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特許7391942半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法
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  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図1
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図2
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図3
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図4A
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図4B
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図4C
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図5
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図6A
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図6B
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図7
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図8
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図9
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラムおよび基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20231128BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01L21/268 T
H01L21/268 Z
H01L21/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021506832
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2019011062
(87)【国際公開番号】W WO2020188675
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 賢次
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】廣地 志有
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 愛彦
(72)【発明者】
【氏名】原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 正昭
(72)【発明者】
【氏名】山口 英人
(72)【発明者】
【氏名】村田 等
(72)【発明者】
【氏名】西堂 周平
(72)【発明者】
【氏名】木村 一洋
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/056148(WO,A1)
【文献】特開2009-302213(JP,A)
【文献】特開平01-204114(JP,A)
【文献】特開2011-199258(JP,A)
【文献】特開2000-223435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
H01L 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記第1基板の上方に配置された断熱板と、孔が設けられ、前記断熱板の上方に配置された天井板と、が基板保持具に保持され、前記断熱板を、電磁波によって前記第1基板を処理する処理温度まで加熱し、前記基板保持具の上部に設けられた放射温度計によって前記処理温度に到達するまでの前記断熱板の温度変化を前記天井板の前記孔を介して測定する第1工程と、
前記放射温度計の検知光を透過しない材料により構成されるチップが設置された第2基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記チップが設置された第2基板の上方に配置された孔開き断熱板と、孔が設けられ、前記孔開き断熱板の上方に配置された前記天井板と、が前記基板保持具に保持され、前記チップが設置された第2基板を、前記電磁波によって前記処理温度まで加熱し、前記放射温度計によって前記処理温度に達するまでの前記チップの温度変化を前記天井板の前記孔と前記断熱板の前記孔を介して測定する第2工程と、
前記断熱板の温度変化の測定結果と前記チップの温度変化の測定結果によって前記断熱板と前記チップの温度変化の相関関係を取得する工程と、
前記放射温度計が測定する前記断熱板の温度と前記相関関係とを基に前記電磁波によって第3基板を加熱する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記チップは石英により構成される石英チップであって、前記第2工程では、前記石英チップの温度変化を測定する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記断熱板は、少なくとも1つの前記第3基板を挟み込むように2つ以上前記基板保持具に保持され、前記電磁波によって加熱される請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板と前記基板の上部に石英板又はシリコン板で形成された断熱板を保持する基板保持具が搬入される処理室と、
