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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】液晶組成物及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/38 20060101AFI20231129BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20231129BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20231129BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20231129BHJP
   C08F 20/20 20060101ALI20231129BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C09K19/38
C09K19/54 Z
C09K19/30
C09K19/12
C09K19/54 C
C09K19/54 D
C08F20/20
G02F1/1337 520
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019217970
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088619
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】岩下 芳典
(72)【発明者】
【氏名】後藤 麻里奈
(72)【発明者】
【氏名】井ノ上 雄一
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-78282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K19/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として、一般式(i)で表される重合性化合物を含有する液晶組成物。
【化1】
(式中、
101~R104は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、-O-(CHm1-CH いずれかを表し、m1は0、1、2又は3を表し、R101~R104のうち少なくとも1つ以上の基は、-O-(CHm1-CH 表し、
i1は、単結合、-C-、-C-、-C-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CH=CRa-COO-、-CH=CRa-OCO-、-COO-CRa=CH-、-OCO-CRa=CH-、-COO-CRa=CH-COO-、-COO-CRa=CH-OCO-、-OCO-CRa=CH-COO-、-OCO-CRa=CH-OCO-、-CHOCO-、-COOCH-、-OCOCH-、-COCO-、-CCOO-、-COOC-、-OCOC-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-、(式中、Raはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表す)を表し、
i1は、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a)及び基(b)は、炭素原子数1~8のアルキル基又はPi3-Si3-で置換されていても良く、
i10を表し、
i1、Pi2及びPi3は、それぞれ独立して、式(R-1)から式(R-)から選ばれる重合性基を表し、
【化1】
Spi1、Spi2及びSpi3は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-OCO-又は-COO-で置換されても良い。)
【請求項2】
一般式(N-01)、一般式(N-02)、一般式(N-03)、一般式(N-04)及び一般式(N-05)
【化1】
(式中、R21及びR22は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていても良く、Zは、それぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、mは、それぞれ独立して、1又は2を表す。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
一般式(NU-01)から一般式(NU-08)
【化1】
(式中、RNU11、RNU12、RNU21、RNU22、RNU31、RNU32、RNU41、RNU42、RNU51、RNU52、RNU61、RNU62、RNU71、RNU72、RNU81及びRNU82は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていても良い。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
前記第一成分、前記一般式(N-01)~前記一般式(N-05)で表される化合物群から選ばれる化合物、及び前記一般式(NU-01)~前記一般式(NU-08)で表される化合物群から選ばれる化合物の含有量の合計が、組成物の総量に対して80質量%から100質量%である請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項5】
更に、任意に酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、及び/又は赤外線吸収剤を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
二つの基板と、該二つの基板の間に設けられた請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶組成物を含む液晶相と、を備える液晶表示素子。
【請求項7】
アクティブマトリックス駆動用である請求項6に記載の液晶表示素子。
【請求項8】
PSA型又はPSVA型である請求項6又は7に記載の液晶表示素子。
【請求項9】
前記二つの基板のうち少なくとも一方の基板が配向膜を有さない請求項6~8のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性化合物含有液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
PSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示素子は、液晶分子のプレチルト角を制御するためにセル内にポリマー構造物を形成した構造を有するものであり、高速応答性や高いコントラストから液晶表示素子として実用化されてきた。
【0003】
PSA型液晶表示素子の製造は、液晶性化合物及び重合性化合物を含む重合性組成物を基板間に注入し、電圧を印加し液晶分子を配向させた状態で重合性化合物を重合させて液晶分子の配向を固定することにより行われる。このPSA型液晶表示素子の表示不良である焼き付きの原因としては、不純物によるもの及び液晶分子の配向の変化(プレチルト角の変化)が知られている。
【0004】
液晶分子のプレチルト角の変化に起因する焼き付きは、表示素子を構成した場合において同一のパターンを長時間表示し続けたときにポリマーの構造が変化し、その結果としてプレチルト角が変化してしまうものである。このためポリマー構造が変化しない剛直な構造を持つポリマーを形成する重合性化合物が必要となる。
【0005】
従来、ポリマーの剛直性を向上させることにより焼き付きを防止するために、特許文献1では、環構造としてビフェニル構造を有する重合性化合物を用いて表示素子を構成するもの、特許文献2では、環構造としてターフェニル構造を有する重合性化合物を用いて表示素子を構成するものが開示されている。
【0006】
上記特許文献1や上記特許文献2の実施例でも示されているように、以下のようなビフェニル骨格を備えた化合物(A)やターフェニル骨格を備えた化合物(B)を使用することによって、プレチルト角の変化に起因する焼き付きを改善する試みがなされてきた。
【0007】
【化1】
【0008】
近年、液晶素子の製造において、生産効率の向上を目的に重合速度が適度に速い液晶組成物が求められている。しかし、化合物(A)や化合物(B)を主な重合性化合物として含む液晶組成物は、重合速度が十分でないため、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2010/084823
【文献】特開2012-241125号公報
