(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】光電式エンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
G01D5/347 110C
(21)【出願番号】P 2019071201
(22)【出願日】2019-04-03
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慶顕
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-43133(JP,A)
【文献】特開2013-181964(JP,A)
【文献】特開2008-134235(JP,A)
【文献】特開2016-166879(JP,A)
【文献】特開2013-234852(JP,A)
【文献】特開2009-198318(JP,A)
【文献】特表2004-520591(JP,A)
【文献】国際公開第2008/146409(WO,A1)
【文献】特開平2-85717(JP,A)
【文献】特開2014-16228(JP,A)
【文献】特開2008-249646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射しない非反射部である基部を有し前記基部に測定方向に沿って設けられたスケールパターンを有するスケールと、前記スケールと対向して測定方向に沿って相対移動するヘッドと、前記スケールと前記ヘッドとの相対移動に基づく信号を演算する演算手段と、を備え、前記ヘッドは、前記スケールに光を照射する光源と、前記スケールパターンを介した光源からの光を撮像する撮像手段と、を備える光電式エンコーダであって、
前記光源から照射される光は、所定の波長の光である第1光と、前記第1光以外の波長の光である第2光とを有し、
前記スケールパターンは、
前記第1光の前記撮像手段への導光を阻止し前記第2光を前記撮像手段へ導光する第1目盛と、
前記第1目盛とは異なるとともに前記第1光および前記第2光を前記撮像手段へ導光する第2目盛と、を備え、
前記第2目盛は、
前記非反射部である前記基部に前記第2光を反射する目盛が絶対位置を表現するアブソリュートパターンとなるように測定方向に沿って配置され、
前記第1目盛は、前記第2目盛によるアブソリュートパターンを補間して前記第1目盛と前記第2目盛とを併せて
前記非反射部である前記基部に前記第1光を反射する目盛が一定ピッチで配置され相対位置を表現するインクリメンタルパターンとなるように測定方向に沿って配置され、
前記撮像手段は、
前記第2目盛を介した前記第1光にて構成されるアブソリュートパターンを撮像する第1撮像部と、
前記第1目盛および前記第2目盛を介した前記第2光にて構成されるインクリメンタルパターンを撮像する第2撮像部と、を備え、
前記演算手段は、
前記第1撮像部にて撮像された前記アブソリュートパターンからアブソリュート信号を生成するアブソリュート信号生成部と、
前記第2撮像部にて撮像された前記インクリメンタルパターンからインクリメンタル信号を生成するインクリメンタル信号生成部と、
前記アブソリュート信号と前記インクリメンタル信号から前記スケールに対する前記ヘッドの位置を算出する位置算出部と、を備えることを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載された光電式エンコーダにおいて、
前記第1目盛は、前記第1光を吸収することで前記撮像手段への導光を阻止し、前記第2光を前記撮像手段へ導光することを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された光電式エンコーダにおいて、
前記第1目盛は、ナノインプリンティングにより前記第1光の前記撮像手段への導光を阻止し、前記第2光を前記撮像手段へ導光する構造が成型されることを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された光電式エンコーダにおいて、
前記第2撮像部は、前記第1撮像部による撮像とタイミングをずらして撮像することを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された光電式エンコーダにおいて、
前記光源は、前記所定の波長の光を前記スケールに照射する第1光源と、前記所定の波長以外の光を前記スケールに照射する第2光源と、を備えることを特徴とする光電式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定方向に沿って設けられたスケールパターンを有するスケールと、スケールと対向して測定方向に沿って相対移動するヘッドと、スケールとヘッドとの相対移動に基づく信号を演算する演算手段と、を備える光電式エンコーダが知られている。ヘッドは、スケールに光を照射する光源と、スケールパターンを介した光源からの光を撮像する撮像手段と、を備える。
