(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20231128BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20231128BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61B1/12 531
A61B1/00 715
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2022511580
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003279
(87)【国際公開番号】W WO2021199639
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2020064617
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高崎 康介
(72)【発明者】
【氏名】関沢 康裕
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-253634(JP,A)
【文献】特開平10-262905(JP,A)
【文献】特開2010-131120(JP,A)
【文献】特開平08-278456(JP,A)
【文献】特表2017-534318(JP,A)
【文献】特開2016-187535(JP,A)
【文献】特開2016-022006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学窓と、
気体および液体が噴射される開口を有し、前記気体および前記液体を選択的に噴射することにより前記光学窓の有効領域を洗浄する送気送液用のノズルと、
前記光学窓と前記ノズルとが配置された配置面と、
前記有効領域と前記ノズルとの間に存在する前記配置面の一部の領域であって、前記ノズルの噴射方向と交差しかつ前記配置面に沿った幅方向における前記開口の両端の各々から前記有効領域に対して引いた2本の接線の間の領域に形成された、疎水性の表面特性を有する第1疎水部とを備え
、
前記幅方向において、前記2本の接線の外側で、かつ前記第1疎水部に隣接する領域に、親水性の表面特性を有する親水部が形成されている
光学装置。
【請求項2】
前記有効領域を挟んで前記ノズルの噴射方向の下流側で前記有効領域に隣接する領域に第2疎水部が形成されている
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記親水部は前記接線に沿って前記有効領域の下流側まで延びている
請求項
1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光学窓のうち少なくとも前記有効領域は疎水性を有する
請求項1から
3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記第1疎水部は、複数の凸部が周期的に配列されている第1微細凹凸構造である
請求項1から
4のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記第1微細凹凸構造は、凸部の先端面同士の間隔が0.1μm以上かつ10μm以下である
請求項
5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第1微細凹凸構造は、凸部の高さが2μm以上かつ50μm以下である
請求項
5または
6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記親水部は、複数の凸部がランダムに配列されている第2微細凹凸構造である
請求項
1から7のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項9】
前記第2微細凹凸構造は、表面粗さが0.5μm以上かつ1μm以下である
請求項
8に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光が入射または出射する光学窓を有する光学装置の一例として内視鏡が知られている。内視鏡の挿入部の先端には、光学窓の一例として、撮像する被写体の光が入射する観察窓が設けられている。観察窓が配置される配置面には、観察窓に付着した付着物を洗浄するためのノズルが設けられている。ノズルは、水などの液体と水滴を吹き飛ばすための空気などの気体とを噴射する開口を備えている。ノズルから水等の液体と空気等の気体とを選択的に観察窓に噴射することにより、観察窓から付着物を除去することができる。
【0003】
例えば、特開2016-022006号公報には、挿入部の先端に配設された先端カバーの平坦部から観察窓を所定高さで突出させると共に、観察窓の円周縁部の周囲に、円周縁部から外方に向かってテーパー状に形成された傾斜部が設けられた内視鏡が開示されている。傾斜部の表面の少なくとも一部は、親水性を有する。
