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特許7392382情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/02 20220101AFI20231129BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20231129BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231129BHJP
【FI】
H04L51/02
G06Q50/00 300
G06Q50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019190483
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2020095692
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2018226143
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】滝島 直樹
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041124(JP,A)
【文献】特開2007-164581(JP,A)
【文献】特許第6218057(JP,B1)
【文献】早見 拓也,実践編 ナレッジを作る! 育てる!! 『組織的サポート力』強化の極意,コールセンタージャパン 第21巻 第1号 CALL CENTER JAPAN,日本,株式会社リックテレコム,2017年12月20日,第21巻,P.48-51
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/00
G06Q 50/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般ユーザが利用する端末装置から質問を受け付け、質問回答とが対応付けられた設定データに基づく応答を前記端末装置に送信する制御部と、
契約者からの稼働状態から停止状態への切り替え要求を受け付ける第1の受付部と、
前記停止状態への切り替え要求を受け付けると、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付ける第1の状態と、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付けない第2の状態との間で停止状態を切り替える切り替え部と、を備え、
前記制御部は、
前記停止状態から前記稼働状態に切り替えられた場合に、前記停止状態に切り替え前の前記設定データ、または、前記第1の状態で変更を受け付けた前記設定データに基づいて、前記端末装置からの質問に対する応答を前記端末装置に送信すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記切り替え部により切り替えられた前記停止状態と、契約者を識別する契約者識別情報とを対応付けて記憶する記憶部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記端末装置から送信された前記契約者識別情報に対応する前記停止状態に基づいて、前記端末装置からの質問を受け付けること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記停止状態を切り替えるための切り替え操作であって、前記契約者による前記切り替え操作を受け付ける第2の受付部を、さらに備え、
前記切り替え部は、
受け付けられた前記切り替え操作に応じて、前記停止状態の切り替えを実行すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
記記憶部は、
前記契約者と、前記第1の状態の期間と、前記第2の状態の期間とを対応付けて記憶し、
前記切り替え部は、
前記契約者に対応する前記第1の状態の期間及び前記第2の状態の期間に基づいて、前記契約者に対応する前記停止状態を切り替えること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記端末装置において前記質問を入力するためのコンテンツ情報を前記端末装置に送信するコンテンツ提供部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記コンテンツ情報に基づいて入力され、前記端末装置から受信した前記質問を受け付け、
前記コンテンツ提供部は、
前記端末装置から送信された前記契約者識別情報に対応して前記停止状態が設定されている場合に、前記コンテンツ情報を前記端末装置に送信しないこと
を特徴とする請求項2乃至請求項の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
御部が、一般ユーザが利用する端末装置から質問を受け付け、質問回答とが対応付けられた設定データに基づく応答を前記端末装置に送信する制御ステップと、
第1の受付部が、契約者からの稼働状態から停止状態への切り替え要求を受け付ける第1の受付ステップと、
切り替え部が、前記停止状態への切り替え要求を受け付けると、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付ける第1の状態と、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付けない第2の状態との間で停止状態を切り替える切り替えステップと、を備え、
前記制御ステップでは、
前記停止状態から前記稼働状態に切り替えられた場合に、前記停止状態に切り替え前の前記設定データ、または、前記第1の状態で変更を受け付けた前記設定データに基づいて、前記端末装置からの質問に対する応答を前記端末装置に送信すること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
一般ユーザが利用する端末装置から質問を受け付け、質問回答とが対応付けられた設定データに基づく応答を前記端末装置に送信する制御部と、
契約者からの稼働状態から停止状態への切り替え要求を受け付ける第1の受付部と、
前記停止状態への切り替え要求を受け付けると、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付ける第1の状態と、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付けない第2の状態との間で停止状態を切り替える切り替え部と、を備え、
