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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】測定機器管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20231128BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G06Q10/06
G05B19/418 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019159522
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021039484
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信策
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-027436(JP,A)
【文献】特開2019-120653(JP,A)
【文献】特開2018-022210(JP,A)
【文献】特開2006-107161(JP,A)
【文献】特開2015-075832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定機器の位置を逐次取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部で取得した位置情報に基づき、前記測定機器の位置が示されたマップを作成するマップ作成部と、
を備え
前記位置情報取得部は、
前記測定機器を扱う作業者の画像に基づき当該作業者の動作を解析する動作解析部と、
前記作業者の前記画像から前記測定機器の初期位置を把握し、前記動作解析部の解析結果に基づき、前記作業者の姿勢の変化に合わせて前記測定機器の位置を追跡するトラッキング部と、を備える測定機器管理システム。
【請求項2】
マップ作成部が作成した前記マップを表示するマップ表示部をさらに備える請求項1に記載の測定機器管理システム。
【請求項3】
前記マップ表示部は、拡張現実表示が可能なディスプレイを有し、
前記マップ表示部は、前記マップ作成部で作成したマップに基づき、実空間に重畳した拡張現実として前記測定機器の位置を示す情報を前記ディスプレイに表示する、ことを特徴とする請求項に記載の測定機器管理システム。
【請求項4】
前記位置情報取得部で取得した位置情報の変化に基づき前記測定機器が使用中であるか否かを判断する使用状況判断部をさらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の測定機器管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドヘルド型の測定機器の場所を提示することができる測定機器管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノギスやマイクロメータのように作業者が手で持って測定を行うハンドヘルド型の測定機器は、可搬性に優れ、狭い場所でも測定を行うことができるメリットがある。ここで、特許文献1には、長さ及び直角度を一つの測定器で測定できるスコヤ付ノギスが開示される。このスコヤ付ノギスでは、ノギスおよびスコヤが一体化されていることから、直角曲げされたフランジ材の測定につき、ノギスおよびスコヤの交換の手間が省略され、一方の測定器を紛失することもなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平05-030704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハンドヘルド型の測定機器のように、可搬性に優れ、使用場所が固定されていない測定機器では、常に目的の機器が同じ場所にあるとは限らない。例えば、ある機器を使おうと思ったときに、すぐにその機器が見つからないことがしばしば起こり得る。特に1つの測定機器を複数の作業者で共有して使う場合、使用後に決められた場所に戻されず、次に使用する際にどこにあるのか分からなくなってしまうことがある。
【0005】
本発明は、測定機器の各個体の所在をリアルタイムで提示することが可能な測定機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、測定機器の位置を逐次取得する位置情報取得部と、位置情報取得部で取得した位置情報に基づき、測定機器の位置が示されたマップを作成するマップ作成部と、を備える測定機器管理システムである。
【0007】
このような構成によれば、測定機器の現在の位置を位置情報取得部で逐次取得し、取得した位置をマップ作成部によってマップ表示するため、ハンドヘルド型のような可搬性に優れた測定機器の所在位置をリアルタイムで提示することができる。
【0008】
上記測定機器管理システムにおいて、位置情報取得部は、作業者の動作を解析する動作解析部と、動作解析部の解析結果に基づき測定機器の位置を追跡するトラッキング部と、を備えていてもよい。これにより、作業者の動作の解析結果に基づいて測定機器の位置を追跡して、測定機器の所在位置を把握することができる。
【0009】
