(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20231124BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20231124BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/004
G03F7/11 503
G03F7/11 502
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2021183254
(22)【出願日】2021-11-10
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178616
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】文 京 守
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-021071(JP,A)
【文献】特開2020-184074(JP,A)
【文献】特表2020-530199(JP,A)
【文献】特開平08-260159(JP,A)
【文献】特表2019-532489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機スズ化合物、および溶媒を含む、半導体フォトレジスト用組成物:
【化1】
前記化学式1中、
R
1~R
3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R
a、R
b、およびR
cは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記R
1~R
3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項3】
前記R
a、R
b、およびR
cは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項4】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤
、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、架橋剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
下記化学式2で表される有機スズ化合物および下記化学式3で表される有機化合物を有機溶媒下で反応させて下記化学式1で表される有機スズ化合物を製造することと、
下記化学式1で表される前記有機スズ化合物を溶媒と混合することと、
を含む、半導体フォトレジスト用組成物の製造方法:
【化2】
前記化学式2および化学式3中、
R
1~R
3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R
4~R
9は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R
dは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり;
【化3】
前記化学式1中、
R
1~R
3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R
a、R
b、およびR
cは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項7】
前記化学式2で表される有機スズ化合物を有機溶媒に溶解させた後、前記化学式3で表される有機化合物を-78~60℃で滴下し、2~24時間反応させて前記化学式1で表される有機スズ化合物を製造することを含む、請求項
6に記載の半導体フォトレジスト用組成物の製造方法。
【請求項8】
前記化学式1中のR
1~R
3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項
6または7に記載の半導体フォトレジスト用組成物の製造方法。
【請求項9】
前記R
4~R
9は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~8のアルケニル基、および置換または非置換の炭素数2~8のアルキニル基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項
6~8のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物の製造方法。
【請求項10】
前記R
dは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項
6~9のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物の製造方法。
【請求項11】
界面活性剤
、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに混合することを含む、請求項
6~10のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物の製造方法。
【請求項12】
架橋剤をさらに混合することを含む、請求項6~11のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物の製造方法。
【請求項13】
基板の上にエッチング対象膜を形成する工程と、
前記エッチング対象膜の上に請求項1~
5のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物、または請求項
6~12のいずれか1項に記載の製造方法で製造された半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程と、
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する工程と、
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする工程と、
を含む、パターン形成方法。
【請求項14】
前記フォトレジストパターンを形成する工程は、5~150nmの波長範囲の光を使用する、請求項
13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記基板と前記フォトレジスト膜との間にレジスト下層膜を形成する工程をさらに含む、請求項
13または14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記フォトレジストパターンは、5~100nmの幅を有する、請求項
13~15のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体フォトレジスト用組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の一つとして、EUV(極端紫外線)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を用いるパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、極めて微細なパターン(例えば20nm以下)を形成できることが実証されている。