【文献】特許6233550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、重合性化合物の重合速度が十分に速く、かつ、それを用いた素子はプレチルト角の変化による表示不良が無いか、あるいは極めて少なく、十分なプレチルト角を有し、応答性能に優れるPSA型又はPSVA型液晶表示素子を製造するための重合性化合物を含む液晶組成物を提供すること、及び、これを用いた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の化学構造を有する重合性化合物を含む液晶組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、第一成分として、一般式(i)で表される重合性化合物を含有する液晶組成物を提供することを目的とする。
【0013】
さらに本発明は、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)を低下させることなく、低い粘度(η)と、小さい回転粘性(γ1)と、大きい弾性定数(K33)を示し、重合性化合物の重合速度が十分に速く、重合性化合物の析出のない液晶組成物である。本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、プレチルト角が十分に得られ、重合性化合物の残留量が少なく、高い電圧保持率(VHR)と、高速応答を示し、配向不良や焼き付きといった表示不良がない又は抑制された、優れた表示品位を示す。
【0015】
本発明の液晶組成物は、特定の重合性化合物を用いることにより、プレチルト角及び重合性化合物の残留量を制御でき、製造のためのエネルギーコストの最適化及び削減により容易に生産効率を向上できる。そのため、本発明の液晶組成物及びこれを使用した液晶表示素子は非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の液晶組成物は、一般式(i)で表される重合性化合物を1種又は2種以上含有する。
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、
101~R104は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、-O-(CHm1-CH、-CHF、-CHF、-CF又は-Spi3-Pi3のいずれかを表し、m1は0、1、2又は3を表し、R101~R104のうち少なくとも1つ以上の基は、-O-(CHm1-CH、-CHF、-CHF、又は-CFを表し、
i1は、単結合、-C-、-C-、-C-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CH=CRa-COO-、-CH=CRa-OCO-、-COO-CRa=CH-、-OCO-CRa=CH-、-COO-CRa=CH-COO-、-COO-CRa=CH-OCO-、-OCO-CRa=CH-COO-、-OCO-CRa=CH-OCO-、-CHOCO-、-COOCH-、-OCOCH-、-COCO-、-CCOO-、-COOC-、-OCOC-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-、(式中、Raはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表す)を表し、
i1は、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a)及び基(b)は、炭素原子数1~8のアルキル基又はPi3-Si3-で置換されていても良く、
i1は0又は1を表し、
i1、Pi2及びPi3は、それぞれ独立して、式(R-1)から式(R-15)から選ばれる重合性基を表し、
【0019】
【化3】
【0020】
Spi1、Spi2及びSpi3は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-OCO-又は-COO-で置換されても良い。)
一般式(i)で表される重合性化合物を含む液晶組成物は、重合速度が適度に速く、短い紫外線照射時間で目的のプレチルト角を付与することができる。更に、重合速度が適度に速いと、重合性化合物の残留量を少なくできる。そのため、PSA型液晶表示素子製造の生産効率を向上できる。また、プレチルト角の変化による表示不良(例えば、焼き付きなどの不具合)が生じないか、又は極めて少ないといった効果を奏する。なお、本明細書における表示不良は、重合後のプレチルト角が経時的に変化することによる表示不良、未反応の重合性化合物の残留量に起因する表示不良、電圧保持率の低下による表示不良を考慮している。
【0021】
上記一般式(i)で表される重合性化合物において、R101~R104は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、-O-(CHm1-CH、-CHF、-CHF、-CF又は-Spi3-Pi3のいずれかを表し、m1は0、1、2又は3を表す。ここで、R101~R104のうち少なくとも1つ以上の基は、m1が0、1、2又は3である-O-(CHm1-CH、-CHF、-CHF、又は-CFを表すが、R101~R104のうち少なくとも1つ以上の基はm1が0又は1である-O-(CHm1-CHで表される基が好ましく、R101~R104のうち少なくとも1つ以上の基はm1=0すなわち-OCHであることが好ましく、R101~R104のうち1つの基が-OCHであることが好ましい。このように、R101~R104のうち少なくとも1つ以上の基は-O(CHm1-CH、-CHF、-CHF、又は-CFを表すが、それ以外のR101~R104基は水素原子、フッ素原子又は-Spi3-Pi3を表し、水素原子又はフッ素原子であることが好ましい。
【0022】
上記一般式(i)で表される重合性化合物において、Li1は、単結合、-C-、-C-、-C-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH-、-CHOCOO-、-OCHCHO-、-CH=CRa-COO-、-CH=CRa-OCO-、-COO-CRa=CH-、-OCO-CRa=CH-、-COO-CRa=CH-COO-、-COO-CRa=CH-OCO-、-OCO-CRa=CH-COO-、-OCO-CRa=CH-OCO-、-CHOCO-、-COOCH-、-OCOCH-、-COCO-、-CCOO-、-COOC-、-OCOC-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CFO-、-OCF-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-又は-C≡C-、(式中、Raはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表す)を表すが、Li1は単結合、-C-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CHCOO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-又は-COO-CH=CH-COO-であることが好ましく、Li1は単結合、-C-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-又は-OCO-であることが好ましく、Li1は単結合、-OCH-又は-CHO-であることが好ましく、Li1は単結合であることが好ましい。
【0023】
上記一般式(i)で表される重合性化合物において、Ai1は、(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)又は(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a)及び基(b)は、炭素原子数1~8のアルキル基又はPi3-Si3-で置換されていても良いが、Ai1は1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、Ai1は1,4-フェニレン基が好ましい。
【0024】
上記一般式(i)で表される重合性化合物において、ni1は0又は1を表し、液晶組成物に対する溶解性がより良好となることからni1は0であることが好ましい。
【0025】
上記一般式(i)で表される重合性化合物において、Pi1、Pi2及びPi3は、それぞれ独立して、上述したとおり、下記式(R-1)から式(R-15)から選ばれる基を表す。
【0026】
【化4】
【0027】
i1及びPi2は、それぞれ独立して、式(R-1)~式(R-6)から選択されることが好ましく、式(R-1)~式(R-3)、式(R-6)から選択されることが好ましく、式(R-1)~式(R-3)から選択されることが好ましく、式(R-1)又は式(R-2)から選択されることが好ましい。Pi1及びPi2はそれぞれ同一の基であっても異なる基であっても良いが、Pi1及びPi2は同一の基を表すことが好ましく、Pi1及びPi2はいずれも式(R-1)又は式(R-2)を表すことが好ましく、Pi1及びPi2はいずれも式(R-2)を表すことが好ましい。
