(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】エッジリングの保持方法、プラズマ処理装置、及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231124BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231124BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/302 101H
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2020041748
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】玉虫 元
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164092(JP,A)
【文献】特開2018-206935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0350565(US,A1)
【文献】特開2010-183074(JP,A)
【文献】特開2016-058589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置のチャンバ内での基板に対するプラズマ処理の実行中に基板支持器の第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、該第1の静電チャックの第1の電極及び第2の電極に正極性を有する第1の電圧を印加する工程であり、前記プラズマ処理は、前記基板が前記エッジリングによって囲まれた領域内で前記基板支持器の第2の静電チャック上に載置された状態で実行される、該工程と、
前記プラズマ処理の後、且つ、前記チャンバから前記基板が搬出された後の第1の期間において前記静電チャックによって前記エッジリングを保持するために、前記第1の電極及び前記第2の電極に負極性を有する第2の電圧を印加する工程であり、該第1の期間において前記チャンバ内で生成されたプラズマを用いて前記チャンバのクリーニングが実行される、該工程と、
前記第1の期間の後の第2の期間において前記第1の静電チャックによって前記エッジリングを保持するために、前記第1の電極及び前記第2の電極にそれぞれ、第3の電圧及び第4の電圧を印加する工程であり、該第2の期間において前記チャンバ内で生成されたプラズマを用いて前記チャンバのクリーニングが実行される、該工程と、
を含み、
前記第1の電極は、前記第2の電極よりも前記第2の静電チャックの近くで延在しており、
前記第3の電圧は正極性を有し、前記第4の電圧は負極性を有し、前記第3の電圧の絶対値は、前記第1の電圧の絶対値及び前記第2の電圧の絶対値よりも小さく、前記第4の電圧の絶対値以下である、
エッジリングの保持方法。
【請求項2】
前記第3の電圧の前記絶対値は、前記第4の電圧の前記絶対値よりも小さい、請求項1に記載のエッジリングの保持方法。
【請求項3】
前記第4の電圧の前記絶対値は、前記第1の電圧の前記絶対値及び前記第2の電圧の前記絶対値と等しい、請求項2に記載のエッジリングの保持方法。
【請求項4】
前記第2の電圧の前記絶対値は、前記第1の電圧の前記絶対値と等しい、請求項1又は2に記載のエッジリングの保持方法。
【請求項5】
前記第1の期間において生成される前記プラズマは、酸素ガスから生成されるプラズマであり、
前記第2の期間において生成される前記プラズマは、窒素ガスから生成されるプラズマである、
請求項1~4の何れか一項に記載のエッジリングの保持方法。
【請求項6】
第3の電圧及び第4の電圧を印加する前記工程の後、搬送装置により前記第2の静電チャック上に別の基板を搬送する工程を更に含み、
前記別の基板が前記第2の静電チャック上に載置され、且つ、前記第1の電極及び前記第2の電極に前記第1の電圧が印加されることにより前記第1の静電チャックによって前記エッジリングが保持された状態で、前記別の基板に対して前記プラズマ処理が更に実行される、
請求項1~5の何れか一項に記載のエッジリングの保持方法。
【請求項7】
チャンバと、
前記チャンバ内で基板を支持するように構成された基板支持器であり、その上に載置されるエッジリングを保持するように構成された第1の静電チャック及びその上に載置される基板を保持するように構成された第2の静電チャックを有し、該第1の静電チャックは、第1の電極及び第2の電極を有し、前記第1の電極は、前記第2の電極よりも前記第2の静電チャックの近くで延在している、該基板支持器と、
一つ以上の直流電源を含み、前記第1の電極及び前記第2の電極に対して印加される電圧を発生するように構成された電源装置と、
前記電源装置を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第2の静電チャック上に載置された前記基板に対するプラズマ処理の実行中に前記第1の静電チャックによって前記エッジリングを保持するために、正極性を有する第1の電圧を前記第1の電極及び前記第2の電極に印加するよう、前記電源装置を制御し、
前記プラズマ処理の後、且つ、前記チャンバから前記基板が搬出された後に、前記チャンバ内で生成されたプラズマを用いた前記チャンバのクリーニングが実行される第1の期間において、前記第1の静電チャックによって前記エッジリングを保持するために、前記第1の電極及び前記第2の電極に負極性を有する第2の電圧を印加するよう、前記電源装置を制御し、
前記第1の期間の後、前記チャンバ内で生成されたプラズマを用いて前記チャンバのクリーニングが実行される第2の期間において前記第1の静電チャックによって前記エッジリングを保持するために、前記第1の電極に第3の電圧を印加し、前記第2の電極に第4の電圧を印加するよう、前記電源装置を制御し、
前記第3の電圧は正極性を有し、前記第4の電圧は負極性を有し、前記第3の電圧の絶対値は、前記第1の電圧の絶対値及び前記第2の電圧の絶対値よりも小さく、前記第4の電圧の絶対値以下である、
プラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第3の電圧の前記絶対値は、前記第4の電圧の前記絶対値よりも小さい、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第4の電圧の前記絶対値は、前記第1の電圧の前記絶対値及び前記第2の電圧の前記絶対値と等しい、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第2の電圧の前記絶対値は、前記第1の電圧の前記絶対値と等しい、請求項7又は8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
請求項7~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置と、
搬送装置と、
を備え、
前記制御部は、
前記第2の期間における前記クリーニングの実行後、前記第2の静電チャック上に別の基板を搬送するよう、前記搬送装置を制御し、
前記第2の静電チャック上に載置された前記別の基板に対する前記プラズマ処理の実行中に前記第1の静電チャックによって前記エッジリングを保持するために、前記第1の電圧を前記第1の電極及び前記第2の電極に印加するよう、前記電源装置を制御する、
基板処理システム。
【請求項12】
