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特許7392822通信品質を予測するシステム、装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】通信品質を予測するシステム、装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0453 20230101AFI20231129BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20231129BHJP
【FI】
H04W72/0453
H04W24/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022502349
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2020007361
(87)【国際公開番号】W WO2021171341
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】工藤 理一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 馨子
(72)【発明者】
【氏名】水野 晃平
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0207672(US,A1)
【文献】特開2008-278004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う端末の位置、姿勢、動き、制御指令、カメラ、及びセンサの情報のうちの少なくとも1つの情報を含む環境情報を生成する環境情報生成部と、
前記環境情報と、無線通信の周波数または周波数帯域幅またはその両方に対応する周波数チャネル条件における無線通信の通信品質との間の関係性を、学習して得られた複数の通信予測モデルを記憶する通信予測モデル記憶部と、
前記通信予測モデル記憶部に記憶されている複数の通信予測モデルのなかから前記端末の通信品質の予測に用いる1以上の通信予測モデルを選択し、選択した通信予測モデルを用いて、前記端末が用いる無線通信の周波数チャネル条件に対応する通信予測モデルを生成する通信予測モデル生成部と、
前記環境情報生成部の生成した環境情報を前記通信予測モデル生成部で生成された通信予測モデルに入力し、前記端末の現在又は未来の通信品質を予測する通信予測部と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記通信予測モデル記憶部は、前記通信予測モデルを、モデル精度の情報に紐づけて記憶し、
前記通信予測モデル生成部は、前記通信予測モデル記憶部に記憶されている複数の通信予測モデルのなかから、モデル精度が高くなるような通信予測モデルを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記通信予測モデル記憶部は、前記通信予測モデルの類似する周波数チャネル条件の情報をさらに記憶し、
前記通信予測モデル生成部は、前記通信予測モデル記憶部に記憶されている複数の通信予測モデルのなかから、周波数チャネル条件の類似する前記通信予測モデルを選択する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通信予測モデル記憶部は、前記通信予測モデルを前段部と後段部の2つに切り分けて記憶し、
前記通信予測モデル生成部は、通信品質を予測する周波数チャネル条件から、前記通信予測モデル記憶部に記憶されている前段部と後段部の2つの通信予測モデルを取得し、組み合わせることで通信予測モデルを生成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記通信予測モデル記憶部で記憶する前段部と後段部の通信予測モデルを生成する通信予測モデル学習部、をさらに具備し、
前記通信予測モデル学習部は、
複数の周波数チャネル条件の通信品質と環境情報を含む測定情報を用いて、前段部の通信予測モデルを学習し、
前段部で学習した複数の周波数チャネル条件よりも詳細な周波数チャネル条件で得られた通信品質及び環境情報を含む測定情報を用いて、後段の通信予測モデルを学習する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記通信予測モデル記憶部で記憶する前段部と後段部の通信予測モデルを生成する通信予測モデル学習部、をさらに具備し、
前記通信予測モデル学習部は、
任意の周波数チャネル条件に対し、用いる前段部の通信予測モデルと、後段部の通信予測モデルをあらかじめ決定し、
前記前段部の通信予測モデルは、更新係数を小さくすることを防止する設定、正則化係数を大きくすることを防止する設定、あるいは重み、バイアス又は決定木の条件を変更することを防止する設定、の少なくともいずれかが設定され、
前記後段部の通信予測モデルは、前段部の通信予測モデルと同じ又は大きい更新係数が用いられ、正則化係数を小さくするか又は用いないような設定がされ、前段部の通信予測モデルよりも学習負荷が低く設定されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
無線通信を行う端末の位置、姿勢、動き、制御指令、カメラ、及びセンサの情報のうちの少なくとも1つの情報を含む環境情報を生成する環境情報生成部と、
前記環境情報と、無線通信の周波数または周波数帯域幅またはその両方に対応する周波数チャネル条件における無線通信の通信品質との間の関係性を、学習して得られた複数の通信予測モデルを記憶する通信予測モデル記憶部と、
前記通信予測モデル記憶部に記憶されている複数の通信予測モデルのなかから前記端末の通信品質の予測に用いる1以上の通信予測モデルを選択し、選択した通信予測モデルを用いて、前記端末が用いる無線通信の周波数チャネル条件に対応する通信予測モデルを生成する通信予測モデル生成部と、
前記環境情報生成部の生成した環境情報を前記通信予測モデル生成部で生成された通信予測モデルに入力し、前記端末の現在又は未来の通信品質を予測する通信予測部と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
環境情報生成部が、無線通信を行う端末の位置、姿勢、動き、制御指令、カメラ、及びセンサの情報のうちの少なくとも1つの情報を含む環境情報を生成し、
通信予測モデル生成部が、前記環境情報と、無線通信の周波数または周波数帯域幅またはその両方に対応する周波数チャネル条件における無線通信の通信品質との間の関係性を、学習して得られた複数の通信予測モデルを参照し、前記複数の通信予測モデルのなかから前記端末の通信品質の予測に用いる1以上の通信予測モデルを選択し、選択した通信予測モデルを用いて、前記端末が用いる無線通信の周波数チャネル条件に対応する通信予測モデルを生成し、
通信予測部が、前記環境情報生成部の生成した環境情報を前記通信予測モデル生成部で生成された通信予測モデルに入力し、前記端末の現在又は未来の通信品質を予測する、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
