IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特許7391126加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体
<>
  • 特許-加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体 図1
  • 特許-加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体 図2
  • 特許-加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体 図3
  • 特許-加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体 図4
  • 特許-加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体 図5
  • 特許-加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B24B 51/00 20060101AFI20231127BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20231127BHJP
   B24B 7/00 20060101ALI20231127BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231127BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B24B51/00
B24B49/10
B24B7/00 A
H01L21/304 622R
H01L21/304 622Q
H01L21/304 631
H01L21/68 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022038893
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2020530081の分割
【原出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2022075811
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2018129803
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】金子 知広
(72)【発明者】
【氏名】松本 武志
(72)【発明者】
【氏名】福永 信貴
(72)【発明者】
【氏名】鎗光 正和
(72)【発明者】
【氏名】龍 秀二郎
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-218472(JP,A)
【文献】特開2004-319961(JP,A)
【文献】国際公開第2020/012951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 51/00
B24B 49/10
B24B 7/00
H01L 21/304
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を加工する加工装置であって、
基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持された基板の加工面を研削する研削部と、
前記保持部に対して基板を搬送する搬送部と、
前記保持部に保持された基板を検出する検出部と、
前記保持部、前記研削部、前記搬送部及び検出部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記加工装置が停止した際の、前記保持部における基板の有無を記憶することと、
前記加工装置が稼働中に停止しさらに当該加工装置を再起動させた後、前記保持部の初期化、前記研削部の初期化及び前記搬送部の初期化を行うことと、
前記保持部における基板を検出することと、
前記制御部に記憶された基板の有無と、前記再起動後に検出された基板の有無と、に基づいて、前記保持部における基板の有無を確認することと、を実行し、
さらに前記制御部は、前記保持部、前記研削部及び前記搬送部の初期化において、前記搬送部の初期化、前記研削部の初期化及び保持部の初期化をこの順で行うように、前記搬送部、前記研削部及び前記保持部を制御する、加工装置。
【請求項2】
前記保持部に保持された基板を洗浄する洗浄部を有し、
前記制御部は、前記搬送部の初期化の後、前記洗浄部の初期化を行うように、前記搬送部と前記洗浄部を制御する、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記制御部に記憶された基板の有無において基板が有りと記憶され、前記再起動後に検出された基板の有無において基板が有りと検出された場合、前記保持部において基板が保持されていると判断することと、
前記保持部に保持された基板に対して、前記再起動後の前記研削部による研削又は回収を行うことと、を実行するように、前記保持部、前記研削部、前記搬送部及び検出部を制御する、請求項1又は2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記制御部に記憶された基板の有無において基板が無しと記憶され、前記再起動後に検出された基板の有無において基板が無しと検出された場合、前記保持部において基板が保持されていないと判断する、請求項1又は2に記載の加工装置。
【請求項5】
加工装置を用いた基板の加工方法であって、
前記加工装置は、
基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持された基板の加工面を研削する研削部と、
前記保持部に対して基板を搬送する搬送部と、
