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特許7392642テトラブロック共重合体、およびポリマー組成物、ならびにこれらを用いたホットメルト粘接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】テトラブロック共重合体、およびポリマー組成物、ならびにこれらを用いたホットメルト粘接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/04 20060101AFI20231129BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20231129BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20231129BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20231129BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20231129BHJP
【FI】
C08F297/04
C08L53/02
C09J153/02
C09J11/08
C09J7/35
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020503432
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(86)【国際出願番号】 JP2019006276
(87)【国際公開番号】W WO2019167745
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2018033166
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角井 怜王
(72)【発明者】
【氏名】小田 亮二
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貞治
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0176887(US,A1)
【文献】特表2006-510775(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187727(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/136788(WO,A1)
【文献】特表2015-529787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、C08L、C09J、C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、共役ジエンブロック(B2)と、をこの順に有するテトラブロック共重合体であって、
前記芳香族ビニルブロック(A1)の重量平均分子量をMw(A1)、前記共役ジエンブロック(B1)の重量平均分子量をMw(B1)、前記芳香族ビニルブロック(A2)の重量平均分子量をMw(A2)、前記共役ジエンブロック(B2)の重量平均分子量をMw(B2)、全体の重量平均分子量をMw(Total)とした場合に、
Mw(A2)/Mw(A1)が1.2~5、Mw(A2)が13,000以上、Mw(B1)Mw(B2)が1.01~5、Mw(Total)が50,000~400,000であり、
芳香族ビニル単量体単位の含有量が10~20重量%であるテトラブロック共重合体。
【請求項2】
請求項1に記載のテトラブロック共重合体を50重量%以上の割合で含有するポリマー組成物。
【請求項3】
芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、をこの順に有するトリブロック共重合体を50重量%以下の割合で含有する請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のテトラブロック共重合体、または請求項2もしくは3に記載のポリマー組成物と、粘着付与性樹脂とを含むホットメルト粘接着剤組成物。
【請求項5】
前記テトラブロック共重合体100重量部に対して、粘着付与性樹脂の含有量が10~500重量部である請求項4に記載のホットメルト粘接着剤組成物。
【請求項6】
軟化剤を、前記テトラブロック共重合体100重量部に対して1~500重量部の割合でさらに含む請求項4または5に記載のホットメルト粘接着剤組成物。
【請求項7】
請求項4~6のいずれかに記載のホットメルト粘接着剤組成物を用いた粘着テープ。
【請求項8】
請求項4~6のいずれかに記載のホットメルト粘接着剤組成物を用いた、再生紙を含有する被着体用の梱包用テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラブロック共重合体、およびポリマー組成物、ならびにこれらを用いたホットメルト粘接着剤組成物に関し、さらに詳しくは、平滑紙のみならず、粗面紙に対しても、高い保持力を有するホットメルト粘接着剤組成物を与えることのできるテトラブロック共重合体、およびポリマー組成物、ならびにこれらを用いたホットメルト粘接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト粘接着剤は、短時間で固化することから、種々の製品を効率的に接着させることが可能であり、しかも、溶剤を必要としないことから、人体への安全性が高い粘接着剤であるので、様々な分野で用いられている。ホットメルト粘接着剤の代表的な用途の1つとして、梱包用の粘着テープの粘接着剤としての使用を挙げることができる。
【0003】
たとえば、特許文献1には、主としてスチレン、および主としてイソプレンをそれぞれ完全逐次重合させることによって得られる、直鎖テトラブロックコポリマーであって、見掛けの分子量が205,000から225,000の範囲にあり、ポリ(スチレン)ブロックが10,000から12,000の見掛けの分子量を有し、中間体S-Iジブロックコポリマーが130,000から185,000の範囲にある見掛けの分子量を有し、中間体S-I-Sトリブロックコポリマーが145,000から195,000の範囲にある見掛けの分子量を有し、ポリ(スチレン)含有量は、14から16wt%の範囲にある直鎖テトラブロックコポリマーが開示されている。そして、この特許文献1においては、このような直鎖テトラブロックコポリマーに、直鎖テトラブロックコポリマー100重量部に対し、50~150重量部の粘着性付与樹脂、0~50重量部のナフテン系オイルまたはパラフィン系オイル、および、0.1~10重量部の抗酸化剤および/または他の助剤を含む、板紙箱シーリングテープのための包装用テープ接着剤組成物が開示されている。
【0004】
他方、特許文献1において、シーリングの対象としている、ダンボールなどの板紙箱においては、環境上の要請により、再生紙の使用が進んでおり、その含有比率が高いことが望まれている。その一方で、再生紙を比較的多く含むものである場合には、その表面は一般的に粗くなってしまうため、そのため、ダンボールなどの板紙箱が、再生紙を比較的多く含むものである場合には、ダンボールなどの板紙箱は、粗面紙で形成されたものとなる。
【0005】
