(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】処理液ノズルおよび洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231124BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20231124BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
B08B3/02 B
B08B3/12 C
H01L21/304 648L
(21)【出願番号】P 2021548806
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2020034618
(87)【国際公開番号】W WO2021060036
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2019174136
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森川 勝洋
(72)【発明者】
【氏名】古賀 貴広
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-096243(JP,A)
【文献】特開平02-257632(JP,A)
【文献】特開2017-183553(JP,A)
【文献】特開2017-073467(JP,A)
【文献】特開2003-100688(JP,A)
【文献】特開2007-214347(JP,A)
【文献】特開2017-069403(JP,A)
【文献】国際公開第2007/132609(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B05B 17/06
B06B 1/06
B08B 3/00-3/14
B08B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生させる振動子と、前記振動子に接合される振動体とを有する超音波付与部と、
前記超音波付与部の前記振動体に接する位置に第1の液体を供給する第1供給流路と、
前記超音波付与部によって超音波が付与された前記第1の液体を吐出口に供給する吐出流路と、
前記吐出流路の前記超音波付与部よりも下流側に接続され、前記吐出流路に第2の液体を供給する第2供給流路と、
を備え、
前記第1の液体は、強酸性または強アルカリ性を有し、
前記第2の液体は、発泡性を有する
処理液ノズル。
【請求項2】
前記吐出流路において、前記第1供給流路との接続部から前記第2供給流路との接続部までの長さは、前記吐出口の口径以上の長さである
請求項1に記載の処理液ノズル。
【請求項3】
前記吐出流路において、前記第2供給流路との接続部から前記吐出口までの長さは、前記吐出口の口径以上の長さである
請求項1または2に記載の処理液ノズル。
【請求項4】
前記吐出流路の内径は、前記吐出口の口径と等しい
請求項1~3のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項5】
前記吐出流路における
前記第2供給流路との接続部よりも上流側の内径は、前記吐出口の口径よりも大きい
請求項1~3のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項6】
前記第1の液体の粘度が前記第2の液体の粘度よりも大きい場合、前記吐出流路における前記第2供給流路との接続部から前記吐出口までの長さは、前記吐出流路における前記第1供給流路との接続部から前記第2供給流路との接続部までの長さよりも長い
請求項1~5のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項7】
前記第1の液体の流量が前記第2の液体の流量よりも小さい場合、前記吐出流路における前記第1供給流路との接続部から前記第2供給流路との接続部までの長さは、前記吐出流路における前記第2供給流路との接続部から前記吐出口までの長さよりも長い
請求項1~
5のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項8】
前記第1の液体の供給圧力は、前記第2の液体の供給圧力よりも大きい
請求項1~7のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項9】
前記第1の液体と前記第2の液体とを混合すると反応熱が発生する場合、前記吐出流路における前記第1供給流路との接続部から前記第2供給流路との接続部までの長さは、前記吐出流路における前記第2供給流路との接続部から前記吐出口までの長さよりも長い
請求項1~8のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項10】
前記第1供給流路、または前記吐出流路における前記第2供給流路との接続部よりも上流側に接続され、第3の液体を供給する第3供給流路をさらに備える
請求項1~9のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項11】
前記吐出口から吐出される混合液を除電する除電部をさらに備える
請求項1~10のいずれか一つに記載の処理液ノズル。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一つに記載の処理液ノズルと、
基板を保持して回転させる基板処理部と、
を備える洗浄装置。
【請求項13】
前記処理液ノズルの待機位置に設けられるダミーディスペンスバスをさらに備え、