前記加工装置は、前記保持部に保持された基板を検出する検出部と
前記保持部、前記研削部、前記搬送部及び検出部を制御する制御部と、を有し、
前記加工方法は、
前記制御部が、前記加工装置が停止した際の、前記保持部における基板の有無を記憶することと、
前記制御部が、前記加工装置が稼働中に停止しさらに当該加工装置を再起動させた後、前記保持部の初期化、前記研削部の初期化及び前記搬送部の初期化を行うことと、
前記制御部が、前記保持部における基板を検出することと、
前記制御部が、前記記憶された基板の有無と、前記再起動後に検出された基板の有無と、に基づいて、前記保持部における基板の有無を確認することと、を有し、
前記保持部、前記研削部及び前記搬送部の初期化において、前記搬送部の初期化、前記研削部の初期化及び保持部の初期化をこの順で行う、加工方法。
【請求項6】
前記加工装置は、前記保持部に保持された基板を洗浄する洗浄部を有し、
前記制御部が、前記搬送部の初期化の後、前記洗浄部の初期化を行うように、前記搬送部と前記洗浄部を制御する、請求項に記載の加工方法。
【請求項7】
前記制御部が、前記記憶された基板の有無において基板が有りと記憶され、前記再起動後に検出された基板の有無において基板が有りと検出された場合、前記保持部において基板が保持されていると判断することと、
前記制御部が、前記保持部に保持された基板に対して、前記再起動後の前記研削部による研削又は回収を行うように、前記保持部、前記研削部、前記搬送部及び検出部を制御することと、を有する、請求項5又は6に記載の加工方法。
【請求項8】
前記制御部が、前記記憶された基板の有無において基板が無しと記憶され、前記再起動後に検出された基板の有無において基板が無しと検出された場合、前記保持部において基板が保持されていないと判断する、請求項5又は6に記載の加工方法。
【請求項9】
請求項のいずれか一項に記載の加工方法を加工装置によって実行させるように、当該加工装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工装置、加工方法及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェハの裏面を研削する研削装置の運転方法が開示されている。研削装置は、ウェハの中心合わせを実施する位置合わせ手段と、ウェハを吸引保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持されたウェハを研削する研削手段と、ウェハを洗浄する洗浄手段と、を有する。研削装置では、制御手段が自動研削プログラムを実行することにより、位置合わせ手段、チャックテーブル、洗浄手段の順にウェハを移動させて、当該ウェハに各処理が行われる。また、自動研削プログラム実行中に制御手段が自動研削プログラムを中止する信号を受信すると、ウェハに研削加工が実施されているか否かを判断する。そして、研削加工が実施されていると判断した場合には、当該ウェハを自動研削プログラムと同じ経路で移動させてカセットに収容する。一方、研削加工が実施されていないと判断した場合には、当該ウェハを自動研削プログラムと逆の経路で移動させてカセットに収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-218472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板の加工装置が稼働中に停止しさらに再起動した後、当該加工装置の停止前の基板に適切な処理を行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を加工する加工装置であって、基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された基板の加工面を研削する研削部と、前記保持部に対して基板を搬送する搬送部と、前記保持部に保持された基板を検出する検出部と、前記保持部、前記研削部、前記搬送部及び検出部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記加工装置が停止した際の、前記保持部における基板の有無を記憶することと、前記加工装置が稼働中に停止しさらに当該加工装置を再起動させた後、前記保持部の初期化、前記研削部の初期化及び前記搬送部の初期化を行うことと、前記保持部における基板を検出することと、前記制御部に記憶された基板の有無と、前記再起動後に検出された基板の有無と、に基づいて、前記保持部における基板の有無を確認することと、を実行し、さらに前記制御部は、前記保持部、前記研削部及び前記搬送部の初期化において、前記搬送部の初期化、前記研削部の初期化及び保持部の初期化をこの順で行うように、前記搬送部、前記研削部及び前記保持部を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の加工装置が稼働中に停止しさらに再起動した後、当該加工装置の停止前の基板に適切な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる加工装置の構成の概略を模式的に示す平面図である。
図2】検査ユニットの構成の概略を示す側面図である。
図3】加工処理の主な工程を示すフローチャートである。
図4】加工処理の運転準備の主な工程を示すフローチャートである。
図5】加工装置の各ユニットの初期化するタイミングを示す説明図である。
図6】ウェハの再起動後研削のフローを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成された半導体ウェハ(以下、ウェハという)に対し、当該ウェハの裏面を研削加工して、ウェハを薄化することが行われている。
【0009】
ウェハの裏面の研削加工は、例えば特許文献1に開示された研削装置で行われる。この研削装置では、上述したように制御手段が自動研削プログラムを中止する信号を受信すると、ウェハに研削加工が実施されているか否かを判断し、判断結果に応じて、ウェハのカセットへ搬送経路を決定している。