【0003】
ここで、光電式エンコーダにおけるスケールとヘッドとの相対移動量の検出方式は、インクリメンタル方式(以下、INC方式と呼ぶことがある)と、アブソリュート方式(以下、ABS方式と呼ぶことがある)と、が知られている。
INC方式は、スケールに目盛が一定のピッチで配置されたスケールパターンであるインクリメンタルパターン(以下、INCパターンと呼ぶことがある)を連続的に検出し、検出したINCパターンの目盛の数をカウントアップまたはカウントダウンすることで、相対位置を検出する方式である。
ABS方式は、スケールに目盛がランダムに配置されたスケールパターンであるアブソリュートパターン(以下、ABSパターンと呼ぶことがある)を適宜なタイミングで検出し、ABSパターンを解析することで、絶対位置を検出する方式である。
【0004】
ABS方式には、光電式エンコーダにおけるスケールの全長に亘って、例えば、2準位化された擬似ランダム符号であるM系列符号に基づいてABSパターンの目盛を配置し、撮像手段にて撮像されたABSパターンから絶対位置を検出する方法がある。この方法の場合、長大なABSパターンを設計することができるが、INCパターンと比較するとスケールパターンを構成する目盛の数が少ないため、INC方式と比較して検出精度が及ばないことがある。
【0005】
これに対し、特許文献1に記載されたエンコーダは、INC方式およびABS方式の両方の検出方式を併用することで、検出精度の向上を図っている。エンコーダは、INCパターンを含むインクリメンタルトラック(以下、INCトラックと呼ぶことがある)と、ABSパターンを含むアブソリュートトラック(以下、ABSトラックと呼ぶことがある)と、が設けられたダブルトラック形式のスケールを備える。エンコーダは、検出ヘッド(ヘッド)の光源からINCトラックおよびABSトラックに向かって光を照射し、各トラックを介した光をそれぞれ受光素子(撮像手段)で受光してINCパターンおよびABSパターンを検出し、各パターンに基づいて位置情報を算出する。
しかしながら、ダブルトラック形式を用いる場合、ヘッドの姿勢やスケールのうねりにより、INCトラックとABSトラックとの位置情報に誤差が生じ検出結果に影響を及ぼすことがある。また、そのような影響を抑制するために、INCトラックとABSトラックとの位置情報の誤差を補正しなければならないという問題がある。
【0006】
このような問題に対し、特許文献2に記載された絶対位置測定装置(光電式エンコーダ)は、増分トラック(INCトラック)と絶対トラック(ABSトラック)とを合成した単一の複合トラックを用いて位置情報を検出している。これにより、絶対位置測定装置は、ヘッドの姿勢やスケールのうねりによりINCトラックとABSトラックとの位置情報に誤差が生じることを抑制している。また、絶対位置測定装置は、INCトラックとABSトラックとを単一のトラックとして扱っているため、トラック数を減らし、小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-79915号公報
【文献】特開平5-71984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載された絶対位置測定装置のようにINCトラックとABSトラックとを複合し単一のトラックとして扱う場合、INCパターンは、目盛に抜けがある不完全なINCパターンとなることがある。これにより、従来のINCパターンを用いた場合と比較すると、検出精度が劣化するおそれがあるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、アブソリュートパターンと目盛の抜けのないインクリメンタルパターンとを複合させて単一のトラックとして構成しつつ位置情報の検出精度の向上を図ることができる光電式エンコーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光電式エンコーダは、測定方向に沿って設けられたスケールパターンを有するスケールと、スケールと対向して測定方向に沿って相対移動するヘッドと、スケールとヘッドとの相対移動に基づく信号を演算する演算手段と、を備え、ヘッドは、スケールに光を照射する光源と、スケールパターンを介した光源からの光を撮像する撮像手段と、を備える光電式エンコーダであって、光源から照射される光は、所定の波長の光である第1光と、第1光以外の波長の光である第2光とを有し、スケールパターンは、第1光の撮像手段への導光を阻止し第2光を撮像手段へ導光する第1目盛と、第1目盛とは異なるとともに第1光および第2光を撮像手段へ導光する第2目盛と、を備え、第2目盛は、絶対位置を表現するアブソリュートパターンとなるように測定方向に沿って配置され、第1目盛は、第2目盛によるアブソリュートパターンを補間して第1目盛と第2目盛とを併せて相対位置を表現するインクリメンタルパターンとなるように測定方向に沿って配置され、撮像手段は、第2目盛を介した第1光にて構成されるアブソリュートパターンを撮像する第1撮像部と、第1目盛および第2目盛を介した第2光にて構成されるインクリメンタルパターンを撮像する第2撮像部と、を備え、演算手段は、第1撮像部にて撮像されたアブソリュートパターンからアブソリュート信号を生成するアブソリュート信号生成部と、第2撮像部にて撮像されたインクリメンタルパターンからインクリメンタル信号を生成するインクリメンタル信号生成部と、アブソリュート信号とインクリメンタル信号からスケールに対するヘッドの位置を算出する位置算出部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このような本発明によれば、第1目盛は、第2光を撮像手段へ導光し、第2目盛は、第1光と第2光を撮像手段へ導光する。そして、第2目盛は、絶対位置を表現するアブソリュートパターンとなるように測定方向に沿って配置され、第1目盛は、第2目盛によるアブソリュートパターンを補間して第1目盛と第2目盛とを併せて相対位置を表現するインクリメンタルパターンとなるように測定方向に沿って配置されるため、第1光によりアブソリュートパターンが表現され、第2光によりインクリメンタルパターンが表現されることになる。
第1撮像部は、第2目盛を介した第1光にて構成されるアブソリュートパターンを撮像し、第2撮像部は、第1目盛および第2目盛を介した第2光にて構成されるインクリメンタルパターンを撮像する。そして、演算手段は、第1撮像部にて撮像されたアブソリュートパターンからアブソリュート信号を生成するアブソリュート信号生成部と、第2撮像部にて撮像されたインクリメンタルパターンからインクリメンタル信号を生成するインクリメンタル信号生成部と、を備え、位置算出部にて、アブソリュート信号とインクリメンタル信号からスケールに対するヘッドの位置を算出する。
【0012】
ここで、例えば複数の「1」と「0」からなる信号の「1」と「0」の組み合わせである擬似ランダム符号を解析することで絶対位置を算出するABS方式がある。擬似ランダム符号は、解析方法および符号の種類により、M系列符号やゴールド系列符号、バーカー系列符号などがある。
このABS方式では、例えばスケールパターンは、1つのトラックの全長に亘って、擬似ランダム符号にしたがって絶対位置を表現するように配置されている。スケールパターンから撮像手段が一度に撮像する像から得られる複数の「1」と「0」からなる信号における「1」と「0」の組み合わせは、1つのトラックの各位置でそれぞれ異なる。このため、光電式エンコーダは、複数の「1」と「0」からなる信号における「1」と「0」の組み合わせを解析することでスケールに対するヘッドの絶対位置を算出することができる。
アブソリュート信号生成部は、例えば第1光を「1」とし、第2光を「0」とし、複数の「1」と「0」からなる信号における「1」と「0」の組み合わせを解析することでアブソリュート信号を生成する。
【0013】
このため、光電式エンコーダは、第1光の撮像手段への導光を阻止し第2光を撮像手段へ導光する第1目盛と、第1光および第2光を撮像手段へ導光する第2目盛と、を備え、第1光にて構成されるアブソリュートパターンを撮像する第1撮像部と、第2光にて構成されるインクリメンタルパターンを撮像する第2撮像部とを備えることで、単一のトラックから、アブソリュート信号とインクリメンタル信号との双方を取得し、スケールに対するヘッドの位置を算出することができる。
したがって、光電式エンコーダは、アブソリュートパターンと目盛の抜けのないインクリメンタルパターンとを複合させて単一のトラックとして構成しつつ位置情報の検出精度の向上を図ることができる。
また、アブソリュートパターンとインクリメンタルパターンとをそれぞれ独立したトラックとする必要がないため、光電式エンコーダは、小型化を図るとともにコスト削減を図ることができる。
【0014】
この際、第1目盛は、第1光を吸収することで撮像手段への導光を阻止し、第2光を撮像手段へ導光することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、第1目盛は、反射や屈折等をさせずに第1光を吸収するため、確実に撮像手段へ第1光が導光されることを阻止することができる。したがって、光電式エンコーダは、検出精度の向上を図ることができる。
【0016】
この際、第1目盛は、ナノインプリンティングにより、第1光の撮像手段への導光を阻止し第2光を撮像手段へ導光する構造が成型されることが好ましい。
【0017】
ここで、所定の微細パターンを介すことで微細パターンに吸収される性質を有する波長の光がある。また、ナノインプリンティング、もしくは、ナノインプリントとは、半導体において、微細パターンが施された原版を基板に押し当てることで微細パターンを転写加工する技術である。
本発明における構成によれば、第1目盛は、ナノインプリンティングにより、所定の微細パターンを介すことで微細パターンに吸収される性質を有する波長の光である第1光の撮像手段への導光を阻止し第2光を撮像手段へ導光する構造である微細パターンが成型される。このため、容易に第1光が撮像手段へ導光されることを阻止することができる第1目盛を成型することができる。
