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特許7391856熱絶縁材料、接着剤および外層の複合要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】熱絶縁材料、接着剤および外層の複合要素
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/08 20060101AFI20231128BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20231128BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20231128BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20231128BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231128BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231128BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20231128BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20231128BHJP
【FI】
C09J175/08
C08G18/00 F
C08G18/66 066
C08G18/48 004
C09J11/06
B32B27/00 D
F16L59/02
C08G101:00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020542887
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2019052175
(87)【国際公開番号】W WO2019154677
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】18155625.9
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブマイアー,オラーフ
(72)【発明者】
【氏名】クロニッヒ,ザブリナ
(72)【発明者】
【氏名】フスコプラ,アンチェ
(72)【発明者】
【氏名】レンナー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フンテマン,ペーター
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-543571(JP,A)
【文献】特開平11-248344(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196607(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/04-175/16
C09J 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱絶縁材料(B)と接着剤(C)と任意の少なくとも1つの外層(A)とを含む複合要素の製造方法であって、
前記熱絶縁材料(B)を前記接着剤(C)と接合し、前記接着剤(C)が、
(a)ポリイソシアネートと、
(b)少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有するポリオールと、
(c)水を含む発泡剤と、以下の任意の
(d)鎖延長剤、
(e)触媒、および
(f)他の助剤
とを混合することで調製できるポリウレタン接着剤であり、
前記ポリオール(b)がポリエーテルオールを含み、前記ポリエーテルオールが
(b1)2官能性の開始分子に基づく120~300mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく60~100質量%のエチレンオキシド含有量と、50%~100%の割合の第1級OH基とを有する、50~90質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド、
(b2)2官能性および/または3官能性の開始分子に基づく120~600mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく0~40質量%のエチレンオキシド含有量とを有する、10質量%~50質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド、
を含み、上記質量%が各場合とも成分(b1)~(b2)の総質量に基づくものであり、
2官能性から4官能性までの開始分子に基づく100~800mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、成分(b1)及び(b2)とは異なるさらなるポリアルキレンオキシド(b3)を使用しない、製造方法。
【請求項2】
成分(b1)~(b2)の割合が、成分(b)の総質量に基づいて、70質量%~100質量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(b2)が3官能性の開始分子のみから出発して得ることができる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリエーテルオール(b1)のエチレンオキシド含有量が、ポリエーテルオール(b1)中のアルキレンオキシドの含有量に基づいて、100質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリエーテルオール(b2)のプロピレンオキシド含有量が、ポリエーテルオール(b2)中のアルキレンオキシドの含有量に基づいて、100質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
使用する前記発泡剤が水のみであり、成分(b)~(e)の総質量に基づいて、水の含有量が0.3%~3%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
使用する前記触媒(e)が第3級アミン触媒である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記助剤(f)には、2個のアミノ基および500g/mol未満の分子量を有する増粘剤が含まれ、その2個のアミノ基のそれぞれが第1級または第2級とすることがある、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アミノ基が第1級アミノ基であり、前記アミノ基が芳香族炭素原子に結合している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記接着剤(C)が、前記接着剤(C)の総質量に基づいて、30質量%~70質量%の無機充填剤を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱絶縁材料(B)がミネラルウールおよび/またはロックウールである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記熱絶縁材料(B)がエアロゲル材料またはエアロゲル複合体を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
エアロゲル材料を互いに接合させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポリイソシアネート(a)が、2,4’-MDI、4,4’-MDI、MDIの高級多環式同族体、またはこれら成分の2種以上の混合物からなる群から選択されるイソシアネートを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記外層(A)および前記熱絶縁材料(B)が前記接着剤(C)と接合している、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法
【請求項16】
(a)ポリイソシアネートと、
(b)少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有するポリオールと、
(c)水を含む発泡剤と、以下の任意の
(d)鎖延長剤、
(e)触媒、および
(f)他の助剤
とを混合することで調製できる接着剤(C)を、熱絶縁材料(B)の接合に使用する方法であって、
前記ポリオール(b)がポリエーテルオールを含み、前記ポリエーテルオールが
(b1)2官能性の開始分子に基づく120~300mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく60~100質量%のエチレンオキシド含有量と、50%~100%の割合の第1級OH基とを有する、50~90質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド、