【0003】
極端紫外線(extreme ultraviolet、EUV)リソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度(spatial resolutions)で行い得る互換可能なフォトレジストの現像(development)を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度(resolution)、光速度(photospeed)、フィーチャー粗さ(feature roughness)、およびラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)に対する仕様(specifications)を満たすために、日々研究開発されている。
【0004】
このような高分子型フォトレジストで起きる酸触媒反応(acid catalyzed reactions)に起因した固有の像ブレ(intrinsic image blur)は、小さいフィーチャー(feature)の大きさで解像度を制限するが、これは電子線(e-beam)リソグラフィで長い間知られてきた事実である。化学増幅型(CA)フォトレジストは、高い感度(sensitivity)のために設計されたが、これらの典型的な元素構成(elemental makeup)が13.5nmの波長ではフォトレジストの吸光度を低下させ、その結果、感度を減少させるので、部分的にはEUV露光下でさらに困難になることがある。
【0005】
CAフォトレジストはまた、小さいフィーチャーの大きさで粗さ(roughness)イシューによって困難になることがあり、部分的に酸触媒工程の本質に起因して、光速度(photospeed)が減少することによって、ラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験で確認された。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新たな類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
上記で説明した化学増幅型フォトレジスト組成物の欠点を克服するために、無機系感光性組成物が研究されてきた。無機系感光性組成物の場合、主に非化学増幅型メカニズムによる化学的変性により、現像剤組成物による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングが使用される。無機系組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有しており、非化学増幅型メカニズムでも感度を確保することができ、確率的な効果に対しても感度は低く、ラインエッジ粗さおよび欠陥数も少ないと知られている。
【0007】
タングステン、ニオブビウム(niobium)、チタン(titanium)、および/またはタンタル(tantalum)と混合されたタングステンのペルオキソポリ酸(peroxopolyacids)に基づいた無機フォトレジストは、パターニングのための放射感受性材料(radiation sensitive materials)用として報告されてきた(特許文献1および非特許文献1参照)。
【0008】
これらの材料は遠紫外線(deep UV)、X線、および電子線ソースであって、二重層構成(bilayer configuration)に大きなフィーチャーをパターニングすることにおいて効果的であった。さらに最近では、プロジェクションEUV露光によって、15nmハーフピッチ(HP)を現像するために、ペルオキソ錯化剤(peroxo complexing agent)とともに陽イオンハフニウムメタルオキシドサルフェート(cationic hafnium metal oxide sulfate、HfSOx)材料を使用する場合、印象的な性能を示した(特許文献2および非特許文献2参照)。このシステムは、非CAフォトレジスト(non-CA photoresist)の最上の性能を示し、実行可能なEUVフォトレジストのための要件に近いフォトスピードを有する。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するハフニウムメタルオキシドサルフェート材料(hafnium metal oxide sulfate materials)はいくつかの現実的な欠点を有する。第1に、この材料は高い腐食性の硫酸/過酸化水素混合物でコートされ、保存安定性が良くない。第2に、複合混合物として性能改善のための構造変更が容易でない。第3に、25重量%程度の極めて高い濃度のTMAH(tetramethylammonium hydroxide)溶液などで現像されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5061599号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0045406号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】H.Okamoto, T.Iwayanagi, K.Mochiji, H.Umezaki, T.Kudo,Applied Physics Letters,49(5),298-300,1986
【文献】J.K.Stowers, A.Telecky, M.Kocsis, B.L.Clark, D.A.Keszler, A.Grenville, C.N.Anderson, P.P.Naulleau,Proc.SPIE,7969,796915, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一実施形態は、感度、解像度および保存安定性に優れた半導体フォトレジスト用組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、上記半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機スズ化合物および溶媒を含む。
【0014】
【0015】
前記化学式1中、
R1~R3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
Ra、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0016】
上記化学式1中のR1~R3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0017】
