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特許7392863制御装置、制御方法、プログラム、及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラム、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/42 20220101AFI20231129BHJP
【FI】
H04L45/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022545181
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2020032487
(87)【国際公開番号】W WO2022044235
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】天坂 光男
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓哉
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/010824(WO,A1)
【文献】佐藤 卓哉、他3名,将来のデジタル社会を支えるネットワークの変革-ネットワーク基盤編- 幅広い要件に迅速にこたえるネット,NTT技術ジャーナル 第31巻 第4号,日本,一般社団法人電気通信協会,2019年04月01日,pp.20-21
【文献】中村 孝幸、他4名,E2EスライスのD-Planeアーキテクチャと実装方法の検討,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.120 No.4,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2020年04月09日,pp.51-56
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置であって、
SDN(Software Defined Networking)においてパケットを中継する中継装置に対する設定を行う情報処理装置から受信した要求を、前記中継装置に転送する制御部を有し、
前記制御部は、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下である場合、前記情報処理装置からの各要求を前記中継装置に逐次転送し、当該各要求に対する前記中継装置からの各応答を逐次前記情報処理装置に転送し、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下でない場合、前記情報処理装置からの複数の要求がまとめられた要求を前記中継装置に転送し、当該複数の要求のそれぞれに対する応答がまとめられた応答を前記情報処理装置に転送する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下でない場合、前記情報処理装置からの複数の要求のうち、要求の宛先及び優先度の少なくとも一方が一致する複数の要求をまとめて前記中継装置に転送する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下でない場合、前記情報処理装置からの複数の要求のうち、要求の宛先の一部が一致する複数の要求の宛先をマルチキャストの宛先に変換し、まとめて前記中継装置に転送する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
制御装置が、
SDN(Software Defined Networking)においてパケットを中継する中継装置に対する設定を行う情報処理装置から受信した要求を、前記中継装置に転送する処理を実行し、
前記転送する処理では、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下である場合、前記情報処理装置からの各要求を前記中継装置に逐次転送し、当該各要求に対する前記中継装置からの各応答を逐次前記情報処理装置に転送し、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下でない場合、前記情報処理装置からの複数の要求をまとめて前記中継装置に転送し、当該複数の要求のそれぞれに対する処理結果を示す情報を含む応答を前記情報処理装置に転送する、
制御方法。
【請求項5】
制御装置に、
SDN(Software Defined Networking)においてパケットを中継する中継装置に対する設定を行う情報処理装置から受信した要求を、前記中継装置に転送する処理を実行させ、