前記制御部は、
前記停止状態から前記稼働状態に切り替えられた場合に、前記停止状態に切り替え前の前記設定データ、または、前記第1の状態で変更を受け付けた前記設定データに基づいて、前記端末装置からの質問に対する応答を前記端末装置に送信すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
ンピュータを、
一般ユーザが利用する端末装置から質問を受け付け、質問回答とが対応付けられた設定データに基づく応答を前記端末装置に送信する制御部と、
契約者からの稼働状態から停止状態への切り替え要求を受け付ける第1の受付部と、
前記停止状態への切り替え要求を受け付けると、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付ける第1の状態と、前記端末装置から前記質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの前記設定データの変更を受け付けない第2の状態との間で停止状態を切り替える切り替え部として機能させ、
前記コンピュータを前記制御部として機能させる際に、前記停止状態から前記稼働状態に切り替えられた場合に、前記停止状態に切り替え前の前記設定データ、または、前記第1の状態で変更を受け付けた前記設定データに基づいて、前記端末装置からの質問に対する応答を前記端末装置に送信するように機能させること
を特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、利用者から入力されたテキスト、音声又は画像のパターン認識をクラウド経由で行い、会話、質問に対する回答、機器制御等を行う、いわゆるチャットボットが知られている。このチャットボットとしては、決められたシナリオに基づいて選択式で会話を行う選択肢型のチャットボット、登録された単語及び登録された単語に対する応答を行う辞書型のチャットボット、会話ログを用いて文脈に近い応答を行うログ型のチャットボット等が知られている。
【0003】
また、特許文献1(特開2018-92585号公報)には、予め登録した登録情報に基づいて、自動的に利用者と対話(チャット)することにより、利用者が望んでいる情報を特定して提供する情報処理方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のチャットボットシステムは、チャットボットシステムを運用側及び契約者側が、稼働状態及び停止状態を切り替えることができないため、契約者側が希望する使用形態等に柔軟に対応困難な問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、チャットボットシステムの稼働状態及び停止状態を切り替え可能として、契約者側が希望する使用形態等に柔軟に対応可能な情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一般ユーザが利用する端末装置から質問を受け付け、質問回答とが対応付けられた設定データに基づく応答前記端末装置に送信する制御部と、契約者からの稼働状態から停止状態への切り替え要求を受け付ける第1の受付部と、停止状態への切り替え要求を受け付けると、端末装置から質問の受け付けをせず、かつ、前記契約者からの設定データの変更を受け付ける第1の状態と、端末装置から質問の受け付けをせず、かつ、契約者からの設定データの変更を受け付けない第2の状態との間で停止状態を切り替える切り替え部と、を備え、制御部は、停止状態から稼働状態に切り替えられた場合に、停止状態に切り替え前の設定データ、または、第1の状態で変更を受け付けた設定データに基づいて、端末装置からの質問に対する応答を端末装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チャットボットシステムの稼働状態及び停止状態を切り替え可能として、契約者側が希望する使用形態等に柔軟に対応可能とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態のチャットボットシステムのシステム構成図である。
図2図2は、実施の形態のチャットボットシステムを構成する各部のブロック図である。
図3図3は、APPサービスサーバ装置の機能ブロック図である。
図4図4は、設定データの具体例を示す図である。
図5図5は、クラウドプラットフォームの各機能を説明するための図である。
図6図6は、企業が契約しているチャットボットを、稼働状態から停止状態へ移行させるシステム動作の流れを示すシーケンス図である。
図7図7は、テナント状態テーブルに記憶されているテナント識別情報の一例を示す図である。
図8図8は、チャットボットシステムが稼働中の管理者画面の一例を示す図である。
図9図9は、チャットボットシステムが停止中の管理者画面の一例を示す図である。
図10図10は、実施の形態のチャットボットシステムで対応可能なテナント数を示す図である。
図11図11は、企業が契約しているチャットボットを、停止状態から稼働状態へ復帰させるシステム動作の流れを示すシーケンス図である。
図12図12は、一般ユーザによる実施の形態のチャットボットシステムの使用形態の流れを示すシーケンス図である。
図13図13は、利用者側のパーソナルコンピュータ装置に表示される、チャットボットシステムが稼働中の企業のホームページの一例を示す図である。
図14図14は、利用者側のパーソナルコンピュータ装置に表示される、チャットボットシステムにおけるチャット画面の一例を示す図である。
図15図15は、利用者側のパーソナルコンピュータ装置に表示される、チャットボットシステムが停止中の企業のホームページの一例を示す図である。
図16図16は、第2の実施の形態で用いられるテナント状態テーブルの一例を示す図である。
図17図17は、第2の実施の形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの適用例となる実施の形態のチャットボットシステムを説明する。
【0010】
(システム構成)
図1は、実施の形態のチャットボットシステムのシステム構成図である。この図1に示すように、実施の形態のチャットボットシステムは、クラウドプラットフォーム10、チャットボットシステムの利用者のパーソナルコンピュータ装置11、及び、チャットボットシステムを導入している企業等の管理者のパーソナルコンピュータ装置12を有している。この図1には、クラウドプラットフォーム10、パーソナルコンピュータ装置11、及び、パーソナルコンピュータ装置12をそれぞれ単体として図示しているが、それぞれ複数でもよい。