また、ナノインプリンティングを用いて微細パターンを第1目盛に成型するため、露光装置などを使わずに微細パターンを転写して成型することができる。したがって、コスト削減を図ることができる。
【0018】
この際、第2撮像部は、第1撮像部による撮像とタイミングをずらして撮像することが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、第2撮像部は、第1撮像部による撮像とタイミングをずらして撮像することで、例えば一つの撮像手段を用いてアブソリュートパターンとインクリメンタルパターンとを撮像することができる。したがって、光電式エンコーダは、コスト削減を図ることができる。
【0020】
この際、光源は、所定の波長の光をスケールに照射する第1光源と、所定の波長以外の光をスケールに照射する第2光源と、を備えることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、光源が、所定の波長の光をスケールに照射する第1光源と、所定の波長以外の光をスケールに照射する第2光源と、を備えることで、撮像手段は、例えば、インクリメンタルパターンとアブソリュートパターンとを個別に撮像することができる。また、第1撮像部はアブソリュートパターンについて、第2撮像部はインクリメンタルパターンについて、それぞれ所定のタイミングにて確実に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光電式エンコーダを示す斜視図
【
図2】前記光電式エンコーダにおける第1目盛および第2目盛を示す斜視図
【
図3】前記光電式エンコーダにおけるスケールパターンを示す斜視図
【
図5】前記光電式エンコーダの位置算出方法のフローチャート
【
図6】本発明の第2実施形態に係る光電式エンコーダを示す斜視図
【
図7】本発明の第3実施形態に係る光電式エンコーダを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を
図1から
図5に基づいて説明する。
各図において、光電式エンコーダ1のスケール2の長手方向をX方向とし、短手方向をY方向とし、高さ方向をZ方向として示し、以下では単にX方向、Y方向、Z方向として説明することがある。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光電式エンコーダ1を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、光電式エンコーダ1は、長尺状のスケール2と、スケール2と対向して測定方向であるX方向に沿って相対移動するヘッド3と、を備える。
光電式エンコーダ1は、図示しない測定器であるリニアスケールに用いられるリニアエンコーダである。光電式エンコーダ1は、リニアスケールの内部に設けられている。リニアスケールは、スケール2に対してヘッド3を測定方向であるX方向に沿って相対移動させることでスケール2に対するヘッド3の位置を検出し、検出結果を図示しない液晶ディスプレイといった表示手段などに出力する。
ヘッド3は、スケール2に向かって光を照射する光源4と、スケール2を介した光源4からの光を撮像する撮像手段5と、を備える。ヘッド3は、スケール2に対してX方向に進退可能に設けられている。光源4と撮像手段5とは、一体でスケール2に対して相対移動するように構成されている。
【0025】
スケール2は、例えばガラス等で形成され、一面には測定方向であるX方向に沿って設けられた周期的なスケールパターン20が設けられている。
スケールパターン20は反射型である。スケールパターン20は、光源4からの光を反射する反射部であり、スケールパターン20が設けられていない部分であるスケール2の基部200は、光を反射しない非反射部である。スケールパターン20は、第1目盛21と第2目盛22とを備え、X方向に沿って所定のピッチpで第1目盛21および第2目盛22を並設している。
【0026】
光源4は、所定の波長の光である第1光と、第1光以外の波長の光である第2光とを有する光をスケール2に照射する。光源4は、第1光をスケール2に照射する第1光源41と、第2光をスケール2に照射する第2光源42と、を備える。第1光は、例えば特定波長λの光である赤外線であり、第1光源41は、特定波長λの光を照射する赤外線光源である。第2光は特定波長λ以外の波長の光であり、第2光源42は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。第1光源41と第2光源42は、スケール2に光を照射する適切な角度で設置されている。なお、第1光源41は、所定の波長の光を照射することができればどのような光源でもよく、第2光源42も第1光源41とは異なる波長の光を照射することができればLEDに限らず、任意の光源を用いてもよい。