上記化学式1中のRa、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0018】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の他の実施形態では、上記半導体フォトレジスト用組成物の製造方法が提供される。上記半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式2で表される有機スズ化合物および下記化学式3で表される有機化合物を有機溶媒下で反応させて下記化学式1で表される有機スズ化合物を製造し、上記で製造された化学式1で表される有機スズ化合物を溶媒と混合させることによって製造することができる。
【0020】
【0021】
上記化学式2および化学式3中、
R1~R3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R4~R9は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Rdは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり;
【0022】
【0023】
上記化学式1中、
R1~R3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
Ra、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0024】
上記化学式2で表される有機スズ化合物を有機溶媒に溶解した後、上記化学式3で表される有機化合物を-78~60℃で滴下し、2~24時間反応させて上記化学式1で表される有機スズ化合物を製造することができる。
【0025】
上記化学式1および化学式2中のR1~R3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0026】
上記化学式2中のR4~R9は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~8のアルケニル基、および置換または非置換の炭素数2~8のアルキニル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0027】
上記化学式3中のRdは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0028】
上記半導体フォトレジスト用組成物の製造方法は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤を混合する工程をさらに含むことができる。
【0029】
本発明のさらに他の実施形態によるパターン形成方法は、基板の上にエッチング対象膜を形成する工程と、上記エッチング対象膜の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程と、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する工程と、上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする工程と、を含む。
【0030】
上記フォトレジストパターンを形成する段階は、5~150nmの波長範囲の光を使用することができる。
【0031】
上記パターン形成方法は、上記基板と上記フォトレジスト膜との間にレジスト下層膜を形成する工程をさらに含むことができる。
【0032】
上記フォトレジストパターンは、5~100nmの幅を有することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、感度、解像度、および保存安定性に優れた半導体フォトレジスト用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明を説明するにあたり、既に公知の機能あるいは構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0036】
本発明を明確に説明するために、説明上不必要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるので、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。
【0037】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面で説明の便宜のために一部の層および領域の厚さを誇張されるように示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるというとき、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0038】
本明細書において、「置換」とは、水素原子が重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素数1~40のシリル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはシアノ基で置換されたことを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに水素原子として残っていることを意味する。
【0039】
本明細書において、「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、直鎖型または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合をも含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であり得る。
【0040】
上記アルキル基は、炭素数1~20のアルキル基であり得る。より具体的には、アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~6のアルキル基であり得る。例えば、炭素数1~4のアルキル基は、アルキル鎖に1~4個の炭素原子が含まれることを意味し、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択されることを示す。
【0041】
上記アルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0042】
本明細書において、「シクロアルキル(cycloalkyl)基」とは、別途の定義がない限り、1価の環状脂肪族炭化水素基を意味する。
【0043】
本明細書において、「アルケニル(alkenyl)基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の二重結合を含む脂肪族不飽和アルケニル(unsaturated alkenyl)基を意味する。
【0044】
本明細書において、「アルキニル(alkynyl)基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の三重結合を含む脂肪族不飽和アルキニル(unsaturated alkynyl)基を意味する。
【0045】
本明細書において、「アリール(aryl)基」とは、環状の置換基の全ての元素がp-軌道を有しており、これらp-軌道が共役(conjugation)を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(すなわち、炭素原子の隣接する対を分け合う環)官能基を含む。