前記処理室内に電磁波を発振する電磁波発振器を有する加熱装置と、
前記基板保持具の上部に設けられた温度を測定する放射温度計と、
第1基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記第1基板の上方に配置された断熱板と、孔が設けられ、前記断熱板の上方に配置された天井板と、が基板保持具に保持され、前記断熱板を、電磁波によって前記基板を処理する処理温度まで加熱し、前記放射温度計によって、前記処理温度に到達するまでの前記断熱板の温度変化を前記天井板の前記孔を介して測定する第1処理と記放射温度計の検知光を透過しない材料により構成されるチップが設置された第2基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記チップが設置された第2基板の上方に配置された孔開き断熱板と、孔が設けられ、前記孔開き断熱板の上方に配置された前記天井板と、が前記基板保持具に保持され、前記チップが設置された第2基板を、前記電磁波によって前記処理温度まで加熱し、前記放射温度計によって前記処理温度に達するまでの前記チップの温度変化を前記天井板の前記孔と前記断熱板の前記孔を介して測定する第2処理と、前記測定した前記断熱板の温度変化と前記チップの温度変化の相関関係を取得し、前記放射温度計が測定する前記断熱板と前記相関関係とを基に前記加熱装置を制御して第3基板を加熱する第3処理と、を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項5】
前記チップは石英により構成される石英チップである請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記断熱板は、少なくとも1つの前記第3基板を挟み込むように2つ以上前記基板保持具に保持され、前記加熱装置によって加熱される請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
第1基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記第1基板の上方に配置された断熱板と、孔が設けられ、前記断熱板の上方に配置された天井板と、が基板保持具に保持され、前記断熱板を、電磁波によって前記第1基板を処理する処理温度まで加熱し、前記基板保持具の上部に設けられた放射温度計によって前記処理温度に到達するまでの前記断熱板の温度変化を前記天井板の前記孔を介して測定する手順と、
前記放射温度計の検知光を透過しない材料により構成されるチップが設置された第2基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記チップが設置された前記第2基板の情報に配置された孔開き断熱体と、孔が設けられ、前記孔開き断熱体の情報に配置された前記天井板と、が前記基板保持具に保持され、前記チップが設置された前記第2基板を、前記電磁波によって前記処理温度まで加熱し、前記放射温度計によって前記処理温度に達するまでの前記チップの温度変化を前記天井板の前記孔と前記断熱板の前記孔を介して測定する手順と、
前記断熱板の温度変化の測定結果と前記チップの温度変化の測定結果によって前記断熱板と前記チップの温度変化の相関関係を取得する手順と、
前記放射温度計が測定する前記断熱板の温度と前記相関関係とを基に前記電磁波によって第3基板を加熱する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項8】
前記チップは石英により構成される石英チップであって、前記チップの温度変化を測定する手順では、前記石英チップの温度変化を測定する請求項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記断熱板は、少なくとも1つの前記第1基板を挟み込むように2つ以上前記基板保持具に保持され、前記電磁波によって加熱される請求項に記載のプログラム。
【請求項10】
第1基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記第1基板の上方に配置された断熱板と、孔が設けられ、前記断熱板の上方に配置された天井板と、が基板保持具に保持され断熱板を、電磁波によって前記第1基板を処理する処理温度まで加熱し、前記基板保持具の上部に設けられた放射温度計によって前記処理温度に到達するまでの前記断熱板の温度変化を前記天井板の前記孔を介して測定する第1工程と、
前記放射温度計の検知光を透過しない材料により構成されるチップが設置された第2基板と、石英板又はシリコン板で構成され、前記チップが設置された前記第2基板の上方に配置された孔開き断熱板と、孔が設けられ、前記孔開き断熱板の上方に配置された前記天井板と、が前記基板保持具に保持され、前記チップが設置された前記第2基板を、前記電磁波によって前記処理温度まで加熱し、前記放射温度計によって前記処理温度に達するまでの前記チップの温度変化を前記天井板の前記孔と前記断熱板の前記孔を介して測定する第2工程と、
前記断熱板の温度変化の測定結果と前記チップの温度変化の測定結果によって前記断熱板と前記チップの温度変化の相関関係を取得する工程と、
前記放射温度計が測定する前記断熱板の温度と前記相関関係とを基に前記電磁波によって第3基板を加熱する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項11】