プラズマ処理装置におけるプラズマを用いたチャンバのクリーニング中に、該チャンバ内に設けられた基板支持器の第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、該第1の静電チャックの第1の電極及び第2の電極に異なる極性を有する電圧を印加する工程であり、前記基板支持器は、前記エッジリングによって囲まれた領域内でその上に載置される基板を保持するための第2の静電チャックを有し、前記第1の電極は、前記第2の電極よりも前記第2の静電チャックの近くで延在しており、負極性を有する電圧が該第2の電極に印加され、前記第2の電極に印加される前記電圧の絶対値よりも小さい絶対値を有し、且つ、正極性を有する電圧が前記第1の電極に印加される、該工程と、
電圧を印加する前記工程の後、前記エッジリングによって囲まれた領域内、且つ、前記基板支持器の第2の静電チャック上に基板を搬送する工程と、
を含む、エッジリングの保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッジリングの保持方法、プラズマ処理装置、及び基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に対するプラズマ処理は、プラズマ処理装置を用いて実行される。プラズマ処理装置は、チャンバ及び基板支持器を備える。基板支持器は、エッジリング及び基板を支持するように構成される。基板支持器は、静電チャックを含む。基板は、静電チャック上且つエッジリングによって囲まれた領域内に配置される。
【0003】
下記の特許文献1及び特許文献2に記載されたプラズマ処理装置の静電チャックは、エッジリングを保持するために、二つの電極を有している。エッジリングは、二つの電極に同極性又は異なる極性の電圧が印加されることにより、静電チャックによって保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-122740号公報
【文献】特開2018-206935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、基板支持器上での基板の位置ずれを抑制するためのエッジリングの保持に関する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの例示的実施形態において、エッジリングの保持方法が提供される。保持方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内での基板に対するプラズマ処理の実行中に基板支持器の第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の静電チャックの第1の電極及び第2の電極に第1の電圧を印加する工程を含む。第1の電圧は正極性を有する。プラズマ処理は、基板がエッジリングによって囲まれた領域内で基板支持器の第2の静電チャック上に載置された状態で実行される。保持方法は、プラズマ処理の後、且つ、チャンバから基板が搬出された後の第1の期間において静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の電極及び第2の電極に第2の電圧を印加する工程を更に含む。第2の電圧は、負極性を有する。第1の期間では、チャンバのクリーニングが、チャンバ内で生成されたプラズマを用いて実行される。保持方法は、第1の期間の後の第2の期間において第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の電極及び第2の電極にそれぞれ、第3の電圧及び第4の電圧を印加する工程を含む。第2の期間では、チャンバのクリーニングが、チャンバ内で生成されたプラズマを用いて実行される。第1の電極は、第2の電極よりも第2の静電チャックの近くで延在している。第3の電圧は正極性を有し、第4の電圧は負極性を有する。第3の電圧の絶対値は、第1の電圧の絶対値及び第2の電圧の絶対値よりも小さく、第4の電圧の絶対値以下である。
【0007】
また、別の例示的実施形態において、エッジリングの保持方法が提供される。保持方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器の第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の静電チャックの第1の電極及び第2の電極に異なる極性を有する電圧を印加する工程を含む。電圧を印加する工程は、プラズマ処理装置におけるプラズマを用いたチャンバのクリーニング中に実行される。基板支持器は、エッジリングによって囲まれた領域内でその上に載置される基板を保持するための第2の静電チャックを有する。第1の電極は、第2の電極よりも第2の静電チャックの近くで延在している。電圧を印加する工程では、負極性を有する電圧が第2の電極に印加され、第2の電極に印加される電圧の絶対値よりも小さい絶対値を有し、且つ、正極性を有する電圧が第1の電極に印加される。保持方法は、電圧を印加する工程の後、エッジリングによって囲まれた領域内、且つ、基板支持器の第2の静電チャック上に基板を搬送する工程を更に含む。
【発明の効果】
【0008】
上記の例示的実施形態によれば、基板支持器上での基板の位置ずれ量を抑制し得るようにエッジリングを保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一つの例示的実施形態に係るエッジリングの保持方法の流れ図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係る基板処理システムを示す図である。
【
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置のチャンバ内の構成を示す図である。
【
図5】
図1に示す方法に関連するタイミングチャートである。
【
図6】
図6の(a)は第1の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表す図であり、
図6の(b)は第2の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表す図であり、
図6の(c)は第3の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表す図である。
【
図7】
図7の(a)は第4の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表す図であり、
図7の(b)は第5の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表す図であり、
図7の(c)は第6の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0011】
一つの例示的実施形態において、エッジリングの保持方法が提供される。保持方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内での基板に対するプラズマ処理の実行中に基板支持器の第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の静電チャックの第1の電極及び第2の電極に第1の電圧を印加する工程を含む。第1の電圧は正極性を有する。プラズマ処理は、基板がエッジリングによって囲まれた領域内で基板支持器の第2の静電チャック上に載置された状態で実行される。保持方法は、プラズマ処理の後、且つ、チャンバから基板が搬出された後の第1の期間において静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の電極及び第2の電極に第2の電圧を印加する工程を更に含む。第2の電圧は、負極性を有する。第1の期間では、チャンバのクリーニングが、チャンバ内で生成されたプラズマを用いて実行される。保持方法は、第1の期間の後の第2の期間において第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の電極及び第2の電極にそれぞれ、第3の電圧及び第4の電圧を印加する工程を含む。第2の期間では、チャンバのクリーニングが、チャンバ内で生成されたプラズマを用いて実行される。第1の電極は、第2の電極よりも第2の静電チャックの近くで延在している。第3の電圧は正極性を有し、第4の電圧は負極性を有する。第3の電圧の絶対値は、第1の電圧の絶対値及び第2の電圧の絶対値よりも小さく、第4の電圧の絶対値以下である。