【0011】
また、チャットボットシステムの利用者のパーソナルコンピュータ装置11は、ユーザがホームページを閲覧し、チャットを行う端末装置、又は、インストールされたコミュニケーションツールを用いてチャットを行う端末装置である。
【0012】
一例ではあるが、クラウドプラットフォーム10は、APP(Application software)サービスサーバ装置1、ボットサービスサーバ装置2、管理者ツールサービスサーバ装置3、第1のデータベース4、コンテンツ配信サービスサーバ装置5、検索エンジン6、ストレージサービス装置(Storage)7、第2のデータベース8を有している。
【0013】
このようなクラウドプラットフォーム10の各装置1~8は、1台のサーバ装置で実現してもよいし、サービス毎にサーバ装置を設けてもよい。また、1つのサービスを1台のサーバ装置で実現する形態、及び、複数のサービスを1台のサーバ装置で実現する形態を混在させた形態でもよい。さらに、1つのサービスを複数台のサーバ装置による分散処理で実現してもよい。
【0014】
図2は、クラウドプラットフォーム10の各装置1~8のブロック図である。この図2に示すように、各装置1~8は、CPU(Center Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、HDD(ハードディスクドライブ)24、操作インタフェース(操作I/F)25及び通信部26を有している。HDDには、後述するチャットボットシステムの稼働及び停止を切り替え制御するための情報処理プログラムが記憶されている。
【0015】
図3は、クラウドプラットフォーム10のAPPサービスサーバ装置1の機能ブロック図である。APPサービスサーバ装置1のCPU21は、HDD24に記憶されている情報処理プログラムを実行することで、この図3に示すように問い合わせ受け付け部31、回答送信部32、変更操作受け付け部33、切り替え部34として機能する。問い合わせ受け付け部31及び回答送信部32は、制御部の一例である。また、変更操作受け付け部33は、第1の受け付け部の一例、切り替え部34は、切り替え部の一例である。
【0016】
図5は、クラウドプラットフォーム10の各機能を説明するための図である。この図5に示すサービスタイプ(Service type)は、APPサービスサーバ装置1、ボットサービスサーバ装置2等の、クラウドプラットフォーム10の各機能を示している。また、各機能の左に付してある数字は、各機能の符号を示している。すなわち、APPサービスサーバ装置1であれば「App Service」の左に「1」の数字が付され、チャットサービスサーバ装置2であれば「Bot Service」の左に「2」の数字が付されている。
【0017】
この図5に示すように、クラウドプラットフォーム10のAPPサービスサーバ装置1は、いわゆるサーブレットコンテナ又はWebコンテナと呼ばれるWebサーバ装置である。APPサービスサーバ装置1は、ドメイン名とIPアドレスの対応付け、及び、メールの宛先ホストの指示等を行うDNS(Domain Name System)機能を有している。また、APPサービスサーバ装置1は、暗号化キー及び秘密キーの作成、削除、インポート及び使用回数等の管理機能を有している。
【0018】
また、APPサービスサーバ装置1は、オンプレミスとクラウドのワークロード間のセキュリティの監視機能を有している。また、APPサービスサーバ装置1は、インターネット上でのデータの通信が暗号化されており、盗聴及び改ざんを防止可能なことを証明するSSL(Secure Sockets Layer)証明書の発行機能を有している。
【0019】
ボットサービスサーバ装置2は、チャットボットを実現するためのライブラリ群である、いわゆるフレームワークである。管理者ツールサービスサーバ装置3は、APPサービスサーバ装置1に実装されたWebアプリケーションであり、管理者ツールのWebユーザインタフェース(WebUI)を提供する。第1のデータベース4は、企業に寄せられた質問及び回答(Q&A)の設定データを記憶する。この設定データは、例えばHTMLで記述された情報の意味を、検索エンジン6及びその他のクローラーが理解できるようタグ付けした構造化データとして記憶される。
【0020】
図4は、設定データの一例を示す図である。設定データは、この図4に示すように、質問及び回答が関連付けされた記憶されたデータである。この図4の例は、質問識別番号(質問ID)が「1」として「特許明細書の書き方」という質問が登録され、この質問に対して、「ここを見てください」との、特許明細書の書き方を解説したページのURL(Uniform Resource Locator)の閲覧を促すメッセージ、及び、特許明細書の書き方を解説したページのURLが登録されている例である。また、図4の例は、質問IDが「3」として「PCの捨て方」という質問が登録され、この質問に対して、「ここを見てください」との、PCの捨て方を解説したページのURL(Uniform Resource Locator)の閲覧を促すメッセージ、及び、PCの捨て方を解説したページのURLが登録されている例である。
【0021】
コンテンツ配信サービスサーバ装置5は、チャットボットのUIコンテンツを配信する。検索エンジン6は、データベースの検索機能の他、ユーザにより入力された文書を解析し、所定のアルゴリズムに基づいて、データベースの検索文を作成する機能を備える。ストレージサービス装置(Storage)7は、チャットボットのUIコンテンツを記憶している。第2のデータベース8は、履歴データ及びログデータ等を記憶する。
【0022】
(実施の形態の動作)
このような実施の形態のチャットボットシステムは、チャットボットを契約している企業等が、チャットボットを必要な期間だけ利用可能となっている。利用していない期間(停止中)は、設定データ等を保管しておく。再度の利用開始時には、保管しておいた設定データ等に基づいて、スムーズに停止状態から復帰できる。このような稼働及び停止の切り替えを簡単に実行可能となっている。
【0023】
(稼働状態から停止状態への移行動作)