前記チップは石英により構成される石英チップであって、前記チップの温度変化を測定する第2工程では、前記石英チップの温度変化を測定する請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記断熱板は、少なくとも1つの前記第3基板を挟み込むように2つ以上前記基板保持具に保持され、前記電磁波によって加熱される請求項10に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、例えば、加熱装置を用いて処理室内の基板を加熱し、基板の表面に形成された薄膜中の組成や結晶構造を変化させるアニール処理がある。最近の半導体デバイスにおいては、微細化に伴い、高いアスペクト比を有するパターンが形成された高密度の基板へのアニール処理が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/056148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアニール処理では、基板を均一に加熱することができず、対象膜の均一な処理が行われないことがある。
本開示の目的は、対象膜の均一な処理を行うことが可能となる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
基板を保持する基板保持具に保持された断熱板を、加熱装置から供給された電磁波によって前記基板を処理する処理温度まで加熱し、非接触式温度計によって前記処理温度に到達するまでの前記断熱板の温度変化を測定する工程と、
前記基板保持具に保持され、非接触温度計の検知光を透過しない材質により構成されるチップが設置された前記基板を、前記加熱装置によって前記処理温度まで加熱し、前記非接触式温度計によって前記処理温度に到達するまでの前記チップの温度変化を測定する工程と、
前記断熱板の温度変化の測定結果と前記チップの温度変化の測定結果によって前記断熱板と前記チップの温度変化の相関関係を取得する工程と、
前記非接触式温度計が測定する前記断熱板の温度と前記相関関係とを基に前記加熱装置を制御して前記基板を加熱する工程と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、均一な基板処理を行うことが可能となる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示における実施形態で好適に用いられる基板処理装置の枚葉型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本開示で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。
図3】本開示における基板処理のフローを示す図である。
図4A】本開示における温度制御による温度推移を示した図であり、昇温時の温度制御による温度と時間の推移を示したグラフである。
図4B】本開示における温度制御による温度推移を示した図であり、基板処理時の温度制御による温度と時間の推移を示したグラフである。
図4C】本開示における基板処理時の温度制御によるウエハの加熱領域を示した模式図である。
図5】本開示における実施形態で好適に用いられる処理変換テーブルを作成するフローを示す図である。
図6A】本開示における実施形態で好適に用いられる処理変換テーブルを作成するときの温度測定方法を示す図であり、断熱板の温度を測定する際の図である。
図6B】本開示における実施形態で好適に用いられる処理変換テーブルを作成するときの温度測定方法を示す図であり、石英チップの温度を測定する際の図である。
図7】本開示における実施形態で測定された断熱板と石英チップの温度と時間の推移を示したグラフである。
図8図7における断熱板と石英チップのグラフから形成された断熱板と石英チップの相関関係を示した温度変換グラフである。
図9】本開示における実施形態の変形例1を示した図である。
図10】本開示における実施形態の変形例2を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の実施形態>
以下に本開示の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本実施の形態において、本開示に係る基板処理装置100は、ウエハに各種の熱処理を施す枚葉式熱処理装置として構成されている。
【0010】
(処理室)
図1に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、金属などの電磁波を反射する材料で構成されるキャビティとしてのケース102と、ケース102の内部に収容され、垂直方向の上下端部が開放された筒形状の反応管103を有している。反応管103は、石英などの電磁波を透過する材料で構成される。また、金属材料で構成されたキャップフランジ(閉塞板)104が、封止部材(シール部材)としてのOリング220を介して反応管103の上端と当接されて反応管103の上端を閉塞する。主にケース102と反応管103、および、キャップフランジ104によってシリコンウエハ等の基板を処理する処理容器を構成し、特に反応管103の内側空間を処理室201として構成している。
【0011】
反応管103の下方には載置台210が設けられており、載置台210の上面には、ウエハ200を保持する基板保持具としてのボート217が載置されている。ボート217には、処理対象としてのウエハ200と、例えばダミーウエハなどの石英板やシリコンプレート(Si板)などで形成されたウエハ200の温度を維持(保温)するための断熱板101a、101bが、所定の間隔でウエハ200を挟み込むように保持されている。また、載置台210の側壁には、載置台210の径方向に向かって突出した図示しない突出部が載置台210の底面側に設けられる。この突出部が、後述する処理室201と搬送空間203との聞に設けられる仕切り板204と接近または接触することで処理室201内の雰囲気が搬送空間203内へ移動することや、搬送空間203内の雰囲気が処理室201内へ移動することを抑制させる。
