(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20231128BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20231128BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20231128BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20231128BHJP
C08G 75/045 20160101ALI20231128BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/26 511
G03F7/20 521
G03F7/20 501
C08G61/12
C08G75/045
(21)【出願番号】P 2022114702
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0100893
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 有 廷
(72)【発明者】
【氏名】權 純 亨
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲みん▼ 秀
(72)【発明者】
【氏名】金 聖 振
(72)【発明者】
【氏名】白 載 烈
(72)【発明者】
【氏名】陣 和 英
(72)【発明者】
【氏名】南宮 爛
(72)【発明者】
【氏名】朴 賢
(72)【発明者】
【氏名】宋 大 錫
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-127821(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012172(WO,A1)
【文献】特開2015-134926(JP,A)
【文献】特開2012-022191(JP,A)
【文献】国際公開第2004/034148(WO,A1)
【文献】特表2013-519926(JP,A)
【文献】特開2020-024405(JP,A)
【文献】国際公開第2014/007079(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/188263(WO,A1)
【文献】特開2011-042645(JP,A)
【文献】特開2011-038076(JP,A)
【文献】特表2012-505434(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077640(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G03F 7/26
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環を主鎖、側鎖、または主鎖および側鎖に含む重合体;
下記化学式1で表されるモイエティを含む化合物;ならびに
溶媒、を含む、レジスト下層膜用組成物:
【化1】
上記化学式1中、
Ar
1は、
下記グループ1から選択される置換または非置換のヘテロ環を含む基であり、
Ar
2は、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であり、
B
1およびB
2は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
X
1~X
4は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、チオール基、シアノ基、置換もしくは非置換のアミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
l、m、およびnは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、
oは、1~30の整数である
:
【化2-1】
【化2-2】
上記グループ1中、
Z、Z’、およびZ”は、それぞれ独立して、N、O、S、またはPであり、
上記グループ1で表されるヘテロ環を含む基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、酸素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【請求項2】
前記重合体は、下記化学式2~化学式5で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を含む、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化3】
上記化学式2~化学式5中、
Aは、環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環であり、
R
a、R
b、およびR
cは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
L
1~L
6は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
M
1~M
5は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR””-(ここで、R””は、水素原子、重水素原子、または炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である。
【請求項3】
前記化学式2~化学式5のAは、下記化学式A-1~化学式A-4で表される構造からなる群より選択される少なくとも1つで表される基である、請求項2に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化4】
前記化学式A-1~化学式A-4中、
R
xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である。
【請求項4】
前記化学式1中のAr
2は、下記グループ2から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素基である、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化5】
前記グループ2中の芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【請求項5】
前記化学式1中のAr
1は、下記グループ1-1から選択される置換または非置換のヘテロ環を含む基である、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物
。
【化6】
【請求項6】
前記グループ1-1中のヘテロ環を含む基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されている、請求項
5に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項7】
前記化学式1中のAr
2は、下記グループ2-1から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素基である、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【化7】
【請求項8】
前記グループ2-1中の芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されている、請求項