図6のシーケンス図は、企業が契約しているチャットボットを、稼働状態から停止状態へ移行させるシステム動作の流れを示すシーケンス図である。この図6のシーケンス図において、まず、企業のアカウント管理者は、管理用のパーソナルコンピュータ装置12の操作部を操作して管理者画面に対するアクセス操作を行う(ステップS1)。管理用のパーソナルコンピュータ装置12のWebブラウザは、クラウドプラットフォーム10の管理者ツールサービスサーバ装置3を介してAPPサービスサーバ装置1にテナント識別情報(チャットボットを契約している企業の識別情報)を転送し、テナント状態を要求する(ステップS2、ステップS3)。
【0024】
APPサービスサーバ装置1は、転送されたテナント識別情報に基づいて、「第1のデータベース」に記憶されているテナント状態テーブルを参照し、テナント識別情報に対応するテナント状態を検出する(ステップS4)。図7は、このテナント状態テーブルに記憶されているテナント識別情報の一例を示す図である。この図7の例の場合、株式会社Aはチャットボットを停止中、株式会社B及び株式会社Cはチャットボットを稼働中(利用中)であることを示している。APPサービスサーバ装置1は、検出したテナント状態を示すテナント状態情報を、管理者ツールサービスサーバ装置3を介して、管理用のパーソナルコンピュータ装置12のWebブラウザに送信する(ステップS5、ステップS6)。
【0025】
現在、チャットボットが稼働中(利用中)であることを示すテナント状態情報を受信した場合、管理用のパーソナルコンピュータ装置12は、Webブラウザを介して、稼働中の管理者画面を表示部に表示する(ステップS7)。図8は、この稼働中の管理者画面の一例を示す図である。この図8に示すように、稼働中の管理者画面には、例えば「チャットボットは稼働中です」等の稼働中である旨のメッセージが表示されると共に、稼働中のチャットボットシステムを停止中に移行させるための停止ボタン100が表示される。
【0026】
次に、アカウント管理者は、稼働中のチャットボットシステムを、停止中に移行させる場合、図8に示したように、稼働中の管理者画面に表示されている停止ボタン100を操作する(ステップS8)。これにより、管理用のパーソナルコンピュータ装置12のWebブラウザを介して、チャットボットシステムを停止状態へ切り替えるための停止状態切り替え要求が、APPサービスサーバ装置1に送信される(ステップS9、ステップS10)。APPサービスサーバ装置1は、停止状態切り替え要求を受信すると、停止状態切り替え処理を開始する(ステップS11)。
【0027】
具体的には、APPサービスサーバ装置1は、ハードディスクドライブ又は半導体記憶装置等の記憶部に記憶されている情報処理プログラムに基づいて中央演算処理部(CPU)が動作することで、以下の処理を行う。すなわち、APPサービスサーバ装置1は、停止状態切り替え処理を開始すると、第1のデータベース4に対して、利用者から企業に寄せられた質問と回答の設定データであるQ&A設定データを要求する(ステップS12)。第1のデータベース4は、要求されたQ&A設定データをAPPサービスサーバ装置1に送信する(ステップS13)。
【0028】
次に、APPサービスサーバ装置1は、第2のデータベース8に対して、利用者等との会話の履歴データを要求する(ステップS14)。第2のデータベース8は、要求された履歴データを、APPサービスサーバ装置1に送信する(ステップS15)。
【0029】
次に、APPサービスサーバ装置1は、取得したQ&A設定データと履歴データのアーカイブデータの生成を開始する(ステップS16)。具体的には、APPサービスサーバ装置1は、Q&A設定データ及び履歴データをストレージサービス装置7に送信し、アーカイブ要求を行う(ステップS17)。ストレージサービス装置7は、Q&A設定データ及び履歴データをアーカイブ化して記憶する(ステップS18)。
【0030】
ここで、実施の形態のチャットボットシステムの場合、停止時に取り得る態様(状態)として、一般ユーザ向けのチャット機能は停止するが、管理者向けの管理機能を維持する「第1の状態」及び一般ユーザ向けのチャット機能及び管理者向けの管理機能の両方を停止する「第2の状態」を有している。
【0031】
稼働中の状態から一般ユーザ向けのチャット機能及び管理者向けの管理機能の両方を停止する「第2の状態」に移行する場合は、データのアーカイブ化を行うステップS12~ステップS18の処理が実行される。
【0032】
しかし、稼働中の状態から一般ユーザ向けのチャット機能は停止するが、管理者向けの管理機能を維持する「第1の状態」に移行する場合は、管理者向けの管理機能でQ&A設定データ及び履歴データが使用されるため、各データをアーカイブ化するステップS12~ステップS18の処理は不要となる。
【0033】
また、一般ユーザ向けのチャット機能は停止するが、管理者向けの管理機能を維持する「第1の状態」から、両方の機能を停止する「第2の状態」へ移行する場合は、ステップS12~ステップS18の処理が実行され、Q&A設定データ及び履歴データがアーカイブ化される。
【0034】
なお、一般ユーザ向けのチャット機能は停止するが、管理者向けの管理機能を維持する「第1の状態」に移行する場合、Q&A設定データ及び履歴データのうち、いずれか一方をアーカイブ化してもよい。Q&A設定データをアーカイブ化する場合は、履歴データを取得するためのステップS14及びステップS15の処理は不要となる。また、履歴データをアーカイブ化する場合は、Q&A設定データを取得するためのステップS12及びステップS13の処理は不要となる。
【0035】
次に、APPサービスサーバ装置1は、検索エンジン6に対して、検索サービスの制限要求を行うと共に(ステップS19)、コンテンツ配信サービスサーバ装置5に対しても、コンテンツ配信サービスの制限要求を行う(ステップS21)。検索エンジン6及びコンテンツ配信サービスは、制限要求元となる企業等に対する検索サービス及びコンテンツ配信サービスを停止する(ステップS20、ステップS22)。
【0036】
次に、APPサービスサーバ装置1は、管理者からの要求を処理した結果の画面となる応答画面を形成し、管理者ツールサービスサーバ装置3を介して、管理者のパーソナルコンピュータ装置12に送信する(ステップS23、ステップS24)。管理者のパーソナルコンピュータ装置12は、チャットボットシステムの停止要求の結果となる応答画面を、表示部に表示する(ステップS25)。
【0037】
ここで、図6のステップS8において、図8に示す停止ボタン100を操作することで、稼働状態から管理者向けの管理機能を維持する第1の状態に移行させることができる。一方、一般ユーザ向けのチャット機能及び管理者向けの管理機能の両方を停止する第2の状態になると、管理者向けの管理機能が停止状態となる。このため、図9に示すチャットボットシステムが停止中の管理者画面が表示されず、第2の状態から第1の状態又は稼働状態に復帰させることが困難となる。
