(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】画像測定装置および非接触形状測定装置
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20231127BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20231127BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20231127BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20231127BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20231127BHJP
G02B 3/14 20060101ALI20231127BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G01C3/06 120P
G01B11/00 H
G02B7/04 Z
G02B7/28 H
G03B13/36
G02B3/14
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2018247506
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悟
(72)【発明者】
【氏名】長濱 龍也
(72)【発明者】
【氏名】磯部 仁志
(72)【発明者】
【氏名】山中 雅史
(72)【発明者】
【氏名】老田 直人
(72)【発明者】
【氏名】久保 光司
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 裕子
(72)【発明者】
【氏名】大庭 信男
(72)【発明者】
【氏名】大竹 貴久
(72)【発明者】
【氏名】松井 大樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 雅典
(72)【発明者】
【氏名】伊賀崎 史朗
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 佑旗
(72)【発明者】
【氏名】酒井 裕志
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-188731(JP,A)
【文献】特開2018-151239(JP,A)
【文献】特開2017-207481(JP,A)
【文献】特開2018-189702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 3/00-3/32
G03B 3/00-3/12
13/30-13/36
21/53
G02B 7/28-7/40
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの画像を検出する第1の画像センサと、前記ワークから前記第1の画像センサまでの光路上に配置された第1の焦点距離可変レンズと、前記第1の焦点距離可変レンズを制御するとともに前記第1の画像センサの検出画像を処理する第1の制御装置と、
前記ワークの画像を検出する第2の画像センサと、前記ワークから前記第2の画像センサまでの光路上に配置された第2の焦点距離可変レンズと、前記第2の焦点距離可変レンズを制御するとともに前記第2の画像センサの検出画像から前記ワークの表面位置を検出する第2の制御装置と、
前記ワークを載置するステージと、前記第1の制御装置で処理された前記検出画像を表示する表示装置と、を有し、
前記第2の画像センサおよび前記第2の焦点距離可変レンズは、前記第1の画像センサおよび前記第1の焦点距離可変レンズと、それぞれ同一のものが用いられていることを特徴とする画像測定装置。
【請求項2】
ワークの画像を検出する第1の画像センサと、前記ワークから前記第1の画像センサまでの光路上に配置された第1の焦点距離可変レンズと、前記第1の焦点距離可変レンズを制御するとともに前記第1の画像センサの検出画像を処理する第1の制御装置と、
前記ワークの画像を検出する第2の画像センサと、前記ワークから前記第2の画像センサまでの光路上に配置された第2の焦点距離可変レンズと、前記第2の焦点距離可変レンズを制御するとともに前記第2の画像センサの検出画像から前記ワークの表面形状を測定する第2の制御装置と、
前記ワークを載置するステージと、前記第2の制御装置による測定結果を表示する表示装置と、を有し、