【0027】
撮像手段5には、PDA(Photo Diode Array)が用いられる。なお、撮像手段5はPDAに限らず、PSD(Position Sensitive Detector)やCCD(Charge-Coupled Device)等の任意の検出器を用いてもよい。撮像手段5は、第2目盛22を介した第1光にて構成されるスケールパターン20であるアブソリュートパターンを撮像する第1撮像部51と、第1目盛21および第2目盛22を介した第2光にて構成されるスケールパターン20であるインクリメンタルパターンを撮像する第2撮像部52と、を備える。第1目盛21および第2目盛22とアブソリュートパターンおよびインクリメンタルパターンとの関係については後述する。
【0028】
撮像手段5は、スケール2の+Z方向側(紙面上方側)にスケール2と重なるように向かい合わせて設置され、第1撮像部51と第2撮像部52とは、測定方向であるX方向に並設されている。すなわち、第1撮像部51は、スケール2を介した第1光源41の光を撮像できる位置に配置され、第2撮像部52は、スケール2を介した第2光源42の光を撮像できる位置に配置されている。なお、第1撮像部51と第2撮像部52とは、第1撮像部51は第1光源41からの光を撮像でき、第2撮像部52は第2光源42からの光を撮像することができれば、Y方向に並設されていてもよいし、互いにZ方向にずれて配置されていてもよく、ヘッド3において第1撮像部51と第2撮像部52とをどのように配置するかは設計事項である。
【0029】
図2は、光電式エンコーダ1における第1目盛21および第2目盛22を示す斜視図である。具体的には、
図2(A)は、第1目盛21を示す斜視図であり、
図2(B)は、第2目盛22を示す斜視図である。
第1目盛21は、第1光の撮像手段5への導光を阻止し第2光を撮像手段5へ導光するとともに、
図2(A)に示すように、微細な凹凸構造を有する微細パターンNが成型されている。微細パターンNは、ナノインプリンティングにより成型される。微細パターンNは、光源4から照射される光に含まれる特定波長λの光を吸収する性質を有する。具体的には、微細パターンNは、電磁光学に基づいた計算により、Mie共振によって特定波長λの光を吸収する性質を持つ構造である。
【0030】
したがって、本実施形態では、微細パターンNにより吸収される特定波長λの光を第1光とし、特定波長λ以外の光を第2光として説明する。
第1目盛21は、光を反射する例えば金属膜であり、第1光を微細パターンNにより吸収する一方、第2光を反射して撮像手段5へ導光する。
第2目盛22は、光を反射する例えば金属膜であり、
図2(B)に示すように、第1目盛21が備える微細パターンNを有していない。第2目盛22は、微細パターンNを備えないため、第1光を吸収することなく、第1光および第2光を反射することで撮像手段5へ導光する。なお、第1目盛21および第2目盛22は、金属膜でなくてもよく、光を反射することができればどのようなものでもよい。
【0031】
図3は、光電式エンコーダ1におけるスケールパターン20を示す斜視図である。具体的には、
図3(A)は、第1目盛21と第2目盛22との配置の様子を示す図であり、
図3(B)は、第1撮像部51が撮像するスケールパターン20を示す図であり、
図3(C)は、第2撮像部52が撮像するスケールパターン20を示す図である。
図3(A)に示すように、第2目盛22は、スケールパターン20について絶対位置を表現するアブソリュートパターン(ABSパターン)となるように測定方向であるX方向に沿って配置されている。第1目盛21は、スケールパターン20について第2目盛22によるABSパターンを補間して第1目盛21と第2目盛22とを併せて相対位置を表現するインクリメンタルパターン(INCパターン)となるように測定方向であるX方向に沿って配置されている。
【0032】
具体的には、ABSパターンは、
図3(B)に示すように、所定のピッチpで配置される第1目盛21および第2目盛22について、第1目盛21は特定波長λの光である第1光を吸収する非反射部とし、第2目盛22は第1光を反射する反射部としている。このため、特定波長λの第1光を照射すると、第2目盛22でのみ第1光が反射されることになる。例えば第1目盛21を「0」とし、第2目盛22を「1」としたとき、第1目盛21および第2目盛22は、スケール2の全長に亘ってM系列符号(擬似ランダム符号)にしたがって絶対位置を表現するABSパターンとなるようにX方向に沿って配置されている。
【0033】
第1撮像部51は、第1光から擬似ランダム符号であるM系列符号をABSパターンとして撮像する。M系列符号(Maximal Length)とは、撮像手段5である第1撮像部51にて撮像した「1」と「0」との信号から生成される数列のうち、他の符号と比較して最長の周期を持つ符号である。このため、M系列符号にしたがって絶対位置を表現するように配置される第1目盛21および第2目盛22は、他の擬似ランダム符号を採用した場合と比較して、長いスケールパターン20を形成することができる。
