(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィマスク、そのようなマスクの構造の像のエッジ位置を決定する方法、及びそのような方法を実施するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 1/38 20120101AFI20231124BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20231124BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G03F1/38
G03F9/00 H
G01B11/00 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018201421
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】10 2017 219 217.8
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ヘルヴェク
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0205549(US,A1)
【文献】特開2001-201844(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169973(WO,A1)
【文献】特開2016-035539(JP,A)
【文献】特開2008-219004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0266483(US,A1)
【文献】中国実用新案第206594443(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
G03F 9/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィマスク(1)の構造の像のエッジ位置を決定するための方法であって、
1.1 マイクロリソグラフィマスク(1)を提供する段階であって、前記マイクロリソグラフィマスク(1)は、
1.1.1 少なくとも1つの計測マーカを含み、前記計測マーカは、
1.1.1.1 マスク(1)上のその広域位置データが第1の測定波長(λ1)を用いた光学的方法により確立可能である少なくとも1つのアンカー要素(4)と、
1.1.1.2 マスク(1)が使用されるときに結像波長(λ2)での放射線を用いてウェーハ上に結像される構造要素を含む少なくとも1つの試験構造(7)と、
を含み、
1.1.1.3 前記試験構造(7)の前記構造要素と前記少なくとも1つのアンカー要素(4)との間の距離は、
最大で前記マスク(1)の辺長の10分の1
である、段階と、
1.2 少なくとも1つの第1の測定段階(2)において前記マスク(1)上の少なくとも1つのアンカー要素(4)の絶対位置を決定する段階と、
1.3 少なくとも1つの試験構造(7)の像の相対位置を決定する段階であって、
1.3.1 空間像方法が、前記アンカー要素(4)のうちの1つの位置に対する前記少なくとも1つの試験構造(7)の像の相対位置を決定するのに寄与する、
決定する段階と、
1.4 前記アンカー要素(4)のうちの少なくとも1つの絶対位置及びそれに対する前記試験構造(7)の像の相対位置から前記試験構造(7)の像の絶対位置を決定する段階と、
1.5 設定点位置からの前記試験構造(7)の像の絶対位置のずれを決定する段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
構造依存の寄与が、前記アンカー要素(4)のうちの少なくとも1つの像の位置に対する前記少なくとも1つの試験構造(7)の像の相対位置を決定するときに確立されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
投影露光装置によって補償することができる寄与が、前記設定点位置からの前記試験構造(7)の像の絶対位置のずれを決定するときに考慮されることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
非化学線方法が、前記少なくとも1つのアンカー要素(4)の絶対位置を決定するのに寄与することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
化学線方法が、前記少なくとも1つの試験構造(7)の像の相対位置を決定するのに寄与することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数のマイクロリソグラフィマスク(1)のオーバーレイ誤差又は相対エッジ配置誤差を決定する方法であって、
6.1 ウェーハの多重露光に使用すべき複数のマスク(1)を提供する段階と、
6.2 請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の方法によって前記マスク(1)を測定する段階と、
6.3 少なくとも領域において同一設定点位置を有する異なるマスク(1)上の構造要素の相対的なずれを決定する段階と、
を含む方法。
【請求項7】
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の方法を実施するためのシステム(13)であって、
7.1 前記マスク(1)上の広域位置データを決定するための第1の測定装置(3)と、
7.2 エッジ配置への構造依存の寄与を決定するための第2の測定装置(9)と、
7.3 前記広域位置データ及び前記エッジ配置への前記構造依存の寄与から前記マスク(1)の面全体にわたるエッジ配置誤差のマップを確立するためのデータ処理デバイス(14)と、
を含むシステム(13)。
【請求項8】
前記データ処理デバイス(14)は、前記第1の測定装置(3)及び/又は前記第2の測定装置(9)に信号接続されることを特徴とする請求項
7に記載のシステム(13)。
【請求項9】
前記データ処理デバイス(13)は、マスク誤差を補正するための補正装置(15)に信号接続されることを特徴とする請求項
7及び請求項
8のいずれか1項に記載のシステム(13)。
【請求項10】
マイクロ構造化又はナノ構造化構成要素を生成する方法であって、
10.1 請求項1に記載の少なくとも1つのマスク(1)を提供する段階と、
10.2 請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の方法によって前記マスク(1)を特徴付ける段階と、
