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特許7392429画像形成装置、及び画像形成装置の搬送制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び画像形成装置の搬送制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20231129BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20231129BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20231129BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J11/42
B65H9/00 B
G03G15/00 448
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019216250
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084783
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 達也
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-027377(JP,A)
【文献】特開平04-189239(JP,A)
【文献】特開2019-081623(JP,A)
【文献】特開2011-185976(JP,A)
【文献】特開2005-263396(JP,A)
【文献】特開2018-167549(JP,A)
【文献】特開2007-286281(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03398785(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
B41J 11/42
B65H 9/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に記録媒体を搬送し、当該記録媒体の第1面に画像を形成する画像形成装置であって、
前記搬送方向と直交する方向における前記記録媒体の前記第1面の側端の位置を検出する側端位置検出部と、
前記直交する方向に互いに離れて配列され、前記搬送方向における前記記録媒体の搬送タイミングを検出する複数の搬送タイミング検出部と、
複数の前記搬送タイミングに基づき、前記直交する方向に対する、前記搬送方向における前記記録媒体の前記第1面の先端の傾きを算出する傾き算出部と、
前記側端の位置と前記先端の傾きとに基づき、前記記録媒体の前記側端と前記先端とが交わる前記第1面の角部の位置を算出する角部位置算出部と、
前記第1面の角部の位置を基準にして前記記録媒体の前記第1面へ画像形成を開始する位置を制御し、又は、前記第1面の角部の位置を基準にして前記記録媒体の前記第1面の搬送速度を制御する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体のサイズを示す情報である記録媒体サイズ情報に基づき、前記角部位置算出部による角部の位置の算出を有効な状態から無効な状態に切り替える切替部を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
搬送方向と直交する方向における記録媒体の側端の位置を検出する側端位置検出部と、
前記直交する方向に互いに離れて配列され、前記搬送方向における前記記録媒体の搬送タイミングを検出する複数の搬送タイミング検出部と、
複数の前記搬送タイミングに基づき、前記直交する方向に対する、前記搬送方向における前記記録媒体の先端の傾きを算出する傾き算出部と、
前記側端の位置と前記先端の傾きとに基づき、前記記録媒体の前記側端と前記先端とが交わる角部の位置を算出する角部位置算出部と、
前記角部の位置を基準にして前記記録媒体へ画像形成を開始する位置を制御し、又は、前記角部の位置を基準にして前記記録媒体の搬送速度を制御する制御部と、
を備え、
前記記録媒体のサイズを示す情報である記録媒体サイズ情報に基づき、前記角部位置算出部による角部の位置の算出を有効な状態から無効な状態に切り替える切替部を備え画像形成装置。
【請求項4】
前記側端の位置に基づき、前記側端が前記搬送方向と平行になるように、前記搬送方向に対する前記側端の傾きを補正する傾き補正部を備える請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記傾き算出部は、前記記録媒体のサイズを示す情報である記録媒体サイズ情報に基づき、複数の前記搬送タイミング検出部の中から、前記記録媒体の両側端寄りに配置される2つの搬送タイミング検出部で検出される搬送タイミングに基づき、前記先端の傾きを算出する請求項1からの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