7に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項9】
前記化学式1中のB
1およびB
2は、それぞれ独立して、下記グループ3から選択される置換または非置換の芳香環含有基を含む、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【化8】
【請求項10】
前記グループ3中の芳香環含有基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されている、請求項
9に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項11】
前記重合体および前記化合物の質量比が9:1~1:9である、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項12】
前記重合体の重量平均分子量は、2,000g/mol~300,000g/molである、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項13】
前記化合物の分子量は、300g/mol~5,000g/molである、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項14】
前記化合物の分子量は1,000g/mol~50,000g/molである、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項15】
アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコルリル系樹脂、およびメラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の重合体をさらに含む、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項16】
架橋剤、熱酸発生剤、界面活性剤、および可塑剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項17】
基板の上にエッチング対象膜を形成する工程、
前記エッチング対象膜の上に請求項1または2に記載のレジスト下層膜用組成物を塗布してレジスト下層膜を形成する工程、
前記レジスト下層膜の上にフォトレジストパターンを形成する工程、ならびに
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記レジスト下層膜および前記エッチング対象膜を順次にエッチングする工程、
を含む、パターン形成方法。
【請求項18】
前記レジスト下層膜を形成する工程は、前記レジスト下層膜用組成物のコーティング後、100℃~500℃の温度で熱処理する工程をさらに含む、請求項
17に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
前記フォトレジストパターンを形成する工程は、
前記レジスト下層膜の上にフォトレジスト膜を形成する工程、
前記フォトレジスト膜を露光する工程、および
前記フォトレジスト膜を現像する工程を含む、請求項
17に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜用組成物、およびこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は数百ナノメートルの大きさのパターンから、数~数十ナノメートルの大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
リソグラフィック技法は、シリコンウエハーなどの半導体基板上にフォトレジスト膜をコーティングして薄膜を形成し、その上にデバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性エネルギー線を照射した後に現像して、得られたフォトレジストパターンを保護膜にして基板をエッチング処理することによって、基板表面に上記パターンに対応する微細パターンを形成する加工法である。
【0004】
超微細技術を実現するためには、それに適したパターニング素材が必要であり、それに対する研究も活発に行われている。細密なパターニングのために、レジスト下層膜は下層膜とレジストとの間の密着性が良くて微細パターニングでもレジストパターン崩壊が起こらず、レジストよりエッチング速度が速いか、最大限薄い厚さで塗布されてエッチング工程での露出時間を短縮することができなければならない。そのため、露光光源に対する感度が向上してパターニング性能が改善され、光源に対する効率が高いことが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0093060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、微細パターニング工程でもレジストのパターン崩壊が起こらず、非常に薄い薄膜に形成されてエッチング工程時間を短縮させることができ、架橋特性を改善することによってコーティング均一性、ギャップフィル特性、およびレジストパターン形成性を向上させることができるレジスト下層膜用組成物を提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態は、上記レジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環を主鎖、側鎖、または主鎖および側鎖に含む重合体、下記化学式1で表されるモイエティを含む化合物、ならびに溶媒を含む。
【0009】
【0010】
上記化学式1中、
Ar1は、ヘテロ環を含む基であり、
Ar2は、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であり、
B1およびB2は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
X1~X4は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、チオール基、シアノ基、置換もしくは非置換のアミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
l、m、およびnは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、
oは、1~30の整数である。
【0011】
上記重合体は、下記化学式2~化学式5で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を含むことができる。
【0012】
【0013】
上記化学式2~化学式5中、
Aは、環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環であり、
Ra、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
L1~L6は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
M1~M5は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR””-(ここで、R””は、水素原子、重水素原子、または炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであってもよく、
*は、連結地点である。
【0014】
上記化学式2~化学式5中のAは、下記化学式A-1~化学式A-4で表される構造からなる群より選択される少なくとも1つで表すことができる。
