(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】研磨装置、処理システム、および研磨方法
(51)【国際特許分類】
B24B 41/02 20060101AFI20231129BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20231129BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20231129BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20231129BHJP
B24B 41/047 20060101ALI20231129BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20231129BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B24B41/02
B24B37/005 A
B24B37/30 A
B24B55/06
B24B41/047
B24B41/06 A
H01L21/304 621D
(21)【出願番号】P 2020092211
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】古澤 磨奈人
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-286342(JP,A)
【文献】特開2010-064196(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0051400(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0079121(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-7/30
B24B21/00-57/04
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の方向に沿って配置された複数の基板保持機構と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配置された複数の研磨ヘッドと、
前記基板保持機構に保持された前記基板を挟んで前記複数の研磨ヘッドに対向して
配置される、前記第2の方向に伸びるステージと、
前記複数の研磨ヘッ
ドを前記第1の方向に移動させるための
第1の駆動機構と、
前記ステージを前記第1の方向に移動させるための第2の駆動機構と、を含み、
前記第1の駆動機構と前記第2の駆動機構とは、前記複数の研磨ヘッドと前記ステージとを同期して前記第1の方向に移動させるように構成される、
を含む、研磨装置。
【請求項2】
前記複数の研磨ヘッドの各々に取り付けられる研磨工具と、
前記複数の研磨ヘッドの各々を回転させる回転機構と、をさらに有し、
前記研磨工具が前記基板に押し当てられた状態で前記回転機構により前記複数の研磨ヘッドが回転することにより前記基板が研磨されるときに、前記第1の駆動機構と前記第2の駆動機構とは、前記複数の研磨ヘッドと前記ステージとを同期させて前記第1の方向に移動させるように構成される、
請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記ステージの前記第1の方向の移動に応じて前記複数の基板保持機構を上下方向に移動させるための第3の駆動機構をさらに含む、
請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記基板の周囲を囲み前記基板と同一の厚みを有するマスクをさらに含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記複数の研磨ヘッドを前記第2の方向に移動させるための第4の駆動機構をさらに含
む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記ステージを前記第2の方向に移動させるための第5の駆動機構をさらに含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記ステージの前記第1の方向の両端部に配置されたガイド部材であって、前記ステージの上面と同等の高さに配置された第1の端部と、前記ステージの上面より低い位置に配置された第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた傾斜と、を有するガイド部材をさらに含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記ステージは、前記複数の研磨ヘッドに対して前記基板を加圧するための加圧機構を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記加圧機構は、基台と、前記基台上に配置された袋状部材と、前記袋状部材に流体を供給するための流体供給部材と、を含む、
請求項8に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記袋状部材の前記基板との接触面に流体を供給するための流体供給部材をさらに含む、
