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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/00 20060101AFI20231129BHJP
   H03L 7/08 20060101ALI20231129BHJP
   G06F 1/08 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H03K5/00 V
H03L7/08 105
G06F1/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019059399
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020161983
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小川 絢也
(72)【発明者】
【氏名】松井 克晃
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-181593(JP,A)
【文献】特開2001-345791(JP,A)
【文献】特開2004-297703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 99/00
G06F1/04-G06F1/14
H03K5/00-H03K5/26
H03K19/00-H03K19/096
H03L1/00-H03L9/00
H04L25/00-H04L25/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相同期回路の基準クロック信号に同期した入力信号を位相同期クロック信号に同期した出力信号として出力する半導体装置であって、
前記位相同期回路の位相比較器に入力される帰還信号に基づいて前記基準クロック信号に同期させて前記帰還信号の立ち下がりエッジで前記入力信号を取り込む第1のフリップフロップと、
前記第1のフリップフロップの出力を前記位相同期クロック信号に基づいて前記位相同期クロック信号の立ち上がりエッジで取り込み前記出力信号として出力する第2のフリップフロップと、
前記基準クロック信号に同期させて外部入力信号を前記基準クロック信号の立ち上がりエッジで取り込み前記入力信号として前記第1のフリップフロップに出力する第3のフリップフロップとを含み、
前記位相同期クロック信号への同期化の際のセットアップタイムが前記基準クロック信号の周期の2分の1とされ、
前記位相同期回路は、前記位相同期クロック信号を分周して前記帰還信号を生成する分周器を備えた
半導体装置。
【請求項2】
前記位相同期クロック信号への同期化の際のセットアップタイムが前記第1のフリップフロップにおけるセットアップタイムである
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記位相同期回路は、前記基準クロック信号の位相と前記帰還信号の位相とを比較する前記位相比較器、及び該位相比較器の出力に基づいて周波数が制御された前記位相同期クロック信号を出力する電圧制御発振器をさらに備える
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1のクロック信号が入力されて第2のクロック信号を出力し、分周器により前記第2のクロック信号を分周して帰還信号を生成する位相同期回路と、
前記帰還信号に基づいて前記第1のクロック信号に同期させて前記帰還信号の立ち下がりエッジで第1の信号を取り込み、第2の信号を出力する第1のフリップフロップと、
前記第2のクロック信号に基づいて前記第2のクロック信号の立ち上がりエッジで前記第2の信号を取り込み、出力信号を出力する第2のフリップフロップと、
前記第1のクロック信号に同期させて外部入力信号を前記第1のクロック信号の立ち上がりエッジで取り込み前記第1の信号として前記第1のフリップフロップに出力する第3のフリップフロップと
を備え、
前記第2のクロック信号への同期化の際のセットアップタイムが前記第1のクロック信号の周期の2分の1とされた
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にPLL(Phase Locked Loop:位相同期)回路を備えた信号同期化回路を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術に係るPLL回路を備えた信号同期化回路に関する文献の一例として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、複数ビットデ-タそれぞれに応じて設けられ、これらビットデ-タをシステムクロック信号に同期化させる第1の同期化回路と、システムクロック信号を入力し少なくとも複数の電圧制御遅延段で構成されるPLL回路と、PLL回路の複数の電圧制御遅延段各々の出力をそれぞれ所定クロックとして第1の同期化回路の各出力を同期化する第2の同期化回路と、第2の同期化回路の出力信号を各々駆動するドライブ回路とを具備したことを特徴とするディジタル出力段回路が開示されている。