【0046】
以下、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を説明する。
【0047】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、有機スズ化合物および溶媒を含み、上記有機スズ化合物は下記化学式1で表される化合物である。
【0048】
【0049】
上記化学式1中、
R1~R3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
Ra、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0050】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物に含まれる有機スズ化合物は、上記化学式1中のR1~R3が同時に、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、この場合、有機スズ化合物自体が安定して外部の水分の浸透力を減少させることができる。
【0051】
これにより、反応性のある溶媒、特に水分に対する反応性の高い溶媒、例えば、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、またはケトン系溶媒に対しても優れた保存安定性を示し、さらには、これらの溶媒に水分がさらに含まれている溶媒にも優れた保存安定性を維持し得る。
【0052】
したがって、上記化学式1で表される有機スズ化合物を含む半導体フォトレジスト組成物は、保存安定性に優れている。
【0053】
また、上記化学式1中のR1~R3が同時に置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基の場合、アルキル基の炭素とスズとの結合の間の解離エネルギーが低くなるので、露光に対する感度が増加する。
【0054】
これにより、少ないエネルギーの露光でもパターンが形成され、したがって、上記化学式1で表される有機スズ化合物を含む半導体フォトレジスト組成物は、感度に優れている。
【0055】
例として、上記化学式1中のR1~R3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基であり得る。
【0056】
具体的な一例として、上記化学式1中のR1~R3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0057】
例えば、上記化学式1中のR1~R3は、それぞれ同一または異なる。
【0058】
例として、上記化学式1中のRa、RbおよびRcは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~8のアルケニル基、および置換または非置換の炭素数2~8のアルキニル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0059】
具体的な例として、上記化学式1中のRa、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0060】
例えば、上記Ra、Rb、およびRcは、それぞれ同一かまたは異なる。
【0061】
一般に使用されるフォトレジスト組成物の場合、エッチング耐性が不足して、高いアスペクト比でパターンが崩れるおそれがある。
【0062】
一方、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、上述した有機スズ化合物と溶媒とからなることが好ましい。
【0063】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であり得る。具体的な例として、例えば、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン)、エステル類(n-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン)、またはこれらの混合物などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、場合によって添加剤をさらに含むことができる。添加剤の例としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
架橋剤としては、例えば、メラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、アクリル系架橋剤、エポキシ系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤として、例えば、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ウレタンアクリレート、アクリルメタクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0067】
レベリング剤は、印刷時の塗膜平坦性を向上させるためのものであり、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を使用することができる。
【0068】
これらの添加剤の使用量は、所望の物性によって容易に調節することができ、省略することもできる。
【0069】
また、本発明に係る半導体レジスト用組成物は、基板との密着力などの向上のために(例えば、半導体レジスト用組成物の基板との接着力向上のために)、接着力向上剤として、シランカップリング剤を添加剤として使用することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;または3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、高いアスペクト比を有するパターンを形成してもパターン崩れが発生しない。したがって、例えば、5~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、5~150nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~100nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~80nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~50nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~30nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~20nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程に使用することができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を使用すると、13.5nm波長のEUV光源を使用する極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0071】