搬送方向に記録媒体を搬送し、当該記録媒体の第1面に画像を形成する画像形成装置の搬送制御方法であって、
前記搬送方向と直交する方向における前記記録媒体の前記第1面の側端の位置を検出するステップと、
前記直交する方向に互いに離れて配列され、前記搬送方向における前記記録媒体の搬送タイミングを検出するステップと、
複数の前記搬送タイミングに基づき、前記直交する方向に対する、前記記録媒体の搬送方向における前記第1面の先端の傾きを算出するステップと、
前記側端の位置と前記先端の傾きとに基づき、前記記録媒体の前記側端と前記先端とが交わる前記第1面の角部の位置を算出するステップと、
前記第1面の角部の位置を基準にして前記記録媒体の前記第1面へ画像形成を開始する位置を制御し、又は、前記第1面の角部の位置を基準にして前記記録媒体の前記第1面の搬送速度を制御するステップと、
を含む画像形成装置の搬送制御方法。
【請求項7】
前記記録媒体のサイズを示す情報である記録媒体サイズ情報に基づき、前記角部の位置を算出する角部位置算出部による角部の位置の算出を有効な状態から無効な状態に切り替えるステップを含む請求項6に記載の画像形成装置の搬送制御方法。
【請求項8】
搬送方向と直交する方向における記録媒体の側端の位置を検出するステップと、
前記直交する方向に互いに離れて配列され、前記搬送方向における前記記録媒体の搬送タイミングを検出するステップと、
複数の前記搬送タイミングに基づき、前記直交する方向に対する、前記記録媒体の搬送方向における先端の傾きを算出するステップと、
前記側端の位置と前記先端の傾きとに基づき、前記記録媒体の前記側端と前記先端とが交わる角部の位置を算出するステップと、
前記角部の位置を基準にして前記記録媒体へ画像形成を開始する位置を制御し、又は、前記角部の位置を基準にして前記記録媒体の搬送速度を制御するステップと、
を含み、
前記記録媒体のサイズを示す情報である記録媒体サイズ情報に基づき、前記角部の位置を算出する角部位置算出部による角部の位置の算出を有効な状態から無効な状態に切り替えるステップを含む画像形成装置の搬送制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置、及び画像形成装置の搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体を搬送方向と平行に搬送する技術が開示される。特許文献1の画像形成装置は、CIS(Contact Image Sensor)と呼ばれるラインセンサを複数備え、複数のラインセンサによって記録媒体の幅方向、すなわち搬送方向と直交する方向(以下、直交方向)における記録媒体の側端の位置を検知することにより、幅方向の位置ズレ量を算出して、記録媒体を搬送方向と平行に搬送をするように補正する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、搬送方向の補正対象となる複数の記録媒体のそれぞれの搬送方向における先端が、直交方向に対して異なる角度で傾いている場合、それぞれの記録媒体の搬送方向における先端を検知する位置が異なる。記録媒体の先端から記録媒体への画像形成の位置までの余白部分の幅は、複数の記録媒体のそれぞれで同一に設定されるため、上記のように、先端の傾きの違いに起因して先端の検知位置がそれぞれの記録媒体で異なる場合、それぞれの記録媒体への画像形成の位置がずれるという課題があった。
【0004】
本開示は、上記課題に鑑み、記録媒体の先端が傾いている場合でも記録媒体への画像形成の位置ずれを抑制できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示に係る画像形成装置は、搬送方向に記録媒体を搬送し、当該記録媒体の第1面に画像を形成する画像形成装置であって、前記搬送方向と直交する方向における前記記録媒体の前記第1面の側端の位置を検出する側端位置検出部と、前記直交する方向に互いに離れて配列され、前記搬送方向における前記記録媒体の搬送タイミングを検出する複数の搬送タイミング検出部と、複数の前記搬送タイミングに基づき、前記直交する方向に対する、前記搬送方向における前記記録媒体の前記第1面の先端の傾きを算出する傾き算出部と、前記側端の位置と前記先端の傾きとに基づき、前記記録媒体の前記側端と前記先端とが交わる前記第1面の角部の位置を算出する角部位置算出部と、前記第1面の角部の位置を基準にして前記記録媒体の前記第1面へ画像形成を開始する位置を制御し、又は、前記第1面の角部の位置を基準にして前記記録媒体の前記第1面の搬送速度を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、記録媒体の先端が傾いている場合でも記録媒体への画像形成の位置ずれを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る画像形成装置の構成例を示す図
図2】ラインセンサ及び傾き検知センサなどの配置例を示す図
図3】画像形成装置の動作を説明するためのフローチャート