前記第2の画像センサおよび前記第2の焦点距離可変レンズは、前記第1の画像センサおよび前記第1の焦点距離可変レンズと、それぞれ同一のものが用いられて
いることを特徴とする非接触形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像測定装置および非接触形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを撮像した画像データに基づいてその形状や寸法を測定する画像測定装置が用いられている(特許文献1参照)。
画像測定装置には、対物レンズなどの光学装置を通してワークからの画像を検出する画像センサと、画像センサとワークとを光軸方向へ相対移動させる移動機構と、検出画像の処理とともに移動機構の制御を行う制御装置と、を含む撮像装置が用いられる。
このような撮像装置では、制御装置で検出画像を検出しつつ移動機構を移動させて光軸方向のスキャンを行い、得られた複数画像のコントラスト比較などにより合焦位置を検出するオートフォーカス機能(AF機能)が利用されている。
【0003】
画像測定装置の一部は、前述した撮像装置とともにワーク表面の変位を検出する非接触変位検出装置を備え、ワーク表面の3D形状(立体形状)を測定可能な非接触形状測定装置を兼用できるものが知られている。
非接触変位検出装置は、撮像装置と同様な画像センサ、移動機構および制御装置を有し、さらに制御装置は検出画像からワーク表面の高さ位置を検出可能とされる。ワーク表面の高さ検出には、ワークを撮像する際の合焦位置を検出する合焦位置検出方式(PFF)や、白色光の干渉縞からワークの表面を検出する白色光干渉方式(WLI)などが利用される(特許文献2参照)。
非接触形状測定装置は、前述した非接触変位検出装置によるワーク表面の高さ測定を所定領域内で順次または連続的に行うことで、ワーク表面の3D形状を測定可能である。
非接触形状測定装置においては、測定動作時のAF機能にレーザ光を用いるレーザ光オートフォーカス方式(LAF)や、指定の経路に沿った移動をともなうトラッキングオートフォーカス方式(TAF)が用いられる。さらに、より高精度な非接触変位検出装置として、クロマチックポイントセンサ方式(CPS)がある(特許文献3参照)。
【0004】
前述した画像測定装置、撮像装置、非接触変位検出装置、非接触形状測定装置では、基本的に単焦点の光学系を用い、合焦制御に光軸方向の移動を伴うAF機能を用いていた。これに対し、近年、多焦点画像撮影が可能な焦点距離可変レンズとして、透明な液体を高周波振動させる液体レンズシステムが開発されている(特許文献4参照)。
液体レンズシステムは、圧電材料で形成された円筒状の振動部材を、透明な液体に浸漬して形成される。液体レンズシステムにおいて、振動部材の内周面と外周面とに交流電圧を印加すると、振動部材が厚み方向に伸縮し、振動部材の内側の液体を振動させる。液体の固有振動数に応じて印加電圧の周波数を調整すると、液体に同心円状の定在波が形成され、振動部材の中心軸線を中心として屈折率が異なる同心円状の領域が形成される。この状態で、振動部材の中心軸線に沿って光を通すと、この光は同心円状の領域ごとの屈折率に従って発散または収束する経路を辿ることになる。
【0005】
焦点距離可変レンズは、前述した液体レンズシステムと、焦点を結ぶための対物レンズ(例えば通常の凸レンズあるいはレンズ群)とを、同じ光軸上に配置して液体レンズユニットとしてパッケージ化され、各種装置の光学系に組み込まれる。
通常の対物レンズに平行光を入射させると、レンズを通過した光は所定の焦点距離にある焦点位置に焦点を結ぶ。これに対し、対物レンズと同軸に配置された液体レンズシステムに平行光を入射させると、この光は液体レンズシステムで発散または収束され、対物レンズを通過した光は元の(液体レンズシステムがなかった状態の)焦点位置よりも遠く、または近くにずれた位置に焦点を結ぶ。
従って、焦点距離可変レンズにおいては、液体レンズシステムに入力される駆動信号(明細書内部の液体に定在波を発生させる周波数の交流電圧)を印加し、この駆動信号の振幅を増減させることで、焦点位置を一定の範囲内(対物レンズの焦点距離を基準として液体レンズシステムにより増減できる所定の変化幅)で任意に制御可能である。
【0006】
焦点距離可変レンズにおいて、液体レンズシステムに入力される駆動信号としては、例えば正弦波状の交流信号が用いられる。このような駆動信号が入力されると、焦点距離可変レンズの焦点距離(焦点位置)は正弦波状に変化する。この際、駆動信号の振幅が0のとき、液体レンズシステムを通る光は屈折されず、焦点距離可変レンズの焦点距離は対物レンズの焦点距離となる。駆動信号の振幅が正負のピークにあるとき、液体レンズシステムを通る光は最も大きく屈折され、焦点距離可変レンズの焦点距離は対物レンズの焦点距離から最も変化した状態となる。