【0012】
上記実施形態では、電荷マイグレーションを抑制するために、第1の期間において用いられる第2の電圧は、プラズマ処理の実行中に用いられる第1の電圧の極性とは逆の極性即ち、負極性を有する。第1の期間の後の第2の期間では、第2の静電チャックの比較的近くで延在する第1の電極に正極性を有し、比較的低い値を有する第3の電圧が印加され、第2の電極には負極性を有する第4の電圧が印加される。その結果、クリーニングの実行後に第2の静電チャック上に搬送される別の基板の位置ずれが抑制される。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第3の電圧の絶対値は、第4の電圧の絶対値よりも小さくてもよい。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第4の電圧の絶対値は、第1の電圧の絶対値及び第2の電圧の絶対値と等しくてもよい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第2の電圧の絶対値は、第1の電圧の絶対値と等しくてもよい。第2の電圧の絶対値が第1の電圧の絶対値と等しい場合には、電荷マイグレーションがより効果的に抑制される。
【0016】
一つの例示的実施形態では、第1の期間において生成されるプラズマは、酸素ガスから生成されるプラズマであってもよい。第2の期間において生成されるプラズマは、窒素ガスから生成されるプラズマであってもよい。
【0017】
一つの例示的実施形態では、保持方法は、第3の電圧及び第4の電圧を印加する工程の後、搬送装置により第2の静電チャック上に別の基板を搬送する工程を更に含む。別の基板が第2の静電チャック上に載置され、且つ、第1の電極及び第2の電極に第1の電圧が印加されることにより第1の静電チャックによってエッジリングが保持された状態で、別の基板に対してプラズマ処理が更に実行されてもよい。
【0018】
別の例示的実施形態においては、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、電源装置、及び制御部を備える。基板支持器は、チャンバ内で基板を支持するように構成されている。基板支持器は、第1の静電チャック及び第2の静電チャックを有する。第1の静電チャックは、その上に載置されるエッジリングを保持するように構成されている。第2の静電チャックは、その上に載置される基板を保持するように構成されている。第1の静電チャックは、第1の電極及び第2の電極を有する。第1の電極は、第2の電極よりも第2の静電チャックの近くで延在している。電源装置は、一つ以上の直流電源を含む。電源装置は、第1の電極及び第2の電極に対して印加される電圧を発生するように構成されている。制御部は、第2の静電チャッ上に載置された基板に対するプラズマ処理の実行中に第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、正極性を有する第1の電圧を第1の電極及び第2の電極に印加するよう、電源装置を制御する。制御部は、プラズマ処理の後、且つ、チャンバから基板が搬出された後の第1の期間において、第1の電極及び第2の電極に負極性を有する第2の電圧を印加するよう、電源装置を制御する。第1の期間では、チャンバのクリーニングがチャンバ内で生成されたプラズマを用いて実行される。制御部は、第2の期間において第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の電極に第3の電圧を印加し、第2の電極に第4の電圧を印加するよう、電源装置を制御する。第2の期間は、第1の期間の後の期間である。第2の期間では、チャンバのクリーニングがチャンバ内で生成されたプラズマを用いて実行される。第3の電圧は正極性を有し、第4の電圧は負極性を有する。第3の電圧の絶対値は、第1の電圧の絶対値及び第2の電圧の絶対値よりも小さく、第4の電圧の絶対値以下である。
【0019】
一つの例示的実施形態において、第3の電圧の絶対値は、第4の電圧の絶対値よりも小さくてもよい。
【0020】
一つの例示的実施形態において、第4の電圧の絶対値は、第1の電圧の絶対値及び第2の電圧の絶対値と等しくてもよい。
【0021】
一つの例示的実施形態において、第2の電圧の絶対値は、第1の電圧の絶対値と等しくてもよい。
【0022】
更に別の例示的実施形態においては、基板処理装置が提供される。基板処理装置は、上述の例示的実施形態のうち何れかのプラズマ処理装置及び搬送装置を備える。制御部は、第2の期間におけるクリーニングの実行後、第2の静電チャッ上に別の基板を搬送するよう、搬送装置を制御する。制御部は、第2の静電チャッ上に載置された別の基板に対するプラズマ処理の実行中に静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の電圧を第1の電極及び第2の電極に印加するよう、電源装置を制御する。
【0023】
更に別の例示的実施形態において、エッジリングの保持方法が提供される。保持方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内に設けられた基板支持器の第1の静電チャックによってエッジリングを保持するために、第1の静電チャックの第1の電極及び第2の電極に異なる極性を有する電圧を印加する工程を含む。電圧を印加する工程は、プラズマ処理装置におけるプラズマを用いたチャンバのクリーニング中に実行される。基板支持器は、エッジリングによって囲まれた領域内でその上に載置される基板を保持するための第2の静電チャックを有する。第1の電極は、第2の電極よりも第2の静電チャックの近くで延在している。電圧を印加する工程では、負極性を有する電圧が第2の電極に印加され、第2の電極に印加される電圧の絶対値よりも小さい絶対値を有し、且つ、正極性を有する電圧が第1の電極に印加される。保持方法は、電圧を印加する工程の後、エッジリングによって囲まれた領域内、且つ、基板支持器の第2の静電チャック上に基板を搬送する工程を更に含む。
【0024】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0025】
図1は、一つの例示的実施形態に係るエッジリングの保持方法の流れ図である。
図1に示す保持方法(以下、「方法MT」という)は、基板処理システム又はプラズマ処理装置に対して適用され得る。
【0026】
図2は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムを示す図である。
図2に示す基板処理システムPSは、台2a~2d、容器4a~4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1~PM6、搬送モジュールTF、及び制御部MCを備えている。なお、基板処理システムPSにおける台の個数、容器の個数、ロードロックモジュールの個数は一つ以上の任意の個数であり得る。また、基板処理システムPSにおけるプロセスモジュールの個数は、一つ以上の任意の個数であり得る。
【0027】
台2a~2dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a~4dはそれぞれ、台2a~2d上に搭載されている。容器4a~4dの各々は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される容器である。容器4a~4dの各々は、その内部に基板Wを収容するように構成されている。