【0015】
【0016】
上記化学式A-1~化学式A-4中、
Rxは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、
*は、連結地点である。
【0017】
上記化学式1中のAr1は、下記グループ1から選択される置換または非置換のヘテロ環を含む基であってもよい。
【0018】
【0019】
【0020】
上記グループ1中、
Z、Z’、およびZ”は、それぞれ独立して、N、O、S、またはPであり、
上記グループ1で表されるヘテロ環を含む基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、酸素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0021】
上記化学式1中のAr2は、下記グループ2から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0022】
【0023】
上記グループ2中の芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0024】
上記化学式1中のAr1は、下記グループ1-1から選択される置換または非置換のヘテロ環を含む基であってもよい。
【0025】
【0026】
上記グループ1-1中のヘテロ環を含む基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0027】
上記化学式1中のAr2は、下記グループ2-1から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0028】
【0029】
上記グループ2-1中の芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0030】
上記化学式1中のB1およびB2は、それぞれ独立して、下記グループ3から選択される置換または非置換の芳香環含有基を含むことができる。
【0031】
【0032】
上記グループ3中の芳香環含有基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0033】
本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物に含まれる上記重合体と上記化合物との質量比は、9:1~1:9であってもよい。
【0034】
上記重合体の重量平均分子量は、2,000g/mol~300,000g/molであってもよい。
【0035】
上記化合物の分子量は、300g/mol~5,000g/molであってもよい。
【0036】
上記化合物の分子量は1,000g/mol~50,000g/molであってもよい。
【0037】
上記レジスト下層膜用組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、グリコルリル樹脂、およびメラミン樹脂から選択される少なくとも1種の重合体をさらに含むことができる。
【0038】
上記レジスト下層膜用組成物は、架橋剤、熱酸発生剤、界面活性剤、可塑剤、またはこれらの組み合わせを含む添加剤をさらに含むことができる。
【0039】
本発明の他の実施形態によれば、基板の上にエッチング対象膜を形成する工程、前記エッチング対象膜の上に本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を塗布してレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜の上にフォトレジストパターンを形成する工程、ならびに前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記レジスト下層膜および前記エッチング対象膜を順次エッチングする工程を含む、パターン形成方法を提供する。
【0040】
上記レジスト下層膜を形成する工程は、上記レジスト下層膜用組成物のコーティング後、100~500℃の温度で熱処理する工程をさらに含むことができる。
【0041】
上記フォトレジストパターンを形成する工程は、上記レジスト下層膜の上にフォトレジスト膜を形成する工程、上記フォトレジスト膜を露光する工程、および上記フォトレジスト膜を現像する工程を含むことができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、微細パターニング工程でもレジストのパターン崩壊が起こらず、薄膜に形成されてエッチング工程時間を短縮させることができ、架橋特性を改善することによってコーティング均一性、ギャップフィル特性、およびレジストパターン形成性を向上させることができるレジスト下層膜用組成物が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0045】
図面において様々な層および領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示し、明細書全体にわたって類似の部分については同一な参照符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0046】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸もしくはその塩の基、ビニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数9~30のアリルアリール基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0047】
また、上記の置換基であるハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素数2~30のヘテロ環基のうちの隣接した2つの置換基が結合して環を形成することもできる。例えば、置換基である炭素数6~30のアリール基は、隣接した他の置換基である炭素数6~30のアリール基と結合して、置換または非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0048】
本明細書で別途の定義がない限り、「脂肪族炭化水素基」は「飽和脂肪族炭化水素基」と「不飽和脂肪族炭化水素基」とを含む。上記「飽和脂肪族炭化水素基」は、炭素間結合が全て単結合からなる官能基、例えば、アルキル基、またはアルキレン基を含む。また、上記「不飽和脂肪族炭化水素基」は、炭素間結合が1つ以上の不飽和結合、例えば、二重結合または三重結合を含む官能基、例えば、アルケニル基、アルキニル基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む。
【0049】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有する基を意味し、芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結された形態と、芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環と、を含む。
【0050】
本明細書で「ヘテロ環基(heterocyclic group)」は、ヘテロアリール基を含む概念であり、これに追加して、アリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環またはこれらの組み合わせのような環化合物内で炭素(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有するものを意味する。ヘテロ環基が縮合環である場合、ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1つ以上含むことができる。
