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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20231127BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20231127BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020036109
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021141143
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】保坂 広樹
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-097086(JP,A)
【文献】特開2017-118116(JP,A)
【文献】特開平01-145586(JP,A)
【文献】特開2019-021804(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0085396(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26
G01R 31/28
G01R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体を収納するキャリアを収容するキャリア収容室が配置されるロードポート領域と、
複数の検査部の下に複数のプローブカードがそれぞれ配置され、チャックトップ上の被検査体の電子デバイスに前記プローブカードを押圧して前記電子デバイスの検査が行われる検査領域と、
平面視で前記ロードポート領域と前記検査領域との間に配置され、搬送機構が前記被検査体を前記チャックトップ上に搬送する搬送領域と、
前記ロードポート領域、及び/又は、前記検査領域に配置され、各々が前記プローブカードを収容可能な複数のプローブカード収容部であって、前記複数のプローブカードの数以上の複数のプローブカード収容部と
を含
前記複数のプローブカード収容部のうちの1又は複数の第1のプローブカード収容部と、前記複数のプローブカード収容部のうちの残りの1又は複数の第2のプローブカード収容部とは、前記ロードポート領域内において、前記キャリア収容室を挟んで上下に配置される、検査装置。
【請求項2】
前記複数の第1のプローブカード収容部は、重ねて配置される、請求項に記載の検査装置。
【請求項3】
前記複数の第2のプローブカード収容部は、重ねて配置される、請求項又はに記載の検査装置。
【請求項4】
前記1又は複数の第1のプローブカード収容部、又は、前記1又は複数の第2のプローブカード収容部のうちの少なくとも1つに設けられ、収納するプローブカードにドライエアを供給するドライエア供給部をさらに含む、請求項乃至のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記1又は複数の第1のプローブカード収容部、又は、前記1又は複数の第2のプローブカード収容部のうちの少なくとも1つに設けられ、収納するプローブカードを加熱する加熱部をさらに含む、請求項乃至のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記1又は複数の第1のプローブカード収容部、又は、前記1又は複数の第2のプローブカード収容部のうちの少なくとも1つに設けられ、収納するプローブカードを冷却する冷却部をさらに含む、請求項乃至のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査領域では、平面視における第1軸方向に沿って前記複数の検査部が配置され、
前記ロードポート領域、前記検査領域、及び前記搬送領域は、平面視における第2軸方向に沿って配置される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被検査体の電気的検査を行うためのテスタと、前記テスタと被検査体の間に設けられるプローブカードとを有し、被検査体の電気的検査を行う検査ユニットを、垂直方向に複数段設け、その複数段の前記検査ユニットを水平方向の一方向に複数配列した検査部を有する検査領域を備える検査システムの技術を開示している。前記検査システムは、前記検査部の前記一方向の端部側に設けられ、被検査体の収容容器が配置される配置部と、前記収容容器と前記検査領域との間で被検査体の受け渡しを行うローダとを有するローダ領域をさらに備える。
【0003】