【0003】
ところで、従来技術に係る信号同期化回路は、一般に、一方の系のクロックに同期した信号を他方の系のクロックに同期化するため、一方の系のクロックにより制御されるフリップフロップが出力した信号を、他方の系のクロックで制御されるフリップフロップで受信する構成が用いられる。この場合、他方の系のフリップフロップのセットアップタイムおよびホールドタイムを確保するために、一方の系のフリップフロップと他方の系のフリップフロップとの間での遅延、および2重系間でのクロック・スキューを考慮して、一方の系のフリップフロップと他方の系のフリップフロップとの間に遅延素子を挿入する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-181593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術に係る信号同期化回路の構成では、設計段階で、2重系間の製造上のバラツキを定量的に把握することは難しく、量産段階でのバラツキが大きいと、製造時の装置検査での不具合が生じる場合があるという問題があった。一方、特許文献1はこのような問題を想定したものではない。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、クロック同期系の異なる回路間での信号の導通を行う信号同期化回路を含む半導体装置において、動作余裕の低下が抑制された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置は、位相同期回路の基準クロック信号に同期した入力信号を位相同期クロック信号に同期した出力信号として出力する半導体装置であって、前記位相同期回路の位相比較器に入力される帰還信号に基づいて前記基準クロック信号に同期させて前記帰還信号の立ち下がりエッジで前記入力信号を取り込む第1のフリップフロップと、前記第1のフリップフロップの出力を前記位相同期クロック信号に基づいて前記位相同期クロック信号の立ち上がりエッジで取り込み前記出力信号として出力する第2のフリップフロップと、前記基準クロック信号に同期させて外部入力信号を前記基準クロック信号の立ち上がりエッジで取り込み前記入力信号として前記第1のフリップフロップに出力する第3のフリップフロップとを含み、前記位相同期クロック信号への同期化の際のセットアップタイムが前記基準クロック信号の周期の2分の1とされ、前記位相同期回路は、前記位相同期クロック信号を分周して前記帰還信号を生成する分周器を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クロック同期系の異なる回路間での信号の導通を行う信号同期化回路を含む半導体装置において、動作余裕の低下が抑制された半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施の形態に係る半導体装置の各部の動作を示すタイミングチャートである。
図3】比較例に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の実施の形態では本発明に係る半導体装置としてPLL回路を含む信号同期化回路を例示して説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る半導体装置1(信号同期化回路)を示している。図1に示すように、半導体装置1は、PLL回路10、およびフリップフロップ20、30、40を含んで構成されている。
【0012】
PLL回路10は、位相比較器11、チャージポンプ12、ローパスフィルタ13、電圧制御発振器14、および分周器15を含んで構成されている。位相比較器11は、電圧制御発振器14から分周器15を介してフィードバックされた帰還信号FB(すなわち、出力クロック信号であるPLLクロック信号PCKを分周した分周信号)と、基準クロック信号RCKの位相差を比較する。PLL回路10は、位相比較器11により検出された位相差に基づいて、電圧制御発振器14の出力信号の周波数を調整する。
【0013】
より具体的には、位相比較器11は、基準クロック信号RCKと帰還信号FBの位相差に応じてチャージポンプ12のチャージ信号UPおよびDNを生成する。チャージ信号UPはチャージポンプを充電する方向、チャージ信号DNはチャージポンプを放電する方向に作用する信号である。チャージポンプ12は、入力されたチャージ信号UPおよびDNに基づいて、出力信号CPOUTを出力する。出力信号CPOUTはローパスフィルタ13によって高域成分が除去され、電圧制御発振器14の制御信号(電圧信号)VCNTとされる。電圧制御発振器14は制御信号VCNTに基づいて周波数が制御されたPLLクロック信号PCK(位相同期クロック信号)を生成する。
【0014】