請求項9に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記加圧機構は、基台と、前記基台上に配置され前記基板との対向面に複数の孔が形成された加圧部材と、前記加圧部材の前記複数の孔に連通する流路に流体を供給するための流体供給部材と、を含む、
請求項8に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記ステージは、前記複数の研磨ヘッドによって加圧される基板を支持する平面を有する定盤を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記定盤の前記平面に流体を供給するための流体供給部材をさらに含む、
請求項12に記載の研磨装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の研磨装置と、
前記研磨装置によって研磨された基板を洗浄するための洗浄装置と、
前記洗浄装置によって洗浄された基板を乾燥するための乾燥装置と、
前記研磨装置、前記洗浄装置、および前記乾燥装置間で前記基板を搬送するための搬送装置と、
を含む処理システム。
【請求項15】
第1の方向に沿って配置された複数の基板保持機構に基板を設置する設置ステップと、
前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配置された複数の研磨ヘッドと、前記複数の研磨ヘッドに対向して前記第2の方向に伸びるステージと、によって前記基板を挟んで加圧する加圧ステップと、
前記複数の研磨ヘッドを回転させる研磨ステップと、
前記加圧ステップおよび前記研磨ステップを行いながら前記複数の研磨ヘッドと前記ステージを前記第1の方向に移動させる走査ステップと、
を含
み、
前記走査ステップにおける前記ステージの前記第1の方向の移動に応じて前記複数の基板保持機構を上下方向に移動させる上下駆動ステップをさらに含む、
研磨方法。
【請求項16】
前記加圧ステップおよび前記研磨ステップは、前記基板の周囲を囲み前記基板と同一の厚みを有するマスクを複数の研磨ヘッドと前記ステージとによって挟んだ状態で開始される、
請求項
15に記載の研磨方法。
【請求項17】
前記走査ステップによって前記複数の研磨ヘッドと前記ステージが前記マスクに到達したら、前記加圧ステップによる加圧を解除し、前記複数の研磨ヘッドを前記第2の方向に移動させる移動ステップをさらに含む、
請求項
16に記載に研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置、処理システム、および研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体加工工程において用いられる基板研磨装置の一種にCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)装置が存在する。CMP装置は、基板の被研磨面が向いている方向によって「フェースアップ式(基板の被研磨面が上向きの方式)」と「フェースダウン式(基板の被研磨面が下向きの方式)」に大別され得る。
【0003】
特許文献1には、フェースアップ式のCMP装置が開示されている。このCMP装置は、裏面基準研磨を行うようになっている。すなわち、このCMP装置は、矩形の基板の被研磨面の反対側(裏面)を基部で支持し、基板よりも小径の複数の研磨ヘッドによって基板を基部に押し付けながら基板全面が一定厚になるように研磨を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフェースアップ式のCMP装置は、上記のとおり裏面基準研磨が採用されており、表面基準研磨には適していなかった。
【0006】
すなわち、表面基準研磨とは、研磨ヘッドを研磨基準として、基板の被研磨面の反対側(裏面)から基板を研磨ヘッドへ押し付けながら、基板全面のどこにおいても一定厚を除去する方式である。従来のフェースアップ式のCMP装置を用いて表面基準研磨を行うためには、例えば基板の裏面をエアバッグなどによって押圧することが考えられる。しかしながら、この場合、研磨ヘッドは基板よりも小径であるため、基板の研磨ヘッドが存在しない領域もエアバッグで押圧することになり、これによって基板が破損するおそれがある。このように、従来のフェースアップ式のCMP装置は、表面基準研磨のニーズに対応するのが困難である。
【0007】
そこで本願は、表面基準研磨に好適な研磨装置、処理システム、および研磨方法を実現することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、一実施形態として、基板の第1の方向に沿って配置された複数の基板保持機構と、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配置された複数の研磨ヘッドと、前記複数の研磨ヘッドに対向して前記第2の方向に伸びるステージと、前記複数の研磨ヘッドと前記ステージを前記第1の方向に移動させるための駆動機構と、を含む、研磨装置を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明にかかる実施形態の研磨装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、基板外周を研磨する際の研磨ヘッドの状態を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、基板外周を研磨する際の研磨ヘッドの状態を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、研磨装置を含む処理システムの構成を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、研磨装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、研磨装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、基板保持機構の変形例を示す図である。