【0028】
i3は、式(R-1)~式(R-6)から選択されることが好ましく、式(R-1)~式(R-3)、式(R-6)から選択されることが好ましく、式(R-1)~式(R-3)から選択されることが好ましく、式(R-1)又は式(R-2)から選択されることが好ましい。
【0029】
上記一般式(i)で表される重合性化合物において、Spi1、Spi2及びSpi3は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-OCO-又は-COO-で置換されても良い。Spi1、Spi2及びSpi3は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~3のアルキレン基から選択されることが好ましく、Spi1又はSpi2のいずれか一方が単結合を表し、もう一方が炭素原子数1~3のアルキレン基から選択されることが好ましく、Spi1及びSpi2のいずれも単結合であることが好ましい。Spi1、Spi2及びSpi3が単結合である場合、紫外線照射後の重合性化合物の残留量が十分に少なく、プレチルト角の変化による表示不良がより発生しにくくなる。
【0030】
本発明の重合性化合物含有液晶組成物には、第一成分として、一般式(i)で表される重合性化合物を1種又は2種以上、具体的には、下述する式(i-1)~(i-25)から選択される重合性化合物を1種又は2種以上含有するが、本発明の液晶組成物中の第一成分の含有量の下限は、0.01質量%が好ましく、0.02質量%が好ましく、0.03質量%が好ましく、0.04質量%が好ましく、0.05質量%が好ましく、0.06質量%が好ましく、0.07質量%が好ましく、0.08質量%が好ましく、0.09質量%が好ましく、0.1質量%が好ましく、0.12質量%が好ましく、0.15質量%が好ましく、0.17質量%が好ましく、0.2質量%が好ましく、0.22質量%が好ましく、0.25質量%が好ましく、0.27質量%が好ましく、0.3質量%が好ましく、0.32質量%が好ましく、0.35質量%が好ましく、0.37質量%が好ましく、0.4質量%が好ましく、0.42質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.55質量%が好ましい。
【0031】
また、本発明の液晶組成物中の第一成分の含有量の上限は、5.0質量%が好ましく、4.5質量%が好ましく、4.0質量%が好ましく、3.5質量%が好ましく、3.0質量%が好ましく、2.5質量%が好ましく、2質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、1.0質量%が好ましく、0.95質量%が好ましく、0.9質量%が好ましく、0.85質量%が好ましく、0.8質量%が好ましく、0.75質量%が好ましく、0.7質量%が好ましく、0.65質量%が好ましく、0.6質量%が好ましく、0.55質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.4質量%が好ましい。
【0032】
更に詳述すると、重合性化合物の残留量が少なく液晶表示素子とした場合に高い電圧保持率(VHR)を得るには、本発明の液晶組成物中の第一成分である一般式(i)で表される重合性化合物を、具体的には、下述する式(i-1)~(i-25)から選択される重合性化合物の含有量を0.1質量%から1.5質量%の範囲内とすることが好ましい。また、低温における重合性化合物の析出の抑制を重視する場合には、本発明の液晶組成物中の第一成分の含有量は0.01質量%から1.0質量%の範囲内が好ましい。さらに、本発明の液晶組成物が、第一成分である一般式(i)で表される重合性化合物を複数含有する場合は、それぞれの含有量が0.01質量%から0.6質量%の範囲内であることが好ましい。また、本発明の液晶組成物が、一般式(i)で表される重合性化合物以外の重合性化合物を主な重合性化合物として用い、一般式(i)で表される重合性化合物を副重合性化合物として併用する場合、一般式(i)で表される重合性化合物の含有量が0.01質量%から0.1質量%の範囲内であることが好ましい。従って、これら全ての課題を解決するためには、本発明の液晶組成物中の第一成分を0.02質量%から1.0質量%の範囲で調整することが特に望ましい。
【0033】
上記一般式(i)で表される重合性化合物として、具体的には、式(i-1)~(i-25)から選択される重合性化合物を1種又は2種以上用いることが好ましい。
【0034】
【化5】
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
上記、式(i-1)~式(i-25)で表される化合物のうち、液晶組成物に対する溶解性が良好となる観点から式(i-1)、(i-2)、(i-6)、(i-7)、(i-10)、(i-11)、(i-15)、(i-16)から選択される重合性化合物を1種又は2種以上用いることが更に好ましい。更に上述の観点に加えてチルト安定性が高く(焼き付きが起こりにくい)、且つ速い速度で十分に重合可能である観点から式(i-1)、(i-6)、(i-10)、(i-15)から選択される重合性化合物を1種又は2種以上用いることが好ましく、式(i-1)、式(i-6)、式(i-10)で表される化合物を用いることがより好ましく、式(i-1)、式(i-6)で表される化合物を用いることが特に好ましい。
【0040】
本発明の液晶組成物には、上記一般式(i)で表される重合性化合物の他に、重合性化合物の第二成分として、一般式(RM-22)又は一般式(RM-23)で表される重合性化合物を1種又は2種以上含有することができる。
【0041】
【化10】
【0042】
(式中、P、P、PおよびPは、それぞれ独立して、式(R-1)から式(R-15)
【0043】
【化11】
【0044】
で表される重合性基を表し、S、S、S及びSは、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は、-O-、-OCO-又は-COO-で置換されても良く、AからAはそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子を表し、BからB12はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子を表す。)
重合性化合物の第二成分として、一般式(RM-22)で表される重合性化合物は、一般式(RM-2221)から(RM-2229)、一般式(RM-221)から(RM-225)および一般式(RM-22M1)から(RM-22M9)で表される合性化合物であることが好ましい。
【0045】
【化12】
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
【化15】
【0049】
(式中、PおよびPは、それぞれ独立して、式(R-1)から式(R-15)
【0050】
【化16】
【0051】
で表される重合性基を表し、SおよびSは、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は、-O-、-OCO-又は-COO-で置換されても良い。)
上記、一般式(RM-2221)から(RM-2229)、一般式(RM-221)から(RM-225)および一般式(RM-22M1)から(RM-22M9)で表される合性化合物中、PおよびPは、それぞれ独立して、式(R-1)~式(R-3)から選択される基が好ましく、式(R-1)又は式(R-2)から選択される基が好ましい。また、SおよびSは、単結合が好ましい。
【0052】
重合性化合物の第二成分として、一般式(RM-23)で表される重合性化合物は、一般式(RM-2331)から(RM-2355)で表される重合性化合物であることが好ましい。
【0053】
【化17】
【0054】
【化18】
【0055】
【化19】
【0056】
(式中、PおよびPは、それぞれ独立して、式(R-1)から式(R-15)
【0057】
【化20】
【0058】
で表される重合性基を表し、SおよびSは、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は、-O-、-OCO-又は-COO-で置換されても良い。)
上記、一般式(RM-2331)から(RM-2355)で表される合性化合物中、PおよびPは、それぞれ独立して、式(R-1)~式(R-3)から選択される基が好ましく、式(R-1)又は式(R-2)から選択される基が好ましい。また、SおよびSは、単結合が好ましい。
【0059】