前記検査領域は、前記検査部の各段に隣接して設けられ、前記一方向に延びる複数の搬送路と、前記各搬送路に沿って移動可能に設けられ、前記ローダから搬入された被検査体を前記各段の前記検査ユニットとの間で受け渡す複数の搬送機構とをさらに有する。また、ローダ領域には、被検査体を仮置きするバッファ部が設けられており、バッファ部は、複数の被検査体載置部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-021804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、効率的に検査を行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、被検査体を収納するキャリアを収容するキャリア収容室が配置されるロードポート領域と、複数の検査部の下に複数のプローブカードがそれぞれ配置され、チャックトップ上の被検査体の電子デバイスに前記プローブカードを押圧して前記電子デバイスの検査が行われる検査領域と、平面視で前記ロードポート領域と前記検査領域との間に配置され、搬送機構が前記被検査体を前記チャックトップ上に搬送する搬送領域と、前記ロードポート領域、及び/又は、前記検査領域に配置され、各々が前記プローブカードを収容可能な複数のプローブカード収容部であって、前記複数のプローブカードの数以上の複数のプローブカード収容部とを含む、検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、効率的に検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る検査装置10の一例を示す断面図である。
図2図1におけるA-A矢視断面に相当する切断面における検査装置10の全体の断面の一例を示す図である。
図3】検査装置10をロードポート領域14側から示す図である。
図4】プローブカード15Cとミドルプレート15Dを示す図である。
図5】カードバッファ60を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。以下では図中における上下方向又は上下関係を用いて説明するが、普遍的な上下方向又は上下関係を表すものではない。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、実施形態に係る検査装置10の一例を示す断面図である。図2は、図1におけるA-A矢視断面に相当する切断面における検査装置10の全体の断面の一例を示す図である。以下では、直交座標系であるXYZ座標系を定義して説明する。XY平面は水平面であり、Z方向は上下方向である。X方向は、第1軸方向の一例であり、Y方向は、第2軸方向の一例である。
【0011】
図1及び図2に示すように、検査装置10は、筐体11を含む。筐体11の内部空間は、検査室11Aである。検査室11Aは、検査領域12と、搬送領域13と、ロードポート領域14とを有する。
【0012】
図1及び図2では、検査領域12、搬送領域13、及びロードポート領域14の間を仕切る壁(XZ面に略平行な壁)や、壁に設けられる開口部等を省略する。
【0013】
検査領域12は、被検査体の一例であるウエハWに形成された電子デバイスの電気特性の検査が行われる領域であり、ウエハ検査用のテスタ15が複数配置される。テスタ15は、検査部の一例である。テスタ15は、一例として、検査領域12内でX方向に5個配置されるとともに、上下方向に3段設けられている。図1に示す構成は、2段目のテスタ15を含む部分の構成である。なお、テスタ15は、検査領域12内でX方向に複数配置されるとともに、上下方向に複数段設けられていればよい。
【0014】
搬送領域13は、検査領域12及びロードポート領域14の間に設けられた領域である。搬送領域13には、搬送ステージ18をX方向に案内するレール18Aが設けられている。搬送ステージ18については後述する。
【0015】
ロードポート領域14は、複数の収容空間17に区画されている。複数の収容空間17は、一例として、X方向に5個に区画され、上下方向に3段に区画される。図1には、3段のうちの中段に位置する5個の収容空間17を示す。中段の5個の収容空間17のうちの3個の収容空間17には、複数枚のウエハWを収納する容器であるFOUPを収容するポート17aが3個配置され、残りの2個の収容空間17には、検査装置10の各部の動作を制御するコントローラ17dが配置される。FOUPは、キャリアの一例であり、ポート17aは、キャリア収容室の一例である。
【0016】
各テスタ15の下には、図示しないプローブカードを保持するポゴフレーム15Aが設けられる。ポゴフレーム15Aは、筐体11に固定されている。ポゴフレーム15Aは、ウエハWの電子デバイスの端子に接触するポゴピンを有する。ウエハWの電子デバイスの端子は、ポゴフレーム15Aを介してテスタ15に電気的に接続される。
【0017】
チャックトップ15Bは、アライナ19(図2参照)によって位置合わせが行われた状態で図示しない真空吸着機構によってポゴフレーム15Aに吸着される。チャックトップ15Bがポゴフレーム15Aに吸着されると、プローブカードのプローブがウエハWの電子デバイスの端子に押圧される。なお、図1では、アライナ19は、5個のテスタ15のうちのいずれか1個の下にあり、図示を省く。