10.3 マイクロリソグラフィ投影露光装置を提供する段階と、
10.4 感放射線層を有するウェーハを提供する段階と、
10.5 結像される前記マスク(1)の構造(7)を前記投影露光装置によって前記ウェーハの前記感放射線層の上に結像する段階と、
10.6 前記感放射線層を現像する段階と、
を含む方法。
【請求項11】
光学近接度補正を最適化するための請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロリソグラフィマスクに関する。更に、本発明は、複数のそのようなマスクを含むセットに関する。更に、本発明は、そのようなマスクの構造の像(images)のエッジ位置を決定する方法、複数のそのようなマスクの構造のオーバーレイ誤差又は構造のエッジ結像での誤差を決定する方法、及びそのような方法を実施するためのシステムに関する。最後に、本発明は、マイクロ構造化又はナノ構造化構成要素を生成する方法、及び本方法に従って生成される構成要素に関する。更に、本発明は、光学近接度補正を最適化するためにマスク構造を測定する方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィでは、結像される構造を有するマスク、いわゆるレチクルの構造が、投影露光装置を用いてウェーハ上に結像される(imaged)。マスクの品質に関して最終的に関連する認定変数は、この結像中のウェーハ上への関連の構造、特にこの構造を定めるエッジの配置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】DE 10 2010 029 049 A1
【文献】DE 10 2013 212 613 A1
【文献】DE 10 2007 033 814 A1
【文献】WO 2008/071 268 A1
【文献】DE 10 2014 209 455 A1
【文献】WO 2009/100856 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、マイクロリソグラフィマスク(microlithographic mask)、特に、複数のそのようなマスクを含むセットを改善することから成る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、マスクの広域位置データ(global position data)を確立するためのいわゆるアンカー要素(anchoring element)を有する少なくとも1つのマーキングと、マスクを使用する時にウェーハ上に結像される構造要素を有する試験構造とを含むマスクによって達成され、試験構造の構造要素及び少なくとも1つのアンカー要素は、それらの互い対する相対位置が局所測定方法によって確立可能である(establishable)ようにマスク上に配置される。特に、アンカー要素は、試験構造の構成部品とすることができる。特に、アンカー要素と試験構造は、同一とすることができる。同じく、チップ設計に存在する構造は、特定的に追加される計測マーカ(ダイ内測定(in-die measurement))の代わりに使用することができる。
【0006】
特に、試験構造の構造要素は、マスクの辺長(side length)の10分の1よりも大きくなく(no more than one tenth)、特に100分の1よりも大きくない少なくとも1つのアンカー要素の最大間隔を有する。特に、試験構造の構造要素とアンカー要素の間の最大距離は、1mmよりも大きくなく、特に100μmよりも大きくない。特に、それは、試験構造を結像する、特に、測定する及び/又は特徴付けるのに使用される測定システム又は測定方法の像視野(image field)の直径よりも大きくない。特に、この測定システムは、化学線測定デバイスであり、対応する方法は、相応に化学線方法と呼ばれる。それはまた、空間像方法(aerial image method)と呼ばれる。
【0007】
化学線測定デバイスは、マスクの構造をウェーハの上に結像するのに使用される露光システムと同じ波長で作動する測定デバイスを意味すると理解される。EUVリソグラフィのためのマスクの場合に、この波長は、30nmよりも短い領域に、特に、13.5nmに位置する。
【0008】
特に、いわゆる空間像計測システム(AIMS)は、試験構造を特徴付けるためのシステムとして機能する。
【0009】
対応するシステムは、DE 10 2010 029 049 A1及びDE 10 2013 212 613 A1から公知である。
【0010】
アンカー要素は、特に、試験構造を特徴付ける測定データをいわゆる位置合わせ方法又は位置合わせシステムを用いて確立されたマスクの広域位置データに結び付けるように機能する。そのような位置合わせ測定の範囲内では、特にマスク上の構造の広域配置が捕捉される。対応する位置合わせシステムは、マスクの区域全体にわたって対応する構造の、特にアンカー要素の配置を非常に正確に決定することができる。そのような測定の精度は、1nmよりも良好であり、特に、0.5nmよりも良好であるとすることができる。特に、アンカー要素は、位置合わせシステムを用いて100nmよりも長い、例えば、193nmの波長での測定を実施することができるように具現化される。特に、それは、マスク上のその位置を特にマスクのサイドエッジに対する又はウェーハ露光装置に使用される整合マーカに対するその位置を方法によって適切な波長で測定することができるように具現化される。
【0011】
本発明の一態様により、特に、マスク上にアンカー要素の規則的な格子、特にマトリクス状の格子を配置するという規定が為される。この格子は、ラスターとも呼ばれる。アンカー要素の全体は、アンカー構造とも呼ばれる。
【0012】
対応する装置(位置合わせシステム)は、例えば、DE 10 2007 033 814 A1、及びWO 2008/071 268 A1、及びDE 10 2014 209 455 A1から公知である。対応する装置に関連する更なる詳細に関しては、これらの文献を参照されたい。
【0013】
本発明により、リソグラフィ工程の結果に関する関連の変数は、レチクル上に結像される構造の配置ではなく、むしろウェーハ上へのその配置であることが認識されている。更に、ウェーハ上に結像される構造の配置は、マスク上のそれらの広域配置に依存するだけでなく、この変数が露光及び結像条件、特に、例えば、主光線角度、照明に使用される照明設定、照明放射線の波長の関数であり、かつ結像される構造自体の特性、特に、例えば、構造のピッチ、トポグラフィ、及び整合の関数でもあることが認識されている。