このような状況において、特許文献1で開示されている包装用テープ接着剤組成物によれば、再生紙を含有しない平滑紙で構成された板紙箱に対しては、比較的高い保持力を発揮するものの、再生紙を比較的多く含む粗面紙で構成された板紙箱に対する、保持力が低く、そのため、このような粗面紙に対しても、優れた保持力を発揮できる材料が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2004/056935号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、平滑紙のみならず、粗面紙に対しても、高い保持力を有するホットメルト粘接着剤組成物を与えることのできるテトラブロック共重合体、およびポリマー組成物、ならびにこれらを用いたホットメルト粘接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的を達成すべく検討を行ったところ、芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、共役ジエンブロック(B2)と、をこの順に有するテトラブロック共重合体において、各重合体ブロックの重量平均分子量および全体の重量平均分子量、ならびに、共重合体全体における芳香族ビニル単量体単位の含有量を特定の範囲とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、共役ジエンブロック(B2)と、をこの順に有するテトラブロック共重合体であって、
前記芳香族ビニルブロック(A1)の重量平均分子量をMw(A1)、前記共役ジエンブロック(B1)の重量平均分子量をMw(B1)、前記芳香族ビニルブロック(A2)の重量平均分子量をMw(A2)、前記共役ジエンブロック(B2)の重量平均分子量をMw(B2)、全体の重量平均分子量をMw(Total)とした場合に、
Mw(A2)/Mw(A1)が1.2~5、Mw(A2)が12,000以上、Mw(B1)>Mw(B2)、Mw(Total)が50,000~400,000であり、
芳香族ビニル単量体単位の含有量が10~30重量%であるテトラブロック共重合体が提供される。
【0010】
本発明によれば、上記本発明のテトラブロック共重合体を50重量%以上の割合で含有するポリマー組成物が提供される。
本発明のポリマー組成物は、芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、をこの順に有するトリブロック共重合体を50重量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0011】
また、本発明によれば、上記本発明のテトラブロック共重合体、または上記本発明のポリマー組成物と、粘着付与性樹脂とを含むホットメルト粘接着剤組成物が提供される。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物において、前記粘着付与性樹脂の含有量が、前記テトラブロック共重合体100重量部に対して、10~500重量部であることが好ましい。
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、軟化剤を、前記テトラブロック共重合体100重量部に対して、1~500重量部さらに含有することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明によれば、上記本発明のホットメルト粘接着剤組成物を用いた粘着テープ、特に、再生紙を含有する被着体用の梱包用テープが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、平滑紙のみならず、粗面紙に対しても、高い保持力を有するホットメルト粘接着剤組成物を与えることのできるテトラブロック共重合体、およびポリマー組成物、ならびにこれらを用いたホットメルト粘接着剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<テトラブロック共重合体>
本発明のテトラブロック共重合体は、芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、共役ジエンブロック(B2)と、をこの順に有し、
前記芳香族ビニルブロック(A1)の重量平均分子量をMw(A1)、前記共役ジエンブロック(B1)の重量平均分子量をMw(B1)、前記芳香族ビニルブロック(A2)の重量平均分子量をMw(A2)、前記共役ジエンブロック(B2)の重量平均分子量をMw(B2)、全体の重量平均分子量をMw(Total)とした場合に、
Mw(A2)/Mw(A1)が1.2~5、Mw(A2)が12,000以上、Mw(B1)>Mw(B2)、Mw(Total)が50,000~400,000であり、
芳香族ビニル単量体単位の含有量が10~30重量%であるテトラブロック共重合体である。
【0015】
本発明のテトラブロック共重合体を構成する芳香族ビニルブロック(A1)は、芳香族ビニル単量体を重合して得られる芳香族ビニル単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである。
【0016】
芳香族ビニルブロック(A1)の芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体は、芳香族ビニル化合物であれば特に限定されないが、たとえば、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン、4-ブロモスチレン、2-メチル-4,6-ジクロロスチレン、2,4-ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレンを用いることが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
また、芳香族ビニルブロック(A1)は、芳香族ビニル単量体単位が主たる繰り返し単位となる限りにおいて、それ以外の単量体単位を含んでいてもよい。芳香族ビニルブロック(A1)に含まれ得る芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、たとえば、1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)などの共役ジエン単量体、α,β-不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体などが挙げられる。芳香族ビニルブロック(A1)における芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。すなわち、芳香族ビニルブロック(A1)は、実質的に、1種または2種以上の芳香族ビニル単量体単位のみからなるものであることが好ましく、スチレン単位のみからなるものであることが特に好ましい。
【0018】
本発明のテトラブロック共重合体を構成する共役ジエンブロック(B1)は、共役ジエン単量体を重合して得られる共役ジエン単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである。
【0019】
共役ジエンブロック(B1)の共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体は、共役ジエン化合物であれば特に限定されないが、たとえば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、ミルセン、ファルネセンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3-ブタジエンおよび/またはイソプレンを用いることが好ましく、イソプレンを用いることが特に好ましい。これらの共役ジエン単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、共役ジエンブロック(B1)の不飽和結合の一部に対し、水素添加反応が行われていてもよい。
【0020】
また、共役ジエンブロック(B1)は、共役ジエン単量体単位が主たる繰り返し単位となる限りにおいて、それ以外の単量体単位を含んでいてもよい。共役ジエンブロック(B1)に含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、スチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β-不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。共役ジエンブロック(B1)における共役ジエン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。すなわち、共役ジエンブロック(B1)は、実質的に、1種または2種以上の共役ジエン単量体単位のみからなるものであることが好ましく、イソプレン単位のみからなるものであることが特に好ましい。