本発明の重合性化合物含有液晶組成物には、重合性化合物の第二成分として、一般式(RM-22)又は一般式(RM-23)から選択される重合性化合物を1種又は2種以上、具体的には、上記一般式(RM-2221)から(RM-2229)、一般式(RM-221)から(RM-225)および一般式(RM-22M1)から(RM-22M9)、一般式(RM-2331)から(RM-2355)から選択される重合性化合物を1種又は2種以上含有しても良いが、重合性化合物の第二成分の含有量は、下限値として、0質量%であって、0.05質量%であることが好ましく、0.1質量%であることが好ましく、0.15質量%であることが好ましく、0.20質量%であることが好ましく、0.22質量%であることが好ましく、0.23質量%であることが好ましく、0.24質量%であることが好ましく、0.26質量%であることが更に好ましい。また、上限値として、0.50質量%であって、0.45質量%であることが好ましく、0.40質量%であることが好ましく、0.35質量%であることが好ましく、0.30質量%であることが好ましく、0.28質量%であることが更に好ましい。
【0060】
本発明の液晶組成物中の重合性化合物の第一成分と第二成分の合計の含有量は、下限値として、0.1質量%であることが好ましく、0.15質量%であることが好ましく、0.21質量%であることが好ましく、0.24質量%であることが好ましく、0.26質量%であることが好ましく、0.28質量%であることが好ましく、0.30質量%であることが好ましい。また、上限値として、0.60質量%であることが好ましく、0.50質量%であることが好ましく、0.48質量%であることが好ましく、0.45質量%であることが好ましく、0.42質量%であることが好ましく、0.40質量%であることが好ましく、0.35質量%であることが好ましく、0.30質量%であることが更に好ましい。本発明の液晶組成物は、重合性化合物として必須である第一成分と任意成分である第二成分を併用しても良い。なお、第二成分を主な重合性化合物として用い、一般式(i)で表される第一成分を副重合性化合物、すなわち、第二重合性化合物の助剤の役割として用いる場合、主成分である第二成分の重合性化合物に起因する配向規制力を一般式(i)で表される重合性化合物が補うことができる。
【0061】
本発明の液晶組成物は、下記一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)及び(N-05)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に負の異方性を有する化合物に該当する。これらの化合物は、Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい値を示す。なお、化合物のΔεは、25℃において誘電的にほぼ中性の組成物に該化合物を添加した組成物の誘電率異方性の測定値から外挿した値である。
【0062】
本発明の液晶組成物は、下記一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)及び(N-04)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0063】
【化21】
【0064】
一般式(N-01)~(N-05)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基、炭素原子数2から8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていても良く、Zは、それぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、mは、それぞれ独立して、1又は2を表す。
【0065】
一般式(N-01)~(N-05)中、R21は、炭素原子数2から8のアルケニル基、又は炭素原子数1から8のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数2から5のアルケニル基、又は炭素原子数1から5のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2のアルケニル基、又は炭素原子数1から4のアルキル基が更に好ましい
一般式(N-01)~(N-05)中、R22は、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1から8のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1から4のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1~4のアルコキシ基が更に好ましい。
【0066】
一般式(N-01)~(N-05)中、R21及びR22は、アルケニル基である場合は、式(R1)から式(R5)
【0067】
【化22】
【0068】
(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましく、式(R1)又は式(R2)が更に好ましい。但し、R21及びR22がアルケニル基である化合物の含有量はできる限り少ない方が良く、含有しない方が好ましい。)
一般式(N-01)中、Zは単結合又は-CHO-であることが好ましい。
【0069】
一般式(N-02)中、Zは単結合であることが好ましい。
【0070】
一般式(N-04)中、Zは、それぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表すが、単結合、-CHCH-、-OCH-、-CHO-が好ましく、単結合又は-CHO-がより好ましい。
【0071】
一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)及び(N-05)で表される化合物のフッ素原子は、同じハロゲン族である塩素原子で置換されていても良い。但し、塩素原子で置換された化合物の含有量はできる限り少ない方が良く、含有しない方が好ましい。
【0072】
一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)及び(N-05)で表される化合物の環上に存在する水素原子は、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良いが、塩素原子は好ましくない。
【0073】
一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)及び(N-05)で表される化合物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。具体的には、R22は、炭素原子数1から8のアルコキシ基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1から4のアルコキシ基が特に好ましい。
【0074】
本発明の液晶組成物は、一般式(N-01)で表される化合物として、一般式(N-01-1)、一般式(N-01-2)、一般式(N-01-3)及び一般式(N-01-4)
【0075】
【化23】
【0076】
(式中、R21は先述と同じ意味を表し、R23は、それぞれ独立して、炭素原子数1から4のアルコキシ基を表す。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0077】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-01-1)から一般式(N-01-4)で表される化合物群から選ばれる化合物を一種または二種以上含有することが好ましい。
【0078】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物第二成分および一般式(N-01-1)で表される化合物および一般式(N-01-2)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0079】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-01-3)で表される化合物および一般式(N-01-4)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0080】
本発明の液晶組成物は、一般式(N-02)で表される化合物として、一般式(N-02-1)、一般式(N-02-2)、及び一般式(N-02-3)
【0081】
【化24】
【0082】