【0014】
本発明によるマスクは、マスク上の構造の絶対配置又は予め決められた設定点位置(setpoint position)からのそのずれ(deviation)に関する情報と、ウェーハ上への対応する構造の結像の構造/照明特定の効果、特に、エッジ配置、又はエッジ配置誤差(EPE)とも呼ばれる設定点位置からのそのずれとを組み合わせることを可能にする。この結果として、ウェーハ上の構造の精度及び従ってマイクロリソグラフィ方法を用いて生成されるマイクロ構造化(microstructured)又はナノ構造化(nanostructured)構成要素の品質が実質的に改善される。
【0015】
マスクは、特に、DUV又はEUVマイクロリソグラフィのためのマスクとすることができる。
【0016】
本発明の利点は、ウェーハの多重露光に対して与えられる複数の対応するマスクを含むセットにおいて特に有利になるようにもたらされる。ここで、ウェーハ上の異なるマスクの、すなわち、オーバーレイ層(overlaid layers)の結像される構造の像の相対配置は、生成される構成要素の品質に関して決定的に重要である。
【0017】
共通基準点として、セットの全てのマスクは、好ましくは、少なくとも1つの同一アンカー要素を有する。特に、アンカー要素は、各場合にマスク上の同一位置に配置される。
【0018】
セットのマスクは、それらの特徴付けに従って、オーバーレイ層の関連のエッジ配置誤差が予め決められた最大絶対値を超えないように選択することができる。その後のチップの機能性に関して、構造エッジの絶対配置よりもむしろ関連があるのは互いの上にオーバーレイされた層の相対配置である。マスクのそれらのエッジ配置での相対誤差を用いた認定は、独立した個々の認定と比較してマスク生成工程の収率において有意な利点を有することができる。製造要件及び従ってコストは、同じ収率の場合に引き下げることができる。マスク認定では、ウェーハ露光工程に対する高い工程信頼度が要求され、すなわち、マスクは、それらが機能的なチップを事実上確実にもたらす場合にのみ受容される。典型的に、99.7%の信頼度(すなわち、仕様が統計的変動の3シグマ値を満たさなければならない)又はそれよりも高い信頼度がここで要求される。1回の認定の場合に、配置誤差の事実上最も不適当な組合せは、その結果として、この仕様、すなわち、各測定点での絶対値の和を満足しなければならない。しかし、実際の製造工程では、同じ機械によって製造される全てのマスクに対して同じように作用し、かつ相対的認定では結果的に相殺する多くの系統的誤差がある。一例として、マスクセットの寄与に関してエッジ配置での2nmの相対誤差を必要とする場合に、それぞれ1.0nmの反復誤差及び統計誤差(3シグマ)を有する製造工程は、99.7%を有意に超える収率をもたらすと考えられる(相対誤差に関する統計和は、3シグマ値に対して1.4nmであると考えられる)。個々の認定では、各マスクに対して約1nmの絶対誤差が必要であると考えられ、マスクの少なくとも50%は、認定することができないであろう。
【0019】
本発明の更に別の目的は、マイクロリソグラフィマスクの構造の像のエッジ位置を決定する方法を改善することから成る。本方法は、特に、マイクロリソグラフィマスクのエッジ配置誤差を決定する方法である。
【0020】
この目的は、少なくとも1つの第1の測定段階においてマスク上の少なくとも1つのアンカー要素の絶対位置を決定する段階と、少なくとも1つの第2の測定段階においてアンカー要素のうちの1つの像の位置に対する少なくとも1つの試験構造の像の相対位置を決定する段階であって、空間像方法が試験構造の像の相対位置を決定するのに寄与する上記決定する段階と、アンカー要素のうちの少なくとも1つの絶対位置及びそれに対する試験構造の像の相対位置から試験構造の像の絶対位置を決定する段階と、設定点位置からの試験構造の像の絶対位置のずれを決定する段階とを含む方法を用いて達成される。
【0021】
本方法は、特に、2ステージ方法である。最初に、第1の測定方法、特にいわゆる位置合わせ方法でのマスク上の特にアンカー要素を含む計測マーカ(metrology markers)の広域位置データの確立がある。更に、第2の測定方法では、試験構造の像の相対位置は、空間像内のアンカー要素のうちの1つの像の位置に対して局所的に確立される。この第2の局所的測定方法では、特に、試験構造の像をアンカー要素のそれに対して正確に位置決めするための構造特定及び/又は照明特定の寄与の確立がある。ここでは、特に、関連構造のエッジ位置は、アンカー構造の位置に対して、すなわち、マスク上に配置されたアンカー要素の全体に対して決定される。
【0022】
本方法を用いて、特にマイクロリソグラフィマスクの構造特定及び/又は照明特定のエッジ配置誤差が決定される。
【0023】
ここでは、マスクの基板上の配置を特徴付けるいわゆる位置合わせ誤差と、マスクの結像からもたらされる構造特定及び/又は照明特定の寄与とが互いに組み合わされる。その結果、位置合わせ誤差の広域測定値とそれぞれの構造特定及び/又は照明特定の寄与とを考慮したマスクの面全体にわたるエッジ配置誤差のマップを確立することが可能である。この結果は、マスクを認定するために及び光学近接度補正(optical proximity correction)(OPC)を最適化するための工程開発においてその両方で使用することができる。光学近接度補正の目的は、特に、結像する際の構造特定及び照明特定の寄与をマスク設計に利用可能にすることである。この許容値は、測定することができ、従って、本発明を用いて最適化することができる。
【0024】
ここで特に有利なことは、対応する測定に対して最適化された非化学線システム又は方法のエッジ配置誤差への構造非依存の寄与の確立の高い精度が、そのような方法に基づいて特徴付けることができないが、空間像方法を使用すると確実に特徴付けることができる構造特定及び/又は照明特定の寄与の特徴付けと組み合わされることが可能であることである。
【0025】
本発明の一態様により、アンカー要素のうちの1つの像の位置に対する少なくとも1つの試験構造の像の相対位置を決定する時に構造依存の寄与(structure-dependent contributions)が確立される。特に、照明依存の寄与(illumination-dependent contributions)を確立することも可能である。この点に関して、少なくとも1つの試験構造の像の相対位置は、第1に、試験構造自体の詳細、特に、例えば、線密度、その整合、構造を定める吸収体及び多層の材料特性、エッジ角度、及びマスクの線粗度、面粗度に依存し、第2に、試験構造を結像するために与えられる照明設定、特に、主光線角度、及び結像波長λ2とも呼ばれる結像に対して与えられる照明放射線の波長、及び結像に使用される開口数(NA)に依存することが認識されている。