【0018】
各段の5個のテスタ15に対して1台のカメラ(図示を省略)が設けられており、カメラは各段でレール(不図示)に沿ってX方向に移動可能である。各段ではチャックトップ15Bの上面に保持されるウエハW等の位置をカメラで撮影し、アライナ19によってウエハWの位置合わせを行う際に、カメラで取得される画像データが利用される。
【0019】
チャックトップ15Bは、ウエハWを加熱する加熱機構(ヒータ)を有していてもよく、テスタ15が電子デバイスの電気特性の検査を行う際に、ウエハWの温度を所望の温度に加熱してもよい。また、チャックトップ15Bは、冷却液を利用してチャックトップ15Bを冷却する冷却機構(チラーユニット)を有していてもよい。
【0020】
搬送ステージ18は、搬送機構の一例である。搬送ステージ18は、搬送領域13内をレール18Aに沿ってX方向に移動可能である。搬送ステージ18は、Y方向及びZ方向に動作可能なアーム等を有し、ウエハW等をX方向、Y方向、及びZ方向に搬送可能である。搬送ステージ18は、ロードポート領域14のポート17aからウエハWを受け取り、搬送領域13内をX方向に搬送し、アライナ19に受け渡す。また、搬送ステージ18は、電子デバイスの電気特性の検査が終了したウエハWをアライナ19から受け取り、搬送領域13内をX方向に搬送し、ポート17aに受け渡す。
【0021】
アライナ19は、搬送ステージ18からウエハWを受け取る。アライナ19は、ウエハWを保持するチャックトップ15Bを各テスタ15へ搬送し、ポゴフレーム15Aが保持するプローブカードに対してウエハWの位置合わせを行う。このような位置合わせが行われた状態で、チャックトップ15Bは、図示しない真空吸着機構によってポゴフレーム15Aに吸着される。アライナ19は、電子デバイスの電気特性の検査が終了したウエハWを保持するチャックトップ15Bをポゴフレーム15Aから受け取り、ウエハWを搬送ステージ18に受け渡す。
【0022】
図3は、検査装置10をロードポート領域14側から示す図である。図3では、検査領域12、搬送領域13に収容される構成要素を省略する。ロードポート領域14は、一例として、15個の収容空間17に区画されている。15個の収容空間17は、X方向に5列に区画されるとともに、上下方向に3段に区画されている。以下では、X方向の5列の収容空間17を-X方向側から+X方向側にかけて、1列目から5列目と称す。また、上下方向の3段の収容空間17を下から順番に、下段(下から1段目)、中段(下から2段目)、上段(下から3段目)と称す。
【0023】
中段の5個の収容空間17には、図1に示す構成と同様に、3個のポート17aと2個のコントローラ17dが配置されている。これらのうち、1個のポート17aと2個のコントローラ17dが配置されている収容空間17については、開閉可能な扉が閉じられた状態を示す。
【0024】
下段のうち、1列目から4列目の収容空間17には、8個のカードスロット20と、4個の機器20Aとが配置されている。すなわち、8個のカードスロット20は、ポート17aよりも下に配置されている。8個のカードスロット20は、下段の1列目から4列目の収容空間17の各々において、機器20Aの上で2個ずつ重ねられた状態で、配置されている。
【0025】
8個のカードスロット20は、4個のカードバッファ60とともに、複数のプローブカード収容部の一例である。また、8個のカードスロット20は、複数のプローブカード収容部のうちの複数の第1のプローブカード収容部の一例である。なお、ポート17aよりも下に配置されているカードスロット20の数は8個に限られず、少なくとも1個あればよい。
【0026】
カードスロット20は、プローブカードをミドルプレートの上に載置した状態で収容する容器である。検査装置10の利用者は、検査装置10の-Y方向側の外部から、プローブカードをミドルプレートの上に搬入することができ、ミドルプレートの上に載置されているプローブカードを搬出することができる。機器20Aは、カードスロット20の機能等を実現する装置であり、例えば、ヒータ、冷却機構、真空吸着機構等である。
【0027】
搬送ステージ18は、カードスロット20の+Y方向側からプローブカードが載置されたミドルプレートを搬入及び搬出することができる。図3には、カードスロット20の-Y方向側の蓋を閉めた状態を示す。なお、プローブカードとミドルプレートについては、図4を用いて後述する。
【0028】
また、下段のうち、5列目の収容空間17には、ウエハテーブル30と機器30Aが配置されている。ウエハテーブル30は、FOUP等のキャリアを介さずに、1枚のウエハWを検査装置10に搬入する際に用いられる。機器30Aは、ウエハテーブル30、又は、検査装置10に含まれるウエハテーブル30以外の構成要素の機能等を実現するために用いられる機器である。
【0029】