ここで、断熱板101a、101bは基板処理温度に応じて複数枚ずつ設置してもよい。このように複数枚ずつ設置することによってウエハ200が載置されている領域が放熱されることを抑制することが可能となり、ウエハ200の面内または面間温度均一性を向上させることが可能となる。また、後述する図6に示すように、ボート217の端板(天井板)217aには、温度センサ263の測定窓としての孔217bが設けられており、断熱板101aが温度センサ263によって表面温度を測定されるようにボート217に保持される。
【0012】
上部容器としてのケース102は、例えば横断面が円形であり、平らな密閉容器として構成されている。また、下部容器としての搬送容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料または、石英などにより構成されている。処理容器の下方には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ200を搬送する搬送空間203が形成されている。なお、ケース102に固まれた空間、または、反応管103に固まれた空間であって、仕切り板204よりも上方の空間を処理室201又は反応エリア201と称し、搬送容器202に固まれた空間であって、仕切り板よりも下方の空間を搬送エリア203と称する場合もある。
【0013】
搬送容器202の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口206を介して図示しない基板搬送室との間を移動する。
【0014】
ケース102の側面には、電磁波導入ポート653-1、653-2が穿設されている。電磁波導入ポート653-1、653-2のそれぞれには処理室201内にマイクロ波を供給するための導波管654-1、654-2の一端が接続されている。導波管654-1、654-2の他端のそれぞれには処理室201内に電磁波を供給して加熱する加熱源としてのマイクロ波発振器(電磁波源)655-1、655-2が接続されている。
ここで、電磁波導入ポート653-1、653-2、導波管654-1、654-2、マイクロ波発振器655-1、655-2は、一般的な説明等をする場合には、それぞれを代表して電磁波導入ポート653、導波管654、マイクロ波発振器655と記載する。
【0015】
載置台210は回転軸としてのシャフト255によって支持される。シャフト255は、搬送容器202の底部を貫通しており、更には搬送容器202の外部で回転、昇降動作を行う駆動機構267に接続されている。駆動機構267を作動させてシャフト255及び載置台210を回転、昇降させることにより、ポート217上に載置されるウエハ200を回転または昇降させることが可能となっている。なお、シャフト255下端部の周囲はベローズ212により覆われており、処理室201および搬送空間203内は気密に保持されている。
【0016】
載置台210は、ウエハ200の搬送時には、載置台上面が基板搬入出口206の位置(ウエハ搬送位置)となるよう下降し、ウエハ200の処理時には図1で示されるように、ウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
【0017】
(排気部)
処理室201の下方であって、載置台210の外周側には、処理室201の雰囲気を排気する排気部が設けられている。図1に示すように、排気部には排気口221が設けられている。排気口221には排気管231が接続されており、排気管231には、処理室201内の圧力に応じて弁開度を制御するAPCバルブなどの圧力調整器244、真空ポンプ246が順に直列に接続されている。
ここで、圧力調整器244は、処理室201内の圧力情報(後述する圧力センサ245からのフィードバック信号)を受信して排気量を調整することができるものであればAPCバルブに限らず、通常の開閉バルブと圧力調整弁を併用するように構成されていてもよい。
【0018】
主に、排気口221、減圧系排気管231、圧力調整器244により排気部(排気系または排気ラインとも称する)が構成される。なお、処理室201を囲むように排気路を設け、ウエハ200の全周からガスを排気可能に構成してもよい。また、排気部の構成に、真空ポンプ246を加えるようにしてもよい。
【0019】
(ガス供給部)
キャップフランジ104には、不活性ガス、原料ガス、反応ガスなどの各種基板処理のための処理ガスを処理室201内に供給するためのガス供給管232が設けられている。ガス供給管232には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241、および、開閉弁であるバルブ243が設けられている。ガス供給管232の上流側には、例えば不活性ガスである窒素(N)ガス源が接続され、MFC241、バルブ243を介して処理室201内へ供給される。基板処理の際に複数種類のガスを使用する場合には、ガス供給管232のバルブ243よりも下流側に上流方向から順に、流量制御器であるMFCおよび開閉弁であるバルブが設けられたガス供給管が接続されていてもよい。
【0020】
ガス供給管232から不活性ガスを供給する場合、主に、ガス供給管232、MFC241、バルブ243により不活性ガス供給系が構成される。不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0021】
(温度センサ)
キャップフランジ104には、非接触式の温度検出器(非接触式温度計)として温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づき後述するマイクロ波発振器655の出力を調整することで、基板を加熱し、基板温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、例えばIR(Infrared Radiation)センサなどの放射温度計で構成されている。なお、基板の温度を測定する方法として、上述した放射温度計に限らず、熱電対を用いて温度測定を行ってもよいし、熱電対と放射温度計を併用して温度測定を行ってもよい。ただし、熱電対を用いて温度測定を行った場合、熱電対の測温精度を向上させるために処理ウエハ200の近傍に配置して温度測定を行う必要があることから、後述するマイクロ波発振器から供給されたマイクロ波によって熱電対自体が加熱されてしまうため、放射温度計を温度センサ263として用いることが好ましい。