【0026】
試験構造の像の相対位置への構造依存及び/又は照明依存の寄与が考慮されるので、ウェーハの上への関連構造の結像の精度は、その後の構造化方法において有意に改善することができる。
【0027】
本発明の更に別の態様により、投影露光装置を用いてリソグラフィ方法中に補償することができる寄与(いわゆる「補正可能物(correctables)」)が、設定点位置からの試験構造の像の絶対位置のずれを決定する時に考慮される。
【0028】
位置合わせ誤差を計算する時に、例えば、マスク構造全体の線形シフト又は回転又は少なくともある一定の程度までのその均一なスケーリングのような特に一定広域誤差を考慮することが可能である。「スケール」、「オルソ」、及び「オフセット」と呼ばれる誤差は、典型的な補正可能物、すなわち、スキャナを用いて補償可能な(compensatable)誤差であると考えられる。これらは、マスク生成での誤差である。「スケール」は、スケール誤差であり、「オフセット」は、基板に対する又は整合マークに対するマスク構造全体の偏心であり、「オルソ」は、マスク構造全体の回転である。
【0029】
本発明の更に別の態様により、非化学線方法(non-actinic method)は、少なくとも1つのアンカー要素の絶対位置を決定するのに寄与する。非化学線方法は、ウェーハを露光するのに後で使用されるものとは異なる波長を使用する測定方法を意味すると理解される。EUVマスクに関して、非化学線波長は、特に30nmよりも長い。一例として、EUVマスクに対する典型的な非化学線波長は、193nm、248nm、又は365nmである。
【0030】
少なくとも1つのアンカー要素の広域絶対位置を決定する方法は、特に、第1の測定波長λ1を使用する光学的方法である。特に、測定波長λ1は、100nmよりも長く、λ1>100nmである。特に、測定波長は、193nm、248nm、又は365nmとすることができ、λ1=193nm、λ1=248nm、又はλ1=365nmである。
【0031】
本発明の更に別の態様により、少なくとも1つのアンカー要素の絶対位置を決定するために与えられる測定装置の像視野は、少なくとも測定されるマスクほどの大きさである。これは、この場合にマスクの広域測定を特に容易かつ迅速に実施することができるので特に有利である。しかし、これは必須ではない。マスク上の広域位置データを決定するための測定デバイスは、より小さい像視野を有する場合もある。
【0032】
本発明の更に別の態様により、化学線方法は、少なくとも1つの試験構造の像の相対位置を決定するのに寄与する。
【0033】
特に、ウェーハ上にマスク上の構造を結像するために与えられる結像波長に正確に対応する第2の測定波長λ2を使用する光学的方法は、特に、少なくとも1つの試験構造の像の相対位置を決定するのに寄与する。特に、これは、DUV又はEUV範囲の波長とすることができる。特に、これは、5nmから30nmの範囲の波長とすることができ、特に、λ2=13.5nmを適用することができる。
【0034】
DUVスキャナのためのマスクの場合に、第2の測定波長λ2は、特に、DUV範囲にある。特に、λ2=193nmを適用することができる。
【0035】
一般的に、特にλ2≦λ1、特にλ2≦0.1λ1が適用される。
【0036】
本発明の更に別の態様により、少なくとも1つの試験構造の像の相対位置を決定する目的に対して再生されるマスクのその後の結像又は再生されるマスクの少なくとも選択に関して与えられるスキャナの結像特性に対する規定が為される。少なくとも1つの試験構造の像の相対位置を決定する時に、特に、波長、照明設定、開口数(NA)、及び主光線角度の選択は、マスクを結像するために後で使用される値に従って予め決めることができる。
【0037】
この結果として、像の位置は、スキャナの実際の結像条件の下で確立することができる。
【0038】
本発明の更に別の態様により、主光線方向が各場合に変更される複数の第2の測定段階が実施される。
【0039】
この結果として、主光線方向への試験構造の像の相対位置の依存性を確立することが可能である。特に、主光線方向に依存して試験構造の像の相対位置のシフトを確立することが可能である。これは、特に、マスク位置にわたる結像条件のプロファイル、特に、例えば、マスクを結像するために与えられるスキャナの照明スリットにわたって変化する主光線方向を考慮するために、マスクにわたるエッジ配置誤差への構造依存及び/又は照明依存の寄与のプロファイルを計算するのに使用することができる。
【0040】
一代替により、対応するプロファイルは、シミュレーションを用いて決定される及び/又は計算手段によって利用可能にされることもできる。
【0041】
本発明により、例えば、異なる主光線方向及び/又は異なる照明設定を使用する複数の測定を用いて視野にわたるプロファイルを較正することが好ましい。
【0042】
更に別の代替により、マスクの面粗度によって引き起こされる空間像内の強度変動を主光線変動に起因する像の変位を決定する目的に対する基準として使用することが可能である。このいわゆるスペックルパターンは、マスクの面トポグラフィ及び従ってマスク基板上のそれぞれの位置に関する特性の像である。
【0043】
本発明の更に別の態様により、上述の方法は、特に、複数のマイクロリソグラフィマスクのオーバーレイ誤差又はエッジ配置誤差を決定する方法の改善を容易にする。
【0044】
ここでは、少なくとも領域(regions)において同一設定点位置を有する異なるマスク上の構造要素の相対的なずれ(relative deviation)が決定される。特に、互いの上に印刷されるエッジの相対誤差が決定される。これは、異なるマスクを使用する複数の露光工程によって生成されるマイクロ構造化又はナノ構造化構成要素の品質に関して特に関連する変数である。
【0045】
本発明の更に別の目的は、先の説明による方法を実施するためのシステムを提供することにある。
【0046】
この目的は、マスク上の広域位置データを決定するための第1の測定装置と、エッジ配置への構造依存の寄与を決定するための第2の測定装置と、広域位置データ及びエッジ配置への構造依存の寄与からマスクの面全体にわたるエッジ配置誤差のマップを確立するためのデータ処理デバイスとを含むシステムによって容易にされる。
【0047】
利点及び詳細に関しては、以上の説明を参照されたい。第1の測定装置は、特に位置合わせシステム、特に非化学線位置合わせシステムである。
【0048】
