(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ビス(ジアザジエン)コバルト化合物、合成方法、コバルト含有膜の堆積方法、コバルトの選択的堆積方法、コバルト含有膜および容器
(51)【国際特許分類】
C07C 251/08 20060101AFI20231129BHJP
C23C 16/18 20060101ALI20231129BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20231129BHJP
C07F 15/06 20060101ALN20231129BHJP
H01L 21/316 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
C07C251/08 CSP
C23C16/18
H01L21/285 C
H01L21/285 301
C07F15/06
H01L21/316 X
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019113554
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2019-07-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】アラン シー.クーパー
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ ブイ.イバノフ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー デイビッド ホプキンス
(72)【発明者】
【氏名】ムソン キム
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】冨永 保
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-545755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0164456(US,A1)
【文献】国際公開第2016/040077(WO,A1)
【文献】特開2017-7952(JP,A)
【文献】特開2016-164131(JP,A)
【文献】特許第5865352(JP,B2)
【文献】特開2015-74750(JP,A)
【文献】特開2022-23872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
【化1】
(式中、Rは
tert-アミル基である。)
;
からな
る構造を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物
であって、1.1質量%以下の不揮発性残渣を含む、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物。
【請求項2】
80℃の、又はそれより低い融点を有する、請求項1に記載のビス(ジアザジエン)コバルト化合物。
【請求項3】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が55℃以下の融点を有する、請求項1に記載のビス(ジアザジエン)コバルト化合物。
【請求項4】
有機溶媒と水との混合物中のジケトン化合物に第一のアルキルアミンを添加して、
ジアザジエン配位子を得る工程と
;
前記ジアザジエン配位子を還元共試薬の存在下、ハロゲン化コバルトと反応させてビス(ジアザジエン)コバルト化合物を形成する工程と
を含み
、
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が、
(a)
【化2】
(式中、Rは
tert-アミル基である。)
;
からな
る構造を有する、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物
であって、1.1質量%以下の不揮発性残渣を含む、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物の合成方法。
【請求項5】
前記第一のアルキルアミンが
、tert-アミル
アミンであり、前記ハロゲン化コバルトが、塩化コバルト、臭化コバルト、及びヨウ化コバルトからなる群から選択され;前記有機溶媒が、炭化水素溶媒、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が、80℃の、又はそれより低い融点を有す
る、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が55℃以下の融点を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
基材を反応器に与えることと;
Co前駆体を前記反応器に与えることと;
前記基材を前記Co前駆体と接触させることと;
前記基材上にCo含有膜を形成することと
を含み、
前記基材が、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記Co前駆体が、
(a)
【化3】
(式中、Rは
tert-アミル基である。)
;
からな
る構造を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物
であって、1.1質量%以下の不揮発性残渣を含む、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物である、反応器内での基材へのCo含有膜の堆積方法。
【請求項9】
前記Co含有膜が、コバルト膜、酸化コバルト膜、ケイ化コバルト膜、窒化コバルト膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;前記Co含有膜が、熱的CVD、熱的ALD、プラズマ増強ALD(PEALD)、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、及びプラズマ増強サイクリック化学気相堆積(PECCVD)からなる群から選択される方法により堆積される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が、80℃の、又はそれより低い融点を有す
る、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が55℃以下の融点を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記基材の表面から汚染物を除去する前処理、水素含有ガスの流れ中、300~500℃にCo含有膜を加熱するアニール、及びこれらの組み合わせ
からなる群から選択される工程をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記Co含有膜が、2.5at%未満の炭素又は窒素を含有する、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与える工程と;
Co前駆体を前記反応器に与える工程と;
前記基材を前記Co前駆体と接触させる工程と;
前記基材上にCo含有膜を形成する工程と
を含み、
前記少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物
層;金属窒化物
層;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に形成されたコバルト含有膜
の厚さの、前記少なくとも1つのパターン化誘電体層上に形成されたコバルト含有膜の厚さ
に対する比が>1であるように、前記Co含有膜が、前記少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に選択的に形成され;
前記Co前駆体が、
(a)
【化4】
(式中、Rは
tert-アミル基である。)
;
からな
る構造を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物
であって、1.1質量%以下の不揮発性残渣を含む、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物である、反応器内での基材へのコバルト
含有膜の選択的堆積方法。
【請求項15】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が、80℃の、又はそれより低い融点を有す
る、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が55℃以下の融点を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記金属酸化物
層、金属窒化物
層、又は金属ケイ化物
層上の前記コバルト含有膜の厚さ:前記少なくとも1つのパターン化誘電体層上の前記コバルト含有膜の厚さが、≧10:1である、請求項
14に記載の方法。
【請求項18】
前記基材の表面から汚染物を除去する前処理、水素含有ガスの流れ中、300~500℃にCo含有膜を加熱するアニール、及びこれらの組み合わせで構成された群から選択される工程をさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項19】
前記Co含有膜が、2.5at%未満の炭素又は窒素を含有する、請求項
14に記載の方法。
【請求項20】
(a)
【化5】
(式中、Rは
tert-アミル基である。)
;
からな
る構造を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物
であって、1.1質量%以下の不揮発性残渣を含む、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物を用いて堆積されたコバルト含有膜であって、