【0004】
特開2016-022006号公報の内視鏡では、先ずノズルから観察窓に対して水を噴射し、その後にノズルから観察窓に対して空気を噴射することにより、観察窓表面の水を除去する。特開2016-022006号公報の内視鏡では、観察窓の周囲に親水性の領域が設けられており、ノズルから空気を噴射した際に、観察窓表面の水が周囲の親水性の領域に移動しやすいため、観察窓に残留する残液を除去しやすい。
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特開2016-022006号公報の内視鏡では、水を噴射した際に、ノズルと観察窓との間の領域において、観察窓の周囲の親水性の領域に水が残ってしまうおそれがある。この場合、水の噴射後に空気を噴射すると、観察窓の周囲の親水性の領域に残存する水が、空気の流れに引き込まれて観察窓の表面に移動してしまい、観察窓の表面から水を除去しにくいという問題があった。
【0006】
本開示の技術は上記事情に鑑みてなされたもので、ノズルからの送気によって観察窓に残留する残液を除去する場合において、従来よりも残液を除去しやすい光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の光学装置は、光学窓と、気体および液体が噴射される開口を有し、気体および液体を選択的に噴射することにより光学窓の有効領域を洗浄する送気送液用のノズルと、光学窓とノズルとが配置された配置面と、有効領域とノズルとの間に存在する配置面の一部の領域であって、ノズルの噴射方向と交差しかつ配置面に沿った幅方向における開口の両端の各々から有効領域に対して引いた2本の接線の間の領域に形成された、疎水性の表面特性を有する第1疎水部とを備える。
【0008】
有効領域を挟んでノズルの噴射方向の下流側で有効領域に隣接する領域に第2疎水部が形成されていることが好ましい。
【0009】
幅方向において、2本の接線の外側で、かつ第1疎水部に隣接する領域に、親水性の表面特性を有する親水部が形成されていることが好ましい。
【0010】
親水部は接線に沿って有効領域の下流側まで延びていることが好ましい。
【0011】
光学窓のうち少なくとも有効領域は疎水性を有することが好ましい。
【0012】
第1疎水部は、複数の凸部が周期的に配列されている第1微細凹凸構造としてもよい。
【0013】
第1微細凹凸構造は、凸部の先端面同士の間隔が0.1μm以上かつ10μm以下であることが好ましい。
【0014】
第1微細凹凸構造は、凸部の高さが2μm以上かつ50μm以下であることが好ましい。
【0015】
親水部は、複数の凸部がランダムに配列されている第2微細凹凸構造としてもよい。
【0016】
第2微細凹凸構造は、表面粗さが0.5μm以上かつ1μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本開示の技術によれば、ノズルからの送気によって観察窓に残留する残液を除去する場合において、従来よりも残液を除去しやすい光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】内視鏡の挿入部先端の断面図であり、
図2中のA-A線断面図である。をそれぞれ示す。
【
図6】第1微細凹凸構造の内視鏡先端側から見た平面図である。
【
図8】内視鏡における送気・送水時の作用を説明するための図であり、
図8Aはノズルから観察窓に向けて水を噴射した様子、
図8Bは水の噴射を停止した様子、
図8Cはノズルから観察窓に向けて空気を噴射した様子をそれぞれ示す。
【
図9】従来の内視鏡における送気・送水時の作用を説明するための図であり、
図9Aはノズルから観察窓に向けて水を噴射した様子、
図9Bは水の噴射を停止した様子、
図9Cはノズルから観察窓に向けて空気を噴射した様子をそれぞれ示す。
【
図16】第1微細凹凸構造の内視鏡先端側から見た平面図である。
【
図18】第1微細凹凸構造の内視鏡先端側から見た平面図である。
【
図20】第1微細凹凸構造の内視鏡先端側から見た平面図である。
【
図24】バックカメラの車後方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「第1実施形態」
[内視鏡装置の構成]
図1は本開示の第1実施形態に係る内視鏡を備えた内視鏡装置11の全体構成図を示す図である。
図1に示すように、内視鏡装置11は、内視鏡12と、制御装置13と、光源装置14と、送気送水装置15とを備えている。
【0020】
内視鏡12は、被検者の体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に連接され、内視鏡12の把持および挿入部16の操作に用いられる操作部17と、操作部17を制御装置13および光源装置14に接続するユニバーサルコード19と、を備えている。
【0021】