【0034】
INCパターンは、
図3(C)に示すように、第1目盛21および第2目盛22については特定波長λ以外の光である第2光を反射する反射部とし、スケール2の基部200については非反射部としている。このため、第1目盛21および第2目盛22を介して反射した第2光は、INCパターンとして第2撮像部52にて撮像される。
【0035】
図4は、光電式エンコーダ1を示すブロック図である。
図4に示すように、光電式エンコーダ1は、スケール2とヘッド3との相対移動に基づく信号を演算する演算手段6をさらに備える。
演算手段6は、アブソリュート信号生成部61と、インクリメンタル信号生成部62と、位置算出部63と、を備える。演算手段7は、例えばマイコン等である。
アブソリュート信号生成部61は、第1撮像部51にて撮像されたABSパターンからアブソリュート信号(ABS信号)を生成する。インクリメンタル信号生成部62は、第2撮像部52にて撮像されたINCパターンからインクリメンタル信号(INC信号)を生成する。位置算出部63は、ABS信号とINC信号からスケール2に対するヘッド3の位置を算出する。
【0036】
図5は、光電式エンコーダ1の位置算出方法のフローチャートである。以下、
図5に基づいて、光電式エンコーダ1におけるスケール2に対するヘッド3の位置算出方法を説明する。
先ず、撮像手段5はスケールパターン20を介した光源4からの光を撮像する。具体的には、第1撮像部51は、第2目盛22で反射された特定波長λの光である第1光からなるABSパターンを撮像し、第2撮像部52は、第1目盛21および第2目盛22で反射された特定波長λ以外の光である第2光からなるINCパターンを撮像する。
【0037】
次に、
図5に示すように、アブソリュート信号生成部61は、第1撮像部51にて撮像されたABSパターンからABS信号を生成するアブソリュート信号生成工程を実行する(ステップST01)。
ABS信号の生成方法は、例えば、第1撮像部51にて8つ分の第1目盛21および第2目盛22を介した第1光を撮像する。アブソリュート信号生成部61は、
図3(B)に示すように、例えば紙面左側から「01110100」というバイナリーパターンからなる信号を生成する。そして、スケール2に対して+X方向側(紙面右方向側)にヘッド3を相対移動させると、第1目盛21または第2目盛22の1つ分移動する度に、アブソリュート信号生成部61は、「11101001」、「11010010」といった異なる符号を有する信号を生成する。
【0038】
また、インクリメンタル信号生成部62は、第2撮像部52にて撮像された第2光によるINCパターンからINC信号を生成するインクリメンタル信号生成工程を実行する(ステップST02)。この際、インクリメンタル信号生成部62は、アブソリュート信号生成部61によるアブソリュート信号生成工程とタイミングをずらしてインクリメンタル信号生成工程を実行する(ステップST02)。なお、第1実施形態では、第1光源41に対応して第1撮像部51が配置され、第2光源42に対応して第2撮像部52が配置されているため、インクリメンタル信号生成部62は、アブソリュート信号生成部61によるアブソリュート信号生成工程と同じタイミングでインクリメンタル信号生成工程を実行してもよい。
【0039】
続いて、位置算出部63は、アブソリュート信号生成工程にて生成されたABS信号と、インクリメンタル信号生成工程にて生成されたINC信号と、に基づいてスケール2に対するヘッド3の位置を算出する位置算出工程を実行する(ステップST03)。これにより光電式エンコーダ1は、ヘッド3の姿勢やスケール2のうねりによるINCトラックとABSトラックとの位置情報の誤差を抑制し、単一のトラックで、ダブルトラック形式と同様の検出精度でスケール2に対するヘッド3の位置を算出することができる。
【0040】
このような第1実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)光電式エンコーダ1は、第1光の撮像手段5への導光を阻止し第2光を撮像手段5へ反射する第1目盛21と、第1光および第2光を撮像手段5へ反射する第2目盛22と、を備え、第1光にて構成されるアブソリュートパターンを撮像する第1撮像部51と、第2光にて構成されるインクリメンタルパターンを撮像する第2撮像部52とを備えることで、単一のトラックから、アブソリュート信号とインクリメンタル信号との双方を取得し、スケール2に対するヘッド3の位置を算出することができる。
したがって、光電式エンコーダ1は、アブソリュートパターンと目盛の抜けのないインクリメンタルパターンとを複合させて単一のトラックとして構成しつつ位置情報の検出精度の向上を図ることができる。
(2)アブソリュートパターンとインクリメンタルパターンとをそれぞれ独立したトラックとする必要がないため、光電式エンコーダ1は、小型化を図るとともにコスト削減を図ることができる。