前記ダミーディスペンスバスは、前記吐出口に付着する液体を吸引する吸引ノズルを有する
請求項12に記載の洗浄装置。
【請求項14】
各部を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記基板を前記基板処理部で処理する前に、前記ダミーディスペンスバスで待機する前記処理液ノズルの前記吐出口に付着する液体を前記吸引ノズルで吸引する
請求項13に記載の洗浄装置。
【請求項15】
前記処理液ノズルの待機位置に設けられるダミーディスペンスバスをさらに備え、
前記ダミーディスペンスバスは、前記吐出口に付着する液体をエアブローするエアブロー部を有する
請求項12に記載の洗浄装置。
【請求項16】
各部を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記基板を前記基板処理部で処理する前に、前記ダミーディスペンスバスで待機する前記処理液ノズルの前記吐出口に付着する液体を前記エアブロー部でエアブローする
請求項15に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、処理液ノズルおよび洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハとも呼称する。)などの基板の表面を、処理液ノズルから吐出される超音波が付与された洗浄液で洗浄する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理液ノズル内で洗浄液に超音波を付与する振動体が破損することを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による処理液ノズルは、超音波付与部と、第1供給流路と、吐出流路と、第2供給流路とを備える。超音波付与部は、超音波を発生させる振動子と、前記振動子に接合される振動体とを有する。第1供給流路は、前記超音波付与部の前記振動体に接する位置に第1の液体を供給する。吐出流路は、前記超音波付与部によって超音波が付与された前記第1の液体を吐出口に供給する。第2供給流路は、前記吐出流路の前記超音波付与部よりも下流側に接続され、前記吐出流路に第2の液体を供給する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理液ノズル内で洗浄液に超音波を付与する振動体が破損することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、処理ユニットの具体的な構成例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る処理液ノズルの液だれ抑制処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る処理液ノズルの液だれ抑制処理を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の変形例に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るダミーディスペンスバスの構成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の他の変形例に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例に係るダミーディスペンスバスの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する処理液ノズルおよび洗浄装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
従来、半導体ウェハ(以下、ウェハとも呼称する。)などの基板の表面を、処理液ノズルから吐出される超音波が付与された洗浄液で洗浄する技術が知られている。一方で、かかる洗浄液に発泡性の液体を用いる場合、付与される超音波によって液体内の泡がはじけることから、泡がはじける際の衝撃力で超音波を付与する振動体が破損する恐れがあった。
【0010】
そこで、上述の問題点を克服し、処理液ノズル内で洗浄液に超音波を付与する振動体が破損することを抑制することができる技術の実現が期待されている。
【0011】
<基板処理システムの概要>
最初に、
図1を参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成について説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す図である。なお、基板処理システム1は、洗浄装置の一例である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0012】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0013】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、実施形態では半導体ウェハW(以下、ウェハWと呼称する。)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0014】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0015】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0016】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
【0017】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