挿入部16は、撮像ユニット30(
図3参照)が内蔵された先端部16aと、先端部16aの基端に連設された湾曲自在な湾曲部16bと、湾曲部16bの基端に連設された可撓性を有する可撓管部16cと、を備えている。ここで、基端とは、各部材の両端のうちの操作部17側の一端を意味する。
【0022】
操作部17には、湾曲部16bを上下左右に湾曲させるためのアングルノブ21と、先端部16aからエアーおよび水を噴出させるための送気送水ボタン22とを含む、操作部材が設けられている。また、操作部17には、挿入部16内に挿通された鉗子チャンネルに電気メス等の処置具を挿入するための不図示の入口側鉗子口が設けられている。
【0023】
制御装置13は、光源装置14と電気的に接続され、内視鏡装置11の動作を統括的に制御する。制御装置13は、ユニバーサルコード19および挿入部16内に挿通された伝送ケーブルを介して内視鏡12に給電を行い、撮像素子82(
図3参照)の駆動を制御する。また、制御装置13は、伝送ケーブルを介して撮像素子82から出力された撮像信号を取得し、各種画像処理を施して画像データを生成する。制御装置13で生成された画像データは、制御装置13にケーブル接続されたモニタ20に観察画像として表示される。
【0024】
光源装置14は、例えばLED(Light Emitting Diode)などの半導体光源などを有しており、ユニバーサルコード19および挿入部16内に挿通されたライトガイドを介して内視鏡12の先端部16aに光を供給する。
【0025】
送気送水装置15は、光源装置14に内蔵され、エアーの送気を行う周知の送気装置(例えば、ポンプなど)15aと、光源装置14の外部に設けられ、洗浄水を貯留する洗浄水タンク15bから構成されている。
【0026】
<内視鏡先端部の構成>
図2は内視鏡を先端側から見た平面図である。
図3は内視鏡の挿入部先端の断面図であり、
図2中のA-A線断面図である。
【0027】
図2に示すように、先端部16aの先端面、すなわち先端保護キャップ25の先端面25aには、観察窓52と、2つの照明窓26と、送気送水用のノズル27と、出口側鉗子口28と、が設けられている。先端保護キャップ25は、例えば、ポリスルフォン(polysulfone)などの樹脂材料により形成されている。
【0028】
照明窓26は、光源装置14から供給され、ライトガイドにより導光された光を光出射面26aから体腔内の観察対象に向けて出射する。観察窓52は、観察対象で反射した光を先端部16a内に取り込む窓である。観察窓52は、本例においては、撮像ユニット30の対物光学系51における最先端側のレンズとして機能する(
図3参照)。観察窓52は本開示の技術に係る光学窓の一例である。
【0029】
本例において、観察窓52の光入射面52aの全域が有効領域である。観察窓52における有効領域とは、光入射面52aのうちの少なくとも一部の領域であって、撮像に寄与する有効な光束が通過する領域をいう。より詳細には、観察窓52を通過する光のうち、途中でケラれることなく、撮像面84(
図3参照)に到達する光が撮像に寄与する有効な光束であり、光入射面52aにおいては、有効な光束の最大周辺光線の通過位置によって画定される領域を有効領域という。本例では、光入射面52aを通過する光はすべて撮像に寄与する有効な光である。この場合は、光入射面52aの全域が、観察窓52の有効領域である。
【0030】
2つの照明窓26は、観察窓52を挟んで両側の対称位置に配置されている。送気送水用のノズル27は、観察窓52に隣接する位置において、ノズル27の開口27aが観察窓52向けて配置されている。ノズル27は、送気送水ボタン22の操作に応じて、開口27aから観察窓52に対して空気および水を選択的に噴射する。送気送水用のノズル27は、本開示の技術に係る送気送液用のノズルの一例である。
【0031】
図3に示すように、先端部16aは、先端硬性部24と、この先端硬性部24の先端側に装着される先端保護キャップ25とを備えている。先端硬性部24は、ステンレス鋼等の金属製であり、長手方向に沿って複数の貫通孔が形成されている。この先端硬性部24の各貫通孔に撮像ユニット30、送気送水チャンネル32、不図示の鉗子チャンネル、不図示のライトガイド等の各種部品が挿入されて固定されている。先端硬性部24の後端は、湾曲部16bを構成する湾曲駒33の先端に連結されている。また、先端硬性部24の外周には、外皮チューブ34が被覆されている。
【0032】
撮像ユニット30は、観察窓52から入射した光を撮像素子82の撮像面84に結像させる対物光学系51と、対物光学系51を保持する鏡胴50と、鏡胴50の基端50aに接続されたプリズム60と、プリズム60に接着されたカバーガラス40と、プリズム60の光出射面60bに対向して配置された撮像素子基板80と、を備えている。
【0033】
対物光学系51は、レンズとして機能する観察窓52と、レンズ53と、レンズ54と、を備えている。鏡胴50は、観察窓52,レンズ53,およびレンズ54を内部に保持する。