【
図8】
図8は、複数の研磨ヘッドの第1の方向(X方向)の移動を示す図である。
【
図9】
図9は、第4の駆動機構を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、加圧機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図12】
図12は、加圧機構およびガイド部材の構成を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、研磨ヘッドおよびステージがマスクを挟んでいる状態から基板を挟む状態へ移動する際の、ガイド部材の役割を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、ステージの第1の方向(X方向)の移動を示す図である。
【
図16】
図16は、研磨装置の研磨処理の流れを説明するための図である。
【
図17】
図17は、研磨装置の研磨処理の流れを説明するための図である。
【
図18】
図18は、研磨装置の研磨処理の流れを説明するための図である。
【
図19】
図19は、複数の研磨ヘッドとステージの走査例を示す図である。
【
図20】
図20は、研磨装置の研磨処理の流れを説明するための図である。
【
図21】
図21は、研磨装置の研磨処理の流れを説明するための図である。
【
図22】
図22は、加圧機構およびガイド部材の構成を模式的に示す断面図である。
【
図23】
図23は、定盤およびガイド部材の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図25】
図25は、定盤の変形例の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図26】
図26は、本実施形態の研磨方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ただし、用いられる図面は模式図である。したがって、図示された部品の大きさ、位置および形状などは、実際の装置における大きさ、位置および形状などとは異なり得る。
【0011】
まず、本発明にかかる実施形態の研磨装置の概要について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明にかかる実施形態の研磨装置の構成を模式的に示す図である。本実施形態の研磨装置はフェースアップ式の化学機械研磨装置(以下CMP装置と記す)を想定しているが、砥粒を含む砥液を用いない機械研磨装置であってもよい。ここでフェースアップ式の研磨装置とは、基板の研磨対象面(被研磨面)を上方に向けた状態で研磨する装置である。
【0012】
図1に示すように、研磨装置100は、基板保持機構200、研磨ヘッド201、およびステージ202を含む。基板保持機構200は、基板300が研磨中に動かないように固定するための部材である。研磨ヘッド201は、基板300の上方に設置され、基板300を研磨するための部材である。ステージ202は、研磨ヘッド201と共に基板300を挟むように基板300の下方に設置され、基板300を研磨ヘッド201に押し当てるための部材である。
【0013】
基板保持機構200は、研磨対象である基板300を搭載し、これを支持する。基板保持機構200は吸着部材301を含み、これで基板300を吸着することによって研磨中に基板300が動かないよう保持する。吸着部材301は真空吸着するパッドなどを想定しているが、他の手段によって基板300を保持しても良い。吸着部材301は繰り返しの使用によりその性能が低下したら適宜交換しても良い。
【0014】
基板保持機構200が基板300を保持している個所は、ステージ202が干渉するので研磨ヘッド201によって研磨することができない。基板300にハンドリングエリア
として研磨不要な領域が設けられていればそこを保持すれば良いが、基板全面の研磨が必要な場合は基板保持機構200と研磨ヘッド201やステージ202が干渉する恐れがある。
【0015】
そこで基板保持機構200を分割し、それぞれが保持する基板300の領域を分けても良い。これにより、研磨ヘッド201やステージ202が研磨している個所に関しては基板保持機構200を退避させ、研磨ヘッド201やステージ202から離れた箇所のみで基板を保持することが可能になる。具体的には、本実施形態では、研磨装置100は、矩形の基板300の長手方向に沿って間隔をあけて配置された複数の基板保持機構200を含む。
【0016】