前記コバルト含有膜が、コバルト膜、酸化コバルト膜、ケイ化コバルト膜、及び窒化コバルト膜からなる群から選択され;
前記コバルト含有膜が、熱的CVD、熱的ALD、プラズマ増強ALD(PEALD)、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、及びプラズマ増強サイクリック化学気相堆積(PECCVD)からなる群から選択される方法により堆積される、コバルト含有膜
の形成方法。
【請求項21】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が、80℃の、又はそれより低い融点を有す
る、請求項
20に記載の
方法。
【請求項22】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が55℃以下の融点を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記コバルト含有膜が、2.5at%未満の炭素又は窒素を含有する、請求項
20に記載の
方法。
【請求項24】
(a)
【化6】
(式中、Rは
tert-アミル基である。)
;
からな
る構造を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物
であって、1.1質量%以下の不揮発性残渣を含む、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物を
収容し、
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が、80℃の、又はそれより低い融点を有す
る容器。
【請求項25】
輸送温度にて維持されており;前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物の融点が、前記輸送温度より低い、請求項
24に記載の容器。
【請求項26】
前記ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が55℃以下の融点を有する、請求項24に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2018年6月19日に出願された米国仮出願第62/686899号の利益を主張する。該仮出願の開示は、参照により本開示に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本開示に記載されるのは、コバルト化合物、コバルト化合物の製造方法、及びコバルト含有膜の堆積において用いられるコバルト化合物を含む組成物である。
【0003】
コバルト含有膜は、半導体又はエレクトロニクス応用において幅広く用いられている。化学気相堆積(CVD)及び原子層堆積(ALD)は、半導体デバイスに関する薄膜製造のための主な堆積方法として適用されてきた。これらの方法は、金属含有化合物(前駆体)の化学反応により、コンフォーマル膜(金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物等)の達成を可能にする。化学反応は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、及び他の表面を含むことができる表面で起こる。
【0004】
遷移金属、特にマンガン、鉄、コバルト及びルテニウムの膜は、種々の半導体又はエレクトロニクス応用にとって重要である。コバルト含有薄膜は、超大規模集積デバイスに関するCu/低kバリア、Cuライナー層、及びキャッピング層として用いられてきた。コバルトは、集積回路の配線及び相互接続における銅の代替として検討されている。
【0005】
幾つかのCo膜堆積前駆体が、当分野で研究されている。
【0006】
米国特許第9255327号は、ジアザジエン配位子を含む揮発性の熱的に安定な金属前駆体、及び金属含有膜の堆積を開示する。
【0007】
Pughら(Inorg.Chem.,2013,52,13719)は、ジアザジエン及びシクロペンタジエニル配位子を含むコバルト化合物、並びにCo膜堆積のためのその使用を記載する。
【0008】
WO2016/040077は、堆積温度<200℃における金属表面での選択的なCo含有膜の堆積を開示する。
【0009】
Kerriganら(Chem.Mater.,2017,29,7458)は、ジアザジエンコバルト化合物及びアルキルアミン前駆体を用いた金属表面での、低温での選択的なコバルト膜の堆積を記載する。
【0010】
米国特許第9353437号は、コバルト含有膜の堆積に用いることのできるコバルト及びニッケルのジアザジエン錯体を開示する。
【0011】
概して、高純度コバルト膜を提供するか、他の基材に対し、ある基材でのコバルト膜の堆積について高い選択性を示すALD及びCVD前駆体の限られた選択肢が存在する。膜均質性、膜連続性、堆積膜の電気特性、及び膜堆積選択性を向上させるために、新規前駆体の開発が必要であり、その開発は、薄い、高純度コバルト膜及びバルクコバルト導体に関して必要である。
【発明の概要】
【0012】
概要
本開示に記載されるのは、コバルト化合物(又は錯体、化合物及び錯体の語は、交換可能である)、コバルト化合物の製造方法、コバルト含有膜の堆積に用いられるコバルト金属膜前駆体を含む組成物;及びコバルト化合物を用いて堆積されたコバルト含有膜である。また、本開示に記載されるのは、金属、金属酸化物、金属窒化物、及び金属ケイ化物表面での前記コバルト化合物を用いたコバルト含有膜の選択的な堆積の方法である。
【0013】
本開示に記載されるコバルト前駆体化合物の例としては、以下に制限されるものではないが、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が挙げられる。コバルト含有膜の例としては、以下に制限されるものではないが、コバルト膜、酸化コバルト膜、ケイ化コバルト及び窒化コバルトの膜が挙げられる。金属含有膜の堆積のための表面の例としては、以下に制限されるものではないが、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、シリコン、酸化ケイ素、及び窒化ケイ素が挙げられる。
【0014】
ある用途に関して、より良好なCo膜核生成、及び既知のCo堆積前駆体を用いて堆積された薄い(1~2nm)Co膜に関するより低い膜抵抗率に対する必要がある。例として、窒化チタン(TiN)及び窒化タンタル(TaN)上でのより良好なCo膜核生成、並びに既知のCo堆積前駆体を用いて堆積された薄いCo膜に対するより低い膜抵抗率についての必要がある。
【0015】
他の用途に関して、ある種の表面での選択的な堆積に対する必要がある。例えば、誘電体表面(例えばSiO2)に対する銅金属表面でのコバルト膜の選択的堆積。別の例は、誘電体表面(例えばSiO2)に対する金属窒化物表面(例えばTiN、TaN又はWN)でのコバルト膜の選択的堆積である。別の例は、誘電体表面(例えばSiO2)に対する金属酸化物表面(例えばTiO2又はMoO2又はMoO3)でのコバルト膜の選択的堆積である。
【0016】
1つの実施態様において、ジアザジエン配位子上のアルキル基は、コバルト前駆体の融点を下げるように選択される。
【0017】
別の実施態様において、コバルト前駆体の融点を低下させるために、ジアザジエン配位子上のアルキル基を用いて、分子構造において非対称性が作り出される。
【0018】
1つの実施態様において、コバルト前駆体の融点は、コバルト前駆体源容器の温度(「輸送温度」)より低く、キャリアガスは、液体前駆体を通してバブリングされる。
【0019】
1つの側面において、本発明は、構造:
【0020】
【化1】
(式中、Rは5~10、5~8、又は5~7つの炭素原子を有するアルキル基である。)
を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物を開示する。
【0021】
別の側面において、本発明は、構造:
【0022】
【化2】
(式中、R
1及びR
2は1~10、2~8、3~7、3~6、又は3~5つの炭素原子を有する異なるアルキル基である。)
を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物を開示する。
【0023】
別の側面において、本発明は、構造:
【0024】
【化3】
(式中、R
1及びR
2は異なるアルキル基であり、Rは1~10、2~8、3~7、3~6、又は3~5つの炭素原子を有するアルキル基である。)
を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物を開示する。
【0025】
別の側面において、本発明は、構造:
【0026】
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は1~10、2~8、3~7、3~6、又は3~5つの炭素原子を有する異なるアルキル基である。)
を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物を開示する。
【0027】
別の側面において、本発明は、
有機溶媒と水との混合物中のジケトン化合物にアルキルアミンを添加して、得られる混合物を得る工程と;
得られた混合物に異なるアルキルアミンを添加して反応生成物を得る工程と;
反応生成物を分離して、窒素原子に結合した2つの異なるアルキル基を有するジアザジエン配位子を得る工程と;
ジアザジエン配位子を還元共試薬の存在下、ハロゲン化コバルトと反応させてビス(ジアザジエン)コバルト化合物を形成する工程と
を含む、開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の合成方法を開示する。
【0028】
さらに別の側面において、本発明は、