【0010】
特許文献1に開示の研削装置ではこのように、研削中止の指令が出された場合に効率よくウェハを回収することは考慮されている。しかしながら、その後、研削装置を再起動させてから通常運転が行われるまでに、当該研削装置の停止後に残っているウェハを適切に行うことまでは考慮されていない。
【0011】
そこで、本開示にかかる技術は、加工装置が停止しさらに再起動した後、当該加工装置の運転準備を適切に行う。以下、本実施形態にかかる加工装置及び加工方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
先ず、本実施形態にかかる加工装置の構成について説明する。図1は、加工装置1の構成の概略を模式的に示す平面図である。
【0013】
本実施形態の加工装置1では、基板としてのウェハWを薄化する。ウェハWは、例えばシリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体ウェハである。ウェハWの表面(以下、非加工面Wnという)にはデバイス(図示せず)が形成されており、さらに当該非加工面Wnにはデバイスを保護するための保護材、例えば保護テープ(図示せず)が貼り付けられている。そして、ウェハWの裏面(以下、加工面Wgという)に対して研削などの所定の加工処理が行われ、当該ウェハWが薄化される。
【0014】
図1に示すように加工装置1は、例えば外部との間で複数のウェハWを収容可能なカセットCが搬入出される搬入出ステーション2と、ウェハWに対して所定の処理を施す処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2と処理ステーション3は、Y軸方向に並べて配置されている。
【0015】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセットCをX軸方向に一列に載置自在になっている。
【0016】
また、搬入出ステーション2には、例えばカセット載置台10のY軸正方向に隣接してウェハ搬送領域20が設けられている。ウェハ搬送領域20には、X軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、ウェハWを保持する、搬送フォーク23と搬送パッド24を有している。搬送フォーク23は、その先端が2本に分岐し、ウェハWを吸着保持する。搬送フォーク23は、例えば研削処理前のウェハWを搬送する。搬送パッド24は、平面視においてウェハWの径より長い径を備えた円形状を有し、ウェハWを吸着保持する。搬送パッド24は、例えば研削処理後のウェハWを搬送する。そして、これら搬送フォーク23と搬送パッド24はそれぞれ、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。
【0017】
処理ステーション3では、ウェハWに対して研削や洗浄などの加工処理が連続して行われる。処理ステーション3は、回転テーブル30、搬送部としての搬送ユニット40、アライメントユニット50、第1の洗浄ユニット60、第2の洗浄ユニット70、第3の洗浄ユニット80、研削部としての粗研削ユニット90、研削部としての中研削ユニット100、研削部としての仕上研削ユニット110、及び検査ユニット120を有している。
【0018】
回転テーブル30は、回転機構(図示せず)によって回転自在に構成されている。回転テーブル30上には、ウェハWを吸着保持する保持部としてのチャック31が4つ設けられている。チャック31は、回転テーブル30と同一円周上に均等、すなわち90度毎に配置されている。4つのチャック31は、回転テーブル30が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1~A3に移動可能になっている。なお、チャック31には例えばポーラスチャック(真空チャック)が用いられ、図2に示すように吸引管32を介して、ウェハWを真空引きする吸引源33が接続されている。また、チャック31はチャックベース(図示せず)に保持され、回転機構(図示せず)によって回転可能に構成されている。
【0019】
図1に示すように本実施形態では、受渡位置A0は回転テーブル30のX軸正方向側且つY軸負方向側の位置であり、第3の洗浄ユニット80が配置される。受渡位置A0のY軸負方向側には、第2の洗浄ユニット70、アライメントユニット50及び第1の洗浄ユニット60が並べて配置される。アライメントユニット50と第1の洗浄ユニット60は上方からこの順で積層されて配置される。第1の加工位置A1は回転テーブル30のX軸正方向側且つY軸正方向側の位置であり、粗研削ユニット90が配置される。第2の加工位置A2は回転テーブル30のX軸負方向側且つY軸正方向側の位置であり、中研削ユニット100が配置される。第3の加工位置A3は回転テーブル30のX軸負方向側且つY軸負方向側の位置であり、仕上研削ユニット110が配置される。
【0020】
搬送ユニット40は、複数、例えば3つのアーム41を備えた多関節型のロボットである。3つのアーム41は、それぞれが旋回自在に構成されている。先端のアーム41には、ウェハWを吸着保持する搬送パッド42が取り付けられている。また、基端のアーム41は、アーム41を鉛直方向に昇降させる昇降機構43に取り付けられている。そして、かかる構成を備えた搬送ユニット40は、受渡位置A0、アライメントユニット50、第1の洗浄ユニット60、及び第2の洗浄ユニット70に対して、ウェハWを搬送できる。
【0021】
アライメントユニット50では、研削処理前のウェハWの水平方向の向きを調節する。例えばスピンチャック(図示せず)に保持されたウェハWを回転させながら、検出部(図示せず)でウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節してウェハWの水平方向の向きを調節する。
【0022】