【0034】
撮像素子基板80の一部には、撮像面84を有する撮像素子82が設けられており、カバーガラス40は、撮像素子82の撮像面84上に配設されている。撮像素子基板80の後端には、回路部83が設けられている。回路部83は、撮像素子82が出力する撮像信号を処理し、制御装置13に転送するなどの機能を有する。
【0035】
送気送水用のノズル27は、送気送水チャンネル32を介して、送気送水装置15に接続されている。
【0036】
図2および
図4に示すように、先端保護キャップ25の先端面25aには、観察窓52とノズル27とが配置されている。先端面25aは本開示の技術に係る配置面の一例である。
【0037】
先端面25aは、疎水性の表面特性を有する第1疎水部RA1を備える。第1疎水部RA1は、観察窓52とノズル27との間に存在する先端面25aの一部の領域に形成されている。第1疎水部RA1が形成される領域は、より具体的には、ノズル27の噴射方向IDと交差しかつ先端面25aに沿った幅方向WDにおけるノズル27の開口27aの両端の各々から観察窓52の光入射面52aに対して引いた2本の接線TLの間の領域の全域である。本例において、光入射面52aの全域は、上述したとおり、本開示の技術に係る有効領域である。本例においては、2本の接線TLは、光入射面52aの外縁と外接する。
【0038】
ここで、ノズル27の開口27aからは、幅方向WDにおいて広範囲に水および空気が噴射されるが、噴射方向IDとは、開口27aから水および空気が噴射される範囲の中心軸方向をいう。また、本開示の技術において「疎水性」とは、純水に対する静的接触角が110°以上の特性を意味する。
【0039】
また、
図4に示すように、2本の接線TLの一方の端点は、幅方向WDにおける開口27aの端部27bと先端面25aとの交点27cである。そして、2本の接線TLは、交点27cの各々から、観察窓52の光入射面52aに向かって延びる。2本の接線TLの他方の端点は、光入射面52aの外縁と外接する接点となる。第1疎水部RA1が形成される領域は、
図2及び
図4において薄いハッチングで示すとおり、2本の接線TLと、光入射面52aの外縁の一部と、開口27aの幅方向WDに延びる辺とによって区画された領域である。
【0040】
第1疎水部RA1は、複数の凸部が周期的に配列されている第1微細凹凸構造により構成されている。第1微細凹凸構造は、一例として
図5および
図6に示すように、四角柱形状で高さがほぼ同一の複数の凸部70が、格子状に等間隔で配置された構造である。第1微細凹凸構造は、凸部70の先端面同士の間隔CIが0.1μm以上かつ10μm以下である。また、第1微細凹凸構造は、凸部70の高さCHが2μm以上かつ50μm以下である。第1微細凹凸構造は、先端面25aの第1疎水部RA1に対して、フェムト秒から数ピコ秒のパルス幅をもつ超短パルスレーザーにより凸部70間の溝を切削する加工を行うことにより形成される。
【0041】
また、
図2及び
図4において濃いハッチングで示すように、幅方向WDにおいて、2本の接線TLの外側で、かつ第1疎水部RA1に隣接する領域に、親水性の表面特性を有する親水部RBが形成されている。本開示の技術において「親水性」とは、純水に対する静的接触角が15°以下の特性を意味する。
【0042】
親水部RBが形成される領域は、
図2に示すように、噴射方向IDにおいては接線TLの一端から他端までの範囲であり、幅方向WDにおいては接線TLと平行な線によって区画された領域である。親水部RBの幅方向WDの幅は、第1疎水部RA1から親水部RBに流入した水が第1疎水部RA1に逆流しない程度に保持できる幅であることが好ましい。また、本例において、親水部RBのノズル27側の境界は、ノズル27の観察窓52側の端縁において幅方向WDに延びる線OL(
図2参照)に設定されている。
【0043】
親水部RBは、
図7に示すように、複数の高さの異なる凸部75がランダムに配列されている第2微細凹凸構造により構成されている。第2微細凹凸構造は、表面粗さが0.5μm以上かつ1μm以下である。第2微細凹凸構造は、先端面25aの親水部RBの全域に対して、超短パルスレーザーにより切削加工および溶融加工をランダムに行うことにより形成される。
【0044】
また、光学窓の一例である観察窓52の有効領域は、疎水性を有している。本例においては、光入射面52aの全域が有効領域であるため、光入射面52aの全域が、疎水性を有する。観察窓52の光入射面52aは、第1疎水部RA1と同様に、超短パルスレーザーにより疎水性となるように加工される。
【0045】
[送気・送水時の作用]
以上の構成の先端部16aを有する内視鏡12において、観察窓52の光入射面52aを洗浄するために、送気・送水を行う際の作用について説明する。
【0046】
先ず、