環境情報生成部が、無線通信を行う端末の位置、姿勢、動き、制御指令、カメラ、及びセンサの情報のうちの少なくとも1つの情報を含む環境情報を生成し、
通信予測モデル生成部が、前記環境情報と、無線通信の周波数または周波数帯域幅またはその両方に対応する周波数チャネル条件における無線通信の通信品質との間の関係性を、学習して得られた複数の通信予測モデルを参照し、前記複数の通信予測モデルのなかから前記端末の通信品質の予測に用いる1以上の通信予測モデルを選択し、選択した通信予測モデルを用いて、前記端末が用いる無線通信の周波数チャネル条件に対応する通信予測モデルを生成し、
通信予測部が、前記環境情報生成部の生成した環境情報を前記通信予測モデル生成部で生成された通信予測モデルに入力し、前記端末の現在又は未来の通信品質を予測する、
ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境情報を用いた、複数の周波数チャネルを用いる無線通信品質の予測に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なデバイスがインターネットにつながるIoT(Internet of things)の実現が進んでおり、自動車やドローン、建設機械車両など様々な機器が無線により接続されつつある。無線通信規格としても標準化規格IEEE802.11で規定される無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、LTEや5Gによるセルラー通信、IoT向けのLPWA(Low Power Wide Area)通信、車通信に用いられるETC(Electronic Toll Collection System)、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)、ARIB-STD-T109など、サポートする無線規格も発展しており、今後の普及が期待されている。
【0003】
しかしながら、様々な用途で無線通信が使われる一方、サービスによっては、通信品質の要求条件を、無線通信が必ずしも満たすことができないことが問題となっている。特に通信装置が動くことにより、アンテナの指向性の向きや、伝搬環境が変わってしまい通信品質に影響を及ぼすことはこれまで避けられなかった。非特許文献1では、ロボットの基地局との距離情報を用いて、通信品質を予測している。無線LANやLTE/5Gなど広帯域通信を可能とする無線通信システムでは、基地局と端末の間での無線通信は複数の周波数チャネルの中から特定の周波数を選択して行われ、さらに周波数帯域幅も複数のオプションが存在する。全ての組み合わせの周波数チャネルに対し、通信予測モデルを生成するためには、全ての組み合わせに十分なデータで学習をする必要があり、負荷が大きい問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】C.J. Lowrance, A.P. Lauf, “An active and incremental learning framework for the online prediction of link quality in robot networks,” Engineering Applications of Artificial Intelligence, 77, pp.197-211, 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、本開示は、周波数と周波数帯域幅との組み合わせの周波数条件での無線通信に対応して、通信品質を予測可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る通信装置は、自身または通信相手の、位置/向き/速度/構成物動作/制御情報、または自身または通信相手またはそれらが接続しているネットワークでつながる機器から収集するカメラ情報/センサ情報、のうち少なくとも一つを含む環境情報を用い、通信品質との間の関係性を、周波数チャネルの利用条件に対応して学習してモデル化し、実際に通信に用いる周波数チャネルまたは通信に用いる可能性のある周波数チャネル条件に対応してモデルを選択、加工して、通信品質を予測することとした。
【0007】
本開示に係るシステムは、
無線通信を行う端末の位置、姿勢、動き、制御指令、カメラ、及びセンサの情報のうちの少なくとも1つの情報を含む環境情報を生成する環境情報生成部と、
前記環境情報と、無線通信の周波数または周波数帯域幅またはその両方に対応する周波数チャネル条件における無線通信の通信品質との間の関係性を、学習して得られた複数の通信予測モデルを記憶する通信予測モデル記憶部と、
前記通信予測モデル記憶部に記憶されている複数の通信予測モデルのなかから前記端末の通信品質の予測に用いる1以上の通信予測モデルを選択し、選択した通信予測モデルを用いて、前記端末が用いる無線通信の周波数チャネル条件に対応する通信予測モデルを生成する通信予測モデル生成部と、
前記環境情報生成部の生成した環境情報を前記通信予測モデル生成部で生成された通信予測モデルに入力し、前記端末の現在又は未来の通信品質を予測する通信予測部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、本開示に係るシステムに備わる各構成は、同じ装置に備わっていてよいし、異なる装置に備わっていてもよい。すなわち、本開示に係るシステムは、環境情報生成部、通信予測モデル記憶部、通信予測モデル生成部及び通信予測部を備える装置を含む。
【0009】
本開示に係る方法は、
環境情報生成部が、無線通信を行う端末の位置、姿勢、動き、制御指令、カメラ、及びセンサの情報のうちの少なくとも1つの情報を含む環境情報を生成し、
通信予測モデル生成部が、前記環境情報と、無線通信の周波数または周波数帯域幅またはその両方に対応する周波数チャネル条件における無線通信の通信品質との間の関係性を、学習して得られた複数の通信予測モデルを参照し、前記複数の通信予測モデルのなかから前記端末の通信品質の予測に用いる1以上の通信予測モデルを選択し、選択した通信予測モデルを用いて、前記端末が用いる無線通信の周波数チャネル条件に対応する通信予測モデルを生成し、
通信予測部が、前記環境情報生成部の生成した環境情報を前記通信予測モデル生成部で生成された通信予測モデルに入力し、前記端末の現在又は未来の通信品質を予測する。
【0010】
本開示に係る装置は、無線通信を行う端末の位置、姿勢、動き、制御指令、カメラ、及びセンサの情報のうちの少なくとも1つの情報を含む環境情報を取得し、前記環境情報と、無線通信の周波数または周波数帯域幅またはその両方に対応する周波数チャネル条件における無線通信の通信品質との間の関係性を、学習し、通信予測モデルを生成する、通信予測モデル学習部を備える。
【0011】