図4】2つ傾きセンサ間の距離を広げた状態を示す図
図5】制御部の切替部の動作を説明するための図
図6】本実施の形態に係る画像形成装置の変形例を示す図
図7】重なった2つの記録媒体とこれらの記録媒体に形成される画像位置とを示す図
図8】一方の記録媒体に形成される画像位置を示す図
図9】他方の記録媒体に形成される画像位置を示す図
図10】重なった2つの記録媒体の裁断位置を示す図
図11】比較例に係る画像形成装置を利用した場合の動作を説明するための図
図12】画像形成装置のハードウェア構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0009】
図1は本実施の形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。複数の傾きセンサ1-1~1-N(Nは1以上の整数)、ラインセンサ2、及び制御部10を備える。
【0010】
複数の傾きセンサ1-1~1-Nのそれぞれは、シート状の記録媒体の搬送方向における先端の傾きを検出するために利用される。記録媒体は、例えば、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシートなどである。搬送方向は、副走査方向に等しい。
【0011】
複数の傾きセンサ1-1~1-Nのそれぞれは、記録媒体の直交方向に互いに離れて配列され、搬送方向における記録媒体の搬送タイミングを検出する搬送タイミング検出部である。直交方向は、主走査方向に等しい。以下では、複数の傾きセンサ1-1~1-Nのそれぞれを区別しない場合、「傾きセンサ1」と称する場合がある。
【0012】
ラインセンサ2は、記録媒体の直交方向における側端の位置を検出する側端位置検出部である。ラインセンサ2は、例えばCISである。CISは、装置の小型化を目的として、直交方向に沿って直線状に配列された複数のLED(Light Emitting Diode)を利用し、レンズを介してリニアセンサで画像を直接読み取るセンサである。なお、CISの構造は、非特許文献1、非特許文献2などに開示される通り公知のため、詳細な説明は省略する。なお、ラインセンサ2は、CISに限定されず、直交方向における記録媒体の側端の位置を検出できるセンサであればよい。以下では、記録媒体の側端の位置を単に「側端位置」と称する場合がある。
【0013】
制御部10は、傾き算出部11、角部位置算出部12、傾き補正部13、切替部14、及び搬送制御部15を備える。
【0014】
傾き算出部11は、複数の傾きセンサ1で検出された搬送タイミングに基づき、直交方向に対する、搬送方向における記録媒体の先端の傾きを算出し、算出した先端の傾きの値を示す情報を、角部位置算出部12に入力する。
【0015】
角部位置算出部12は、ラインセンサ2で検出された側端位置と、先端の傾きとに基づき、記録媒体の側端と先端とが交わる角部の位置を算出し、算出した角部の位置を示す情報を搬送制御部15に入力する。
【0016】
傾き補正部13は、ラインセンサ2で検出された側端位置に基づき、記録媒体の側端が搬送方向と平行になるように、搬送方向に対する記録媒体の側端の傾きを補正し、補正後の記録媒体の側端の傾きの値を示す情報を、搬送制御部15に入力する。
【0017】
切替部14は、記録媒体のサイズを示す情報である記録媒体サイズ情報16に基づき、傾き算出部11による先端傾きの算出を有効な状態から無効な状態に切り替える情報である切替情報を生成し、傾き算出部11に送信する。
【0018】
搬送制御部15は、角部位置算出部12からの角部の位置を示す情報と、傾き補正部13からの補正後の記録媒体の側端の傾きの値とを入力し、角部の位置を基準にして記録媒体へ画像形成を開始する位置を制御し、又は、角部の位置を基準にして記録媒体の搬送速度を制御する。
【0019】
次に図2などを参照して、画像形成装置100の動作を説明する。図2はラインセンサ及び傾き検知センサなどの配置例を示す図である。図3は画像形成装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0020】
記録媒体200は、搬送方向に対して記録媒体200の前方端である先端201と、搬送方向に対して記録媒体200の後方端である後端202と、直交方向の内、ラインセンサ2が配置される側の側端203と、直交方向の内、側端203とは反対側の側端204とを備える。記録媒体200の先端201は、直交方向に対して僅かに傾き、この傾きは、搬送される複数の記録媒体200のそれぞれで互いに異なる。
【0021】
図2に示すように、傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2は、それぞれの搬送方向に対する位置が等しくなるように配置される。また、傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2は、記録媒体200と向き合うように、互いに直交方向に離れて配列される。太実線で示す画像形成位置210は、記録媒体200への画像の印刷位置である。
【0022】