上記測定機器管理システムにおいて、マップ作成部が作成したマップを表示するマップ表示部をさらに備えていてもよい。これにより、測定機器の所在位置をマップ表示によって提示することができる。
【0010】
上記測定機器管理システムにおいて、マップ表示部は、拡張現実表示が可能なディスプレイを有し、マップ表示部は、マップ作成部で作成したマップに基づき、実空間に重畳した拡張現実として測定機器の位置を示す情報をディスプレイに表示してもよい。これにより、ディスプレイに表示される実空間に測定機器の位置を示す情報が拡張現実として表示され、測定機器の所在位置を把握しやすくなる。
【0011】
上記測定機器管理システムにおいて、位置情報取得部で取得した位置情報の変化に基づき測定機器が使用中であるか否かを判断する使用状況判断部をさらに備えていてもよい。これにより、位置情報取得部で取得した位置情報の変化に基づき使用状況判断部で測定機器が使用中であるか否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る測定機器管理システムの構成を例示するブロック図である。
図2】本実施形態に係る測定機器管理システムの具体例を示す模式図である。
図3】マップ表示の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る他の測定機器管理システムの構成を例示するブロック図である。
図5】(a)および(b)は、使用状況の表示例を示す図である。
図6】他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0014】
〔測定機器管理システムの構成〕
図1は、本実施形態に係る測定機器管理システムの構成を例示するブロック図である。
図2は、本実施形態に係る測定機器管理システムの具体例を示す模式図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る測定機器管理システム1は、ハンドヘルド型のような可搬性に優れた測定機器100の位置を管理するシステムである。
このような測定機器管理システム1は、測定機器100の位置を逐次取得する位置情報取得部10と、位置情報取得部10で取得した位置情報に基づき、測定機器100の位置が示されたマップを作成するマップ作成部20と、を備える。
【0015】
測定機器100は、例えばノギスやマイクロメータのように作業者が手に持って測定を行うことができるものである。図2に示す例ではコンピュータ200が用いられており、位置情報取得部10およびマップ作成部20はコンピュータ200で実行されるプログラム処理によって実現されている。なお、位置情報取得部10およびマップ作成部20の少なくともいずれかはハードウェアによって実現されていてもよいし、タブレット端末や携帯電話機のような携帯端末のアプリケーションソフトウェア(いわゆる、アプリ)によって実現されていてもよい。
【0016】
位置情報取得部10は、例えば測定機器100に設けられた発信器110から送信される信号に基づいて測定機器100の位置情報を逐次取得する。発信器110にはGPS(Global Positioning System)やWifiが含まれる。GPSの場合、GPSで取得した測定機器100の座標情報を位置情報取得部10へ送信し、位置情報取得部10は所定のタイミングで受信した位置情報を記録する。位置情報は記憶手段(図示せず)に所定の期間、記録される。
【0017】
なお、位置情報取得部10は、測定機器100の画像(例えば、動画)に基づく解析によって測定機器100の現在位置を取得するようにしてもよい。この場合、図示しない撮像装置(カメラ)で測定機器100の動画を撮影し、この動画から背景画像および測定機器100の画像を抽出して、測定機器100の位置情報を取得する。
【0018】
また、位置情報取得部10は、動作解析部11およびトラッキング部12を有していてもよい。動作解析部11は、測定機器100を扱う作業者の動作を解析する。トラッキング部12は、動作解析部11の解析結果に基づき測定機器100の位置を追跡する。
【0019】
例えば、動作解析部11は、作業者の画像(動画や静止画)を取り込んで、その画像から身体の部位を判別し、姿勢を特定したり、作業者にセンサを装着して、センサの検出値に基づき姿勢を特定したりする。トラッキング部12は、作業者の画像から、例えば手に持っている測定機器100の初期位置を把握し、動作解析部11で特定した作業者の姿勢の変化に合わせて測定機器100の位置を追跡する。
【0020】
なお、位置情報取得部10は、前述の測定機器100の画像の解析および作業者のトラッキングの両方によって測定機器100の位置情報を取得してもよい。また、位置情報取得部10は、測定機器100の個体情報(識別情報)と対応付けして位置情報を取得する。これにより、複数の測定機器100について各個体のそれぞれについて位置情報を取得することができる。
【0021】
マップ作成部20は、位置情報取得部10で逐次取得する測定機器100の位置を示すマップを作成する。複数の測定機器100がある場合、マップ作成部20は各個体のそれぞれと対応付けされた位置情報に基づき、各測定機器100の位置を示すマップを作成する。
【0022】
測定機器管理システム1は、マップ作成部20で作成したマップを表示するマップ表示部25を備えていてもよい。マップ表示部25はディスプレイ251を有しており、ディスプレイ251にマップが表示される。ディスプレイ251は、コンピュータ200のディスプレイ210であってもよいし、後述するヘッドマウントディスプレイ300であってもよい。