(b2)2官能性および/または3官能性の開始分子に基づく120~600mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく0~40質量%のエチレンオキシド含有量とを有する、10質量%~50質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド、
を含み、上記質量%が各場合とも成分(b1)~(b2)の総質量に基づくものであり、
2官能性から4官能性までの開始分子に基づく100~800mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、成分(b1)及び(b2)とは異なるさらなるポリアルキレンオキシド(b3)を使用しない、熱絶縁材料(B)の接合に使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱絶縁材料(B)と接着剤(C)と任意の少なくとも1つの外層(A)とを含む複合要素の製造方法に関する。該方法において、熱絶縁材料(B)を接着剤(C)と接合する。接着剤(C)は、ポリイソシアネート(a)と、少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有するポリオール(b)と、水を含む発泡剤(c)と、任意の鎖延長剤(d)、触媒(e)および他の助剤(f)とを混合することで調製できるポリウレタン接着剤である。ここでポリオール(b)はポリエーテルオールを含み、ポリエーテルオールは50~90質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b1)、10質量%~50質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b2)、および0~30質量%の少なくとも1種のさらなるポリアルキレンオキシド(b3)を含み(各場合とも成分(b1)~(b3)の総質量に基づく)、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b1)は、2官能性の開始分子に基づく120~300mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく60~100質量%のエチレンオキシド含有量と、50%~100%の割合の第1級OH基とを有し、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b2)は、2官能性および/または3官能性の開始分子に基づく120~600mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく0~40質量%のエチレンオキシド含有量とを有し、少なくとも1種のさらなるポリアルキレンオキシド(b3)は、2官能性から4官能性までの開始分子に基づく100~800mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。本発明はさらに、この方法によって製造できる、熱絶縁材料(B)と接着剤(C)と任意の少なくとも1つの外層(A)とを含む複合要素の1つに関する。
【背景技術】
【0002】
複合要素を、特に金属性外層および熱絶縁材料のコアから製造することは既知である。特に、ミネラルウールのコアを含むパネル(ミネラルウールサンドイッチ要素とも称されることが多い)をツインベルト系の連続運転で製造することは、現在ますます大きな規模で行われている。このような要素、特に無機絶縁材料、例えばミネラルウールまたは既知のエアロゲル材料を使用している要素の本質的に有利な点は、構築要素としての有用性の他に、火炎暴露に対するその抵抗性の高さにある。ミネラルウールベースのサンドイッチ要素は、ミネラルウールサンドイッチ要素とも称され、特に、非常に高度な防火が重要である非常に多種多様な建物のファサードおよび屋根の形成に使用される。ここで使用される外層には、コーティングした鋼シートに加え、ステンレス鋼シート、銅シートまたはアルミニウムシートも含まれる。コア材料を、互いに、または金属外層に接合するために、1成分または2成分のイソシアネートベースの接着剤が有用であることが証明されている。
【0003】
例えば、EP1896259には、外層およびミネラル絶縁材料からサンドイッチ要素を製造する方法が記載されており、外層および絶縁材料は、2成分のポリウレタン接着剤で接合されている。実施例では、2成分のポリウレタン接着剤が使用され、ポリオール成分において、プロピレンオキシドに基づくポリエーテルポリオール、難燃剤、水、泡安定剤およびアミン触媒の混合物が記載されている。このポリオール成分はポリマーのジフェニルメタンと反応して接着剤をもたらす。
【0004】
燃焼性に関して、サンドイッチ要素の高い抵抗性が特に注目される。例えば、絶縁材料として金属と無機絶縁材との外層を使用する場合、唯一の可燃性成分はポリウレタン接着剤である。この理由から、接着剤の燃焼性を低減するために多くの試みがなされてきた。
【0005】
例えば、WO2003051954では、ヒマシ油、プロピレンオキシドベースのポリエーテルポリオール、脂肪酸含有ポリエステルポリオール、および添加剤、例えば発泡剤としての水、触媒および難燃剤に基づく難燃性ポリウレタン接着剤の提供が開示されている。これらの接着剤の欠点は特に、接着効果が低いことである。
【0006】
WO2012/091927では、ミネラルウールサンドイッチ要素の製造のための接着剤が記載されており、ヒマシ油が芳香族ポリエステルジオールによって置き換えられている。これは、2~4の官能価および最大で500mPasまでの粘度を有するポリエーテルポリオールの混合物中に使用される。この場合、わずかに改善された接着性と合わせて、充填状態で16MJ/kg(充填剤として53.55質量%の炭酸カルシウム;実施例1)の低い方の発熱量、および非充填状態で26.0MJ/kgが達成される。
【0007】
エアロゲル材料またはエアロゲル複合体の接合も既知である。例えば、EP2665876では、建物の絶縁に適用されるエアロゲル絶縁パネルを製造するためのエアロゲル材料またはエアロゲル複合体の複数の積層を組み立てるため、接着剤として水ガラス溶液を使用する方法が記載されている。達成される横方向引張強度はここでは非常に低く、例えば熱絶縁複合系における規格に準拠した使用ができない。
【0008】
エアロゲル材料および任意に他の絶縁または非絶縁材料の1つ以上の層を含む、難燃性複合系も既知である。この複合要素の製造のために、熱絶縁材料、例えば絶縁材料の個々の積層または層を互いに接合すること、および絶縁材料と存在する任意の外層とを接合することが、必要である。しかしながらこの場合も、火炎暴露に対する抵抗性は、接着剤の燃焼性にかなりの程度依存する。例えば、無機の、本質的に不燃性の接着剤は既知である一方で、こうした接着剤は不十分な接着特性しか示さないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】EP1896259
【文献】WO2003051954
【文献】WO2012/091927
【文献】EP2665876
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、熱絶縁材料(B)と接着剤(C)と任意の少なくとも1つの外層(A)とから形成され、熱絶縁材料の接合、例えば同じまたは異なる熱絶縁材料(B)の様々な層の間の、または熱絶縁材料(B)と外層(A)との間の接合の高い接着性を示し、使用する接着剤が低い発熱量値を有する、複合要素を提供することである。複合要素はまた、少量の接着剤を使用して製造できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、驚くべきことに、熱絶縁材料(B)と接着剤(C)と任意の少なくとも1つの外層(A)とを含む複合要素によって達成される。この複合要素は、熱絶縁材料(B)を接着剤(C)と接合し、接着剤(C)が、ポリイソシアネート(a)と、少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有するポリオール(b)と、水を含む発泡剤(c)と、任意の鎖延長剤(d)、触媒(e)および他の助剤(f)とを混合することで調製できるポリウレタン接着剤である方法によって製造できる。ここでポリオール(b)はポリエーテルオールを含み、ポリエーテルオールは50~90質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b1)、10質量%~50質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b2)、および0~30質量%の少なくとも1種のさらなるポリアルキレンオキシド(b3)を含み(各場合とも成分(b1)~(b3)の総質量に基づく)、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b1)は、2官能性の開始分子に基づく120~300mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく60~100質量%のエチレンオキシド含有量と、50%~100%の割合の第1級OH基とを有し、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b2)は、2官能性および/または3官能性の開始分子に基づく120~600mgKOH/gのヒドロキシル価と、アルキレンオキシド含有量に基づく0~40質量%のエチレンオキシド含有量とを有し、少なくとも1種のさらなるポリアルキレンオキシド(b3)は、2官能性から4官能性までの開始分子に基づく100~800mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。本発明はさらに、熱絶縁材料(B)を接着剤(C)と接合する、本発明の複合要素の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による複合材料の製造のために、熱絶縁材料(B)と接着剤(C)と任意の外層(A)とに加え、さらなる材料をここで使用してよい。本発明の複合要素は、好ましくは熱絶縁材料(B)と接着剤(C)と任意の外層(A)とからなる。