【0041】
(3)第1目盛21は、反射や屈折等をさせずに第1光を吸収するため、確実に撮像手段5へ第1光が反射されることを阻止することができる。したがって、光電式エンコーダ1は、検出精度の向上を図ることができる。
(4)第1目盛21は、ナノインプリンティングにより、所定の微細パターンNを介すことで微細パターンNに吸収される性質を有する特定波長λの光である第1光の撮像手段5への反射を阻止し第2光を撮像手段5へ反射する構造である微細パターンNが成型されるため、容易に第1光が撮像手段5へ反射されることを阻止することができる第1目盛21を成型することができる。
また、ナノインプリンティングを用いて微細パターンNを第1目盛21に成型するため、露光装置などを使わずに微細パターンNを転写して成型することができる。したがって、コスト削減を図ることができる。
【0042】
(5)光源4が所定の波長の光をスケールに照射する第1光源41と、所定の波長以外の光をスケールに照射する第2光源42と、を備えることで、撮像手段5は、例えば、インクリメンタルパターンとアブソリュートパターンとを個別に撮像することができる。また、第1撮像部51はアブソリュートパターンについて、第2撮像部52はインクリメンタルパターンについて、それぞれ所定のタイミングにて確実に撮像することができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を
図6に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る光電式エンコーダ1Aを示す斜視図である。
第2実施形態の光電式エンコーダ1Aは、ヘッド3Aを除き、前記第1実施形態の光電式エンコーダ1と略同様の構成を備える。
【0044】
前記第1実施形態の光電式エンコーダ1におけるヘッド3は、
図1に示すように、光源4と撮像手段5とを備え、光源4は、第1光源41と第2光源42とを備えていた。第2実施形態の光電式エンコーダ1Aにおけるヘッド3Aは、単一の光源4Aと、スケールパターン20を介した光源4Aからの光を第1光と第2光とに分光する分光手段10をさらに備える点で前記第1実施形態と異なる。
分光手段10は、スケールパターン20を介した光源4Aからの光を、特定波長λの光である第1光と特定波長λ以外の光である第2光とに分光する例えばプリズムである。
撮像手段5は、第1撮像部51は分光手段10にて分光された第1光を撮像し、第2撮像部52は、分光手段10にて分光された第2光を撮像する。
【0045】
このような第2実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(4)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(6)ヘッド3Aは、スケールパターン20を介した光源4Aからの光を第1光と第2光とに分光する分光手段10を備えるため、第1撮像部51はアブソリュートパターンについて、第2撮像部52はインクリメンタルパターンについて、それぞれ所定のタイミングにて確実に撮像することができる。
(7)ヘッド3Aは、分光手段10を備えることで、単一の光源4Aを用いたとしても、撮像手段5にてインクリメンタルパターンとアブソリュートパターンとの双方を撮像することができる。また、単一の光源4Aを用いることができるため、光電式エンコーダ1Aは、小型化を図ることができる。
【0046】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を
図7に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る光電式エンコーダ1Bを示す斜視図である。
第3実施形態の光電式エンコーダ1Bは、ヘッド3Bを除き、前記第2実施形態の光電式エンコーダ1Aと略同様の構成を備える。
【0047】
前記第2実施形態の光電式エンコーダ1Aにおけるヘッド3Aは、
図6に示すように、単一の光源4Aと分光手段10とを備えていた。第3実施形態の光電式エンコーダ1Bにおけるヘッド3Bは、分光手段10を備えず、撮像手段5Bにおける第1撮像部51Bと第2撮像部52Bとは、同一の撮像手段5B内に設けられ、タイミングをずらしてスケール2を介した光を撮像する点で前記第2実施形態と異なる。
第1撮像部51Bと第2撮像部52Bは、タイミングをずらして、例えば機能を切替えることで光を撮像する。第1撮像部51Bが撮像する際は、第2撮像部52Bの機能をOFFにしてアブソリュートパターンを撮像し、第2撮像部52Bが撮像する際は、第1撮像部51Bの機能をOFFにしてインクリメンタルパターンを撮像する。この際、光源4Aは、光の色を変更し、第1撮像部51Bと第2撮像部52Bは、色の違いに基づいてアブソリュートパターン、または、インクリメンタルパターンを撮像してもよい。
【0048】