【0021】
共役ジエンブロック(B1)のビニル結合含有量(共役ジエンブロック(B1)中の全共役ジエン単量体単位において、1,2-ビニル結合単位と3,4-ビニル結合単位が占める割合)は、特に限定されないが、1~20モル%であることが好ましく、2~15モル%であることがより好ましく、3~10モル%であることが特に好ましい。
【0022】
また、本発明のテトラブロック共重合体を構成する芳香族ビニルブロック(A2)は、芳香族ビニル単量体を重合して得られる芳香族ビニル単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである。
【0023】
芳香族ビニルブロック(A2)の芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体は、芳香族ビニル化合物であれば特に限定されないが、たとえば、上述した芳香族ビニルブロック(A1)と同様のものが挙げられる。
【0024】
また、芳香族ビニルブロック(A2)は、芳香族ビニル単量体単位が主たる繰り返し単位となる限りにおいて、それ以外の単量体単位を含んでいてもよく、芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、たとえば、芳香族ビニルブロック(A1)と同様のものが挙げられ、その含有量も、同様とすればよい。また、芳香族ビニルブロック(A2)も、実質的に、1種または2種以上の芳香族ビニル単量体単位のみからなるものであることが好ましく、スチレン単位のみからなるものであることが特に好ましい。
【0025】
本発明のテトラブロック共重合体を構成する共役ジエンブロック(B2)は、共役ジエン単量体を重合して得られる共役ジエン単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである。
【0026】
共役ジエンブロック(B2)の共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体は、共役ジエン化合物であれば特に限定されないが、たとえば、上述した共役ジエンブロック(B1)と同様のものが挙げられる。
【0027】
また、共役ジエンブロック(B2)は、共役ジエン単量体単位が主たる繰り返し単位となる限りにおいて、それ以外の単量体単位を含んでいてもよく、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、たとえば、共役ジエンブロック(B1)と同様のものが挙げられ、その含有量およびビニル結合含有量も同様とすればよい。また、共役ジエンブロック(B2)も、実質的に、1種または2種以上の共役ジエン単量体単位のみからなるものであることが好ましく、イソプレン単位のみからなるものであることが特に好ましい。
【0028】
また、本発明のテトラブロック共重合体においては、本発明のテトラブロック共重合体を構成する、芳香族ビニルブロック(A1)の重量平均分子量をMw(A1)、共役ジエンブロック(B1)の重量平均分子量をMw(B1)、芳香族ビニルブロック(A2)の重量平均分子量をMw(A2)、および、共役ジエンブロック(B2)の重量平均分子量をMw(B2)とし、全体の重量平均分子量をMw(Total)とした場合に、これら各重合体ブロックの重量平均分子量および全体の重量平均分子量を次のような範囲とされたものである。
【0029】
すなわち、Mw(A2)/Mw(A1)が1.2~5の範囲であり、Mw(A2)が12,000以上であり、Mw(B1)>Mw(B2)の関係にあり、Mw(Total)が50,000~400,000の範囲とされたものである。本発明によれば、これら各重合体ブロックの重量平均分子量および全体の重量平均分子量を、このような範囲とすることにより、粘着付与性樹脂などを配合してホットメルト粘接着剤組成物とした場合に、平滑紙のみならず、粗面紙に対しても、高い保持力を有するものとすることができるものである。
【0030】
本発明のテトラブロック共重合体は、Mw(A2)/Mw(A1)が、1.2~5の範囲であり、好ましくは1.2~4、より好ましくは1.2~3である。Mw(A2)/Mw(A1)が小さすぎると、ホットメルト粘接着剤組成物とした場合に、平滑紙および粗面紙に対する保持力に劣るものとなってしまい、また、Mw(A2)/Mw(A1)が大きすぎても、平滑紙および粗面紙に対する保持力に劣るものとなってしまう。
【0031】
本発明のテトラブロック共重合体は、Mw(A2)が12,000以上であり、好ましくは13,000以上、より好ましくは14,000以上である。Mw(A2)が小さすぎると、ホットメルト粘接着剤組成物とした場合に、平滑紙および粗面紙に対する保持力に劣るものとなってしまう。Mw(A2)の上限は特に限定されないが、たとえば、150,000以下である。
【0032】
また、本発明のテトラブロック共重合体は、Mw(B1)>Mw(B2)の関係にあるものであり、Mw(B1)/Mw(B2)が、好ましくは1.01~5の範囲、より好ましくは1.1~4の範囲にあるものである。Mw(B1)>Mw(B2)の関係を満たさない場合には、ホットメルト粘接着剤組成物とした場合に、平滑紙および粗面紙に対する保持力に劣るものとなってしまう。
【0033】
さらに、本発明のテトラブロック共重合体は、Mw(Total)が50,000~400,000の範囲であり、好ましくは75,000~350,000の範囲、より好ましくは100,000~300,000の範囲である。Mw(Total)が小さすぎると、平滑紙および粗面紙に対する保持力に劣るものとなってしまい、一方、大きすぎると、ホットメルト粘接着剤組成物とする場合に高粘度となってしまい、加熱しての溶融加工性が工業上において劣るものとなってしまう。
【0034】
なお、本発明のテトラブロック共重合体において、Mw(A1)は、特に限定されないが、ホットメルト粘接着剤組成物とした場合における、平滑紙および粗面紙に対する保持力をより高めることができるという観点より、好ましくは5,000~50,000、より好ましくは6,000~40,000、さらに好ましくは7,000~30,000である。
【0035】
また、本発明のテトラブロック共重合体において、Mw(B1)も、特に限定されないが、ホットメルト粘接着剤組成物とした場合における、平滑紙および粗面紙に対する保持力をより高めることができるという観点より、好ましくは50,000~250,000、より好ましくは60,000~220,000、さらに好ましくは70,000~200,000である。
【0036】
さらに、本発明のテトラブロック共重合体において、Mw(B2)も、特に限定されないが、ホットメルト粘接着剤組成物とした場合における、平滑紙および粗面紙に対する保持力をより高めることができるという観点より、好ましくは20,000~200,000、より好ましくは30,000~150,000、さらに好ましくは40,000~120,000である。
【0037】
なお、本発明において、各重合体ブロックの重量平均分子量および全体の重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフィの測定による、ポリスチレン換算の値として求めるものとする。
【0038】
また、各重合体ブロックの重量平均分子量および全体の重量平均分子量は、重合反応によって本発明のテトラブロック共重合体を得る際に用いる、各重合体ブロックを形成するための各単量体の使用量や、重合開始剤の量を調節することにより、調整することができる。
【0039】