【0013】
本発明において、熱絶縁材料(B)の接合は、熱絶縁材料(B)が接着剤(C)と接触している接合の任意の形態を包含する。これは、熱絶縁材料(B)の異なる積層を互いに接合すること、および熱絶縁材料(B)を他の材料、例えば外層(A)に接合することを含む。
【0014】
接着剤(C)の調製のために、使用するポリイソシアネート(a)は、先行技術から既知の任意の脂肪族、脂環式および芳香族の2官能性または多官能性イソシアネートおよびこれらの任意の所望の混合物を含んでよい。芳香族2官能性または多官能性イソシアネートの使用が好ましい。例として、ジフェニルメタン4,4’-、2,4’-、および2,2’-ジイソシアネート(MDI)、モノマーのジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、およびジフェニルメタンジイソシアネートの高級多環式同族体(ポリマーMDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トルエン2,4,6-トリイソシアネートおよびトルエン2,4-および2,6-ジイソシアネート(TDI)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネートおよびジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネートの高級多環式同族体(ポリマーMDI)、およびこれらのイソシアネートの混合物からなる群から選択される芳香族イソシアネートを使用することが特に好ましい。使用するイソシアネートは、特に、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの高級多環式同族体、またはこれらの化合物の2種以上の混合物からなる群から選択される芳香族イソシアネートである。
【0016】
使用する少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有するポリオール(b)は、ポリウレタンの調製で既知であり、250g/molを超える分子量を有するイソシアネート反応性化合物であることが可能である。例えばポリエステルのアルコキシル化によって得られる、ポリエステルオール、ポリエーテルオールまたはポリエーテル-ポリエステルオールを使用することが好ましい。
【0017】
ポリエーテルポリオール(b)は、アルキレンラジカルに2~4個の炭素原子を有する1種以上のアルキレンオキシドから既知の方法によって、例えばアルカリ金属ヒドロキシドまたはアルカリ金属アルコキシドを触媒とするアニオン重合によって、またはルイス酸、例えばアンチモンペンタクロリドまたはホウ素トリフルオリドエーテラートを触媒とするカチオン重合によって、2~8個の反応性水素原子を含む少なくとも1個の開始分子を加えて、調製する。さらに、使用する触媒は、複金属シアニド化合物、いわゆるDMC触媒であってもよい。適したアルキレンオキシドの例として、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、1,2-および2,3-ブチレンオキシド、および好ましくはエチレンオキシドおよび1,2-プロピレンオキシドが挙げられる。アルキレンオキシドは、個々に、交互に連続して、または混合物として使用してよい。1,2-プロピレンオキシド、エチレンオキシドまたは1,2-プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物を使用することが好ましい。
【0018】
ここでポリエーテルポリオール(b)は、50質量%~90質量%、好ましくは60質量%~85質量%、および特に65質量%~80質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b1)を含み、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b1)は、2官能性の開始分子に基づく120~300mgKOH/g、好ましくは150~250mgKOH/g、および特に好ましくは160~200mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、およびアルキレンオキシドの含有量に基づく60質量%~100質量%、好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは90質量%~100質量%のエチレンオキシド含有量、および特にエチレンオキシドのみを有し、および50%~100%、好ましくは90%~100%、および特に100%の割合の第1級OH基を有する。適した開始分子には、好ましくは、水または2価および3価アルコール、例えば、エチレングリコール、プロパン-1,2-または-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびブタン-1,4-ジオールが含まれる。
【0019】
成分(b)は、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~40質量%、および特に好ましくは20質量%~35質量%の少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b2)をさらに含み、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド(b2)は、2官能性および/または3官能性の開始分子、好ましくは3官能性の開始分子のみに基づく120~600mgKOH/g、好ましくは150~500mgKOH/g、および特に好ましくは150~400mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、およびアルキレンオキシドの含有量に基づいて0質量%~40質量%、好ましくは0質量%~20質量%のエチレンオキシド含有量、および特にプロピレンオキシドのみを有する。適した開始分子には、好ましくは、水または2価および3価アルコール、例えば、エチレングリコール、プロパン-1,2-または-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、グリセロール、およびトリメチロールプロパン、好ましくはグリセロールが含まれる。
【0020】
ポリエーテルオール(b1)および(b2)に加えて、各場合とも成分(b1)~(b3)の総質量に基づいて、0質量%~30質量%、好ましくは0質量%~15質量%、特に好ましくは0質量%~5質量%の、ポリエーテルオール(b1)および(b2)とは異なる少なくとも1種のさらなるポリアルキレンオキシド(b3)が存在してもよい。これは、好ましくは、2官能性から4官能性までの開始分子に基づく100~800mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。非常に好ましい実施形態では、ポリエーテルオール(b3)を使用しない。
【0021】
ポリエーテルオール(b1)および(b2)および任意の(b3)に加えて、ポリウレタン化学において慣例のさらなるポリオールを使用してよい。これは、250g/molより大きく、かつ好ましくは10000g/mol未満の分子量を有し、ポリエーテルポリオール(b1)~(b3)の定義に該当しないさらなるポリエーテルポリオール、およびポリエステルポリオール、およびイソシアネート反応性基を含み250g/molを超える分子量を有する他の化合物、例えばOH基含有のまたはアルコキシル化された脂肪、例えばヒマシ油またはアルコキシル化ヒマシ油または脂肪酸、例えばリシノール酸またはポリアミンを含む。
【0022】
ポリオール(b)中のポリエーテルポリオール(b1)~(b3)の割合は、成分(b)の総質量に基づいて、好ましくは70質量%~100質量%、特に好ましくは85質量%~100質量%、より好ましくは90質量%~100質量%、およびさらに好ましくは95質量%~100%である。特に、使用するポリオール(b)は、ポリオール(b1)、(b2)および任意の(b3)のみである。
【0023】
適した開始分子は、好ましくは、水または2価および3価アルコール、例えばエチレングリコール、プロパン-1,2-または-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、グリセロール、およびトリメチロールプロパンを含む。