【0018】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0019】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0020】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0021】
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0022】
<処理ユニットの構成>
次に、処理ユニット16の構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、処理ユニット16の具体的な構成例を示す模式図である。
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板処理部30と、液供給部40と、回収カップ50とを備える。
【0023】
チャンバ20は、基板処理部30と、液供給部40と、回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0024】
基板処理部30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備え、載置されたウェハWに液処理を施す。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。
【0025】
かかる基板処理部30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
【0026】
基板処理部30が備える保持部31の上面には、ウェハWを側面から保持する保持部材31aが設けられる。ウェハWは、かかる保持部材31aによって保持部31の上面からわずかに離間した状態で水平保持される。なお、ウェハWは、基板処理が行われる表面を上方に向けた状態で保持部31に保持される。
【0027】
液供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。液供給部40は、複数(ここでは2つ)のノズル41a、41bと、かかるノズル41a、41bをそれぞれ水平に支持するアーム42a、42bと、アーム42a、42bをそれぞれ旋回および昇降させる旋回昇降機構43a、43bとを備える。ノズル41aは、処理液ノズルの一例である。
【0028】
ノズル41aは、バルブ44aおよび流量調整器45aを介して第1液体供給部46aに接続されるとともに、バルブ44bおよび流量調整器45bを介して第2液体供給部46bに接続される。
【0029】
第1液体供給部46aから供給される第1の液体L1(
図3参照)は、強酸性または強アルカリ性を有する薬液であり、たとえば、濃硫酸やアンモニアなどである。第2液体供給部46bから供給される第2の液体L2(
図3参照)は、発泡性を有する薬液であり、たとえば、過酸化水素水やDIW(DeIonized Water:脱イオン水)などである。
【0030】
なお、本開示において「第2の液体L2は発泡性を有する」とは、第2の液体L2が単体で発泡する場合に限られず、第2の液体L2が他の液体(たとえば、第1の液体L1)と混ざることにより初めて発泡する場合も含まれる。
【0031】
ノズル41bは、バルブ44cおよび流量調整器45cを介してDIW供給源46cに接続される。DIWは、たとえばリンス処理に用いられる。なお、リンス処理に用いる処理液はDIWに限られない。
【0032】
ノズル41aからは、第1液体供給部46aから供給される第1の液体L1と、第2液体供給部46bから供給される第2の液体L2とが混ざった混合液M(
図3参照)が吐出される。かかるノズル41aの詳細については後述する。ノズル41bからは、DIW供給源46cより供給されるDIWが吐出される。
【0033】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0034】
なお、実施形態の処理ユニット16では、ノズルが2つ設けられる例について示したが、処理ユニット16に設けられるノズルの数は2つに限られない。
【0035】
<処理液ノズルの詳細>
次に、実施形態に係る処理液ノズルの一例であるノズル41aの詳細について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施形態に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
【0036】
図3に示すように、ノズル41aは、超音波付与部60と、第1供給流路71と、吐出流路72と、第2供給流路73とを備える。ノズル41aは、第1供給流路71から供給される第1の液体L1と第2供給流路73から供給される第2の液体L2とを混合して混合液Mを生成し、かかる混合液Mに超音波Sを付与して、吐出口74からウェハWに吐出する。
【0037】
ここで、
図3に示すように、吐出口74から吐出される混合液MがウェハWまで途切れることなく吐出されることにより、超音波付与部60で付与された超音波SをウェハW上に着液した混合液Mまで伝達することができる。
【0038】
すなわち、実施形態に係るノズル41aは、ウェハWを混合液Mで洗浄する際に、超音波Sによる物理力を利用して洗浄することができる。したがって、実施形態によれば、化学的安定性の高い膜(たとえば、犠牲膜など)がウェハWに形成されている場合であっても、高い洗浄力でこの化学的安定性の高い膜を除去することができる。
【0039】
次に、ノズル41aにおける各部の詳細について説明する。超音波付与部60は、振動子61と、振動体62とを有する。