前記転送する処理では、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下である場合、前記情報処理装置からの各要求を前記中継装置に逐次転送し、当該各要求に対する前記中継装置からの各応答を逐次前記情報処理装置に転送し、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下でない場合、前記情報処理装置からの複数の要求をまとめて前記中継装置に転送し、当該複数の要求のそれぞれに対する処理結果を示す情報を含む応答を前記情報処理装置に転送する、
プログラム。
【請求項6】
SDN(Software Defined Networking)においてパケットを中継する中継装置と、前記中継装置に対する設定を行う情報処理装置と、前記情報処理装置から受信した要求を、前記中継装置に転送する制御装置を有する通信システムであって、
前記制御装置は、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下である場合、前記情報処理装置からの各要求を前記中継装置に逐次転送し、当該各要求に対する前記中継装置からの各応答を逐次前記情報処理装置に転送し、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下でない場合、前記情報処理装置からの複数の要求をまとめて前記中継装置に転送し、当該複数の要求のそれぞれに対する処理結果を示す情報を含む応答を前記情報処理装置に転送する、
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御方法、プログラム、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、柔軟にネットワーク資源の設定及び管理が可能なSDN(Software Defined Networking)技術の導入に向けた議論が進められている。SDNでは制御とデータ転送を分離し、制御を一元化することで、設備コストと運用コストを削減することができる。エンドツーエンドのネットワークを効率的に構築及び制御する方法として、専用ヘッダを用いたスライス制御の方式が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
非特許文献1に開示された技術では、エッジのSLG(Slice Gateway)に対応するコントローラは、UE(User Equipment)の追加、変更、及び削除に連動して制御を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】中村他, "効率的なE2EネットワークスライスのD-Plane 構成方式の提案," 2020年電子情報通信学会総合大会, B-6-52, 2020年3月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に開示された技術では、エッジのSLGに対応するコントローラは、UEの追加、変更、及び削除に連動して制御を行うため、UEを大量に接続する際、及びUEに関する設定を変更する等の際、当該コントローラに負荷が集中する。この場合、例えば、オーダーの処理漏れ等の機能障害が発生する可能性がある。
【0006】
本開示は、コントローラへの負荷が増加した場合でも適切に処理を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術によれば、
制御装置であって、
SDN(Software Defined Networking)においてパケットを中継する中継装置に対する設定を行う情報処理装置から受信した要求を、前記中継装置に転送する制御部を有し、
前記制御部は、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下である場合、前記情報処理装置からの各要求を前記中継装置に逐次転送し、当該各要求に対する前記中継装置からの各応答を逐次前記情報処理装置に転送し、
前記制御装置の処理負荷が閾値以下でない場合、前記情報処理装置からの複数の要求がまとめられた要求を前記中継装置に転送し、当該複数の要求のそれぞれに対する応答がまとめられた応答を前記情報処理装置に転送する、
制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、コントローラへの負荷が増加した場合でも適切に処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る通信システム1の構成の一例について説明する図である。
図2】実施形態に係るオーケストレータ11、及びコントローラ12の機能構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るコントローラ12の処理の一例について説明するフローチャートである。
図4】実施形態に係るコントローラ12の逐次処理の一例について説明する図である。
図5】実施形態に係るコントローラ12のバッチ処理の一例について説明する図である。
図6】実施形態に係るコントローラ12における要求の受信頻度と負荷の一例について説明する図である。
図7】実施形態に係るコントローラ12のバッチ処理の一例について説明する図である。