【0024】
使用する発泡剤(c)は、水を含む発泡剤である。この場合、水は単独で、またはさらなる発泡剤と組み合わせて使用することができる。発泡剤(c)中の水の含有量は、発泡剤(c)の総質量に基づいて、好ましくは40質量%より多く、特に好ましくは60質量%より多く、および非常に特に好ましくは80質量%より多い。特に、唯一の発泡剤として水を使用する。水に加えて他の発泡剤を使用する場合、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロカーボン、酸および液体のまたは溶解した二酸化炭素を使用することが可能である。発泡剤(c)は、発泡剤(c)の総質量に基づいて、50質量%未満、より好ましくは20質量%未満、特に好ましくは10質量%未満、および特に0質量%のクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボンおよび/またはヒドロカーボンを含むことが好ましい。さらなる実施形態では、使用する発泡剤(c)は、水とギ酸および/または二酸化炭素との混合物であってよい。発泡剤をポリオール成分中により容易に分散させることができるようにするために、発泡剤(c)は、ジプロピレングリコールなどの極性化合物と混合することができる。
【0025】
発泡剤(c)は、成分(a)~(f)の反応によって形成される、強化剤(f)を含むポリウレタン接着剤(C)の密度が、40~800kg/m、好ましくは50~200kg/m、特に好ましくは60~120kg/mの範囲にあるような量で使用する。成分(b)~(e)の総質量に基づく水の含有量は、好ましくは0.3質量%~3質量%、特に好ましくは0.8質量%~2質量%である。
【0026】
鎖延長剤および/または架橋剤(d)もまた、接着剤(C)の調製に任意に使用してよい。鎖延長剤および/または架橋剤の添加は、ポリオール添加の前、ポリオール添加と同時に、またはポリオール添加の後に行ってよい。使用する鎖延長剤および/または架橋剤は、好ましくは250g/mol未満、特に好ましくは60~200g/molの分子量を有する物質であり、鎖延長剤は2個のイソシアネート反応性水素原子を有し、架橋剤は3個のイソシアネート反応性水素原子を有する。これらは個々にまたは混合物の形で使用してよい。鎖延長剤を使用する場合、プロパン-1,3-および-1,2-ジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびブタン-1,3-ジオールが特に好ましい。
【0027】
鎖延長剤、架橋剤またはこれらの混合物を使用する場合、これらはポリイソシアネートの質量に基づいて、ポリマーのイソシアネート反応性化合物および鎖延長剤および/または架橋剤に対して、1質量%~30質量%、好ましくは1.5質量%~20質量%、および特に2質量%~10質量%の量で便宜上使用し、好ましくは鎖延長剤および/または架橋剤を使用しない。
【0028】
使用する触媒(e)は、イソシアネート-水の反応またはイソシアネート-ポリオールの反応を促進する任意の化合物であってよい。このような化合物は既知であり、例えば、「Kunststoffhandbuch(プラスチックハンドブック)、第7巻、Polyurethane(ポリウレタン)」”、Carl Hanser Verlag、第3版1993年、第3.4.1章に記載されている。これらは、アミンベースの触媒および有機金属化合物に基づく触媒を含む。
【0029】
有機金属化合物に基づく使用可能な触媒として、例えば、有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキソエートおよびスズ(II)ラウレート、および有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテート、およびビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエートおよびビスマスオクタノエートまたはカルボン酸のアルカリ金属塩、例えばナトリウムアセテートまたはカリウムホルメートが挙げられる。
【0030】
使用する触媒(e)は、好ましくはアミン触媒、すなわち少なくとも1個の第3級窒素原子を含む少なくとも1種の化合物である。例には、アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-メチル-、N-エチル-、およびN-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、および好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、およびアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-およびN-エチルジエタノールアミン、およびジメチルエタノールアミンが含まれる。これらの第3級アミンは、OH、NHまたはNH基などのイソシアネート反応性基を有する化合物であってもよい。最も使用することが多い触媒のうちの一部は、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N-トリエチルアミノエトキシエタノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ジメチルエタノールアミン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾール、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジメチルアミノプロピルアミン、N-エチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセンおよびジアザビシクロノネンである。本発明の接着剤(C)からの触媒の低移動および/またはVOC化合物の低排出が所望される場合、組み込み可能な触媒を使用してもよい。触媒は完全に省いてもよい。
【0031】
触媒(e)としてアミン触媒のみを使用することが好ましい。成分(b)の質量に基づいて、0.001質量%~5質量%、特に0.05質量%~2質量%の触媒を使用することが好ましい。
【0032】
使用する助剤(f)は、例えば難燃剤、安定剤、増粘剤、充填剤および他の添加剤、例えば酸化防止剤であってよい。充填剤を少なくとも使用することが好ましい。
【0033】
使用する難燃剤は、一般に、先行技術から既知の難燃剤であってよい。適した難燃剤として、例えば、臭素化エーテル(Ixol B251)、臭素化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコールおよびPHT-4-ジオールおよび塩素化ホスフェート、例えばトリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3-ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェートおよびテトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
すでに述べたハロゲン置換ホスフェートとは別に、無機難燃剤、例えば赤リン、赤リンを含む調製物、膨張性グラファイト、アルミニウムオキシド水和物、アンチモントリオキシド、ヒ素オキシド、アンモニウムポリホスフェートおよびカルシウムサルフェートまたはシアヌル酸誘導体、例えばメラミン、または少なくとも2種の難燃剤の、例えばアンモニウムポリホスフェートとメラミンとの混合物、および任意にデンプンを使用して、本発明により製造される硬質ポリウレタンフォームを難燃剤にすることも可能である。使用するさらなる液体のハロゲン非含有難燃剤は、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルホスフェート(DPC)などでよい。
【0035】
本発明の目的のための難燃剤は、成分(b)~(e)の総質量に基づいて、0%~25%の量で使用することが好ましい。
【0036】
「安定剤」とは、発泡中に規則的な気泡構造の形成を促進する物質をいう。例として、シリコーン含有泡安定剤、例えばシロキサン-オキシアルキレンコポリマーおよび他のオルガノポリシロキサンが挙げられる。さらに、脂肪アルコール、オキソアルコール、脂肪族アミン、アルキルフェノール、ジアルキルフェノール、アルキルクレゾール、アルキルレゾルシノール、ナフトール、アルキルナフトール、ナフチルアミン、アニリン、アルキルアニリン、トルイジン、ビスフェノールA、アルキル化ビスフェノールA、ポリビニルアルコールのアルコキシル化生成物、およびさらにホルムアルデヒドとアルキルフェノールとの、ホルムアルデヒドとジアルキルフェノールとの、ホルムアルデヒドとアルキルクレゾールとの、ホルムアルデヒドとアルキルレゾルシノールとの、ホルムアルデヒドとアニリンとの、ホルムアルデヒドとトルイジンとの、ホルムアルデヒドとナフトールとの、ホルムアルデヒドとアルキルナフトールとの、およびホルムアルデヒドとビスフェノールAとの縮合生成物のアルコキシル化生成物、またはこれらの泡安定剤の2種以上の混合物が挙げられる。
【0037】
泡安定剤は、成分(b)~(e)の総質量に基づいて、0.5質量%~4質量%、特に好ましくは0.5質量%~3質量%の量で使用することが好ましい。