第2の測定装置は、特に、空間像システム(AIMS、空間像計測システム)である。
【0049】
本発明の更に別の態様により、上述の方法を実施するためのシステムのデータ処理デバイスは、第1の測定装置及び/又は第2の測定装置に信号接続される。
【0050】
これは、特に、マスクのオンライン特徴付けを担うことを可能にする。エッジ配置誤差のマスク特定のマップは、データ処理デバイスのメモリ、特にデータベースに保存することができる。
【0051】
本発明の更に別の態様により、データ処理デバイスは、マスク誤差を補正するための補正装置に信号接続される。
【0052】
これは、特に、マスクを測定する時に確立された誤差を直接に補正することを可能にする(いわゆる「閉ループ方法」)。これは、特に最大許容可能エッジ配置誤差に鑑みて、不良品、すなわち、予め決められた品質基準を満たさないマスクの比率を低減する。
【0053】
本発明の更に別の目的は、マイクロ構造化又はナノ構造化構成要素、及び同じく対応する構成要素を生成する方法を改善することである。
【0054】
これらの目的は、特に最初に上述の方法を用いて特徴付けられるリソグラフィ方法を用いてウェーハを構造化するために与えられる少なくとも1つのマスク、特に複数のマスクによって達成される。
【0055】
上述のように、これは、構成要素上の構造の精度を改善することができる。
【0056】
本発明の更に別の利点及び詳細は、図面を参照して例示的実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】リソグラフィマスクの面全体にわたるエッジ配置誤差のマップを確立する方法の詳細又は中間段階のシーケンスを示す概略図である。
【
図2】
図1に記載の方法を実施するためのシステムの構成部品を示す概略図である。
【
図3】
図1に例示様式で示すマスクの領域IIIに従ったセクション的拡大図である。
【
図4】線IVに沿って
図3に例示する図の
空間像強度のプロファイルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
マイクロリソグラフィでは、レチクルとも呼ばれるマスク1上に配置された構造は、ウェーハの感光層上に結像される。この目的に寄与するものとして、マスク1を照明するための照明光学ユニットとマスク1上の構造をウェーハ上に結像するための投影光学ユニットとを含むスキャナを有する投影露光装置がある。
【0059】
対応する投影露光装置の詳細は従来技術で公知である。詳細を知るには、代表例としてWO 2009/100856 A1を参照されたい。
【0060】
ウェーハ上の構造要素の密度を可能な限り高めるために、特にDUV波長範囲の放射線、特に193nmの結像波長を有する結像放射線、又はEUV波長範囲、特に5nmから30nmの範囲、特に13.5nmの結像波長を有する結像放射線は、マスク1上の構造をウェーハ上に結像するのに寄与する。
【0061】
特に、マスク1は、反射モードに使用される反射マスクである。マスク1の構造をウェーハ上に結像するために、別途表現すると、照明放射線は、マスク1において、特にその上にある結像される3次元的に具現化された構造7で反射される。
【0062】
ウェーハ上の構造、特にこの構造を定めるエッジの配置の精度は、リソグラフィ工程の結果に対する、特にリソグラフィ方法を用いて生成される構成要素の品質に対する最も重要な変数のうちの1つである。ウェーハ上への構造の配置は、マスク1上への構造の正確な配置に依存する。本発明により、ウェーハ上への構造の配置は、更に、露光及び結像の条件、例えば、主光線角度と、使用照明設定と、照明放射線の波長と、結像される構造自体、例えば、構造の線密度、ピッチ、及び正確なトポグラフィのような他のパラメータとに対する依存性を有することが認識されている。
【0063】
ウェーハ上への構造の正確な配置は、特にいわゆるエッジ位置(エッジ配置)又は設定点位置からのエッジのずれであるエッジ配置誤差(EPE)によって特徴付けることができる。
【0064】
エッジ配置誤差には、取りわけ、オーバーレイ、広域CDU(マスクにわたる構造サイズのプロファイル)、OPC誤差(結像特性をマスク設計内に格納する時の不正確性/誤差)、及び結像される構造の線幅粗度(線粗度)が含まれる。オーバーレイへの構造非依存のマスク寄与を位置合わせ誤差又は簡潔に位置合わせとも呼ぶ。
【0065】
下記では、
図1を参照してマスク1に対するエッジ配置誤差を確立する方法を説明する。
【0066】
本発明により、マスク1上への構造の配置は、第1の測定段階2において捕捉される。第1の測定段階2を位置合わせ測定とも呼ぶ。第1の測定装置3は、特に位置合わせ測定に寄与する。第1の測定装置3を「実証ツール」又はより一般的に「位置合わせツール」とも呼ぶ。特に、この装置は非化学線測定装置である。
【0067】
第1の測定装置3は、光学測定装置、特に計測システムである。位置合わせ測定は、193nm、248nm、又は365nmの第1の測定波長λ1を用いて実施される。第1の測定波長λ1は、それよりも長いとすることができる。特に、第1の測定波長λ1は100nmよりも長い。
【0068】
第1の測定装置3を使用すると、一般的に1nm又はそれよりも高い精度でマスク1上の構造の位置を決定することができる。
【0069】
特に、マスク1の面全体にわたって構造の位置を決定することができる。従って、第1の測定段階2を広域位置測定とも呼ぶ。
【0070】
第1の測定装置3の像視野は、通常はマスクよりも有意に小さい。マスクにわたる高精度測定は、相応に高い精度のステージの移動によって達成される。
図1は、辺長lを有するマスク1を示している。一例として、辺長lは152mmとすることができる。マスク1の他の寸法も同じく可能である。
【0071】
第1の測定段階2では、特に、いわゆるアンカー要素4の位置のそれらの要素の予め決められた設定
点位置からの
ずれが確立される。特に、マスク1の広域位置合わせマップ5が決定される。このマップを
図1に示している。アンカー要素4の個数は概略的であるように解釈しなければならない。マスク1上には少なくとも1つのアンカー要素4が与えられる。通常、マスク1上には複数のアンカー要素4が与えられる。アンカー要素4は、好ましくは、マトリクス状の方式、特にマスク1上に行と列で配置される。アンカー要素4の全体をアンカー構造とも呼ぶ。
【0072】
好ましくは、異なるマスク1に対するアンカー要素4は、それらのマスク1の同一位置に配置される。特に、アンカー要素4は、マスク1の境界エッジに対して同一位置に配置される。それにより、異なるマスク1の広域位置を互いに対して比較することが可能になる。