基材を反応器に与えることと;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与えることと;
基材をCo前駆体と接触させることと;
基材上にCo膜を形成することと
を含み、
基材が、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、又は多孔質低K材料(多孔質有機シリケートガラス等);及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのCo膜の堆積方法を開示する。
【0029】
さらに別の側面において、本発明は、
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与える工程と;
任意選択の前処理を実施して、基材の表面から汚染物を除去する工程と;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与える工程と;
基材をCo前駆体と接触させる工程と;
基材上にCo含有膜を形成する工程と
を含み、
少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に形成されたコバルト含有膜と、少なくとも1つのパターン化誘電体層上に形成されたコバルト含有膜の厚さの比が>1であるように、Co含有膜が、少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に選択的に形成され;
少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物;金属窒化物;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのコバルトの選択的堆積方法を開示する。
【0030】
さらに別の側面において、本発明は、本発明の開示された方法にしたがって堆積された少なくとも1つのコバルト含有膜を有する半導体デバイスを開示する。
【0031】
ビス(ジアザジエン)コバルト化合物としては、以下に制限されるものではないが、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルト及びビス(1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,3-ジアザジエニル)コバルトが挙げられる。
【0032】
好ましくは、コバルト含有膜は、120℃又はそれより低い、好ましくは80℃未満、より好ましくは40℃未満の融点を有する、液体形態のビス(ジアザジエン)コバルト化合物を用いることにより堆積される。
【0033】
コバルト含有膜としては、以下に制限されるものではないが、コバルト膜、酸化コバルト膜、ケイ化コバルト膜、及び窒化コバルト膜が挙げられる。コバルト膜は、5.0at%未満、好ましくは2.5at%未満、より好ましくは1.0at%未満の炭素又は窒素を含有する。
【0034】
本発明は、同様の数字が同様の要素を示す添付の図面と関連して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、窒素フロー下でのビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトの示差走査熱量測定(DSC)データを示す。
【
図2】
図2は、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトから銅基材に堆積されたコバルト含有膜のX線光電子分光法(XPS)データを示す。
【
図3】
図3は、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトから銅基材に堆積されたコバルト含有膜の、水素の存在下での熱的アニール後のXPSデータを示す。
【
図4】
図4は、窒素フロー下でのビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトの熱重量分析(TGA)データを示す。
【
図5】
図5は、窒化チタン及び二酸化ケイ素表面を含むパターン化基材の走査電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
以降の詳細な説明は、好ましい例示的な実施態様を与えるに過ぎず、本発明の範囲、適用性又は構成を制限することは意図しない。むしろ、好ましい例示的な実施態様についての以降の詳細な説明は、当業者に本発明の好ましい例示的な実施態様の実施を可能にする記載を与えるであろう。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更が、要素の機能及び配列においてなされることができる。
【0037】
特許請求の範囲において、文字を、請求された方法の工程(例えばa、b及びc)を特定するために用いることができる。これらの文字は、方法工程の参照の目的で用いられ、順番が、特許請求の範囲において具体的に記載されない限り、また記載された程度にのみ、請求された工程が実施される順番を示唆することを意図しない。
【0038】
本開示に記載されるのは、コバルト化合物、コバルト化合物の製造方法、及びコバルト含有膜(例えばコバルト、酸化コバルト、窒化コバルト、ケイ化コバルト膜等)の堆積に用いられるコバルト金属膜前駆体を含む組成物である。
【0039】
コバルト前駆体化合物の例としては、以下に制限されるものではないが、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物が挙げられる。
【0040】
金属含有膜の堆積のための表面の例としては、以下に制限されるものではないが、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、シリコン、酸化ケイ素、及び窒化ケイ素が挙げられる。
【0041】
コバルト含有膜の例としては、以下に制限されるものではないが、コバルト、酸化コバルト、ケイ化コバルト、及び窒化コバルトが挙げられる。
【0042】
本発明の1つの実施態様において、ジアザジエン配位子上のアルキル基は、Co膜前駆体の融点を下げるために選択される。Co膜前駆体は、120℃又はそれより低い、好ましくは80℃未満、より好ましくは40℃未満の融点を有し、輸送温度において液体である。
【0043】
本発明の別の実施態様において、Co膜前駆体は、環境温度において液体である。
【0044】
1つの側面において、本発明は、構造:
【0045】
【化5】
(式中、Rは5~10、5~8、又は5~7つの炭素原子を有するアルキル基である。)
を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物を開示する。
【0046】
R基の性質は、化合物の熱的安定性に影響する可能性がある。R基は、化合物の融点にも大きな影響を有する。例えば、R基がtert-ブチルであるビス(ジアザジエン)コバルト化合物は、174~175℃の融点を有することが報告されている(米国特許第9255327号)。>175℃の温度は、コバルト前駆体の速い熱劣化のために、輸送温度として不適切である。したがって、コバルト前駆体は、典型的な輸送温度(80~120℃)において固体である。本発明は、R基を(tert-ペンチルとしても知られている)tert-アミルに変更することが、融点を約55℃に下げることを開示する。このことは、コバルト前駆体の熱分解を制限する温和な輸送温度の使用を可能にする。一般的に、前駆体輸送速度(前駆体流れ)は、固体状態に対して、液体状態で前駆体を輸送する場合により再現性があり、制御しやすい。加えて、前駆体が輸送条件下で液体状態である場合、バブラー及び/又はスパージャーの使用が可能である。一般的に、液体を通すキャリアガスのバブリングは、前駆体蒸気によるキャリアガスのより高い飽和状態のために、より高い前駆体流れをもたらす。このことは、有用な前駆体流れを達成するより低い輸送温度の使用を可能にし、前駆体の熱分解を制限する。
【0047】
別の側面において、本発明は、構造:
【0048】
【化6】
(式中、R
1及びR
2;又はR
1、R
2及びRは1~10、2~8、3~7、3~6、又は3~5つの炭素原子を有する異なるアルキル基である。)
を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物を開示する。
【0049】
一般的に、分子構造に非対称性を導入することにより、分子化合物の融点が下がることが観察される。理論により束縛されることはないが、分子構造の非対称性は、固体状態において、より空間効率の悪いパッキングをもたらし、結晶化につながる分子間力を低下させると考えられる。この分子間力の低下は、材料を溶融させるのに必要な熱エネルギーをより小さくするため、融点の低下をもたらす。本発明において、この構造のR基は、C1~C10アルキル、アミノ基、及びエーテル基であることができる。基は、直鎖又は分岐鎖であることができる。好適なR基の例としては、tert-ブチル、tert-アミル、イソ-ブチル、及びイソ-プロピルが挙げられる。
【0050】
別の側面において、本発明は、構造:
【0051】
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は1~10、2~8、3~7、3~6、又は3~5つの炭素原子を有する異なるアルキル基である。)
を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物を開示する。
【0052】
この種類の分子構造は、ビス(ジアザジエン)コバルト分子に最大限の非対称性を導入し、前駆体の融点をさらに下げる。この種類の構造を製造する合成手順としては、以下に制限されるものではないが、1つのジアザジエン配位子を有機溶媒中のハロゲン化コバルトに導入して、ジアザジエン配位子をハロゲン化コバルトに配位させることが挙げられる。その後の工程において、(ジアザジエン)コバルトジハロゲン化物中間体を、還元共試薬の存在下、異なるジアザジエンと反応させて、第二のジアザジエンをコバルト原子に配位させる:
【0053】
【0054】
好適なハロゲン化物配位子(X)としては、Cl、Br及びIが挙げられる。
【0055】
好適なR基としては、C1~C10アルキル、アミノ基、及びエーテル基が挙げられる。R基は、直鎖又は分岐鎖であることができる。好適なR基の具体例としては、tert-ブチル、tert-アミル、イソ-ブチル、及びイソ-プロピルが挙げられる。
【0056】
還元共試薬としては、アルカリ(alkali)金属、アルカリ(alkaline)金属、及び金属水素化物が挙げられる。
【0057】
好適な有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びエーテルが挙げられる。
【0058】
別の側面において、本発明は、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物、及び組成物の融点を少なくとも20℃下に下げる添加剤を含む組成物を開示する。添加剤は、低揮発性不活性物質、例えば長鎖、分岐鎖又は環状の飽和炭化水素CnHn+2(式中、n=約10~約20)、置換アレーン、有機アミン、アミノエーテル、エーテル、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0059】
別の側面において、本発明は、
アルキルアミンを、有機溶媒と水との混合物中のジケトン化合物に添加する工程と;
得られた混合物に異なるアルキルアミンを添加する工程と;
反応生成物を分離して、窒素原子に結合した2つの異なるアルキル基を有するジアザジエン配位子を単離する工程と;
単離されたジアザジエン配位子を、還元共試薬の存在下、ハロゲン化コバルトと反応させて、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物を形成する工程と
を含む、開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の合成方法を開示する。
【0060】
好適な有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びエーテルが挙げられ、たとえばヘキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、及びトルエン等が挙げられる。
【0061】
好適なジケトン化合物としては、グリオキサール及びアルキル化グリオキサールが挙げられる。
【0062】
アルキルアミンは、アルキル基がC1~C10アルキル、アミノ基、及びエーテル基である第一級アミンであることができる。アルキル基は直鎖又は分岐鎖であることができる。好適なアルキル基の具体例としては、tert-ブチル、tert-アミル、イソ-ブチル、イソ-プロピル、及びn-プロピルが挙げられる。
【0063】
還元共試薬としては、アルカリ金属、アルカリ金属、及び金属ハロゲン化物が挙げられる。
【0064】
ハロゲン化コバルトとしては、塩化コバルト、臭化コバルト、及びヨウ化コバルト、及び追加の配位子(例えばテトラヒドロフラン、ジメチルエーテル)により配位されたハロゲン化コバルトが挙げられる。
【0065】
さらに別の側面において、本発明は、
基材を反応器に与えることと;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与えることと;
基材をCo前駆体と接触させることと;
基材上にCo膜を形成することとを含み、
Co前駆体が、開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であり;
基材が、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのCo膜の堆積方法を開示する。
【0066】
別の側面において、本発明は、
基材を反応器に与えることと;
任意選択的に、前処理を実施して、基材の表面から汚染物を除去することと;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与えることと;
基材をCo前駆体と接触させることと;
基材上にCo膜を形成することと;
任意選択的に、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を加熱することによりアニールを実施することと
を含み、
基材の温度が200~300℃、好ましくは225~280℃、より好ましくは225~250℃である、反応器内での基材へのCo膜の堆積方法を開示する。
【0067】
別の側面において、本発明は、
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与えることと;
任意選択的に、前処理を実施して、基材の表面から汚染物を除去することと;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与えることと;
基材をCo前駆体と接触させることと;
基材上にCo膜を形成することと;
任意選択的に、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を加熱することによりアニールを実施することと
を含み、
Co前駆体は、液体状態で、前駆体を通すキャリアガスのバブリングにより反応器に運ばれ;
少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物;金属窒化物;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのCo膜の堆積方法を開示する。
【0068】
別の側面において、本発明は、開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物を用いて堆積されたコバルト含有膜を開示する。
【0069】
さらに別の側面において、本発明は、
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与える工程と;
任意選択的に、前処理を実施して、基材の表面から汚染物を除去する工程と;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与える工程と;
基材をCo前駆体と接触させる工程と;
基材上にCo含有膜を形成する工程と;
任意選択的に、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を加熱することによりアニールを実施する工程と
を含み、
少なくとも1つのパターン化導電性金属層、金属酸化物層、金属窒化物層又は金属ケイ化物層上に形成されたコバルト含有膜と、少なくとも1つのパターン化誘電体層上に形成されたコバルト含有膜の厚さの比が>1であるように、Co含有膜が、少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に選択的に形成され;
少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物;金属窒化物;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのコバルトの選択的堆積方法を開示する。
【0070】
さらに別の側面において、本発明は、
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与える工程と;
任意選択的に、前処理を実施して、少なくとも1つのパターン化導電性金属層、金属酸化物層、金属窒化物層、又は金属ケイ化物層を含む基材の表面から汚染物を除去する工程と;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与える工程と;
基材をCo前駆体と接触させる工程と;
基材上にCo含有膜を形成する工程と;
任意選択的に、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を加熱することによりアニールを実施する工程と
を含み、
Co前駆体が、式Co(R-N=C-C=N-R)2(式中、R基はtert-アミルである。)を有するビス(ジアザジエン)コバルト化合物であり;
少なくとも1つのパターン化導電性金属層、金属酸化物層、金属窒化物層、又は金属ケイ化物層上に形成されたコバルト含有膜と、少なくとも1つのパターン化誘電体層上に形成されたコバルト含有膜の厚さの比が>1であるように、Co含有膜が、少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に選択的に形成され;
少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物;金属窒化物;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのコバルトの選択的堆積方法を開示する。
【0071】
上記に開示された方法において、Co前駆体の融点は、コバルト前駆体源容器の温度より低く、アニールは、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を300~500℃に加熱することにより実施される。
【0072】
さらに別の側面において、本発明は、
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与える工程と;
任意選択的に、前処理を実施して、基材の表面から汚染物を除去する工程と;
少なくとも1つのパターン化金属含有層上に、核生成増進層を選択的に堆積させる工程と;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与える工程と;
基材をCo前駆体と接触させる工程と;
基材上にCo含有膜を形成する工程と;