【0038】
使用する増粘剤は、成分(a)~(f)の混合後に反応混合物の粘度を急速に増加させる一方で、反応混合物の流動性を維持する物質である。これは、500g/mol未満の分子量と、イソシアネートとの反応において、成分(b)からの化合物のイソシアネート反応性基よりも反応性の高い2個のイソシアネート反応性基とを有する化合物によって達成される。一般に、第1級OH基は第2級OH基よりも反応性が高く、アミノ基はOH基よりも反応性が高い。増粘剤により、イソシアネートが増粘剤と優先的に反応することが確実となる。これは分子量の急速な増加をもたらし、よって急速な粘度の増加をもたらすが、架橋またはその大きな分子量に起因して硬化をもたらす分子をもたらさない。増粘剤は、58~350g/mol、特に好ましくは100~350g/molの分子量を有することが好ましい。イソシアネート反応性基として、ここで増粘剤は2個の第1級アミノ基を有することが好ましく、そのそれぞれは第1級または第2級および脂肪族または芳香族であってよい。特に好ましい実施形態では、第1級アミノ基のアミノ基は、芳香族炭素原子に、好ましくは芳香族6員環に結合している。特に、使用する増粘剤(d)は、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミンおよびポリエーテルアミンである。
【0039】
充填剤、特に強化充填剤は、それ自体既知の慣例の有機および無機充填剤を意味すると理解される。具体的な例として、無機充填剤、例えばケイ質ミネラル、例えばアンチゴライト、蛇紋石、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル、タルクなどのフィロシリケート;金属オキシド、例えばカオリン、アルミニウムオキシド、チタンオキシドおよび鉄オキシド、金属塩、例えばチョーク、重晶石および無機顔料、例えばカドミウムスルフィド、亜鉛スルフィド、およびガラスなどが挙げられる。カオリン(陶土)、アルミニウムシリケートおよびバリウムサルフェートとアルミニウムシリケートとの共沈物、および天然および合成の繊維ミネラル、例えばウォラストナイト、および金属製の、特にガラス製の様々な長さの繊維(これらは任意にサイズ化されていてよい)を使用することが好ましい。有用な有機充填剤の例には、炭素、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂およびグラフトポリマー、および芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸エステルから誘導されるセルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン繊維およびポリエステル繊維、および特に炭素繊維が含まれる。
【0040】
無機および有機充填剤は、個々にまたは混合物として使用してよく、成分(b)~(e)の質量に基づいて、0質量%~80質量%、特に好ましくは20質量%~75質量%、および特に40質量%~70質量%の量で、反応混合物に有利に組み込まれる。
【0041】
60質量%の有機充填剤を有する接着剤(C)の、DIN EN ISO1716に準拠した発熱量は、好ましくは最大で20MJ/kg、特に好ましくは最大で18MJ/kg、および特に最大で15MJ/kgである。さらに、充填剤を使用しない接着剤(C)の、DIN EN ISO1716に準拠した発熱量は、最大で30MJ/kg、特に好ましくは最大で28MJ/kg、および特に最大で26MJ/kgである。
【0042】
外層(A)として、石膏プラスターボード、ガラスタイル、アルミニウムホイル、アルミニウムシート、銅シートまたは鋼シート、好ましくはアルミニウムホイル、アルミニウムシートまたは鋼シート、特に好ましくは鋼シートを使用してよい。鋼シートは、例えば慣例の耐食性コーティングでコーティングされていてもよく、コーティングされていなくてもよい。これらは好ましくはコロナ処理されていない。
【0043】
従来のサンドイッチ要素において、熱絶縁材料は下方のおよび上方の外層で包み込まれている。製造のために、両方の外層を熱絶縁材料に接合しなければならない。さらに、熱絶縁材料(B)は、本発明の接着剤(C)と接合されている複数の層から構成されてもよい。熱絶縁材料の個々の層の接合および/または熱絶縁材料の外層、例えば上方の外層への接合のために、接着剤(C)を外層または熱絶縁材料に適用してよい。
【0044】
本発明の方法に使用する熱絶縁材料(B)の例として、有機熱絶縁材料、例えば発泡プラスチックの市販のパネル、例えば発泡ポリスチレン(EPS、XPS)、発泡PVC、発泡ポリウレタンまたはメラミン樹脂発泡体、または好ましくは無機熱絶縁材料、例えば従来のミネラル絶縁材料が挙げられる。このようなミネラル絶縁材料は、ミネラルウールおよび/またはストーンウールから作られた熱絶縁材料を、例えば不織としてまたはパネルの形態で、含むことが好ましい。使用する熱絶縁材料(B)は、特にグラスウールまたはストーンウールなどのミネラルウールのパネルである。
【0045】
本発明の一実施形態では、本発明の接着剤(C)を、エアロゲル絶縁系の製造における接合に使用する。この系は、エアロゲル含有材料、例えばエアロゲル複合体、および/またはエアロゲル、および非エアロゲル含有絶縁材料および/または非絶縁材料の層、例えば外層(A)を含む。
【0046】
エアロゲルは、相互接続している構造の骨格を含む連続気泡を有する多孔質材料の種類であり、相互接続している構造の骨格は、該骨格に統合され、主にガス、例えば空気からなる細孔のネットワーク内に間質相を有する、対応する細孔のネットワークを有する。エアロゲルは、典型的には、低密度、高多孔度、大きな表面積および小さな細孔径によって特徴付けられる。低密度のエアロゲル材料は、最良の利用可能な固体絶縁材料であると広く考えられている。エアロゲルは、主に、伝導(低構造密度は固体骨格を介したエネルギー伝達のための曲がりくねった経路をもたらす)、対流(大きな細孔容積体積および非常に小さな細孔径は最小の対流をもたらす)、および放射(IR吸収または散乱ドーパントは、エアロゲルマトリックス全体に容易に分散される)を最小化することによって、絶縁材料として機能する。エアロゲルは、以下を含む幅広い用途において使用することができる:加熱および冷却の絶縁、遮音、電子誘電体、航空、エネルギーの貯蔵と生成、およびろ過。エアロゲル材料はさらに、他の多くの興味深い音響的、光学的、機械的および化学的な特性を示し、様々な絶縁および非絶縁用途において大いに有用である。
【0047】
エアロゲルは、その物理的および構造的特性によって他の多孔質材料と区別することができる。本開示において、「エアロゲル」または「エアロゲル材料」という用語は、相互接続している構造の骨格(ゲルまたはエアロゲルの固体構造を形成する、相互接続しているオリゴマー、ポリマー、またはコロイド粒子のネットワーク)を含むゲルを指し、この相互接続している構造の骨格は、基礎構造に統合され、分散した間質媒体としてガス、例えば空気を含有する、対応する相互接続している細孔のネットワークを有する。該ゲルは、エアロゲルに起因する以下の物理的および構造的特性(窒素ポロシメトリー試験による)によって特徴づけられる:(a)およそ2nm~およそ100nmの範囲の平均細孔直径、(b)少なくとも80%以上の多孔度および(c)およそ20m/g以上の表面積。従って本開示のエアロゲル材料は、前の段落で説明した定義要素を満たし、そうではないキセロゲル、クリオゲル、アンビゲル、微孔性材料などに分類される組成物を含む、あらゆるエアロゲルまたは他の連続気泡組成物を包含する。エアロゲル材料は、以下を含むさらなる物理的特性によってさらに特徴付けることもできる:(d)およそ2.0ml/g以上、好ましくはおよそ3.0ml/g以上の細孔容積、(e)およそ0.50g/cm以下、好ましくはおよそ0.25g/cm以下の密度、および(f)全細孔容積の少なくとも50%が、2~50nmの細孔直径を有する細孔。しかしこれらのさらなる特性を満足することは、エアロゲル材料としての組成物の特性付けに必要ではない。
【0048】
エアロゲル材料は、本質的に連続しているおよび相互接続している構造の骨格および細孔ネットワークを有する材料の本質的に一片のシートとして、またはブロックとして形成されていてよい。エアロゲル材料は、一緒に組み合わせまたは圧縮することができるが、個々の微粒子の間で相互接続している構造のエアロゲル骨格および細孔ネットワークが欠けている、粒子、微粒子、顆粒、ビーズ、または粉末の形態のエアロゲル材料を含む微粒子状のエアロゲル材料として形成されていてもよい。
【0049】
エアロゲル材料は、以下を含む様々な複合材料に組み込むことができる:繊維強化エアロゲル複合体;添加された要素、例えば乳白剤を含むエアロゲル複合体;エアロゲル粒子、微粒子、顆粒、ビーズまたは粉末が、固体または半固体材料、例えばバインダー、樹脂、セメント、発泡体、ポリマーまたは類似の固体材料に組み込まれている複合材料。
【0050】