図8】実施形態に係るコントローラ12の構成の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本開示が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0011】
<システム構成>
図1を参照し、実施形態に係る通信システム1の構成の一例について説明する。図1は、実施形態に係る通信システム1の構成の一例について説明する図である。
【0012】
図1の例では、通信システム1は、ドメインAの通信ネットワーク10A、ドメインBの通信ネットワーク10B、及びドメインCの通信ネットワーク10C(以下で、区別する必要がない場合は、単に「通信ネットワーク10」と称する。)を有する。
【0013】
また、通信システム1は、UE(User Equipment)20A、UE20B、UE20C、及びUE20D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「UE20」と称する。)を有する。また、通信システム1は、サーバ30A、サーバ30B、サーバ30C、及びサーバ30D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「サーバ30」と称する。)を有する。なお、通信ネットワーク10、UE20、及びサーバ30の数は、図1の例に限定されない。
【0014】
UE20は、通信ネットワーク10を介して、サーバ30と通信を行う。UE20は、ユーザが利用する端末である。UE20は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、及びタブレット端末等でもよい。サーバ30は、UE20に各種のサービスを提供する情報処理装置である。
【0015】
通信ネットワーク10は、SDN(Software Defined Networking)技術が適用されたネットワークである。図1の例では、ドメインAの通信ネットワーク10Aは、オーケストレータ11A、コントローラ12A、エッジSLG13A、エッジSLG14A、及び中間SLG15Aを有している。また、ドメインBの通信ネットワーク10Bは、オーケストレータ11B、コントローラ12B、中間SLG13B、及び中間SLG14Bを有している。また、ドメインCの通信ネットワーク10Cは、オーケストレータ11C、コントローラ12C、中間SLG15C、エッジSLG13C、及びエッジSLG14Cを有している。
【0016】
以下で、各ドメインA~Cの各SLG(13A、14A、15A、13B、14B、13C、14C、及び15C)を区別する必要がない場合は、各SLGを単に「SLG13」と称する。また、各ドメインA~Cの各オーケストレータ11A~11Cを区別する必要がない場合は、各オーケストレータA~Cを単に「オーケストレータ11」と称する。また、各ドメインA~Cの各コントローラ12A~12Cを区別する必要がない場合は、各コントローラ12A~12Cを単に「コントローラ12」と称する。
【0017】
なお、コントローラ12は、「制御装置」の一例である。オーケストレータ11は、「情報処理装置」の一例である。SLG13は「中継装置」の一例である。
【0018】
オーケストレータ11は、当該オーケストレータ11が設置されるドメインの各機器の管理及び設定を行う。オーケストレータ11は、例えば、当該ドメインのコントローラ12に、当該ドメインのSLG13に対する各種の設定を指示する。
【0019】
各ドメインのコントローラ12は、当該ドメインのオーケストレータ11からの要求を受信し、当該ドメインのSLG13に転送する。これにより、コントローラ12は、オーケストレータ11からの指示に従い、SLG13に対する各種の設定を行う。
【0020】
SLG13は、コントローラ12に設定された内容(規則)に従い、各UE20等の機器ごとに、機器から送信されたパケット(データ)の転送先を決定し、決定した転送先に当該パケットを転送(中継、送信)する、SDN用の中継装置(ゲートウェイ、ルータ、スイッチ)である。
【0021】
エッジSLG13A、及びエッジSLG14Aは、収容するUEとしてUE20Aが追加、変更、及び削除された等の場合に、オーケストレータ11Aの指示によりコントローラ12Aから所定の設定(フロー)を要求されてもよい。そして、エッジSLG13Aは、例えば、UE20Aから送信されたパケットを受信した場合、当該所定の設定と、当該パケットの5タプルとに基づいてスライスIDを当該パケットに付加して中間SLGに転送してもよい。なお、5タプルとは、例えば、IPパケットにおけるソースアドレス、宛先アドレス、プロトコル、ソースポート、及び宛先ポートの情報である。
【0022】
そして、以降の中間SLG等では、当該スライスIDに基づいたSLG13間のトンネルへパケットの振分を行う。なお、トンネルは、転送優先度、及び経路冗長の有無等の転送スペック毎に予め設定されてもよい。当該パケットは、スライスを利用するサービスの要件を満たすトンネルを介してサーバ30へ転送される。
