(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】液処理装置および流量検出部の校正方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231129BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
H01L21/306 J
(21)【出願番号】P 2019124329
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】塩川 俊行
(72)【発明者】
【氏名】釣船 祐
(72)【発明者】
【氏名】若山 翔太
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-098426(JP,A)
【文献】特開2014-063348(JP,A)
【文献】特開2014-062806(JP,A)
【文献】特表2017-526400(JP,A)
【文献】特開2008-172031(JP,A)
【文献】特開2002-231681(JP,A)
【文献】特開2004-122354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液処理装置であって、
処理液を用いて基板を処理する液処理部と、
処理液供給源から供給された処理液を、
当該処理液が前記液処理部に供給される前に一時的に貯留するタンクと、
前記処理液供給源から前記タンクに処理液を供給するための第1部分と、前記タンクから前記液処理部へと前記処理液を送るための第2部分とを有する処理液ラインと、
前記タンク内に貯留された処理液の液位を検出する液位検出部と、
前記処理液ライン
の前記第1部分または前記第2部分を流れる処理液の流量を検出する流量検出部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記タンクから送られた処理液を用いて前記液処理部により基板が処理されているときに、前記タンク内の処理液の液位が予め定められた範囲内に維持されるように、前記液位検出部により検出された前記タンク内の処理液の液位に基づいて前記処理液供給源から前記タンクに処理液を補充させ、
前記制御部は、前記流量検出部の校正を実行するときに、前記液位検出部により前記タンク内の液位を監視しながら前記処理液ライン
の前記第1部分を介して前記タンクに処理液を供給するか若しくは
前記処理液ラインの前記第2部分を介して前記タンクから処理液を排出することによって前記タンク内の液位を第1液位から第2液位まで変化さ
せ、このときに前記流量検出部の検出値に基づいて求められた前記流量検出部を通過した処理液の総量と、前記第1液位と前記第2液位との間の前記タンクの既知の容積と、に基づいて、前記流量検出部の検出値を補正する補正係数を算出するように構成され
ている、液処理装置。
【請求項2】
前記流量検出部は、基準液の流量を正確に計測できるように校正されたものであり、
前記
制御部は、前記処理液ラインを介して前記タンクに基準液を供給することによって前記タンク内の液位を第1液位から第2液位まで変化させるときに前記流量検出部の検出値に基づいて求められた前記流量検出部を通過した基準液の総量を、前記第1液位と前記第2液位との間の前記タンクの容積として求め、この求めた容積を前記既知の容積として用いて前記補正係数を算出するように構成されている、請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
前記流量検出部は、
前記処理液ラインの前記第1部分に設けられ、
前記液処理装置は、
基準液供給源と、前記処理液ライン
の前記第1部分の前記流量検出部の上流側にある接続点とを接続する基準液ラインと、
前記基準液供給源からの基準液が前記流量検出部を通過して前記タンクに供給される状態と、前記処理液供給源からの処理液が前記流量検出部を通過して前記タンクに供給される状態とを切り替える少なくとも1つの弁と、
をさらに備えた、請求項2記載の液処理装置。
【請求項4】
前記処理液ライン
の前記第2部分は、前記タンクから、前記処理液を基板に向けて供給する
前記液処理部に設けられたノズルまで延び、前記流量検出部は前記タンクと前記ノズルとの間に設けられている、請求項1記載の液処理装置。
【請求項5】
前記処理液ラインに、前記流量検出部による処理液の流量の検出値に基づいて、前記処理液ラインを流れる処理液の流量を一定に維持するように動作する弁が設けられている、請求項1記載の液処理装置。
【請求項6】
前記液位検出部は、前記第1液位を検出する第1液位センサと、前記第2液位を検出する第2液位センサとを有する、請求項1記載の液処理装置。
【請求項7】
前記第1液位センサおよび前記第2液位センサのうちの少なくとも一方の高さ位置が変更可能である、請求項6記載の液処理装置。
【請求項8】
前記液処理装置は、前記流量検出部を複数備えており、
前記液位検出部は、複数組の液位センサを有し、
前記複数組の液位センサの各々の組が、異なる流量検出部の校正に用いられる、
請求項1記載の液処理装置。
【請求項9】