【0040】
振動子61は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電セラミックスで形成される。振動子61は、外部から所与の発振周波数を有する駆動信号が入力されることにより、かかる所与の発信周波数を有する超音波Sを発生させる。振動子61は、たとえば、200kHz以上の比較的高い周波数の超音波Sを発生させることができる。
【0041】
振動体62は、振動子61に強固に接合される。すなわち、超音波付与部60では、振動体62と振動子61とが一体で振動するように構成されることから、振動体62は、振動時における負荷としての機能を有する。
【0042】
したがって、実施形態によれば、振動体62を第1の液体L1に直接接触させて超音波Sを付与することにより、振動子61を第1の液体L1に直接接触させて超音波Sを付与する場合に比べて、インピーダンスの変動を小さくすることができる。
【0043】
振動体62は、耐薬品性および耐熱性を有する無機材料で形成される。振動体62は、たとえば、石英、サファイアなどの鉱物系材料や、アルミナ、チタニア、シリカ、炭化珪素などのセラミック材料などで形成される。
【0044】
第1供給流路71は、超音波付与部60の振動体62に接する位置に第1の液体L1を供給する。第1供給流路71は、振動体62が設けられる吐出流路72の上流側に接続される。そして、第1供給流路71は、第1液体供給部46a、バルブ44aおよび流量調整器45aを介して、第1の液体L1を吐出流路72の上流側に供給する。
【0045】
吐出流路72は、下方に直線状に延びるようにノズル41aの内部に形成される。吐出流路72は、上流側に超音波付与部60の振動体62が設けられ、下流側にノズル41aの吐出口74が形成される。そして、吐出流路72は、超音波付与部60によって超音波Sが付与された第1の液体L1や、かかる第1の液体L1を用いて生成される混合液Mを吐出口74に供給する。
【0046】
実施形態では、吐出流路72が直線状に形成されることから、超音波付与部60で付与された超音波SをウェハWの表面まで円滑に伝達することができる。
【0047】
第2供給流路73は、吐出流路72に第2の液体L2を供給する。第2供給流路73は、吐出流路72の超音波付与部60よりも下流側に接続される。そして、第2供給流路73は、第2液体供給部46b、バルブ44bおよび流量調整器45bを介して、第2の液体L2を吐出流路72の超音波付与部60よりも下流側に供給する。
【0048】
そして、第2供給流路73から吐出流路72に第2の液体L2が供給されることにより、吐出流路72の内部で第1の液体L1と第2の液体L2との混合液Mが生成される。そして、実施形態では、第2の液体L2が発泡性を有することから、少なくとも混合液Mには泡Bが含まれる。
【0049】
なお、第2の液体L2として過酸化水素水を用いた場合、第2の液体L2自体が発泡性を有することから、
図3に示すように、混合液Mの他に第2の液体L2にも泡Bが含まれる。
【0050】
ここで、実施形態では、第2供給流路73を超音波付与部60よりも下流側に接続することにより、泡Bが含まれる混合液Mを超音波付与部60よりも下流側で生成することができる。
【0051】
すなわち、実施形態では、泡Bが含まれる混合液Mを超音波付与部60から離れた位置で生成することができることから、超音波Sによって混合液M内の泡Bがはじけたとしても、かかる泡Bがはじける際の衝撃力を振動体62まで伝達しにくくすることができる。
【0052】
したがって、実施形態によれば、混合液Mに付与される超音波Sおよび混合液Mに含まれる泡Bに起因して、ノズル41aの内部で振動体62が破損することを抑制することができる。
【0053】
また、実施形態では、発泡性を有する混合液Mが吐出流路72の下流側だけに位置していることから、洗浄処理が終わって混合液Mの吐出が停止された場合に、ノズル41aの内部に残る混合液Mの量を最小限に抑えることができる。
【0054】
これにより、混合液Mの内部で発泡が継続して混合液Mの体積が膨張する際に、かかる体積の膨張を最小限に抑えることができる。したがって、実施形態によれば、混合液Mの吐出が停止された場合に、かかる混合液Mが膨張して吐出口74から液だれすることを抑制することができる。
【0055】
また、実施形態では、第1の液体L1が強酸性または強アルカリ性を有し、第2の液体L2が発泡性を有するとよい。これにより、犠牲膜などの化学的安定性が高い膜がウェハWに形成されている場合であっても、高い洗浄力でこの化学的安定性が高い膜を除去することができる。
【0056】
また、実施形態では、吐出口74から吐出される混合液Mを除電する除電部(図示せず)をさらに備えるとよい。かかる除電部は、たとえば、ノズル41aの本体部や超音波付与部60の間と、接地電位との間を接続する配線によって構成される。
【0057】
これにより、ウェハWの帯電やアーキングが問題となる場合において、混合液Mで洗浄処理を実施する際にウェハWの帯電やアーキングの発生を抑制することができる。
【0058】
また、第2供給流路73の上流側は、バルブ81を介してドレイン部DRに接続される。なお、かかるバルブ81およびドレイン部DRは、第2供給流路73よりも下に位置する。つづいて、かかるバルブ81を用いた液だれ抑制処理の詳細について、
図4および
図5を参照しながら説明する。
【0059】
図4および
図5は、実施形態に係る処理液ノズルの液だれ抑制処理を説明するための図である。なお、
図4は、ノズル41aから超音波Sが付与された混合液Mを吐出して、ウェハWの洗浄処理を実施している場合を示している。
【0060】