ここで、半導体装置1との比較のために、図3を参照して、比較例に係る半導体装置2について説明する。図3に示すように、半導体装置2は、PLL回路10、およびフリップフロップ20、30を含んで構成されている。PLL回路10は上述したPLL回路10と同じ回路である。すなわち、例えば、電圧制御発振器14は、位相比較器11で検出された位相差に基づいて調整された制御信号VCNTを受け、制御信号VCNTに応じた周波数のPLLクロック信号PCKを生成する。フリップフロップ20は、基準クロック信号RCKの立ち上がりエッジで入力信号INを取り込む。フリップフロップ30は、フリップフロップ20の出力信号AをPLLクロック信号PCKの立ち上がりエッジで取り込み、出力信号OUTを出力する。以上の動作によって、入力信号INに対する、基準クロック信号RCKからPLLクロック信号PCKへの同期クロック信号の変換(クロック信号の載せ替え)が行われる。
【0015】
上記半導体装置2に対し、半導体装置1では、図1に示すようにフリップフロップ40が追加されている。半導体装置1でも半導体装置2と同様、フリップフロップ20は、基準クロック信号RCKの立ち上がりエッジで入力信号INを取り込む。フリップフロップ40は、フリップフロップ20の出力信号Aを帰還信号FBの立ち下がりエッジで取り込む。フリップフロップ30は、フリップフロップ40の出力信号BをPLLクロック信号PCKの立ち上がりエッジで取り込み、出力信号OUTとして出力する。
【0016】
半導体装置1の動作についてより詳細に説明する。まず、PLL回路10がロックしている状態、すなわち基準クロック信号RCKの周波数=帰還信号FBの周波数となっている状態で、フリップフロップ20は基準クロック信号RCKの立ち上がりエッジで入力信号INを取り込む。フリップフロップ20の出力信号Aは、フリップフロップ40によって帰還信号FBの立ち下がりエッジで取り込まれる。
【0017】
帰還信号FBは基準クロック信号RCKとは異なる系のクロックであるが、PLL回路10がロックしている状態は、基準クロック信号RCK=帰還信号FBとみなすことができる(つまり、基準クロック信号RCKと帰還信号FBとを同系統のクロック信号とみなすことができる)ので、帰還信号FBの立ち下がりエッジで取り込むフリップフロップ40のセットアップタイムは、基準クロック信号RCKの周期をTとすると、T/2である。そして、フリップフロップ40の出力信号Bはフリップフロップ30によって、帰還信号FBと同系のクロック信号であるPLLクロック信号PCKの立ち上がりエッジで取り込まれ、出力信号OUTとして出力される。以上の動作によって、半導体装置1における入力信号INに対する、基準クロック信号RCKからPLLクロック信号PCKへの同期クロック信号の変換(クロック信号の載せ替え)が行われる。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る半導体装置1のセットアップタイムを、比較例に係る半導体装置2のセットアップタイムと比較して示した図である。図2において(a)は基準クロック信号RCKの波形、(b)は帰還信号FBの波形、(c)は分周器15における分周数が2の場合のPLLクロック信号PCKの波形、(d)は分周器15における分周数が4の場合のPLLクロック信号PCKの波形、(e)は分周器15における分周数が8の場合のPLLクロック信号PCKの波形、を各々示している。
【0019】
上述したように、半導体装置1におけるセットアップタイム、すなわち入力信号INに対する同期化の際のセットアップタイムはフリップフロップ40のセットアップタイムで決まる。フリップフロップ40へ入力されるクロック信号は帰還信号FBであるから、図2(b)に示すように、半導体装置1における入力信号INに対する同期化の際のセットアップタイムはT/2である。
【0020】
一方、半導体装置2の場合のセットアップタイムはフリップフロップ30のセットアップタイムで決まる。フリップフロップ30へ入力されるクロック信号はPLLクロック信号PCKであるから、分周器15における分周数を2、4、8とすると、半導体装置2のセットアップタイムは各々T/2、T/4、T/8と変化する。これに対し、本実施の形態に係る半導体装置1の場合のセットアップタイムは、分周数に関わらずT/2となる。
【0021】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置によれば、異なる系のクロック信号で取り込まれたフリップフロップの出力をPLL回路10の帰還信号FBの立ち下がりエッジで取り込むフリップフロップ40を設けたので、分周器15における分周数いかんに関わらず、同期化するフリップフロップのセットアップタイムを異なる系のクロック信号(すなわち基準クロック信号RCK)の周期TのT/2にする効果が得られる。さらに、フリップフロップ40の出力は同じ系のクロックであるPLLクロック信号PCKで取り込むことができるという効果も得られる。
【符号の説明】
【0022】
1、2 半導体装置
10 PLL回路
11 位相比較器
12 チャージポンプ
13 ローパスフィルタ
14 電圧制御発振器
15 分周器
20、30、40 フリップフロップ
図1
図2
図3