(式中、R21は先述と同じ意味を表し、R23は、それぞれ独立して、炭素原子数1から4のアルコキシ基を表す。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0083】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-02-1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0084】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-02-1)で表される化合物および一般式(N-02-3)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0085】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-02-1)で表される化合物、一般式(N-01-1)および一般式(N-01-2)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0086】
本発明の液晶組成物は、一般式(N-03)で表される化合物として、一般式(N-03-1)
【0087】
【化25】
【0088】
(式中、R21は先述と同じ意味を表し、R23は、炭素原子数1から4のアルコキシ基を表す。)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0089】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-03-1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0090】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-03-1)で表される化合物および一般式(N-01-4)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0091】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-03-1)で表される化合物および一般式(N-02-1)で表される化合物および一般式(N-01-1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0092】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-03-1)で表される化合物および一般式(N-02-1)で表される化合物、一般式(N-01-1)で表される化合物および一般式(N-01-1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0093】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-03-1)で表される化合物および一般式(N-01-3)で表される化合物および一般式(N-01-4)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0094】
本発明の液晶組成物は、一般式(N-04)で表される化合物として、一般式(N-04-1)
【0095】
【化26】
【0096】
(式中、R21は先述と同じ意味を表し、R23は、炭素原子数1から4のアルコキシ基を表す。)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0097】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-04-1)で表される化合物を同時に含有することが好ましい。
【0098】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-04-1)で表される化合物および一般式(N-01-4)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0099】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-04-1)で表される化合物および一般式(N-01-3)で表される化合物および一般式(N-01-4)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0100】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-04-1)で表される化合物および一般式(N-01-4)で表される化合物および一般式(N-03-1)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0101】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-04-1)で表される化合物および一般式(N-02-1)で表される化合物および一般式(N-03-1)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0102】
本発明の液晶組成物は、第一成分である重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分および一般式(N-04-1)で表される化合物および一般式(N-01-4)で表される化合物および一般式(N-02-1)で表される化合物および一般式(N-03-1)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0103】
本発明の液晶組成物は、一般式(N-05)で表される化合物として、式(N-05-1)から式(N-05-3)で表される化合物群から選ばれる化合物を含有しても良い。
【0104】
【化27】
【0105】
本発明の液晶組成物の総量に対して、一般式(N-01)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、5%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%であり、15%であり、10%である。
【0106】
本発明の液晶組成物の総量に対して、一般式(N-02)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、5%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%であり、15%であり、10%である。
【0107】
本発明の液晶組成物の総量に対して、一般式(N-03)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、5%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%であり、15%であり、10%である。
【0108】
本発明の液晶組成物の総量に対して、一般式(N-04)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、5%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%であり、15%であり、10%である。
【0109】
本発明の液晶組成物の総量に対して、式(N-05)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、2%であり、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0110】
本発明の液晶組成物は、更に、一般式(N-06)で表される化合物を1種又は2種以上含有しても良い。
【0111】
【化28】
【0112】
(式中、R21及びR22は先述と同じ意味を表す。)
一般式(N-06)で表される化合物は、種々の物性を調整したい場合に有効であるが、大きな屈折率異方性(Δn)、高いTNI、大きなΔεを得るために使用することができる。
【0113】
本発明の液晶組成物の総量に対して、式(N-06)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、2%であり、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、5%である。
【0114】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)から一般式(NU-08)
【0115】
【化29】
【0116】
(式中、RNU11、RNU12、RNU21、RNU22、RNU31、RNU32、RNU41、RNU42、RNU51、RNU52、RNU61、RNU62、RNU71、RNU72、RNU81およびRNU82は、それぞれ独立して、炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていても良い。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する。