【0073】
図1に示すアンカー要素4は、正確な縮尺で例示したものではない。通常、それらのアンカー要素4は、
図1に示すものよりも有意に小さい。
【0074】
特に、アンカー要素4は、十字形実施形態を有することができる。特に、アンカー要素4の各々は、マスク1のサイドエッジと平行に配置された2つの肢部を有する。
【0075】
第1の測定段階2からのデータを第2の測定段階6からのデータに結び付ける構造、特にアンカー要素4の全体をアンカー構造とも呼ぶ。
【0076】
第2の測定段階6では、マスク1の
像は、投影露光装置内で関連の結像条件のエミュレーションの下で測定される。ここでは、特に、その後のウェーハ露光に関するウェーハ上に結像される構造7の構造依存性及び結像依存性が捕捉される。下記では試験構造とも呼ぶ結像される構造7を
図1及び
図3に単に概略的かつ例示的な形式で示している。試験構造は、マスク1が結像波長λ2の照明放射線と併用される場合にウェーハ上に結像される異なる構造要素を含む。
【0077】
特に、空間像方法は、第2の測定段階6として寄与する。特に、空間像方法は、化学線方法とすることができる。
【0078】
マスク1を測定するために、原理的には同じ波長、特に193nmの波長を用いて第1の測定段階2及び第2の測定段階6を実施することができる。
【0079】
図1の下側の行にある中心画像
(central image)に示すように、特に、第2の測定装置9の像視野8の予め決められたセクション内の
空間像強度Iが、第2の測定段階6で確立される。この
空間像強度Iから、試験構造の
像のエッジ位置は、予め決められる閾値10を予め決めることができる閾値方法を用いて確立することができる。特に、アンカー要素4の
像の位置に対する試験構造の
像の相対(エッジ)位置を決定することができる。この決定に対しては、下記で更に詳細に説明する。
【0080】
第2の測定装置9の像視野8は、マスク1よりも有意に小さい。
【0081】
第2の測定装置9の像視野8は、特に1μmから1mmの範囲の最大広がりを有する。
【0082】
図1の下側の行の中心画像は、閾値方法の適用後に出現する2つの構造(x
L1
L、x
L2
L)の左境界エッジ及び右境界エッジ(x
L1
R、x
L2
R)のエッジ位置を例示的に示している。
【0083】
アンカー要素の
像に対して確立されたエッジ位置x
Li
L/Rを評価すること11により、2つの構造の境界を定める4つのエッジの各々に対して使用される測定格子(この画像内では3×3)上のエッジ配置誤差を確立することができる。その結果、アンカー要素に対するそれぞれのエッジ配置誤差のマップを生成することができる。エッジ位置x
Li
L/Rでの対応する誤差のマップを
図1の下側の行の一番右に代表的かつ例示的に示している。残りのエッジ位置x
Li
L/Rに関して対応するマップが確立される。結像条件下の位置依存の変動、すなわち、例えば、主光線角度の変動からマスク位置にわたる変動がもたらされる。位置非依存の結像条件を用いて作業が実施される場合に、第2の測定段階6での異なるマスク位置にある計測マーカの測定を省くことができ、すなわち、構造依存の変位が1つの位置でのみ確立される。ここでは、各エッジ位置に対して変位ベクトルが現れる(マップの代わりに)。
【0084】
エッジ配置誤差のマップは、一般的に照明放射線の波長及び照明設定に依存する。特に、マップは、マスク1のその後の結像に使用することが意図されたスキャナの予め決められた波長と予め決められた照明設定とに対して確立される。構造依存性に起因して、各エッジに専用マップがある。
【0085】
エッジ配置誤差を解説するために
図1の下側の行の一番右に示すベクトル長は、マスク1のエッジ長lに対する正確な縮尺で例示したものではない。一般的にエッジ配置誤差のベクトル長は1nm程度のものである。
【0086】
広域位置合わせマップ5と第2の測定装置9を用いて確立された構造特定のずれとを組み合わせることにより、マスク1全体のエッジ配置誤差の構造特定のマップ12を確立することができる。この確立に対しては、下記で更に詳細に説明する。
【0087】
下記はでは、本方法の異なる態様をこれまでと同じく要旨形式で説明する。
【0088】
図1の上段の左は、位置合わせマークとも呼ぶアンカー要素4を有するマスク1を示している。位置合わせマークの位置を測定することにより、第1の測定段階2においてマスク1を通して位置合わせ誤差が決定される(
図1の上段の行の中心を参照されたい)。
【0089】
第2の測定装置9の像視野8は、アンカー要素4のうちの少なくとも1つに加えて、結像される構造7のうちの一部を更に含む。これを
図1の下段の左に示している。
【0090】
特に、上述の閾値は、ウェーハ露光中に後で使用されるフォトレジストの露光閾値に正確に対応する。
【0091】
2つの測定段階2及び6の結果を組み合わせることにより、関連の構造、より具体的にはそれらの構造を定めるエッジの実際の配置、又はウェーハ画像(wafer image)内の設定点配置(setpoint placement)からの実際の配置のずれを2つの測定装置3、9の一方単独の場合よりも実質的に正確に決定することができる。2つの測定を組み合わせることにより、結像される構造7のエッジ配置誤差への構造特定及び/又は照明特定の寄与が初めて認定可能になる。
【0092】
アンカー要素4は、位置合わせ測定工程のための役割のみをもたらすことができ、後に生成される構成要素の電気機能には無関係とすることができる。それに対する代替として、生成される構成要素の電気機能に対しても重要な構造をアンカー要素4として使用することができる。
【0093】
結像される構造7を定めるエッジ、特に、投影露光装置の像視野内、すなわち、後に構造化されるウェーハ上でのエッジの正確な位置を第1の測定装置3を用いて測定することは不可能であり、又は少なくとも実際的な条件の下では不可能である。結像される構造7のエッジ位置の依存性をウェーハを露光するのに使用される結像条件の下で決定するためには第2の測定装置9を用いた第2の測定段階6が必要である。この工程では、マスク1の1又は2以上の局所領域が測定される。
【0094】
必要に応じて、複数の像視野を互いに隣接するように配置することによって像視野8を実質的に拡大することができる。
【0095】