第1の洗浄ユニット60では、研削処理後のウェハWの加工面Wgを洗浄し、より具体的にはスピン洗浄する。
【0023】
第2の洗浄ユニット70では、研削処理後のウェハWが搬送パッド42に保持された状態のウェハWの非加工面Wnを洗浄するとともに、搬送パッド42を洗浄する。
【0024】
第3の洗浄ユニット80では、研削処理後のウェハWの加工面Wgを洗浄するとともに、チャック31を洗浄する。
【0025】
粗研削ユニット90では、ウェハWの加工面Wgを粗研削する。粗研削ユニット90は、環状形状で回転自在な粗研削砥石(図示せず)を備えた粗研削部91を有している。また、粗研削部91は、支柱92に沿って鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。そして、チャック31に保持されたウェハWの加工面Wgを粗研削砥石に当接させた状態で、チャック31と粗研削砥石をそれぞれ回転させ、さらに粗研削砥石を下降させることによって、ウェハWの加工面Wgを粗研削する。
【0026】
中研削ユニット100では、ウェハWの加工面Wgを中研削する。中研削ユニット100は、環状形状で回転自在な中研削砥石(図示せず)を備えた中研削部101を有している。また、中研削部101は、支柱102に沿って鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。なお、中研削砥石の砥粒の粒度は、粗研削砥石の砥粒の粒度より小さい。そして、チャック31に保持されたウェハWの加工面Wgを中研削砥石に当接させた状態で、チャック31と中研削砥石をそれぞれ回転させ、さらに中研削砥石を下降させることによって、加工面Wgを中研削する。
【0027】
仕上研削ユニット110では、ウェハWの加工面Wgを仕上研削する。仕上研削ユニット110は、環状形状で回転自在な仕上研削砥石(図示せず)を備えた仕上研削部111を有している。また、仕上研削部111は、支柱112に沿って鉛直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。なお、仕上研削砥石の砥粒の粒度は、中研削砥石の砥粒の粒度より小さい。そして、チャック31に保持されたウェハWの加工面Wgを仕上研削砥石に当接させた状態で、チャック31と仕上研削砥石をそれぞれ回転させ、さらに仕上研削砥石を下降させることによって、加工面Wgを仕上研削する。
【0028】
検査ユニット120は、受渡位置A0及び加工位置A1~A3のそれぞれに設けられる。また、図2に示すように検査ユニット120は、検出部としての圧力センサ121を有している。圧力センサ121は吸引管32に設けられ、吸引源33による吸引圧力を測定する。そして、検査ユニット120では、圧力センサ121で測定される吸引圧力により、ウェハWの有無を検出することができる。
【0029】
また、検査ユニット120は、ウェハWの加工面Wgの高さを計測する第1のハイトゲージ122と、チャック31の表面31aの高さを計測する第2のハイトゲージ123とを有している。第1のハイトゲージ122はセンサ124を備え、センサ124の先端がウェハWの加工面Wgに当接することで、当該加工面Wgの高さ位置を計測する。第2のハイトゲージ123はセンサ125を備え、センサ125の先端がチャック31の表面31aに当接することで、当該表面31aの高さ位置を計測する。そして、検査ユニット120では、ウェハWの厚みを測定できる。なお、検査ユニット120の構成は、本実施形態に限定されず、ウェハWを検出するものであれば任意の構成を取り得る。例えば検査ユニットは、非接触式のセンサを用いてウェハWを検出してもよい。
【0030】
図1に示すように加工装置1には、制御部130が設けられている。制御部130は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、加工装置1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理ユニットや搬送装置などの駆動系の動作を制御して、加工装置1における後述の加工処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部130にインストールされたものであってもよい。
【0031】
次に、以上のように構成された加工装置1を用いて行われる加工処理について説明する。
【0032】
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。カセットCには、保護テープが変形するのを抑制するため、ウェハWの非加工面Wnが上側を向くようにウェハWが収納されている。
【0033】
次に、ウェハ搬送装置22の搬送フォーク23によりカセットC内のウェハWが取り出され、処理ステーション3に搬送される。この際、搬送フォーク23によりウェハWの加工面Wgが上側に向くように、表裏面が反転される。
【0034】
処理ステーション3に搬送されたウェハWは、アライメントユニット50に受け渡される。そして、アライメントユニット50において、ウェハWの水平方向の向きが調節される(図3のステップS1)。
【0035】
次に、ウェハWは搬送ユニット40により、アライメントユニット50から受渡位置A0に搬送され、当該受渡位置A0のチャック31に受け渡される。その後、チャック31を第1の加工位置A1に移動させる。そして、粗研削ユニット90によって、ウェハWの加工面Wgが粗研削される(図3のステップS2)。
【0036】
次に、チャック31を第2の加工位置A2に移動させる。そして、中研削ユニット100によって、ウェハWの加工面Wgが中研削される(図3のステップS3)。
【0037】
次に、チャック31を第3の加工位置A3に移動させる。そして、仕上研削ユニット110によって、ウェハWの加工面Wgが仕上研削される(図3のステップS4)。
【0038】
次に、チャック31を受渡位置A0に移動させる。ここでは、第3の洗浄ユニット80によって、ウェハWの加工面Wgが洗浄液によって粗洗浄される(図3のステップS5)。この工程では、加工面Wgの汚れをある程度まで落とす洗浄が行われる。