本発明のテトラブロック共重合体を構成する全単量体単位100重量%に対する、芳香族ビニル単量体単位の含有量、すなわち、テトラブロック共重合体全体における、芳香族ビニル単量体単位の含有量は、10~30重量%であり、好ましくは11~25重量%、より好ましくは12~20重量%である。テトラブロック共重合体全体における、芳香族ビニル単量体単位の含有量が低すぎても、あるいは高すぎても、ホットメルト粘接着剤組成物とした場合に、平滑紙および粗面紙に対する保持力に劣るものとなってしまう。テトラブロック共重合体全体における、芳香族ビニル単量体単位の含有量は、テトラブロック共重合体全体における、各重合体ブロックの割合、および、芳香族ビニルブロック(A1)および芳香族ビニルブロック(A2)中における、芳香族ビニル単量体単位の含有量を調節することにより、調節することができる。なお、テトラブロック共重合体を構成する全ての重合体成分が、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位のみにより構成されている場合であれば、Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従って、テトラブロック共重合体をオゾン分解し、次いで水素化リチウムアルミニウムにより還元すれば、共役ジエン単量体単位部分が分解され、芳香族ビニル単量体単位部分のみを取り出せるので、容易に、テトラブロック共重合体全体における、芳香族ビニル単量体単位の含有量を測定することができる。
【0040】
本発明のテトラブロック共重合体全体のビニル結合含有量(テトラブロック共重合体全体に含まれる全共役ジエン単量体単位において、1,2-ビニル結合単位と3,4-ビニル結合単位が占める割合)は、特に限定されないが、1~20モル%であることが好ましく、2~15モル%であることがより好ましく、3~10モル%であることが特に好ましい。
【0041】
なお、本発明のテトラブロック共重合体は、各種変性基を有していてもよく、このような変性基としては、特に限定されないが、各種酸基や塩基性基などが挙げられる。
【0042】
本発明のテトラブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されないが、以下の方法が好ましい。すなわち、
溶媒中で、重合開始剤の存在下で、芳香族ビニル単量体を主成分として含む単量体を重合することで、芳香族ビニルブロック鎖を含有する溶液を得る第1重合工程と、
上記にて得られた芳香族ビニルブロック鎖を含有する溶液に、共役ジエン単量体を主成分として含む単量体を添加し、重合することで、ジブロック鎖を含有する溶液を得る第2重合工程と、
上記にて得られたジブロック鎖を含有する溶液に、芳香族ビニル単量体を主成分として含む単量体を添加し、重合することで、トリブロック鎖を含有する溶液を得る第3重合工程と、
上記にて得られたトリブロック鎖を含有する溶液に、共役ジエン単量体を主成分として含む単量体を添加し、重合することで、テトラブロック鎖を含有する溶液を得る第4重合工程と、
テトラブロック鎖を含有する溶液から、重合体成分を回収する回収工程とを備える製造方法が好適である。
【0043】
上記の製造方法では、まず、溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を主成分として含む単量体を重合する(第1重合工程)。用いられる重合開始剤としては、一般的に芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とに対し、アニオン重合活性があることが知られている有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物などを用いることができる。有機アルカリ金属化合物としては、分子中に1個以上のリチウム原子を有する有機リチウム化合物が特に好適に用いられ、その具体例としては、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ジアルキルアミノリチウム、ジフェニルアミノリチウム、ジトリメチルシリルアミノリチウムなどの有機モノリチウム化合物や、メチレンジリチウム、テトラメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、イソプレニルジリチウム、1,4-ジリチオ-エチルシクロヘキサンなどの有機ジリチウム化合物、さらには、1,3,5-トリリチオベンゼンなどの有機トリリチウム化合物などが挙げられる。これらのなかでも、有機モノリチウム化合物が特に好適に用いられる。
【0044】
重合開始剤として用いる有機アルカリ土類金属化合物としては、たとえば、n-ブチルマグネシウムブロミド、n-ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t-ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t-ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。また、他の重合開始剤の具体例としては、ネオジム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むランタノイド系列希土類金属化合物/アルキルアルミニウム/アルキルアルミニウムハライド/アルキルアルミニウムハイドライドからなる複合触媒や、チタン、バナジウム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むメタロセン型触媒などの有機溶媒中で均一系となり、リビング重合性を有するものなどが挙げられる。なお、これらの重合開始剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0045】
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよく、特に限定されないが、使用する全単量体100gあたり、好ましくは0.01~20ミリモル、より好ましくは0.05~15ミリモル、さらに好ましくは0.1~10ミリモルである。
【0046】
重合に用いる溶媒は、重合開始剤に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、鎖状炭化水素溶媒、環式炭化水素溶媒またはこれらの混合溶媒が使用される。鎖状炭化水素溶媒としてはn-ブタン、イソブタン、1-ブテン、イソブチレン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、トランス-2-ペンテン、シス-2-ペンテン、n-ペンタン、イソペンタン、neo-ペンタン、n-ヘキサンなどの、炭素数4~6の鎖状アルカンおよびアルケンを例示することができる。また、環式炭化水素溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;を挙げることができる。これらの溶媒は、1種類を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
重合に用いる溶媒の量は、特に限定されないが、最終的に得られるテトラブロック共重合体の溶液におけるテトラブロック共重合体の濃度が、好ましくは5~60重量%の範囲、より好ましくは10~55重量%の範囲、特に20~50重量%の範囲になるように設定することが好ましい。
【0048】
また、各重合体ブロックの構造を制御するために、重合に用いる反応器にルイス塩基化合物を添加してもよい。ルイス塩基化合物としては、たとえば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン類;カリウム-t-アミルオキシド、カリウム-t-ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;などが挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
【0049】