エアロゲル材料は、より柔軟であり、より丈夫であり、より適合性のある複合体生成物を得るために、様々な繊維強化材料で繊維強化することができる。繊維強化材料は、濡れた繊維状ゲル組成物を生成するために、ゲル形成プロセスの任意の時点でゲルに添加してよい。次いで、濡れたゲル組成物を乾燥させて、繊維強化エアロゲル複合体生成物を製造することができる。繊維強化材料は、別個の繊維、織物、不織、詰め物(batting)、ウェブ、マット、およびフェルトの形態をとることができる。繊維強化材は、有機繊維材料、無機繊維材料またはこれらの組み合わせから製造してよい。
【0051】
好ましい実施形態では、不織繊維強化材料は、相互接続しているまたは織り合わされている繊維強化材料の連続したシートとしてエアロゲル材料に組み込まれる。プロセスは、最初に、相互接続しているまたは織り合わされている繊維強化材料の連続したシートにゲル前駆体溶液を流し込むまたは含浸させることによって、繊維強化ゲルの連続したシートを製造することを含む。次いで、シート状の繊維強化エアロゲル複合体生成物を製造するために、液相を繊維強化ゲルシートから少なくとも部分的に抽出することができる。
【0052】
エアロゲル材料はまた、熱伝達の放射成分を低減するために乳白剤を含んでもよい。乳白化化合物またはその前駆体は、ゲル形成前の任意の時点で、ゲル前駆体を含む混合物中に分散させてよい。乳白化化合物の例には以下が含まれるが、これらに限定されない:炭化ホウ素[BC]、珪藻土、マンガンフェライト、MnO、NiO、SnO、AgO、Bi、カーボンブラック、チタンオキシド、鉄チタンオキシド、アルミニウムオキシド、ジルコニウムシリケート、ジルコニウムオキシド、鉄(II)オキシド、鉄(III)オキシド、二酸化マンガン、鉄チタンオキシド(イルメナイト)、クロムオキシド、カーバイド(例えばSiC、TiCまたはWC)またはこれらの混合物。乳白化化合物の前駆体の例には以下が含まれるが、これらに限定されない:TiOSOまたはTiOCl
【0053】
本開示のエアロゲル材料およびエアロゲル複合体は一般に、非常に低い熱伝導率特性を含む優れた熱絶縁特性を有する。本開示において、「熱伝導率」および「TC」という用語は、材料のまたは組成物の、どちらかの側の2つの表面間で、2つの表面間の温度差の存在下において熱を伝達する材料のまたは組成物の能力の測定を指す。熱伝導率は特に、単位時間あたりおよび表面積あたりに伝達された熱エネルギーを温度差で除したものとして測定される。典型的には、SI単位でmW/mK(ミリワット/メートルケルビン)として測定される。本開示において、熱伝導率測定は、特に明記しない限り、ASTM C177規格に準拠して、大気圧でおよそ37.5℃の温度で、およそ2psiの圧縮で記録される。本開示のエアロゲル材料または複合体は、およそ30mW/mK以下、およそ25mW/mK以下、およそ20mW/mK以下、およそ18mW/mK以下、およそ16mW/mK以下、およそ14mW/mK以下、およそ12mW/mK以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の熱伝導率を有することが好ましい。
【0054】
本開示のエアロゲル材料またはエアロゲル複合体は、一般に非常に低い密度を有する。本開示において、「密度」という用語は、単位体積あたりの質量の測定を指す。「密度」という用語は一般に、エアロゲル材料の真密度、およびエアロゲル材料の充填密度にも関する。エアロゲル材料のまたはエアロゲル複合体の密度は、特に明記しない限り、ASTM C167規格に準拠して測定することができる。本開示のエアロゲル材料またはエアロゲル複合体は、およそ0.60g/cm以下、およそ0.40g/cm以下、およそ0.30g/cm以下、およそ0.20g/cm以下、およそ0.15g/cm以下、およそ0.12g/cm以下、およそ0.10g/cm以下、およそ0.05g/cm以下、およそ0.01g/cm以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の密度を有することが好ましい。
【0055】
エアロゲル材料またはエアロゲル複合体は、親水性(高吸水性)であってよい。しかしながら本開示のエアロゲル材料は、改善された疎水性(低吸水率)を有するように変更されていてよい。本開示において、「疎水性」という用語は、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が水をはじく能力の測定を指す。本開示において、「疎水性」という用語は、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が水をはじく能力の測定を指す。エアロゲル材料またはエアロゲル複合体の疎水性は、液体の水の取り込みに関して表すことができ、これは、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が液体の水を吸収、またはそうでなければ保持する可能性である。液体の水の取り込みは、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が特定の測定条件下で液体の水に曝されたときに、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が吸収、またはそうでなければ保持する水の割合(質量または体積に基づく)として表すことができる。本開示において、液体の水の取り込みの測定は、特に明記しない限り、ASTM C1763規格に準拠して記録する。本開示のエアロゲル材料またはエアロゲル複合体は、およそ30質量%以下、およそ20質量%以下、およそ15質量%以下、およそ10質量%以下、およそ8質量%以下、およそ3質量%以下、およそ2質量%以下、およそ1質量%以下、およそ0.1質量%以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲に、ASTM C1763に準拠した液体の水の取り込みを示してよい。エアロゲル材料またはエアロゲル複合体の疎水性は、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が水蒸気を吸収する可能性の測定に関連する、水蒸気の取り込みに関連して表すことができる。水蒸気の取り込みは、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が特定の測定条件下で水蒸気に曝されたときに、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体が吸収、またはそうでなければ保持される水の割合(質量に基づく)として表すことができる。本開示において、特に明記しない限り、水蒸気の取り込みの測定は、ASTM C1104規格に準拠して記録する。本開示のエアロゲル材料またはエアロゲル複合体は、およそ30質量%以下、およそ20質量%以下、およそ15質量%以下、およそ10質量%以下、およそ8質量%以下、およそ3質量%以下、およそ2質量%以下、およそ1質量%以下、およそ0.1質量%以下、またはこれらの2つの値の間の範囲に、水蒸気の取り込みを好ましくは示してよい。エアロゲル材料またはエアロゲル複合体の疎水性は、材料の表面との界面における水滴の平衡接触角を測定することによって表すことができる。本開示のエアロゲル材料またはエアロゲル複合体は、およそ130°以上、およそ140°以上、およそ150°以上、およそ160°以上、およそ170°以上、およそ175°以上またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の水接触角を示してよい。
【0056】
本開示において、「燃焼熱」および「HoC」という用語は、エアロゲル材料またはエアロゲル複合体の燃焼時に放出される熱エネルギーの量の測定を指す。燃焼熱は典型的には、エアロゲル材料1グラムあたりに放出される熱エネルギーのカロリー(cal/g)で、またはエアロゲル材料またはエアロゲル複合体1キログラムあたりに放出される熱エネルギーのメガジュール(MJ/kg)として測定される。本開示において、燃焼熱の測定は、特に明記しない限り、ISO1716規格に匹敵する条件下で記録する。本開示のエアロゲル材料またはエアロゲル複合体は、およそ717cal/g以下、およそ700cal/g以下、およそ650cal/g以下、およそ600cal/g以下、およそ575cal/g以下、およそ550cal/g以下、およそ500cal/g以下、およそ450cal/g以下、およそ400cal/g以下、およそ350cal/g以下、およそ300cal/g以下、およそ250cal/g以下、およそ200cal/g以下、およそ150cal/g以下、およそ100cal/g以下、およそ50cal/g以下、およそ25cal/g以下、およそ10cal/g以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の燃焼熱を好ましくは示してよい。
【0057】
エアロゲルは、相互接続しているオリゴマー、ポリマーまたはコロイド粒子を典型的に含む相互接続している構造の骨格として記載される。エアロゲル骨格は、以下を含む前駆体材料の範囲から作ることができる:無機前駆体材料(例えば、二酸化ケイ素ベースのエアロゲルを製造するときに使用する前駆体など);有機前駆体材料(例えば、炭素ベースのエアロゲルを製造するときに使用する前駆体など);ハイブリッド無機/有機前駆体材料;およびこれらの組み合わせ。本開示において、「アマルガムエアロゲル」という用語は、少なくとも2種の異なるゲル前駆体の組み合わせから製造されたエアロゲルを指す。