【0023】
<機能構成>
図2を参照し、実施形態に係るオーケストレータ11、及びコントローラ12の機能構成について説明する。図2は、実施形態に係るオーケストレータ11、及びコントローラ12の機能構成の一例を示す図である。
【0024】
《オーケストレータ11》
図2の例では、実施形態に係るオーケストレータ11は、管理部111、及び送受信部112を有する。これら各部は、オーケストレータ11にインストールされた1以上のプログラムと、オーケストレータ11のCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0025】
管理部111は、SLG13、及びUE20等の管理、及び設定を行う。管理部111は、例えば、特定のSLG13への所定の設定をコントローラ12に指示する。送受信部112は、コントローラ12との通信を行う。
【0026】
《コントローラ12》
図2の例では、実施形態に係るコントローラ12は、振り分け部121、リアルタイム処理部122、バッチ処理部123、及び負荷計測部124を有する。これら各部は、コントローラ12にインストールされた1以上のプログラムと、コントローラ12のCPU等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0027】
負荷計測部124は、コントローラ12の処理負荷を計測する。また、負荷計測部124は、コントローラ12により制御される各SLG13の処理負荷を計測する。
【0028】
振り分け部121は、オーケストレータ11からの要求(指示、オーダー)を、負荷計測部124により計測された負荷に応じて、リアルタイム処理部122とバッチ処理部123とのいずれか一方に振り分ける。
【0029】
リアルタイム処理部122は、振り分け部121の指示に従い、オーケストレータ11からの要求を直ちにSLG13へ転送する。また、リアルタイム処理部122は、振り分け部121の指示に従い、SLG13からの応答を直ちにオーケストレータ11へ転送する。
【0030】
バッチ処理部123は、振り分け部121の指示に従い、オーケストレータ11からの複数の要求がまとめられた要求をSLG13へ転送する。また、リアルタイム処理部122は、振り分け部121の指示に従い、SLG13からの当該複数の要求のそれぞれに対する応答が一つにまとめられた応答をオーケストレータ11へ転送する。
【0031】
<処理>
図3から図7を参照し、実施形態に係るコントローラ12の処理の一例について説明する。図3は、実施形態に係るコントローラ12の処理の一例について説明するフローチャートである。図4は、実施形態に係るコントローラ12の逐次処理の一例について説明する図である。図5は、実施形態に係るコントローラ12のバッチ処理の一例について説明する図である。図6は、実施形態に係るコントローラ12における要求の受信頻度と負荷の一例について説明する図である。図7は、実施形態に係るコントローラ12のバッチ処理の一例について説明する図である。
【0032】
以下の処理は、例えば、あるドメインのコントローラ12が当該ドメインのオーケストレータ11からの要求を受信した際に実行されてもよい。
【0033】
ステップS1において、負荷計測部124は、コントローラ12の負荷を計測する。ここで、負荷計測部124は、例えば、コントローラ12のCPU、及びメモリの使用率等を計測してもよい。また、負荷計測部124は、例えば、オーケストレータ11からの要求を特定のSLG13に対して転送する頻度を計測してもよい。
【0034】
続いて、コントローラ12の負荷計測部124は、コントローラ12の負荷(処理負荷)が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0035】
(逐次処理について)
コントローラ12の負荷が閾値以下である場合(ステップS2でYES)、振り分け部121は、オーケストレータ11からの各要求をリアルタイム処理部122により各SLG13に逐次転送(逐次処理)する(ステップS3)。ここで、振り分け部121は、オーケストレータ11からSLG13宛ての一の要求を受信すると、当該一の要求を直ちに当該SLG13へ転送する。
【0036】
続いて、振り分け部121は、当該各要求に対する各応答をリアルタイム処理部122により逐次オーケストレータ11に転送し(ステップS4)、オーケストレータ11から受信した要求に対する処理を終了する。ステップS4の処理で、振り分け部121は、SLG13からオーケストレータ11宛ての一の応答を受信すると、当該一の応答を直ちにオーケストレータ11へ転送する。ステップS3及びステップS4の処理により、オーケストレータ11により指示された設定内容が、遅滞なくSLG13に反映される。
【0037】