図8Aに示すように、ノズル27の開口27aから観察窓52の光入射面52aに向けて水WFを噴射する。水WFが噴射されると、水WFはノズル27から第1疎水部RA1を通過して光入射面52aに向かう。噴射された水WFによって光入射面52aに付着した付着物が洗い流される。この際に、ノズル27から噴射された水WFはすべて光入射面52aに到達するわけではなく、光入射面52aに到達しない水滴WGが生じる。光入射面52aに到達しない水滴WGは、ノズル27と光入射面52aの間の領域の第1疎水部RA1に留まろうとする。しかし、第1疎水部RA1は、疎水性の表面特性を有しているため、水滴WGが濡れにくく、水滴WGをはじく。そのため、水滴WGは噴射の勢いによって第1疎水部RA1に留まらずに外側に流れる。
【0047】
このため、
図8Bに示すように、第1疎水部RA1上には水滴WGが残留しにくにい。さらに、第1疎水部RA1に隣接して親水部RBが設けられている。親水部RBは水滴WGが濡れやすいため、第1疎水部RA1から外側に流れ出した水滴WGが親水部RBに誘導されやすい。また、親水部RBに誘導された水滴WGは、第1疎水部RA1に逆流しにくく、
図8Bに示すように親水部RB上に水滴WGが残る。
【0048】
図8Bに示すように、光入射面52aに水WFを噴射すると、水WFの一部は光入射面52a上に水滴WGとして残る。こうした水滴WGを除去するため、水WFを噴射した後、ノズル27の開口27aから観察窓52に向けて空気AFの噴射が行われる。
【0049】
図8Cに示すように、空気AFが噴射されると、空気AFにより、観察窓52の光入射面52a上の水滴WGは除去される。ノズル27から噴射された空気AFは、水WFと同様にノズル27から第1疎水部RA1を通過して光入射面52aに向かう。
【0050】
ノズル27と観察窓52との間の領域は、疎水性の表面特性を有する第1疎水部RA1となっている。そのため、
図8Bに示したとおり、水WFを噴射した後において、第1疎水部RA1には水滴WGが残留しにくいため、空気AFを噴射した場合でも、空気AFに巻き込まれて第1疎水部RA1から光入射面52aに向かう水滴WGが低減される。そのため、空気AFの噴射によって光入射面52aに残留した水滴WGを除去した際に、噴射した空気AFによって、空気AFの流路上に残留する別の水滴WGが、光入射面52aに付着することが抑制される。また、親水部RB上に残っている水滴WGの一部は、空気AFにより親水部RBの外側に吹き飛ばされる。
【0051】
[作用効果]
比較例を示す
図9において、第1疎水部RA1を設けていない従来の内視鏡の例を示す。この場合において、
図9Aに示すように、ノズル27の開口27aから観察窓52に向けて水WFを噴射すると、噴射された水WFは、観察窓52とノズル27との間の領域RNを通過する。
図9Bに示すように、領域RNの表面特性が疎水性ではない場合には、噴射した水WFの一部が領域RN上に水滴WGとして残留する量が多い。
【0052】
この状態で、
図9Cに示すように、ノズル27の開口27aから観察窓52に向けて空気AFを噴射すると、空気AFによって光入射面52a上に残留する水滴WGを除去しても、空気AFの流路上の領域RNに残っている別の水滴WGが、観察窓52の光入射面52a上に移動することになる。そして、光入射面52a上に移動した別の水滴WGは光入射面52aに残留する。そのため、観察窓52の光入射面52aに残留する水を除去しにくいという問題が生じる。
【0053】
これに対して、本実施形態の内視鏡12は、上記の通り、観察窓52(光学窓の一例)とノズル27との間に存在する先端面25a(配置面の一例)の一部の領域であって、ノズル27の噴射方向IDと交差しかつ先端面25aに沿った幅方向WDにおけるノズル27の開口27aの両端の各々から有効領域に対して引いた2本の接線TLの間の領域に形成された、疎水性の表面特性を有する第1疎水部RA1を備える。
【0054】
そのため、観察窓52の光入射面52aを洗浄するために、観察窓52に対して、水WFを噴射しても、観察窓52とノズル27との間の第1疎水部RA1上に水滴WGが残留しにくい。水WFを噴射する送水後には、観察窓52に残留する水滴WGを除去するために空気AFを噴射する送気が行われる。送気が行われた場合でも、観察窓52とノズル27との間の第1疎水部RA1から、空気AFに巻き込まれて別の水滴WGが観察窓52の光入射面52a上に移動することが抑制される。このように、送水後に送気をした場合でも、空気AFの流路上にある別の水滴WGが観察窓52に移動することが抑制されるため、観察窓52の光入射面52aから残液の一例である水滴WGを除去しやすい。
【0055】
また、幅方向WDにおいて、2本の接線TLの外側で、かつ第1疎水部RA1に隣接する領域に、親水性の表面特性を有する親水部RBを備える。このような構成とすることにより、送水時に、第1疎水部RA1から親水部RB側へ水滴WGを誘導しやすく、かつ、親水部RBに誘導された水滴WGは第1疎水部RA1に逆流しにくい。このため、空気AFの流路上の第1疎水部RA1に水滴WGがより残留しにくい。その結果、送気時において、空気AFの流路上に残留する水滴WGの観察窓52への付着がより防止されるため、観察窓52の光入射面52aからの水滴WGの除去をより行いやすい。