【0039】
次に、ウェハWは搬送ユニット40により、受渡位置A0から第2の洗浄ユニット70に搬送される。そして、第2の洗浄ユニット70では、ウェハWが搬送パッド42に保持された状態で、ウェハWの非加工面Wnが洗浄し、乾燥される(図3のステップS6)。
【0040】
次に、ウェハWは搬送ユニット40によって、第2の洗浄ユニット70から第1の洗浄ユニット60に搬送される。そして、第1の洗浄ユニット60では、ウェハWの加工面Wgが洗浄液によって仕上洗浄される(図3のステップS7)。この工程では、加工面Wgが所望の清浄度まで洗浄し乾燥される。
【0041】
その後、すべての処理が施されたウェハWは、ウェハ搬送装置22の搬送パッド24によってカセット載置台10のカセットCに搬送される。こうして、加工装置1における一連の加工処理が終了する。
【0042】
次に、稼働中の加工装置1の停止後、さらに加工装置1を再起動させた後、通常運転が行われるまでの、当該加工装置1の運転準備方法について説明する。
【0043】
先ず、上述したように加工装置1でウェハWの加工処理を行うと、その加工処理中に、例えば加工装置1の一のユニットに異常が生じる場合がある。かかる場合、加工装置1を停止してシャットダウンする(図4のステップT1)。
【0044】
このステップT1では、加工装置1の内部にウェハWが残存する場合がある。そこで制御部130では、加工装置1がシャットダウンした際のウェハWの状態、例えばウェハWの位置や処理進行状態を記憶する。例えば回転テーブル30では、受渡位置A0、加工位置A1~A3の各位置のチャック31に、ウェハWが保持されているか否かが検出され、制御部130に記憶される。また、加工位置A1~A3のチャック31にウェハWが保持されている場合、当該ウェハWに対して行われていた研削レシピも併せて、制御部130に記憶される。この研削レシピは、加工装置1のシャットダウン時のものであるが、換言すれば、シャットダウン以前に用いられていたものである。さらに、ウェハWが他のユニット、例えばアライメントユニット50にある場合も、そのウェハWの位置と処理進行状態が、制御部130に記憶される。なお、以下においては、説明の都合上、回転テーブル30のチャック31にあるウェハWをウェハWaといい、アライメントユニット50にあるウェハWをウェハWbという場合がある。
【0045】
次に、加工装置1を再起動する(図4のステップT2)。
【0046】
次に、加工装置1において各ユニットを初期化する(図4のステップT3)。図5に示すように加工装置1では、各ユニットの機能に応じて順次、初期化を行う。初期化は、各ユニットを原点復帰させることであり、当該ユニットを動作可能な状態にすることをいう。なお、図5の横軸は時間であり、各ユニットの矢印は、その基端(左端)が初期化の開始タイミングを示し、先端(右端)が初期化の終了タイミングを示している。
【0047】
搬入出ステーション2の初期化について説明する。この搬入出ステーション2では先ず、ウェハ搬送装置22の初期化を開始する。具体的には、搬送フォーク23と搬送パッド24の水平方向軸を初期化する。例えば搬送フォーク23がカセットCやアライメントユニット50に進入した状態で、加工装置1がシャットダウンした場合、搬送フォーク23をカセットCやアライメントユニット50から退出させ、元の位置に戻して初期化する。
【0048】
ウェハ搬送装置22の初期化において、搬送フォーク23と搬送パッド24がカセットCから退避すると、次にカセット載置台10の初期化を開始する。具体的には、例えばカセットCに設けられたシャッタ(図示せず)を元の位置に戻すなど、カセット載置台10を元の状態に戻す。
【0049】
次に、処理ステーション3の初期化について説明する。この処理ステーション3では先ず、上述したウェハ搬送装置22の初期化の開始と共に、搬送ユニット40の初期化を開始する。具体的には、搬送パッド42の水平方向軸を初期化する。例えば搬送パッド42がアクセス可能なユニット(例えばアライメントユニット50)に進入した状態で、加工装置1がシャットダウンした場合、搬送パッド42をアライメントユニット50から退出させ、元の位置に戻して初期化する。
【0050】
搬送ユニット40の初期化において、搬送パッド42が各ユニットから退避すると、次に第3の洗浄ユニット80及び研削ユニット90、100、110の初期化を開始する。すなわち、回転テーブル30の上方に設けられた各ユニットの初期化を行う。具体的には、第3の洗浄ユニット80を洗浄位置から鉛直上方に退避させ、さらに第3の洗浄ユニット80自体を初期化する。また、研削部91、101、111のそれぞれを研削位置から鉛直上方に退避させ、さらに研削ユニット90、100、110自体を初期化する。
【0051】
第3の洗浄ユニット80及び研削部91、101、111のすべてが退避すると、次に4つのチャック31の初期化を行う。さらに、4つのチャック31の初期化が終了すると、回転テーブル30の初期化を行う。
【0052】
また、上述した搬送ユニット40の初期化において、搬送パッド42が各ユニットから退避すると、第3の洗浄ユニット80及び研削ユニット90、100、110の初期化に並行して、アライメントユニット50及び洗浄ユニット70、80の初期化を開始する。なお、アライメントユニット50と第1の洗浄ユニット60には、ウェハ搬送装置22と搬送ユニット40がアクセスするため、搬送フォーク23、搬送パッド24及び搬送パッド42のすべてが退避している必要がある。
【0053】
以上の加工装置1の各ユニットの初期化と並行して、回転テーブル30のチャック31におけるウェハWaを検出する(図4のステップT4)。なお、このステップT4のウェハWaの検出は、ステップT2の再起動後であればよく、本実施形態のようにステップT3の加工装置1の初期化と並行して行ってもよいし、あるいは当該初期化の途中又は初期化終了後に行ってもよい。
【0054】