前記処理液は、
前記液処理部に設けられたノズルから基板に供給される液と同じ組成を有する液、または
前記ノズルから基板に供給される液を生成するために他の液と混合される液である、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項10】
液処理装置に設けられた流量検出部を校正する校正方法であって、
前記液処理装置が、
処理液を用いて基板を処理する液処理部と、
処理液供給源から供給された処理液を、当該処理液が前記液処理部に供給される前に一時的に貯留するタンクと、
前記処理液供給源から前記タンクに処理液を供給するための第1部分と、前記タンクから前記液処理部へと前記処理液を送るための第2部分とを有する処理液ラインと、
前記タンク内に貯留された処理液の液位を検出する液位検出部と、
制御部と、
を備え、
前記流量検出部が、前記処理液ラインを流れる処理液の流量を検出するものであり、
前記制御部が、前記タンクから送られた処理液を用いて前記液処理部により基板が処理されているときに、前記タンク内の処理液の液位が予め定められた範囲内に維持されるように、前記液位検出部により検出された前記タンク内の処理液の液位に基づいて前記処理液供給源から前記タンクに処理液を補充させるように構成されており、
前記校正方法は、
前記液位検出部により前記タンク内の液位を監視しながら前記処理液ライン
の前記第1部分を介して前記タンクに処理液を供給するか若しくは
前記処理液ラインの前記第2部分を介して前記タンクから処理液を排出することにより前記タンク内の液位を第1液位から第2液位まで変化させる工程と、
前記タンク内の処理液の液位を前記第1液位から前記第2液位まで変化させるときに、前記流量検出部を通過する処理液の流量を前記流量検出部により測定する工程と、
前記流量検出部により測定した流量に基づいて、前記タンク内の液位を前記第1液位から前記第2液位まで変化させたときに前記タンクに供給されたかあるいは前記タンクから排出された処理液の総量を求める工程と、
求められた処理液の前記総量と、前記第1液位と前記第2液位との間の前記タンクの既知の容積と、に基づいて、前記流量検出部の検出値を補正する補正係数を求める工程と、を備えた校正方法。
【請求項11】
前記流量検出部は、基準液の流量を精確に計測できるように校正されたものであり、
前記校正方法は、
前記液位検出部により前記タンク内の処理液の液位を監視しながら、前記処理液ラインを介して前記タンクに基準液を供給するか若しくは前記タンクから基準液を排出することにより前記タンク内の基準液の液位を第1液位から第2液位まで変化させる工程と、
前記タンク内の基準液の液位を前記第1液位から前記第2液位まで変化させるときに、前記流量検出部を通過する基準液の流量を前記流量検出部により測定する工程と、
前記流量検出部により測定した流量に基づいて、前記タンク内の液位を前記第1液位から前記第2液位まで変化させたときに前記タンクに供給されたかあるいは前記タンクから排出された基準液の総量を求める工程と、
求められた基準液の前記総量に基づいて、前記第1液位と前記第2液位との間の前記タンクの容積を求める工程と、
をさらに備え、
前記タンクの容積を求める工程で求められた前記第1液位と前記第2液位との間の前記タンクの容積が、前記既知の容積として前記補正係数を求める工程において用いられる、請求項10記載の校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液処理装置および流量検出部の校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、半導体ウエハ等の被処理体に所定の処理液を供給して、洗浄あるいはウエットエッチング等の液処理を行う工程が含まれる。このような液処理を行う液処理装置に設けられる処理液供給機構の一例が特許文献1に記載されている。処理液供給機構には、流量計を備えた流量調整部が複数設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、流量検出部の校正作業を省力化することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液処理装置の一実施形態は、処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続され、前記タンクに処理液を供給するか、あるいは前記タンクから処理液を排出する処理液ラインと、前記タンク内に貯留された処理液の液位を検出する液位検出部と、前記処理液ラインを流れる処理液の流量を検出する流量検出部と、前記処理液ラインを介して前記タンクに処理液を供給するか若しくは前記タンクから処理液を排出することによって前記タンク内の液位を第1液位から第2液位まで変化させるときに前記流量検出部の検出値に基づいて求められた前記流量検出部を通過した処理液の総量と、前記第1液位と前記第2液位との間の前記タンクの既知の容積と、に基づいて、前記流量検出部の検出値を補正する補正係数を算出するように構成された補正係数演算部とを備えている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、流量検出部の校正作業を省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る液処理装置の流体回路図である。