【0056】
また、親水部RBは、
図2に示したとおり、ノズル27の開口27aの幅方向WDに沿って引いた線OLよりも観察窓52側の領域に形成している。このように、ノズル27の開口27aの幅方向WDに沿って引いた線OLよりも観察窓52側の領域のみを親水部RBとし、線OLよりもノズル27側の領域に親水部RBを形成としないことにより、ノズル27の周囲への水滴WGの残留が抑制される。そのため、送水後に送気した際に、ノズル27の周囲の水滴WGが、噴射された空気AFに巻き込まれる量が減るため、観察窓52の光入射面52a上に水滴WGが移動することがより抑制される。そのため、送気後における観察窓52の光入射面52aへの水滴WGの付着量がより抑制される。これにより、観察窓52の光入射面52aからの水滴WGの除去をより行いやすい。
【0057】
また、観察窓52の光入射面52aは、疎水性を有する。このような構成とすることにより、送気時に、光入射面52aが水滴WGをはじくため、光入射面52aから水滴WGを除去しやすい。
【0058】
また、第1疎水部RA1は、本例においては、複数の凸部が周期的に配列されている第1微細凹凸構造により構成されている。このような第1微細凹凸構造は、例えば超短パルスレーザー加工を先端面25aに施すことにより、形成することが可能である。そのため、例えばフッ素系コート剤などを使用したコーティングを行う場合と比べて、材料コスト及び加工コストを含む製造コストを抑えやすい。
【0059】
また、第1微細凹凸構造は、本例においては、凸部70の間隔CI(
図5参照)が0.1μm以上かつ10μm以下である。このような構成とすることにより、第1微細凹凸構造に対して、適切な疎水性を持たせることができる。具体的には、間隔CIが0.1μmを下回る加工は、電子ビームのような高価な装置が必要となり、コストが高くなりすぎるという問題を生じる。また、間隔CIが10μmを上回ると、ラプラス力によって、水が凸部70の間の凹部に入り込む。凹部は加工領域内で繋がっているため、水が広がってしまい、疎水性にならないという問題を生じる。そのため、第1微細凹凸構造は、凸部70の間隔CIが0.1μm以上かつ10μm以下であることが好ましい。
【0060】
また、第1微細凹凸構造は、本例においては、凸部70の高さCH(
図5参照)が2μm以上かつ50μm以下である。このような構成とすることにより、第1微細凹凸構造に対して、適切な疎水性を持たせることができる。具体的には、高さCHが2μmを下回ると、ラプラス力によって、水が凸部70の間(本例では、凹部)に入り込む。凹部は加工領域内で繋がっているため、水が広がってしまい、疎水性にならないという問題を生じる。また、高さCHが50μm以上になると、物理的な強度が不足し、使用時に構造が壊れてしまうという問題を生じる。そのため、第1微細凹凸構造は、凸部70の高さCH(
図5参照)が2μm以上かつ50μm以下であることが好ましい。
【0061】
また、親水部RBは、本例においては、複数の凸部がランダムに配列されている第2微細凹凸構造により構成されている。このような第2微細凹凸構造は、第1微細凹凸構造と同様に、例えば超短パルスレーザー加工を先端面25aに施すことにより、形成することが可能である。そのため、例えばシリカ系コート剤などを使用したコーティングを行う場合と比べて、材料コスト及び加工コストを含む製造コストを抑えやすい。
【0062】
また、第2微細凹凸構造は、本例において、表面粗さが0.5μm以上かつ1μm以下である。このような構成とすることにより、第2微細凹凸構造に対して、適切な親水性を持たせることができる。具体的には、表面粗さが0.5μmを下回ると、親水部RBの表面積を大きく増加させることができず、所望のレベルの親水化を実現できないという問題を生じる。また、表面粗さが1μmを上回ると、水が濡れて広がる際に、粗された表面の凸部が壁になって、水が広がらなくなるため、所望のレベルの親水化を実現できないという問題を生じる。そのため、第2微細凹凸構造は、表面粗さが0.5μm以上かつ1μm以下であることが好ましい。
【0063】
「第2実施形態」
第2実施形態の内視鏡12は、第1実施形態の内視鏡12に対して、第1疎水部RA1に加えて第2疎水部RA2を追加し、かつ、親水部RBの範囲を変更したものである。
【0064】
図10に示すように、第2実施形態の内視鏡12は、第1実施形態と同様の第1疎水部RA1を備える。
【0065】
また、第2実施形態の内視鏡12は、光入射面52aを挟んでノズル27の噴射方向IDの下流側で光入射面52aに隣接する領域に第2疎水部RA2が形成されている。
【0066】
また、第1疎水部RA1の周囲であって接線TLに隣接し、親水性の表面特性を有する親水部RBを備える。親水部RBは接線TLに沿って光入射面52aの下流側まで延びている。親水部RBのノズル27側の境界は、第1実施形態と同様に、ノズル27の開口27aの幅方向WDに沿って引いた線OLに設定されている。