【0117】
更に詳述すると、RNU11、RNU12、RNU21、RNU22、RNU31、RNU32、RNU41、RNU42、RNU51、RNU52、RNU61、RNU62、RNU71、RNU72、RNU81およびRNU82は、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基が更に好ましい。応答速度を重視する場合には、少なくとも1個のRNU11、RNU21、RNU41およびRNU51は、炭素原子数2から3のアルケニル基であることが好ましく、上述する式(R2)で表されるアルケニル基が好ましい。
【0118】
アルケニル基を有する化合物は、本発明の液晶組成物の総量に対して、30%以下が好ましく、25%以下が好ましく、20%以下が好ましく、15%以下が好ましく、10%以下が好ましく、5%以下が好ましい。高いVHRを重視する場合には、アルケニル基を有する化合物は10%以下が好ましく、5%以下が好ましく、1%以下が好ましく、含有しないことが好ましい。
【0119】
更に詳述すると、RNU11、RNU21、RNU31、RNU41、RNU51、RNU61、RNU71、RNU81は、炭素原子数1から5のアルキル基が特に好ましく、RNU12、RNU22、RNU32、RNU42、RNU52、RNU62、RNU72およびRNU82は、炭素原子数1から5のアルキル基または炭素原子数1から5のアルコキシ基が特に好ましい。
【0120】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-02)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0121】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-03)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0122】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-03)で表される化合物および一般式(NU-04)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0123】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-03)で表される化合物および一般式(NU-05)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0124】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-06)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0125】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-07)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0126】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-08)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0127】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物を含有することが更に好ましい。ここで一般式(NU-01)中、RNU51は炭素原子数1から5のアルキル基が特に好ましく、RNU52は炭素原子数1から5のアルキル基が特に好ましい。
【0128】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-05)で表される化合物を含有することが更に好ましい。ここで一般式(NU-01)中、RNU51は炭素原子数1から5のアルキル基が特に好ましく、RNU52は炭素原子数1から5のアルキル基が特に好ましい。
【0129】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-02)で表される化合物および一般式(NU-05)で表される化合物を含有することが更に好ましい。ここで一般式(NU-01)中、RNU51は炭素原子数1から5のアルキル基が特に好ましく、RNU52は炭素原子数1から5のアルキル基が特に好ましい。
【0130】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-01)で表される化合物および一般式(NU-02)で表される化合物および一般式(NU-03)で表される化合物および一般式(NU-05)で表される化合物を含有することが更に好ましい。
【0131】
本発明の液晶組成物は、一般式(NU-02)で表される化合物および一般式(NU-05)で表される化合物を含有することが更に好ましい。
【0132】
一般式(NU-01)で表される化合物の含有量は、1~60質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、15~40質量%であることが更に好ましい。
【0133】
一般式(NU-02)で表される化合物の含有量は、1~40質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましく、5~25質量%であることが更に好ましい。
【0134】
一般式(NU-03)で表される化合物の含有量は、1~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、1~10質量%であることが更に好ましい。
【0135】
一般式(NU-04)で表される化合物の含有量は、1~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることが更に好ましい。
【0136】
一般式(NU-05)で表される化合物の含有量は、1~30質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、3~20質量%であることが更に好ましい。
【0137】
一般式(NU-06)で表される化合物の含有量は、1~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることが更に好ましい。
【0138】
一般式(NU-07)で表される化合物の含有量は、1~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることが更に好ましい。
【0139】
一般式(NU-08)で表される化合物の含有量は、1~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることが更に好ましい。
【0140】
本発明の液晶組成物は、特許文献3(特許第6233550号)の段落0236から0509に記載の誘電率異方性が正の化合物を1種類又は2種類以上含有することができる。更に好ましくは、ターフェニル構造又はテトラフェニル構造を有し、誘電率異方性Δεが+2より大きい化合物が好ましい。なお、化合物のΔεは、25℃において誘電的にほぼ中性の組成物に該化合物を添加した組成物の誘電率異方性の測定値から外挿した値である。該化合物は、例えば、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、屈折率異方性などの所望の性能に応じて組み合わせて使用するが、特に、重合性化合物を含有された液晶組成物中の重合性化合物の反応性を加速させることができる。
【0141】
ターフェニル構造又はテトラフェニル構造を有し、誘電率異方性Δεが+2より大きい化合物は、本発明の液晶組成物の総量に対して、好ましい含有量の下限値は、0.1%であり、0.5%であり、1%であり、1.5%であり、2%であり、2.5%であり、3%であり、4%であり、5%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では20%であり、15%であり、10%であり、9%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、4%であり、3%である。
【0142】
本発明の液晶組成物は、特許文献3(特許第6233550号)の段落0624から0642に記載の誘電率異方性がほぼ中性(Δεが-2~+2)の化合物を1種類又は2種類以上含有することができる。
【0143】
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤又は赤外線吸収剤等を含有しても良い。