【
図2】校正方法の第1実施形態を説明するための作用図である。
【
図3】校正方法の第1実施形態を説明するための作用図である。
【
図4】校正方法の第1実施形態を説明するための作用図である。
【
図5】校正方法の第1実施形態を説明するための作用図である。
【
図6】校正方法の第2実施形態を説明するための作用図である。
【
図7】第2実施形態の変形実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
液処理装置の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1に示すように、液処理装置は、DIW(純水)供給源11に接続されたDIWライン12を有する。DIWライン12には、上流側から順に、開閉弁13と、流量計14と、開度調節(流量調節)機能を有する開閉弁15とが設けられている。弁15は、独立した2つの弁、つまりDIWライン12上に直列に設けられた個別の開閉弁および可変絞り弁であってもよい。開閉弁13は、インターロック用の遮断弁であり、液処理装置の動作中は常時開いている。
【0010】
DIW供給源11は、例えば、液処理装置が設置される半導体製造工場の工場用力として提供されたものとすることができる。
【0011】
DIWライン12の流量計14と開閉弁15との間から、死水を排出するためのドレンライン16が分岐している。ドレンライン16には開閉弁17が設けられている。
【0012】
液処理装置は、薬液供給源21に接続された薬液ライン22を有する。薬液ライン22には、上流側から順に、開閉弁23と、開閉弁24と、流量計25と、定圧弁26と、可変絞り弁(例えばニードル弁)27と、開閉弁28とが設けられている。薬液供給源21からは、希釈薬液の成分としての薬液(処理液)、例えばHF(フッ酸)が供給される。開閉弁23は、インターロック用の遮断弁であり、液処理装置の動作中は常時開いている。
【0013】
薬液供給源21は、例えば、液処理装置が設置される半導体製造工場の工場用力として提供されたものとすることができる。薬液供給源21は薬液を貯留するタンクであってもよい。この場合、タンクは、薬液を加圧された状態で送り出す機構(例えば不活性ガスをタンクに供給することにより薬液を圧送する機構)を備えていてもよい。
【0014】
DIWライン12における開閉弁13と流量計14との間の接合点12Jと、薬液ライン22における開閉弁24と流量計25との間の接合点22Jとが、連絡ライン18により接続されている。連絡ライン18には開閉弁19が設けられている。
【0015】
DIWライン12の下流端と薬液ライン22の下流端とは、合流点31において合流し、一つの希釈薬液ライン32となる。合流点31および合流点31近傍の希釈薬液ライン32内で、DIWと薬液とが混合される。これにより、薬液が希釈液としてのDIWにより希釈され、希釈薬液が生成される。DIWと薬液との混合の促進のため、希釈薬液ライン32にインラインミキサーを設けてもよい。
【0016】
希釈薬液ライン32には、開度調節(流量調節)機能を有する開閉弁33が設けられている。開閉弁33の下流側の分岐点32Jにおいて、希釈薬液ライン32は、第1分岐ライン34Aと第2分岐ライン34Bとに分岐する。
【0017】
第1分岐ライン34Aには、上流側から順に開閉弁35A、開閉弁36Aが設けられている。開閉弁35Aと開閉弁36Aとの間で第1分岐ライン34Aに、第1タンク37Aが接続されている。
【0018】
第2分岐ライン34Bには、上流側から順に開閉弁35B、開閉弁36Bが設けられている。開閉弁35Bと開閉弁36Bとの間で第2分岐ライン34Bに、第2タンク37Bが接続されている。
【0019】
第1タンク37Aおよび第2タンク37Bにはそれぞれ、複数の液位センサLL,L,H,HHが設けられている。液位センサL,Hは、液処理装置の通常運転時における下限液位と上限液位を検出するためのものである。液位センサLL,HHは例えば異常液位を検出するためのものである。なお、以下、本明細書において、液位センサLL,L,H,HHが検出する第1タンク37A(第2タンク37B)内の液位それ自体もLL,L,H,HHで表記するものとする。
【0020】
開閉弁36A,36Bの下流側の合流点32Mにおいて、第1分岐ライン34Aと第2分岐ライン34Bとが合流して、単一の希釈薬液ライン32に戻る。
【0021】
合流点32Mの下流側に設けられた分岐点39において、希釈薬液ライン32からドレンライン40が分岐している。ドレンライン40には開閉弁41が介設されている。
【0022】
合流点31と開閉弁33との間の分岐点42において、希釈薬液ライン32からドレンライン44が分岐している。ドレンライン44には開度調節(流量調節)機能を有する開閉弁45が設けられている。
【0023】
分岐点39の下流側において、希釈薬液ライン32にフィルタ46が設けられている。
【0024】