【0028】
ローダモジュールLMは、チャンバを有する。ローダモジュールLMのチャンバ内の圧力は、大気圧に設定される。ローダモジュールLMは、搬送装置TU1を有する。搬送装置TU1は、例えば多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU1は、ローダモジュールLMのチャンバを介して基板Wを搬送するように構成されている。搬送装置TU1は、容器4a~4dの各々とアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1,LL2の各々との間、ロードロックモジュールLL1,LL2の各々と容器4a~4dの各々との間で、基板Wを搬送し得る。アライナANは、ローダモジュールLMに接続されている。アライナANは、基板Wの位置の調整(位置の較正)を行うように構成されている。
【0029】
ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、ローダモジュールLMと搬送モジュールTFとの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。
【0030】
搬送モジュールTFは、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々にゲートバルブを介して接続されている。搬送モジュールTFは、減圧可能な搬送チャンバTCを有している。搬送モジュールTFは、搬送装置TU2を有している。搬送装置TU2は、例えば多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU2は、搬送チャンバTCを介して基板Wを搬送するように構成されている。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1,LL2の各々とプロセスモジュールPM1~PM6の各々との間、及び、プロセスモジュールPM1~PM6のうち任意の二つのプロセスモジュールの間において、基板Wを搬送し得る。
【0031】
プロセスモジュールPM1~PM6の各々は、専用の基板処理を行うように構成された装置である。プロセスモジュールPM1~PM6のうち少なくとも一つのプロセスモジュールは、後述する例示的実施形態に係るプラズマ処理装置である。
【0032】
制御部MCは、基板処理システムPSの各部を制御するように構成されている。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり得る。制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいて基板処理システムPSの各部を制御する。方法MTは、制御部MCによる基板処理システムPSの各部の制御により、基板処理システムPSにおいて実行され得る。
【0033】
図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図3に示すプラズマ処理装置1は、基板処理システムPSのプロセスモジュールPM1~PM6のうち少なくとも一つとして、採用され得る。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置のチャンバ内の構成を示す図である。
図4に示すように、プラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置であり得る。
【0034】
チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。内部空間10sの中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから形成されている。チャンバ本体12は電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0035】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0036】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備える。基板支持器16は、チャンバ10の中で、その上に載置された基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有する。基板支持器16は、支持部17によって支持されている。支持部17は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部17は、略円筒形状を有している。支持部17は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0037】
基板支持器16は、下部電極18、静電チャック21、及び静電チャック22を有する。下部電極18、静電チャック21、及び静電チャック22は、チャンバ10の中に設けられている。
【0038】
下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18は、その中に流路18fを提供している。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、例えば液状の冷媒が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。
【0039】
静電チャック21及び静電チャック22は、下部電極18上に設けられている。静電チャック21は、一実施形態の第2の静電チャックである。静電チャック21は、その上に載置される基板Wを保持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有し得る。静電チャック22は、一実施形態の第1の静電チャックである。静電チャック22は、その上に載置されるエッジリングERを保持するように構成されている。エッジリングERは、略環形状を有する板である。エッジリングERは、例えばシリコン、炭化ケイ素、又は石英から形成されている。エッジリングERは、その中心軸線が軸線AXに一致するように、静電チャック22上に載置される。チャンバ10内に収容された基板Wは、静電チャック21上、且つ、エッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。
【0040】
プラズマ処理装置1は、ガスライン25を更に備え得る。ガスライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック21の上面と基板Wの裏面(下面)との間の間隙に供給する。
【0041】
プラズマ処理装置1は、外周部28及び外周部29を更に備え得る。外周部28は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。外周部28は、略円筒形状を有し、支持部17の外周に沿って延在している。外周部28は、導電性材料から形成されており、略円筒形状を有している。外周部28は、電気的に接地されている。外周部28の表面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0042】
外周部29は、外周部28上に設けられている。外周部29は、絶縁性を有する材料から形成されている。外周部29は、例えば石英といったセラミックから形成されている。外周部29は、略円筒形状を有している。外周部29は、下部電極18及び静電チャック22の外周に沿って延在している。