任意選択的に、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を加熱することによりアニールを実施する工程と
を含み、
Co前駆体が、コバルト前駆体源容器の温度より低い融点を有し;
少なくとも1つのパターン化導電性金属層、金属窒化物層、金属ケイ化物層、又は金属酸化物層上に形成されたコバルト含有膜と、少なくとも1つのパターン化誘電体層上に形成されたコバルト含有膜の厚さの比が>1であるように、Co含有膜が、少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に選択的に形成され;
少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物;金属窒化物;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのコバルトの選択的堆積方法を開示する。
【0073】
核生成増進層は、所望の基材上でのビス(ジアザジエン)コバルト化合物の核生成を改善し、所望の用途に最適な粒子サイズを有するコバルト膜を提供するように設計される。核生成増進層の堆積に用いられる前駆体は、所望の基材上に薄いコバルト膜、典型的には<1nmのコバルト膜を選択的に堆積させることができる。核生成増進層の堆積に用いられる前駆体は、式:
【0074】
【化9】
(式中、R
1は第三級アルキル基であり、R
2は少なくとも2つの炭素原子を有する直鎖アルキル基、イソプロピル基及びイソブチル基からなる群から選択される。)
を有する二置換アルキンジコバルトヘキサカルボニル化合物を含む。所望の基材上でのビス(ジアザジエン)コバルト化合物の核生成を増進することのできる他の前駆体を用いることもできる。
【0075】
別の側面において、本発明は、
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与える工程と;
任意選択的に、前処理を実施して、少なくとも、少なくとも1つのパターン化導電性金属層の表面を含む基材の表面から汚染物を除去する工程と;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与える工程と;
基材をCo前駆体と接触させる工程と;
基材上にCo含有膜を形成する工程と;
任意選択的に、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を加熱することによりアニールを実施する工程と
を含み、
Co前駆体が、液体状態で、前駆体を通すキャリアガスのバブリングにより反応器に運ばれ、
少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に形成されたコバルト含有膜と、少なくとも1つのパターン化誘電体層上に形成されたコバルト含有膜の厚さの比が>1であるように、Co含有膜が、少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に選択的に形成され;
少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物;金属窒化物;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのコバルトの選択的堆積方法を開示する。
【0076】
別の側面において、本発明は、
少なくとも1つのパターン化誘電体層と、少なくとも1つのパターン化金属含有層とを含む基材を反応器に与える工程と;
任意選択的に、前処理を実施して、少なくとも、少なくとも1つのパターン化導電性金属層の表面を含む基材の表面から汚染物を除去する工程と;
開示されたビス(ジアザジエン)コバルト化合物の1種であるCo前駆体を反応器に与える工程と;
基材をCo前駆体と接触させる工程と;
基材上にCo膜を形成する工程と;
任意選択的に、水素含有ガスの流れ中、Co含有膜を加熱することによりアニールを実施する工程と
を含み、
Co前駆体が、ビス(ジアザジエン)コバルト化合物であり;
基材の温度が、200~300℃、好ましくは225~280℃、より好ましくは225~250℃であり;
少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に形成されたコバルト含有膜と、少なくとも1つのパターン化誘電体層上に形成されたコバルト含有膜の厚さの比が>1であるように、Co含有膜が、少なくとも1つのパターン化導電性金属層上に選択的に形成され;
少なくとも1つのパターン化誘電体層が、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、多孔質低K材料;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
少なくとも1つのパターン化金属含有層が、銅又は銅アロイ、コバルト又はコバルトアロイ、ルテニウム又はルテニウムアロイ;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される導電性金属層;金属酸化物;金属窒化物;金属ケイ化物層;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、反応器内での基材へのコバルトの選択的堆積方法を開示する。
【0077】
さらに別の側面において、本発明は、本発明において開示された基材への、開示されたコバルトの選択的堆積方法にしたがって堆積されたコバルト含有膜を有する基材を有する半導体デバイスを開示する。
【0078】
ビス(ジアザジエン)コバルト化合物としては、以下に制限されるものではないが、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルト及びビス(1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,3-ジアザジエニル)コバルトが挙げられる。
【0079】
好ましくは、コバルト含有膜は、120℃以下、より好ましくは80℃未満、最も好ましくは40℃未満の融点を有する、液体形態におけるビス(ジアザジエン)コバルト化合物を用いることにより堆積される。
【0080】
コバルト含有膜としては、以下に制限されるものではないが、コバルト膜、酸化コバルト膜、ケイ化コバルト膜、及び窒化コバルト膜が挙げられる。コバルト膜は、5.0at%未満、好ましくは2.5at%未満、より好ましくは1.0at%未満の炭素又は窒素を含有する。
【0081】
本開示に記載のコバルト錯体又は組成物は、半導体型マイクロエレクトロニクスデバイスの製造のためのALD、CVD、パルスCVD、プラズマ増強ALD(PEALD)又はプラズマ増強CVD(PECVD)のための揮発性前駆体として用いるのに高度に適切である。本開示に開示される方法に好適な堆積方法の例としては、以下に制限されるものではないが、サイクリックCVD(CCVD)、MOCVD(金属有機CVD)、熱的化学気相堆積、プラズマ増強化学気相堆積(「PECVD」)、高密度PECVD、光子アシストCVD、プラズマ-光子アシスト(「PPECVD」)、極低温化学気相堆積、化学アシスト気相堆積、ホットフィラメント化学気相堆積、液体ポリマー前駆体のCVD、超臨界流体からの堆積、及び低エネルギーCVD(LECVD)が挙げられる。ある実施態様において、コバルト含有膜は、原子層堆積(ALD)、プラズマ増強ALD(PEALD)又はプラズマ増強サイクリックCVD(PECCVD)プロセスにより堆積される。本開示で用いられる「化学気相堆積プロセス」は、基材が、基材表面上で反応し、及び/または分解して所望の堆積物を生成する1種又はそれより多くの揮発性前駆体に曝露される任意のプロセスを指す。本開示で用いられる「原子層堆積プロセス」は、自己制限的な(例えば各反応サイクルにおいて堆積される膜材料の量が一定である)、種々の組成物の基材の上に材料の膜を堆積させる順次的な表面化学を指す。
【0082】
本開示で用いられる前駆体、試薬及び源は、時には「ガス状」と記載されることができるが、前駆体は、液体又は固体であることができ、それは、直接気化、バブリング又は昇華により、反応器内に不活性ガスと共に、又は不活性ガスなしで移送される。幾つかの場合において、気化された前駆体は、プラズマ発生器を通過することができる。1つの実施態様において、金属含有膜は、ALDプロセスにより堆積される。別の実施態様において、金属含有膜は、CCVDプロセスにより堆積される。さらなる実施態様において、金属含有膜は、熱的CVDプロセスにより堆積される。本開示で用いられる「反応器」としては、以下に制限されるものではないが、反応チャンバ又は堆積チャンバが挙げられる。
【0083】
ある種の実施態様において、本開示に開示される方法は、反応器に導入する前、及び/又は導入する間に前駆体を分離するALD又はCCVD法により金属前駆体の前反応を回避する。
【0084】
ある種の実施態様において、方法は、還元剤を用いる。還元剤は、典型的にはガス状形態で導入される。好適な還元剤の例としては、以下に制限されるものではないが、水素ガス、水素プラズマ、遠隔水素プラズマ、シラン(すなわち、ジエチルシラン、エチルシラン、ジメチルシラン、フェニルシラン、シラン、ジシラン、アミノシラン、クロロシラン)、ボラン(すなわち、ボラン、ジボラン)、アラン、ゲルマン、ヒドラジン、アンモニア、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0085】
本開示に開示される堆積方法は、1種又はそれより多くのパージガスを含むことができる。消費されていない反応物及び/又は反応副生成物を洗い流すのに用いられるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示的なパージガスとしては、以下に制限されるものではないが、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン、及びこれらの混合物が挙げられる。ある種の実施態様において、Ar等のパージガスは、約0.1~10000秒間に約10~約2000sccmの範囲の流量にて反応器に供給され、これにより、反応器内に残っている可能性のある未反応材料及び任意の副生成物がパージされる。