重合反応時にルイス塩基化合物を添加する時期は特に限定されず、目的とする各ブロック共重合体の構造に応じて適宜決定すればよい。たとえば、重合を開始する前に予め添加してもよいし、一部の重合体ブロックを重合してから添加してもよく、さらには、重合を開始する前に予め添加した上で一部の重合体ブロックを重合した後さらに添加してもよい。
【0050】
重合反応温度は、好ましくは10~150℃、より好ましくは30~130℃、さらに好ましくは40~90℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常、48時間以内、好ましくは0.5~10時間である。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体および溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されない。
【0051】
以上のような条件で、溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を主成分として含む単量体を重合することにより、芳香族ビニルブロック鎖を含有する溶液を得ることができる。なお、重合により得られる芳香族ビニルブロック鎖は、通常、活性末端を有するものとなる。また、得られる芳香族ビニルブロック鎖は、芳香族ビニルブロック(A1)を形成することとなるものであるため、この第1重合工程において用いる単量体の量は、芳香族ビニルブロック(A1)の重量平均分子量Mw(A1)に応じて決定すればよい。
【0052】
次いで、第1重合工程において得られた芳香族ビニルブロック鎖を含有する溶液に、共役ジエン単量体を主成分として含む単量体を添加し、重合を行う(第2重合工程)。これにより、ジブロック鎖を含有する溶液を得ることができる。なお、重合により得られるジブロック鎖は、通常、活性末端を有するものとなる。また、第2重合工程において得られるジブロック鎖は、上記第1重合工程において得られた芳香族ビニルブロック(A1)を形成することとなる重合体鎖に、共役ジエンブロック(B1)を形成することとなる重合体鎖がさらに結合されたものとなるため、この第2重合工程において用いる単量体の量は、共役ジエンブロック(B1)の重量平均分子量Mw(B1)に応じて決定すればよい。また、重合反応温度、重合時間、重合圧力は、上記第1重合工程と同様の範囲内で制御すればよい。
【0053】
次いで、第2重合工程において得られたジブロック鎖を含有する溶液に、芳香族ビニル単量体を主成分として含む単量体を添加し、重合を行う(第3重合工程)。これにより、トリブロック鎖を含有する溶液を得ることができる。なお、重合により得られるトリブロック鎖は、通常、活性末端を有するものとなる。また、第3重合工程において得られるトリブロック鎖は、上記第2重合工程において得られた芳香族ビニルブロック(A1)および共役ジエンブロック(B1)を形成することとなる重合体鎖に、芳香族ビニルブロック(A2)を形成することとなる重合体鎖がさらに結合されたものとなるため、この第3重合工程において用いる単量体の量は、芳香族ビニルブロック(A2)の重量平均分子量Mw(A2)に応じて決定すればよい。また、重合反応温度、重合時間、重合圧力は、上記第1重合工程と同様の範囲内で制御すればよい。
【0054】
次いで、第3重合工程において得られたトリブロック鎖を含有する溶液に、芳香族ビニル単量体を主成分として含む単量体を添加し、重合を行う(第4重合工程)。これにより、テトラブロック鎖を含有する溶液を得ることができる。なお、重合により得られるテトラブロック鎖は、通常、活性末端を有するものとなる。また、第4重合工程において得られるテトラブロック鎖は、上記第3重合工程において得られた芳香族ビニルブロック(A1)、共役ジエンブロック(B1)および芳香族ビニルブロック(A2)を形成することとなる重合体鎖に、共役ジエンブロック(B2)を形成することとなる重合体鎖がさらに結合されたものとなるため、この第4重合工程において用いる単量体の量は、共役ジエンブロック(B2)の重量平均分子量Mw(B2)に応じて決定すればよい。また、重合反応温度、重合時間、重合圧力は、上記第1重合工程と同様の範囲内で制御すればよい。
【0055】
次いで、第4重合工程において得られたテトラブロック鎖を含有する溶液から、重合体成分を回収する(回収工程)。回収の方法は、常法に従えばよく、特に限定されない。たとえば、反応終了後に、必要に応じて、水、メタノール、エタノール、プロパノール、塩酸、クエン酸などの重合停止剤を添加し、さらに必要に応じて、酸化防止剤などの添加剤を添加してから、溶液に直接乾燥法やスチームストリッピングなどの公知の方法を適用することにより、回収することができる。スチームストリッピングなどを適用して、重合体成分がスラリーとして回収される場合は、押出機型スクイザーなどの任意の脱水機を用いて脱水して、所定値以下の含水率を有するクラムとし、さらにそのクラムをバンドドライヤーあるいはエクスパンション押出乾燥機などの任意の乾燥機を用いて乾燥すればよい。
以上のようにして、本発明のテトラブロック共重合体を製造することができる。
【0056】
<ポリマー組成物>
本発明のポリマー組成物は、上記した本発明のテトラブロック共重合体を50重量%以上の割合で含有するものである。本発明のポリマー組成物中における、テトラブロック共重合体の含有割合は、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上である。
【0057】
本発明のポリマー組成物は、上記した本発明のテトラブロック共重合体を50重量%以上の割合で含有すればよく、本発明のテトラブロック共重合体に加えて配合される他の成分としては、特に限定されないが、本発明のテトラブロック共重合体以外の重合体であることが好ましく、特に、芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、をこの順に有するトリブロック共重合体であることがより好ましい。このようなトリブロック共重合体の含有割合は、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下である。トリブロック共重合体はリニア構造であり、ポリマー組成物全体の重量平均分子量を低く抑えることができるため、トリブロック共重合体を含む場合、トリブロック共重合体を含まない場合と比較して、ポリマー組成物の重量平均分子量が同じであれば、ポリマー組成物を低粘度にでき、加工性等の観点から好ましい。また、上記範囲でトリブロック共重合体を含む場合は、平滑紙のみならず、粗面紙に対しても、保持力を大きく損なうことが無い。
【0058】
なお、本発明のポリマー組成物を、本発明のテトラブロック共重合体と、芳香族ビニルブロック(A1)と、共役ジエンブロック(B1)と、芳香族ビニルブロック(A2)と、をこの順に有するトリブロック共重合体(以下、単に「トリブロック共重合体」とする。)とを含有するものとする場合には、たとえば、上記した本発明のテトラブロック共重合体の製造方法において、第3重合工程の終了後に、所定量の重合停止剤を添加する方法や、第3重合工程の終了後に所定温度に所定時間保つ安定化処理を行う方法により、第3重合工程において得られたトリブロック鎖のうち、一部のトリブロック鎖の活性末端を失活させることで、得られる重合体成分を、本発明のテトラブロック共重合体と、トリブロック共重合体とを含有するポリマー組成物としてもよい。
【0059】
第3重合工程の終了後に安定化処理を行う場合、処理温度、処理圧力は、それぞれ、上記第3重合工程の重合温度、重合圧力と同様の範囲内で制御すればよい。安定化処理に要する時間は条件によって異なるが、通常、第3重合工程にて添加した単量体の重合転化率が100%となってから、48時間以内、好ましくは0.1~10時間である。たとえば、安定化処理は、第3重合工程にて添加した単量体の重合転化率が100%となってから、さらに第3重合工程と同条件の温度および圧力で、0.1~10時間処理することにより、行うことができる。
【0060】