このように傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2が配置された状態で、記録媒体200が傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2に向かって搬送されると、先ずラインセンサ2によって、側端203の位置が検出される(ステップS1)。
【0023】
側端203の位置が検出されることにより、制御部10の傾き補正部13は、ラインセンサ2からの側端203の位置を入力し、記録媒体200の側端203が搬送方向と平行になるように、搬送方向に対する側端203の傾きを補正する(ステップS2)。
【0024】
記録媒体200が傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2に達すると、傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2によって、記録媒体200の先端201の位置が検出される(ステップS3)。
【0025】
記録媒体200の先端201には傾きがあるため、記録媒体200の先端201の検出タイミングは、傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2のそれぞれで異なる。図2の例では、傾きセンサ1-1、傾きセンサ1-2の順で、記録媒体200の先端201の位置が検出される。傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2でそれぞれ検出された先端201の位置を示す情報は、搬送タイミングを表す情報として、傾き算出部11に入力される。
【0026】
それぞれの搬送タイミングを入力した傾き算出部11は、例えば、下記(1)式に従い、直交方向に対する先端201の傾きθを算出する(ステップS4)。なお、図2において、原点SPを頂点とする直角三角形の3つの辺の内、当該頂点に接する2つの辺が成す角度と、記録媒体200の先端201の内、傾きセンサ1-2で検出される位置を頂点する直角三角形の3つの辺の内、当該頂点に接する2つの辺が成す角度とは、相似形である。そのため、これらの何れの角度によっても、傾きθが求まる。
【0027】
θ=tan-1b/a・・・(1)
【0028】
(1)式のaは、傾きセンサ1-1から傾きセンサ1-2までの直交方向における距離を表す。距離aは、センサレイアウトで決まるため、既知の値である。なお距離aは、傾きセンサ1-1から傾きセンサ1-2までの直交方向における距離を、生産工程で測定して、測定した値がより正確な値となるように情報入力(補正)したものでもよい。
【0029】
(1)式のbは、傾きセンサ1-1で搬送タイミングが検出された位置から、傾きセンサ1-2で搬送タイミングが検出された位置までの搬送方向における距離を表す。距離bは、2つの搬送タイミングのそれぞれの時間差を算出し、算出された時間差と記録媒体200の搬送速度とから算出される。傾きθを算出した傾き算出部11は、傾きθを表す情報を角部位置算出部12に入力する。
【0030】
角部位置算出部12は、傾きθを表す情報に基づき、傾きθで傾斜する先端201を延長した仮想線VL1を算出し、さらに、側端位置を示す情報に基づき、側端203を延長した仮想線VL2を算出する。そして、角部位置算出部12は、仮想線VL1と仮想線VL2とが交わる位置を、記録媒体200の側端203と先端201とが交わる角部が存在する位置として算出する(ステップS5)。
【0031】
搬送制御部15は、角部位置算出部12で算出された角部の位置を、記録媒体200への画像形成を開始する原点SPとして搬送制御を行う(ステップS6)。搬送制御は、例えば、記録媒体200の搬送速度を速くする、記録媒体200の搬送速度を遅くする、画像形成位置をずらすなどである。画像形成の開始位置は、例えば、原点SPから搬送方向に対して一定距離(例えば数mm~数cmなど)離れた位置とされる。また搬送制御部15は、搬送速度を制御する際、記録媒体200の原点SPに合う副走査位置にそろえることができる。
【0032】
図2中の一点破線は、原点SPを通り、かつ、直交方向に平行な線に沿って裁断された記録媒体200の先端201aを表す。記録媒体200の側端203と原点SPとを揃えて断裁すれば、記録媒体200の形状に係わらず、画像形成の開始位置が等しい複数の記録媒体200を得ることが可能である。
【0033】
次にサイズが異なる記録媒体200の先端位置を検出する場合について説明する。
【0034】
図4は2つ傾きセンサ間の距離を広げた状態を示す図である。記録媒体200の先端201の傾きを求める場合、複数の傾きセンサ1間の距離を広げた方が、副走査位置のずれ量が相対的に大きくなるため、記録媒体200の先端201の傾きの算出精度が向上する。
【0035】
しかしながら、搬送される記録媒体200のサイズは様々である。そのため、例えば、直交方向の幅が数cmの記録媒体200から数十cmの記録媒体200まで、全ての記録媒体200の先端201の傾きを求めるためには、サイズが異なる複数の記録媒体200の全てに対応するように、傾きセンサ1を多数設置する必要があり、現実的でない。