本発明の他の一実施形態によれば、上述した半導体フォトレジスト用組成物を製造する製造方法が提供される。
【0072】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、化学式2で表される有機スズ化合物および化学式3で表される有機化合物を有機溶媒下で反応させて前記化学式1で表される有機スズ化合物を製造し、上記製造された化学式1で表される有機スズ化合物を溶媒と混合することによって製造される。
【0073】
上記化学式2で表される有機スズ化合物と上記化学式3で表される有機化合物とは、次の通りであり、上記化学式1で表される有機スズ化合物は上述した通りである。
【0074】
【0075】
上記化学式2および化学式3中、
R1~R3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R4~R9は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Rdは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0076】
上記化学式2で表される有機スズ化合物を有機溶媒に溶解した後、上記化学式3で表される有機化合物を-78~60℃の温度範囲で滴下し、2~24時間反応させて、上記化学式1で表される有機スズ化合物を製造することができる。
【0077】
例えば、上記反応温度は-50~30℃、より具体的には-20~0℃であり得る。
【0078】
例えば、上記反応時間は4~16時間、より具体的には4~8時間であり得る。
【0079】
上記化学式1および化学式2中のR1~R3は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基であり得る。
【0080】
例として、上記化学式1および化学式2中のR1~R3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0081】
例えば、上記化学式1中のR1~R3は、それぞれ同一または異なる。
【0082】
例えば、上記化学式2中のR1~R3は、それぞれ同一または異なる。
【0083】
上記化学式1中のR1~R3は、それぞれ上記化学式2中のR1~R3に由来するものである。
【0084】
上記化学式2中のR4~R9は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~8のアルケニル基、および置換または非置換の炭素数2~8のアルキニル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0085】
例として、上記化学式2中のR4~R9は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基であり得る。
【0086】
例えば、上記化学式2中のR4~R9は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0087】
例えば、上記化学式2中のR4~R9は、それぞれ同一または異なる。
【0088】
上記化学式3中のRdは、水素原子、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~8のアルケニル基、および置換または非置換の炭素数2~8のアルキニル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0089】
例として、上記化学式3中のRdは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0090】
例えば、上記化学式3中のRdは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0091】
例えば、上記化学式1中のRa、Rb、およびRcは、それぞれ同一または異なる。
【0092】
例えば、上記化学式1中のRa、Rb、およびRcは、それぞれ同一である。
【0093】
例えば、上記化学式1中のRa、Rb、およびRcは、上記化学式3中のRdに由来するものである。
【0094】
例えば、上記化学式3で表される有機化合物は、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、イソブチル酸、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0095】
上述した半導体フォトレジスト用組成物の製造方法は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤を混合する工程をさらに含むことができる。
【0096】
一方、本発明のさらに他の一実施形態によれば、上述した半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法が提供される。例として、製造されたパターンはフォトレジストパターンであり得る。より具体的には、ネガ型フォトレジストパターンであり得る。
【0097】
本発明の他の実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する工程と、上記エッチング対象膜の上に上述した半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程と、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する工程と、上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする工程と、を含む。
【0098】
以下、上述した半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法について
図1~5を参照して説明する。
図1~5は、本発明に係る半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【0099】
図1を参照すると、まず、エッチング対象物を用意する。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であり得る。以下では、エッチング対象物が薄膜102である場合に限って説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜、またはシリコン酸化膜であり得る。
【0100】
次に、洗浄された薄膜102の表面上に、レジスト下層膜104を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコート方式を適用してコートする。ただし、本発明の一実施形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の多様なコート方法、例えばスプレーコート、ディップコート、ナイフエッジコート、印刷法、例えばインクジェット印刷およびスクリーン印刷などを用いることもできる。