また、温度センサ263は、キャップフランジ104に設けることに限らず、載置台210に設けるようにしてもよい。このように構成することによって、上端が閉塞された反応管を用いることが可能となり、処理室201に供給されるマイクロ波や処理ガス等が漏洩する可能性を低減することが可能となる。また、温度センサ263は、キャップフランジ104や載置台210に直接設置するだけでなく、キャップフランジ104や載置台210に設けられた測定窓からの放射光を鏡等で反射させて間接的に測定するように構成されていてもよい。このように構成することによって、温度センサ263を設置する場所の制限を緩和することが可能となる。
【0022】
(マイクロ波発振器)
ケース102の側壁には電磁波導入ポート653-1、653-2が設置されている。電磁波導入ポート653-1、653-2のそれぞれには処理室201内に電磁波を供給するための導波管654-1、654-2のそれぞれの一端が接続されている。導波管654-1、654-2それぞれの他端には処理室201内に電磁波を供給して加熱する加熱源としてのマイクロ波発振器(電磁波源)655-1、655-2が接続されている。マイクロ波発振器655-1、655-2はマイクロ波などの電磁波を導波管654-1、654-2にそれぞれ供給する。また、マイクロ波発振器655-1、655-2は、マグネトロンやクライストロンなどが用いられる。マイクロ波発振器655によって生じる電磁波の周波数は、好ましくは13.56MHz以上24.125GHz以下の周波数範囲となるように制御される。さらに好適には、2.45GHzまたは5.8GHzの周波数となるように制御されることが好ましい。
また、本実施形態において、マイクロ波発振器655は、ケース102の側面に2つ配置されるように記載されているが、これに限らず、1つ以上設けられていればよい。
また、ケース102の対向する側面等の異なる側面に設けられるように配置してもよい。このように構成することによって、後述するマイクロ波がウエハ200上で部分的に吸収される領域、すなわち、ウエハ200が部分的に加熱されることを抑制することが可能となり、ウエハ200の面内温度均一性を向上させることが可能となる。
主に、マイクロ波発振器655-1、655-2、導波管654-1、654-2および電磁波導入ポート653-1、653-2によって加熱装置としての電磁波供給部(電磁波供給装置、マイクロ波供給部、マイクロ波供給装置)が構成される。
【0023】
マイクロ波発振器655-1、655-2それぞれには後述するコントローラ121が接続されている。コントローラ121には処理室201内に収容される断熱板101aまたは101b、若しくはウエハ200の温度を測定する温度センサ263が接続されている。温度センサ263は、断熱板101aまたは101b、若しくはウエハ200の温度を測定してコントローラ121に送信し、コントローラ121によってマイクロ波発振器655-1、655-2の出力を制御し、ウエハ200の加熱を制御する。
ここで、マイクロ波発振器655-1、655-2は、コントローラ121から送信される同一の制御信号によって制御される。しかし、これに限らず、マイクロ波発振器655-1、655-2それぞれにコントローラ121から個別の制御信号を送信することでマイクロ波発振器655-1、655-2が個々に制御されるように構成してもよい。
【0024】
(制御装置)
図2に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部パス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0025】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御フログラムや、後述するノズルのエッチング処理や成膜処理の手順や条件等が記載されたエッチングレシピやプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。エッチングレシピやプロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、エッチングレシピやプロセスレシピを、単にレシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合または、その両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0026】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241d、バルブ243a~243d、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、駆動機構267、マイクロ波発振器655等に接続されている。
【0027】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243dの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくマイクロ波発振器の出力調整動作、駆動機構267による載置台210(またはボート217)の回転および回転速度調節動作、または、昇降動作等を制御するように構成されている。