本開示に係るプログラムは、本開示に係る装置に備わる各機能部としてコンピュータを機能させる。また本開示に係る方法に備わる各ステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、様々な組み合わせの周波数条件での無線通信に応じて適切な通信予測モデルを用いて予測を行うことができるため、高精度な通信予測を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に係るシステムに備わる機能部の一例である。
図2】本開示に係るシステム構成の一例である。
図3】5GHz周辺の無線チャネルの分布の一例を示す。
図4】LTEの場合の周波数の利用方法の概略を示す。
図5】通信装置1が行う通信予測の概略を示す。
図6】第1の通信予測モデルから第2の通信予測モデルへの生成過程の第1例を示す。
図7】第1の通信予測モデルから第2の通信予測モデルへの生成過程の第2例を示す。
図8】第1の通信予測モデルから第2の通信予測モデルへの生成過程の第3例を示す。
図9】第1の通信予測モデルから第2の通信予測モデルへの生成過程の第4例を示す。
図10】本開示の第1の方法を示すフロー図を示す。
図11】本開示の第2の方法を示すフロー図を示す。
図12】実証実験を行った屋内環境のマップ情報を示す。
図13】スループットの予測結果の一例を示す。
図14】予測結果に対する評価の一例を示す。
図15】複数の周波数における通信予測モデルを用いて、異なる周波数条件のチャネルに対し、通信品質を予測した例を示す。
図16】種々の予測方法を用いて通信品質予測の性能を評価した結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0015】
図1は、本実施形態の通信装置1を説明する構成図である。通信装置1は、複数の周波数チャネルを用いて無線通信を行う通信部1-1を備える。通信部1-1は、通信部1-1-1から1-1-Nを備える。通信部1-1-1~1-1-Nは無線または有線によって外部と接続可能な通信部であり、少なくとも一つは無線通信システムに対応する。
【0016】
通信装置1は、
自身または通信相手またはその両方の位置、姿勢、動き、制御指令、通信部1-1-1から1-1-Nのうちいずれかを介して接続されるカメラやセンサから収集されるカメラ、及びセンサの情報、のうち、少なくとも一つ以上の情報からなる環境情報を生成する環境情報生成部1-2と、
前記環境情報と通信品質の間の関係性を記憶する通信予測モデル記憶部1-3と、
前記記憶された通信予測モデルを用いて、通信部1-1-1~1-1-Nの周波数の利用条件に応じて通信予測部1-5で用いる通信予測モデルを生成する、通信予測モデル生成部1-4と、
前記生成された通信予測モデルから、通信部1-1-1~1-1-Nが既に利用している、通信部1-1-1~1-1-Nがこれから利用する、または通信部1-1-1~1-1-Nが利用する可能性のある周波数の利用方法に適した通信予測モデルを構築し、入力される環境情報などを用いて、通信部1-1-1~1-1-Nの通信品質を予測する通信予測部1-5と、
を備える。
【0017】
通信予測モデル記憶部1-3は、通信装置1内に具備される必要はなく、通信部1-1-1~Nのいずれかを介して接続されるネットワークに存在する通信予測モデル記憶部2-3を用いてもよい。通信予測モデル記憶部1-3は、通信部2-1または通信部1-1-1~1-1-Nから、通信品質情報を取得し、前記環境情報との間の関係性を学習し、周波数条件に対して記憶することができる。
【0018】
ここで、通信品質とは、受信信号電力、信号対雑音電力比、信号対干渉雑音電力比、Received Signal Strength Indication(RSSI)、Received Signal Reference Quality(RSRQ)、パケット誤り率、到達ビット数、単位時間あたり到達ビット数、Modular Code Index、再送回数、遅延時間、これらの値の微分情報、および、これらの値から計算式を用いて算出される指標である。通信予測モデル記憶部1-3は、ここで得られる通信品質情報の一つ以上と、環境情報との関係性を周波数条件に対応して算出し、記憶する。
【0019】
通信装置1は、通信予測モデルを生成する機能を持たず、通信品質との関係性を事前に学習した結果だけを通信予測モデル記憶部1-3に記憶することもできる。例えば、通信予測モデル学習部2-6が学習を行い、通信予測モデルを生成する。通信予測モデル学習部2-6は、実際に取得した環境情報と通信品質の関係性から、通信予測モデルを生成することもできるし、計算機シミュレーションにより、仮想環境における関係性から通信予測モデルを生成してもよい。通信予測モデル学習部2-6を備える装置は、通信部2-1を用いて、通信予測モデルを通信装置1に提供する。通信装置1は、通信部1-1を用いて通信予測モデルを取得し、通信予測モデル記憶部1-3に記憶する。
【0020】
また、通信予測部1-5や、通信予測モデルが用いる環境情報は、通信装置1における環境情報生成部1-2の情報に限定されず、通信部1-1-1~Nのいずれかを介して接続されるネットワークに存在する環境情報生成部2-2を用いたり、環境情報生成部1-2と2-2を用いたりすることができる。さらに環境情報生成部2-2は複数存在してもよい。通信部2-1は通信部1-1-1~Nのいずれかと有線または無線で接続する通信機能である。
【0021】
通信装置1は、無線通信機能を少なくとも有する通信装置であり、それ自体が移動することもできるし、基地局として空間的に固定されていてもよい。構成の概念図を図2に示す。ここで、通信装置1としては、通信装置1-100、1-101、1-102の3つの例が記載されており、通信装置1-100は固定された基地局、1-101は、固定された基地局と通信する移動端末、1-102は、移動する通信装置と通信する移動端末、である。
【0022】
環境情報収集部1-2または2-2の例として、通信装置1-100に接続されたカメラ1-201及びセンサ1-202、ネットワーク2-900に接続された外部カメラ2-291及びセンサ2-292、通信装置1-101に接続されたカメラ1-211、センサ1-212及び端末情報生成機1-213、通信装置1-102に接続されたカメラ1-221、センサ1-222、端末情報生成機1-223、からなる。端末情報生成機1-213及び1-223は、通信装置1-101及び1-102の位置/向き/速度/構成物動作/制御情報/オドメトリ情報のうち少なくとも一つを含む、端末情報を生成する装置である。端末情報生成機1-213及び1-223は、センサやカメラの情報を用いて端末の状態情報を生成してもよい。
【0023】
本開示の通信装置は、通信装置1-100、1-101、1-102のいずれにも用いることができ、環境情報もいずれのカメラ/センサ/端末情報生成機からの情報を用いることもできる。通信装置1またはネットワーク2-900では、通信装置間の無線通信の通信品質と環境情報間の関係性を機械学習によりモデル化し、新たに環境情報、または環境情報と過去の通信品質情報が入力されると通信品質の予測が出力される通信予測部を実現する。この際、通信予測モデルは、周波数の利用条件により生成する。
【0024】