結像される構造7の像は、いかなる鮮明なエッジプロファイルも示さず、むしろ段階的な強度プロファイルのみを示し、例えば、第2の測定装置9の分解能限界付近では密度線に対して正弦波プロファイルのみを示すので、ウェーハ上に結像される構造7の像のエッジ位置は、使用露光閾値に依存する。従って、互いに対する相対エッジ位置の正しい決定には、互いに対して相対的な強度プロファイルが投影露光装置の空間像のものに対応することが必要である。次いで、第2の測定段階6において確立されたエッジ位置(xi)から所与の結像条件下でのエッジ配置誤差への構造特定の寄与を確立することができる(評価11)。
【0096】
一例として、空間像内のエッジ位置の変位は、非直角主光線角度に起因する遮蔽効果に由来する場合がある。そのような遮蔽効果は、取りわけ、使用照明放射線の波長に依存する。従って、第2の測定段階6は、ウェーハを構造化するためにマスク1を使用する時に供給される照明放射線の結像波長に正確に対応する第2の測定波長2において実施される。
【0097】
遮蔽効果は、取りわけ、照明放射線の主光線角度にも依存する。
【0098】
主光線角度は、例えば、5°から9°まで、特に6°とすることができる。特に、主光線角度は、照明スロットの幅にわたって変化することが可能である。これは、マスク1上の視野位置又は結像される構造7の位置に依存してこの構造7の像のオフセットを招く場合がある。現在のEUV露光装置での視野依存オフセットが一般的に1nmよりも大きい場所にあり、すなわち、それを考慮することは非常に関連性があることが示されている。
【0099】
一例として、このオフセットは、シミュレーションに基づいて利用可能にすることができる。同じく、このオフセットは、上述した方法を用いて直接に測定することができる。
【0100】
その後のウェーハの構造化では、ウェーハを複数回露光することを可能にすることができる。ここでは、異なるマスク1の結像される構造7をウェーハ上に結像することができる。特に、層とも呼ぶオーバーレイ像(overlaid images)を実施することができる。上述した方法を使用すると、この層、すなわち、異なるマスク1の像の結像される構造7の相対位置の品質を互いに対して認定することが可能である。
【0101】
ウェーハの多重露光に対して与えられる複数のマスクのセットは、好ましくは、全てのマスク上で同一である、特に、同一様式で配置されたアンカー要素4を含む。マスクの各々は、少なくとも1つの同一アンカー要素4、特に少なくとも1つの同一に配置されたアンカー要素4を有する。
【0102】
図2は、上述した方法を実施するためのシステム13を示している。第1の測定装置3及び第2の測定装置9に加えて、システム13は、データ処理デバイス14を含む。
【0103】
データ処理デバイス14は、第1の測定装置3に信号接続される。第1の測定装置3を用いて実施される測定は、特にデータ処理デバイス14を用いて制御可能である。第1の測定段階2の結果は、特にデータ処理デバイス14に送信される。それらの結果は、データ処理デバイス14を用いて更に処理することができる。特に、それらの結果は、データ処理デバイス14を用いてデータベースに格納することができる。
【0104】
データ処理デバイス14は、第2の測定装置9に信号接続される。第2の測定装置9を用いて実施される第2の測定段階6は、特にデータ処理デバイス14を用いて制御することができる。第2の測定段階6の結果は、特にデータ処理デバイス14に送信することができる。特に、それらの結果は、データ処理デバイス14を用いて更に処理することができる。特に、それらの結果は、データ処理デバイス14を用いてデータベースに格納することができる。
【0105】
更に、データ処理デバイス14は、補正装置15に信号接続される。補正装置15は、特にデータ処理デバイス14によって制御可能である。補正装置15を用いて実施された補正は、データ処理デバイス14に送信することができる。補正装置15を用いてマスク誤差を修復することができる。
【0106】
データ処理デバイス14を使用すると、異なるマスク1の品質を互いに独立して認定することができる。同じく、層のその後の配置を考慮し、かつウェーハの多重露光に向けて後に与えられるマスク1の測定結果を互いに対して評価することも可能である。
【0107】
特に、データ処理デバイス14はサーバを含む。
【0108】
マスク1は、アンカー要素4を有するアンカー構造と、結像される構造7の少なくとも部分集合又はその結像特性に類似である構造とを含む測定ターゲットとも呼ぶ少なくとも1つの計測マーカを含む。
【0109】
その結果、結像される構造7の位置は第2の測定段階6において直接マスク1上で測定されず、代わりに構造7の像が第2の測定装置9の像視野内で測定される。ここでは、特に、アンカー要素4のうちの少なくとも1つの像に対する結像される構造7の像の相対位置が決定される。
【0110】
好ましくは、アンカー要素4の各々に対して対応する測定が実施される。その結果、特にマスク1上の結像される構造7の位置への相対配置又はそのオフセットの依存性を決定することができる。
【0111】
ウェーハの構造化に関連するエッジの絶対位置は、第1の測定段階2で測定されたアンカー要素4の絶対位置と、第2の測定段階6で確立されたエッジの相対変位とで確立することができる。原理的には、エッジの相対変位の場合にこの変位の較正された主光線角度依存性を考慮するための補正を実施することができる。次いで、エッジの絶対位置とエッジの設定点位置の間の差からエッジ配置誤差が明らかになる。この配置誤差を計算する場合に、例えば、マスク構造全体の変位誤差、回転誤差、又はスケール誤差のようなマスク1全体に一様に関連する誤差を考慮することができる。一例として、スキャナ画像(scanner image)内で補正可能なそれらの誤差は、(x’,y’)を変換された座標系内の座標とし、(x,y)を元の座標系内の座標とし、原点をマスクの中心とする座標変換式(x’,y’)=(magx,magy)*R(x+dx,y+dy)によって表すことができ、式中のRは、要素R11=cosα、R12=-sinα、R21=sinα、R22=cosαを有する2×2回転マトリクスである。ここでは、パラメータ、すなわち、x方向及びy方向の倍率magx及びmagyは、エッジ位置の残存誤差が最小にされるように選択される。一般的に変位誤差、回転誤差、及びスケール誤差は、ウェーハ露光装置内のマスク整合(ウェーハに対するマスクの調節)中に補正されるので、上述のようにして確立された残存誤差は、ウェーハ露光中のエッジ配置誤差に対応する。ウェーハ露光装置が更に別の誤差プロファイルを除去することができる場合に、それらの誤差は、対応する座標変換を用いて類似の様式で表すことができる。
【0112】
本発明の更なる詳細を下記で説明する。
【0113】