【0038】
このような不都合を防止するために、管理用のパーソナルコンピュータ装置12は、以下のように動作する。すなわち、図8に示すチャットボットシステムが稼働中の管理者画面(管理者ツール)が操作された場合に、管理用のパーソナルコンピュータ装置12は、稼働状態から第1の状態に移行させる。これに対して、第1の状態又は稼働状態から第2の状態への移行は、システム提供側の管理者等により、専用UI又はツールを介して指定された場合に、特定のテナントの状態を第2の状態に切り替える。
【0039】
これにより、専用UI又はツールを介して行われる、意図的な指定である場合のみ、一般ユーザ向けのチャット機能及び管理者向けの管理機能の両方を停止する第2の状態に移行させることができる。この場合、第2の状態から第1の状態又は稼働状態への復帰は、管理者等による所望のタイミングで行われることとなる。
【0040】
または、管理用のパーソナルコンピュータ装置12は、第2の状態に移行した際に、管理者ツールサービスを完全に停止するのではなく、図8及び図9に示す管理画面(状態)を切り替えるための、最低限の機能を維持してもよい。これにより、第2の状態に移行した後でも、管理者等が各状態を自由に切り替えできる。この場合に、図8及び図9に示した管理画面において、3つの状態のうち、移行させるいずれかの状態を選択可能とすることで、より操作性の向上を図ることができる。
【0041】
図9は、この応答画面の一例を示す図である。この図9の例は、チャットボットシステムが稼働中から停止に移行した場合の応答画面である。チャットボットシステムが稼働中から停止に移行した場合、例えば図9に示すように、「チャットボットは一時停止中です」との、サービス停止中を示すメッセージが表示される。また、このメッセージと共に、チャットボットシステムを再開する際に操作する再開ボタン200が表示される。
【0042】
(チャットボットシステムを停止状態とすることによる効果)
このようにチャットボットシステムを一時的に停止することで、企業側及びチャットボットシステムの提供側は、それぞれ以下の効果を得ることができる。すなわち、図5に示すように、チャットボットシステムを稼働状態とすることで企業側が支払う料金は、以下の料金を合計した金額となる。なお、図5に示す金額は、A>B>C>D>E>F>G>H>I>J>Kのように、金額Aが一番高い金額で、金額Kが一番低い金額である。
【0043】
APPサービスサーバ装置1→B円
ボットサービスサーバ装置2→G円
第1のデータベース4→D円
コンテンツ配信サービスサーバ装置5→K円
検索エンジン6→A円
APPサービスサーバ装置1の暗号化機能→J円
ストレージサービス装置7→I円
APPサービスサーバ装置1のDNS機能→H円
第2のデータベース8→C円
APPサービスサーバ装置1のセキュリティ機能→E円
APPサービスサーバ装置1のSSL証明書発行機能→F円
【0044】
これに対して、チャットボットシステムを停止中とすると、図5に「-」の記号で示すように、以下のチャット機能(情報提供機能)のサービスが停止され、この停止されたサービスの合計金額が、企業側が節約可能となる。
【0045】
ボットサービスサーバ装置2→G円
第1のデータベース4→D円
コンテンツ配信サービスサーバ装置5→K円
検索エンジン6→A円
第2のデータベース8→C円
【0046】
このように、チャットボットシステムを稼働中から停止中とすることで、必要となるランニングコストを、大幅に削減できる。なお、少なくとも検索エンジン6だけを停止してもよい。この場合でも、企業側は最大金額の「A円」の節約となる。
【0047】
また、このようにチャットボットシステムを停止中としても、Q&A設定データ及び履歴データ等の必要なデータは消去されることなくアーカイブ化されて、次回の起動時まで保存される。必要となる期間に契約して使用し、不要となる期間には解約するチャットボットシステムの使用形態とすると、解約することで設定データ等が削除されてしまうため、再契約時に、再度、設定等が必要となる。しかし、停止状態とすることで、契約は継続されるため、設定データ等は削除されることはなく、使用再開時に、再設定等の面倒な手間を要することなく、スムーズに稼働状態に移行可能とすることができる。
【0048】
ここで、複数の企業がチャットボットシステムの契約をしている場合において、複数の企業のうち、例えば1社又は数社が停止状態に移行することがある。このような場合は、停止状態の企業の使用分を、他の新たな企業に貸与すればよい。すなわち、例えば第1のデータベース4には、図10に示すようにチャットボットシステムが対応可能なテナント数(例えば100社)、現在契約中のテナントを示すテナントリスト(テナントA、テナントB・・・)、及び、チャットボットシステムを使用中(稼働中)のテナント数の各情報が記憶されている。現在、例えば100社のテナントがチャットボットシステムを契約しており、一つのテナントがチャットボットシステムの使用を停止した場合、チャットボットシステムを使用中のテナント数は99社となり、1社分の空きが出る。
【0049】
なお、使用中のテナントリストは、各サービスが自身でテナントリストを記憶してもよい。
【0050】
このような場合、APPサービスサーバ装置1は、停止状態の企業の使用分を、他の新たな企業に貸与するように、各部の設定を行う。これにより、チャットボットシステムを停止状態とした企業は、使用量を節約でき、チャットボットシステムの提供側は、新たに貸与した他の企業から、チャットボットシステムの使用量を徴収することができる。このため、チャットボットシステムを利用している企業側、及び、チャットボットシステムを提供している提供側の両方にメリットのあるシステムを構築することができる。
【0051】
(停止状態から稼働状態への復帰動作)
図11のシーケンス図は、図6のシーケンス図の例とは逆に、企業が契約しているチャットボットを、停止状態から稼働状態へ復帰させるシステム動作の流れを示すシーケンス図である。この場合も、図6のシーケンス図を用いて説明したように、企業のアカウント管理者は、管理用のパーソナルコンピュータ装置12の操作部を操作して管理者画面に対するアクセス操作を行う(ステップS1)。管理用のパーソナルコンピュータ装置12のWebブラウザは、クラウドプラットフォーム10の管理者ツールサービスサーバ装置3を介してAPPサービスサーバ装置1にテナント識別情報(チャットボットを契約している企業の識別情報)を転送し、テナント状態を要求する(ステップS2、ステップS3)。