【0028】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気、ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123)に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成さ れている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0029】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置100の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、基板上に形成されたシリコン含有膜としてのアモルファスシリコン膜の改質(結晶化)方法の一例について図3に示した処理フローに沿って説明する。以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0030】
本明細書において「ウエハ」とい言葉を用いた場合は、ウエハ(プロダクトウエハ)そのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0031】
(温度変換グラフ作成工程(S302))
所定の基板処理を行う前段階として、断熱板101a、温度センサ263、ターゲット基板603、孔開き断熱板602、温度センサ263の検知光を透過しない材料(例えば、石英)により構成されたチップ604(以下、石英チップともいう)を用いて、後述する断熱板101aと石英チップ604との相関関係を示した図8に例示するような温度変換グラフを作成するデータの取得処理を行う(S302)。
【0032】
(搬入工程(S304))
図1に示されているように、所定枚数のウエハ200がボート217に移載されると、ボートエレベータ115はボート217を上昇させ、図3に示されているように、反応管103内側の処理室201に搬入(ボートローディング)する(S304)。
【0033】
(圧力調整工程(S306))
処理室201内へのボート217の搬入が完了したら、処理室201内が所定の圧力(例えば10~100Pa)となるよう処理室201内の雰囲気を排気する。具体的には、真空ポンプ246により排気しつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて圧力調整器244aまたは244bの弁開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力とする(S306)。
【0034】
(不活性ガス供給工程(S308))
駆動機構267は、ボート217を介してウエハ200を回転させる。このとき、Nガス等の不活性ガスがガス供給管232を介してノズル249から供給される(S308)。処理室201内の圧力は1Pa~200,000Paの中の所定の値であって、例えば1Pa~300Paに調整される。
【0035】
(改質工程(S310))
マイクロ波発振器655-1、655-2はウエハ200を100~900℃の温度帯、例えば400℃に昇温させる。ウエハ200の温度は、断熱板101aの表面温度を温度センサ263によって測定し、温度変換グラフ作成工程で記憶された温度変換グラフの作成データによって推測され、制御される。マイクロ波発振器655-1、655-2は、導波管654-1、654-2を介して電磁波導入ポート653-1、653-26からマイク口波を処理室201内に供給する。処理室201内に供給されたマイクロ波はウエハ200に入射して効率的に吸収されるために、ウエハ200を極めて効果的に昇温させることが可能となる。
【0036】
ここで、ウエハ200を昇温させる場合、マイクロ波発振器655-1、655-2は、マイク口波を間欠的に供給しながらマイクロ波発振器655-1、655-2の出力を大きくするように制御されることが好ましい。すなわち、図4Aに示すようにマイクロ波発振器655-1、655-2からのマイク口波供給を間欠的に供給するパルス制御401と、マイクロ波発振器655-1、655-2の出力を線形的に制御するパワーリミット制御402を組合せて行うようになることが好ましい。
このようにウエハ200の昇温時にマイクロ波をパルス制御して供給することによって、図4Cに示すように、処理室201内に定常波が形成されてウエハ表面に集中して加熱される領域(マイク口波集中領域、ホットスポット)404が形成されたとしても、マイクロ波を供給しない時間(OFF時間)を設けることができる。マイクロ波を供給しないタイミングを設けることによって、マイクロ波集中領域404に生じた熱がウエハ200の面内全体に伝達され、ウエハ200の面内温度を均一に維持することが可能となる。
このようにウエハ200の面内で熱伝達が起きる期間を設けることによって、マイクロ波集中領域404が集中して加熱されてしまうことを抑制することが可能となる。
したがって、マイクロ波をパルス制御して供給することによって、マイクロ波集中領域404だけが集中して加熱され、マイクロ波集中領域404とその他のウエハ面との温度差が大きくなることを抑止することができる。すなわち、マイクロ波集中領域404のみが集中的かつ連続的に加熱されることによってウエハ200の表面に温度差が生じることでウエハ200が割れたり、反ったり歪んだりといったウエハ変形を抑制することが可能となる。
また、ウエハ200の昇温時にマイクロ波をパワーリミット制御して供給することによって、ウエハ200を効率的に昇温することが可能となり、所望の基板処理温度まで短時間で加熱することが可能となる。
【0037】
次に、ウエハ200の昇温が完了すると、基板処理温度として、温度センサ263によって測定される温度を一定の範囲に維持するようにマイクロ波発振器655-1、655-2を制御する。具体的には、温度センサ263によって測定された温度を温度変換グラフ作成工程(S302)で作成した図8に示す温度変換グラフに基づいて変換し、温度制御を行う。