上段の1列目から3列目の収容空間17の各々には、カードバッファ40及び電源制御装置50Aが1つずつ配置されている。電源制御装置50Aは、カードバッファ40の上に重ねて設けられている。
【0030】
カードバッファ40は、プローブカードをミドルプレートの上に載置した状態で収容する容器である。検査装置10の外部からプローブカードを搬入及び搬出することはできないが、搬送ステージ18は、カードバッファ40の+Y方向側からプローブカードが載置されたミドルプレートを搬入及び搬出することができる。
【0031】
電源制御装置50Aは、検査装置10の外部から供給される電力の調整等を行う装置であり、例えば、検査装置10の外部から操作可能なブレーカのスイッチ等を有していてもよい。なお、電源制御装置50Aの代わりに、検査装置10に含まれる電源制御装置50A以外の装置を設けてもよい。
【0032】
上段の4列目及び5列目の収容空間17の各々には、電源制御装置50Bと2個のカードバッファ60とが重ねられた状態で配置されている。一例として、電源制御装置50Bの上にカードバッファ60が重ねられている。
【0033】
電源制御装置50Bは、電源制御装置50Aと同様の装置である。また、電源制御装置50Bは、電源制御装置50Aとは異なる種類の電源制御装置であってもよく、電源制御装置50Bの代わりに、検査装置10に含まれる電源制御装置50B以外の装置を設けてもよい。
【0034】
カードバッファ60は、カードバッファ40と同様に、プローブカードをミドルプレートの上に載置した状態で収容する容器であり、合計で4個ある。4個のカードバッファ60は、8個のカードスロット20とともに、複数のプローブカード収容部の一例である。また、4個のカードバッファ60は、複数のプローブカード収容部のうちの残りの複数の第2のプローブカード収容部の一例である。ここでは、検査装置10が4個のカードバッファ60を含む形態について説明するが、カードバッファ60は少なくとも1個あればよい。
【0035】
検査装置10の外部からカードバッファ60に対してプローブカードを搬入及び搬出することはできないが、搬送ステージ18は、カードバッファ60の+Y方向側からプローブカードが載置されたミドルプレートを搬入及び搬出することができる。カードバッファ60の+Y方向側には、ロードポート領域14と搬送領域13とを接続する開口部70が設けられている。
【0036】
カードバッファ60は、一例として、アドオンタイプの(後付け可能な)カードバッファである点がカードバッファ40と異なり、電源制御装置50Bの上に空いている空間に設けられている。カードバッファ60は、ポート17aよりも上に配置されており、カードバッファ60とカードスロット20とは、ポート17aを挟んで上下に配置されている。
【0037】
一例として、カードバッファ40は、検査装置10の製造当初から上段の1列目から3列目の収容空間17に設けられており、カードバッファ60は、検査装置10の製造後に追加されたものとして説明する。しかしながら、カードバッファ60は、製造当初から設けられたものであってもよい。
【0038】
検査装置10の製造後にカードバッファ60を追加可能なスペースは、一例として、検査装置10の中では、上段の4列目及び5列目の収容空間17の電源制御装置50Bの上の空間のみである。このため、カードバッファ60を電源制御装置50Bの上に配置している。カードバッファ60の位置は、搬送ステージ18のアームが届く位置である。
【0039】
なお、ここでは、カードバッファ60が電源制御装置50Bの上に空いている空間に設けられる形態について説明するが、カードバッファ60は、検査装置10の筐体11内の空いている場所であって、搬送ステージ18のアームが届く位置であれば、どこに設けてもよい。例えば、検査領域12に空きスペースがあり、搬送ステージ18のアームが届く場所であれば、カードバッファ60を配置してよい。カードバッファ60を検査領域12及び/又はロードポート領域14に配置してよい。
【0040】
図4は、プローブカード15Cとミドルプレート15Dを示す図である。プローブカード15Cは、円盤状の部材であり、ウエハWに形成された電子デバイスの複数の端子に接触する複数のプローブ(図示を省略)を有する。図4では、プローブは、プローブカード15Cの下面側にある。
【0041】
ミドルプレート15Dは、一例として平面視で三角形の板状の部材であり、プローブカード15Cが上面に載置される。ミドルプレート15Dは、プローブカード15Cを搬送する際に用いる搬送用のプレートであり、搬送中のプローブを保護する。
【0042】
図5は、カードバッファ60を示す図である。図5には、図3において開口部70側を向いている奥側を手前側に示す。カードバッファ60は、一例として、フレーム61、センサ62、センサ63、ヒータ64、ブロワ65、及び流路66を有する。
【0043】