【0051】
より具体的には、置換もしくは非置換のアリール基および/または置換もしくは非置換のヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクアテルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンゾオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、ピリドインドリル基、ベンゾピリドオキサジニル基、ベンゾピリドチアジニル基、9,9-ジメチル9,10ジヒドロアクリジニル基、これらの組み合わせまたはこれらの組み合わせが複合した形態であってもよいが、これらに制限されない。本発明の一例で、ヘテロ環基またはヘテロアリール基は、ピリジル基、インドリル基、カルバゾリル基またはピリドインドリル基であってもよい。
【0052】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また、本明細書で、「重合体」は、オリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)とを全て含むことができる。
【0053】
本明細書で特に言及しない限り、「重量平均分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社の1200series ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(カラムはShodex社LF-804、標準試料はShodex社ポリスチレンを使用する)したものである。
【0054】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「*」は、化合物の構造単位または化合物部分(moiety)の連結地点を示す。
【0055】
リソグラフィ技術は、基板の上にレジスト材料で膜を形成し、その膜に対して一定のパターンを形成するマスクを用い、特定の光源を用いて選択的露光を行い、その後、現像処理することによってレジスト膜上にパターンを形成する工程を含む。一方、半導体産業において、チップの大きさを小さくしようとする要求が絶え間なく続いている傾向である。このような傾向に対応するためには、リソグラフィ技術においてパターニングされるレジストの線幅を数十nmのサイズに小さくしなければならず、このように形成されたパターンを用いて、下部基板にエッチング工程を用いて下層材料にパターンを転写するようにする。しかし、レジストのパターンサイズが小さくなるのでその線幅を耐えることができるレジストの高さ(アスペクト比)が制限され、これによりレジストがエッチング工程で十分な耐性を有しない場合がある。したがって、レジスト物質を薄く使用する場合、エッチングしようとする基板が厚い場合、あるいは深さが深いパターンが必要な場合等で、これを補償するためにレジスト下層膜が使用されてきた。
【0056】
このようなレジスト下層膜は、レジスト層とパターンを形成しようとする基板との間の2番目のマスクの役割を果たすため、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができなければならない。これと同時に、レジスト下層膜は、薄い厚さで形成されエッチング工程での露出時間を短縮させることができなければならない。レジスト下層膜の厚さが薄いほど、均一にコーティングすることが重要であり、レジスト下層膜用組成物に互いに異なる特性を有する2つ以上の成分が含まれれば、相分離やコーティング不均一性など、非常に薄い薄膜の形成に不利な現象が発生することがある。
【0057】
本発明者らは、互いに異なる特性を有する2つ以上の成分を含んで各成分の有利な効果を維持しながらも上記の問題点、すなわち、他の成分の組み合わせによる相分離やコーティング不均一性などの問題を解決して均一なレジスト下層膜用組成物を提供し、また、このような組成物が各成分の優れた効果を全て発揮することによって、これから製造された膜が非常に薄い薄膜に製造でき、優れた膜密度を有し、また高いエッチング性能と感度とを有するのを確認して、本発明を完成させた。
【0058】
具体的には、本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環を主鎖、側鎖、または主鎖および側鎖に含む重合体、下記化学式1で表されるモイエティを含む化合物、ならびに溶媒を含む。
【0059】
本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物に含まれる重合体は、下記化学式2~化学式5で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0060】
【0061】
上記化学式2~化学式5中、
Aは、環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環であり、
Ra、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
L1~L5は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
M1~M5は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR””-(ここで、R””は水素原子、重水素原子、または炭素数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、上記化学式2および上記化学式3の「A」は、下記化学式A-1~化学式A-4で表される構造からなる群より選択される少なくとも1つで表すことができる。
【0063】
【0064】
上記化学式A-1~化学式A-4中、
Rxは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である。
【0065】
上記重合体は、上記化学式2~化学式5で表される構造単位の中のAが、環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環基であるため、上記重合体を含むレジスト下層膜組成物に由来するレジスト下層膜は、密度が向上する効果を有する。
【0066】
また、上記化学式A-1~化学式A-4で表される構造は、トリアジン(triazine)骨格またはイソシアヌレート(isocyanurate)骨格を含み、上記トリアジン(triazine)骨格またはイソシアヌレート(isocyanurate)骨格に二重結合を含む官能基を含むことができる。二重結合を含む官能基は、トリアジン(triazine)骨格またはイソシアヌレート(isocyanurate)骨格とsp2-sp2結合が可能であって高い電子密度を有し、これにより、薄膜の密度を向上させて緻密な構造の膜を非常に薄い薄膜形態に実現することができ、レジスト下層膜組成物の露光時、吸光効率を向上させることができる。
【0067】
また、本発明の一実施形態によるレジスト下層膜組成物を用いてレジスト下層膜を形成する場合、露光工程中に二次電子(second electron)が追加的に生成され、生成された二次電子は露光工程中にフォトレジストに影響を与えて、酸(acid)発生効率を極大化させることができる。これにより、フォトレジストの露光工程速度を改善することによって、フォトレジストの感度を向上させることができる。
【0068】