ノズル41aを用いてウェハWの洗浄処理を実施している場合、第1供給流路71に接続されるバルブ44aおよび第2供給流路73に接続されるバルブ44bはいずれも開状態(なお、以降の図では「O」と記載する。)である。
【0061】
また、この場合、バルブ81は閉状態(なお、以降の図では「C」と記載する。)であり、超音波付与部60からは超音波Sが出力される。これにより、ノズル41aの吐出口74から超音波Sが付与された混合液Mを吐出することができる。
【0062】
そして、ウェハWの洗浄処理が終わって混合液Mの吐出を終了する場合、制御部18(
図1参照)は、
図5に示すように、まず超音波付与部60による超音波Sの出力を停止する(ステップS01)。次に、制御部18は、バルブ44aを閉状態にして、吐出流路72への第1の液体L1の供給を停止する(ステップS02)。
【0063】
このように、超音波Sの出力を停止した後に第1の液体L1の供給を停止することにより、超音波付与部60が超音波Sを空だきすることを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、かかる空だきによって超音波付与部60が破損することを抑制することができる。
【0064】
次に、制御部18は、バルブ44bを閉状態にして、吐出流路72への第2の液体L2の供給を停止する(ステップS03)。なお、かかるステップS03は、上述のステップS02と同時に実施してもよい。
【0065】
そして、制御部18は、バルブ81を開状態にして、第2供給流路73に残る第2の液体L2をドレイン部DRに排出する(ステップS04)。これにより、吐出口74の近傍に残る混合液Mを吐出流路72の上流側に戻すことができる。
【0066】
ここまで説明した処理によって、実施形態では、吐出口74の近傍に残る混合液Mが外部に液だれすることを抑制することができる。
【0067】
なお、ウェハWの洗浄処理をふたたび開始する際には、第1供給流路71から第1の液体L1が吐出流路72に供給された後に、超音波付与部60から超音波Sを出力するとよい。これにより、超音波付与部60が超音波Sを空だきすることを抑制することができることから、かかる空だきによって超音波付与部60が破損することを抑制することができる。
【0068】
また、
図4および
図5の例では、第2供給流路73よりも下方に設けられるバルブ81を用いて、自重により第2供給流路73に残る第2の液体L2をドレイン部DRに排出する例について示した。しかしながら、実施形態では、第2供給流路73に残る第2の液体L2を強制的にドレイン部DRに排出してもよい。
【0069】
たとえば、バルブ81と第2供給流路73との間にアスピレータやイジェクタなどを追加して、かかるアスピレータやイジェクタなどを動作させることにより、第2供給流路73に残る第2の液体L2をドレイン部DRに強制的に排出することができる。
【0070】
つづいて、ノズル41aにおける各部の好適な寸法について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、実施形態に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
【0071】
以降の説明では、
図6に示すように、第1供給流路71の内径をDaとし、吐出流路72の内径をDbとし、第2供給流路73の内径をDcとし、吐出口74の口径をDdとする。また、吐出流路72において、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さをLaとし、第2供給流路73との接続部から吐出口74までの長さをLbとする。
【0072】
実施形態では、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さLaが、吐出口74の口径Dd以上の長さであるとよい。これにより、第2の液体L2や混合液Mに含まれる泡Bが、振動体62の近傍まで逆流することを抑制することができる。
【0073】
したがって、実施形態によれば、泡Bに起因してノズル41aの内部で振動体62が破損することをさらに抑制することができる。なお、吐出口74の口径Dd自体は、特に限定されることはなく、ウェハWの洗浄処理に必要となる混合液Mの吐出流量に合わせて適宜設定することができる。
【0074】
また、第1供給流路71の内径Daや第2供給流路73の内径Dcも特に限定されることはなく、ウェハWの洗浄処理に必要となる第1の液体L1および第2の液体L2の供給流量に合わせて適宜設定することができる。
【0075】
たとえば、第1の液体L1と第2の液体L2との混合比が2:1である場合、内径Daと内径Dcとの比を2:1に設定してもよく、内径Daと内径Dcとを同じ値に設定してもよい。
【0076】
また、実施形態では、第2供給流路73との接続部から吐出口74までの長さLbが、吐出口74の口径Dd以上の長さであるとよい。これにより、第1の液体L1と第2の液体L2とを混合するために十分な流路の長さを確保することができる。
【0077】
また、実施形態では、第1の液体L1の粘度が第2の液体L2の粘度よりも大きい場合、第2供給流路73との接続部から吐出口74までの長さLbが、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さLaよりも長いとよい。
【0078】
このように、第2の液体L2が低粘度である場合に、長さLbの値を大きく設定することにより、吐出口74近傍における混合液Mが十分な表面張力を確保することができる。したがって、実施形態によれば、混合液Mが吐出口74から液だれすることを抑制することができる。なお、第2の液体L2が高粘度である場合には、長さLbの値を小さく設定してもよい。
【0079】