このとき、図4Bに示すように、温度センサ263によって測定された温度をコントローラ121にフィードバックし、フィードバックされたデータを基にマイクロ波発振器655-1、655-2を制御するフィードバック制御403を行うと共に、ウエハ昇温時と同様にパルス制御することで基板処理温度を一定の範囲にするように制御してもよい。このように制御することによって、ウエハ200の温度を所定の範囲の基板処理温度に維持することが可能となる。パルス制御する理由についてはウエハ昇温時と同様の理由である。
【0038】
ここで、マイクロ波発振器655-1、655-2によってマイク口波を供給する時間(ON時間)と、マイク口波を供給しない時間(OFF時間)の間隔、すなわちパルス幅は、例えば1×10-4sec間隔で制御できるようにすることが好ましい。このように構成することで、ウエハ昇温時とウエハ処理時の両方において正確な温度制御を可能とする。
なお、ウエハ昇温時とウエハ処理時で異なるパルス幅になるよう制御してもよい。このように構成することによって、ウエハ200の表面におけるマイクロ波集中領域404とそれ以外の面の温度差が大きくなり易い(マイクロ波集中領域以外の領域が加熱されていない)ウエハ昇温時にはパルス幅を小さくすることで、面内温度均一性を向上させることが可能となる。同様に、ウエハ200の表面におけるマイクロ波集中領域404とそれ以外の面の温度差が大きくなり難い(マイクロ波集中領域以外の領域がある程度加熱されている)ウエハ処理時にはパルス幅を大きくすることで、ウエハ表面にマイクロ波を十分に照射することが可能となり、十分なウエハ処理を行うことが可能となる。
また、パルス幅のON時間とOFF時間との時間間隔をそれぞれ異なるように制御してもよい。
以上のようにウエハ200を加熱処理することによってウエハ200表面上に形成されているアモルファスシリコン膜がポリシリコン膜へと改質(結晶化)されることとなる。すなわち、ウエハ200を均一に改質することが可能となる。
【0039】
予め設定された処理時聞が経過すると、ボート217の回転、ガスの供給、マイクロ波の供給および排気管の排気が停止する(S310)。
【0040】
(大気圧復帰(S312))
改質工程の終了後、Nガスなどの不活性ガスを供給し、処理室201内の圧力を大気圧に復帰する(S312)。
【0041】
(搬出工程(S314))
処理室201内の圧力を大気圧復帰させた後に、駆動機構267は載置台210を下降させることにより、炉口を開口するとともに、ボート217を搬送空間203に搬出(ボートアンローディング)する。その後ボート217に載置されているウエハ200を搬送空間203の外部に位置する搬送室に搬出する(S314)。
以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が改質処理されることとなる。
【0042】
(3)温度変換グラフ作成工程
次に、温度変換グラフ作成工程S302の詳細な処理フローについて図5~8を用いて説明する。なお、本開示では説明の理解を助けるため、温度変換グラフ作成工程として説明を行うが、必ずしも温度変換グラフを作成する必要はなく、温度変換グラフを作成することができるデータを取得することができればよい。
【0043】
(断熱板測定準備、搬入工程(S502))
図6Aに示すように、ボート217の端板(天井板)217aには、温度センサ263の測定窓としての孔217bが設けられており、断熱板101aが温度センサ263によって表面温度を測定されるようにボート217に保持される。同様に、基板処理を行うウエハ200(プロダクトウエハ)とは材質が異なり、熱的特性が類似するダミー基板(ダミーウエハ)601と断熱板101bがボート217に保持される。ボート217の所定の位置に断熱板101a、101b、ダミーウエハ601が保持されると、処理室201にボート217が搬入される(S502)。なお、ダミー基板601をボート217に保持しているが、プロダクトウエハをボート217に保持するようにしてもよい。
【0044】
(温度調整、断熱板温度測定(S504))
ボート217が所定 の基板処理位置に搬入されると、マイクロ波発振器655からマイクロ波が供給され、上述した制御方法によってマイクロ波発振器655が制御されて、基板処理温度までのウエハ200の昇温・温度維持などの温度調整が行われる。温度調整が行われている問、所定の開始タイミングで断熱板101aの表面温度を温度センサ263によって所定時間測定する(S504)。
【0045】
温度センサ263によって測定された断熱板101aの温度は、CPU121aを介して記憶装置121cに記憶される。記憶されたデータは、例えば図7のグラフ701に示すように視覚化することが可能となる。
【0046】
(データ取得完了判定(S506))
温度センサ263が断熱板101aの表面温度を一定時間測定すると、コントローラ121によって、予め定められたデータが取得できたか否かを判定する(S506)。所定のデータが取得完了している場合には次の工程に進み、完了していない場合には、再度温度調整、断熱板温度測定(S504)を実施する。
【0047】
(搬出工程(S508))
断熱板101aの所定データの取得が完了すると、ボート217を搬出する(S508)。
【0048】
(石英チップ測定準備、搬入工程(S510))
ボート217が搬出されると、図6Bに示すようにボート217から断熱板101aを取出し、断熱板101aが保持されていた位置に孔開き断熱板602を保持させる。同様にダミーウエハ601を搬出した後には、プロダクトウエハまたはプロダクトウエハに熱的特性が類似する材質で形成されたウエハ(ターゲット基板(ターゲットウエハ))603がボート217に保持される。
このウエハ603上の中央部には、温度センサ263の検知光を透過しない材料で形成され、薄く小型の石英チップ604が設置される。