あるいは、重合条件を調整することで、上述した第4重合工程において、第3重合工程において得られたトリブロック鎖のうち一部については、重合反応を進行させないものとすることで、得られる重合体成分を、本発明のテトラブロック共重合体と、トリブロック共重合体とを含有するポリマー組成物としてもよい。
【0061】
<ホットメルト粘接着剤組成物>
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、上述した本発明のテトラブロック共重合体またはポリマー組成物と、粘着付与性樹脂とを含有してなるものである。本発明で用いる粘着付与性樹脂としては従来公知の粘着付与性樹脂が使用できる。
【0062】
粘着付与性樹脂としては、たとえば、ロジン;水素添加ロジン、不均化ロジン、二量化ロジンなどの変性ロジン類;グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとロジンまたは変性ロジン類とのエステル化物;α-ピネン系、β-ピネン系、ジペンテン(リモネン)系などのテルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系、脂環族系または脂肪族-芳香族共重合系の炭化水素樹脂またはこれらの水素化物;フェノール樹脂;クマロン-インデン樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、本発明のテトラブロック共重合体およびポリマー組成物との相溶性のよい脂肪族系または脂肪族-芳香族共重合系の炭化水素樹脂が好適に用いられる。粘着付与性樹脂は、単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
本発明のホットメルト粘接着剤組成物中における、粘着付与性樹脂の含有量は、テトラブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは10~500重量部、より好ましくは50~350重量部であり、さらに好ましくは70~250重量部である。
【0064】
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、軟化剤をさらに含有していることが好ましい。軟化剤としては、室温(23℃)で液状の有機化合物であって、溶融された状態で、テトラブロック共重合体やポリマー組成物に対して相溶性を示すものであればよく、特に限定されない。軟化剤が、テトラブロック共重合体、あるいはポリマー組成物に対して相溶性を示すか否かは、以下の方法により確認することができる。すなわち、テトラブロック共重合体またはポリマー組成物と軟化剤とを同重量で溶融混合した後、室温(23℃)下で静置することにより室温(23℃)まで冷却し、得られる混合物について、目視により濁りが確認できない場合には、軟化剤が、テトラブロック共重合体またはポリマー組成物に対して相溶性を示すということができる。用いられる軟化剤の種類は、テトラブロック共重合体やポリマー組成物に対して相溶性を示すものである限りにおいて特に限定されず、具体的には、通常のホットメルト粘接着剤組成物に添加される、芳香族系、パラフィン系またはナフテン系のプロセスオイル;ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状重合体などを使用することができ、これらのなかでも、パラフィン系プロセスオイルまたはナフテン系プロセスオイルが特に好適である。なお、軟化剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
本発明のホットメルト粘接着剤組成物中における、軟化剤の含有量は、特に限定されないが、テトラブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは1~500重量部であり、より好ましくは1~300重量部、さらに好ましくは5~200重量部、特に好ましくは10~100重量部である。
【0066】
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、ワックスをさらに含有していてもよい。ワックスとしては、室温(23℃)で固形油脂状の有機化合物であって、溶融された状態で、テトラブロック共重合体やポリマー組成物に対して非相溶性を示すものである。用いられ得るワックスの種類は、特に限定されず、たとえば、ポリエチレンワックス、エチレン酢酸ビニル共重合体ワックス、酸化ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、Fischer-Tropshワックス、酸化Fischer-Tropshワックス、水素添加ひまし油ワックス、ポリプロピレンワックス、副産ポリエチレンワックス、水酸化ステアラミドワックスなどから、用いるテトラブロック共重合体またはポリマー組成物に対して非相溶性を示すものを選定して使用することができる。ここで、ワックスが、テトラブロック共重合体またはポリマー組成物に対して非相溶性であるか否かは、次に述べる手法により確認することができる。すなわち、テトラブロック共重合体またはポリマー組成物とワックスとを同重量で溶融混合した後、室温(23℃)下で静置することにより室温(23℃)まで冷却し、得られる混合物について、目視により濁りが確認できる場合には、ワックスが、テトラブロック共重合体またはポリマー組成物に対して非相溶性を示すということができる。なお、ワックスは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、上述した成分以外の成分として、他の重合体を含有していてもよい。このような他の重合体としては、特に限定されないが、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体、(スチレン-ブタジエン)ランダム共重合体、(スチレン-イソプレン)ランダム共重合体などの芳香族ビニル-共役ジエンランダム共重合体、ポリスチレンなどの芳香族ビニル単独重合体、イソブチレン系重合体、アクリル系重合体、エステル系重合体、エーテル系重合体、ウレタン系重合体、ポリ塩化ビニルなどの室温(23℃)で弾性を有する重合体が挙げられる。他の重合体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明のホットメルト粘接着剤組成物中における、他の重合体の含有量は、特に限定されないが、テトラブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
【0068】
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、必要に応じて酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、特に限定されないが、たとえば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系化合物;ジラウリルチオプロピオネートなどのチオジカルボキシレートエステル類;トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどの亜燐酸塩類;などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、テトラブロック共重合体100重量部に対し、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは0.5~5重量部である。なお、酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
また、本発明のホットメルト粘接着剤組成物には、さらに、熱安定剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光重合開始剤、充填剤など、その他の配合剤を添加することができる。なお、本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、溶剤を含まない、無溶剤の組成物であることが好ましい。
【0070】