【0043】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0044】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。天板34は、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の部材の表面上に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0045】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0046】
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一つ以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0047】
外周部28とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の部材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方では、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの中の圧力を減圧することができる。
【0048】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えている。高周波電源61は、整合器63を介して上部電極30に接続されている。高周波電源61は、プラズマ生成用の高周波電力を発生する電源である。高周波電源61が発生する高周波電力は、27MHz以上、100MHz以下の範囲内の第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば40MHz又は60MHzである。整合器63は、高周波電源61の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを、高周波電源61の出力インピーダンスに整合させるための整合回路を有している。なお、高周波電源61は、上部電極30に電気的に接続されていなくてもよく、整合器63を介して下部電極18に接続されていてもよい。
【0049】
プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を更に備え得る。バイアス電源62は、整合器64を介して下部電極18に電気的に接続されている。バイアス電源62は、電気バイアスを発生する。電気バイアスは、下部電極18に与えられる。一実施形態において、電気バイアスは、高周波バイアス電力であってもよい。高周波バイアス電力は、第2の周波数を有する。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い周波数であり得る。第2の周波数は、例えば50kHz以上、27MHz以下の範囲内の周波数である。この実施形態において、バイアス電源62は、整合器64を介して下部電極18に接続されている。整合器64は、バイアス電源62の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを、バイアス電源62の出力インピーダンスと整合させるように構成された整合回路を有する。
【0050】
別の実施形態において、電気バイアスは、負の直流電圧のパルスを含み第2の周波数で規定される周期で周期的に発生されるパルス波であってもよい。この実施形態では、整合器64は省略されてもよい。第2の周波数は、例えば50kHz以上、27MHz以下の範囲内の周波数である。パルス波の電圧レベルは、周期内で負の直流電圧のパルスが持続する期間以外の期間において0Vであってもよい。或いは、パルス波の電圧は、周期内で負の直流電圧のパルスが持続する期間以外の期間において、パルスの電圧の絶対値よりも低い絶対値を有していてもよい。なお、パルスの電圧レベルは時間的に変化してもよい。
【0051】
プラズマ処理装置1では、高周波電源61からの高周波電力によりチャンバ10内で高周波電界が生成される。チャンバ10内のガスは、生成された高周電界により励起される。その結果、プラズマが、チャンバ10内で生成される。基板Wは、生成されたプラズマからのイオン及び/又はラジカルといった化学種により処理される。
【0052】
以下、基板支持器16の静電チャック21及び静電チャック22について詳細に説明する。静電チャック21は、軸線AXに交差するように延在している。静電チャック22は、静電チャック21に対して径方向外側で周方向に延在している。
【0053】
静電チャック21は、その上(即ち、その上面の上)に載置される基板Wを保持するように構成されている。静電チャック21は、誘電体部21d及び電極21aを有している。誘電体部21dは、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムといった誘電体から形成されている。誘電体部21dは、略円盤形状を有している。静電チャック21及び誘電体部21dの中心軸線は、軸線AXに略一致している。電極21aは、膜状の電極であり、誘電体部21dの中に設けられている。電極21aには、直流電源55がスイッチ56を介して接続されている。直流電源55からの直流電圧が電極21aに印加されると、静電チャック21と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは静電チャック21に引き付けられ、静電チャック21によって保持される。
【0054】
静電チャック22は、その上に載置されるエッジリングERを保持するように構成されている。静電チャック22は、誘電体部22d、第1の電極22a、及び第2の電極22bを有している。誘電体部22dは、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムといった誘電体から形成されている。誘電体部22dは、誘電体部21dに対して径方向外側で周方向に延在している。誘電体部22dの中心軸線は、軸線AXに略一致している。一実施形態において、誘電体部22dの厚さは、誘電体部21dの厚さよりも小さい。誘電体部22dの上面の鉛直方向における位置は、誘電体部21dの上面の鉛直方向における位置よりも低くてもよい。
【0055】
一実施形態においては、
図3に示すように、誘電体部21dと誘電体部22dは、単一の誘電体部材から構成されていてもよい。即ち、静電チャック21と静電チャック22は、一体化されていてもよい。
図3では、静電チャック21の誘電体部21dと静電チャック22の誘電体部22dとの間の境界が、破線で示されている。なお、静電チャック21及び静電チャック22は、互いから分離されていてもよい。
【0056】
第1の電極22a及び第2の電極22bの各々は、膜状の電極である。第1の電極22a及び第2の電極22bは、誘電体部22dの中に設けられている。第1の電極22aは、第2の電極22bよりも静電チャック21の近くで延在している。一実施形態では、第1の電極22a及び第2の電極22bの各々は、軸線AXの周りで延在していてもよい。また、第1の電極22a及び第2の電極22bの各々は、環形状を有していてもよい。この場合に、第2の電極22bは、第1の電極22aの外側で周方向に延在する。第1の電極22a及び第2の電極22bは、鉛直方向においては略同一の高さ位置で延在し得る。
【0057】
プラズマ処理装置1は、電源装置70を更に備えている。電源装置70は、第1の電極22a及び第2の電極22bに接続されている。電源装置70は、第1の電極22aに印加される電圧及び第2の電極22bに印加される電圧を発生するように構成されている。第1の電極22aに印加される電圧及び第2の電極22bに印加される電圧の各々は、直流電圧である。電源装置70は、一つ以上の直流電源を有する。一実施形態において、電源装置70は、可変直流電源71、可変直流電源72、スイッチ73、及びスイッチ74を有していてもよい。可変直流電源71は、第1の電極22aに印加される直流電圧を発生するように構成されている。可変直流電源71は、スイッチ73を介して第1の電極22aに接続されている。可変直流電源72は、第2の電極22bに印加される直流電圧を発生するように構成されている。可変直流電源72は、スイッチ74を介して第2の電極22bに接続されている。