フレーム61は、底板61A、天板61B、及び開口部61Cを有し、一例として、金属製及び/又は樹脂製である。底板61Aは、フレーム61の底になる平面視で矩形板状の部分である。天板61Bは、底板61Aと同様に平面視で矩形板状の部分であり、底板61Aの上側に位置する。4個の開口部61Cは、それぞれ、底板61Aと天板61Bとの間で、四方を向くように設けられている。
【0044】
プローブカード15Cが載置されたミドルプレート15Dは、+Y方向側の開口部61Cを介して搬送ステージ18によってフレーム61の内部に搬送される。ミドルプレート15Dは、一例として3点が支持される形で底板61Aの上面に配置される。この場合に、底板61Aの上面に、3個の支持部(例えば突起)を設けてもよく、ミドルプレート15Dの下面に3個の支持部(例えば突起)を設けてもよい。
【0045】
センサ62は、底板61Aの上面に3個配置されている。3個のセンサ62のうちの2個は、+Y方向側で+X方向側の端部と、+Y方向側で-X方向側の端部とに配置され、残りの1個は、-Y方向側でX方向の中央部に配置される。
【0046】
センサ62は、ミドルプレート15Dの位置決めに用いられるセンサである。検査装置10のコントローラ17d(図1及び図3参照)は、センサ62の出力に基づいて、ミドルプレート15Dがフレーム61内の正しい位置にあるかどうかを判定し、正しい位置に移動するように搬送ステージ18を制御する。なお、図5に示す3個のセンサ62の配置は、一例であり、ミドルプレート15Dがフレーム61内の正しい位置にあるかどうかを検出できるのであれば、どのような位置に配置してもよい。
【0047】
このようなセンサ62としては、一例として、LED(Light Emitting Diode)等の光出力部が出力する光の透過又は反射を検出する光学式のセンサ、又は、リミットスイッチのように物理的な接触を検出するセンサ等を用いることができる。
【0048】
センサ63は、底板61Aの上面の+Y方向側でX方向の中央に設けられている。センサ63は、フレーム61内にミドルプレート15Dがあるかどうかを検出するために用いられるセンサである。検査装置10のコントローラ17d(図1及び図3参照)は、センサ63の出力に基づいて、フレーム61内にミドルプレート15Dがあるかどうかを判定する。センサ63としては、一例として、LED等の光出力部が出力する光の透過又は反射を検出する光学式のセンサ、又は、リミットスイッチ等を用いることができる。
【0049】
ヒータ64は、加熱部の一例であり、一例として、フレーム61の底板61Aに埋め込まれている。ヒータ64は、一例として電熱線であり、検査装置10のコントローラ17d(図1及び図3参照)によって温度調節が行われる。プローブカード15Cが載置されたミドルプレート15Dをヒータ64で加熱することにより、ウエハWに形成された電子デバイスの電気特性の検査を行う前に、カードバッファ60で予めプローブカード15Cを所望の温度に加熱しておくことができる。なお、ヒータ64は、電熱線以外のものであってもよい。
【0050】
ブロワ65は、ドライエア供給部の一例であり、一例として、フレーム61の-Y方向側に配置されている。ブロワ65は、図示しないドライエア供給源に接続されており、検査装置10のコントローラ17d(図1及び図3参照)によって駆動制御が行われ、ドライエア(乾燥空気)をフレーム61内に向けて噴射する。ブロワ65は、ミドルプレート15Dに載置されたプローブカード15Cに付着した塵埃等を除去するために設けられている。これにより、塵埃等によるプローブの接触不良を抑制できる。なお、ドライエアを噴射するのは、プローブカード15Cの冷却温度が特に低い場合に、結露を抑制するためである。
【0051】
流路66は、冷却部の一例であり、底板61Aに埋め込まれた流路である。流路66は、冷却液等の冷媒を供給する冷媒供給源に接続されており、検査装置10のコントローラ17d(図1及び図3参照)によって冷媒の流量の調節が行われる。プローブカード15Cが載置されたミドルプレート15Dを流路66の冷媒で冷却することにより、ウエハWに形成された電子デバイスの電気特性の検査を行う前に、カードバッファ60で予めプローブカード15Cを所望の温度に冷却しておくことができる。
【0052】
なお、カードバッファ60は、ヒータ64、ブロワ65、及び流路66のうちの任意の1個又は2個を含む構成であってもよく、ヒータ64、ブロワ65、及び流路66を含まない構成であってもよい。
【0053】
以上のような検査装置10は、15個のテスタ15を含むため、プローブカード15Cは、15枚存在することになる。プローブカード15Cは、筐体11に固定されたポゴフレーム15A(図2参照)に、図示しない真空吸着機構によって吸着されている。
【0054】
検査装置10は、8個のカードスロット20と、3個のカードバッファ40と、4個のカードバッファ60とを含むので、15個のプローブカードをすべて収容できる。
【0055】