【0144】
酸化防止剤として、一般式(H-1)から一般式(H-4)で表されるヒンダードフェノールが挙げられる。
【0145】
【化30】
【0146】
一般式(H-1)から一般式(H-3)中、RH1は、それぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表すが、基中に存在する1個の-CH-又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立的に-O-又は-S-に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。更に具体的には、炭素原子数2から7のアルキル基、炭素原子数2から7のアルコキシ基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数3から7のアルキル基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であることが更に好ましい。
【0147】
一般式(H-4)中、MH4は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-に置換されていても良い。)、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-CFO-、-OCF-、-CFCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-C≡C-、単結合、1,4-フェニレン基(1,4-フェニレン基中の任意の水素原子はフッ素原子により置換されていても良い。)又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表すが、炭素原子数1から14のアルキレン基であることが好ましく、揮発性を考慮すると炭素原子数は大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると炭素原子数は大き過ぎない方が好ましいことから、炭素原子数2から12が更に好ましく、炭素原子数3から10が更に好ましく、炭素原子数4から10が更に好ましく、炭素原子数5から10が更に好ましく、炭素原子数6から10が更に好ましい。
【0148】
一般式(H-1)から一般式(H-4)中、1,4-フェニレン基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH=は-N=によって置換されていても良い。また、1,4-フェニレン基中の水素原子はそれぞれ独立的に、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良い。
【0149】
一般式(H-2)および一般式(H-4)の中の、1,4-シクロヘキシレン基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-は-O-又は-S-によって置換されていても良い。また、1,4-シクロヘキシレン基中の水素原子はそれぞれ独立的に、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良い。
【0150】
更に具体的には、例えば、式(H-11)から式(H-15)が挙げられる。
【0151】
【化31】
【0152】
本発明の液晶組成物は、酸化防止剤を含有する場合、その下限は10質量ppmが好ましく、20質量ppmが好ましく、50質量ppmが好ましく、その上限は10000質量ppmであるが、1000質量ppmが好ましく、500質量ppmが好ましく、100質量ppmが好ましい。
【0153】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相-等方性液体相転移温度(TNI)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃がより好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。なお、本発明においては、60℃以上をTNIが高いと表現している。
【0154】
液晶テレビ用途の場合、TNIは70から80℃が好ましく、モバイル用途の場合、TNIは80から90℃が好ましく、PID(Public Information Display)等の屋外表示用途の場合、TNIは90から110℃が好ましい。
【0155】
本発明の液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。なお、本発明の液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.098から0.118であることが特に好ましい。
【0156】
本発明の液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ)が50から160mPa・sであるが、55から160mPa・sであることが好ましく、60から160mPa・sであることが好ましく、80から150mPa・sであることが好ましく、90から140mPa・sであることが好ましく、90から130mPa・sであることが好ましく、90から115mPa・sであることが好ましい。
【0157】
本発明の液晶組成物は、20℃における誘電率異方性(Δε)が-1.7から-4.0であるが、-1.7から-3.5が好ましく、-1.8から-3.5がより好ましく、-1.9から-3.3がより好ましい。
【0158】
本発明の液晶組成物は、第一成分の重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分を含有し、更に一般式(N-01)、一般式(N-02)、一般式(N-03)、一般式(N-04)、一般式(N-05)及び必要に応じて一般式(N-06)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有し、更に一般式(NU-01)から(NU-08)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、これらの含有量の合計の上限値は、100質量%、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%であることが好ましく、これらの含有量の合計の下限値が、78質量%、80質量%、81質量%、83質量%、85質量%、86質量%、87質量%、88質量%、89質量%、90質量%、91質量%、92質量%、93質量%、94質量%、95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%、100質量%であることが好ましい。
【0159】
本発明の液晶組成物は、第一成分の重合性化合物および任意で重合性化合物の第二成分を含有し、更に一般式(N-01)、一般式(N-02)、一般式(N-03)及び一般式(N-04)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有し、更に一般式(NU-01)から(NU-08)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが特に好ましく、これらの含有量の合計の上限値は、100質量%、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%であることが好ましく、これらの含有量の合計の下限値が、78質量%、80質量%、81質量%、83質量%、85質量%、86質量%、87質量%、88質量%、89質量%、90質量%、91質量%、92質量%、93質量%、94質量%、95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%、100質量%であることが好ましい。
【0160】
本発明の液晶組成物は、十分に速い重合速度と十分に大きなプレチルト角を付与することができる。また、本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、重合後の液晶表示素子中の重合性化合物の残存量が少なく、4Kや8Kといった高精細なPSA型またはPSVA型の液晶表示素子のIS(Image Sticking)等の表示不良が発生しないか、顕著に抑制できる。以上のことから、4Kや8Kといった高精細なPSA型またはPSVA型の液晶表示素子の生産効率を顕著に向上でき、産業上の利用価値が非常に高い。
【0161】
本発明の液晶組成物は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSA、PSVA、PS-IPS、PS-FFS、NPSまたはPI-less等の液晶表示素子に用いることができる。
【0162】