このような焦点距離可変レンズを用いて画像を取得する際には、駆動信号の正弦波の位相に同期して発光信号を出力してパルス照明を行う。これにより、正弦波状に変化する焦点距離のうち、所定の焦点距離に合焦した状態でパルス照明を行うことで、この焦点距離にある対象物の画像が検出される。一周期のうち複数の位相でパルス照明を行い、各位相に対応して画像検出を行えば、同時に複数の焦点距離の画像を得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許5202966号公報
【文献】特開2017-207481号公報
【文献】特許第6001440号公報
【文献】特開2018-189702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した撮像装置、画像測定装置、非接触変位検出装置、および非接触形状測定装置では、それぞれAF機能として光軸方向にスキャンした複数の検出画像に対し、コントラスト値から合焦位置を判定するなどしており、スキャンを行うために画像センサの機械的な移動機構が必要であった。このため、画像測定装置としての構造が複雑化し、設置スペースが必要であり、動作時間がかかることから作業効率も低下していた。
【0009】
本発明の目的は、構造が簡素で小型化できるとともに、短時間で効率よく合焦状態が得られる画像測定装置および非接触形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像装置は、ワークの画像を検出する画像センサと、前記ワークから前記画像センサまでの光路上に配置された焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを制御するとともに前記画像センサの検出画像を処理する制御装置と、を有することを特徴とする。
本発明では、撮像装置に焦点距離可変レンズを利用することで、検出画像は多焦点画像を重畳したものとなり、合焦状態の検出画像を選択可能である。従って、画像撮影に際して従来のAF機構を省略でき、動作速度を向上できる。
なお、本発明の撮像装置は、画像測定装置や画像検査装置に組み込んで利用できるほか、微細なワークを対象とする測定用顕微鏡として利用でき、さらに微細なスタイラスを用いる微細形状測定システムの監視装置、硬さ測定機、あるいは製造工程におけるインライン検査などにも利用できる。
【0011】
本発明の画像測定装置は、前述した本発明の撮像装置と、前記ワークを載置するステージと、前記検出画像を表示する表示装置とを有する。
本発明では、前述した本発明の撮像装置を利用することで、変位検出に際して従来のAF機構を省略でき、動作速度を向上できる。
なお、本発明の画像測定装置は、いわゆる画像検査装置のような大型のワークを対象とするものに限らず、微細なワークを対象とする測定用顕微鏡や、微細なスタイラスを用いる微細形状測定システムの監視装置、硬さ測定機、あるいは製造工程におけるインライン検査などに利用してもよい。
【0012】
本発明の非接触変位検出装置は、ワークの画像を検出する画像センサと、前記ワークから前記画像センサまでの光路上に配置された焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを制御するとともに前記画像センサの検出画像から前記ワークの表面位置を検出する制御装置と、を有することを特徴とする。
本発明では、非接触変位検出装置に焦点距離可変レンズを利用することで、検出画像は多焦点画像を重畳したものとなり、各焦点位置の検出画像からコントラスト比較などにより合焦位置を検出することで、ワーク表面の座標を検出可能である。従って、変位検出に際して従来のAF機構を省略でき、動作速度を向上できる。
本発明において、ワークの表面位置を検出する処理は、既存のPFF方式やWLI方式を用いることができる。
なお、本発明の非接触変位検出装置は、非接触形状測定装置に組み込んで利用できるほか、ワークの変位検出を目的とする様々な装置などにも利用できる。
【0013】
本発明の非接触形状測定装置は、前述した本発明の非接触変位検出装置と、前記ワークを載置するステージと、検出結果を表示する表示装置とを有するとともに、前記制御装置は、前記ワークの表面形状を測定可能であることを特徴とする。
本発明において、ワークの形状測定の処理には、既存のLAF方式、TAF方式、およびCPS方式などを利用できる。