本発明のホットメルト粘接着剤組成物を製造するに際して、各成分を混合する方法は特に限定されず、たとえば、それぞれの成分を溶剤に溶解し均一に混合した後、溶剤を加熱などにより除去する方法、各成分をニーダーや押出機、垂直またはサイドアーム型インペラ等の攪拌機などで溶融混合する方法を挙げることができる。混合をより効率的に行う観点からは、これらの方法のなかでも溶融混合が好適である。なお、溶融混合を行う際の温度は、特に限定されるものではないが、通常100~200℃の範囲である。
【0071】
本発明のホットメルト粘接着剤組成物は、上述した本発明のテトラブロック共重合体を含有するものであるため、平滑紙のみならず、粗面紙に対しても、高い保持力を有するものである。そのため、このような特性を活かし、粘着テープの粘接着剤として、とりわけ、再生紙を含有する被着体(たとえば、再生紙を含有する、ダンボールなどの板紙箱)用の梱包用テープの粘接着剤として好適に用いることができる。特に、再生紙を含有する被着体、とりわけ、50重量%以上と再生紙を比較的多く含有する被着体は、その表面が粗面化された状態となっており、通常の平滑紙と比較して、粘接着が困難であるという課題が存在するところ、本発明のホットメルト粘接着剤組成物によれば、このような課題を有効に解決できるものであり、そのため、このような用途に特に好適に用いることができるものである。
【実施例
【0072】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
各種の測定については、以下の方法に従って行った。
【0073】
〔重量平均分子量〕
流速0.35ml/分のテトラヒドロフランをキャリアとする高速液体クロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。装置は、東ソー社製HLC8220、カラムは昭和電工社製Shodex KF-404HQを3本連結したもの(カラム温度40℃)、検出器は示差屈折計および紫外検出器を用い、分子量の較正はポリマーラボラトリー社製の標準ポリスチレン(500から300万)の12点で実施した。
なお、芳香族ビニルブロック(A1)の重量平均分子量Mw(A1)、共役ジエンブロック(B1)の重量平均分子量Mw(B1)、芳香族ビニルブロック(A2)の重量平均分子量Mw(A2)、および、共役ジエンブロック(B2)の重量平均分子量Mw(B2)については、重合反応の途中で各重合体ブロック鎖をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィによる測定を行い、重合体A1-B1のジブロックの重量平均分子量Mw(A1-B1)とMw(A1)の差を求めることでMw(B1)を、重合体A1-B1-A2のトリブロックの重量平均分子量Mw(A1-B1-A2)と重量平均分子量Mw(A1-B1)の差を求めることで重量平均分子量Mw(A2)を、重合体A1-B1-A2-B2のテトラブロックの重量平均分子量Mw(A1-B1-A2-B2)と重量平均分子量Mw(A1-B1-A2)の差を求めることで重量平均分子量Mw(B2)を測定した。
【0074】
〔スチレン単位含有量〕
上記の高速液体クロマトグラフィの測定における、示差屈折計と紫外検出器との検出強度比に基づいて求めた。なお、予め、異なるスチレン単位含有量を有する共重合体を用意し、それらを用いて、検量線を作成し、作成した検量線を用いて、スチレン単位含有量を求めた。
【0075】
〔ホットメルト粘接着剤組成物の保持力〕
評価用試料を幅10mmの粘着テープとし、被着体として平滑紙(NIST SRM 1810A)および粗面紙(Eco Kraft Wrapping Paper Roll、Paper Farm社製、再生紙比率100%)をそれぞれ使用して、PSTC-107(米国粘着テープ委員会による保持力試験法)に準じ、接着部が10×25mm、負荷が1000±5g、温度40℃にて、剥がれるまでの時間(分)により、保持力を評価した。値が大きいものほど、保持力に優れる。
【0076】
〔実施例1〕
(テトラブロック共重合体の製造)
耐圧反応器に、シクロヘキサン1.200kg、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン28ミリモルおよびスチレン0.019kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n-ブチルリチウム1.82ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら0.5時間重合した(第1重合工程)。スチレンの重合転化率は100重量%であった。引き続き50~60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン0.180kgを0.5時間にわたり連続的に添加し、イソプレンの添加を完了した後、さらに0.5時間重合した(第2重合工程)。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、50~60℃を保つように温度制御しながら、反応器にスチレン0.024kgを0.5時間にわたり連続的に添加し、スチレンの添加を完了した後、さらに0.5時間重合した(第3重合工程)。スチレンの重合転化率は100%であった。これに続いて、50~60℃を保つように温度制御しながら1時間安定させた後、反応器にイソプレン0.077kgを1時間にわたり連続的に添加し、イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した(第4重合工程)。イソプレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール25ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。以上のようにして得られた反応液100部(重合体成分を20部含有)に対し、酸化防止剤として、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.2部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85~95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、テトラブロック共重合体を含むポリマー組成物(テトラブロック共重合体の割合:82重量%、トリブロック共重合体の割合:18重量%)を得た。得られたテトラブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量およびこれらの比率、ならびに、全体の重量平均分子量を表1に示す。
【0077】
(ホットメルト粘接着剤組成物)
上記にて得られたテトラブロック共重合体を含むポリマー組成物100部を攪拌翼型混練機に投入し、これに粘着付与性樹脂(商品名「クイントンR100」、脂肪族系炭化水素樹脂、日本ゼオン社製)100部、ナフテン系プロセスオイル(商品名「ダイアナプロセスオイルNS-90S」、出光興産社製)20部、および酸化防止剤(商品名「イルガノックス1076」、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビーエーエスエフ社製)1.5部を添加して系内を窒素ガスで置換したのち、160~180℃で1時間混練することにより、ホットメルト粘接着剤組成物を得た。そして、得られたホットメルト粘接着剤組成物を、塗工することで、評価用試料とし、これを用いて、保持力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
〔実施例2〕
(テトラブロック共重合体の製造)