ステップT4では、受渡位置A0及び加工位置A1~A3において、検査ユニット120(圧力センサ121)を用いてチャック31におけるウェハWaを検出する。そして、この検査ユニット120で検出したウェハWaと、ステップT1の加工装置1のシャットダウン時に制御部130に記憶されたウェハWaの状態とに基づいて、チャック31におけるウェハWaの有無を確認する。
【0055】
例えば一のチャック31に対して、制御部130ではウェハWaが「有り」と記憶され、検査ユニット120でもウェハWaが「有り」と検出される場合、チャック31にウェハWaが保持されていると判断する。そして、当該ウェハWaに対して、後述する再起動後研削又は回収がされる。なお、本実施形態において再起動後研削とは、シャットダウン前の加工装置1に残っているウェハWaに対して、再起動後に研削を行うことをいう。例えば再起動後研削には、研削途中にシャットダウンしたウェハWaを再研削する場合や、研削前又は研削後にシャットダウンしたウェハWaを研削する場合が含まれる。
【0056】
制御部130ではウェハWaが「有り」と記憶されているが、検査ユニット120によりウェハWaが「無し」と検出される場合、実際にチャック31にウェハWaが保持されているかどうかを確認する。例えばすでにオペレータがウェハWaを回収している場合など、チャック31にウェハWaが無い場合、ウェハWaはないものとして、その後の処理を行わない。一方、何らかの要因でチャック31にウェハWaが残っている場合、研削部91、101、111を鉛直方向に退避させた後、オペレータがウェハWaを回収する。
【0057】
制御部130ではウェハWaが「無し」と記憶されているが、検査ユニット120によりウェハWaが「有り」と検出される場合、オペレータがウェハWaを回収する。後述するようにウェハWaの再起動後研削は、加工装置1のシャットダウン前に当該ウェハWaに行われていた研削レシピに基づいて行われるが、上記の場合、制御部130にこの研削レシピが記憶されていない。この状態で加工装置1の再起動後にウェハWaに再起動後研削を行うと、当該ウェハWaが適切に研削されない場合がある。かかる場合、加工装置1にダメージを与えるおそれもあるため、ここではオペレータがウェハWaを回収する。
【0058】
制御部130ではウェハWaが「無い」と記憶され、検査ユニット120でもウェハWaが「無し」と検出される場合、チャック31にウェハWaが保持されていないと判断する。かかる場合、ステップT3の初期化が終了すれば、当該チャック31は使用可能になる。
【0059】
以上のようにステップT4では、制御部130と検査ユニット120の両方を用いてウェハWaの有無を検出しているので、検出精度を向上させることができ、その後の処理を適切に行うことができる。
【0060】
次に、ステップT4においてチャック31にウェハWaが保持されていると判断されると、当該ウェハWaに対して再起動後研削を行うか、あるいは再起動後研削をせずに回収するかを指定する(図4のステップT5)。このウェハWaに対する再起動後研削の要否は、制御部130が自動で指定してもよいし、オペレータがマニュアルで指定してもよい。
【0061】
そして、ステップT5において、ウェハWaの再起動後研削が不要と指定された場合、当該ウェハWaは、カセットCに搬送されて回収される。このようにウェハWaの再起動後研削を行わずにカセットCに回収する場合、ウェハWaの状態によってはその厚みがばらつく場合がある。そこで、ウェハWaの搬送を安定させるため、チャック31に保持されたウェハWaの厚み(高さ)を、検査ユニット120(ハイトゲージ122、123)によって測定しておくのが好ましい。あるいは、当該ウェハWaは、オペレータが回収してもよい。
【0062】
次に、ステップT5においてウェハWaの再起動後研削が必要と指定されると、加工装置1のウォームアップ(本開示における第1の準備処理)を行うか否かを指定する(図4のステップT6)。ウォームアップは、再起動後研削が行われる加工位置A1~A3毎に行われる。以下においては、このウォームアップを「単独ウォームアップ」という場合がある。なお、単独ウォームアップの要否は、制御部130が自動で指定してもよいし、オペレータがマニュアルで指定してもよい。そして、ステップT6において単独ウォームアップが不要と指定された場合、単独ウォームアップがスキップされ、後述するステップT8の再起動後研削が行われる。
【0063】
次に、ステップT6において単独ウォームアップが必要と指定されると、当該単独ウォームアップが行われる(図4のステップT7)。単独ウォームアップは、例えばチャック31上に向けてと研削部91、101、111に水を流しながら回転させて、当該チャック31と研削部91、101、111の温度を安定させる。また、単独ウォームアップは、例えば水の流量や回転数を規定したウォームアップレシピに従って行われる。そして、このように単独ウォームアップを行うことで、チャック31や研削部91、101、111の温度を一定にして、後述するステップT8における再起動後研削を安定して行うことができる。
【0064】
次に、ウェハWaの加工面Wgの再起動後研削が行われる(図4のステップT8)。この再起動後研削は、ウェハWaの位置と状態によって、そのフローが異なる。ウェハWaの位置は、ウェハWaが存在する位置であり、受渡位置A0、加工位置A1~A3のいずれかである。ウェハWaの状態は、加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの最終的な処理進行状態を指す。以下、図6に示すようにパターン1~7に場合分けして説明する。
【0065】
パターン1は、ウェハWaの位置が受渡位置A0であって、ウェハWaの状態が未研削の場合である。パターン1では、第1の加工位置A1における粗研削(ステップS2)、第2の加工位置A2における中研削(ステップS3)、第3の加工位置A3における仕上研削(ステップS4)、受渡位置A0における加工面粗洗浄(ステップS5)を順次行う。