このような第3実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(4)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(8)第1撮像部51Bと第2撮像部52Bとは、同一の撮像手段5B内に設けられ、タイミングをずらしてスケール2を介した光を撮像するため、省スペース化やコスト削減を図ることができる。また、光電式エンコーダの設計の自由度を向上させることができる。
【0049】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、光電式エンコーダ1,1A~1Bは、測定器としてのリニアスケールに用いられていたが、ダイヤルゲージ(テストインジケータ)やノギス、マイクロメータ等の他の測定器に用いられていてもよい。すなわち、光電式エンコーダは、用いられる測定器の形式や方式などについて特に限定されるものではなく、その他の測定器などにおいても利用可能であり、本発明の光電式エンコーダを何に実装するかについては、特に限定されるものではない。また、光電式エンコーダは、センサ等の測定器以外のものに用いられていてもよい。
【0050】
前記各実施形態では、光電式エンコーダ1,1A~1Bはリニアエンコーダであったが、ロータリーエンコーダであってもよい。また、前記各実施形態では、演算手段6はマイコン等であったが、マイコンでなくともよく、外部接続されたパソコン等であってもよい。要するに、演算手段は、スケールとヘッドとの相対移動に基づく信号を演算することができればよい。
【0051】
図8は、変形例に係る光電式エンコーダ1C,1Dを示す斜視図である。具体的には、
図8(A)は、第1変形例を示す図であり、
図8(B)は第2変形例を示す図である。
前記各実施形態では、第1目盛21は、第1光の撮像手段5,5Bへの反射を阻止し第2光を撮像手段5,5Bへ反射し、第2目盛22は、第1光および第2光を撮像手段5,5Bへ反射していた。
第1変形例では、
図8(A)に示すように、光電式エンコーダ1Cは、透過型のスケールパターン20Cを有するスケール2Cと、透過型のスケール2Cに対応するヘッド3Cと、を備える点で前記各実施形態と異なる。具体的には、第1目盛21Cは、第1光の撮像手段5への透過を阻止し第2光を撮像手段5Cへ透過し、第2目盛22Cは、第1光および第2光を撮像手段5Cへ透過する。そして、第1撮像部51Cは、スケール2Cを透過した第1光からなるABSパターンを撮像し、第2撮像部52Cは、スケール2Cを透過した第2光からなるINCパターンを撮像する。
【0052】
また、第2変形例では、
図8(B)に示すように、光電式エンコーダ1Dにおけるヘッド3Dは、光源4Aからの光をスケール2Cに向かって反射する反射手段11をさらに備える点で前記第1変形例と異なる。反射手段11は、例えばミラーであるが、光源4Aからの光をスケール2Cに向かって反射することができればどのようなものであってもよい。光電式エンコーダ1Dは、反射手段11を備えることで、光源4Aの光の照射方向を調整することができるため、設計の自由度を向上させることができる。
さらに、第1変形例と第2変形例とは、第2実施形態のように分光手段10を備え、それぞれ独立して設けられる第1撮像部と第2撮像部とを備えていてもよいし、第1実施形態のように、2つの光源を有していてもよい。各実施形態と変形例とをどのように組み合わせるかについては設計変更の範囲内である。
【0053】
前記各実施形態では、第1目盛21は、特定波長λの光である第1光を吸収していたが、第1目盛は、第1光を吸収ではなく、撮像手段に影響のない方向へ反射させたり、分散させたり等、他の方法で撮像手段へ導光されることを阻止してもよい。また、第1光は、特定波長λの光ではなく、所定の波長の光であればよい。
また、前記各実施形態では、第1目盛21には、微細な凹凸構造を有する微細パターンNが成型され、微細パターンNは、ナノインプリンティングにより成型されていたが、例えば、第1目盛は、微細な凹凸構造を金属膜に貼り付ける等してナノインプリンティングにより成型されていなくてもよいし、第1光の導光を阻止する手段として凹凸構造を有する微細パターンを用いなくてもよい。要するに、第1目盛は、所定の波長の光である第1光の撮像手段への導光を阻止し所定の波長以外の光である第2光を撮像手段へ導光することができれば、どのように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明は、光電式エンコーダに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A~1D 光電式エンコーダ
2,2C スケール
20,20C スケールパターン
21,21C 第1目盛
22,22C 第2目盛
3,3A~3D ヘッド
4,4A 光源
5,5B~5C 撮像手段
51,51B~51C 第1撮像部
52,52B~52C 第2撮像部
6 演算手段
61 アブソリュート信号生成部
62 インクリメンタル信号生成部
63 位置算出部