【0036】
そこで、サイズが異なる複数の記録媒体200の内、最小サイズ(例えば、はがきサイズ)の記録媒体200を基準に、その直交方向の側端204寄りの位置に傾きセンサ1-1を設け、直交方向の側端203寄りの位置に傾きセンサ1-2を設けることが好ましい。このように、側端204寄りの位置と側端203寄りの位置に、それぞれ傾きセンサ1を設ける理由は、小サイズの記録媒体200は、上記(1)式の距離bが短くなる傾向があるため、複数の傾きセンサ1間の距離aを広げることで、距離bを大きくするためである。
【0037】
次に図5を参照して、制御部10の切替部14の動作について説明する。
【0038】
図5は制御部の切替部の動作を説明するための図である。図5に示すように、サイズの異なる記録媒体200A及び記録媒体200Bに対して、複数の傾きセンサ1は配置位置が固定されている。切替部14は、記録媒体200A及び記録媒体200Bのそれぞれのサイズに応じて、角部位置算出部12による角部位置の算出を有効にするか無効にするかを切り替える。
【0039】
例えば、小サイズ(例えば、はがきサイズ)の記録媒体200Bに対応するように2つの傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2を配置した場合、小サイズの記録媒体200Bの主走査長さは、大サイズの記録媒体200Aの主走査長さより短くなる。そのため、2つの傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2によって検出される副走査位置ずれが小さくなり、傾き検出が難しくなる。そこで、2つの傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2の配置位置は、大サイズの記録媒体200Aに合わせる形で設定された上で、大サイズの記録媒体200Aでは、2つの傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2が利用され、小サイズの記録媒体200Bでは、一方の傾きセンサ(図5では傾きセンサ1-2)が利用される構成とすることが好ましい。なお、後者の場合、一方の傾きセンサ(図5では傾きセンサ1-2)が配置される位置は、できる限り画像形成位置基準、すなわち原点SP寄りの位置が好ましい。
【0040】
切替部14は、記録媒体サイズ情報16を入力し、搬送される記録媒体200が、2つの傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-2の双方で先端201の位置が検出される記録媒体200Aであるか、一方のみで先端201の位置が検出される記録媒体200Bであるかを判断する。なお、記録媒体サイズ情報16は、例えば、サイズが異なる複数の記録媒体200を識別する識別情報と、それぞれのサイズを示す情報とが対応付けられたテーブル情報として、所定のメモリに予め設定されている。
【0041】
切替部14は、記録媒体200Bであると判断した場合、傾き算出部11による先端傾きの算出を、有効な状態から無効な状態に切り替える情報である切替情報を生成する。これにより、先端傾きの算出が停止され、角部位置算出部12における角部位置の算出も停止される。従って、傾きセンサ1-2のみで搬送制御が行われる。
【0042】
なおこの場合、記録媒体200Bの先端201の傾きは検知できないが、先端検出位置が、画像形成位置基準に近くなるため、副走査ずれ量を小さく抑えることが出来る。図中で、傾きセンサ1-1から原点SPまでの距離をα、傾きセンサ1-2から原点SPまでの距離をβとし、距離αと距離βを比較したときに、距離βの方が副走査方向において原点SPに近い。
【0043】
切替部14を利用することにより、異なるサイズの記録媒体200に応じて、それぞれの先端の傾きを精度良く算出することができる。
【0044】
図6は本実施の形態に係る画像形成装置の変形例を示す図である。定型として最大サイズであるSRA3などの記録媒体200Aと、はがきなどの小サイズの記録媒体200Bとの双方に対して、複数の傾きセンサ1間の距離を確保できるように、図6に示すように、4つの傾きセンサ1を配置してもよい。
【0045】
この場合、傾き算出部11は、大サイズの記録媒体200Aに対しては、傾きセンサ1-1及び傾きセンサ1-4を利用して、傾き算出を行い、小サイズの記録媒体200Bに対しては、傾きセンサ1-2及び傾きセンサ1-3を利用して、傾き算出を行う。
【0046】
このように、記録媒体200のサイズに応じて、複数の傾きセンサ1の中から、記録媒体200の両側端寄りの傾きセンサ1を利用することにより、傾き算出に利用される複数の傾きセンサ1の間の距離が長くなり、サイズが異なる記録媒体200のそれぞれの先端の傾きを精度良く算出することができる。
【0047】
次に図7から図11を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置100による効果を説明する。