図4の例では、コントローラ12が、オーケストレータ11から送信された要求401Aを受信すると、ステップS3の処理により要求411AとしてSLG13に転送し、SLG13からの応答411Bを受信すると、ステップS4の処理により応答401Bとしてオーケストレータ11に転送することが示されている。
【0038】
また、同様に、コントローラ12が、オーケストレータ11から送信された要求402Aを受信すると、ステップS3の処理により要求412AとしてSLG13に転送し、SLG13からの応答412Bを受信すると、ステップS4の処理により応答402Bとしてオーケストレータ11に転送することが示されている。
【0039】
また、同様に、コントローラ12が、オーケストレータ11から送信された要求403Aを受信すると、ステップS3の処理により要求413AとしてSLG13に転送し、SLG13からの応答413Bを受信すると、ステップS4の処理により応答403Bとしてオーケストレータ11に転送することが示されている。
【0040】
(バッチ処理について)
一方、コントローラ12の負荷が閾値以下でない(閾値を超えた)場合(ステップS2でNO)、振り分け部121は、オーケストレータ11からの複数の要求の内容を含む一の要求をバッチ処理部123によりSLG13へ転送(バッチ処理)する(ステップS5)。
【0041】
なお、振り分け部121は、例えば、負荷計測部124により測定された、オーケストレータ11からの要求を特定のSLG13に対して転送する頻度が閾値を超えている場合、当該SLG13宛ての要求のみを一つにまとめさせてもよい。これにより、例えば、特定のSLG13に対する設定がビジーであることにより他のSLG13に対する設定処理に遅延が生じることを低減できる。
【0042】
(コントローラ12にて複数の要求を一つにまとめる例)
振り分け部121は、後述する図5に示すように、オーケストレータ11からの複数の要求をそれぞれ受信し、所定間隔(例えば、1分間)内に受信した複数の要求を一つにまとめた要求をバッチ処理部123に生成させてSLG13に転送させてもよい。
【0043】
この場合、振り分け部121は、例えば、複数の要求を一つにまとめて処理する旨をオーケストレータ11に通知してもよい。そして、オーケストレータ11は、各要求に対してシーケンス番号(通番)の情報を含めてコントローラ12に送信してもよい。そして、振り分け部121は、シーケンス番号と要求の内容との組のデータを複数含む一の要求を生成してもよい。
【0044】
なお、各要求に対するシーケンス番号(通番)は、コントローラ12にて付与してもよい。この場合、振り分け部121は、例えば、オーケストレータ11から受信した各要求に対し、コントローラ12で受信した日時順またはオーケストレータ11から送信された日時順にシーケンス番号(通番)をそれぞれ付与してもよい。
【0045】
振り分け部121は、オーケストレータ11からの複数の要求のうち、要求の宛先及び優先度の少なくとも一方が一致する複数の要求をまとめてSLG13に転送してもよい。この場合、振り分け部121は、例えば、オーケストレータ11からの複数の要求に含まれる要求の宛先及び優先度等の情報のうち、一致する部分の情報を重複しないように削除(統合)した一の要求を生成してもよい。この場合、例えば、第1要求に含まれる宛先の情報と第2要求に含まれる宛先の情報とが一致する場合、振り分け部121は、第2要求からは宛先の情報を削除した後、第1要求に含まれる情報と第2要求に含まれる情報とを含む一の要求を生成してもよい。これにより、例えば、コントローラ12からSLG13に転送されるデータ量を削減することができる。
【0046】
また、振り分け部121は、例えば、オーケストレータ11からの複数の要求のうち、要求の宛先の一部が一致する複数の要求の宛先を、当該複数の要求の各宛先を含むマルチキャストの宛先に変換して、SLG13に転送してもよい。これにより、例えば、コントローラ12からSLG13に転送されるパケット数を削減することができる。
【0047】
(オーケストレータ11にて複数の要求を一つにまとめる例)
振り分け部121は、後述する図7に示すように、オーケストレータ11にて複数の要求を一つにまとめさせてもよい。この場合、振り分け部121は、例えば、複数の要求を一つにまとめて処理する旨をオーケストレータ11に通知してもよい。そして、オーケストレータ11は、シーケンス番号と要求の内容との組のデータを複数含む一の要求を生成してコントローラ12に送信してもよい。
【0048】
続いて、振り分け部121は、当該複数の要求のそれぞれに対する応答がまとめられた一の応答をオーケストレータ11に転送し(ステップS6)、オーケストレータ11から受信した要求に対する処理を終了する。ここで、振り分け部121は、当該複数の要求のそれぞれに対する処理結果を示す情報を含む一の応答をオーケストレータ11へ転送する。
【0049】
(SLG13にて複数の応答を一つにまとめる例)
SLG13は、後述する図5及び図7に示すように、複数の要求が一つにまとめられた要求をコントローラ12から受信した場合、当該複数の要求のそれぞれに対する応答がまとめられた一の応答をコントローラ12に送信(返信)してもよい。この場合、SLG13は、各要求に対するシーケンス番号と、当該各要求に対する応答の内容との組のデータを複数含む一の応答を生成してもよい。