図3図4に無線LANとLTEにおける周波数の利用方法の概要を示す。図3は5GHz周辺の無線チャネル(5.17~5.71GHzまで)の分布を例として示す。図に示すように、無線LAN、IEEE802.11では、20から160MHzの周波数帯域幅とその位置を図の中から用いることができる。図中の台形が周波数チャネルを表している。複数の独立した通信装置が共存できるように、ここで示した周波数位置と周波数帯域幅の組み合わせでのみ用いることができる。IEEE Channel Numberで示すと、36と40ではそれぞれ20MHzの周波数帯域幅で利用することができるが、40MHzの周波数帯域幅では、36も40も同一の周波数チャネルとなる。基本となる周波数チャネルはIEEE Channel Numberにより指定され、どの周波数帯域幅で送信するかは、実際の送信環境により選択されることとなる。
【0025】
周波数や帯域幅が異なれば、通信品質が異なる可能性が生じる。そのため、前述の通信予測モデルを形成するにあたり、図3における台形ごとに通信予測モデルを形成することが理想である。しかし、図3に示すだけでも、38存在し、通信予測モデルを形成するのに十分なデータを収集するのにも大きな負荷がかかる。
【0026】
図4にLTEの場合の周波数の利用方法の概略を示す。LTEでは、通信装置に許された周波数条件の中から、基地局の指定により、特定の周波数と時間で表されるリソースブロック(RB)で下り回線または上り回線での通信が行われる。ここでは、4.5MHzの帯域があり、RBは周波数方向に25存在する例を示している。図中の四角が1RBを示しており、割り当てを行う場合、時間方向でRBを2つセットにして、1msごとで割当てが行える。図4では、基地局が、端末#1から端末#3と下り回線の通信を行う例が示されている。はじめの2msでは、9RBを端末#1,16RBを端末#2に割り当て、残りの2msは端末#3への下り回線が行われている。基地局は任意のRBを端末との通信に割り当てることができる。
【0027】
そこで、本開示は、前述のように、通信品質を厳密に予測するために、RBの割り当てに関する情報と共に、通信予測モデルを形成する。詳細に、RBの割り当てそのものに対して通信予測モデルを形成してもよいし、全体のチャネルをいくつかのグループに分けて、どのグループが使われたにより通信予測モデルを形成してもよいし、全体のチャネルに対して共通の通信予測モデルを形成したうえで、RBの割り当て方法に応じて、共通の通信予測モデルの出力から、RB割り当てにチューニングした通信予測モデルを新たに形成してもよい。帯域幅もいくつかのグループに分けたり、たとえば10RB以上かそれ以下かなど、閾値を用いて判断してもよい。
【0028】
図5は、通信装置1が行う通信品質の予測の概略を示している。通信品質予想を可能にするには、機械学習による学習フェーズ(i)と、予測フェーズ(ii)が必要となる。環境情報生成部1-2または2-2は、無線通信を行う通信装置1または通信相手またはその両方の端末情報、カメラ情報/センサ情報の少なくとも一部を含む環境情報を生成する(i―100)。カメラ情報及びセンサ情報は、映像のピクセル毎の視覚情報や深度カメラで得られる深度情報、LIDAR(LIght Detection And Ranging)の点群データ、あるいは、当該映像や点群データからディープラーニングなどによるオブジェクト認識を行った結果得られる位置やサイズや材質に関するオブジェクト情報が該当する。
【0029】
学習フェーズ(i)では、通信品質情報と環境情報との間の関係性が、機械学習によりモデル化され、端末において利用される周波数の条件に応じて第1の通信予測モデルとして記憶される。ここで、第1の通信予測モデルの学習方法としては、以下の2種類が可能となる。
【0030】
第1の通信予測モデル学習方法は、端末において利用される周波数チャネル条件毎に第1の通信予測モデルとして生成する。この時周波数チャネル条件は取りうる全ての組み合わせであってもよいし、ある周波数間隔や、帯域幅ごとに、一定数の周波数チャネル条件の数M個を生成するようにしてもよい。
【0031】
第2の通信予測モデル学習方法は、第1の通信予測モデルを、前段部の第1の前段通信予測モデルと後段部の第1の後段通信予測モデルの2つに切り分け、第1の前段通信予測モデルと第1の後段通信予測モデルにそれぞれ異なる学習条件で学習することで生成する。第1の前段通信予測モデルをより複雑な構造とし、第1の後段通信予測モデルをそれより簡易な構造とし、これによって第1の後段通信予測モデルを学習しやすくより詳細な条件に対応するように形成することができる。ここで、複雑な構造とは、入力する特徴量の多さや、ANNのニューロンの数、ANNの層の数、決定木の数、判定数、決定木の深さ、に対応するもので、複雑であるほど、一般に学習には多くのデータ量が必要となる。
【0032】
第1の前段通信予測モデルは、通信を行う周波数チャネルの広い範囲の条件に対して共通して用いることができ、第1の後段通信予測モデルはより詳細な周波数チャネルの利用条件に対応する。第1の前段通信予測モデルは、広範囲の周波数チャネル条件に対応できるため、多くの条件のデータから、学習してモデルを最適化することができ、第2の後段通信予測モデルは、モデルの複雑性が低いため、より少ないデータ量で学習を実施でき、細やかな周波数チャネルの利用条件に対応することができる。この第1の前段通信予測モデルと第1の後段通信予測モデルの組み合わせは、周波数チャネルの条件に対応して決定することができ、一つ以上の前段通信予測モデルと、1つ以上の後段通信予測モデルの組み合わせから、ある周波数チャネル条件における通信品質予測結果を得ることができる。
【0033】
学習の条件は、第1の前段通信予測モデルにおいては、学習率を小さく設定したり、出力に近い層から遠くなるほど学習率を小さく設定したり、一部またはすべての重みやバイアスや決定木の判定値を更新しないように設定したり、正則化係数を設定したりすることができる。第1の後段通信予測モデルでは、前段通信予測モデルに比べ、大きな学習率や、小さな正則化係数、広範囲な係数更新を実施するように設定できる。ただし、第1の後段通信予測部を後述するような第1の前段通信予測モデルの和算や重み付け和算のように簡単な線形処理部として用いる場合には、学習を行わず、あらかじめ定めた計算ルールを適用することもできる。
【0034】
いずれの場合でも、端末の利用可能な周波数チャネル情報と通信品質情報(i―102)と環境情報(i―100)の間の関係性が機械学習を用いてモデル化される(i―101)。以降、第1の通信予測モデルは第1の前段通信予測モデルと第1の後段通信予測モデルモデルを含むものとする。このモデル化は、あらかじめ取得可能な類似のモデルを用いて転移学習により生成することもできるし、i―100とi―102を逐次的に入力し、オンライン学習により更新し続けることもできる。得られた通信予測モデルは通信装置1かネットワークを介して接続されるいずれかの位置の通信予測モデル記憶部1-3に記憶される(i―103)。
【0035】
端末情報と、前記通信品質情報の間の関係性は、通信装置1が有する、または通信でつながることができる通信装置1の外部に設置した通信予測モデル学習部2-6が機械学習し、モデル化する。または、通信装置1は、あらかじめ生成された第1の通信予測モデルを通信予測モデル記憶部2-3から取得して記憶する。機械学習のアルゴリズムとしては、サポートベクターマシンや多層パーセプトロン、k近傍法、ランダムフォレストなどの機械学習アルゴリズム、ディープラーニングをはじめとする人工ニューラルネットワーク(ANN)、及びこれらを組み合わせたバギング法を用いることができる。