また、実施形態では、第1の液体L1の流量が第2の液体L2の流量よりも小さい場合、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さLaが、第2供給流路73との接続部から吐出口74までの長さLbよりも長いとよい。
【0080】
このように、第2の液体L2の流量よりも第1の液体L1の流量のほうが小さい場合に、長さLaの値を大きく設定することにより、第2の液体L2が第1供給流路71まで逆流することを抑制することができる。
【0081】
なお、第2の液体L2の流量よりも第1の液体L1の流量のほうが大きい場合には、第2の液体L2が第1供給流路71まで逆流する可能性は小さい。
【0082】
また、実施形態では、第1の液体L1の供給圧力が、第2の液体L2の供給圧力よりも大きいとよい。これにより、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さLaが短く設定されている場合でも、第2の液体L2が第1供給流路71まで逆流することを抑制することができる。
【0083】
また、実施形態では、第1の液体L1と第2の液体L2とを混合すると反応熱が発生する場合、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さLaが、第2供給流路73との接続部から吐出口74までの長さLbよりも長いとよい。
【0084】
このように、第1の液体L1と第2の液体L2とを混合すると反応熱が発生する場合、長さLaの値を大きく設定することにより、混合液Mで生じた反応熱が振動体62に伝わることを抑制することができる。
【0085】
したがって、実施形態によれば、混合液Mで生じる反応熱に起因して、振動体62と振動子61との接合面などにダメージが加わることを抑制することができる。
【0086】
なお、実施形態では、振動体62と直接接触する第1の液体L1の温度自体も低温(たとえば、室温以下)のほうがよい。これにより、振動体62と振動子61との接合面などにダメージが加わることを抑制することができる。
【0087】
また、実施形態では、吐出流路72の内径Dbが、吐出口74の口径Ddと等しいとよい。これにより、吐出流路72を流れる第1の液体L1や混合液Mの圧損を最小限にすることができることから、混合液Mを効率よく吐出することができる。
【0088】
なお、吐出流路72の内径Dbは、吐出口74の口径Ddと等しい場合に限られない。
図7は、実施形態の変形例に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
図7に示すように、この変形例では、吐出流路72における上流側の内径Db1が吐出口74の口径Ddよりも大きい。すなわち、この変形例では、吐出流路72における上流側の内径Db1が、吐出口74に繋がる下流側の内径Db2よりも大きい。
【0089】
これにより、ウェハWの洗浄処理に必要となる混合液M(
図3参照)の吐出流量に合わせて、吐出口74の口径Ddを適宜設定することができるとともに、かかる口径Ddよりも大きなサイズの振動体62を吐出流路72の上流側に設置することができる。
【0090】
したがって、変形例によれば、さらに高出力の超音波S(
図3参照)を混合液Mに付与することができることから、さらに高い洗浄力でウェハWを洗浄することができる。
【0091】
また、変形例では、吐出流路72において内径がDbからDcに変化する部位に、テーパ72aを設けるとよい。これにより、振動体62から伝達される超音波Sが吐出流路72の内壁に当たって、振動体62に直接跳ね返ることを抑制することができる。
【0092】
また、ここまで説明した実施形態では、2種類の液体を混合して混合液Mを生成する例について示したが、3種類以上の液体を混合して混合液Mを生成してもよい。たとえば、第1の液体L1としてアンモニアを用い、第2の液体L2として過酸化水素水を用い、第3の液体としてDIWを用いて混合液Mを生成してもよい。
【0093】
そして、第3の液体をさらに混合して混合液Mを生成する場合、かかる第3の液体を供給する第3供給流路は、第1供給流路71に接続されるか、または吐出流路72における第2供給流路73との接続部よりも上流側に接続されるとよい。
【0094】
また、
図3の例では、吐出流路62を略鉛直に向けてウェハWに混合液Mを吐出する例について示したが、吐出流路62を斜めに向けてウェハWに混合液を吐出してもよい。これにより、ウェハW上で跳ね返った混合液Mがノズル41aに付着し、ノズル41aが汚染されることを抑制することができる。
【0095】
さらにこの場合、制御部18は、ノズル41aの位置を制御して、ウェハWの洗浄処理の前半部分でウェハWの回転方向に向かい合う向きに混合液Mを吐出するとともに、洗浄処理の後半部分ではウェハWの回転方向に沿う向きに混合液Mを吐出するとよい。
【0096】
これにより、洗浄処理の前半部分では、ウェハW上での超音波Sの滞在時間をさらに延ばすことができることから、化学的安定性が高い膜を効率よく除去することができる。また、洗浄処理の後半部分では、ウェハW上での超音波Sの滞在時間を短くすることができることから、膜が剥離したウェハWの表面へのダメージを抑制することができる。
【0097】
<液だれ抑制機構の詳細>
つづいて、実施形態に係る各種液だれ抑制機構の詳細について、
図8~
図10を参照しながら説明する。
図8は、実施形態に係るダミーディスペンスバス82の構成を示す図である。以下に説明するダミーディスペンスバス82は、液だれ抑制機構の一例である。
【0098】
ダミーディスペンスバス82は、処理ユニット16(
図2参照)におけるチャンバ20(