【0066】
パターン2は、ウェハWaの位置が第1の加工位置A1であって、ウェハWaの状態が粗研削の途中の状態の場合である。また、パターン2には、ウェハWaが第1の加工位置A1において未研削の場合も含まれる。パターン2では、先ず第1の加工位置A1において、粗研削の続きの研削処理が行われる。この際、上述したステップT1において加工装置1がシャットダウンした際に制御部130に記憶された、研削レシピにおけるウェハWaの処理進行状態と研削レシピに基づいて、ウェハWaの加工面Wgを研削する。例えば研削レシピにはウェハWaの粗研削の目標高さが決められており、ウェハWaの加工面Wgはこの目標高さまで研削され、粗研削が終了する(ステップS2)。続いて、第2の加工位置A2における中研削(ステップS3)、第3の加工位置A3における仕上研削(ステップS4)、受渡位置A0における加工面粗洗浄(ステップS5)を順次行う。その後、ウェハWaを第1の加工位置A1、すなわち加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの位置に戻す。
【0067】
なお、パターン2において、受渡位置A0における加工面洗浄が終了した後、そのままウェハWaをカセットCに回収することも考えられる。但し、粗研削を一旦途中で止めて、再起動後研削を行ったウェハWaは、通常の研削処理が行われたものではなく、品質が保証できない。そこで、加工装置1のシャットダウン時の位置(第1の加工位置A1)にウェハWaを戻してから、カセットCに回収するのが好ましい。また、基本的には加工装置1に搬入した順番にウェハWaを搬送するのが好ましく、かかる観点からも、ウェハWaを第1の加工位置A1に戻すのが好ましい。
【0068】
パターン3は、ウェハWaの位置が第1の加工位置A1であって、ウェハWaの状態が粗研削が終了した状態の場合である。パターン3では、ウェハWaを第2の加工位置A2に移動させ、中研削(ステップS3)を行う。続いて、第3の加工位置A3における仕上研削(ステップS4)、受渡位置A0における加工面粗洗浄(ステップS5)を順次行う。その後、ウェハWaを第1の加工位置A1、すなわち加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの位置に戻す。
【0069】
パターン4は、ウェハWaの位置が第2の加工位置A2であって、ウェハWaの状態が中研削の途中の状態の場合である。また、パターン4には、ウェハWaが第2の加工位置A2において未研削の場合も含まれる。パターン4では、先ず第2の加工位置A2において、中研削の続きの研削処理が行われる。この際、ステップT1において加工装置1がシャットダウンした際に制御部130に記憶された、研削レシピにおけるウェハWaの処理進行状態と研削レシピに基づいて、ウェハWaの加工面Wgを研削し、中研削が終了する(ステップS3)。続いて、第3の加工位置A3における仕上研削(ステップS4)、受渡位置A0における加工面粗洗浄(ステップS5)を順次行う。その後、ウェハWaを第2の加工位置A2、すなわち加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの位置に戻す。
【0070】
パターン5は、ウェハWaの位置が第2の加工位置A2であって、ウェハWaの状態が中研削が終了した状態の場合である。パターン5では、ウェハWaを第3の加工位置A3に移動させ、仕上研削(ステップS4)を行う。続いて、受渡位置A0における加工面粗洗浄(ステップS5)を行う。その後、ウェハWaを第2の加工位置A2、すなわち加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの位置に戻す。
【0071】
パターン6は、ウェハWaの位置が第3の加工位置A3であって、ウェハWaの状態が仕上研削の途中の状態の場合である。また、パターン6には、ウェハWaが第3の加工位置A3において未研削の場合も含まれる。パターン6では、先ず第3の加工位置A3において、仕上研削の続きの研削処理が行われる。この際、ステップT1において加工装置1がシャットダウンした際に制御部130に記憶された、研削レシピにおけるウェハWaの処理進行状態と研削レシピに基づいて、ウェハWaの加工面Wgを研削し、仕上研削が終了する(ステップS4)。続いて、受渡位置A0における加工面粗洗浄(ステップS5)を行う。その後、ウェハWaを第3の加工位置A3、すなわち加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの位置に戻す。
【0072】
パターン7は、ウェハWaの位置が第3の加工位置A3であって、ウェハWaの状態が仕上研削が終了した状態の場合である。パターン5では、ウェハWaを受渡位置A0に移動させ、加工面洗浄(ステップS5)を行う。その後、ウェハWaを第3の加工位置A3、すなわち加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの位置に戻す。
【0073】
なお、上記例においてはパターン1~7を個別に説明したが、例えば受渡位置A0、加工位置A1~A3においてウェハWaが複数ある場合、どの位置のウェハWaから再起動後研削を行うかは、制御部130が判断してもよい。具体的には、加工装置1のシャットダウン時のウェハWaの最終的な処理進行状態に基づいて、制御部130がウェハWaの再起動後研削の順番を自動で設定する。また、このようにウェハWaが複数ある場合、いずれかのパターンが並行して行われてもよい。換言すれば、ウェハWaの再起動後研削は1枚で行ってもよいし、複数の加工位置A1~A3で並行して行ってもよい。
【0074】