【0058】
電源装置70からの電圧が、第1の電極22a及び第2の電極22bのそれぞれに印加されると、静電チャック22とエッジリングERとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、エッジリングERは、静電チャック22に引き付けられ、静電チャック22によって保持される。
【0059】
静電チャック22は、ガスライン22gを更に有していてもよい。ガスライン22gは、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に伝熱ガス、例えばHeガスを供給するために設けられたガスラインである。ガスライン22gは、伝熱ガスのソースであるガス供給機構86に接続されている。
【0060】
一実施形態においては、基板処理システムPSの制御部MCは、プラズマ処理装置1の制御部MCを構成していてもよい。この実施形態において、制御部MCは、プラズマ処理装置1の各部を制御し得る。なお、プラズマ処理装置1は、制御部MCではなく、その各部を制御するように構成された別の制御部を有していてもよい。別の制御部は、制御部MCと同様に、コンピュータであり得る。
【0061】
再び
図1を参照して、方法MTについて説明する。以下、方法MTと共に、制御部MCによる制御についても説明する。以下の説明においては、
図1と共に
図5を参照する。
図5は、
図1に示す方法に関連するタイミングチャートである。
図5において、横軸は、時間を示している。
図5において、縦軸は、第1の電極22aへの印加電圧、第2の電極22bへの印加電圧、及びガス供給機構86からの伝熱ガスの供給状態を示している。伝熱ガスの供給状態の「ON」は、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に伝熱ガスが供給されていることを示している。伝熱ガスの供給状態の「OFF」は、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に伝熱ガスが供給されていないことを示している。
【0062】
方法MTの工程ST1では、基板Wが静電チャック21上に搬送される。工程ST1において、制御部MCは、基板Wを静電チャック21上に搬送するよう、搬送装置TU2を制御する。工程ST1の実行期間においては、エッジリングERが静電チャック22によって保持される。
図5に示すように、工程ST1の実行期間において、第1の電極22aへの印加電圧は、電圧VAであり、第2の電極22bへの印加電圧は、電圧VBである。電圧VAは正極性の電圧であってもよく、電圧VBは負極性の電圧であってもよい。電圧VAの絶対値と電圧VBの絶対値は、互いに同一であってもよい。工程ST1の実行期間においては、制御部MCは、電圧VA、電圧VBを第1の電極22a、第2の電極22bにそれぞれ印加するよう、電源装置70を制御する。工程ST1の実行期間においては、ガス供給機構86からの伝熱ガスは、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に供給されない。工程ST1の実行期間においては、制御部MCは、伝熱ガスの供給を停止するよう、ガス供給機構86を制御する。
【0063】
続く工程ST2は、基板Wに対するプラズマ処理の実行中に静電チャック22によってエッジリングERを保持するために実行される。プラズマ処理の実行期間においては、ガス供給部からチャンバ10内に処理ガスが供給される。プラズマ処理の実行期間においては、チャンバ10内の処理ガスの圧力が、指定された圧力に排気装置50によって設定される。また、プラズマ処理の実行期間においては、高周波電力が、高周波電源61から供給される。その結果、プラズマが、チャンバ10内で処理ガスから生成される。プラズマ処理の実行期間においては、電気バイアスが、バイアス電源62から下部電極18に供給されてもよい。プラズマ処理の実行期間においては、ガス供給部、排気装置50、高周波電源61、及びバイアス電源62は、制御部MCによって制御される。プラズマ処理の実行期間においては、プラズマからの化学種により基板Wが処理される。即ち、基板Wに対するプラズマ処理が行われる。このプラズマ処理は、例えば、基板Wの膜に対するプラズマエッチングであり得る。
【0064】
工程ST2では、静電チャック22によってエッジリングERを保持するために、正極性を有する第1の電圧V1が、第1の電極22a及び第2の電極22bに印加される。
図5に示すように、第1の電圧V1の絶対値は、電圧VAの絶対値及び電圧VBの絶対値よりも大きくてもよい。工程ST2の実行期間においては、制御部MCは、第1の電圧V1を第1の電極22a及び第2の電極22bに印加するよう、電源装置70を制御する。工程ST2の実行期間においては、ガス供給機構86からの伝熱ガスが、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に供給される。工程ST2の実行期間においては、制御部MCは、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に伝熱ガスを供給するよう、ガス供給機構86を制御する。なお、工程ST2においては、第1の電極22aと第2の電極との間で電位差が生じるように、第1の電極及び第2の電極に異なる値を有する直流電圧がそれぞれ印加されてもよい。
【0065】
続く工程ST3では、基板Wがチャンバ10から搬出される。工程ST3において、制御部MCは、基板Wをチャンバ10から搬送するよう、搬送装置TU2を制御する。工程ST3の実行期間においては、エッジリングERが静電チャック22によって保持される。
図5に示すように、工程ST3の実行期間において、第1の電極22aへの印加電圧は、電圧VAであり、第2の電極22bへの印加電圧は、電圧VBである。工程ST3の実行期間においては、制御部MCは、電圧VA、電圧VBを第1の電極22a、第2の電極22bにそれぞれ印加するよう、電源装置70を制御する。工程ST3の実行期間においては、ガス供給機構86からの伝熱ガスは、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に供給されない。工程ST3の実行期間においては、制御部MCは、伝熱ガスの供給を停止するよう、ガス供給機構86を制御する。
【0066】
続く工程ST4は、上述のプラズマ処理の後、且つ、工程ST3において基板Wがチャンバ10から排出された後の第1の期間において実行される。第1の期間においては、チャンバ10内で生成されたプラズマを用いて、チャンバ10のクリーニング(以下、「第1のクリーニング」という)が実行される。第1のクリーニングは、静電チャック21上に物体が載置されていない状態で実行される。なお、工程ST3と工程ST4の間で、静電チャック21上にダミー基板が載置されている状態で、チャンバ10内で生成されたプラズマを用いて、チャンバ10のクリーニングが実行されてもよい。
【0067】