フィルタ46の下流側の分岐点51において、希釈薬液ライン32は、第1分岐ライン52Aと第2分岐ライン52Bとに分岐する。第1分岐ライン52Aおよび第2分岐ライン52Bの各々には、上流側から順に、定圧弁53と、分配マニホルド54が設けられている。分配マニホルド54の下流端には圧力計55が設けられている。
【0025】
各分配マニホルド54から複数(図示例では1つの分配マニホルド54から24本)の供給ライン56が分岐している。各供給ライン56は液処理装置に設けられた複数の液処理部(液処理ユニット)57(
図1では1つだけ示す)の各々に処理液として希釈薬液を供給する。
【0026】
各液処理部57は、例えば、処理対象である基板Wを保持して回転させるスピンチャック58と、スピンチャックにより保持されて回転する基板Wに処理液を供給するノズル59を有したものとすることができる。ノズル59は、供給ライン56の下流端に設けることができる。このような液処理部は、半導体製造装置の分野において周知であり、詳細な図示および説明は省略する。
【0027】
各供給ライン56には、流れ制御機器60が設けられている。流れ制御機器60は、供給ライン56の上流側から順に設けられた流量計61、可変絞り弁62(例えばニードル弁)および開閉弁63を含んでいる。流れ制御機器60は、供給ライン56の開閉(処理液の通流および遮断)および供給ライン56を流れる希釈薬液の流量を調節できる機能を有していれば、図示した以外の要素を含んでいてもよい。
【0028】
なお、
図1では、図面の簡略化のため、複数の供給ライン56のうちの1つの供給ライン56のみに関連する液処理装置の構成要素が示され、残りの供給ラインに関連する液処理装置の構成要素(開閉弁63および液処理部57)は省略されている。
【0029】
液処理装置は制御部100を有している。制御部100は例えばコンピュータであり、制御演算部と記憶部とを有する。記憶部には、液処理措置において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御演算部は、記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって液処理装置の各種構成部品の動作を制御する。プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部100の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0030】
液処理装置の通常運転時の動作について簡単に説明する。液処理装置の通常運転は、予め定められたレシピに従い、制御部100による制御の下で自動的に行うことができる。
【0031】
第1タンク37Aおよび第2タンク37Bから、交互に液処理部57に希釈薬液(処理液)が供給される。予め定められた処理スケジュールに従い、予め定められたタイミングで供給ライン56の開閉弁63が順次開かれ、液処理部57内にロードされた基板Wに順次処理液が供給される。
【0032】
第1タンク37A内の希釈薬液の液位がL以下となったことが液位センサLにより検出されたら、開閉弁36Aが閉じられるとともに開閉弁36Bが開かれ、液位が既にHとなっている第2タンク37Bから液処理部57に希釈薬液が供給されるようになる。また、第1タンク37Aには、液位がHとなるまで新たな希釈薬液が補充される。その後、第2タンク37B内の希釈薬液の液位がL以下となったことが液位センサLにより検出されたら、第2タンク37Bから液処理部57への希釈薬液の供給が停止されるとともに、第1タンク37Aから液処理部57への希釈薬液の供給が開始される。また、第2タンク37Bへの希釈薬液の補充が開始される。このようにして、第1タンク37Aおよび第2タンク37Bが、交互に、液処理部57に希釈薬液を供給する。
【0033】
第1タンク37Aに希釈薬液を補充するときには、開閉弁35B,36Aを閉じ、開閉弁35Aを開く。可変絞り弁27および開閉弁15が有する可変絞りは、DIWと薬液との所望の混合比を実現するのに適した開度に予め調節しておく。開閉弁17,19,33を閉じた状態で、開閉弁13,15,23,23,28,45を開く。これにより、DIW供給源11からDIWがDIWライン12を通って合流点31まで流れ、薬液供給源21から薬液が薬液ライン22を通って合流点31まで流れる。合流点31および合流点31近傍の希釈薬液ライン32内で、DIWと薬液とが混合され、希釈薬液が生成される。生成された希釈薬液は、ドレンライン44から排出される。流量計14,25で検出されるDIWおよび薬液の流量が安定したら、開閉弁33を開き開閉弁45を閉じ、第1タンク37Aに希釈薬液を流入させ、液位がHとなるまで第1タンク37Aに希釈薬液を供給する。
【0034】