一般的に、アンカー要素4は、その設定点位置に対して、第1の測定段階2において第2の測定段階6でのものとは異なるオフセットを有することになる。これは、取りわけ、3次元マスク構造との組合せで遮蔽効果を招く可能性がある異なる結像条件に由来する場合がある。
【0114】
第1の測定段階2及び第2の測定段階6が各場合に全てのマスク位置に対して不変の結像条件下で実施される場合に、マスク1上の全ての点に関して差は同一である。特に、オフセットは、次に、全てのマスク位置にわたって一定である。これは、上述した補正可能物の適用によって排除することができ、その結果、エッジ配置誤差を決定することには無関係である。この場合に、第2の測定段階6からのデータと第1の測定段階2からのデータとを互いに結び付けることに問題はない。
【0115】
第2の測定段階6がマスク位置に依存する結像条件を用いて実施される限り、一般的にオフセットは全てのマスク位置にわたってもはや同一ではない。一例として、EUVリソグラフィでは、主光線角度はマスク位置に依存して変化する。一定のオフセットは、通例ではオフセットに最も寄与するが、ここではマスク位置にわたる結像条件のプロファイルを同じく考慮することが有利であると考えられる。この目的に対して、異なるオプションを提案する。
【0116】
第1のオプションは、アンカー要素4を可能な限り遮蔽効果に依存しないように具現化することにある。遮蔽は吸収体厚みに依存するので、例えば、非常に薄い吸収体(すなわち、例えば、局所的に薄化又は塗布された)のみを有する構造は、比較的鈍感であると考えられる。
【0117】
更に、エッジ配置誤差を決定する時に、マスク位置にわたる結像条件のプロファイルは、コンピュータ様式で利用可能な状態に保つことができる。この目的に対して、このプロファイルは、シミュレーションを用いて決定することができる。その結果、補正を省く場合と比較して誤差を実質的に低減することができる。マスク構造の不正確な知識(例えば、材料定数、構造化マスク吸収体の3Dエッジプロファイル、面粗度)に起因する残りの残存誤差は許容することができる。
【0118】
好ましい変形により、プロファイルは、視野にわたって較正される。この目的に対して、アンカー要素4の位置変位は、主光線角度を変更する時に測定される。次いで、その後の測定は、相応に補正することができる。
【0119】
第2の測定装置の位置安定性がこの目的に対して十分でない場合に、いわゆるスペックルパターンを基準として使用することができる。スペックルパターンは、マスク1の面トポグラフィからもたらされ、かつその像である。マスク1の面凹凸は、一般的に最大で50pmの領域内に収まるが、マスク1吸収体厚みは50nm及びそれよりも大きいので、スペックルパターンは、遮蔽効果による影響を事実上受けない。
【0120】
計測マーカの各々は、固定的に予め決められた主光線角度、例えば、スキャナの視野中心での主光線の主光線角度と、計測マーカのそれぞれの位置に属するスキャナの主光線角度とを用いて測定することができる。その結果、各計測マーカは、異なる主光線角度を用いて2回、特に少なくとも2回測定される。計測マーカを測定する時のスペックルパターンは、主光線角度と実質的に独立であるので、アンカー要素4の主光線依存の変位を決定する目的のための基準として寄与することができる。
【0121】
結像される構造7が第1の測定装置3の分解能限界よりも大きいように具現化される限り、それらの構造7自体がアンカー要素4として機能することができる。この場合に、別個のアンカー要素4を省くことができる。
【0122】
下記では、結像される構造7及びアンカー要素4の
像の相対位置を決定する段階の詳細を
図3及び
図4を参照して例示的に説明する。
【0123】
図3は、
図1に示す第2の測定装置9の像視野8からの領域IIIに対応するセクションを例示様式で示している。特に、十字状に成形されて具現化されたアンカー要素4と、支援特徴部(画像内の実線L1及びL2の左右にある)を有するいわゆる2バー構造とを説明目的で例示している。支援特徴部は、ウェーハ露光工程中に結像されないが、例えば、処理窓の拡大という意味の範囲で隣接する構造L1及びL2の結像に良い影響を及ぼすマスク上の構造である。2バー構造は、2つのストライプL1、L2を含む。第2の測定段階6において、アンカー要素4の左エッジx
2,l及び右エッジx
2,rであるx
2,l
anchor、x
2,r
anchor、並びにストライプL1、L2の左エッジx
2,l及び右エッジx
2,rであるx
2,l
L1、x
2,r
L1、x
2,l
L2、x
2,r
L2が各場合に確立される。
【0124】
第2の測定段階6では、次式の2つのエッジ位置の平均値がアンカー要素の位置として使用される。
x2,raw
anchor=(x2,l
anchor+x2,r
anchor)/2
【0125】
下記ではx方向の位置の確立のみを提示する。
【0126】
アンカー要素4の位置x1
anchorは、第1の測定段階2において第1の測定装置3を用いて確立される。
【0127】
図4に例示様式で示すように、アンカー要素4及び結像される構造7の2つのストライプL1、L2の位置は、第2の測定段階6において確立される。
【0128】
結像される構造7、特に2つのストライプL1、L2の絶対エッジ位置は、次式のように計算される。
xl
L1=x2,l
L1-(x2,raw
anchror-ΔxCRA
anchor)+x1
anchor
xr
L1=x2,r
L1-(x2,raw
anchror-ΔxCRA
anchor)+xl
anchor
xl
L2=x2,l
L2-(x2,raw
anchror-ΔxCRA
anchor)+xl
anchor
xr
L2=x2,r
L2-(x2,raw
anchror-ΔxCRA
anchor)+xl
anchor
【0129】
ここでは、ΔxCRA
anchorは、主光線角度依存性(CRA依存性)に対するアンカー位置の較正を表している。xCRA=0
anchorが、スキャナ視野の中心又はマスク1の中心の主光線に対応する主光線角度でのアンカー要素の位置を表す時に、ΔxCRA
anchor=xCRA
anchor-xCRA=0
anchorが適用される。
【0130】
このことから、エッジ配置誤差(EPE)は、以下のように決定される。
【0131】
EPE(x)L1,l
raw=xl
L1-xl,setpoint
L1、ここでxl,setpoint
L1は、ストライプL1の左エッジの予め決められた設定点位置を表す。残りのエッジのエッジ配置誤差は相応に明らかになる。
【0132】
第1の測定段階2において確立されたデータから決定された補正可能物を減算することにより、EPErawから補正されたEPEを決定することが依然として可能である。