【0101】
レジスト下層膜をコートする工程は省略することができ、以下ではレジスト下層膜をコートする場合について説明する。
【0102】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は、100~500℃で行い、例えば100~300℃で行うことができる。
【0103】
レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に形成され、基板100とフォトレジスト膜106との界面または層間ハードマスク(hardmask)から反射する照射線が意図されないフォトレジスト領域に散乱する場合、フォトレジスト線幅(linewidth)の不均一およびパターン形成性を妨害することを防止することができる。
【0104】
図2を参照すると、レジスト下層膜104の上に上述した半導体フォトレジスト用組成物をコートして、フォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102の上に、上述した半導体フォトレジスト用組成物をコートした後、熱処理工程により硬化した形態であり得る。
【0105】
より具体的には、半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する工程は、上述した半導体レジスト用組成物を薄膜102が形成された基板100上にスピンコート、スリットコート、インクジェット印刷などで塗布する工程、および塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程を含み得る。
【0106】
半導体フォトレジスト用組成物については既に詳しく説明したので、重複する説明は省略する。
【0107】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、80~120℃の温度で行うことができる。
【0108】
図3を参照すると、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
【0109】
露光工程で使用できる光の例としては、i-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0110】
より具体的には、本発明の一実施形態による露光用の光は、5~150nmの波長範囲を有する短波長光であり得、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギー波長を有する光である。
【0111】
上記フォトレジストパターンを形成する工程において、ネガティブ型パターンを形成することができる。
【0112】
フォトレジスト膜106のうち、露光領域106aは、有機金属化合物間の縮合などの架橋反応によって重合体を形成することにより、フォトレジスト膜106の未露光領域106bと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0113】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90~200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光領域106aは、現像液に溶解し難い状態となる。
【0114】
図4には、現像液を用いて、未露光領域に該当するフォトレジスト膜106bを溶解させて除去することによって形成されたフォトレジストパターン108が示されている。具体的には、2-ヘプタノン(2-heptanone)などの有機溶媒を使用して、未露光領域に該当するフォトレジスト膜106bを溶解させた後除去することによって、ネガティブトーンイメージに該当するフォトレジストパターン108が完成される。
【0115】
上記で説明したように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される現像液は有機溶媒であり得る。一実施形態によるパターン形成方法で使用される有機溶媒の例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、n-ブチルアセテート、ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0116】
上記で説明したように、i-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギーを有する光などによって露光されて形成されたフォトレジストパターン108は、5~100nm厚さの幅を有することができる。上記フォトレジストパターン108は、5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、5~50nm、5~40nm、5~30nm、5~20nmの厚さの幅で形成される。
【0117】
一方、上記フォトレジストパターン108は、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下のハーフピッチ(half-pitch)および、10nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下の線幅粗さを有するピッチを有する。
【0118】
次に、上記フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして、上記レジスト下層膜104をエッチングする。上記のようなエッチング工程により有機膜パターン112が形成される。形成された上記有機膜パターン112も、フォトレジストパターン108に対応する幅を有する。
【0119】
図5を参照すると、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して露出した薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は薄膜パターン114として形成される。
【0120】
薄膜102のエッチングは、例えばエッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができる。エッチングガスは、例えばCHF3、CF4、Cl2、BCl3およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0121】
EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成されたフォトレジストパターン108を用いて形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有する。例として、フォトレジストパターン108と同様に5~100nmの幅を有する。例えば、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108と同様に、5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、5~50nm、5~40nm、5~30nm、5~20nmの幅を有することができ、より具体的には20nm以下の幅で形成され得る。