【0048】
図7は重なった2つの記録媒体とこれらの記録媒体に形成される画像位置とを示す図である。実線で示す記録媒体200-1の先端201と、破線で示す記録媒体200-2の先端201は、それぞれが直交方向に対して異なる角度で傾斜している。太実線で示す四角部分は画像形成位置を示す。符号「×」は画像形成が開始される基準点である。
【0049】
図8は一方の記録媒体に形成される画像位置を示す図、図9は他方の記録媒体に形成される画像位置を示す図、図10は重なった2つの記録媒体の裁断位置を示す図である。
【0050】
図8及び図9に示すように、それぞれの記録媒体200-1、200-2の左下の角部を原点SPとして、画像形成を行うことにより、原点Pを基準にして、画像の位置合わせが行われる。
【0051】
この方法で印刷した記録媒体200-1、200-2に対して、左下の原点SPを重ね合わせて裁断を行うことにより、それぞれの画像形成位置が同じ位置になる。また裁断する際、左下の原点SPを裁断機に突き当てた状態で裁断が行われるため、突き当て側を基準にした方が基準位置と裁断位置が近くなり、記録媒体200-1、200-2のそれぞれの位置ずれが生じ難いという効果も得られる。
【0052】
図11は比較例に係る画像形成装置を利用した場合の動作を説明するための図である。比較例に係る画像形成装置では、記録媒体200の先端の傾きを算出せず、また角部位置を算出しないため、図11に示す原点SPを基準にした画像形成位置が設定されない。従って、先端201の傾きが異なる複数の記録媒体200では、互いの先端余白の位置が異なる。その結果、これらの記録媒体200の重ね合わせたとき、例えば、先端201に傾きがある記録媒体200に形成される画像形成位置210(普通実線)と、先端201に傾きない記録媒体200に形成される画像形成位置210(太実線)とが重ならない。
【0053】
これに対して本実施の形態に係る画像形成装置100は、複数の搬送タイミングに基づき、直交する方向に対する、記録媒体の搬送方向における先端の傾きを算出する傾き算出部と、側端位置と先端の傾きとに基づき、記録媒体の側端と先端とが交わる角部の位置を算出する角部位置算出部とを備える。この構成により、傾きが異なる記録媒体200のそれぞれの角部を原点SPとして、画像形成位置を設定できる。従って、例えば、画像形成がなされた複数の記録媒体を重ねた状態で裁断すると、裁断後の記録媒体の先端から画像までの幅を等しくできる。
【0054】
図12は画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。画像形成装置100は、制御装置110、表示装置120、主記憶装置130、操作入力装置140、外部記憶装置150、印刷装置160、画像読取装置170、及びネットワーク装置180を備える。
【0055】
主記憶装置130は、制御装置110により実行されるプログラムのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)などで構成される。外部記憶装置150は、例えばハードディスクドライブであり、各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム、画像データなどを格納している。制御装置110は、必要なプログラムなどを外部記憶装置150から主記憶装置130へロードして実行し、バス20を通じて画像形成装置100全体を制御する。制御装置110は、例えば、複合機、複写機、スキャナ、ファクシミリ、プリンタなどの機能を、画像形成装置100に実現させるための処理と行う。操作入力装置140は、ユーザの操作を受け付けると共に、当該操作に応じた情報を不図示の画面に表示することによりユーザに情報を提供するユーザインタフェースである。ネットワーク装置180は、画像形成装置100をネットワークに接続する通信インタフェースである。
【符号の説明】
【0056】
1,1-1,1-2,1-3,1-4:傾きセンサ
2:ラインセンサ
10:制御部
11:傾き算出部
12:角部位置算出部
13:傾き補正部
14:切替部
15:搬送制御部
16:記録媒体サイズ情報
100:画像形成装置
200,200-1,200-2,200A,200B:記録媒体
201,201a:先端
202:後端
203,204:側端
210:画像形成位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【文献】特開2016-175776号公報
【非特許文献】
【0058】
【文献】「コンタクトイメージセンサー」[令和1年11月11日検索]インターネット<URL: https://compo.canon/ja/product/cis/>
【文献】「密着イメージセンサ(CIS)」[令和1年11月11日検索]インターネット<URL: https://www.mitsubishielectric.co.jp/device/device/cis/>
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12