降の有無、及び、下降量について、表1に示す。
なお貼り合わせ速度比とは、偏光板200の速度に対する、液晶パネル100と速度の比を意味する。
【0099】
また、貼り合わせ途中における高さH1の降下量に関し、
図4において、L1=250mm、L2=350mm、L3=1240mm、L4=1340mmとした。
【0100】
得られた積層体の反り量を表1に示す。ここで、
図6の(a)に示すように、反りの凸面側が下向きとなるように積層体300を水平面S上に載置し、積層体300の底面における貼合の先頭側短辺Aを水平面Sに接触させた状態で、底面における貼合の後ろ側短辺Bの最大浮き上がり量を先頭固定反り量400Aとして測定し、
図6の(b)に示すように、底面における貼合の後ろ側短辺Bを水平面Sに接触させた状態で、底面における貼合の先頭側短辺Aの最大浮き上がり量を後ろ固定反り量400Bとして測定した。なお、
図5の(a)のように液晶パネル100のカラーフィルタ側面100CFが凸になる場合の反りを正の反りとし、
図5の(c)のように液晶パネル100のTFT側面100TFTが凸となるように反る場合を負の反りとした。
【0101】
【0102】
実施例によれば、積層体の反りの量や向きを制御できることが確認された。
【符号の説明】
【0103】
1…貼合装置、5…反り付与機構、10…上流側ローラコンベア(上流側水平搬送手段)、21,22…ニップロール、21a,22a…回転軸、100…液晶パネル(光学表示パネル)、200…偏光板(光学フィルム)、300…積層体、40…下流側ローラコンベア(下流側水平搬送手段)、50…位置決め機構、60…制御部、P…部分、S…水平面、A…先頭側短辺、B…後ろ側短辺、400A…先頭固定反り量、400B…後ろ固定反り量。