【0058】
無機エアロゲルは一般に、金属オキシドまたは金属アルコキシド材料から形成される。金属オキシドまたは金属アルコキシド材料は、オキシドを形成することができる任意の金属のオキシドまたはアルコキシドに基づいてよい。そのような金属には、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、バナジウム、セリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。無機二酸化ケイ素エアロゲルは、従来、二酸化ケイ素ベースのアルコキシド(例えば、テトラエトキシシランなど)の加水分解および縮合によって、またはシリカまたは水ガラスからのゲル形成によって製造される。二酸化ケイ素ベースのエアロゲル合成に関連する他の無機前駆体材料には、金属シリケート、例えばナトリウムシリケートまたはカリウムシリケート、アルコキシシラン、部分的に加水分解されたアルコキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、部分的に加水分解されたTEOS、TEOSの縮合ポリマー、テトラメトキシシラン(TMOS)、部分的に加水分解されたTMOS、TMOSの縮合ポリマー、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-プロポキシシランの部分的に加水分解されたおよび/または縮合されたポリマー、ポリエチルシリケート、部分的に加水分解されたポリエチルシリケート、モノマーのアルキルアルコキシシラン、ビストリアルコキシアルキル-または-アリールシラン、多面体シルセスキオキサンまたはこれらの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。本開示の特定の実施形態において、およそ1.9~2の水/二酸化ケイ素比で加水分解されたSilbond H-5(SBH5、Silbond Corp社)などの予め加水分解されたTEOSは、市販の形態で使用してよく、またはゲル化プロセスに組み込む前にさらに加水分解されてよい。部分的に加水分解されたTEOSまたはTMOS、例えばポリエチルシリケート(Silbond40)またはポリメチルシリケートも、市販の形態で使用してよく、またはゲル化プロセスに組み込む前にさらに加水分解されてもよい。
【0059】
無機エアロゲルは、少なくとも1種の疎水性基、例えばアルキル金属アルコキシド、シクロアルキル金属アルコキシドおよびアリール金属アルコキシドを含むゲル前駆体を含んでもよく、このゲル前駆体は、ゲルに特定の特性を与えることができ、または例えば安定性および疎水性などの特性を改善することができる。無機二酸化ケイ素エアロゲルは、疎水性前駆体、例えばアルキルシランまたはアリールシランを特に含んでよい。疎水性ゲル前駆体は、ゲル材料の骨格を形成するために主要な前駆体材料として使用してもよい。しかしながら、疎水性ゲル前駆体は通常、アマルガムエアロゲルの形成において、単純な金属アルコキシドと組み合わせて共前駆体として使用される。二酸化ケイ素ベースのエアロゲル合成用の疎水性無機前駆材料には、以下が含まれるが、これらに限定されない:トリメチルメトキシシラン[TMS]、ジメチルジメトキシシラン[DMS]、メチルトリメトキシシラン[MTMS]、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン[DMDS]、メチルトリエトキシシラン[MTES]、エチルトリエトキシシラン[ETES]、ジエチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン[PhTES]、ヘキサメチルジシラザンおよびヘキサエチルジシラザンなど。
【0060】
本開示のエアロゲル材料は、好ましくは、シリコンアルコキシドから形成された加水分解シリケートエステルのアルコール溶液から主に形成された無機二酸化ケイ素エアロゲルである。
【0061】
有機エアロゲルは一般に、炭素ベースのポリマー前駆体から形成される。このようなポリマー材料には以下が含まれるが、これらに限定されない:レゾルシノール-ホルムアルデヒド(RF)、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリレートオリゴマー、ポリオキシアルキレン、ポリウレタン、ポリフェノール、ポリブタジエン、トリアルコキシシリル末端ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフルフラール、メラミン-ホルムアルデヒド、クレゾール-ホルムアルデヒド、フェノール-フルフラール、ポリエーテル、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリヒドロキシベンゼン、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、様々なエポキシド、寒天、アガロース、アルギネート、キトサン、およびこれらの組み合わせ。例えば、有機RFエアロゲルは、典型的には、アルカリ性条件下でのレゾルシノールまたはメラミンとホルムアルデヒドとのゾル-ゲル重合から生成される。
【0062】
接合する前に、ポリウレタン接着剤(C)の成分を、例えばポリウレタン化学で既知の混合装置、例えば高圧または低圧ミキサーを使用して混合する。この場合、2成分法を使用することが可能である。このために、成分は典型的には、イソシアネート指数が80~400、好ましくは90~200、特に好ましくは100~140の範囲になるような比率で混合する。
【0063】
本発明において、イソシアネート指数は、イソシアネート基のイソシアネート反応性基に対する化学量論比に100を乗じたものを意味するとここでは理解される。「イソシアネート反応性基」とは、反応混合物中に存在するあらゆるイソシアネート反応性基(化学的発泡剤を含むが、イソシアネート基自体は含まない)を意味するとここでは理解される。
【0064】
本発明において、熱絶縁材料の接合は、同じ種類の熱絶縁材料の互いの接合、および熱絶縁材料(B)の他の材料、例えば異なる種類の熱絶縁材料または他の材料、例えば外層(A)への接合を意味すると、ここでは理解される。外層(A)の熱絶縁材料(B)への、または熱絶縁材料の互いの接合は制限されず、非連続的または連続的プロセスの両方で行うことができる。そのような方法は既知である。
【0065】
特に好ましい実施形態では、外層(A)を熱絶縁材料(B)に接合する。外層(A)を熱絶縁材料(B)に接合するために、接着剤(C)を外層(A)に、または熱絶縁材料(B)に適用してよい。接着剤(C)は、好ましくは外層(A)に適用する。接着剤は、任意の既知の適用法、例えば、ナイフコーティング、スプレー、または回転する平坦体などの適用器具によって適用してよい。回転する平坦体を使用するこのような適用法は、例えばEP1896259に記載されている。これは通常、30~300g/m、好ましくは40~200g/m、および特に50~150g/mの量で行う。
【0066】
本発明のさらなる実施形態では、熱絶縁材料(B)の層を互いに接合する。絶縁層の接合に使用する絶縁材料層(B)は、好ましくはエアロゲル材料またはエアロゲル複合材料である。
【0067】
エアロゲル複合体は、あらかじめ様々な樹脂または接着剤を使用して他の材料にすでに接合されている。あらかじめ使用されていた樹脂または接着剤の例には、以下が含まれる:エポキシド;シアノアクリレート;フェノール系熱硬化性樹脂;ポリエーテルエーテルケトン;カプロラクタム;セメントベースの接着剤;シリケート、例えばナトリウムシリケートおよびカリウムシリケート;ラテックス;シリコーン;ポリスチレン;ポリイミド;ポリウレアシラザン;ポリブタジエン;ウレタン;アクリレート接着剤;およびゴム樹脂接着剤。
【0068】
しかしながら、あらかじめ使用されたどの接着剤を用いても、本開示の新規材料における物理的特性の組み合わせを示す多層エアロゲル複合体絶縁系の生成は不可能である。本発明の接着剤(C)の使用により、熱伝導率、燃焼熱および横方向引張強度の新規の組み合わせを有する多層エアロゲル複合体絶縁系が生成される。本発明の好ましい一実施形態では、多層エアロゲル複合体熱絶縁系は、以下の特性を示す:1)12~25mW/mK、好ましくは14~22mW/mK、および特に好ましくは14~20mW/mKの熱伝導率;2)750cal/g以下、好ましくは717cal/g以下、特に好ましくは700cal/g以下、および特に好ましくは650cal/g以下の燃焼熱;および3)5kPa以上、好ましくは7.5kPa以上、特に好ましくは10kPa以上、特に好ましくは12.5kPa以上、および特に好ましくは15kPa以上の横方向引張強度。
【0069】
本発明の接着剤(C)は直接適用法を使用して、例えば、へら、ブラシ、ローラー、ドクターブレードまたは同等の直接適用ツールおよび技術を使用して、エアロゲル複合体層の表面に適用することができる。あるいは適用は、スプレーまたはエアロゾル化装置を使用して、例えば接着剤をポンプにかけ、混合および噴霧するように設計された多成分スプレー装置を使用する連続スプレー法を使用して達成することができる。代替として、上記のような回転適用器具を使用してもよい。