【0067】
このように、光入射面52aを挟んでノズル27の噴射方向IDの下流側で光入射面52aに隣接する領域に第2疎水部RA2を形成することにより、送水時に光入射面52aの下流側に到達した水WFが第2疎水部RA2によってはじかれるため、光入射面52aの下流側で水滴WGが残りにくい。そのため、第2疎水部RA2は水滴WGが残留しにくいため、光入射面52aの下流側から光入射面52aに水滴WGが逆流することが抑制される。これにより、光入射面52aから水滴WGをより除去しやすい。
【0068】
また、親水部RBについて、接線TLに沿って光入射面52a(有効領域の一例)の下流側まで延びた構成とすることにより、送水時に、第1疎水部RA1および第2疎水部RA2からはじかれた水滴WGを親水部RBに誘導しやすい。また、親水部RBに誘導した水滴WGは第1疎水部RA1および第2疎水部RA2に逆流しにくい。このため、第1疎水部RA1および第2疎水部RA2に水滴WGがより残りにくくなり、光入射面52aに付着する水滴WGが抑制されるため、光入射面52aから水滴WGをより除去しやすい。
【0069】
「変形例」
本開示の技術は、上述の種々の実施形態と種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることは勿論である。
【0070】
例えば、上記例においては観察窓52の光入射面52aの全域を有効領域としたが、
図11に示すように、観察窓55の光入射面55aにおいて有効領域ERは、光入射面55aの一部としてもよい。観察窓55における有効領域ERは、上述したとおり、撮像に寄与する有効な光束が通過する領域をいう。
【0071】
図12において、点線LXは、撮像に寄与する有効な光束の最大周辺光線であり、光入射面55aにおいては、最大周辺光線LXの通過位置によって有効領域ERが画定される。有効領域ERは光入射面52aの一部でもよい。このように光入射面52aの一部が有効領域ERの場合は、
図11に示すように、第1疎水部RA1を画定する接線TLの一端は、光入射面52aの外縁よりも内側に位置することになる。
【0072】
なお、
図12において、観察窓55は、レンズ機能を持たないカバーガラスであり、対物光学系56は、観察窓55の内側に配置されている。
図3で示した観察窓52は、レンズ機能を有していたが、
図12に示すように、観察窓55としては、レンズ機能を持たなくてもよい。
【0073】
また、
図13および
図14に示すように、1つのノズル90に、複数の開口90aを設けてもよい。
図13および
図14では、一例として、2つの開口90aを備えた例を示している。1つのノズル90に複数の開口90aを設けた場合は、1つの開口90a毎に、開口90aの両端の各々から有効領域ERに対して引いた2本の接線TLの間の領域を、第1疎水部RA1とすればよい。
【0074】
また、第1疎水部の第1微細凹凸構造は、上記のように四角柱形状で高さが同一の複数の凸部70が、格子状に等間隔で配置された態様に限らず、
図15および
図16に示すように、円柱形状で高さが同一の複数の凸部71が、千鳥状に等間隔に配置された態様としてもよい。
【0075】
また、
図17および
図18に示すように、第1微細凹凸構造の凸部72は、柱形状の基端部72bよりも先端部72aの直径を太くしてもよい。このような形に形成するためには、一例として柱形状の凸部72を超短パルスレーザー加工により形成し、その後に先端部分を溶融して潰すことにより先端部72aを形成することができる。なお、
図17および
図18の例では、凸部72を円柱形状の例で示したが角柱形状でもよい。
【0076】
また、
図19および
図20に示すように、第1微細凹凸構造の凸部73は、基端73b側よりも先端73a側が太い円錐形状としてもよい。このような形に形成するためには、一例として凸部73の形成面に対して超短パルスレーザーを斜めに入射させて加工を行えばよい。なお、
図19および
図20の例では、凸部73を円錐形状の例で示したが、基端側よりも先端側が太い四角錐形状でもよい。
【0077】
また、第1微細凹凸構造の凸部形状は、上記以外にも、基端側よりも先端側が細い四角錐形状または基端側よりも先端側が細い円錐形状とするなど、種々の形状とすることができる。
【0078】
また、第1微細凹凸構造の複数の凸部の配置態様は、格子状に等間隔で配置された態様および千鳥状に等間隔に配置された態様に限らず、種々の配置態様とすることができる。
【0079】
また、第1疎水部RA1および第2疎水部RA2は、先端保護キャップ25の先端面25aに第1微細凹凸構造を形成することにより実現する態様に限らず、疎水部とする領域に、フッ素系コート剤またはシリコン系コート剤等の疎水性コート剤をコーティングすることにより実現してもよい。このように、先端保護キャップ25とは別のコート剤をコーティングすることにより、第1疎水部RA1および第2疎水部RA2に要求される性能に応じた適切な材料選択が可能となる。