また、トリアジン骨格を含むことによってエッチング選択比に優れ、EUV(Extreme ultraviolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー線を用いた露光後のパターン形成時に、エネルギー効率を向上させることができる。
【0069】
一方、本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物に含まれる化合物は、下記化学式1で表されるモイエティを含む。
【0070】
【0071】
上記化学式1中、
Ar1は、ヘテロ環を含む基であり、
Ar2は、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基であり、
B1およびB2は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
X1~X4は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、チオール基、シアノ基、置換もしくは非置換のアミノ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
l、m、およびnは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、
oは、1~30の整数である。
【0072】
本発明の一実施形態において、上記化学式1中のAr1は、下記グループ1から選択される置換または非置換のヘテロ環を含む基であってもよい。
【0073】
【0074】
【0075】
上記グループ1中、
Z、Z’、およびZ”は、それぞれ独立して、N、O、S、またはPであり、
上記グループ1で表されるヘテロ環を含む基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、酸素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されてもよい。
【0076】
本発明の他の一実施形態によれば、上記化学式1のAr1は、下記グループ1-1から選択される置換または非置換のヘテロ環を含む基であってもよい。
【0077】
【0078】
上記グループ1-1から選択されるヘテロ環を含む基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されてもよい。例えば、置換基は、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキル基、または炭素数2~30のアルケニル基であってもよい。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、上記化学式1中のAr2は、下記グループ2から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0080】
【0081】
上記グループ2から選択される芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されてもよい。例えば、置換基は、ヒドロキシ基または炭素数1~10のアルコキシ基であってもよい。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、上記化学式1中のAr2は、上記グループ2から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素基のうちの、下記グループ2-1から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0083】
【0084】
上記グループ2-1から選択される芳香族炭化水素基は、上記グループ2と同様に、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されてもよい。例えば、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基で置換されてもよい。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、上記化学式1中のB1およびB2は、それぞれ独立して、下記グループ3から選択される置換または非置換の芳香環含有基を含むことができる。
【0086】
【0087】
上記グループ3中の芳香環含有基は、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されてもよい。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、上記化学式1中のB1およびB2は、上記グループ3から選択される置換または非置換の芳香環含有基のうちの下記グループ3-1から選択される置換または非置換の芳香環含有基であってもよい。
【0089】
【0090】
上記グループ3-1から選択される芳香環含有基は、上記グループ3と同様に、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数3~30のシクロアルケニル基、NR’R”(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである)、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせで置換されてもよい。
【0091】
本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物に含まれる上記重合体と上記化合物との質量比は、9:1~1:9であってもよい。例えば、上記質量比は8:2~2:8、例えば、7:3~3:7、例えば、6:4~4:6であってもよく、これらに制限されない。本発明の一実施形態で、重合体と化合物との質量比は9:1~1:1、例えば、8:1~1:1、例えば、7:1~1:1、例えば、6:1~1:1、例えば、5:1~1:1、例えば、4:1~1:1、例えば、3:1~1:1の範囲であってもよく、これらに制限されない。
【0092】
上記のような囲であれば、レジスト下層膜の厚さ、表面粗さ、および平坦化程度を容易に調節することができる。
【0093】
上記重合体は、1,000g/mol~300,000g/molの重量平均分子量を有することができる。より具体的に、上記重合体は2,000g/mol~300,000g/mol、例えば2,000g/mol~200,000g/mol、例えば2,000g/mol~100,000g/mol、例えば2,000g/mol~90,000g/mol、例えば2,000g/mol~70,000g/mol、例えば2,000g/mol~50,000g/mol、例えば2,000g/mol~30,000g/mol、例えば2,000g/mol~20,000g/mol、例えば2,000g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができるが、これらに制限されない。上記範囲の重量平均分子量を有することによって、上記重合体を含むレジスト下層膜用組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0094】
上記化合物は単分子またはオリゴマーであってもよく、上記化合物の分子量は300g/mol~5,000g/molであってもよい。
【0095】
上記化合物は重合体であってもよく、上記化合物の分子量(重量平均分子量)は1,000g/mol~50,000g/molであってもよい。
【0096】