【0086】
前駆体の少なくとも1種、還元剤、他の前駆体又はこれらの組み合わせにエネルギーを適用して反応を誘起し、基材上の金属含有膜又はコーティングを形成することができる。係るエネルギーは、以下に制限されるものではないが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子線、光子、遠隔プラズマ法、及びこれらの組み合わせにより提供されることができる。ある種の実施態様において、二次RF周波源を用いて、基材表面におけるプラズマ特性を修正することができる。堆積がプラズマを含む実施態様において、プラズマ発生プロセスは、プラズマを反応器内で直接的に発生させる直接プラズマ発生プロセス、又はプラズマを反応器の外で発生させ、反応器内に供給する遠隔プラズマ発生プロセスを含むことができる。
【0087】
コバルト前駆体は、種々の方法でCVD又はALD反応器等の反応チャンバに輸送されることができる。1つの実施態様において、液体輸送装置を用いることができる。代わりの実施態様において、例えばミネソタ州ショアビューのMSPコーポレーションにより製造されたターボ気化器等の複合の液体輸送及びフラッシュ気化プロセスユニットを用いて、低揮発性材料を体積輸送することを可能にすることができ、このことは、前駆体の熱分解なく、再現可能な移送及び堆積をもたらす。本件において記載される前駆体組成物を、直接液体注入モードにおいて源試薬として効率的に用いて、これらのコバルト前駆体の蒸気流をALD又はCVD反応器内へ提供することができる。
【0088】
ある種の実施態様において、これらの組成物は、数ppmレベルの水まで乾燥させるその能力のために、特に望ましい炭化水素溶媒を利用するものを含む。本発明において用いることのできる例示的な炭化水素溶媒としては、以下に制限されるものではないが、トルエン、メシチレン、クメン(イソプロピルベンゼン)、p-シメン(4-イソプロピルトルエン)、1,3-ジイソプロピルベンゼン、オクタン、ドデカン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、及びデカヒドロナフタレン(デカリン)が挙げられる。本件の前駆体組成物は、ステンレススチール容器内で保管し、使用することもできる。ある種の実施態様において、組成物中の炭化水素溶媒は、高沸点溶媒であり、すなわち100℃又はそれより高い沸点を有する。本件のコバルト前駆体組成物を、他の好適な金属前駆体と混合することもでき、混合物は、二元金属含有膜の成長のために、両方の金属を同時に輸送するのに用いられる。
【0089】
ある種の実施態様において、前駆体容器を反応チャンバに接続するガスラインは、プロセス要求に応じて1つ又はそれより多くの温度に加熱され、組成物を含む容器は、バブリングの間、1つ又はそれより多くの温度にて維持される。他の実施態様において、組成物コバルト前駆体は、直接液体注入の間、1つ又はそれより多くの温度にて維持された気化器に注入される。
【0090】
アルゴン及び/又は他のガスの流れをキャリアガスとして用いて、少なくとも1種のコバルト前駆体の蒸気を、前駆体パルスの間、反応チャンバに輸送することを助けることができる。ある種の実施態様において、反応チャンバプロセス圧力は、1~50tоrr、好ましくは5~20tоrrである。
【0091】
多くの用途に関して、高純度Co金属膜は、以下に制限されるものではないが、低抵抗率などの理由のために要求される。Co金属膜中のある種の不純物が、抵抗率を増加させる可能性があることは、当分野で広く知られている。これらの不純物としては、以下に制限されるものではないが、炭素、酸素及び窒素が挙げられる。したがって、好適なCo金属堆積前駆体は、堆積したCo金属膜中に存在する炭素の量を制限するように設計されなければならない。
【0092】
堆積したCo金属膜中の炭素及び酸素の含有量は、好ましくは<5.0at%、より好ましくは<2.5at%、最も好ましくは<1.0at%であるのがよい。膜中の低い炭素含有量は、膜の水素又はアンモニアプラズマへの曝露等の後堆積処理に対する必要なく、低抵抗率のコバルト金属膜を与えることができる。
【0093】
基材温度は、高品質コバルト膜の堆積において重要なプロセス変数である。典型的な基材温度は、約150℃~約350℃の範囲である。より高い温度は、より高い膜成長速度を促進することができる。したがって、炭素及び酸素等の不純物の量を増加させることなく、高温にてCo膜を堆積させることのできるCo膜前駆体を見出すことが望ましい。
【0094】
金属含有膜堆積プロセス条件下で液体である前駆体が、金属含有膜堆積プロセス条件下で固体である前駆体に対して好ましいことは、金属含有膜堆積の分野において一般的に受け入れられている。理由としては、以下に制限されるものではないが、固体前駆体の昇華に対して、金属含有膜堆積プロセスに前駆体をより均一に輸送する能力が挙げられる。1つの実施態様において、キャリアガスは、好適なプロセス条件下で金属含有膜前駆体を通してバブリングされる。液体を通すガスのバブリングは、より大きいガス-液体接触時間及び面積を作り出す有効な手段であり、それは、気化した液体前駆体で飽和したガス流を達成するのに役立つ。飽和したキャリアガスの達成は、前駆体の輸送速度を最大化し、一般的に堆積プロセスの操作に有益である。
【0095】
別の実施態様において、キャリアガスのジェットは、液体化学前駆体の表面に対して90°又は垂直に、下向きに垂直に向けられる。この又は他の実施態様において、キャリアガスのジェットは、液体化学前駆体の表面上に作用し、これにより、キャリアガスが液体化学前駆体の表面の上に向けられない他の設計、たとえばバブラーの設計において生じるマス移送制限を低減する。キャリアガスのジェットは、容器内の液体レベルにかかわらず、液体化学前駆体の表面をかき乱すのに十分であるが、衝突の位置において大きな跳ね返りを生じさせるのには不十分である勢いを有するように設計される。液体前駆体のジェット型輸送に関する容器設計は、米国第2016/0333477号及び米国第2017/0327945号に与えられる。
【0096】
加えて、液体前駆体への熱伝達は、前駆体が、固体状態に対して液体状態である場合により有効であり、かつ、再現性がある。
【0097】
加えて、液体前駆体は、前駆体輸送に用いられるアンプル内に残っている前駆体の量を検査するのにはるかに良好な能力を与える。1つの実施態様において、前駆体輸送に用いられるアンプルは、本発明の液体ビス(ジアザジエン)コバルト前駆体と、アンプル内のビス(ジアザジエン)コバルト前駆体のレベルを検査する液体レベルセンサとを含む。
【0098】
予想外なことに、我々は、本発明の前駆体が、ジアザジエン配位子上のアルキル置換基の変更により、当分野の前駆体より著しく低い温度にて液体状態になることができることを見出した。例えば、米国特許第9255327号は、窒素原子上のアルキル基がtert-ブチルであるビス(ジアザジエン)コバルト化合物、すなわちビス(1,4-ジ-tert-ブチル-1,3-ジアザジエニル)コバルトが、174~175℃の融点を有することを記載する。本発明は、窒素原子上のアルキル基をtert-アミルに変更して、化合物ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを製造することが、化合物の分子量の増加にもかかわらず、約55℃に融点を下げることを開示する。
【0099】
加えて、非対称ジアザジエン配位子は、2つの異なる第一級アミンをジケトン化合物に順次的に付加することを含む合成方法により製造することができる。反応時間、反応温度、添加の順番、及び他のパラメータ等の反応パラメータの最適化により、所望の非対称ジアザジエン配位子の収率を増加させることができる。非対称ジアザジエン配位子を、分流、分別再結晶、及びクロマトグラフィー等の方法を用いて、副生成物(例えば対称ジアザジエン配位子)から分離することができる。単離された非対称ジアザジエン配位子は、当分野で開示された既知の方法(例えば米国特許第9255327号)を用いて、非対称ビス(ジアザジエン)コバルト化合物を製造するのに用いることができる。
【0100】
ある種の実施態様において、ビス(ジアザジエン)コバルト前駆体は、誘電体表面に対して導電性金属表面にコバルト含有膜を選択的に堆積させるか、誘電体表面に対して金属窒化物、金属酸化物、又は金属ケイ化物表面にコバルト含有膜を選択的に堆積させるのに用いられる。
【0101】
Kerriganら(Chem.Mater.,2017,29,7458)は、ジアザジエンコバルト化合物及び特定のアルキルアミン共試薬前駆体を用いる、金属表面へのコバルト膜の低温での選択的堆積を記載する。アルキルアミン共試薬がない場合、金属膜成長は観察されない。水素又はアンモニアが存在する場合、本発明のビス(ジアザジエン)コバルト前駆体は、任意の追加の前駆体の不在化において、誘電体表面に対して金属表面及び金属窒化物、金属酸化物、又は金属ケイ化物表面へのコバルト含有膜の堆積に関して高い選択性を示す。
【0102】
WO2016/040077は、ビス(ジアザジエン)コバルト前駆体を用いる<200℃の堆積温度における金属表面へのCo含有膜の選択的堆積を開示する。予想外なことに、我々は、本発明のビス(ジアザジエン)コバルト前駆体が、>200℃の温度にて優れた選択性を示し、その選択性は、誘電体表面に対する金属表面のみならず、誘電体表面に対する金属窒化物及び金属酸化物表面についても観察されることを見出した。WO2016/040077におけるデータは、250℃の基材温度、30tоrr圧力、及び0.5L毎分の水素流にて、二酸化ケイ素に対して窒化タンタルに逆の選択性を示す(SiO2上のCo膜の厚さ:TaN上のCo膜の厚さ=4.5:1)。本発明の例6は、本発明の前駆体及びプロセス条件を用いて、141程度のSiO2に対する窒化チタンへの選択性を示すことができることを示す。