希釈薬液補充時の定圧弁26による流量制御の一例について簡単に説明しておく。定圧弁26を通過して流れる薬液の流量は、定圧弁26のパイロットポートに供給される、電空レギュレータ(図示せず)から精密に制御された操作圧力(空気圧)を調節することにより制御することができる。制御部100は、流量計14で検出されたDIWの流量に基づいて、所望の混合比が得られる薬液の流量を算出し、これを流量計25で検出される薬液流量の目標値とする。なお、開度調節機能付きの開閉弁15は予め適当な開度に調整されているため、DIW供給源11の圧力が大きく変動しないかぎり、流量計14によるDIW流量検出値は大きく変動することはない。従って流量計25で検出される薬液流量の目標値も大きく変動することはない。制御部100は、流量計25の検出値とその目標値との偏差を算出する。制御部100は、算出された偏差に基づいてフィードバック制御演算を行い、流量目標値を達成するために必要な定圧弁26の二次側圧力を達成するために必要な操作圧力を求める。制御部は、求めた操作圧力をパイロットポートに供給することを指示する制御信号を電空レギュレータに送信する。これにより、流量計25および定圧弁26を通過する薬液の流量(合流点31に流入する薬液の流量)を所望の値に制御することができる。
【0035】
なお、上記の定圧弁26による流量制御は、後述する校正時にも用いることができる。定圧弁26を用いて流量制御を行うことにより、流量計25および定圧弁26を通過する薬液の流量のふらつきが抑制される。このため、液処理装置の通常運転時に薬液流量を安定的に制御することができ、また、精度の良い校正も行うことができる。
【0036】
なお、第1分岐ライン52Aと第2分岐ライン52Bに設けられた定圧弁53のパイロットポートに供給される操作圧力は、対応する圧力計55の検出値が目標値となるように、フィードバック制御される。これにより各供給ライン56を流れる希釈薬液の流量を安定的に制御することができる。
【0037】
次に液処理装置の流量計(25,61)の校正方法について
図2~
図6を参照して説明する。
図2~
図6において、各ライン(管路)のうち、静止した液で満たされているかあるいは液が流れている部分が太線で表示されている。
【0038】
通常、流量計の製造者は、十分に高い精度でDIWの流量を測定できるように校正した状態で、流量計をユーザーに提供している。本明細書では、流量計の測定精度が製造者(または校正機関)により保証されている測定対象液体(ここではDIW)を、「基準液」とも呼ぶこととする。
【0039】
DIWとは異なる液体(例えば薬液、希釈薬液等)の特性(音波伝播速度、粘度等)はDIWと異なるため、DIWの流量測定に適合するように校正された流量計(25,61)では薬液または希釈薬液の流量を所望の精度で測定することができないことがある。以下においては、DIWの流量測定に適合するように校正された流量計25を、薬液または希釈薬液の流量測定に適合するように校正する(詳細には補正係数を求める)方法について説明する。
【0040】
なお、流量計が超音波流量計である場合、例えば計測対象の薬液がアンモニア水であるである場合には、通常は、流量計の検出値の補正(構成)が必要である。また例えば、計測対象の薬液が過酸化水素水である場合には、補正は必要無いか若しくは僅かな補正しか必要無い。このように、補正(校正)の要否は、薬液の種類に依存する。補正(校正)の要否は、薬液の温度、流量計の測定方式などにも依存する。
【0041】
<流量計25の校正>
まず、校正方法の第1実施形態としての薬液ライン22の流量計25の校正方法について、
図2~
図5を参照して説明する。
図2~
図5では、校正に直接関係の無い部分の記載は省略している。流量計25の校正方法は、予め定められた校正レシピに従い、制御部100による制御の下で自動的に行うことができる。
【0042】
流量計25の校正方法は、第1工程および第2工程を含む。
【0043】
<第1工程>
第1工程は、基準液(DIW)を用いて、校正に必要な基準値として、液位Lと液位Hとの間における第1タンク37Aの容積Vtを精確に求める工程である。
【0044】
第1工程は、
図2に示した状態からスタートする。
図2では、開閉弁13が開、開閉弁15が閉、開閉弁19が閉、開閉弁23が開、開閉弁24が閉、開閉弁28が閉、開閉弁33が閉、開閉弁35A,35Bが閉、開閉弁36A,36Bが閉、開閉弁41が閉である。可変絞り弁(例えばニードル弁)27は、液処理装置の通常運転時(タンク37A,37Bへの希釈薬液補充時)と同じ状態に調整されていることが好ましい。また、第1工程においては、流量計25で検出されるDIWの流量の目標値(定圧弁26の制御の基礎となる値)は、タンク37A,37Bへの希釈薬液補充時における薬液の流量の目標値と同じにすることが好ましい。
【0045】
次に、
図3に示すように、開閉弁19、28,33,35Aが開かれる。これにより、DIW供給源11から供給されたDIWは、DIWライン12、接合点12J、連絡ライン18、接合点22J、薬液ライン22、合流点31、希釈薬液ライン32、第1分岐ライン34Aを順次通過して、第1タンク37Aに流入する。これにより第1タンク37AにDIWが貯留されてゆき、第1タンク37A内のDIWの液位は上昇してゆく。このときDIWは、薬液ライン22に設けられている流量計25を通過する。このとき、希釈薬液補充時の定圧弁26による流量制御と同様の流量制御により定圧弁26の状態が制御される。従って、タンクへの希釈薬液補充時における薬液流量と概ね同じ流量(但し、後述する補正係数Cに相当する差はある)で、DIWが第1タンクに向けて流れる。