上記化合物が単分子またはオリゴマーである場合、上記化合物の分子量は、より具体的には、300g/mol~5,000g/mol、例えば300g/mol~3,000g/mol、例えば500g/mol~3,000g/mol、例えば500g/mol~2,000g/mol、例えば500g/mol~1,500g/molであってもよく、上記化合物が重合体である場合、上記化合物の重量平均分子量は、より具体的には、1,000g/mol~50,000g/mol、例えば1,000g/mol~30,000g/mol、例えば1,000g/mol~20,000g/mol、例えば1,000g/mol~10,000g/molであってもよいが、これらに制限されない。上記化学式1で表されるモイエティを含む化合物が上記範囲の分子量または重量平均分子量を有する場合、製造されるレジスト下層膜の膜密度が改善されて、パターニング工程を行う過程で、フォトレジストパターンが破損するかまたは陥落する現象などを防止することができる。
【0097】
本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、溶媒を含むことができる。溶媒は、上記重合体および上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、メチル2-ヒドロキシイソブチレート、アセチルアセトン、エチル3-エトキシプロピオネート、またはこれらの組み合わせを含むことができ、これらに限定されるものではない。
【0098】
本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、上記重合体、化合物、および溶媒以外にも、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコルリル系樹脂、およびメラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の重合体をさらに含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
また、本発明の他の実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、架橋剤、熱酸発生剤、界面活性剤、および可塑剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
架橋剤は、架橋反応を誘導して下層膜をさらに硬化させるために使用することができ、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらのポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2つの架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
架橋剤としては、耐熱性の高い架橋剤を使用することができ、例えば、分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。架橋剤は、例えば、2つ以上の架橋点(site)を有することができる。
【0102】
熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホネート、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物または/およびベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
界面活性剤は、レジスト下層膜形成時に、固形分含有量の増加によって発生するコーティング不良を改善するために使用することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
可塑剤は特に限定されず、公知の多様な系統の可塑剤を用いることができる。可塑剤の例としては、例えば、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類などの低分子化合物、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアセタール系などの化合物などが挙げられる。
【0105】
添加剤は、レジスト下層膜用組成物100質量部に対して、0.001~40質量部の含有量で含まれてもよい。このような範囲で含むことによって、レジスト下層膜用組成物の光学的特性を変えずに、溶解度を向上させることができる。
【0106】
また、本発明の他の実施形態によれば、上述のレジスト下層膜用組成物を使用して製造されたレジスト下層膜を提供する。レジスト下層膜は、上述のレジスト下層膜用組成物を、例えば基板の上にコーティングした後、熱処理工程を通じて硬化した形態であってもよい。
【0107】
以下、上述のレジスト下層膜用組成物を使用してパターンを形成する方法について、
図1~
図6を参照して説明する。
【0108】
図1~
図6は、本発明によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【0109】
図1を参照すれば、まず、エッチング対象物を準備する。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102が挙げられる。以下では、エッチング対象物が薄膜102である場合に限って説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を前洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜またはシリコン酸化膜であってもよい。
【0110】
次に、洗浄された薄膜102の表面上に、本発明のレジスト下層膜用組成物を、スピンコーティング方式を適用してコーティングする。
【0111】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は100℃~500℃で行うことができ、例えば100℃~300℃で行うことができる。より具体的なレジスト下層膜用組成物に関する説明は、上記で詳しく説明したため、ここでは省略する。
【0112】
図2を参照すれば、レジスト下層膜104の上に、フォトレジストをコーティングして、フォトレジスト膜106を形成する。
【0113】
フォトレジストの例としては、ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂とを含有するポジ型フォトレジスト、露光によって酸を解離可能な光酸発生剤、酸の存在下で分解してアルカリ水溶液に対する溶解性が増大して化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有する化学増幅型のポジ型フォトレジスト、光酸発生剤および酸の存在下で分解してアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する樹脂を付与可能な基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有する化学増幅型のポジ型フォトレジストなどが挙げられる。
【0114】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、90℃~120℃の温度で行うことができる。
【0115】
図3を参照すれば、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。フォトレジスト膜106を露光するための露光工程を一例として説明すれば、露光装置のマスクステージ上に所定のパターンが形成された露光マスクを配置させ、フォトレジスト膜106上に露光マスク110を整列させる。その次に、露光マスク110に光を照射することによって、基板100に形成されたフォトレジスト膜106の所定部位が、露光マスク110を透過した光と選択的に反応するようになる。