【0036】
次に、予測フェーズ(ii)を実施する。予測フェーズで用いられる周波数チャネルの条件が新たに生成される(ii-002)。通信予測モデル生成部は、周波数チャネル情報に基づき、第2の通信予測モデルを生成する。この時の生成方法としては、3つの方法がある(ii-001)。
【0037】
第1の生成方法は、予め生成された第1の通信予測モデルのなかから、通信品質を予測したい周波数チャネルの条件から、第1の通信予測モデルを選択し、第2の通信予測モデルとして利用する。全ての周波数条件に対応する第1の通信予測モデルが用意されていない場合は、予め生成された通信予測モデルのなかから、周波数位置と周波数帯域幅の条件が最も近い通信予測モデルを選択する。この場合、あらかじめ、最も近い条件の判定方法を定める。例えば利用する周波数領域の中心位置のずれが最も小さいものを優先し、同じ周波数距離で、帯域幅が異なる場合は、その中から、帯域幅が同じものを選択し、周波数幅が同じものがなければ、周波数帯域幅がより大きく、帯域幅のずれが小さいものを選び、該当がなければ、周波数帯域幅が小さく、帯域幅のずれが小さいものを選ぶ、などとルールを定めることができる。帯域幅が異なる周波数チャネルを選択した場合には、後述する予測結果の補正フィルタを併用することができる。
【0038】
第2と第3の生成方法は、前記第2のモデル学習方法に対応する。
第2の生成方法は、予め生成された第1の前段通信予測モデルのなかから、複数選択し、出力を平均化したり、第1の後段通信予測モデルとして定義された重みづけを行った和算をしたりして、第1の後段通信予測モデルとして定義された機械学習モデルを用い、通信品質を予測する。第1の前段通信予測モデルの選び方としては、周波数が最も近い2つのモデルを選択したり、利用する広い周波数帯域内に存在する、それより狭い周波数帯域幅の複数の周波数チャネルのモデルを選択したりすることができる。第2の後段通信予測モデルは、必ずしも十分なデータで学習されている必要はなく、平均化処理や、周波数の近さに対応した重みづけを定義する、などあらかじめ周波数条件に応じて演算式を記憶してもよい。
第3の生成方法は、1つの第1の前段通信予測モデルと1つの第1の後段通信予測モデルをそれぞれ選択し、第2の通信予測モデルとする。
【0039】
予測フェーズでは、学習フェーズと同様に環境情報を生成する(ii―100)。このとき、過去の通信品質情報を利用できる場合は、過去の通信品質情報を環境情報として入力することもできる(図中のii―100の下の点線ブロック)。通信予測部1-5は入力されたii―100を用い、生成された周波数チャネル情報に対する第2の通信予測モデル(ii-001)から、機械学習により通信品質を予測する(ii―102)。
【0040】
また、通信予測部は、具体的な指標を出力するのではなく、通信品質にかかわる特定のイベントが発生するかを判定してもよい。例えば、ユーザ体感に悪影響を及ぼす特定の条件を検出することができる。あらかじめ定めた通信品質の指標(時間当たりのビット数、時間と周波数あたりのビット数、パケットロス、パケットロス率、RSSI低下、RSRQ低下、パケット送信レート、これらのパラメータが平常時からの変化量、及び、これら複数のパラメータから抽出される特徴量)があらかじめ定めた条件を満たしたときとすることができる。また、このようなイベントを、環境情報の変化による通信品質低下とカテゴライズされた事象と定義し、これを分類するように機械学習を分類アルゴリズムとして用いてもよいし、通信品質を表す数値を予測する回帰アルゴリズムとして用いてもよい。
【0041】
図6から図9に、第1の通信予測モデルからどのように実際に用いる第2の通信予測モデルを生成するかを示す。図6は、通信予測モデル記憶部で記憶する第1の通信予測モデルから一つを選択して、通信品質を予測する。通信予測モデル記憶部は、周波数条件に対応して、M個(Mは1以上の整数)の環境情報を入力情報として、通信品質情報を出力する通信予測モデルを記憶する。通信予測モデル生成部は、周波数が近いもの、あらかじめ関係性が高いとわかっているチャネル、通信予測モデルを生成したタイミングが新しいもの、通信予測モデルを学習するために用いたデータ量が多いもの、など、事前情報を用いて、通信予測モデル記憶部から、第1の通信予測モデルを選択する。図に示されるように、出力される通信品質は複数でもよいし、一つでもよい。
【0042】
図7は、通信予測モデル生成部において、通信予測モデル記憶部の複数の通信予測モデルの出力結果を平均化する。選択の仕方は、周波数的な距離が近いものを選択したり、学習に用いたデータ量が大きいものを選択したり、学習に用いたデータの時間が新しいものを選択したり、これら周波数的な関係性や学習情報をもとにあらかじめ定めた計算式により選択したり、重みづけを行って足し合わせたり、することができる。学習により、足し合わせの重みを最適化する場合は、図7に記載したように後段の平均化処理は第1の後段通信予測モデルとみなすことができる。この場合は、当該周波数チャネル条件における測定データを用い、第1の前段通信予測モデルの出力に乗算する重みを学習し、足し合わせ方を当該周波数チャネル条件に対し最適化することができる。
【0043】
図8は、複数の第1の前段通信予測モデルの出力結果を第1の後段通信予測モデルに入力して、得られる出力を通信品質の予測結果として用いる構成を示す。ある周波数チャネル条件に対して、どの前段通信予測モデルと、どの後段通信予測モデルを用いるか、あらかじめ設定し、通信予測モデル学習部は、設定された組み合わせを用いて、通信予測モデルを訓練する。ある周波数チャネル条件に対して選択する前段通信予測モデルと後段通信予測モデルは、周波数チャネル条件から決定できる。
【0044】
例えば、無線LANによる周波数チャネル条件であれば、40MHzや、80MHzなどの広帯域チャネルによる通信品質を予測したい場合に、当該チャネルに含まれるより狭い周波数帯域幅のチャネル(20MHzや40MHz)に対して学習された複数の第1の前段通信予測モデルを選択し、後段通信予測モデルは、当該40MHzや80MHzの周波数チャネル固有の通信予測モデルを利用することができる。LTEでも同様に、広帯域のRBによる通信をしたい場合に、当該RBに含まれるより小さい単位でのRBで学習した複数の第1の通信予測モデルを選択し、後段通信予測モデルはこれから実際に通信を行うRB条件固有の第1の後段通信予測モデルを用いることができる。または、無線LANやLTEにおいて、一定の周波数範囲の単位周波数帯域幅の周波数チャネルに対して共通の第1の前段通信予測モデル、を学習し、予測を行う周波数に近い複数の第1の前段通信予測モデルを選択し、第1の後段通信予測モデルは、周波数チャネル固有の通信モデルとして学習されたものを用いる、ことができる。また、第1の後段通信予測モデルは、周波数チャネルに対して固有のものとするのではなく、第1の前段通信予測モデルより詳細な周波数チャネル条件に対応させ、複数の周波数チャネルで共通としてもよい。