【0046】
第1タンク37A内にDIWの液位がLとなったことが液位センサLで検出された時点T1から、液位がHとなったことが液位センサHで検出された時点T2までの間に、流量計25を通過するDIWの流量が連続的に測定される。制御部100は、測定流量を時間積分して、時点T1から時点T2までの間に流量計25を通過したDIWの総量を算出する。この算出されたDIWの総量が、液位Lと液位Hとの間における第1タンク37Aの容積Vtに相当する。
【0047】
次に、
図4に示すように、開閉弁19,28,33,35Aを閉じ、開閉弁36A,41を開き、ドレンライン40を介して、第1タンク37A内のDIWを排出する。
【0048】
<第2工程>
次に、第1工程で求めた容積Vtを用いて、流量計25の検出値を補正するための補正係数Cを求める工程である第2工程を実行する。
【0049】
図5に示すように、開閉弁24,28,33,35Aを開き、開閉弁36Aを閉じる。可変絞り弁27の開度、および定圧弁26の制御の基礎となる流量計25で検出される流量の目標値は、第1工程のまま維持する。これにより、薬液供給源21から供給された薬液が、薬液ライン22、合流点31、希釈薬液ライン32および第1分岐ライン34Aを順次通過して、第1タンク37Aに流入する。これにより第1タンク37Aに薬液が貯留されてゆき、第1タンク37A内の薬液の液位が上昇してゆく。このとき薬液は、薬液ライン22に設けられている流量計25を通過する。
【0050】
第1タンク37A内に薬液の液位がLとなったことが液位センサLで検出された時点T3から、液位がHとなったことが液位センサHで検出された時点T4までの間に、流量計25を通過する薬液の流量が連続的に測定される。制御部100は、測定流量を時間積分して、時点T3から時点T4までの間に流量計25を通過した薬液の総量Vcを算出する。この薬液の総量Vcを、先に第1工程で求めておいた容積Vtと比較する。
【0051】
VcがVtと等しいか、あるいは差が無視できる程小さいのであれば、流量計25をそのまま薬液流量の測定にも用いることができる。
【0052】
VcとVtとの差が無視できない程度に大きければ、流量計25の測定値を補正する補正係数Cを求める。補正係数Cは、例えばVt/Vcとすることができる。液処理装置の通常運転時(タンク37A,37Bへの希釈薬液補充時)において、流量計25により測定された薬液流量に上記の補正係数を乗ずることにより、精確な薬液流量を求めることができる。そして、この精確な薬液流量を用いて、薬液ライン22を流れる薬液の流量をフィードバック制御することができる。
【0053】
上記のフィードバック制御を行うにあたり、具体的には、補正係数Cに応じて流量計25のセンサ出力(電圧信号)を増幅するアンプのゲインを変更すること、あるいは、流量制御ソフトウエアにより流量計25の検出値に補正係数Cを乗じる演算処理を行うことができる。流量制御ソフトウエアは、例えば、制御部100の記憶部に格納されたものである。
【0054】
補正係数Cの算出は、制御部100の補正係数演算部により行うことができる。補正係数演算部は、制御部100を構成するコンピュータのハードウエアにて実行されるソフトウエアにより実現することができる。
【0055】
上記の説明より明らかなように、補正係数Cの決定のための各工程は、制御部100の記憶部に記憶された校正レシピに従い液処理装置を動作させることにより全自動で実行することができる。オペレータは、制御部100に校正レシピの実行指令を入力するだけでよい。このため、校正時に必要とされるマンパワーを大幅に低減することができる。
【0056】
従来技術において、流量計の校正のため、流量計を通過した液をドレンラインを介してメスシリンダ等の測定容器に送り、測定容器による測定値と流量計の検出値の時間積分値とを比較することにより、流量計の校正を行うことが知られている。この場合、オペレータが手作業で行うことになるため、流量計の校正に時間がかかり、且つ繊細な作業が必要とされる。これに対して、上記実施形態によれば、このような作業は必要無く、校正作業を大幅に省力化することができる。
【0057】
また、上記の自動校正機能を実現するために液処理装置に追加すべき機構的な構造は、実質的に連絡ライン18および開閉弁19のみである。タンクの液位計(L,H等)は通常運転のために液処理装置が元々有しているものであり、校正のために新たに液処理装置に設けたものではない。従って、自動校正機能を実現するための液処理装置の装置コストの上昇は非常に小さい。
【0058】
第1工程を複数回実行して容積Vtの平均値を求め、また、第2工程を複数回実行して総量Vcの平均値を求め、容積Vtの平均値と総量Vcの平均値とから補正係数Cを求めることが好ましい。そうすることにより、より適正な補正係数Cを求めることができる。各工程を複数回実行しても、オペレータの負担が増加することはない。
【0059】
なお、上記の実施形態では、第1液位(液位L)と第2液位(液位H)との間の第1タンク37Aの容積Vtを測定するために、基準液(DIW)を流量計25を通して第1タンク37Aに供給した(第1工程)。