【実施例】
【0122】
以下、上述した半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例により本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明の技術的特徴は、下記実施例によって限定されるものではない。
【0123】
合成例1:有機スズ化合物1の合成
下記化学式2-1で表される有機スズ化合物(10g、26.4mmol)を30mlの無水トルエンに溶かした後、4.8gの酢酸を0℃で徐々に滴下し、6時間攪拌した。
【0124】
その後、温度を常温に上げ、トルエンを真空蒸留して除去し、残った濾液を分別蒸留して、下記化学式1-1で表される有機スズ化合物1を得た。
【0125】
【0126】
合成例2:有機スズ化合物2の合成
下記化学式2-2で表される化合物(10g、31.0mmol)を30mlの無水トルエンに溶かした後、8.3gのイソブチル酸を0℃で徐々に滴下し、6時間攪拌した。
【0127】
その後、温度を常温に上げ、トルエンを真空蒸留して除去し、残った濾液を分別蒸留して、下記化学式1-2で表される有機スズ化合物2を得た。
【0128】
【0129】
合成例3:有機スズ化合物3の合成
上記化学式2-2で表される有機スズ化合物(10g、31.0mmol)を30mlの無水トルエンに溶かした後、7.0gのプロピオン酸を0℃で徐々に滴下し、6時間攪拌した。
【0130】
その後、温度を常温に上げ、トルエンを真空蒸留して除去し、残った濾液を分別蒸留して、下記化学式1-3で表される有機スズ化合物3を得た。
【0131】
【0132】
合成例4:有機スズ化合物4の合成
下記化学式2-3で表される有機スズ化合物(10g、25.5mmol)を30mlの無水トルエンに溶かした後、6.0gのプロピオン酸を0℃で徐々に滴下し、6時間攪拌した。
【0133】
その後、温度を常温に上げ、トルエンを真空蒸留して除去し、残った濾液を分別蒸留して、下記化学式1-4で表される有機スズ化合物4を得た。
【0134】
【0135】
合成例5:有機スズ化合物5の合成
上記化学式2-3で表される有機スズ化合物(10g、25.5mmol)を30mlの無水トルエンに溶かした後、6.9gのイソブチル酸を0℃で徐々に滴下し、6時間攪拌した。
【0136】
その後、温度を常温に上げ、トルエンを真空蒸留して除去し、残った濾液を分別蒸留して、下記化学式1-5で表される有機スズ化合物5を得た。
【0137】
【0138】
比較合成例1:有機スズ化合物Aの合成
下記化学式A-1で表される有機スズ化合物(10.0g、25.6mmol)に25mlの酢酸を常温で徐々に滴下した後、110℃で24時間加熱還流した。
【0139】
その後、温度を常温に下げ、酢酸を真空蒸留して、下記化学式aで表される有機スズ化合物Aを得た。
【0140】
【0141】
比較合成例2:有機スズ化合物Bの合成
下記化学式B-1で表される有機スズ化合物(10.0g、24.6mmol)に25mlのプロピオン酸を常温で徐々に滴下した後、110℃で24時間加熱還流した。
【0142】
その後、温度を常温に下げ、プロピオン酸を真空蒸留して、下記化学式bで表される有機スズ化合物Bを得た。
【0143】
【0144】
実施例1~5および比較例1~2
合成例1~5、ならびに比較合成例1および比較合成例2で得られた有機スズ化合物1~5、ならびに有機スズ化合物AおよびBをPGMEA(Propylene glycol methyl ether acetate)に3.0質量%の濃度で溶解し、0.1μm PTFEシリンジフィルター(syringe filter)でろ過して実施例1~5、ならびに比較例1および比較例2のフォトレジスト組成物を製造した。自然酸化物表面を有する直径4インチの円形シリコンウェハーを薄膜蒸着用基材として使用した。レジスト薄膜の蒸着前に、UVオゾンクリーニングシステムで10分間処理し、フォトレジスト組成物を基材上に2000rpmで30秒間スピンコートし、120℃で120秒間焼成した。偏光計測法(ellipsometry)によりコーティングおよび焼成後のレジスト膜の膜厚を測定した結果、20nmであった。
【0145】
評価1:感度およびラインエッジ粗さ(LER)の評価
円形シリコンウェハー上に、上記コーティング方法によって製造された実施例1~5、ならびに比較例1および比較例2によるレジスト膜を、40nm Half-pitchのナノ線パターンが形成されるように、100kVの加速電圧の極端紫外線により露光した。露光した薄膜を160℃で60秒間ベーキングした後、2-heptanoneが入ったペトリ皿に30秒間浸漬して取り出した。その後、同じ溶剤で10秒間洗浄した。最終的に、150℃で180秒間ベーキングした後、FE-SEM(field emission scanning electron microscopy)によりパターンイメージを得た。FE-SEMイメージから確認された形成された線のCD(Critical Dimension)サイズおよびラインエッジ粗さ(LER)を測定した後、下記基準により感度およびラインエッジ粗さを評価して表1に示す。
【0146】
※評価基準
(1)感度
1000uC/cm2のエネルギーで測定されたCDサイズを下記基準により評価してその結果を表1に示す:
◎:40nm以上
○:35nm以上40nm未満
△:35nm未満
×:パターンが確認されない。
【0147】
(2)ラインエッジ粗さ(LER)
○:5nm以下
△:5nm超7nm以下
×:7nm超。
【0148】
評価2:保存安定性の評価
一方、上述した実施例1~5ならびに比較例1および比較例2による半導体フォトレジスト組成物について、以下のような基準で保存安定性を評価して、下記表1に示した:
[保存安定性]
常温(20±5℃)条件で、実施例1~5ならびに比較例1および比較例2による半導体フォトレジスト組成物を特定期間放置した際、沈殿が発生する程度を肉眼で観察して、下記の保管可能な基準により2段階で評価した:
※評価基準
○:6ヶ月以上保管可能
△:3ヶ月以上6ヶ月未満保管可能
×:3ヶ月未満保管可能。
【0149】
【0150】
上記表1を参照すると、実施例1~5による半導体フォトレジスト用組成物は、比較例1および比較例2に比べて、保存安定性にさらに優れていることが分かり、半導体フォトレジスト用組成物を用いて形成されたパターンも、実施例1~5の場合、比較例1および比較例2に比べてさらに優れた感度およびラインエッジ粗さ(LER)を示すことを確認することができた。
【0151】
以上、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できることはこの技術の分野で通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形した実施例は本発明の特許請求の範囲に属するというべきであろう。
【符号の説明】
【0152】
100 基板、
102 薄膜、
104 レジスト下層膜、
106 フォトレジスト膜、
106a 露光領域、
106b 未露光領域、
108 フォトレジストパターン、
112 有機膜パターン、
114 薄膜パターン。