【0045】
第1の後段通信予測モデルは通信予測モデル記憶部が有する第1の前段通信予測モデルより、学習負荷の低い通信予測モデルとすることで、少ないデータ量からモデル構築することができる。学習負荷が低いとは、例えば、決定木においては、入力する特徴量の数が小さく、決定木の深さを小さくしたり、ランダムフォレストにおいては、入力する特徴量の数が小さく、決定木の深さを小さくしたり、用いる木の数を小さくしたり、することに対応し、ニューラルネットワークにおいても同様に、入力する特徴量の数を小さく、層の数を小さく、層を構成するノードの数を小さく設定することができることに対応する。線形回帰などアルゴリズムそのものが簡易な機械学習を第1の後段通信予測モデルとして用いることでも学習負荷を低減できる。
【0046】
図9は、一つの第1の前段通信予測モデルの出力結果を第1の後段通信予測モデルに入力して、得られる出力を通信品質の予測結果として用いる構成を示す。ある周波数チャネル条件に対して、どの前段通信予測モデルと、どの後段通信予測モデルを用いるか、あらかじめ設定し、通信予測モデル学習部は、設定された組み合わせを用いて、通信予測モデルを訓練する。第1の前段通信予測モデルの対応する周波数チャネル条件は広範囲に設定し、第1の後段通信予測モデルの対応する周波数チャネル条件はより詳細な範囲にしたり、個別の周波数チャネルにより独立に設定するようにしたりできる。
【0047】
図8と同様に、第1の後段通信予測モデルは通信予測モデル記憶部が有する第1の前段通信予測モデルより、学習負荷の低い通信予測モデルとすることで、少ないデータ量からモデル構築することができる。学習負荷が低いとは、例えば、決定木においては、入力する特徴量の数が小さく、決定木の深さを小さくしたり、ランダムフォレストにおいては、入力する特徴量の数が小さく、決定木の深さを小さくしたり、用いる木の数を小さくしたり、することに対応し、ニューラルネットワークにおいても同様に、入力する特徴量の数を小さく、層の数を小さく、層を構成するノードの数を小さく設定することができることに対応する。線形回帰などアルゴリズムそのものが簡易な機械学習を第1の後段通信予測モデルとして用いることでも学習負荷を低減できる。
【0048】
また、図6から図9では、説明のため特定の構成のANNのような記載をしているが、前述のいかなる機械学習のアルゴリズムでも代用できる。
【0049】
図10図11に本開示の方法を示すフロー図を示す。図10のフロー図を説明する。本開示では、まず機械学習により、周波数条件に対応する第1の通信予測モデルを生成し、通信予測モデル記憶部に記憶する(Step.i1)。通信装置1が通信を行い、ある周波数条件に対応する通信品質を予測したい場合、当該周波数条件に対応して通信予測モデル記憶部に記憶された第1の通信予測モデルを用い、第2の通信予測モデルを生成して抽出する(Step.1)。同時に収集できる環境情報を生成する(Step.ii1)。そして、Step.1で生成された通信予測モデルを用いて、当該周波数チャネル及び環境情報に対応する通信品質を予測する(Step.ii2)。ここで、Step.ii1において、過去の通信品質情報を環境情報に用いてもよい。又、通信予測モデルの生成は前述の3つの生成方法を用いることができ、当該周波数条件と同じ通信予測モデルを選択したり、近い周波数の通信予測モデルを選択したり、複数の通信予測モデルから新たな通信予測モデルを生成したりすることができる。
【0050】
図11のフローでは、Step.i1の周波数チャネルに対応する通信予測モデルを生成する際に、第1の通信予測モデルの精度に関するモデル精度の情報も生成する(Step.i1)。モデル精度の情報は、例えば、モデルを生成する際に用いたデータ量、モデルを生成またはアップデートした時間からの経過時間、モデル生成時に評価したモデルのばらつき、の任意の組み合わせを含む。実際の通信システムでは、必ずしも十分な量のデータが得られる保証はなく、限られたデータ量、もしくは限られた周波数に対するデータを用いてモデル構築する必要がある場合が想定できる。想定外の干渉などにより、モデルの品質が低下することが考えられるため、生成されたモデルの精度を別途評価することもできる。例えば、周波数的なずれをモデル精度に変換する変換器を有し、周波数ずれとモデルに対し個別に評価したモデル精度を比較し、モデル精度が最も高くなると考えられる一つ以上のモデルを選択して通信予測部で用いる通信予測モデルを生成することができる(Step.1)。または、後述する実験の例で示すように、環境によって、周波数に対するモデルの類似性は特徴的な分布をとることがあるため、当該利用環境によって、周波数間のモデルの類似性から、モデル精度を評価することもできる。同時に収集できる環境情報を生成し(Step.ii1)、生成された通信予測モデルを用いて、当該周波数チャネルに対応する通信品質を予測する(Step.ii2)。
【0051】
具体的に、無線LANとLTEの場合において、フローの具体例を示す。無線LANにおいては、20MHzを基本とするチャネル構成をしているため、図5のi―103の周波数条件に対応した通信予測モデルは、20MHzのチャネルごとに生成する。必ずしも全てのチャネルに十分な計測時間で訓練を行った通信予測モデルが生成できるわけではないため、通信予測モデルの精度はばらつくと考える。これから使う周波数条件が図5のii-002で決定されると、当該周波数に近い20MHzチャネルに対応する通信予測モデルを選択したり、複数の20MHzチャネルの通信予測モデルを選択して、予測結果を平均化して用いることもできる。または、このとき通信予測モデルが、受信信号電力、信号対雑音電力比、信号対干渉雑音電力比、Received Signal Strength Indication(RSSI)、Received Signal Reference Quality(RSRQ)、パケット誤り率、到達ビット数、単位時間あたり到達ビット数、Modular Code Index、再送回数、遅延時間、これらの値の微分情報、および、これらの値から計算式を用いて算出される指標のうち、複数を出力するように生成し、それぞれの通信予測モデルから得られる複数の出力に対し、機械学習により当該周波数条件の通信品質との間の関係性を学習して得られる第2の通信予測モデルを用い、複数の通信予測モデルとその出力結果を用いる第2の通信予測モデルから、通信品質を予測してもよい。
【0052】
または、無線LANにおいて、一定の周波数ごとに、第1の前段通信予測モデルを用意し、より細かい周波数ごとに、第1の後段通信予測モデルを用意してもよい。例えば、無線LANの20MHzのチャネルを8個ずつグループを形成し、5.15GHz~5.25GHz、5.25GHz~5.35GHz、5.49GHz~5.57GHz、5.57GHz~5.65GHz、5.65GHz~5.73GHzなどとしてそれぞれ第1の前段通信予測モデルA~Eを用意し、個々の20MHzチャネル、40MHz、80MHzのチャネルに対してはそれぞれ第1の後段通信予測モデルを用意し、学習・予測を行うようにすることもできる。または、近くのグループの複数の第1の前段通信予測モデルの出力と、第1の後段通信予測モデルを用いてもよい。