【0080】
また、親水部RBは、先端保護キャップ25の先端面25aに第2微細凹凸構造を形成することにより実現する態様に限らず、親水部とする領域に、シリカ系コート剤等の親水性コート剤をコーティングすることにより実現してもよい。このように、先端保護キャップ25とは別のコート剤をコーティングすることにより、親水部RBに要求される性能に応じた適切な材料選択が可能となる。
【0081】
また、本開示の技術を適用した光学装置は、上記の内視鏡に限らず、
図21に示すように、監視カメラ100に適用してもよい。監視カメラ100は、筐体101の前面101a(配置面に相当)に、観察窓102と、送気送液用のノズル103とを備える。観察窓102の背面には、撮像を行う不図示のカメラが配されている。観察窓102において、撮像に寄与する有効な光束が通過する一部の領域が有効領域ERとなる。筐体101の前面101a(配置面に相当)において、有効領域ERとノズル103との間の領域であって、幅方向WDにおける開口103aの両端の各々から有効領域ERに対して引いた2本の接線TLの間の領域に、疎水性の表面特性を有する第1疎水部RA1が形成されている。
【0082】
また、
図22および
図23に示すように、車110の前方のヘッドライト120aおよび120bに適用してもよい。
図23は車110の右側前方のヘッドライト120aを示す。ヘッドライト120aは、筐体121の前面に透明カバー122を備える。透明カバー122の前面122a(配置面に相当)に、送気送液用のノズル123を備える。透明カバー122の背面には、不図示の照明用ライトが配されている。このように、照明用の光学装置に適用する場合には、光学窓は、光源から光が出射する照明窓となる。
図23に示す例では、透明カバー122が照明窓となる。透明カバー122の前面122a(配置面に相当)において、照明に寄与する有効な光束が通過する一部の領域が有効領域ERとなる。透明カバー122の前面122a(配置面に相当)において、有効領域ERとノズル123との間の領域であって、幅方向WDにおける開口123aの両端の各々から有効領域ERに対して引いた2本の接線TLの間の領域に、疎水性の表面特性を有する第1疎水部RA1が形成されている。なお、右側前方のヘッドライト120aと左側前方のヘッドライト120bとは、左右対称形状であり、構成要素は同じである。
【0083】
また、
図22および
図24に示すように、車110の後方のバックカメラ130に適用してもよい。バックカメラ130は、筐体131の撮像側面131a(配置面に相当)に、観察窓132と、送気送液用のノズル133とを備える。観察窓132の背面には、撮像を行う不図示のカメラが配されている。本例では、観察窓132の全領域が有効領域となる。筐体131の撮像側面131a(配置面に相当)において、観察窓132とノズル133との間の領域であって、幅方向WDにおける開口133aの両端の各々から観察窓132に対して引いた2本の接線TLの間の領域に、疎水性の表面特性を有する第1疎水部RA1が形成されている。
【0084】
また、本開示の技術を適用した光学装置は、上記以外にも、光学窓と送気送液用のノズルとを備えた光学装置であれば、どのような光学装置に適用してもよい。
【0085】
また、第1疎水部は、光学窓の有効領域とノズルとの間に存在する配置面の一部の領域であって、ノズルの噴射方向と交差しかつ配置面に沿った幅方向における開口の両端の各々から有効領域に対して引いた2本の接線の間の疎水化推奨領域の全域とすることが好ましいが、このような態様に限らない。加工上の制約等により、疎水化推奨領域の全域を第1疎水部とすることが難しい場合でも、疎水化推奨領域の80%以上の領域を第1疎水部とすれば、光学窓上の残液を除去しやすくする効果を得ることができる。また、疎水化推奨領域の90%以上の領域を第1疎水部とすれば、80%以上の領域を第1疎水部とした場合と比較して、光学窓上の残液をさらに除去しやすくする効果を得ることができる。
【0086】
また、第1疎水部と親水部とが完全に隣接する態様に限らず、第1疎水部と親水部との間に1mm以下の間隔が空いていてもよい。加工上の制約等により、第1疎水部と親水部とを完全に隣接させることが難しい場合でも、第1疎水部と親水部との間の間隔が1mm以下であれば、送水時に、第1疎水部から親水部側へ水滴を誘導しやすく、かつ、親水部に誘導された水滴が第1疎水部に逆流しにくくすることができる。
【0087】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0088】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0089】
2020年3月31日に出願された日本出願特願2020-064617の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。