【0023】
図3は、マップ表示の一例を示す図である。
図3に示すマップ表示では、測定機器100の現在の位置Pがマップ上に示されている。位置Pは例えば星印や丸印といった見やすい印で示されたり、印を点滅して目立たせたりしてもよい。マップ上に示された位置Pの印によって測定機器100が現在どの位置にあるのかを容易に把握することができる。
【0024】
このような本実施形態に係る測定機器管理システム1では、測定機器100の現在の位置を位置情報取得部10で逐次取得し、取得した位置をマップ作成部20によってマップ表示するため、ハンドヘルド型のような可搬性に優れた測定機器100の所在位置をリアルタイムで提示することができる。これにより、測定機器100が指定の位置に無い場合でも、使用したい作業者はマップ表示によって測定機器100が現在どの位置にあるのかを把握でき、測定機器100を探し回る手間を省くことが可能になる。
【0025】
〔他の測定機器管理システムの構成〕
図4は、本実施形態に係る他の測定機器管理システムの構成を例示するブロック図である。
図4に示すように、他の測定機器管理システム1Bは、先に説明した測定機器管理システム1の構成に加え、使用状況判断部30を備えている。使用状況判断部30は、位置情報取得部10で取得した位置情報の変化に基づき測定機器100が使用中であるか否かを判断する。すなわち、位置情報取得部10は、測定機器100の位置の情報を逐次取得している。使用状況判断部30は、位置情報取得部10で取得した測定機器100の位置の情報を受けて、位置が変化しているか否かを判断する。そして、位置が変化していない場合には測定機器100が使用されていないと判断する。一方、位置が変化している場合、位置の変化に基づいて測定機器100が使用されていることを判断する。
【0026】
使用状況判断部30による測定機器100の使用中か否かの判断は、例えば以下の少なくともいずれかによって行われる。
(1)所定の時間内に測定機器100の位置の変化があった場合、使用中であると判断する。
(2)所定の時間内に測定機器100の位置の変化が無かった場合、使用中ではないと判断する。
(3)測定機器100の位置が一方向に移動している場合、使用中ではないと判断する(例えば、測定機器100が持ち運ばれている状態)。
(4)予め、測定機器100の使用中のときの位置の変化の特有のパターンを取り込んでおき、位置情報取得部10で取得した位置の変化のパターンと、使用中のときの位置の変化の特有のパターンとのマッチングによって、使用中であるか否かを判断する。
【0027】
図5(a)および(b)は、使用状況の表示例を示す図である。
図5(a)には、使用中であることを示す表示例が示され、図5(b)には使用中でないことを示す表示例が示される。使用状況判断部30で判断した結果は、ディスプレイ251に表示される。この際、マップ表示と一緒に表示してもよい。例えば、ディスプレイ251のマップ表示の一部に、「現在使用中です。」や「使用されていません。」といった現在の使用状況が示される。
【0028】
このように、測定機器100の現在の使用状況が表示されることで、測定機器100を探す際に、測定機器100が空いているかどうかを事前に把握することができる。これにより、例えば使用中でない測定機器100のみを取りに行くことができ、無駄な動きを無くすことが可能となる。
【0029】
〔他の表示例〕
図6は、他の表示例を示す図である。
図6には、ヘッドマウントディスプレイ300による表示例が示される。ヘッドマウントディスプレイ300に表示される画像は、マップ表示部25によって制御される。マップ表示部25は、マップ作成部20で作成したマップに基づき、実空間に重畳した拡張現実として測定機器100の位置を示す情報をヘッドマウントディスプレイ300に表示する。
【0030】
図6に示す例では、実空間にある収納庫の画像G1に、測定機器100のグラフィック画像G2を拡張現実として重畳して表示している。測定機器100の位置の情報は位置情報取得部10によって取得されており、この取得した測定機器100の位置と、ヘッドマウントディスプレイ300に表示される実空間の画像の位置とを対応付けして、実空間の画像(例えば、収納庫の画像G1)に測定機器100のグラフィック画像G2を重畳する。作業者は、ヘッドマウントディスプレイ300の画像を参照して、実際には見えない収納庫の中に載置された測定機器100を拡張現実として見ることができ、収納庫の中に測定機器100があることを把握することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る測定機器管理システム1,1Bによれば、測定機器100の各個体の所在をリアルタイムで提示することが可能となる。
【0032】
〔実施形態の変形〕
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0033】
1,1B…測定機器管理システム
10…位置情報取得部
11…動作解析部
12…トラッキング部
20…マップ作成部
25…マップ表示部
30…使用状況判断部
100…測定機器
110…発信器
200…コンピュータ
210,251…ディスプレイ
300…ヘッドマウントディスプレイ
G1…画像
G2…グラフィック画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6