【0052】
APPサービスサーバ装置1は、転送されたテナント識別情報に基づいて、第1のデータベース4を参照し、テナント識別情報に対応するテナント状態を検出する(ステップS4)。APPサービスサーバ装置1は、検出したテナント状態を示すテナント状態情報を、管理者ツールサービスサーバ装置3を介して、管理用のパーソナルコンピュータ装置12のWebブラウザに送信する(ステップS5、ステップS6)。
【0053】
現在、チャットボットが停止中であることを示すテナント状態情報を受信した場合、管理用のパーソナルコンピュータ装置12は、Webブラウザを介して、図9に示した停止中の管理者画面を表示部に表示する(ステップS31、ステップS32)。
【0054】
次に、アカウント管理者は、停止中のチャットボットシステムを、稼働状態に移行させる場合、図9に示した、停止中の管理者画面に表示されている再開ボタン200を操作する(ステップS33)。これにより、管理用のパーソナルコンピュータ装置12のWebブラウザを介して、チャットボットシステムを稼働状態へ切り替えるための稼働状態切り替え要求が、APPサービスサーバ装置1に送信される(ステップS34、ステップS35)。APPサービスサーバ装置1は、稼働状態切り替え要求を受信すると、稼働状態切り替え処理を開始する(ステップS36)。
【0055】
具体的には、APPサービスサーバ装置1は、ハードディスクドライブ又は半導体記憶装置等の記憶部に記憶されている情報処理プログラムに基づいて中央演算処理部(CPU)が動作することで、以下の処理を行う。すなわち、APPサービスサーバ装置1は、稼働状態切り替え処理を開始すると、アーカイブ化されて保存されている会話の履歴データ及びQ&A設定データを、ストレージサービスサーバ装置7から取得する(ステップS37、ステップS38)。そして、APPサービスサーバ装置1は、取得したQ&A設定データを第1のデータベース4に送信して格納する(ステップS39、ステップS40)。また、APPサービスサーバ装置1は、取得した会話の履歴データを第2のっデジタルカメラ装置8に送信して格納する(ステップS41、ステップS42)。
【0056】
次に、APPサービスサーバ装置1は、検索エンジン6に対して、検索サービスの制限の解除要求を行うと共に(ステップS43)、コンテンツ配信サービスサーバ装置5に対しても、コンテンツ配信サービスの制限の解除要求を行う(ステップS45)。検索エンジン6及びコンテンツ配信サービスは、制限要求元となる企業等に対する検索サービス及びコンテンツ配信サービスの提供を再開する(ステップS44、ステップS46)。
【0057】
次に、APPサービスサーバ装置1は、管理者からの要求を処理した結果の画面となる応答画面を形成し、管理者ツールサービスサーバ装置3を介して、管理者のパーソナルコンピュータ装置12に送信する(ステップS47、ステップS48)。管理者のパーソナルコンピュータ装置12は、チャットボットシステムの稼働要求の結果となる、図8に示した応答画面を、表示部に表示する(ステップS49)。
【0058】
(チャットボットシステムの使用形態)
次に、図12は、一般ユーザによる実施の形態のチャットボットシステムの使用形態の流れを示すシーケンス図である。この図12において、まず、ユーザはパーソナルコンピュータ装置11を操作して、Webブラウザを介して、チャットボットシステムを契約している企業のホームページ(企業のサーバ装置50:HPサービス)にアクセスする(ステップS51)。これにより、企業のホームページを構成するHPコンテンツがユーザのパーソナルコンピュータ装置11で取得され、Webブラウザを介して表示部に表示される(ステップS52、ステップS53)。
【0059】
次に、ユーザのパーソナルコンピュータ装置11のCPUは、取得されたHPコンテンツに含まれる、チャットボット用のスクリプトを実行する(ステップS54)。具体的には、CPUは、Webブラウザを介して、APPサービスサーバ装置1に、HPコンテンツに含まれるテナント識別情報を送信すると共に、チャットボットシステムのコンテンツの取得要求を行う(ステップS55、ステップS56)。
【0060】
APPサービスサーバ装置1は、第1のデータベース4を参照することで、受信したテナント識別情報で示されるテナントが、現在、稼働中であるか停止中であるかを検出する(ステップS57:テナント状態のチェック)。そして、APPサービスサーバ装置1は、コンテンツ配信サービスサーバ装置5に対して、テナント状態を通知する(ステップS58)。
【0061】
(テナントがチャットボットシステムの使用中(稼働中)の場合)
テナントがチャットボットシステムの稼働中であることを示すテナント状態が通知されると、コンテンツ配信サービスサーバ装置5は、チャットボット用のユーザインタフェース画面であるチャットボットUIコンテンツを、ユーザのパーソナルコンピュータ装置11に送信する(ステップS59)。ユーザのパーソナルコンピュータ装置11は、Webブラウザを介して、チャットボットUIコンテンツを表示部に表示する(ステップS60)。これにより、表示部には、チャットボットUIが含まれた企業のHP画面が表示される。図13は、チャットボットシステムが稼働中の場合におけるHP画面の一例を示す図である。この図13に示すように、チャットボットシステムが稼働中の場合、HP画面には例えば「チャットを開始する」との文字が記載されたチャット開始ボタンが表示される。ユーザは、このチャット開始ボタンを操作することで、チャットボットの使用を開始する。
【0062】
チャットボットシステムを使用する場合、ユーザは、チャットボットUIを介して質問の入力を行う(ステップS61)。この質問は、Botサービスサーバ装置2に送信される(ステップS62)。Botサービスサーバ装置2は、質問を受信すると、チャット処理を行う(ステップS63)。
【0063】
具体的には、Botサービスサーバ装置2は、ストレージサービスサーバ装置7、第1のデータベース4、及び、検索エンジン6に対してユーザからの質問の処理要求を行う(ステップS64~ステップS66)。そして、Botサービスサーバ装置2は、質問に対する回答が得られた際に、ユーザのパーソナルコンピュータ装置11に送信する(ステップS67)。これにより、ユーザのパーソナルコンピュータ装置11のチャットボットUIを介して、ユーザの質問に対する回答が表示される(ステップS68)。
【0064】