本発明では、前述した本発明の非接触変位検出装置を利用することで、変位検出に際して従来のAF機構を省略でき、動作速度を向上できる。
なお、本発明の非接触変位検出装置は、大型のワークを対象とするものに限らず、微細なワークを対象とするものでもよく、ワークを載置するステージは搬送用のコンベアなどであってもよく、例えば製造工程におけるインライン測定などに適用してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、構造が簡素で小型化できるとともに、短時間で効率よく合焦状態が得られる画像測定装置および非接触形状測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の画像測定装置の一実施形態の全体構成を示す斜視図。
【
図3】前記実施形態の液体レンズユニットの構成を示す斜視図。
【
図4】前記実施形態の液体レンズユニットの動作を示す模式図。
【
図5】前記実施形態の液体レンズユニットの機能を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に基づく画像測定装置1(非接触三次元形状測定機)の全体構成が示されている。
【0017】
〔画像測定装置1〕
画像測定装置1は、ベース2の上面にワーク9を載置するステージ3を有する。ベース2の上方にはステージ3を跨ぐ門型のコラム4が設置され、その水平ビーム5には昇降ヘッド6が支持されている。昇降ヘッド6の下部には撮像用光学ヘッド10および変位検出用光学ヘッド20が設置されている。
画像測定装置1において、ステージ3はベース2およびコラム4に対してX軸方向へ移動可能であり、昇降ヘッド6は水平ビーム5に沿ってステージ3に対してY軸方向へ移動可能であり、昇降ヘッド6は水平ビーム5およびステージ3に対してZ軸方向へ昇降可能である。これらの移動および昇降は、それぞれベース2、水平ビーム5、および昇降ヘッド6の内部に設置された図示しない移動機構によって行われる。
【0018】
図2において、撮像用光学ヘッド10および変位検出用光学ヘッド20には、各々を制御するための撮像用レンズ制御部30および変位検出用レンズ制御部40が接続され、検出画像の処理および装置全体を操作するためのパーソナルコンピュータ50が接続されている。
本実施形態においては、撮像用光学ヘッド10、撮像用レンズ制御部30、およびパーソナルコンピュータ50により、本発明の撮像装置が構成される。また、変位検出用光学ヘッド20、変位検出用レンズ制御部40、およびパーソナルコンピュータ50により、本発明の非接触変位検出装置が構成される。
【0019】
〔撮像用光学ヘッド10〕
撮像用光学ヘッド10は、ワーク9を照明する照明ユニット11と、ワーク9に対向配置される対物レンズ12と、対物レンズ12の光軸Ai上に配置された液体レンズユニット13と、対物レンズ12および液体レンズユニット13を通してワーク9の画像を検出する画像センサ14と、を有する。
照明ユニット11は、白色LEDによる透過照明、白色LEDによる垂直落射照明、および白色LEDによるプログラム制御リング照明を備え、検査画像およびワーク9に応じていずれかの照明方式を選択可能である。
【0020】
対物レンズ12は、既存の光学レンズで構成され、液体レンズユニット13を通してワーク9の画像を画像センサ14に結像可能である。
液体レンズユニット13は、焦点距離が高速に変化する焦点距離可変レンズであり、入力される駆動信号Cfに応じて屈折率が変化する。
画像センサ14は、既存のCCDイメージセンサ(電荷結合素子)あるいは他の形式のカメラ等で構成され、入射されるワーク9の画像を所定の信号形式の検出画像として出力可能である。
【0021】
〔液体レンズユニット13〕
図3において、液体レンズユニット13は、円筒形のケース131を有し、ケース131の内部には円筒状の振動部材132が設置されている。振動部材132は、その外周面133とケース131の内周面134との間に介装されたエラストマ製のスペーサ139で支持されている。
振動部材132は、圧電材料を円筒状に形成したものであり、外周面133と内周面134との間に駆動信号Cfの交流電圧が印加されることで、厚み方向に振動する。
ケース131の内部には、透過性の高い液体135が充填されており、振動部材132は全体を液体135に浸漬され、円筒状の振動部材132の内側は液体135で満たされている。駆動信号Cfの交流電圧は、振動部材132の内側にある液体135に定在波を発生させる周波数に調整されている。
【0022】