【0060】
しかしながら、上記の容積Vtが予め分かっているのならば、第1工程を省略することができる。具体的には例えば、タンクが非常に高精度に製作されており、かつ、液位センサ(L,H)が非常に高精度に設置されているような場合が想定される。この場合、第2工程のみで、補正係数Cを求めることができる。なお、半導体製造装置に用いられる薬液タンクは、例えばフッ素系樹脂をロトモールド法で成形したものであり、第1工程を省略できる程の精度で製造されてはいない。
【0061】
タンクアセンブリ(第1および第2タンク37A,37B、液位センサLL,L,H,HHおよびこれらを支持するフレーム等からなる組立体を意味する)の製造者が、予め容積Vtを測定している場合には、第1工程を省略することが可能である。
【0062】
<流量計61の校正>
次に、校正方法の第2実施形態として、供給ライン56の流量計61の校正について
図6を参照して説明する。この校正では、DIWの流量測定に適合するように校正された流量計61を、希釈薬液の流量測定に適合するように校正する。流量計61の校正方法も、予め定められた校正レシピに従い、制御部100による制御の下で自動的に行うことができる。
【0063】
まず、開閉弁17,19,45,35B,36A,36Bを閉じた状態で、開閉弁13,15,23,24,28,33,35Aを開く。これにより、DIW供給源11からDIWラインを通って合流点31にDIWが流れ、また、薬液供給源21から薬液ライン22を通って合流点31に薬液が流れる。DIWと薬液は合流点31で合流し互いに混合され、希釈薬液(処理液)が生成される。希釈薬液は、希釈薬液ライン32および第1分岐ライン34Aを通って第1タンク37Aに流入する。第1タンク37A内の希釈薬液の液位がHとなるまで、第1タンク37Aに希釈薬液を供給する。なおこのとき、開度調整機能付きの開閉弁15、定圧弁26および可変絞り弁27は、合流点31において薬液とDIWとが液処理装置の通常運転時における混合比で混合されるような状態に調整される。
【0064】
なお、上記の動作は、液処理装置の通常運転時に、第1タンク37Aに希釈薬液を補充する動作と実質的に同じである。
【0065】
第1タンク37A内の希釈薬液の液位がHとなったことが液位センサHにより検出されたら(好ましくはそのやや後に)、開閉弁35A,35B,36B,41を閉じた状態で、開閉弁36Aを開き、さらに全ての供給ライン56のうちから選択された唯一つの供給ライン56に設けられた開閉弁63を開く。これにより、第1タンク37Aから第1分岐ライン34A、合流点32M、希釈薬液ライン32、分岐点51、第1分岐ライン52A、第1分岐ライン52Aに接続された分配マニホルド54および上記の選択された供給ライン56を順次通って、ノズル59から希釈薬液が吐出される。このときの可変絞り弁62の開度は、供給ライン56を通過する希釈薬液の流量が、液処理装置の通常運転時に供給ライン56を通過する希釈薬液の流量と概ね等しくなるような状態とすることが好ましい。
【0066】
第1タンク37A内の希釈薬液の液位がHを下回ったことが液位センサHにより検出された時点から、液位がLまで低下したことが液位センサLにより検出された時点までの間に、供給ライン56の流量計61を通過する希釈薬液の流量を連続的に測定する。そして、測定流量を時間積分して、流量計61を通過した希釈薬液の総量Vcを算出する。総量Vcと、液位Lと液位Hとの間における第1タンク37Aの容積Vt(これは、前述した第1工程を予め実施しておく等によって、既に既知となっている値である)とに基づいて、流量計25の校正時と同様にして、補正係数C(例えばVt/Vc)を求める。これにより供給ライン56を通過する希釈薬液の流量を流量計61により精確に測定または監視することができるようになる。補正後の流量計61の検出値に基づいて可変絞り弁62の開度をフィードバック制御する構成も採用可能である。
【0067】
他の供給ライン56に設けられた流量計61の校正も同様の手順で行うことができる。図示された実施形態では、48本の供給ライン56にそれぞれ一つずつ設けられた流量計61の校正を、上記と同様の手順を48回繰り返すことにより行うことができる。この第2実施形態においても、校正に関連する上記の手順は、制御部100の記憶部に記憶された校正レシピに従い液処理装置を動作させることにより全自動で実行することができる。このため、校正時に必要とされるマンパワーを大幅に低減することができる。
【0068】
なお、特に第2実施形態では、1つの流量計61の校正に容積Vt(液位Lと液位Hとの間における第1タンク37Aの容積Vtに相当)程に多量の希釈薬液は必要ないとも言える。校正時に消費される希釈薬液の消費を抑制したい場合には、
図7に示すように、第1タンク37Aの液位センサLと液位センサHとの間に、校正専用の別の液位センサを設けてもよい。
図7は、
図6に示された構成の一部を簡略化して示す図である。