図2)の内部に設けられ、ノズル41aの待機位置の下方に配置される。ダミーディスペンスバス82は、ノズル41aに接続される各流路内の気泡や異物などの排除を目的としたダミーディスペンス処理の際に、ノズル41aから吐出される混合液Mを受け入れ、受け入れた混合液Mをドレイン部DRに排出する。
【0099】
また、実施形態に係るダミーディスペンスバス82は、ノズル41aから吐出される混合液Mを受け入れる機能に加えて、ノズル41aの吐出口74に付着する混合液Mの液滴を吸引する吸引ノズル83を備える。
【0100】
そして、かかる吸引ノズル83を動作させて、ノズル41aの吐出口74に付着する混合液Mの液滴を吸引することにより、混合液Mが吐出口74から液だれすることを抑制することができる。
【0101】
また、制御部18は、ウェハWを基板処理部30で洗浄処理する前に、ダミーディスペンスバス82で待機するノズル41aの吐出口74に付着する混合液Mを吸引ノズル83で吸引するとよい。
【0102】
これにより、洗浄処理される前のウェハWの上方にノズル41aを移動させる際に、誤ってウェハW上に混合液Mが液だれすることを抑制することができる。
【0103】
なお、
図8の例では、吸引ノズル83がダミーディスペンスバス82に設けられる例について示したが、吸引ノズル83が設けられる箇所はダミーディスペンスバス82に限られない。
図9は、実施形態の他の変形例に係る処理液ノズルの構成を示す図である。
【0104】
図9に示すように、ノズル41aの吐出口74近傍に吸引口が設けられるように、上述の吸引ノズル83をアーム42aに設けてもよい。これにより、ノズル41aが待機位置に待機していない状態であっても、混合液Mが吐出口74から液だれすることを抑制することができる。
【0105】
たとえば、
図9の例では、洗浄処理が終わってノズル41aが待機位置に戻る際に吸引ノズル83を動作させて、ノズル41aの吐出口74に付着する混合液Mの液滴を吸引するとよい。
【0106】
図10は、実施形態の変形例に係るダミーディスペンスバス82の構成を示す図である。
図10に示すように、変形例に係るダミーディスペンスバス82は、ノズル41aから吐出される混合液Mを受け入れる機能に加えて、ノズル41aの吐出口74に付着する混合液Mの液滴をエアブローするエアブロー部84を備える。
【0107】
そして、かかる吸引ノズル83を動作させて、ノズル41aの吐出口74に付着する混合液Mの液滴をエアブローすることにより、混合液Mが吐出口74から液だれすることを抑制することができる。
【0108】
また、制御部18は、ウェハWを基板処理部30で洗浄処理する前に、ダミーディスペンスバス82で待機するノズル41aの吐出口74に付着する混合液Mをエアブロー部84でエアブローするとよい。
【0109】
これにより、洗浄処理される前のウェハWの上方にノズル41aを移動させる際に、誤ってウェハW上に混合液Mが液だれすることを抑制することができる。なお、エアブロー部84でエアブローされた混合液Mの液滴は、ダミーディスペンスバス82で受け止められ、ドレイン部DRに排出される。
【0110】
実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)は、超音波付与部60と、第1供給流路71と、吐出流路72と、第2供給流路73とを備える。超音波付与部60は、超音波Sを発生させる振動子61と、振動子61に接合される振動体62とを有する。第1供給流路71は、超音波付与部60の振動体62に接する位置に第1の液体L1を供給する。吐出流路72は、超音波付与部60によって超音波Sが付与された第1の液体L1を吐出口74に供給する。第2供給流路73は、吐出流路72の超音波付与部60よりも下流側に接続され、吐出流路72に第2の液体L2を供給する。これにより、混合液Mに付与される超音波Sおよび混合液Mに含まれる泡Bに起因して、ノズル41aの内部で振動体62が破損することを抑制することができる。
【0111】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、第1の液体L1は、強酸性または強アルカリ性を有し、第2の液体L2は、発泡性を有する。これにより、犠牲膜などの化学的安定性の高い膜がウェハWに形成されている場合であっても、高い洗浄力でこの化学的安定性の高い膜を除去することができる。
【0112】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、吐出流路72において、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さLaは、吐出口74の口径Dd以上の長さである。これにより、泡Bに起因してノズル41aの内部で振動体62が破損することをさらに抑制することができる。
【0113】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、吐出流路72において、第2供給流路73との接続部から吐出口74までの長さLbは、吐出口74の口径Dd以上の長さである。これにより、第1の液体L1と第2の液体L2とを混合するために十分な流路の長さを確保することができる。
【0114】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、吐出流路72の内径Dbは、吐出口74の口径Ddと等しい。これにより、吐出流路72を流れる第1の液体L1や混合液Mの圧損を最小限にすることができることから、混合液Mを効率よく吐出することができる。
【0115】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、吐出流路72における上流側の内径Db1は、吐出口74の口径Ddよりも大きい。これにより、さらに高出力の超音波Sを混合液Mに付与することができることから、さらに高い洗浄力でウェハWを洗浄することができる。