第1重合工程における、スチレンの使用量を0.018kgに、n-ブチルリチウムの使用量を1.88ミリモルに、第2重合工程における、イソプレンの使用量を0.176kgに、第3重合工程における、スチレンの使用量を0.030kgに、第4重合工程における、安定化時間を2時間に、イソプレンの使用量を0.076kgに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、テトラブロック共重合体を含むポリマー組成物(テトラブロック共重合体の割合:74重量%、トリブロック共重合体の割合:26重量%)を得た。得られたテトラブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量およびこれらの比率、ならびに、全体の重量平均分子量を表1に示す。
【0079】
(ホットメルト粘接着剤組成物)
上記にて得られたテトラブロック共重合体を含むポリマー組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト粘接着剤組成物を得て、得られたホットメルト粘接着剤組成物を塗工することで、評価用試料とし、これを用いて、保持力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
〔実施例3〕
(テトラブロック共重合体の製造)
第1重合工程における、スチレンの使用量を0.015kgに、n-ブチルリチウムの使用量を2.14ミリモルに、第2重合工程における、イソプレンの使用量を0.219kgに、第3重合工程における、スチレンの使用量を0.028kgに、第4重合工程における、安定化時間をとらずに、イソプレンの使用量を0.039kgに、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、テトラブロック共重合体を得た。得られたテトラブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量およびこれらの比率、ならびに、全体の重量平均分子量を表1に示す。
【0081】
(ホットメルト粘接着剤組成物)
上記にて得られたテトラブロック共重合体を使用した以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト粘接着剤組成物を得て、得られたホットメルト粘接着剤組成物を塗工することで、評価用試料とし、これを用いて、保持力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0082】
〔実施例4〕
(テトラブロック共重合体の製造)
第1重合工程における、n-ブチルリチウムの使用量を2.14ミリモルに、第2重合工程における、イソプレンの使用量を0.154kgに、第3重合工程における、スチレンの使用量を0.029kgに、第4重合工程における、イソプレンの使用量を0.098kgに、安定化時間を0.5時間に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、テトラブロック共重合体を含むポリマー組成物(テトラブロック共重合体の割合:96重量%、トリブロック共重合体の割合:4重量%)を得た。得られたテトラブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量およびこれらの比率、ならびに、全体の重量平均分子量を表1に示す。
【0083】
(ホットメルト粘接着剤組成物)
上記にて得られたテトラブロック共重合体を含むポリマー組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト粘接着剤組成物を得て、得られたホットメルト粘接着剤組成物を塗工することで、評価用試料とし、これを用いて、保持力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
〔比較例1〕
(テトラブロック共重合体の製造)
第1重合工程における、スチレンの使用量を0.021kgに、n-ブチルリチウムの使用量を2.14ミリモルに、第2重合工程における、イソプレンの使用量を0.090kgに、第3重合工程における、スチレンの使用量を0.021kgに、第4重合工程における、イソプレンの使用量を0.167kgに、それぞれ変更した以外は、実施例3と同様にして、テトラブロック共重合体を得た。得られたテトラブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量およびこれらの比率、ならびに、全体の重量平均分子量を表1に示す。
【0085】
(ホットメルト粘接着剤組成物)
上記にて得られたテトラブロック共重合体を使用した以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト粘接着剤組成物を得て、得られたホットメルト粘接着剤組成物を塗工することで、評価用試料とし、これを用いて、保持力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0086】
〔比較例2〕
(テトラブロック共重合体の製造)
第1重合工程における、スチレンの使用量を0.021kgに、n-ブチルリチウムの使用量を2.07ミリモルに、第2重合工程における、イソプレンの使用量を0.167kgに、第3重合工程における、スチレンの使用量を0.021kgに、第4重合工程における、イソプレンの使用量を0.090kgに、それぞれ変更した以外は、比較例1と同様にして、テトラブロック共重合体を得た。得られたテトラブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量およびこれらの比率、ならびに、全体の重量平均分子量を表1に示す。
【0087】
(ホットメルト粘接着剤組成物)
上記にて得られたテトラブロック共重合体を使用した以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト粘接着剤組成物を得て、得られたホットメルト粘接着剤組成物を塗工することで、評価用試料とし、これを用いて、保持力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
〔比較例3〕
(トリブロック共重合体の製造)
第1重合工程における、スチレンの使用量を0.021kgに、n-ブチルリチウムの使用量を2.00ミリモルに、第2重合工程における、イソプレンの使用量を0.257kgに、第3重合工程における、スチレンの使用量を0.021kgに、それぞれ変更するとともに、第4重合工程に係る重合を行わなかった以外は、比較例1と同様にして、トリブロック共重合体を得た。得られたトリブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量およびこれらの比率、ならびに、全体の重量平均分子量を表1に示す。
【0089】
(ホットメルト粘接着剤組成物)
上記にて得られたトリブロック共重合体を使用した以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト粘接着剤組成物を得て、得られたホットメルト粘接着剤組成物を塗工することで、評価用試料とし、これを用いて、保持力の評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1からも確認できるように、Mw(A2)/Mw(A1)が1.2~5、Mw(A2)が12,000以上、Mw(B1)>Mw(B2)、Mw(Total)が50,000~400,000であり、芳香族ビニル単量体単位の含有量が10~30重量%であるテトラブロック共重合体およびこれを含むポリマー組成物によれば、得られるホットメルト粘接着剤組成物は、平滑紙のみならず、粗面紙に対しても、高い保持力を有するものであった(実施例1~4)。
【0092】
一方、Mw(A1)、Mw(B1)、Mw(A2)、Mw(B2)が本発明で規定する範囲外であるテトラブロック共重合体においては、得られるホットメルト粘接着剤組成物は、粗面紙に対する保持力が低くなる結果となった(比較例1,2)。
また、テトラブロック共重合体に代えて、トリブロック共重合体を使用した場合には、得られるホットメルト粘接着剤組成物は、平滑紙および粗面紙のいずれに対しても、保持力が低くなる結果となった(比較例3)。