研磨が完了したら基板300を交換するため基板保持機構200は基板300を着脱可能であり、吸着部材301は基板300の吸着を解除することができる。
【0017】
研磨ヘッド201は、回転軸203を介して回転機構204によって回転するように構成される。回転機構204は、研磨ヘッド201を任意の回転数で駆動することができる。また研磨ヘッド201の下面には研磨工具302が取り付けられる。研磨工具302は機械研磨に使われる砥石、またはCMP装置に使われる研磨パッドを想定しているが、その他の工具であっても良い。研磨工具302は研磨ヘッド201の回転に伴って回転し、基板表面と繰り返し摺動されることで基板300を研磨する。研磨工具302は消耗品であり、繰り返し使用され摩耗すると適宜交換される。また研磨工具302は多数の種類があり、研磨対象および目的に応じて適切なものが選択される。
【0018】
研磨ヘッド201は薬液供給孔205を含み、研磨中はここから薬液が供給される。薬液供給孔205は薬液供給装置206に接続される。薬液供給装置206は薬液の品質を維持しつつ、薬液を薬液供給孔205に圧送する。薬液供給装置206は研磨装置100が内蔵しても、外部に別装置として設置されても良い。CMPの場合、薬液は砥粒を含む砥液でもよい。機械研磨の場合、薬液は水や純水でもよい。
【0019】
研磨中、研磨ヘッド201は回転することで研磨工具302を基板300に対して摺動させる。この時、基板300は動かないため研磨ヘッド201の中心近辺では、研磨工具302と基板300の相対速度が小さくなり、ほとんど研磨されない。そこで研磨ヘッド201は基板300に沿って水平方向に移動することで、基板全面を研磨することができる。この時、ステージ202は研磨ヘッド201に追従し、常に研磨ヘッド201の直下に来る。
【0020】
研磨ヘッド201は基板300と比較して小径である場合、基板全面の研磨には時間を要することが想定される。そこで研磨装置100は、研磨時間の短縮を目的に複数の研磨ヘッド201を含んでいても良く、これらは並列して基板300を研磨する。その場合、研磨装置100はステージ202を複数含んでいても良い。
【0021】
研磨ヘッド201は、基板300の厚さや研磨工具302の厚さの違いを吸収するため上下動機構207を備える。研磨装置100は研磨を開始する前に研磨ヘッド201を下降させ、研磨工具302と基板300の接触を検出する。上下動機構207にモータを使用していれば、研磨ヘッド201を下降させ、駆動電流が一定値を上回ったら研磨工具302が基板300に接触したと判定することが可能である。これにより研磨対象である基板300の厚みが変更された、あるいは研磨工具302が摩耗して薄くなったなどの状況でも、適切な高さに研磨ヘッド201を配置することが可能になる。
【0022】
ステージ202は基板300が研磨ヘッド201に押し当てられる力の反力を受ける。
ステージ202の形態は研磨装置の目的に応じて高い面精度と剛性を持った定盤であっても、エアバッグのように基板の形状に沿う柔軟な構造をしていても良い。
【0023】
また研磨中、ステージ202は研磨ヘッド201に追従して動く。つまりステージ202は基板300と接した状態で動くため、常にステージ202の上面と基板300は摺動する。そのためステージ202の上面は摩擦抵抗が小さく、耐摩耗性が高いことが望ましい。ステージ202をこのような材料で製造できない場合は、これらの特性を持つ保護シート303をステージ202上面に貼り付け、劣化したらその都度貼り替えるという運用を行っても良い。
【0024】
研磨装置100は基板300を研磨ヘッド201とステージ202で挟み込んで、研磨工具302を基板300に押し当てるための加圧機構208を含む。加圧機構208は基板上方の研磨ヘッド側にあっても、基板下方のステージ側にあっても良い。表面基準研磨を行う場合には、加圧機構208はステージ側に設けられ、裏面基準研磨を行う場合には、加圧機構208は研磨ヘッド側に設けられる。研磨ヘッド201の上下動機構207が加圧機構208を兼ねても良いし、ステージ202の形態がエアバッグ状であれば空気圧によって基板300を押圧可能なので、ステージ202が加圧機構208を兼ねてもよい。
【0025】
加圧機構208の押し付ける力、研磨ヘッド201を回転させる回転機構204の回転数、および研磨ヘッド201が基板300に沿って水平駆動する速度を制御することによって研磨レート(単位時間あたりの研磨量)を制御することができる。これらの制御は制御部209によってなされる。
【0026】
図2は、基板外周を研磨する際の研磨ヘッド201の状態を模式的に示す図である。基板外周を研磨する際、
図2のように研磨ヘッド201が基板300に対して傾き、基板端部を過剰に研磨する恐れがある。またステージ202にエアバッグ形状を採用していた場合、膨張したエアバッグが研磨ヘッド201に接触して損傷する恐れもある。
【0027】
そこで研磨装置100は
図3に示すようなマスク210を備えても良い。
図3は、基板外周を研磨する際の研磨ヘッド201の状態を模式的に示す図である。マスク210はその機能上、基板300と同じ厚さでないと不都合が生じるため、基板300の厚みに応じてマスク210を適切な厚みの物に交換する必要がある。またマスク210が研磨中に摩耗して薄くなってしまってもその機能を失ってしまうので、マスク210は耐摩耗性の高い材料で製作するか、そのような材質で表面をコーティングする必要がある。