図4に示すように、液体レンズユニット13においては、振動部材132を振動させると、内部の液体135に定在波が生じ、屈折率が交替する同心円状の領域が生じる(
図4(A)部および
図4(B)部参照)。
このとき、液体レンズユニット13の中心軸線からの距離(半径)と液体135の屈折率との関係は、
図4(C)部に示す屈折率分布Wのようになる。
【0023】
図5において、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であるため、液体レンズユニット13における液体135の屈折率分布Wの変動幅もこれに従って変化する。そして、液体135に生じる同心円状の領域の屈折率が正弦波状に変化し、これにより焦点位置Pfまでの焦点距離Dfが正弦波状に変動する。
図5(A)の状態では、屈折率分布Wの振れ幅が最大となり、液体レンズユニット13は通過する光を収束させ、焦点位置Pfは近く、焦点距離Dfは最短となっている。
図5(B)の状態では、屈折率分布Wが平坦となり、液体レンズユニット13は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図5(C)の状態では、屈折率分布Wが
図5(A)と逆極性で振れ幅が最大となり、液体レンズユニット13は通過する光を拡散させ、焦点位置Pfは遠く、焦点距離Dfは最大となっている。
図5(D)の状態では、再び屈折率分布Wが平坦となり、液体レンズユニット13は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図5(E)の状態では、再び
図5(A)の状態に戻っており、以下同様の変動を繰り返すことになる。
【0024】
このように、液体レンズユニット13においては、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であり、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfも
図5の焦点変動波形Mfのように正弦波状に変動する。
ここで、画像センサ14で連続的に撮像しつつ、焦点変動波形Mfの任意の位相で照明ユニット11にパルス照明させれば、任意の照明時点での焦点距離Dfにある焦点位置Pfにあるワーク9の画像データを得ることができる。
一方、画像センサ14の撮像および照明ユニット11による照明を連続的に行えば、焦点距離Dfの全範囲に合焦したワーク9の画像を重畳した画像データを検出可能である。
【0025】
図2に戻って、変位検出用光学ヘッド20、撮像用レンズ制御部30、変位検出用レンズ制御部40、およびパーソナルコンピュータ50について説明する。
【0026】
〔変位検出用光学ヘッド20〕
変位検出用光学ヘッド20は、ワーク9を照明する照明ユニット21と、ワーク9に対向配置される対物レンズ22と、対物レンズ22の光軸Ad上に配置された液体レンズユニット23と、対物レンズ22および液体レンズユニット23を通してワーク9の画像を検出する画像センサ24と、を有する。
これらの照明ユニット21、対物レンズ22、液体レンズユニット23、および画像センサ24は、それぞれ前述した撮像用光学ヘッド10の照明ユニット11、対物レンズ12、液体レンズユニット13、および画像センサ14と同一のものが用いられている。ただし、変位検出という機能の相違に基づいて、一部には異なる構成を用いてもよい。
【0027】
〔撮像用レンズ制御部30〕
撮像用レンズ制御部30は、駆動制御部31と発光制御部32とを有する。
駆動制御部31は、撮像用光学ヘッド10の液体レンズユニット13を駆動するものであり、パーソナルコンピュータ50で指定される条件で駆動信号Cfを発生させ、液体レンズユニット13に印加する。液体レンズユニット13からは、有効電力値など動作状態を示す信号がフィードバックされる。
発光制御部32は、撮像用光学ヘッド10の照明ユニット11を制御するものであり、パーソナルコンピュータ50で指定される条件で照明種別を選択し、照明ユニット11を連続発光またはパルス発光させる。
【0028】
〔変位検出用レンズ制御部40〕
変位検出用レンズ制御部40は、駆動制御部41と発光制御部42とを有する。これらは前述した駆動制御部31および発光制御部32と同じものである。
駆動制御部41は、変位検出用光学ヘッド20の液体レンズユニット23を駆動するものであり、パーソナルコンピュータ50で指定される条件で駆動信号Cfを発生させ、この駆動信号Cfを液体レンズユニット23に印加する。液体レンズユニット23からは、有効電力値など動作状態を示す信号がフィードバックされる。