【0050】
(コントローラ12にて複数の応答を一つにまとめる例)
振り分け部121は、複数の要求のそれぞれに対する応答であって、各要求に対するシーケンス番号を含む各応答をSLG13から受信し、所定間隔(例えば、1分間)内に受信した複数の応答を一つにまとめた応答をバッチ処理部123に生成させてオーケストレータ11に転送させてもよい。この場合、振り分け部121は、各要求に対するシーケンス番号と、当該各要求に対する応答の内容との組のデータを複数含む一の応答を生成してもよい。
【0051】
なお、図5の例では、コントローラ12が、オーケストレータ11からそれぞれ異なる時点で送信された要求501~504を、ステップS5の処理で一時的に記録し、一の時点で要求511~514としてまとめてSLG13に転送することが示されている。また、コントローラ12が、要求511~514に対する各応答が一つにまとめられた応答515をSLG13から受信すると、ステップS5の処理で応答505としてオーケストレータ11に転送することが示されている。
【0052】
図7の例では、コントローラ12が、オーケストレータ11から要求701~704をまとめて受信し、要求711~714としてまとめてSLG13に転送することが示されている。また、コントローラ12が、要求711~714に対する各応答が一つにまとめられた応答715をSLG13から受信すると、ステップS5の処理で応答705としてオーケストレータ11に転送することが示されている。
【0053】
図3にて説明した処理により、図6に示すように、オーケストレータ11からの要求(オーダー)の頻度が増加するにしたがって、コントローラ12の負荷は線分611で示すように増加する。
【0054】
そして、コントローラ12の負荷が第1閾値を超えると、ステップS5及びステップS6の処理が実行されるようになるため、コントローラ12の負荷は線分612で示すように増加するため、増加速度が低下する。
【0055】
なお、コントローラ12の負荷が第1閾値よりも高い第2閾値を超えた場合、コントローラ12は、オーケストレータ11からの各要求のうち少なくとも一部の要求を廃棄してもよい。それにより、コントローラ12の負荷は線分613で示すように増加するため、増加速度がさらに低下し、コントローラ12の負荷がオーダーの処理漏れ等の機能障害等が発生する上限601を超えないようにすることができる。
【0056】
<本開示の効果>
従来技術では、例えば、UE20の追加、変更、及び削除された等により、オーケストレータ11からコントローラ12に対し、エッジSLG13へ所定の設定が指示(フローが投入)された場合に、コントローラ12に負荷が集中し、オーダーの処理漏れ、及び機能障害が発生し得る。例えば、SDNネットワークを拡大(スケール)する等のために、大量のUE20が一度に追加された等の場合に、特にこのような問題が生じると考えられる。
【0057】
上述した実施形態によれば、コントローラ12への負荷が増加した場合でも適切に処理を行うことができる。
【0058】
(その他の構成例)
図1に示すコントローラ12における各機能ブロックの機能を専用のハードウェア(LSI等)で実現してもよいし、プロセッサ(CPU、DSP等)とメモリとを備える汎用的なコンピュータと、当該コンピュータ上で動作するソフトウェアで実現してもよい。
【0059】
コンピュータとソフトウェアを用いてコントローラ12を実現する場合のコントローラ12の構成例を図8に示す。
【0060】
図8に示すように、コントローラ12は、プロセッサ101、メモリ102、補助記憶装置103、及び入出力装置104を有し、これらがバスで接続された構成を有する。
【0061】
例えば、補助記憶装置103(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に、コントローラ12の処理を実現するプログラムが格納される。コントローラ12の動作時に、当該プログラムがメモリ102に読み込まれ、プロセッサ101がメモリ102からプログラムを読み出して実行する。例えば、プロセッサ101は、当該プログラムにより、振り分け部121等の処理を実行する。
【0062】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含んでもよい。
【0063】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 通信システム
10 通信ネットワーク
11 オーケストレータ
111 管理部
112 送受信部
12 コントローラ
121 振り分け部
122 リアルタイム処理部
123 バッチ処理部
124 負荷計測部
13 SLG
20 UE
30 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8