【0103】
導電性金属表面は、銅、コバルト、タングステン及びルテニウムを含むことができる。堆積プロセスの前に導電性金属表面を前処理して、導電性金属表面から汚染物を除去することができる。汚染物としては、有機不純物及び金属酸化物を挙げることができる。前処理プロセスは、例えば水素又はアンモニア等の還元ガスの存在下、100~500℃にて導電性金属表面を含む構造を加熱すること、及び/又は導電性金属表面を含む構造を水素プラズマ、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、アルゴンプラズマ又はヘリウムプラズマに100~500℃にて曝露することを含むことができる。
【0104】
金属窒化物表面は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン、窒化モリブデン等を含むことができる。
【0105】
誘電体表面は、二酸化ケイ素、フルオロシリケートガラス(FSG)、有機シリケートガラス(OSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、又は多孔質低K材料を含むことができる。プロセスで用いられる低K誘電体材料の例としては、多孔質OSG(有機シリケートガラス)が挙げられる。
【0106】
導電性金属表面及び誘電体表面を含む構造は:
a)埋め込まれた導電性金属特徴(銅、コバルト、ルテニウム又は金属アロイ等)を有する少なくとも1つのパターン化誘電体層;及び
b)少なくとも導電性金属特徴に選択的に堆積したコバルト層を含むことができる。
【0107】
構造は、パターン化誘電体層と埋め込まれた導電性金属特徴との間に形成された金属バリア層をさらに有することができる。金属バリア層は、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、コバルト、ルテニウム、及び誘電体材料への銅の拡散を防止する他の進歩したバリア材料等の材料を含む。
【0108】
Co膜の厚さを、蛍光X線(XRF)、走査電子顕微鏡法(SEM)、及び透過電子顕微鏡法(TEM)により測定することができる。
【0109】
選択性を、同じプロセス条件下で銅及び酸化ケイ素に堆積したコバルト含有膜の厚さを比較することにより測定することができる。銅上のコバルト含有膜の厚さ対酸化ケイ素上のコバルト含有膜の厚さの比は、XRF、SEM又はTEMで測定された場合、好ましくは>10:1、より好ましくは>100:1、最も好ましくは>350:1である。
【0110】
1つの実施態様において、本発明のコバルト前駆体から堆積されたコバルト膜は、膜の抵抗率を下げるためにアニールされる。アニールプロセスにおいて、コバルト膜を含む構造は、3~15体積%の水素を含むガスの流れ中、300~500℃、好ましくは375~425℃に加熱される。
【実施例】
【0111】
実施例
以下の例は、開示されたCo錯体の製造方法、及びCo前駆体として開示されたCo錯体を用いるCo含有膜の堆積を示している。
【0112】
堆積プロセスにおいて、Co前駆体は、Co前駆体で充填されたステンレススチール容器を介して、50~100sccmアルゴンを通すことにより反応器チャンバに輸送された。コバルト前駆体容器温度は、110℃~120℃で変動し、前駆体の十分な蒸気圧を達成した。水温は、150℃~300℃で変動した。反応器チャンバ圧力は、5~20tоrrで変動した。堆積試験は、500~1000sccmの水素又はアルゴン流の存在下で実施された。堆積時間は、異なる厚さのCo膜を達成するように、20秒~20分で変更した。
【0113】
CN-1シャワーヘッド型反応器を用いて、コバルト膜は、シリコン、酸化ケイ素、PVD TaN、PVD TiN、及び銅基材の上に成長した。
【0114】
Co膜の厚さは、蛍光X線(XRF)及び走査電子顕微鏡法(SEM)により測定された。
【0115】
例1
1,4-ジ-tert-アミル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエンの調製
100mL丸底シュレンクフラスコにおいて、脱イオン水(20mL)中の40質量%のグリオキサール水溶液(7.5mL、65mmоl)を、脱イオン水(15mL)中のtert-アミルアミンの溶液(19.8mL、170mmоl)にシリンジで滴下した。添加すると、溶液の色が黄色、次いで橙色に変化した。30分後、油状橙色層が水層の上に形成された。1時間の撹拌後、15mLのヘキサンを二相溶液に加えた。窒素下、室温にてさらに2時間撹拌した後、二相溶液を分離した。水層を10mLのヘキサンで抽出し、分離した。有機フラクションを統合し、5gの硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過し、5mLのヘキサンで洗浄した。有機フラクションを統合し、環境温度における動的減圧下、揮発性物質を除去した。得られた淡黄色液体をGC-MS、IR及び1H NMRにより分析した。1H NMR(トルエン-d8):7.85(s)、1.46(q)、1.0(s)、0.75(t)。IRスペクトルは、C=N伸縮に対応する1632cm-1における強い吸光度を示す。GC-MS分析は、>99%の純度を示した。
【0116】
例2
1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエンの調製
40質量%のグリオキサール水溶液(20.3g、140mmоl)を200mLシュレンクフラスコに入れた。フラスコを窒素でパージした。この溶液に、30mLのヘキサン中のtert-アミルアミン(6.1g、70mmоl)の溶液を加えた。得られた明るい黄色の二相溶液を45分間撹拌した。この溶液に30mLのヘキサン中のイソ-ブチルアミン(5.85g、80mmоl)の溶液を加えた。得られた明るい黄色の二相溶液を追加で45分間撹拌した。水層を分離し、20mLのヘキサンで洗浄した。2つの有機フラクションを統合し、硫酸マグネシウムで20分間乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過し、5mLのヘキサンで洗浄した。有機フラクションを統合し、環境温度における動的減圧下、揮発性物質を除去した。得られた淡黄色液体をGC-MSにより分析した。分留を用いて、より揮発性の1,4-ジ-イソ-ブチル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエン、及び揮発性のより低い1,4-ジ-tert-アミル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエンから所望の非対称ジアザジエン配位子を分離する。
【0117】
例3
ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトの調製
アルゴンで充填されたグローブボックス内で、50mLのTHF中の1,4-ジ-tert-アミル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエン(5.9g、30mmоl)の溶液を、撹拌子を備えた100mL丸底フラスコに入れた。リチウム金属のロッドを切断して、リチウム金属片(0.21g、30mmоl)を作製した。このリチウム金属片をハサミを用いて約12個の小片に慎重に切断した。撹拌しつつ、この小片を淡黄色溶液にひとつずつ加えた。リチウムを添加すると直ちに溶液は暗くなり、最終的には暗赤色になった。この暗赤色溶液を4時間撹拌した。250mLの丸底シュレンクフラスコにおいて、100mLのTHF中の臭化コバルト(II)(3.25g、15mmоl)の明るい青色溶液を撹拌しつつ形成した。リチウム(1,4-ジ-tert-アミル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエン)溶液を、10分に亘り臭化コバルト溶液に加えた。添加すると、色は直ちに暗くなった。添加が完了した後、暗黄色/緑色溶液を16時間撹拌した。THFを減圧下除去し、オリーブグリーンの固体を得た。この固体をトルエン(50mL)に再溶解させ、0.2ミクロンアルミナメンブレンフィルターを通してろ過した。トルエンを減圧下除去し、オリーブグリーンの固体を得た。生成物を120℃、120ミリtоrr圧力において2時間に亘って昇華させた。IRスペクトルは、以下の波数(cm-1):3039(w)、2966(vs)、2927(s)、1459(vs)、1171(vs)、1010(s)、762(vs)にて注目すべきピークを示した。注目すべきことに、(遊離配位子について観察される)C=N二重結合に関する1632cm-1の強度ピークがなく、コバルト原子への還元配位子の配位による形式的なC=N二重結合の損失を示す。
【0118】
昇華生成物のTGA分析は、1.1%の低い不揮発性残渣で化合物の揮発を示す(
図4)。化合物のDSC分析は、約55℃の融点に対応する吸熱を示す(
図1)。
【0119】
例4
ビス(1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,3-ジアザジエニル)コバルトの調製及びコバルト含有膜の堆積