ボート217の所定の位置に孔開き断熱板602、石英チップ604が設置されたターゲットウエハ603がそれぞれ保持されると、ボート217が処理室201内に搬入される(S510)。
【0049】
(温度調整、石英チップ温度測定(S512))
断熱板101aの温度測定時と同様に、ボート217が所定の基板処理位置に搬入されると、マイクロ波発振器655からマイクロ波が供給され、上述した制御方法によってマイクロ波発振器655が制御されて、基板処理温度までのウエハ200の昇温・温度維持などの温度調整が行われる。温度調整が行われている問、所定の開始タイミングでターゲットウエハ603上の石英チップ604の表面温度を温度センサ263によって所定時間測定する(S512)。
ターゲッ卜ウエハ603は温度センサ263の検知光を一部透過するのに対し、石英チップ604は温度センサ263の検知光を透過しないため、精度よく温度を測定することが可能である。
【0050】
(データ取得完了判定(S514))
温度センサ263が石英チップ604の温度を一定時間測定すると、コントローラ121によって、予め定められたデータが取得できたか否かを判定する(S514)。所定のデータが取得完了している場合には次の工程に進み、完了していない場合には、再度温度調整、ターゲット基板温度測定(S512)を実施する。
【0051】
温度センサ263によって測定された石英チップ604の温度は、CPU121aを介して記憶装置121cに記憶される。記憶されたデータは、例えば図7のグラフ702に示すように視覚化することが可能となる。
【0052】
(搬出工程、基板処理準備、温度変換グラフ作成(S516))
石英チップ604の所定データの取得が完了すると、ボート217を搬出する。ボート217を搬出後、孔開き断熱板602を取出し、図1に示すように断熱板101aをボート217に配置する。また、ターゲットウエハ603、石英チップ604を取出し、通常のウエハ200をボート217に配置する。このように基板処理フローを実施する準備が行われる。
また、図7に示した石英チップ604の温度の時間推移グラフ702と断熱板101aの温度の時間推移グラフ701のデータから、線形補間または一次式近似を用いることによって、図8に示すような、縦軸が石英チップの温度、横軸が断熱板の温度とした断熱板とターゲッ卜ウエハの相関関係を記憶装置121cに記憶させる。このようにして温度変換グラフ作成工程が完了する。
【0053】
(4)本実施形態による効果
本実施形態によれば以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0054】
(a)プロダクトウエハと材質が異なる断熱板とプロダクトウエハに熱的特性が類似するターゲッ卜ウエハ上の石英チップとの相関関係を記憶することによって、断熱板の温度からウエハの温度が推測可能となり、基板処理時の温度制御を容易に行うことを可能とする。
【0055】
(b)断熱板の温度からウエハの温度を推測可能としたことによって、ウエハ処理時に断熱板の温度を測定すれば足りるため、温度センサの設置場所を容易に決定することが可能となる。
【0056】
(c)断熱板の温度と石英チップの温度と、を放射温度計などの非接触式温度計によって計測することによって、温度計自身がマイクロ波の影響を受けてしまうことを抑制でき、正確な温度測定が可能となる。
【0057】
(d)ウエハを昇温するときに、マイクロ波発振器をパルス制御とパワーリミット制御とを組合せて制御することによって、ウエハの面内において、マイクロ波集中領域とそれ以外のウエハ領域の温度差が大きくなることを抑制することが可能となる。また、ウエハに反りや歪み、割れ等の変形が生じることを抑制することが可能となる。さらに、ウエハを効率的に昇温することが可能となり、所望の基板処理温度まで短時間で加熱することが可能となる。
【0058】
(e)ウエハが処理温度となったときに、マイクロ波発振器をフィードバック制御とパルス制御とを組合せて制御することによって、ウエハの温度を所定の範囲の基板処理温度に維持することが可能となる。
【0059】
(f)パルス制御のパルス幅を制御することによって、ウエハ昇温時とウエハ処理時の両方において正確な温度制御が可能となる。
【0060】
(5)実施形態の変形例
本実施形態における基板処理装置は、上述の態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。
【0061】
(変形例1)
図9に示すように変形例1では、放射温度計などの非接触式の温度センサ263の設置位置を中心から径方向外側にずらして設置することに伴い、ボート217の天井板の孔217bの形状をC字形状の溝217cとなるように構成されている。
このように構成することによって、孔217bの孔径を拡大する構成とした場合に比べてボート217の天井板から放熱されてしまい、基板温度が低下することを抑制することが可能となる。
【0062】
(変形例2)
図10に示すように、変形例2では、1つのマイクロ波発振器655に対して接続された導波管654が分岐してケース102に複数接続されることで、複数の電磁波導入ポート653-1~653-3をケース102に設ける。
このように構成することによって、複数の電磁波導入ポート653-1~653-3のそれぞれから供給されたマイクロ波がウエハ200に均等に照射され、ウエハ200を均一に加熱することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
101a、101b・・・断熱板(石英板、Si板)
121・・・コントローラ(制御部)
202・・・ウエハ(基板)
201・・・処理室
217・・・ボート(基板保持具)
263・・・温度センサ(非接触式温度計)
655・・・マイクロ波発振器(加熱装置)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10