図7の例では、3組の液位センサ(液位センサS1A,S1Bからなる第1組、液位センサS2A,S2Bからなる第2組、液位センサS3A,S3Bからなる第3組)が設けられている。第1番目の流量計61-1(61)の校正を行う場合には、複数の開閉弁63のうちの第1番目の開閉弁63-1(63)のみを開き、第1番目の供給ライン56-1(56)のみに希釈薬液を流すことにより第1タンク37Aから希釈薬液を排出する。このとき、第1タンク37A内の希釈薬液の液面が液位センサS1Aを通過した時点から液位センサS1Bを通過する時点までに第1番目の流量計61-1を通過した希釈薬液の総量を測定する。この測定した希釈薬液の総量と、液位センサS1Aと液位センサS1Bとの間の第1タンク37A内の既知の容積とに基づいて、上記と同様の手順により補正係数Cを求めることができる。
【0069】
第1タンク37A内の希釈薬液の液面が液位センサS1Bを通過したら、開閉弁63-1を閉じて第2番目の供給ライン56-2(56)にある開閉弁63-2(63)を開く。これにより、第1タンク37A中の希釈薬液は、第2番目の供給ライン56-2のみを介して排出されるようになる。この状態で、第1タンク37A内の希釈薬液の液面が液位センサS2Aを通過した時点から液位センサS2Bを通過する時点までに第2番目の流量計61-2を通過した希釈薬液の総量を測定する。この測定した希釈薬液の総量と、液位センサS2Aと液位センサS2Bとの間の第1タンク37A内の既知の容積とに基づいて、上記と同様の手順により補正係数Cを求めることができる。第3番目の供給ライン56(56-3)の流量計61-3(61)についても、開閉弁63-3(63)を開き、液位センサS3A,S3Bを用いて同様の手順を実行することができる。
【0070】
各組の液位センサ(S1A,S1B;S2A,S2B;S3A,S3B)間の第1タンク37A内の容積は、先に説明した第1工程(液位センサLと液位センサHとの間の第1タンク37Aの容積Vtを求める工程)と同様の方法で測定することができる。つまり、DIW供給源11から流量計25を通してDIWを第1タンク37Aに貯留してゆく過程において、第1タンク37A内のDIWの液面が液位センサS3Bを通過してから液位センサS3Aを通過するまでの間、液位センサS2Bを通過してから液位センサS2Aを通過するまでの間、および液位センサS1Bを通過してから液位センサS1Aを通過するまでの間にそれぞれ流量計25を通過したDIWの総量を個別に測定することにより、各組の液位センサ間の第1タンク37A内の容積を求めることができる。
【0071】
各組の液位センサ(S1A,S1B;S2A,S2B;S3A,S3B)間の第1タンク37A内の容積が互いに等しくなるように1つの組を構成する液位センサを配置することが好ましい。また、希釈薬液を流す供給ライン56を切り替えるときに、新たに希釈薬液が流される供給ライン56における希釈薬液の流量が安定する時間を確保するために、異なる組の互いに隣接する液位センサ(例えばS1BとS2A)の高さはある程度異なっていることが好ましい。
【0072】
補正係数Cの算出にあたっては、各組の液位センサ(S1A,S1B;S2A,S2B;S3A,S3B)間の第1タンク37A内の容積としてタンクアセンブリの製造者から提供された値を用いることもできる。
【0073】
既存の液位センサLおよび/または液位センサHを、上記の液位センサの組を構成するために用いてもよい。例えば液位センサHと液位センサS1Aにより液位センサの第1組を構成してもよい。
【0074】
液位センサHまたは液位センサLを上下に移動可能としてもよい。液位センサの移動は、例えば、液位センサをガイドレール(図示せず)に沿って移動可能とし、液位センサを適当な固定具(例えばねじ)によりガイドレールに固定できるようにしてもよい。液位センサの移動は、オペレータが手作業で行ってもよいし、リニアアクチュエータにより行ってもよい。
【0075】
校正方法の第1実施形態(流量計25の校正)と第2実施形態(流量計61の校正原理)との校正の原理は同じである。両者の主たる相違は、Vcを求めるときに、タンクに液を溜めてゆく時の流量計(25)の検出値の時間積分値を用いるか、タンクから液を排出してゆく時の流量計(61)の検出値の時間積分値を用いるかである。
【0076】
校正対象の流量計は、例えば超音波流量計である。流量計は差圧式流量計であってもよい。
【0077】
校正時に用いるタンクは、第2タンク37Bであってもよい。
【0078】
なお、本明細書において、「処理液」という語は、ノズル59から基板に直接供給される液(上記実施形態では希釈薬液)だけに限らず、そのような基板に直接供給される液を調整(生成)するための原料となる液(例えば薬液供給源21から供給される薬液)をも意味している。従って、本明細書において、既述のライン22,32,34A,34B,52A,52B,56は全て「処理液が流れる処理液ライン」に該当する。
【0079】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
37A,37B タンク
22,32,34A,34B,52A,52B,56 処理液ライン
L,H,S1A,S1B,S2A,S2B,S3A,S3B 液位検出部(液位センサ)
25,61 流量検出部(流量計)
100 補正係数演算部(制御部)