例えば、検査装置10の電源をオフにする際には、事前準備として検査領域12の各段において、チャックトップ15Bの真空吸着を解除しながらアライナ19でチャックトップ15Bを予め定められた場所に退避させる。なお、チャックトップ15Bは、検査装置10の電源が再びオンにされると、アライナ19によって退避位置からポゴフレーム15Aの下に移動され、チャックトップ15Bの裏面にあるマークをアライナ19のカメラで認識して位置合わせを行ってからポゴフレーム15Aに真空吸着される。
【0056】
また、検査装置10の電源をオフにする際には、事前準備として検査領域12の各段においてチャックトップ15Bを退避させてから、アライナ19がプローブカード15Cを回収し、搬送ステージ18に渡す。搬送ステージ18は、8個のカードスロット20と、3個のカードバッファ40と、4個のカードバッファ60とのうちのいずれか1つにプローブカード15Cを順次収容する。このため、15個のプローブカード15Cをすべて8個のカードスロット20と、3個のカードバッファ40と、4個のカードバッファ60とにそれぞれ収容することができる。なお、カードスロット20と、カードバッファ40と、カードバッファ60との合計の数は、プローブカード15Cの数よりも多くてもよい。例えば、カードバッファ60を5個含み、1個を予備用に用いてもよい。
【0057】
例えば、4個のカードバッファ60を追加していない状態では、検査装置10の電源をオフする前に、収容先のないプローブカード15Cを回収することになる。プローブカード15Cの回収は、利用者が手作業で行うため、比較的長い作業時間が必要である。また、検査装置10が複数台あるような場合には、作業時間は膨大なものとなる。
【0058】
また、真空吸着を解除してから手作業に時間が掛かると、プローブカード15Cが落下するおそれがあり、プローブカード15Cの破損を招くおそれがある。
【0059】
これに対して、4個のカードバッファ60を追加した検査装置10では、すべてのプローブカード15Cの収容場所があるため、手作業でプローブカードを回収する必要はなく、検査装置10の電源を比較的短い時間でオフにすることができる。また、電源をオフにした後に再びオンにする際には、比較的短い時間で復旧することができる。
【0060】
例えば、数ヶ月に一度の頻度で電源の点検等のために検査装置10の電源をオフにする場合には、検査装置10の電源をオフにする所要時間と、オンにする所要時間とを短くでき、総合的に見ると、検査を効率的に行うことができる。
【0061】
したがって、効率的に検査を行うことができる検査装置10を提供することができる。
【0062】
また、カードスロット20とカードバッファ60とは、ポート17aを挟んで上下に配置されているため、ポート17aとカードスロット20又はカードバッファ60との間でウエハWを搬送する際に、搬送ステージ18が主に上下方向に移動することになるので、搬送時間を短くできる。
【0063】
このため、高スループットでの検査が可能な検査装置10を提供できる。
【0064】
また、カードスロット20は、2個ずつ重ねて配置されており、カードバッファ60は、2個ずつ重ねて配置されている。このように、カードスロット20とカードバッファ60をそれぞれ重ねて配置することにより、フットプリントの小さい検査装置10を提供できる。
【0065】
また、カードバッファ60は、ヒータ64を有するので、電源を再びオンにしてプローブカードを収容場所からテスタ15の下に搬送する前に、ヒータ64でプローブカードの温度を予め所望の温度に加熱しておけば、ウエハWに形成された電子デバイスの電気特性の検査を素早く開始できる。このため、高スループットでの検査が可能な検査装置10を提供できる。
【0066】
また、カードバッファ60は、ドライエアを噴射するブロワ65を有するので、塵埃等によるプローブの接触不良と、結露の発生とを抑制でき、高スループットでの検査が可能になる。
【0067】
また、カードバッファ60は、冷媒が通流可能な流路66を有するので、電源を再びオンにしてプローブカードを収容場所からテスタ15の下に搬送する前に、流路66の冷媒でプローブカードの温度を予め所望の温度に冷却しておけば、ウエハWに形成された電子デバイスの電気特性の検査を素早く開始できる。このため、高スループットでの検査が可能な検査装置10を提供できる。
【0068】
また、検査領域12では、X方向に沿って複数のテスタ15が配置され、検査領域12、搬送領域13、及びロードポート領域14は、Y方向に沿って配置されるため、搬送領域13の両側に検査領域12とロードポート領域14が位置し、効率的に検査を行うことができる。
【0069】
以上、本開示に係る載置台及び検査装置の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0070】
10 検査装置
12 検査領域
13 搬送領域
14 ロードポート領域
15 テスタ
15A ポゴフレーム
15B チャックトップ
18 搬送ステージ
19 アライナ
20 カードスロット
60 カードバッファ
64 ヒータ
65 ブロワ
66 流路
図1
図2
図3
図4
図5