図14は、チャット中の画面一例を示す図である。この図14は、ユーザが検索方法の選択メニューから「カテゴリから選んで検索」の検索方法を選択した場合のチャット画面の一例である。この場合、ユーザは、図14に示すように、利用者のパーソナルコンピュータ装置11を操作してチャット画面に対して「カテゴリから選んで検索」との文字入力を行う。
【0065】
「カテゴリから選んで検索」との文字入力を検出すると、検索エンジン6は、ユーザが選択可能なカテゴリのカテゴリ名を、チャット画面上に一覧表示する。図14の例は、「IT(Information Technology)」、「人事」、「経理」、「総務」及び「全てのカテゴリから検索」等の選択可能なカテゴリのカテゴリ名がチャット画面上に一覧表示された例を示している。
【0066】
ユーザは、例えば「経理」との文字入力操作を行い、希望する検索を希望するカテゴリを指定する。検索エンジン6は、ユーザからカテゴリが指定されると、例えば「質問してください」等の質問の入力を促すメッセージをチャット画面に表示して、質問の入力待ち状態に移行する。また、検索エンジン6は、ユーザからカテゴリが指定されると、この指定されたカテゴリに対応する質問及び回答を、第1のデータベース4から取得する。
【0067】
すなわち、上述の「全てのカテゴリから検索」の検索方法が選択された場合は、検索エンジン6は、第1のデータベース4に記憶されている全てのカテゴリの質問及び回答を参照した検索を行う。これに対して、ユーザからカテゴリが選択された場合は、選択されたカテゴリに対応する質問及び回答を第1のデータベース4から取得して検索を行う。これにより、検索する質問及び回答の情報量を少なくすることができ、検索時間の短縮化を図ることができる。
【0068】
次に、ユーザは、選択したカテゴリに対する質問を、入力操作する。図14の例は、「経理」とのカテゴリに対して、「立替積算について知りたい」とのユーザの質問が入力された例である。
【0069】
このように、ユーザから質問の文字が入力されると、検索エンジン6は、ユーザの質問の形態素解析を行い、ユーザの質問に含まれる複数の単語を検出する。また、検索エンジン6は、検出した各単語に基づいて、ユーザの質問に対応する類義語を検索する。そして、検索エンジン6は、検索した類義語に基づいて、第1のデータベース4から予め取得しておいた、ユーザが選択したカテゴリの質問及び回答を参照して回答を得る。
【0070】
次に、検索エンジン6は、回答の検索により、一つの回答候補を検索したか、二つ以上の回答候補を検索したか、又は、回答候補が検索できなかったか、を判別する。一つの回答候補を検索した場合、検索エンジン6は、検索した回答の表示、及び、ヘルプデスクへの連絡表示等を行う。
【0071】
これに対して、複数の回答候補を検索した場合、検索エンジン6は、例えば図14に示すように各回答候補の表示選択ボタンを表示し、表示選択ボタンで指定された回答候補の表示を行う。図14の例は、「立替積算について知りたい」とのユーザの質問に対して、「立替積算の方法」及び「立替積算の振込先の確認・変更」との回答候補が表示された例を示している。
【0072】
なお、「回答無しボタン」が操作された場合、検索エンジン15は、ヘルプデスクへの連絡表示を行う。
【0073】
一方、ユーザの質問に対する回答候補を検出できなかった場合、検索エンジン6は、謝罪及び再検索を促すメッセージをチャット画面に表示し、チャット画面の初期画面(検索方法の選択画面)をユーザのパーソナルコンピュータ装置11に表示する。
【0074】
(テナントがチャットボットシステムの使用を停止中の場合)
これに対して、ステップS58で、テナントがチャットボットシステムの使用を停止していることを示すテナント状態が通知されると、コンテンツ配信サービスサーバ装置5は、上述のチャットボットUIコンテンツをユーザのパーソナルコンピュータ装置11に送信しない。
【0075】
この場合、ユーザのパーソナルコンピュータ装置11の表示部には、図15に示すようにチャットボットUIが含まれていない企業のHP画面が表示されることとなる(ステップS69)。このため、ユーザは、チャットボットシステムを使用できないこととなる。
【0076】
また、一般ユーザが端末装置にインストールされたコミュニケーションツール(図1参照)を利用して、チャットを行う場合に、ステップSS51~ステップSS59に示したように、チャットボットUIコンテンツを取得しなくてもよい。この場合、ステップSS62において、メッセージ情報が送信されると、Botサービス2がテナント状態をAppサービス1から取得し、取得したテナントの状態が稼働状態である場合に、システムはステップSS63~ステップSS67の処理を行う。また、停止状態である場合は、送信されたメッセージの受け付けは行わず、例えば停止中である旨をユーザに通知するメッセージをWebブラウザに送信して表示する。
【0077】
(第1の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態のチャットボットシステムは、チャットボットシステムの契約者(企業の管理者)又はチャットボットシステムの運用側が、チャットボットシステムの稼働及び停止を簡単に切り替え操作できる、これにより、契約者の利用形態及び運営側の変更等に柔軟に対応することができる。
【0078】
従来のチャットボットシステムでは、常に月額課金する、又は、使用を止めたいときには契約を終了する必要があった。しかし、第1の実施の形態のチャットボットシステムでは、テナントがチャットボットシステムの使用を希望する期間だけ選択的に使用可能とすることができる。また、使用停止時には、ストレージサービスサーバ装置7等のデータ保管機能により、設定データをバックアップでき、使用再開時に、再開ボタン200をワンクリック操作するだけで、チャットボットシステムの使用を再開できる。そして、チャットボットシステムの導入コストを、チャットボットシステムを使用した分だけに抑えることができるため、チャットボットシステムを導入する企業の導入意欲を高め、チャットボットシステムの普及に貢献することができる。
【0079】
また、企業(又は団体等)の中には、1年間のうち、特定の期間に問い合わせが集中し(繁忙期)、他の期間の問い合わせ数は、それほどでもない企業が存在する。例えば、お年玉飾りの製作会社であれば、11月~1月の間が繁忙期となりユーザからの問い合わせが集中するが、この期間以外の期間は、問い合わせ数は、それほどでもない。同様に、人材派遣の会社は、3月~6月の間が繁忙期となり、ユーザからの問い合わせが集中するが、この期間以外の期間は、問い合わせ数は、それほどでもない。このように問い合わせが集中する繁忙期が存在する場合に、繁忙期に合わせた数の人員を雇用すると、閑散期には余剰人員となり、経営上好ましいことではない。