第1のクリーニングの実行期間においては、ガス供給部からチャンバ10内にクリーニングガスが供給される。一実施形態において、このクリーニングガスは、酸素ガスを含んでいてもよい。第1のクリーニングの実行期間においては、チャンバ10内のクリーニングガスの圧力が、指定された圧力に排気装置50によって設定される。また、第1のクリーニングの実行期間においては、高周波電力が、高周波電源61から供給される。その結果、プラズマが、チャンバ10内でクリーニングガスから生成される。第1のクリーニングの実行期間においては、電気バイアスが、バイアス電源62から下部電極18に供給されてもよく、或いは、供給されなくてもよい。第1のクリーニングの実行期間においては、ガス供給部、排気装置50、高周波電源61、及びバイアス電源62は、制御部MCによって制御される。第1のクリーニングの実行期間においては、プラズマからの化学種によりチャンバ10内の堆積物が除去される。この堆積物は、上述の基板に対するプラズマ処理において生成される。
【0068】
工程ST4では、静電チャック22によってエッジリングERを保持するために、負極性を有する第2の電圧V2が、第1の電極22a及び第2の電極22bに印加される。一例では、電荷マイグレーションを抑制するために、工程ST4において用いられる第2の電圧V2は、工程ST2においてプラズマ処理の実行中に用いられる第1の電圧V1の極性とは逆の極性を有する。
図5に示すように、第2の電圧V2の絶対値は、電圧VAの絶対値及び電圧VBの絶対値よりも大きくてもよい。第2の電圧V2の絶対値は、第1の電圧V1の絶対値と同一であってもよい。この場合には、電荷マイグレーションがより効果的に抑制される。或いは、第2の電圧V2の絶対値は、第1の電圧V1の絶対値よりも小さくさてもよい。工程ST4の実行期間においては、制御部MCは、第2の電圧V2を第1の電極22a及び第2の電極22bに印加するよう、電源装置70を制御する。工程ST4の実行期間においては、ガス供給機構86からの伝熱ガスが、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に供給される。工程ST4の実行期間においては、制御部MCは、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に伝熱ガスを供給するよう、ガス供給機構86を制御する。なお、工程ST4においては、第1の電極22aと第2の電極に、正極性又は負極性を有し、且つ、同じ値を有する直流電圧が印加されてもよい。或いは、工程ST4においては、第1の電極22aと第2の電極との間で電位差が生じるように、第1の電極及び第2の電極に異なる値を有する直流電圧がそれぞれ印加されてもよい。
【0069】
続く工程ST5は、第1の期間の後の第2の期間において実行される。第2の期間においては、チャンバ10内で生成されたプラズマを用いて、チャンバ10のクリーニング(以下、「第2のクリーニング」という)が実行される。第2のクリーニングは、静電チャック21上に物体が載置されていない状態で実行される。
【0070】
第2のクリーニングの実行期間においては、ガス供給部からチャンバ10内にクリーニングガスが供給される。一実施形態において、このクリーニングガスは、窒素ガスを含んでいてもよい。第2のクリーニングの実行期間においては、チャンバ10内のクリーニングガスの圧力が、指定された圧力に排気装置50によって設定される。また、第2のクリーニングの実行期間においては、高周波電力が、高周波電源61から供給される。その結果、プラズマが、チャンバ10内でクリーニングガスから生成される。第2のクリーニングの実行期間においては、電気バイアスが、バイアス電源62から下部電極18に供給されてもよく、或いは、供給されなくてもよい。第2のクリーニングの実行期間においては、ガス供給部、排気装置50、高周波電源61、及びバイアス電源62は、制御部MCによって制御される。第2のクリーニングの実行期間においては、プラズマからの化学種によりチャンバ10内の堆積物が除去される。
【0071】
工程ST5では、静電チャック22によってエッジリングERを保持するために、第3の電圧V3が、第1の電極22aに印加され、第4の電圧V4が、第2の電極22bに印加される。
図5に示すように、第3の電圧V3は正極性を有し、第4の電圧V4は負極性を有する。第3の電圧V3の絶対値は、第1の電圧V1の絶対値及び第2の電圧V2の絶対値よりも小さく、第4の電圧V4の絶対値以下である。第3の電圧V3の絶対値は、第4の電圧V4の絶対値よりも小さくてもよい。第4の電圧V4の絶対値は、第1の電圧V1の絶対値及び第2の電圧V2の絶対値と等しくてもよい。工程ST5の実行期間においては、制御部MCは、第3の電圧V3を第1の電極22aに印加し、第4の電圧V4を第2の電極22bに印加するよう、電源装置70を制御する。工程ST5の実行期間においては、ガス供給機構86からの伝熱ガスが、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に供給される。工程ST5の実行期間においては、制御部MCは、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に伝熱ガスを供給するよう、ガス供給機構86を制御する。工程ST5の実行期間の長さは、10秒以上であり得る。
【0072】
続く工程STJでは、終了条件が満たされるか否かが判定される。終了条件は、プラズマ処理を適用すべき別の基板がない場合に満たされる。工程STJにおいて終了条件が満たされていないと判定される場合には、工程ST6が実行される。
【0073】
工程ST6では、別の基板が静電チャック21上に搬送される。工程ST6において、制御部MCは、別の基板を静電チャック21上に搬送するよう、搬送装置TU2を制御する。工程ST6の実行期間においては、エッジリングERが静電チャック22によって保持される。
図5に示すように、工程ST6の実行期間において、第1の電極22aへの印加電圧は、電圧VAであり、第2の電極22bへの印加電圧は、電圧VBである。工程ST6の実行期間においては、制御部MCは、電圧VA、電圧VBを第1の電極22a、第2の電極22bにそれぞれ印加するよう、電源装置70を制御する。工程ST6の実行期間においては、ガス供給機構86からの伝熱ガスは、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に供給されない。工程ST6の実行期間においては、制御部MCは、伝熱ガスの供給を停止するよう、ガス供給機構86を制御する。この工程ST6の後、再び工程ST2からの処理が実行される。即ち、別の基板に対して工程ST2のプラズマ処理が実行される。しかる後に、工程ST3~工程ST5が実行される。工程ST5に続く工程STJにおいて終了条件が満たされていると判定される場合には、方法MTは終了する。
【0074】
方法MTの工程ST5では、静電チャック21の比較的近くで延在する第1の電極22aに正極性を有し、比較的低い値を有する第3の電圧V3が印加され、第2の電極22bには負極性を有する第4の電圧V4が印加される。その結果、方法MTによれば、クリーニングの実行後に静電チャック21上に搬送される別の基板の位置ずれが抑制される。
【0075】
以下、方法MTの評価のために行った第1~第6の実験について説明する。第1~第6の実験の各々では、プラズマ処理装置1を用いた。第1~第6の実験の各々では、第1~第6の工程を繰り返し実行した。第1の工程は工程ST1と同じ工程であり、第1の工程においては、搬送装置TU2を用いてサンプル基板を静電チャック21上に搬送した。第1の工程の実行中には、2500Vの直流電圧を第1の電極22aに印加し、-2500Vの直流電圧を第2の電極22bに印加した。第2の工程は、工程ST2と同じ工程であり、第2の工程の実行中には、4000Vの直流電圧を第1の電極22a及び第2の電極22bに印加した。第2の工程の実行中には、サンプル基板に対するプラズマ処理をチャンバ10内で実行した。第3の工程は、工程ST3と同じ工程であり、搬送装置TU2を用いてサンプル基板をチャンバ10から搬出した。第3の工程の実行中には、2500Vの直流電圧を第1の電極22aに印加し、-2500Vの直流電圧を第2の電極22bに印加した。続く第4の工程では、静電チャック22によってエッジリングERを保持した状態で、上述の第1のクリーニングを実行した。第4の工程では、-4000Vの直流電圧を第1の電極22a及び第2の電極22bに印加した。続く第5の工程では、静電チャック22によってエッジリングERを保持した状態で、上述の第2のクリーニングを実行した。なお、第4の工程及び第5の工程においては、ガス供給機構86からの伝熱ガスを、静電チャック22とエッジリングERとの間の間隙に供給した。第6の工程は、工程ST6と同じ工程であり、搬送装置TU2を用いてサンプル基板を静電チャック21上に搬送した。