発光制御部42は、変位検出用光学ヘッド20の照明ユニット21を制御するものであり、パーソナルコンピュータ50で指定される条件で照明種別を選択し、照明ユニット21を連続発光またはパルス発光させる。
【0029】
〔パーソナルコンピュータ50〕
パーソナルコンピュータ50は、画像測定処理部51、画像測定用レンズ操作部52、形状測定処理部53、形状測定用レンズ操作部54、および操作インターフェイス55を有する。さらに、操作インターフェイス55には、ユーザが目視可能な画面表示を行う表示部56と、ユーザが操作可能な操作部57とを有する。
【0030】
撮像用光学ヘッド10に関して、ユーザが操作部57から操作を行うことで、画像測定用レンズ操作部52により撮像用光学ヘッド10の動作条件が設定され、設定された条件は撮像用レンズ制御部30に送られる。その結果、撮像用レンズ制御部30は、設定された条件で撮像用光学ヘッド10を動作させる。
撮像用光学ヘッド10では、画像センサ14によりワーク9の画像が検出され、検出画像は画像測定処理部51で処理され、表示部56に表示される。
【0031】
変位検出用光学ヘッド20に関して、ユーザが操作部57から操作を行うことで、形状測定用レンズ操作部54により変位検出用光学ヘッド20の動作条件が設定され、設定された条件は変位検出用レンズ制御部40に送られる。その結果、変位検出用レンズ制御部40は、設定された条件で変位検出用光学ヘッド20を動作させる。
変位検出用光学ヘッド20では、画像センサ24によりワーク9の画像が検出され、検出画像は形状測定処理部53で処理され、合焦位置の検出などによりワーク9の表面形状などが検出される。このような処理としては、例えば合焦位置検出方式(PFF)による3D形状測定などが利用できる。処理経過ないし検出結果は表示部56に表示される。
【0032】
〔本実施形態の効果〕
以上説明した本実施形態によれば、次に示すような効果が得られる。
本実施形態においては、画像測定装置1のうち、撮像用光学ヘッド10、撮像用レンズ制御部30、およびパーソナルコンピュータ50により、本発明の撮像装置が構成される。
この撮像装置は、ワーク9の画像を検出する画像センサ14と、ワーク9から画像センサ14までの光軸Ai上に配置された焦点距離可変レンズ(液体レンズユニット13)と、焦点距離可変レンズを制御するとともに画像センサ14の検出画像を処理する制御装置(駆動制御部31および画像測定処理部51)とを有する。
このような撮像装置では、焦点距離可変レンズ(液体レンズユニット13)を利用することで、検出画像は多焦点画像を重畳したものとなり、合焦状態の検出画像を選択可能である。従って、画像撮影に際して従来のAF機構を省略でき、動作速度を向上できる。
【0033】
本実施形態においては、画像測定装置1のうち、変位検出用光学ヘッド20、変位検出用レンズ制御部40、およびパーソナルコンピュータ50により、本発明の非接触変位検出装置が構成される。
この非接触変位検出装置は、ワーク9の画像を検出する画像センサ24と、ワーク9から画像センサ24までの光軸Ad上に配置された焦点距離可変レンズ(液体レンズユニット23)と、焦点距離可変レンズを制御するとともに画像センサ24の検出画像から合焦位置を検出可能な制御装置(駆動制御部41および形状測定処理部53)とを有する。
このような非接触変位検出装置では、焦点距離可変レンズ(液体レンズユニット23)を利用することで、検出画像は多焦点画像を重畳したものとなり、各焦点位置の検出画像からコントラスト比較などにより合焦位置を検出することで、ワーク9の表面の座標を検出可能である。従って、変位検出に際して従来のAF機構を省略でき、動作速度を向上できる。
【0034】
〔変形例〕
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態において、変位検出用光学ヘッド20は、撮像用光学ヘッド10と同一の構成に限らず、変位検出用として撮像用光学ヘッド10とは異なる構成を用いることができる。例えば、変位検出用光学ヘッド20でPFF測定ではなくWLI測定を行う場合、対物レンズ22を干渉対物レンズに変更し、画像センサ24をCCDカメラと顕微鏡ユニットに変更するなど、WLI測定に適した構成とすればよい。
【0035】
前記実施形態において、パーソナルコンピュータ50には、撮像用光学ヘッド10からの検出画像を処理するための画像測定処理部51を設け、撮像用レンズ制御部30を操作するために画像測定用レンズ操作部52を設けたが、画像測定のための機能が必要なく、単に検出画像を表示または記録する場合には、画像測定処理部51に代えて撮像処理部を設け、画像測定用レンズ操作部52に代えて撮像用レンズ制御部を設ければよい。