【0116】
露光工程で使用できる光の例としては、365nmの波長を有する活性エネルギー線であるi線、248nmの波長を有するKrFエキシマレーザー、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーのような短波長光があり、この他にも極紫外光に該当する13.5nmの波長を有するEUV(Extreme ultraviolet)などが挙げられる。
【0117】
露光された領域のフォトレジスト膜106aは、非露光領域のフォトレジスト膜106bに比べて相対的に親水性を有するようになる。したがって、露光された部位106aおよび非露光部位106bのフォトレジスト膜は、互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0118】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90℃~150℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、露光された領域に該当するフォトレジスト膜は、特定の溶媒に溶解しやすい状態となる。
【0119】
図4を参照すれば、具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetra-methyl ammonium hydroxide;TMAH)などを用いて、露光された領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解した後に除去することによって、現像後残されたフォトレジスト膜106bがフォトレジストパターン108を形成する。
【0120】
次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクにして、レジスト下層膜104をエッチングする。上記のようなエッチング工程によって、
図5に示されているような有機膜パターン112が形成される。エッチングは、例えばエッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、CHF
3、CF
4、Cl
2、O
2およびこれらの混合ガスを使用することができる。上述のように、本発明によるレジスト下層膜組成物によって形成されたレジスト下層膜は、速いエッチング速度を有するため、短時間のうちに円滑なエッチング工程を行うことができる。
【0121】
図6を参照すれば、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して、露出された薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜は、薄膜パターン114として形成される。先に行われた露光工程で、活性化エネルギー線であるi線(365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などの短波長光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、数十nm~数百nmの幅を有することができ、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、20nm以下の幅を有することができる。
【実施例】
【0122】
以下、上述の重合体の合成およびこれを含むレジスト下層膜用組成物の製造に関する実施例を通じて、本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0123】
[合成例]
(合成例A1)
500mlの二口丸底フラスコに、1,3-ジアリル-5-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(1,3-diallyl-5-(2-hydroxyethyl)isocyanurate)20g、1,2-エタンジチオール(1,2-ethandithiol)6.7g、AIBN(azobisisobutyronitrile)1.3g、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)40gを投入し、コンデンサを連結した。反応液の温度を60℃に上げ、16時間反応させた後、反応液を常温(23℃)に冷却した。反応液を、水800gが入った1Lの広口瓶に攪拌しながら滴下して、ガム(gum)を生成させた後、テトラヒドロフラン(THF)80gに溶解させた。溶解させた後のレジン溶液について、トルエンを使用して沈殿物を形成させ、単分子および低分子を除去した。最終的に、下記化学式3aで表される重合体15g(重量平均分子量(Mw)=7,500g/mol)を得た。
【0124】
【0125】
(合成例A2)
500mlの三口丸底フラスコに、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(1,3,5-triallyl-1,3,5-triazinane-2,4,6-trione)24.9g、3-メルカプトプロパノール(3-mercapto propanol)7.4g、AIBN(azobisisobutyronitrile)0.7g、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)48gを投入しコンデンサを連結した。反応液の温度を80℃に上げ、16時間反応させた後、反応液を常温に冷却した。反応液を、水800gが入った1Lの広口瓶に攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、テトラヒドロフラン(THF)80gに溶解させた。溶解させた後のレジン溶液は、トルエンを使用して沈殿物を形成させ単分子および低分子を除去した。最終的に、下記化学式4aで表される重合体10g(重量平均分子量(Mw)=10,500g/mol)を得た。
【0126】
【0127】
(合成例A3)
1Lの二口丸底フラスコに、1,3,5-トリグリシジルイソシアヌレート(1,3,5-triglycidyl isocyanurate)148.6g(0.5mol)、2,2'-チオ二酢酸(2,2'-Thiodiacetic acid)60.0g(0.4mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(benzyl triethyl ammonium chloride)9.1g、およびN,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)350gを投入しコンデンサを連結した。反応液の温度を100℃に上げ、8時間反応させた後、当該反応液を常温(23℃)に冷却した。その後、反応液を1Lの広口瓶に移し、ヘキサンで3回洗浄し、その次に精製水を用いて順次に洗浄した。得られたガム(gum)状態のレジンを、THF80gを用いて完全に溶解させた後、攪拌中の700gのトルエン中に徐々に滴下した。その後、溶媒を除去することによって、最終的に下記化学式5aで表される構造単位を含む重合体(Mw=9,100g/mol)を得た。
【0128】
【0129】
(合成例B1)
フラスコに、1,4-ベンゼンジカルボニルクロリド(1,4-benzenedicarbonyl chloride)24g、9-ビニル-9H-カルバゾール(9-vinyl-9H-carbazole)50g、および1,2-ジクロロエタン200gを添加した。この溶液に、アルミニウムクロリド 34gを徐々に添加した後、常温で6時間攪拌した。反応が完結し、メタノールを添加した後、形成された沈殿物をろ過乾燥して、化合物を得た。その後、フラスコに得られた化合物 50gとテトラヒドロフラン200gとを添加し、ここに、水素化ホウ素ナトリウム25gの水溶液を徐々に添加して、24時間常温で攪拌した。反応が完結した後、2質量%塩酸水溶液で化合物のpHを約7に中和し、酢酸エチルで抽出および乾燥して、下記化学式1aで表される化合物を得た。