【0053】
LTEにおいては、前述の通り、リソースブロックによって割り当てが行われるため、たとえば、20RB(4.5MHz)ごとなど、ある周波数グループごとに通信予測モデルを生成し、実際に通信を行う際に用いるRBの周波数条件が近いものを選択することができる。複数の周波数グループにまたがる場合には、複数の通信予測モデルを選択し、その出力を平均化してもよい。また、各周波数グループの通信予測モデルが複数の通信品質に関する指標を出力するようにし、これを用いて機械学習により第2の通信予測モデルを生成してもよい。この場合、複数の周波数グループの通信予測モデルと、第2の通信予測モデルから、通信品質を予測してもよい。
【0054】
または、LTEにおいて、一定の周波数ごとに、第1の前段通信予測モデルを用意し、より細かい周波数ごとに、第1の後段通信予測モデルを用意してもよい。例えば、全帯域幅で200MHzのシステムである場合に、低い前半の100MHzの帯域に、第1の前段通信予測モデルAを用意し、後半の100MHzの帯域に第1の通信予測モデルBを用意し、この100MHz内の通信は全て対応する第1の前段通信予測モデルAまたはBを用いて学習または予測を行う。第1の後段通信予測モデルはより細かいRBに対応させ、5MHz、10MHz、などの一定間隔のRBと、周波数位置に対してそれぞれ第1の後段通信予測モデルを用意し、学習または予測を実施することができる。または、近くのグループの複数の第1の前段通信予測モデルの出力と、第1の後段通信予測モデルを用いてもよい。
【0055】
本開示の効果を実証するために行った実験とその結果を、図12から図16を用いて説明する。実証実験に用いた通信装置1は、LIDARを搭載した自律移動ロボットである。通信装置1は、自己位置情報、向き情報、速度情報、及び制御情報を端末情報として収集できる。自己位置は、オドメトリとLIDARの測定結果から、Robot OSのAMCL(Adaptive Monte Carlo Localization)により計算される。無線通信は無線LAN(IEEE802.11ac)を用いており、0.2秒間に到来するビット量をスループットとして計測した。以下、ロボットである通信装置1から得られる、位置(X軸、Y軸)、向き、オドメトリ(X軸上の速度、Y軸上の速度、回転速度)、過去のスループット(現在から過去2秒まで)を用いて、1秒後のスループットを予測した結果を示す。スループットは0.2秒ごとに計測し、位置、向き、オドメトリは0.1秒ごとに出力した。予測に用いる際には、位置、向き、オドメトリの情報を0.2秒毎に平均処理を行い、誤差を低減した。
【0056】
図12は、実証実験を行った屋内環境のマップ情報である。当該マップ情報は、通信装置1が移動した移動経路、ならびに通信装置1が無線通信を行う外部の基地局の位置が含まれる。移動端末である通信装置1は、11個設定されたゴールg01~g11をその都度ランダムに選択し、ゴール間を運行する。ここでは、通信品質情報として、2秒間におけるデータ転送速度(スループット)を用いた。
【0057】
図13に無線LANのIEEE Channel No.においてチャネル136で通信を行う通信装置1が、20MHzずれたチャネル140のデータで生成した、通信予測モデルを用いて、2秒後のスループットを予測した結果を示す。図13から図15では、通信予測モデルはランダムフォレスト回帰により形成し、決定木の数を500、決定木の葉の深さへの制限は与えなかった。環境情報として、位置(X軸、Y軸)、向き、オドメトリ(X軸上の速度、Y軸上の速度、回転速度)、過去のスループット(現在から過去2秒まで)を用いている。横軸は時間、縦軸はスループットであり、Tが予測した結果、Tが実測値である。両者が重なる場合、予測が完全に一致することを示す。異なる周波数で生成した通信予測モデルを用いているにもかかわらず、2秒後のスループットが高精度に予測できることが確認できる。
【0058】
図14は、図13のように予測したスループットの予測値と実測値の差の絶対値を推定誤差として定義して計測し、推定誤差の中央値が、通信予測モデルを生成したチャネルと、通信予測モデルを用いるチャネルの間の周波数ずれの大きさに対してどのように分布するか評価した結果である。環境情報として、位置(X軸、Y軸)、向き、オドメトリ(X軸上の速度、Y軸上の速度、回転速度)を用いて通信予測モデルを生成した場合(ME)と、過去のスループット(現在から過去2秒まで)を用いて通信予測モデルを生成した場合(MT)に分け、それぞれプロットしている。図14は20MHzの帯域幅の評価結果となっている。
【0059】
図14では、IEEE Channel No.に対応すると、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140においてデータを生成し、チャネル100で生成した通信予測モデルをチャネル100から140の通信予測に用いた場合と、チャネル140で生成した通信予測モデルをチャネル140から100に適用した場合の結果を平均化し、チャネル間の周波数ずれに対する推定誤差の中央値をプロットしている。位置、向き、オドメトリからなる環境情報から予測している結果のほうが過去のスループット情報から予測するより誤差が小さい。位置、向き、オドメトリ情報から予測する場合、モデルを適用するチャネルの周波数ずれに対応して推定誤差は周波数差が緩やかに大きくなることが確認できる。また、この環境では180MHzずれで極小値があるなど、利用環境により特徴的な関係があることがわかる。本検証実験では、一週間以上の時間を空けて同様の実験を行い、モデルの類似性傾向が変わらないことを確認している。通信予測を行う空間が、あらかじめ既知である場合に、この周波数に対する類似性のデータをあらかじめ取得しておくことで、より精度の高いモデルを選択することができる。例えば、通信予測モデル記憶部が通信予測モデルの類似する周波数及び周波数帯域幅の情報をさらに記憶し、通信予測モデル生成部が当該情報を用いる。この場合、通信予測モデル生成部は、異なる周波数、異なる周波数幅、異なるチャネルで、同じ通信予測モデルを用いる場合がある。
【0060】
この傾向は電波伝搬の周波数依存性によって生じていると考えられ、実際の環境や端末の動作により、周波数間の類似性は異なると考えられる。このため、場所や端末の移動条件ごとに類似性を評価することもでき、それら条件により、用いるモデルの選択方法を変更することもできる。このように得られる周波数に対する通信予測モデルの類似性は、対象となる通信機器の送受の環境条件に対して得られるものと考えられる。具体的には、図14の関係性は、図12の実験環境における移動端末の移動経路に対して得られるものであり、異なる場所や異なる移動条件、異なる基地局位置に対しては異なる類似性が得られると考えられる。
【0061】
このため、基地局の位置、移動端末の位置・向き・速度に対する条件、の少なくとも一つを用いて得られる環境条件を一つ以上定義し、それぞれの環境条件に対して、周波数条件間の通信予測モデルの類似性を評価し、通信予測モデル生成部が通信予測モデル記憶部のモデルを用いる方法を、環境条件ごとに決定することで、通信品質の予測精度を向上できると考えられる。例えば、通信予測モデル生成部は、端末の位置によって、通信予測モデル記憶部から呼び出す第1の通信予測モデルの選択方法を変更することができる。