【0036】
前記実施形態において、パーソナルコンピュータ50には、変位検出用光学ヘッド20からの検出画像を処理するための形状測定処理部53を設け、変位検出用レンズ制御部40を操作するために形状測定用レンズ操作部54を設けたが、これらは測定内容に応じて変更すればよく、例えば、形状測定処理部53に代えて変位検出処理部を設け、形状測定用レンズ操作部54に代えて変位検出用レンズ制御部を設ければよい。
【0037】
前記実施形態では、画像測定装置1に、撮像用光学ヘッド10を含む撮像装置と、変位検出用光学ヘッド20を含む非接触変位検出装置とを設置し、画像測定装置1を非接触形状測定装置としても機能するようにした。
ただし、画像測定装置1としては、専らワーク9の画像測定あるいは画像検査を行う構成であってもよく、この場合には、撮像用光学ヘッド10を含む撮像装置としての構成は必要であるが、非接触変位検出装置としての構成は省略してもよい。
また、画像測定装置1は、いわゆる画像検査装置のような大型のワークを対象とするものに限らず、微細なワークを対象とする測定用顕微鏡や、微細なスタイラスを用いる微細形状測定システムの監視装置、硬さ測定機、あるいは製造工程におけるインライン検査などに適用してもよい。
【0038】
一方、画像測定装置1としては、専らワーク9の表面の位置検出、変位検出、あるいは形状測定を行う構成、つまり非接触形状測定装置であってもよく、この場合には、変位検出用光学ヘッド20を含む非接触変位検出装置としての構成は必要であるが、撮像装置としての構成は省略してもよい。
非接触形状測定装置における形状測定としては、3D形状の測定に限らず、線状あるいは点列測定の測定であってもよい。その際、形状測定を行うための光学的構成および画像処理は、既存のLAF,TAF,CPS、あるいはPFF,WLIなどを利用できる。
また、本発明の非接触形状測定装置としては、大型のワークを対象とするものに限らず、微細なワークを対象とするものでもよい。また、ワークを載置するステージは、限定的な範囲で移動可能なステージ3に限らず、搬送用のコンベアなどであってもよく、例えば製造工程におけるインライン測定などに適用してもよい。
【0039】
前記実施形態では、撮像用光学ヘッド10、撮像用レンズ制御部30、およびパーソナルコンピュータ50(画像測定処理部51および画像測定用レンズ操作部52)により本発明の撮像装置が構成され、ワーク9の画像測定を行っていた。
ただし、本発明の撮像装置は、前記実施形態の画像測定装置1に限らず、画像検査装置に組み込んで利用できるほか、微細なワークを対象とする測定用顕微鏡として利用でき、さらに微細なスタイラスを用いる微細形状測定システムの監視装置、硬さ測定機、あるいは製造工程におけるインライン検査などにも利用できる。
【0040】
前記実施形態では、変位検出用光学ヘッド20、変位検出用レンズ制御部40、およびパーソナルコンピュータ50(形状測定処理部53および形状測定用レンズ操作部54)により、本発明の非接触変位検出装置が構成され、ワーク9の表面の形状測定を行っていた。
ただし、本発明の非接触変位検出装置は、前記実施形態の画像測定装置1に限らず、ワーク表面の位置検出、変位検出あるいは形状測定を目的とする様々な装置などにも利用できる。この際、変位検出を行うための光学的構成および画像処理は、既存のLAF,TAF,CPS、あるいはPFF,WLIなどを利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、画像測定装置および非接触形状測定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1…画像測定装置、2…ベース、3…ステージ、4…コラム、5…水平ビーム、6…昇降ヘッド、9…ワーク、10…撮像用光学ヘッド、11,21…照明ユニット、12,22…対物レンズ、13,23…液体レンズユニット、131…ケース、132…振動部材、133…外周面、134…内周面、135…液体、139…スペーサ、14,24…画像センサ、20…変位検出用光学ヘッド、30…撮像用レンズ制御部、31,41…駆動制御部、32,42…発光制御部、40…変位検出用レンズ制御部、50…パーソナルコンピュータ、51…画像測定処理部、52…画像測定用レンズ操作部、53…形状測定処理部、54…形状測定用レンズ操作部、55…操作インターフェイス、56…表示部、57…操作部、Ad,Ai…光軸、Cf…駆動信号、Df…焦点距離、Mf…焦点変動波形、Pf…焦点位置、W…屈折率分布。