【0076】
第1~第6の実験の各々における第4の工程及び第5の工程の条件を示す。
[1]第1の実験
第4の工程の実行時間:335秒
第5の工程における第1の電極22aへの印加電圧:1000V
第5の工程における第2の電極22bへの印加電圧:-4000V
第5の工程の実行時間:25秒
[2]第2の実験
第4の工程の実行時間:35秒
第5の工程における第1の電極22aへの印加電圧:-4000V
第5の工程における第2の電極22bへの印加電圧:-4000V
第5の工程の実行時間:25秒
[3]第3の実験
第4の工程の実行時間:35秒
第5の工程における第1の電極22aへの印加電圧:4000V
第5の工程における第2の電極22bへの印加電圧:-4000V
第5の工程の実行時間:25秒
[4]第4の実験
第4の工程の実行時間:35秒
第5の工程における第1の電極22aへの印加電圧:-3000V
第5の工程における第2の電極22bへの印加電圧:-3000V
第5の工程の実行時間:25秒
[5]第5の実験
第4の工程の実行時間:35秒
第5の工程における第1の電極22aへの印加電圧:3000V
第5の工程における第2の電極22bへの印加電圧:-3000V
第5の工程の実行時間:25秒
[6]第6の実験
第4の工程の実行時間:95秒
第5の工程における第1の電極22aへの印加電圧:3000V
第5の工程における第2の電極22bへの印加電圧:-3000V
第5の工程の実行時間:25秒
【0077】
第1~第6の実験の各々では、第6の工程の後に、静電チャック21上での基準位置に対するサンプル基板の中心位置を測定した。基準位置は、軸線AX上の位置である。
図6の(a)は第1の実験で測定したサンプル基板の中心位置、
図6の(b)は第2の実験で測定したサンプル基板の中心位置、
図6の(c)は第3の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表している。
図7の(a)は第4の実験で測定したサンプル基板の中心位置、
図7の(b)は第5の実験で測定したサンプル基板の中心位置、
図7の(c)は第6の実験で測定したサンプル基板の中心位置を表している。これらの図において、サンプル基板の中心位置は、二つの直交する水平方向における基準位置(座標[0,0])からのその距離[mm]として表されている。
【0078】
図6の(b)及び
図6の(c)に示すように、第2の実験及び第3の実験の各々では、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は大きかった。即ち、第1の電極22a及び第2の電極22bのそれぞれに印加された電圧の絶対値が、第2の工程、第4の工程、及び第5の工程において同一であった場合には、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は大きかった。また、
図7の(a)に示すように、第4の実験でも、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は大きかった。即ち、第4の工程及び第5の工程において第1の電極22a及び第2の電極22bのそれぞれに印加された電圧は、小さい絶対値を有していても、それらが同極性であった場合には、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は大きかった。また、
図7の(b)に示すように、第5の実験では、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は小さかった。即ち、第4の工程及び第5の工程において、各々が小さい絶対値を有する正極性の電圧及び負極性の電圧が、第1の電極22a及び第2の電極22bにそれぞれ印加された場合には、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は小さかった。但し、第6の実験は、第5の実験に対して第4の工程の実行時間を長くしただけであるが、
図7の(c)に示すように、第6の実験では、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は大きかった。これに対して、第1の実験では、第5の工程において第1の電極22aに印加された電圧が、正極性を有していた。また、第1の実験では、第5の工程において第1の電極22aに印加された電圧の絶対値は、第4の工程において第1の電極22aに印加された電圧の絶対値よりも小さかった。また、第1の実験では、第5の工程において第1の電極22aに印加された電圧の絶対値は、第5の工程において第2の電極22bに印加された負極性の電圧の絶対値よりも小さかった。第1の実験では、第4の工程の実行時間が長かったにもかかわらず、
図6の(a)に示すように、基準位置に対するサンプル基板の中心位置のずれ量は小さかった。したがって、基板の位置ずれは、工程ST5において第1の電極22aに印加される電圧が直前の工程において第1の電極22aに印加される電圧の極性と逆の極性を有し、比較的小さい絶対値を有する場合に、抑制され得ることが確認された。
【0079】
なお、方法MTの工程ST4において第1の電極22a及び第2の電極22bの各々に印加される直流電圧の絶対値は、4000Vよりも大きくてもよい。方法MTの工程ST4において第1の電極22a及び第2の電極22bの各々には、より長い時間(例えば600秒以上の時間)、直流電圧が印加されてもよい。一例では、方法MTの工程ST4において第1の電極22a及び第2の電極22bの各々には、直流電圧が、900秒、印加され得る。また、方法MTの工程ST5における第1の電極22aへの印加電圧の絶対値が4000Vよりも小さければ、次に静電チャック21上に搬送される基板のずれは低減される。
【0080】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0081】
例えば、方法MTが適用されるプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1とは別のプラズマ処理装置であってもよい。別の実施形態においては、プラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1とは別の容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。更に別の実施形態においては、プラズマ処理装置は、誘導結合型のプラズマ処理装置、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置、又はマイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0082】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0083】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、21…静電チャック、22…静電チャック、22a…第1の電極、22b…第2の電極、W…基板、ER…エッジリング。