【0070】
本発明の一実施形態では、本開示の接着剤(C)をエアロゲル複合体を含む少なくとも1つの層の表面に適用し、その後続いてエアロゲル複合体層を第2の材料層に接合することによって、多層絶縁系を製造する。
【0071】
本開示のさらなる実施形態において、接着剤(C)を少なくとも2つのエアロゲル複合体層の1つ以上の表面に適用し、その後続いて少なくとも2つのエアロゲル複合体層を接合して多層エアロゲル複合体パネルを形成することにより、多層絶縁系を製造する。多層エアロゲル複合体パネルは、さらなる量の本開示のポリウレタン接着剤を使用して、さらなる層または表面、例えば外層(A)にさらに接合してもよい。
【0072】
本開示の好ましい実施形態では、エアロゲル複合体を含む2つ以上の層の表面にポリウレタン接着剤を適用し、その後続いて少なくとも2つのエアロゲル複合体層を接合して多層エアロゲル複合体パネルを形成することによって、多層熱絶縁系を製造する。ここで使用する接着剤は、エアロゲル複合体層からパネルを製造するために用いられる、ポリウレタン接着剤(C)である。多層エアロゲル複合体パネルは、高い横方向引張強度を有することが好ましい。本開示において、「横方向引張強度」という用語は、材料の可視面に垂直な、材料の引張強度の測定を指す。横方向引張強度は典型的にはkPaで示され、特に明記しない限り、EN1607規格に準拠して測定することができる。本開示の多層熱絶縁系またはパネルは、3kPaを超える、5kPaを超える、7.5kPaを超える、10kPaを超える、12.5kPaを超える、15kPaを超える、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲の横方向引張強度を有することが好ましい。
【0073】
本発明の複合要素は、例えば熱絶縁材料(B)と外層(A)との間、または互いに接合された熱絶縁材料(B)の層の間で、非常に高い接着性を有する。これらはさらに、非常に高い耐火性を有する。最後に、良好な強度を有する接合には少量の接着剤(C)でさえも十分であり、その結果、複合要素の耐火性は、従来技術の複合要素と比較してさらに改善される。
【0074】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0075】
以下の原料を使用した:
ポリオール1:ポリプロピレンオキシドトリオール、OH価400mgKOH/g
ポリオール2:ポリプロピレンオキシドジオール、OH価190mgKOH/g
ポリオール3:ポリプロピレンオキシドトリオール、OH価160mgKOH/g
ポリオール4:OH価315mgKOH/gおよびOH官能価2.0を有する、Stepan社の芳香族ポリエステルオール(PS-3152)
ポリオール5:ポリエチレンオキシドジオール、OH価190mgKOH/g
アミン触媒:トリエチレンジアミン、ジプロピレングリコール中33%
充填剤:Omya and Evonik Industr.社の炭酸カルシウム粒子とシリカ粒子との組み合わせ、質量比炭酸カルシウム98.8%対シリカ1.2%
安定剤:シリコーン安定剤
分散剤:Omya and Evonik Industries社の炭酸カルシウム粒子とシリカ粒子との組み合わせ分散剤、質量比炭酸カルシウム98.8%対シリカ1.2%
イソシアネート:25℃でおよそ200mPasの25℃での粘度を有する、MDIとMDIの高級多環式同族体との混合物
【0076】
接着剤を表1に従って調製し、室温でビーカー試験を使用して、その硬化挙動を分析し測定した。このために、ポリオール成分を表に従って調製し、イソシアネート指数110でイソシアネートと混合した。粘度は、成分(b)~(f)を混合した直後に測定した。
【0077】
引張強度および弾性係数を測定するために、100×100×95mmの寸法を有するミネラルウールの立方体を、電気加熱した立方体の型(100×100×95.5mm)内で、100×100×0.7mmの寸法を有する鋼製の金属外層に反対側で接合し、サンドイッチ立方体を作成した。この目的のため、均質化の直後にドクターブレードを使用して2つの金属シートの表面に配合物を適用し、計量によって適用率を測定した。最初の金属シートを濡れた側を上に向け、40℃に加熱した型内にすぐに配置した。その後続いて、ミネラルウール、およびその後、濡れた表面を下に向けた第2の金属シートを型に入れ、型を閉じた。A成分とB成分との混合を開始してから5分後に、サンドイッチ立方体を離型した。試験系列ごとに2つのサンドイッチ立方体を作成した。
【0078】
24時間後、立方体を金属の外層に平行な2cmの距離で切り離し、立方体1個につきそれぞれ100×100×20mmの寸法を有する2個の試験片を得た。このように、試験系列1つにつき各場合とも4個の試験片を試験した。表に報告する値は、4つの測定の平均値である。
【0079】
外層に垂直な引張試験は、EN1607に準拠し、Zwick GmbH&Co.社のZ1474万能試験機を使用して、50Nの予備力を試験片に適用し、その後続いて、破損が発生するまで1mm/分の試験速度で力を測定することにより行った。試験片は、過剰のコンパクト2成分ポリウレタン接着剤を使用して、試験機に取り付けられたマウント(クロスヘッド)に接合して、室温で最低12時間硬化させた。
【0080】
切れ目の個々の外観を視覚的に評価した。これは、表2の分類に従って行った。表1に、個々の視覚的評価の平均値を報告する。特に明記しない限り、数値は質量部に基づく。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
報告する値から明らかであるように、使用したポリオールの組み合わせによって、接着剤の適用率は、既知のポリオールの組み合わせよりも低減することが可能となり、同時に接着性がなおさらに向上する。これは良好な引張強度および破損の外観の優れた視覚的評価によって明確である。本発明のポリウレタン接着剤はさらに、許容可能な粘度および優れた燃焼挙動を示す。
【0084】
実施例3
実施例1からの接着剤を使用して多層積層体を製造した。このために、SpaceloftA2エアロゲル複合体(Aspen Aerogels,Inc.社の公称厚さ10mmを有する低燃焼エアロゲル絶縁材)の複数の試片(coupon)を提供した。次いで、実施例1の接着剤を、別個のSpaceloftA2試片の上面に、100g/mの装填量で、直接適用法(へら、ブラシ、ローラー、ドクターブレードなど)を使用して適用した。しかしながらあるいは、2成分PU接着剤の適用は、100%の固形分を有する接着剤をポンプにかけ、混合および噴霧するように設計された多成分スプレー装置を使用する連続スプレー法を使用して達成することもできる。直接法またはスプレー法を介して、2成分混合物でコーティングしてある別個のDiscrete SpaceloftA2試片を、次に組み立てて多層パネルを得て、最大で2.5psiの荷重で圧縮し、室温で60分以下の時間硬化させた。
【0085】
このような方式で製造した20mmのSpaceloftA2パネルは、12kPaの横方向引張強度を示し、主に基材の破損を示し、接着剤層の破損は示さなかった。100g/mの公称接着剤質量で製造されていたパネルは、基本的なエアロゲル絶縁ブランケットに対して10%以下の熱伝導率の増加を示し、12~25mW/mKの、特に好ましくは14~20mW/mKの熱伝導率を有していた。
【0086】
比較例7
不燃性エアロゲルベースの絶縁ブランケットであるSpaceloftA2の多層積層体を、無機接着剤を使用して製造した。具体的には、測定値20×20mmの、厚さ10mmの絶縁試験片の一連を、積層間の各界面に希カリウムシリケート(Kasil1)を適用して接合し、20~50mmの厚さの絶縁積層体1片を形成した。標準のHVLPスプレーまたは直接適用法を使用して、シリケートベースの接着剤を複合体エアロゲルの表面に適用した。最終的なパネルの接合強度を改善するために、2.5psi以下の荷重で一軸圧縮下で、濡れた接着剤を用いて組み立てられたパネルを硬化させた。水性シリケート接着剤の硬化を行うために、複合体エアロゲルと濡れた接着剤との多層ユニットを、加圧下120℃で、対流式オーブン内で最低12時間放置して乾燥させた。あるいは、シリケート接着剤の硬化および乾燥は、誘電加熱を使用して20分以内で行うことができた。
【0087】
このような方式で製造したSpaceloftA2パネルの横方向引張強度を、公称乾燥接着剤質量の関数として以下に示す。残念ながら多層パネルは、外部絶縁ファサード系(EIFS)における使用に関するETAG004で推奨されている値よりも著しく低い、EN1607に準拠した横方向引張強度の値を示した。
【0088】
【表3】
【0089】
カリウムシリケートを使用して製造し得られたSpaceloftA2の20mmパネルの熱伝導率を、25~200g/mの乾燥荷重で測定した。得られた多層積層体の熱伝導率の値は、基本的な絶縁ブランケットで観察される値に対して、10%以下の上昇を示した。50g/mの公称乾燥接着剤質量を使用して製造したSpaceloftA2の20mm接合パネルの燃焼熱の値も、ISO1716に記載されている方法で測定した。このような方式で製造したパネルは、2.2MJ/kgの燃焼熱の値の平均値(複合体全体に対して)、基本的な絶縁ブランケットで測定した値よりも低い値を示した。