リチウム金属を、テトラヒドロフラン中の1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエンの溶液に加える。得られた溶液を室温にて撹拌する。この溶液を、次いでテトラヒドロフラン中の無水臭化コバルトの撹拌懸濁液に加える。得られた溶液を室温にて撹拌する。溶媒を減圧下除去する。得られた化合物を減圧移送により精製し、ビス(1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを得る。堆積プロセスにおいて、ビス(1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを、100sccmのアルゴンをビス(1-tert-アミル-4-イソ-ブチル-1,3-ジアザジエニル)コバルトで充填されたステンレススチール容器に通過させることにより、反応器チャンバに輸送する。プロセス条件は:容器温度120℃、圧力10tоrrである。堆積時間は10~20分である。基材温度は200~275℃の範囲である。アルゴン(200sccm)及び水素(500sccm)を堆積チャンバを通して流す。基材は、TiN、Cu及びSiO2である。
【0120】
例5
コバルト含有膜の熱的堆積
プロセス条件は:容器温度110℃、圧力1tоrrであった。各温度において、5秒のコバルト前駆体パルス、それに次ぐ500sccmにおける20秒のArパージのサイクルを100回完了させた。基材温度は150~350℃の範囲であった。基材はTiN、Cu及びSiO2であった。
【0121】
【0122】
表Iは、基材温度への選択性の依存を示す。表I中のデータは、XRFにより測定された銅、窒化チタン、及びシリカに堆積したコバルト含有膜の相対的な厚さである。Cu及びTiNの最大の選択性は、250~275℃の温度範囲で観察される。
【0123】
例6
コバルト含有膜の水素CVD
堆積プロセスにおいて、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトで充填されたステンレススチール容器に100sccmのアルゴンを通過させることにより反応器チャンバに輸送した。プロセス条件は:容器温度120℃、圧力10tоrrであった。堆積時間は10~20分であった。基材温度は200~275℃の範囲であった。アルゴン(200sccm)及び水素(500sccm)を堆積チャンバを通して流した。基材は、TiN、Cu及びSiO2であった。
【0124】
【0125】
表IIは、基材温度への選択性の依存を示す。表II中のデータは、XRFにより測定された銅、窒化チタン、及びシリカに堆積したコバルト含有膜の相対的な厚さである。シリカに対する銅への堆積の高い選択性は、200~275℃の温度範囲で観察され、最大の選択性は225℃にて観察される。シリカに対する窒化チタンへの堆積の高い選択性は、225~275℃の温度範囲で観察され、最大の選択性は250℃にて観察される。
【0126】
図2は、225℃にて銅基材に堆積した膜が、>95at%のコバルトを含有することを示す。
【0127】
図3は、コバルト膜を、水素含有雰囲気下、30分間のアニールによりさらに精製することができることを示す(>99.9at%のコバルトを含有)。アニール条件は:温度400℃、窒素流450sccm、水素流50sccm、圧力50tоrrである。
【0128】
例7
コバルト含有膜のアンモニアCVD
堆積プロセスにおいて、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトで充填されたステンレススチール容器に100sccmのアルゴンを通過させることにより反応器チャンバに輸送した。プロセス条件は:容器温度120℃、圧力10tоrrであった。堆積時間は10~20分であった。アルゴン(200sccm)及びアンモニア(500sccm)を堆積チャンバを通して流した。基材温度は150~300℃の範囲であった。基材は、TiN、Cu及びSiO2であった。
【0129】
コバルト含有膜を、10分の堆積時間で250℃にて基材に堆積させた。シリカに対するTiNの選択性は170であった。シリカに対する銅の選択性は317であった。
【0130】
例8
コバルト含有膜の水素ALD
堆積プロセスにおいて、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトで充填されたステンレススチール容器に100sccmのアルゴンを通過させることにより反応器チャンバに輸送した。プロセス条件は:容器温度120℃、基材温度250℃、圧力5tоrrであった。基材は、TiN、Cu及びSiO2であった。Co前駆体のパルス、アルゴン(1000sccm)、水素(1000sccm)、及びアルゴン(1000sccm)は、それぞれ3~5秒、10秒、10秒、及び5秒であった。サイクル数は200~300サイクルで変更した。
【0131】
【0132】
表III中のデータは、シリカに対する銅及びTiNへの堆積の選択性が、水素ALDプロセスを用いて観察されることを示す。
【0133】
例9
二酸化チタン及び二酸化ケイ素上のコバルト含有膜の水素CVD
堆積プロセスにおいて、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトで充填されたステンレススチール容器に100sccmのアルゴンを通過させることにより反応器チャンバに輸送した。プロセス条件は:容器温度120℃、圧力10tоrrであった。堆積時間は5~20分であった。基材温度は225~275℃の範囲であった。アルゴン(100sccm)及び水素(500sccm)を堆積チャンバを通して流した。基材は、TiO2及びSiO2であった。
【0134】
【0135】
表IVは、二酸化ケイ素に対する二酸化チタンへの堆積の選択性が観察されることを示す。
【0136】
例10
1-tert-アミル-4-イソ-プロピル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエンの合成
500mL丸底シュレンクフラスコにおいて、脱イオン水(70mL)中のグリオキサール(25mL、219mmоl)の40質量%の水溶液を、追加のろうとを介して脱イオン水(50mL)中のtert-アミルアミン(19.1g、219mmоl)及びイソ-プロピルアミン(12.9g、219mmоl)の溶液に滴下した。添加すると、溶液の色は淡黄色に変化した。15分後、はっきりと異なる明るい橙色層が、水層の表面に形成された。30分の撹拌後、50mLのヘキサンを混合物に加えた。室温にてさらに15分撹拌した後、二相溶液を分離した。水層を20mLのヘキサンで抽出し、分離した。有機フラクションを統合し、15gの硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過し、10mLのヘキサンで洗浄した。有機フラクションを統合し、環境温度における動的減圧下、揮発性物質を除去し、淡黄色液体を得た。IRスペクトルは、C=N伸縮に対応する1632cm-1における強い吸光度を示す。GC-MS分析は、1,4-ジ-イソ-プロピル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエン、1-tert-アミル-4-イソ-プロピル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエン、及び1,4-ジ-tert-アミル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエン(保持時間の増加の順序)に対応する約1:2:1比の3つのピークを示した。分留を用いて、より揮発性の1,4-ジ-イソ-プロピル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエン、及びより低揮発性の1,4-ジ-tert-アミル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエンから所望の非対称ジアザジエン配位子を分離する。
【0137】
例11
ビス(1-tert-アミル-4-イソ-プロピル-1,3-ジアザジエニル)コバルトの調製及びコバルト含有膜の堆積
リチウム金属を、テトラヒドロフラン中の1-tert-アミル-4-イソ-プロピル-1,4-ジアザ-1,3-ブタジエンの溶液に加える。得られた溶液を室温にて撹拌する。この溶液を、次いでテトラヒドロフラン中の無水臭化コバルトの撹拌懸濁液に加える。得られた溶液を室温にて撹拌する。溶媒を減圧下除去する。得られた化合物を減圧移送により精製し、ビス(1-tert-アミル-4-イソ-プロピル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを得る。堆積プロセスにおいて、ビス(1-tert-アミル-4-イソ-プロピル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを、100sccmのアルゴンをビス(1-tert-アミル-4-イソ-プロピル-1,3-ジアザジエニル)コバルトで充填されたステンレススチール容器に通過させることにより、反応器チャンバに輸送する。プロセス条件は:容器温度120℃、圧力10tоrrである。堆積時間は10~20分である。基材温度は200~275℃である。アルゴン(200sccm)及び水素(500sccm)を堆積チャンバを通して流す。基材は、TiN、Cu及びSiO2である。
【0138】
例12
窒化チタンパターン化基材へのコバルト含有膜の堆積
堆積プロセスにおいて、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトを、ビス(1,4-ジ-tert-アミル-1,3-ジアザジエニル)コバルトで充填されたステンレススチール容器にアルゴンを通過させることにより反応器チャンバに輸送した。プロセス条件は:容器温度120℃、圧力10tоrrであった。基材の表面温度は275℃であった。堆積時間は150秒であった。ウェハは、トレンチの底において堆積した窒化チタンを有する約100nm幅のトレンチを含有していた。基材の表面は、二酸化ケイ素であった。
【0139】
コバルト堆積後のパターン化基材のSEM画像は、コバルトが、二酸化ケイ素表面に対し、トレンチにおける窒化チタン表面へ選択的に堆積したことを示す(
図5)。
【0140】
本発明の原理が、好ましい実施態様に関連して上記される一方、この記載は単に例であり、本発明の範囲を制限するものではないことを明確に理解されたい。