【0116】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、第1の液体L1の粘度が第2の液体L2の粘度よりも大きい場合、長さLbは長さLaよりも長い。かかる長さLbは、吐出流路72における第2供給流路73との接続部から吐出口74までの長さであり、長さLaは、吐出流路72における第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さである。これにより、混合液Mが吐出口74から液だれすることを抑制することができる。
【0117】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、第1の液体L1の流量が第2の液体L2の流量よりも小さい場合、長さLaは長さLbよりも長い。これにより、第2の液体L2が第1供給流路71まで逆流することを抑制することができる。
【0118】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、第1の液体L1の供給圧力は、第2の液体L2の供給圧力よりも大きい。これにより、第1供給流路71との接続部から第2供給流路73との接続部までの長さLaが短く設定されている場合でも、第2の液体L2が第1供給流路71まで逆流することを抑制することができる。
【0119】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)において、第1の液体L1と第2の液体L2とを混合すると反応熱が発生する場合、長さLaは長さLbよりも長い。これにより、混合液Mで生じる反応熱に起因して、振動体62と振動子61との接合面などにダメージが加わることを抑制することができる。
【0120】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)は、第1供給流路71、または吐出流路72における第2供給流路73との接続部よりも上流側に接続され、第3の液体を供給する第3供給流路をさらに備える。これにより、3種類の液体を混合した混合液Mで洗浄処理を実施することができる。
【0121】
また、実施形態に係る処理液ノズル(ノズル41a)は、吐出口74から吐出される混合液Mを除電する除電部をさらに備える。これにより、ウェハWの帯電やアーキングが問題となる場合において、混合液Mで洗浄処理を実施する際にウェハWの帯電やアーキングの発生を抑制することができる。
【0122】
実施形態に係る洗浄装置(基板処理システム1)は、上記に記載の処理液ノズル(ノズル41a)と、基板(ウェハW)を保持して回転させる基板処理部30とを備える。これにより、ノズル41aの内部で振動体62の破損が抑制された洗浄装置を実現することができる。
【0123】
また、実施形態に係る洗浄装置(基板処理システム1)は、処理液ノズル(ノズル41a)の待機位置に設けられるダミーディスペンスバス82をさらに備える。そして、ダミーディスペンスバス82は、吐出口74に付着する液体(混合液M)を吸引する吸引ノズル83を有する。これにより、混合液Mが吐出口74から液だれすることを抑制することができる。
【0124】
また、実施形態に係る洗浄装置(基板処理システム1)は、各部を制御する制御部18をさらに備える。そして、制御部18は、基板(ウェハW)を基板処理部30で処理する前に、ダミーディスペンスバス82で待機する処理液ノズル(ノズル41a)の吐出口74に付着する液体(混合液M)を吸引ノズル83で吸引する。これにより、洗浄処理される前のウェハWの上方にノズル41aを移動させる際に、誤ってウェハW上に混合液Mが液だれすることを抑制することができる。
【0125】
また、実施形態に係る洗浄装置(基板処理システム1)は、処理液ノズル(ノズル41a)の待機位置に設けられるダミーディスペンスバス82をさらに備える。そして、ダミーディスペンスバス82は、吐出口74に付着する液体(混合液M)をエアブローするエアブロー部84を有する。これにより、混合液Mが吐出口74から液だれすることを抑制することができる。
【0126】
また、実施形態に係る洗浄装置(基板処理システム1)は、各部を制御する制御部18をさらに備える。そして、制御部18は、基板(ウェハW)を基板処理部30で処理する前に、ダミーディスペンスバス82で待機する処理液ノズル(ノズル41a)の吐出口74に付着する液体(混合液M)をエアブロー部84でエアブローする。これにより、洗浄処理される前のウェハWの上方にノズル41aを移動させる際に、誤ってウェハW上に混合液Mが液だれすることを抑制することができる。
【0127】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、ウェハWの洗浄処理にノズル41aを適用した例について示したが、ノズル41aが適用される処理はウェハWの洗浄処理に限られず、各種の液処理にノズル41aを適用することができる。
【0128】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0129】
W ウェハ
1 基板処理システム(洗浄装置の一例)
16 処理ユニット
18 制御部
30 基板処理部
41a ノズル(処理液ノズルの一例)
60 超音波付与部
61 振動子
62 振動体
71 第1供給流路
72 吐出流路
73 第2供給流路
74 吐出口
82 ダミーディスペンスバス
83 吸引ノズル
84 エアブロー部
Da、Db、Dc 内径
Dd 口径
L1 第1の液体
L2 第2の液体
La、Lb 長さ