【0080】
ユーザの問い合わせに対して自動で回答を行うチャットボットを導入することで、閑散期に余剰人員が発生する問題は解消する。この場合、チャットボットの導入費用として、閑散期にも繁忙期と同額の使用料が発生する。これは、チャットボットを導入しようとしている企業等の導入意欲を欠き、チャットボットの普及に支障を来たす要因となる。
【0081】
しかし、実施の形態のチャットボットシステムは、契約者等のチャットボットシステムの利用形態に柔軟に対応できるため、チャットボットを導入しようとしている企業等の導入意欲の向上を図り、チャットボットの普及に貢献できる。
【0082】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態のチャットボットシステムの説明をする。上述の第1の実施の形態の説明では、図7に示したように第1のデータベース4のテナント状態テーブルに、各テナントの稼働中又は停止中を示すテナント状態情報のみを記憶して管理した。これに対して、第2の実施の形態では、テナント状態テーブルに、テナント状態情報と共に、稼働期間を指定する稼働期間情報を記憶しておく。そして、稼働期間となった際に、自動的に停止状態から稼働状態に移行し、稼働期間が経過した際に、自動的に稼働状態から停止状態に移行するようにした例である。
【0083】
なお、第1の実施の形態と第2の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0084】
図16は、第1のデータベース4に記憶されている、第2の実施の形態で用いられるテナント状態テーブルの一例である。第2の実施の形態の場合、この図16に示すように、テナント状態テーブルに対して、停止中又は稼働中のテナント状態情報と共に、稼働期間情報を、テナント毎に記憶している。この図16の例は、株式会社Aは、現在、チャットボットシステムの使用停止中であり、12月1日~1月31日の間に稼働状態となることを示している。また、株式会社Cは、現在、チャットボットシステムの使用中(稼働中)であり、10月1日~11月30日の間に稼働状態となることを示している。なお、株式会社Bは、現在、チャットボットシステムの使用中(稼働中)であるが、稼働期間は設定されていない。
【0085】
APPサービスサーバ装置1は、テナント状態テーブルの稼働期間情報に基づいて、そのテナントがチャットボットシステムを使用する期間を認識し、稼働期間情報で示される稼働期間となった際に、図11のステップS36で説明したように稼働状態に各部を制御する。また、APPサービスサーバ装置1は、稼働期間情報で示される稼働期間が経過した際に、図6のステップS11で説明したように上述のように停止状態に各部を制御する。
【0086】
これにより、テナント側は、手動でテナント状態を切り替える操作を不要とすることができる他、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
なお、例えばAPPサービスサーバ装置1は、稼働期間となった際に、自動的にテナントのチャットボットシステムのテナント状態を稼働状態に移行させ、使用を停止する場合には、管理者が停止ボタン100を操作して停止させる等のように、手動操作を含めてもよい。
【0088】
また、APPサービスサーバ装置1は、稼働期間の所定日数前に、管理者のパーソナルコンピュータ装置12に対して、稼働期間となる旨の電子メールを送信し、この電子メールを受信した管理者が、稼働期間となった際に、再開ボタン200を操作して、チャットボットシステムの使用を開始してもよい。同様に、APPサービスサーバ装置1は、稼働期間が終了する所定日数前に、管理者のパーソナルコンピュータ装置12に対して、稼働期間が終了する旨の電子メールを送信し、この電子メールを受信した管理者が、稼働期間の終了となった際に、停止ボタン100を操作して、チャットボットシステムの使用を停止してもよい。
【0089】
さらに、稼働期間が過ぎた場合に、稼働状態を自動的に第1の状態又は第2の状態に移行してもよい。また、移行させる状態を(どの状態に移行するか)、テナント毎に設定しておき、このテナントの設定値に基づいて状態を移行してもよい。
【0090】
(第2の実施の形態の変形例)
図17に示すように、管理者ツールだけを稼働状態とする準備期間を指定可能としてもよい。図17の例は、株式会社Aが、管理者ツールのみを稼働状態とする第1の稼働モード(稼働中1)を選択しており、稼働期間として12月1日~1月31日を指定し、準備期間として11月1日~11月30日を指定している例である。この場合、APPサービスサーバ装置1は、準備期間中は、管理者ツールのみを稼働状態とする。
【0091】
すなわち、株式会社Aの場合、準備期間に入ると、第1の状態に移行し、稼働期間に入ると、稼働状態に移行し、稼働期間を経過すると、第2の状態に移行する。また、株式会社Cのように、準備期間を設定せずに、第1の状態に移行させない設定としてもよい。また、株式会社Bのように、期間を指定せずに、管理者ツールで切り替え可能としてもよい。また、予め設定された期間に応じて自動的に状態を切り替え可能としてもよいし、管理者が管理者ツールを操作することで、各状態の間で切り替え可能としてもよい。
【0092】
なお、図17に示す例は、株式会社Bのテナント状態は、チャットボットシステムの停止中であることを示している。また、図17に示す例は、株式会社Cのテナント状態は、チャットボットシステムの全機能が稼働中である、第2の稼働モード(稼働中2)が選択されていることを示している。
【0093】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0094】
1 APPサービスサーバ装置
2 ボットサービスサーバ装置
3 管理者ツールサービスサーバ装置
4 第1のデータベース
5 コンテンツ配信サービスサーバ装置
6 検索エンジン
7 ストレージサービス装置
8 第2のデータベース
10 クラウドプラットフォーム、
11 利用者のパーソナルコンピュータ装置
12 管理者のパーソナルコンピュータ装置
100 停止ボタン
200 再開ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【文献】特開2018-92585号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17