以上のように、ステップT8におけるウェハWaの加工面Wgの再起動後研削が終了すると、次に、再起動後研削が終了したウェハWaは、カセットCに搬送されて回収される(図4のステップT9)。この際、ウェハWaにはカセットCに搬送される前に、第2の洗浄ユニット70における非加工面洗浄(ステップS6)と第1の洗浄ユニット60における加工面仕上洗浄(ステップS7)が順次行われる。なお、ステップT9では、ウェハWaを回収し、チャック31に保持されるウェハWaがなくなると、後述するステップT11のウェハWbの再起動後研削を行うため、通常のウォームアップ(本開示における第2の準備処理)を行ってもよい。このウォームアップでは、上述した単独ウォームアップに加えて、チャック31から水やガスを流したり、チャック31の高さも調整する。また、加工装置1に研削加工後の後続処理を行う装置(例えばマウンタ等)が連結されている場合、ウェハWaを当該後続処理を行う装置に移動させてもよい。
【0075】
一方、ステップT1においてアライメントユニット50にウェハWbがあると制御部130に記憶された場合、当該ウェハWbに対して再起動後研削を行うか、あるいは再起動後研削をせずに回収するかを指定する(図4のステップT10)。このウェハWbに対する再起動後研削の要否は、制御部130が自動で指定してもよいし、オペレータがマニュアルで指定してもよい。そして、ステップT10において、ウェハWbの再起動後研削が不要と指定された場合、当該ウェハWbは、カセットCに搬送されて回収される。あるいは、当該ウェハWbは、オペレータが回収してもよい。なお、ステップT10はステップT9の前に行われてもよい。
【0076】
次に、ステップT10において再起動後研削が指定されたウェハWbに対して、再起動後研削が行われる(図4のステップT11)。具体的には、先ず、アライメントユニット50において、ウェハWbの水平方向の向きを再調節する(ステップS1)。続いて、ウェハWbに対して、第1の加工位置A1における粗研削(ステップS2)、第2の加工位置A2における中研削(ステップS3)、第3の加工位置A3における仕上研削(ステップS4)、受渡位置A0における加工面粗洗浄(ステップS5)を順次行う。なお、このステップT11におけるウェハWbの再起動後研削は、ステップT9におけるウェハWaの回収と並行して行ってもよい。
【0077】
次に、ステップT11で再起動後研削が終了したウェハWbは、カセットCに搬送されて回収される(図4のステップT12)。この際、ウェハWbにはカセットCに搬送される前に、第2の洗浄ユニット70における非加工面洗浄(ステップS6)と第1の洗浄ユニット60における加工面仕上洗浄(ステップS7)が順次行われる。
【0078】
次に、加工装置1内のすべてのウェハWを回収すると、加工装置1の通常のウォームアップ(本開示における第2の準備処理)を行うか否かを指定する(図4のステップT13)。このウォームアップの要否は、制御部130が自動で指定してもよいし、オペレータがマニュアルで指定してもよい。そして、ステップT13においてウォームアップが不要と指定された場合、ウォームアップがスキップされ、加工装置1の通常運転を行うための準備が完了する。
【0079】
次に、ステップT13においてウォームアップが必要と指定されると、当該ウォームアップが行われる(図4のステップT14)。このウォームアップでは、ステップT7の単独ウォームアップと同様に、チャック31と研削部91、101、111に水を流しながら回転させて、当該チャック31と研削部91、101、111の温度を安定させる。加えて、チャック31から水やガスを流したり、チャック31の高さも調整する。そしてウォームアップが終了すると、加工装置1の通常運転を行うための準備が完了する。
【0080】
以上の実施形態によれば、加工装置1を再起動した後、ステップT4で検出され、ステップT5で再起動後研削が必要と指定されたウェハWaに対し、ステップT8で再起動後研削を行う。さらに、ステップT10で再起動後研削が必要と指定されたウェハWbに対し、ステップT11で再起動後研削を行う。このため、加工装置1のシャットダウン時に内部に残存するウェハWa、Wbを無駄にすることがなく、有効利用することができる。
【0081】
また、ステップT8では、ウェハWaの位置と状態に応じて、例えばパターン1~7に分けてウェハWaの加工面Wgの再起動後研削を行う。この際、加工装置1のシャットダウン時に制御部130に記憶された、研削レシピにおけるウェハWaの処理進行状態と研削レシピに基づいて、ウェハWaの加工面Wgを研削するので、当該再起動後研削を適切に行うことができる。
【0082】
さらに、ステップT8では、ウェハWaの加工面Wgを再起動後研削した後、当該ウェハWaを加工装置1のシャットダウン時の位置に戻す。このため、加工装置1のシャットダウン前のレシピに基づいて、ウェハWaを円滑に回収することができる。
【0083】
また、ステップT7で単独ウォームアップを行うので、チャック31と研削部91、101、111の温度が安定する。その結果、ステップT8における再起動後研削を安定して行うことができる。
【0084】
また、ステップT4では、検査ユニット120で検出したウェハWaと、ステップT1の加工装置1のシャットダウン時に制御部130に記憶されたウェハWaの状態とに基づいて、チャック31におけるウェハWaを検出する。このように制御部130と検査ユニット120の両方を用いてウェハWaの有無を検出しているので、その後の処理を適切に行うことができる。具体的には、その後の処理の加工条件を適切にすることができ、またウェハWaが無いにも関わらず処理を行うといった無駄な動きをなくすことができる。
【0085】
また、ステップT2では、加工装置1において各ユニットの機能に応じて順次、初期化を行う。したがって、各ユニットの初期化を適切に行うことができる。
【0086】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 加工装置
31 チャック
40 搬送ユニット
90 粗研削ユニット
100 中研削ユニット
110 仕上研削ユニット
130 制御部
W、Wa、Wb ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6