本発明の液晶表示素子は、対向に配置された第1の基板および第2の基板と、前記第1の基板または前記第2の基板に設けられる共通電極と、前記第1の基板または前記第2の基板に設けられ、薄膜トランジスタを有する画素電極と、前記第1の基板と第2の基板間に設けられる液晶組成物を含有する液晶層と、を有することが好ましい。必要により前記液晶層と当接するように第1の基板および/または第2の基板の少なくとも一つの基板の対向面側に、液晶分子の配向方向を制御する配向膜を設けてもよい。該配向膜としては、液晶表示素子の駆動モードに併せて、垂直配向膜や水平配向膜など適宜選択することができ、ラビング配向膜(例えば、ポリイミド)または光配向膜(分解型ポリイミドなど)などの公知の配向膜を使用することができる。さらに、カラーフィルターを、第1の基板または第2の基板上に適宜設けてもよく、また前記画素電極や共通電極上にカラーフィルターを設けることができる。
【0163】
本発明の液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0164】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0165】
前記第1の基板および前記第2の基板を、共通電極や画素電極層が内側となるように対向させることが好ましい。
【0166】
第1の基板と第2の基板との間隔はスペーサーを介して、調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1~100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0167】
2枚の基板間に液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。
【0168】
本発明の液晶組成物に含まれる重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度で重合することが望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させた状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、液晶組成物に直流電界または交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。なお、印加する交流電界は、周波数1Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。PSA型またはPSVA型の液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。さらに、プレチルト角が80度から89度と大きく適切なチルトが付与されるように制御することがより好ましい。PSA型またはPSVA型の液晶表示素子においては、素子の製造後に重合性化合物が重合せずにそのまま残存していると焼き付き(IS)が発生する。この残存している重合性化合物の量は150ppm以下が好ましく、140ppm以下が好ましく、130ppm以下が好ましく、120ppm以下が好ましく、110ppm以下が好ましく、100ppm以下が特に好ましい。
【0169】
本発明の液晶組成物に含まれる重合性化合物を重合させる際に使用する紫外線又は電子線等の活性エネルギー線の照射時の温度は特に制限されることはない。例えば、配向膜を有する基板を備えた液晶表示素子に本発明の液晶組成物を適用する場合は、前記液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。すなわち、15~50℃で重合させることが好ましい。
【0170】
紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができ、USHIO社の超高圧UVランプ、TOSHIBA社の蛍光形紫外線ランプが好ましい。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm~100W/cmが好ましく、2mW/cm~50W/cmが更に好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cmから500J/cmが好ましく、100mJ/cmから200J/cmが更に好ましい。
【実施例
【0171】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
【0172】
各物性値は、特別の記載がない限り、電子情報技術産業協会規格 JEITA ED-2521B 2009年3月改正 社団法人 電子情報技術産業協会発行 に記載の方法に基き測定した。
【0173】
(側鎖)
-n -C2n+1 炭素数nの直鎖状のアルキル基
n- C2n+1- 炭素数nの直鎖状のアルキル基
-On -OC2n+1 炭素数nの直鎖状のアルコキシ基
nO- C2n+1O- 炭素数nの直鎖状のアルコキシ基
-V -CH=CH
V- CH=CH-
-V1 -CH=CH-CH
1V- CH-CH=CH-
-F -F
-OCF3 -OCF
(連結基)
-1O- -CH-O-
-O1- -O-CH
-2- -CH-CH
-COO- -COO-
-OCO- -OCO-
- 単結合
(環構造)
【0174】
【化32】
【0175】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0176】
Tni :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
γ :20℃における回転粘性(mPa・s)
RM :313nmの照度3mW/cmのUV光を60分照射した後の液晶表示素子の中の残存モノマー量(ppm)
Tilt :313nmの照度3mW/cmのUV光を2分照射した後の液晶表示素子のプレチルト角(°)
IS :313nmの照度3mW/cmのUV光を60分照射した後の液晶表示素子を用意し、駆動状態を一定時間維持した後のプレチルト角の変化量を100倍した値
VHR :313nmの照度3mW/cmのUV光を60分照射した後の液晶表示素子を用意し、1V、60Hz、60℃で測定したときの電圧保持率(%)
(液晶組成物の調製と評価結果)
液晶組成物(LC-1)から(LC-5)を調製し、その物性値を測定した。これらの液晶組成物の成分比とその物性値は表1のとおりであった。
【0177】
【表1】
【0178】
これらの液晶組成物と下記式(RM-111)~式(RM-112)、式(RM-221)~式(RM-222)、式(RM-C1)で表される重合性化合物を混合した実施例(E-01)から(E-16)、比較例(C-01)の液晶組成物を用意し、RM、Tilt、IS、VHRを評価した結果は以下の表のとおりであった。
【0179】
【化33】
【0180】
まず、実施例1(E-01)から実施例10(E-10)の液晶組成物を用意し、評価した結果は下記表のとおりであった。
【0181】
【表2】
【0182】
【表3】
【0183】
実施例1(E-01)から実施例10(E-10)の液晶組成物を用いた液晶表示素子はRMが十分に小さな値であり、Tiltが適切な値であり、ISが小さい値であり、VHRが十分に高い値であることを確認した。以上のことから、これらの実施例は本発明の課題を解決していることを確認した。
【0184】
次に、比較例1(C-01)の液晶組成物を用意し、評価した結果は下記表のとおりであった。
【0185】
【表4】
【0186】
この結果、比較例1(C-01)の液晶組成物を用いた液晶表示素子はRMが大きく、液晶表示素子の信頼性が低下することが確認された。また、比較例で用いたモノマー(RM-C1)は、本発明と同様な骨格を有するものの、本発明で用いる一般式(i)で表されるモノマーに必須の置換基を有さないため、VHRが低い結果となった。以上のことから、これらの比較例は本発明の課題を解決できないことを確認した。
【0187】
更に、実施例11(E-11)から実施例16(E-16)を用意し、評価した結果は下記表のとおりであった。
【0188】
【表5】
【0189】
実施例11(E-11)から実施例16(E-16)は、本発明において第一成分である一般式(i)で表される必須の重合性化合物と共に、一般式(i)以外の重合性化合物としてRM-221又はRM-222を含有する液晶組成物である。当該液晶組成物を用いた液晶表示素子はRMが小さな値であり、Tiltが適切な値であり、ISが小さい値であり、VHRが高い値であることを確認した。実施例11~実施例16の結果から、その他の重合性化合物を主な重合性化合物として用い、一般式(i)で表される重合性化合物を、その助剤となるような少ない比率で用いた場合においても十分なプレチルト角を有しプレチルト角の変化による表示不良が発生しない表示素子が得られており、本発明の課題を解決していることを確認した。