【0130】
【0131】
(合成例B2)
機械攪拌機と冷却管を備えた500mlの二口フラスコに、1,1,2-トリメチル-1H-ベンゾインドール(1,1,2-Trimethyl-1H-benzoindole)20g、10-ヒドロキシフェナントレン-9-カルバルデヒド(10-hydroxyphenanthrene-9-carbaldehyde)10.6g、9-フルオレノン(9-Fluorenone)8.6g、およびパラトルエンスルホン酸(p-Toluenesulfonic acid)4.9gを入れ、さらに51gの1,4-ジオキサン(1,4-Dioxane)を入れてよくかき回した後に、液の温度を110℃に上げて14時間攪拌した。反応終了後、内部の温度を65℃に下げた後、THF200gを入れ、7質量%の重炭酸ナトリウム水溶液(Sodium bicarbonate)を用いて反応液のpHを約5に調整した。その後、酢酸エチル 1000mlを入れて続けて攪拌した後に、分液漏斗を用いて、有機層のみ抽出した。再び水500mlを分液漏斗に入れ振って、残っている酸とナトリウム塩とを除去する工程を3回以上繰り返した後に、有機層を最終的に抽出した。その後、有機溶液をエバポレーターで濃縮し、得られた化合物にTHF700gを添加して溶液を得た。得られた溶液を、攪拌されているヘキサン3000mlが入ったビーカーに徐々に滴下して、沈殿を形成し、溶媒を除去することによって、下記化学式1bで表される構造単位および化学式1cで表される構造単位を含む化合物(Mw=1,540g/mol)を得た。
【0132】
【0133】
(合成例B3)
フラスコに、チアナフテン(Thianaphthene)10g、2-ナフトール(2-Naphthol)10.7g、(E)-1,2-ビス(4-(メトキシメチル)フェニル)エテン((E)-1,2-bis(4-(methoxymethyl)phenyl)ethene)40g、ジエチルスルフェート(diethyl sulfate)18g、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)15gを添加した後、110℃で8時間攪拌した。反応が完結したら、反応液をヘキサン 200gに入れ沈殿を形成させた後、メタノールと水とを添加して、形成させた沈殿をろ過し、残っている単量体をメタノールを用いて除去して、下記化学式1dで表される構造単位および下記化学式1eで表される構造単位を含む化合物(Mw=3,520g/mol)を得た。
【0134】
【0135】
(合成例B4)
フラスコにチアントレン(Thianthrene)20g、2-ナフトール(2-Naphthol)13.3g、p-ホルムアルデヒド(p-formaldehyde)5.6g、p-トルエンスルホン酸(p-Toluenesulfonic acid)1.9g、PGMEA50gを添加した後、70℃で8時間攪拌した。反応が完結すると、ヘキサン200gに入れて沈殿させた後、メタノールおよび水を添加して形成された沈殿をろ過し、残っている単量体を、メタノールを用いて除去して、下記化学式1fで表される構造単位を含む化合物(Mw=4,050g/mol)を得た。
【0136】
【0137】
[レジスト下層膜用組成物の製造]
<実施例1~7および比較例1~2>
上記合成例1~7で製造された重合体(または化合物)を、下記表1に示すような質量比率で0.5g投入し、PD1174(TCI社;硬化剤)0.125g、およびピリジニウムp-トルエンスルホネート(PPTS)0.01gと共にプロピレングリコールモノメチルエーテルおよび乳酸エチルの混合溶媒(混合体積比=7:3)に完全に溶解させる方法を通じて実施例1~7および比較例1~2によるレジスト下層膜用組成物をそれぞれ製造した。
【0138】
【0139】
(耐エッチング性評価)
実施例1、実施例5、比較例1および比較例2から製造された組成物を、それぞれ2mlずつ取って8インチウエハーの上にそれぞれ塗布した後、auto track(TEL社 ACT-8)を用いて、main spin速度1,500rpmで20秒間スピンコーティングを行い、210℃で90秒間硬化して、50Å厚さの薄膜を形成した。
【0140】
次に、形成された薄膜に対してCF4、CHF3およびO2ガス下で20秒間乾式エッチングした後、エッチングされた厚さを測定してエッチング速度を相対的に示した。下記表2は、比較例1のエッチング速度を1とした際の、実施例および比較例のエッチング速度を相対的な値で示したものである。
【0141】
【0142】
上記表2を参照すれば、実施例1または実施例5によるレジスト下層膜用組成物から形成された下層膜は、エッチングガスに対する十分な耐エッチング性を有しているのを確認することができる。
【0143】
(コーティング均一性(Coating uniformity)評価)
実施例1~7および比較例1~2から製造された組成物を、それぞれ2mlずつ取って8インチウエハーの上にそれぞれ塗布した後、auto track(TEL社 ACT-8)を用いて、main spin速度1,500rpmで20秒間スピンコーティングを行い、210℃で90秒間硬化して50Å厚さの薄膜を形成した。
【0144】
横軸に51pointの厚さを測定して、コーティング均一性(coating uniformity)を測定し、その結果を下記表3に示した。コーティング均一性は51pointの厚さの測定値のうち、最大値と最小値との差(単位:Å)を測定した。
【0145】
【0146】
上記表3を参照すれば、実施例1~7によるレジスト下層膜用組成物が、比較例1~2によるレジスト下層膜用組成物に比べて、コーティング均一性に優れているのを確認することができる。
【0147】
(膜密度評価)
シリコン基板上に実施例1~7および比較例1~2によるレジスト下層膜用組成物をそれぞれスピンコーティング法で塗布した後、ホットプレートの上で210℃、90秒間熱処理して、100nm厚さのレジスト下層膜を形成した。
【0148】
次に、得られたレジスト下層膜の密度を測定し、その結果を表4に示した。レジスト下層膜の密度は、X線回折装置(Model:X’Pert PRO MPD、Panalytical社(Netherlands)製)を使用して測定した。
【0149】
【0150】
上記表4を参照すれば、実施例1~7によるレジスト下層膜用組成物を使用して形成された膜が、比較例1~2によるレジスト下層膜用組成物を使用して形成された膜より密度が高いのが分かる。これは、環内に窒素原子を2つ以上含むヘテロ環基を含む重合体と、ヘテロ環基および芳香族炭化水素基を含む化合物を全て含むことによって、膜密度が向上したと推定される。
【0151】
表4の結果から、実施例1~7によるレジスト下層膜用組成物を使用した場合、比較例に対比してさらに緻密な構造の膜を形成することができるのが分かる。
【0152】
以上、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できるのは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属すると言うべきである。
【符号の説明】
【0153】
100 基板、
102 薄膜、
104 レジスト下層膜、
106 フォトレジスト膜、
108 フォトレジストパターン、
110 マスク、
112 有機膜パターン、
114 薄膜パターン。