【0062】
図15に、複数の周波数における通信予測モデルを用いて、異なる周波数条件のチャネルに対し、通信品質を予測した例を示す。ここでの結果は、図8のように通信予測モデル生成部において、複数の第1の前段通信予測モデルと第1の後段通信予測モデルから、第2の通信予測モデルを構築して、ある周波数条件における通信品質を予測することを実証したものである。
【0063】
具体的には、チャネル100とチャネル104の2つの20MHz帯域のチャネルで生成した第1の前段通信予測モデルを用い、チャネル100とチャネル104の周波数に構成される40MHz帯域のチャネルの通信品質を予測させた結果となっている。この際に、第1の前段通信予測モデルの出力が、ある時間後のスループット条件のみを出力とする場合を条件2、ある時間後のスループットとRSSIを出力する場合を条件3としている。
【0064】
条件1は40MHzのチャネルで移動端末の、位置(X座標とY座標)、向き(前述のkzとw)、速度(X座標速度、Y座標速度、回転速度)の情報とスループット情報を環境情報として通信予測モデルを生成し、通信予測を行った場合の、実際に測定されたスループットと、1秒前の情報から予測した結果の差の絶対値の分布である。条件1の方法では、全ての周波数チャネル条件に独立に通信予測モデルを記憶する必要があり、学習コストが大きい。これに対し、チャネル100とチャネル104の20MHz帯域に対して生成した通信予測モデルを用い、出力された2つのスループットの結果と40MHzで測定されたスループットの間の関係を、通信予測モデル生成部でさらに学習して第1の後段通信予測モデルを生成し、チャネル100とチャネル104の20MHz帯域の通信予測モデルと、第2の通信予測モデルを利用して出力したスループットの予測値が条件2として点線で示されている。
【0065】
また、通信予測モデルがスループットとRSSIの予測値をそれぞれ出力し、2つの通信予測モデルから4つの入力信号を用い、ランダムフォレストにより第2の通信予測モデルを生成し、予測した結果を条件3として破線で表している。ランダムフォレストは、20MHzの通信予測モデルの出力値を増やしたほうが、40MHzで直接通信予測モデルを生成した場合の性能に近づくことが確認できる。このように複数の第1の前段通信予測モデルを用いることで、帯域幅などの条件に対し、独立した通信予測モデルを構築することなく、通信品質を予測できる。
【0066】
また、図16に、第1の前段通信予測モデルとして隠れ層16、過去10プロットの入力を行うLSTMブロックを用い、第1の後段通信予測モデルとして3層の全結合層(入力16・出力8の層、入力8・出力8の層、入力8・出力1の層)を用いた場合の通信品質予測の性能を評価した結果を示す。図3の112チャネルの20MHz帯域幅の1秒後のスループットを予測するモデルを生成し、予測した結果となっている。入力した特徴量は、位置(X座標とY座標)、向き(前述のkzとw)、速度(X座標速度、Y座標速度、回転速度)の情報とスループット情報の8つである。
【0067】
条件1~3は、それぞれ線形回帰、決定木回帰、ランダムフォレスト回帰による予測と実際のスループットのずれ、条件4が第1の前段通信予測モデルと第1の後段通信予測モデルを用いた結果である。条件3のランダムフォレストは図15までと同様、500の決定木によるモデルを用いた。条件4では、第1の前段通信予測モデルとして隠れ層16層のLSTMブロックにより、図3の周波数チャネル100~120chで共通の学習済みブロックとしてあらかじめ記憶されており、この前段通信予測モデルは、予測対象となる120chの実測データは全く用いず学習し、120chの通信予測にあたって、重みやバイアスの更新を行わず、完全に固定として扱った。第1の後段通信予測モデルについては、条件1~3と同様に学習を実施し、120chの通信予測用のモデルとして、第1の前段通信予測モデルと組み合わせて利用した。
【0068】
図16の横軸はスループットの平均値で規格化された指標におけるずれの絶対値である。条件4による構成を用いることで、3層で構成される小さな後段通信予測モデルを学習するだけで、500もの決定木によりアンサンブル平均したランダムフォレスト回帰の特性を上回る予測性能が得られることが確認できる。
【0069】
(他の実施形態)
上述した実施形態における通信装置1をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各装置が有する構成要素それぞれを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
【0070】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した構成要素の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した構成要素をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
【0071】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0072】
本開示によれば、通信装置または通信装置の通信相手またはその両方で生成される、位置/向き/速度/構成物動作/制御情報、通信装置または通信装置の通信相手またはそれらが接続されたネットワークを介してつながる機器のカメラ情報/センサ情報の少なくとも一部を含む環境情報を用い、外部の通信装置との間で計測される通信品質との間の関係性を、周波数チャネルの利用条件によりモデル化し、通信品質を予測する。周波数チャネルは、周波数と周波数帯域の点で多数の候補が存在しうる。それぞれの周波数チャネルに対して、予測モデルを構築する十分なデータが存在しない場合や、データは存在するが、時間的な変動などの要因のため、学習に有益なデータが十分に存在しないような場合、複数の周波数チャネルに利用可能な代表的な予測モデルを用いたり、予測モデルが存在する他の周波数条件のチャネルにおける予測モデルを用いたり、代表的な予測モデルに転移学習を利用した予測モデルを用いることにより、通信品質の予測精度を高めることができる。従って、本開示は、複数の周波数、および周波数帯域の利用方法がある無線システムにおける通信品質の変動を予測できる通信装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
1、1-100、1-101、1-102:通信装置
1-0:装置ネットワーク
1-1-1、1-1-N、2-1:通信部
1-2、2-2:環境情報生成部
1-32-3:通信予測モデル記憶部
1-4、2-4:通信予測モデル生成部
2-6:通信予測モデル学習部
1-5:通信予測部
1-201、1-211、1-221、2-201、2-291:カメラ
1-202、1-212、1-222、2-292:センサ
2-900:センサ
1-213、1-223:端末情報生成機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16