【0028】
マスク210を備えない場合、
図2に示すように研磨工具302の一部が基板300に押し付けられることになる。その際、研磨工具302の全面が基板300にあたっている時と同等の力で基板300を押し付けてしまうと、接触箇所に押し付け力が集中して研磨レートが極端に上昇してしまう。これを避けるために、マスク210を備えない場合、制御部209は研磨工具302が基板300に接触している面積に応じて、加圧機構208の押し付け力を制御できても良い。
【0029】
次に研磨装置を含む処理システムについて説明する。
図4は、研磨装置を含む処理システム1000の構成を模式的に示す図である。連続して研磨を行っていると研磨工具302が劣化して徐々に研磨レートが低下する。これを回避するため
図4に示すように、研磨装置100は研磨工具302を再生するため工具再生(ドレッシング)部材211を備えても良い。一般的に工具の再生にはダイヤモンドやセラミクス系の砥石が用いられるが、他の手段によって研磨工具302の再生を行っても良い。
【0030】
また研磨装置100が複数の研磨ヘッド201を備える場合は、単一の工具再生部材211を交互に使用しても良いが、工具再生ユニット使用中は研磨を行えずスループットが低下するため、研磨ヘッド201と同数の工具再生部材211を備えても良い。
【0031】
工具再生部材211を使用するタイミングは研磨を終えて基板300を交換している間に実施しても良いが、大型基板を小径のパッドで研磨する構成上、短時間で研磨工具302が使用できなくなってしまう場合は、基板を研磨している間に適宜工具再生部材211を用いて研磨工具302の再生を実施してもよい。
【0032】
研磨装置100は研磨量を測定するセンサ212を備えても良い。センサ212を用いて研磨の前後で基板表面の膜厚を測定・比較して研磨量を測る方式でも、基板上に被膜が残っているのか、すべての被膜が除去されて研磨が完了したのか判別する方式でも良い。
【0033】
制御部209はセンサ212によって取得した膜厚のデータをもとに、回転機構の回転数や、加圧機構の押し付け力、研磨ヘッドの水平移動速度を制御して、任意の研磨レートとなるように調整し、基板全面で均一に研磨できるように制御しても良い。
【0034】
研磨を終えた基板300は速やかに薬液を洗い流す必要がある。そこで処理システム1000は、研磨装置100によって研磨された基板を洗浄するための洗浄装置213を含む。洗浄装置213は、基板の洗浄のために薬液、純水、または純水とガスの混合流体を用いることができる。基板の洗浄は研磨と並行して行っても良いが、独立したユニットを持たせ、研磨完了後に基板300をそちらへ搬送し、そこで洗浄を行っても良い。その場合、処理システムは、研磨装置100と洗浄装置213との間で基板300を搬送するための搬送装置214を含む。
【0035】
水に濡れた基板300を自然乾燥させると基板上にウォータマーク(乾燥痕)が残るため、処理システム1000は、洗浄装置213によって洗浄された基板300を乾燥するための乾燥装置215を含む。ウォータマークは基板上に残留した水分中の物質が、水の表面張力によって水滴外周部に集められることで生じる。乾燥装置215は、高圧ガスで水滴ごと吹き飛ばしたり、表面張力が小さい溶剤で基板上の水分を置き換えて揮発させたりして、基板300を乾燥させるものである。搬送装置214は、研磨装置100、洗浄装置213、および乾燥装置215間で基板300を搬送することができる。
【0036】
<第1の実施形態:エアバッグ方式を用いた表面基準研磨>
以下、研磨装置100のより具体的な構成を説明する。第1の実施形態は、上述の加圧機構208としてエアバッグ方式を用いた研磨装置100である。
図5,
図6は、研磨装置の全体構成を示す斜視図である。上述のとおり、研磨装置100は、複数の基板保持機構200を含む。基板保持機構200は、矩形の基板300の長辺に沿って水平に伸びる第1の方向に沿って間隔をあけて配置されている。本実施形態では、複数の基板保持機構200はそれぞれ、上下方向に伸びる棒状の土台200aと、土台200aの上端から上方向に伸びる支持部材200bと、を含んで構成される。支持部材200bは、上下方向に移動可能になっている。基板保持機構200は、第1の方向に沿って間隔をあけて複数配置されるとともに、基板300の短辺に沿った第2の方向にも間隔をあけてマトリクス状に配置されている。第2の方向は、第1の方向に交差して水平に伸びる方向であり、本実施形態では、第1の方向および鉛直方向(上下方向)に直交する方向である。以下の説明では、第1の方向を「X方向」、第2の方向を「Y方向」、鉛直方向を「Z方向」という場合がある。
【0037】
基板300を研磨する際には、
図5に示すように、ハンド400によって基板300が搬送される。ハンド400は、相互に間隔をあけてX方向に伸びる複数の棒状部材401
と、複数の棒状部材401の一方の端部を連結する連結部材402と、を含み、複数の棒状部材401に基板300を載せて搬送する。基板300を研磨装置100に搬入する際には、支持部材200bが下降し、ハンド400に搭載された基板300が支持部材200bの上端よりも高い位置においてX方向に沿って複数の基板保持機構200上に搬送される。
図6に示すように、基板300が複数の基板保持機構200上の所定の位置まで搬送されたら、支持部材200bを上昇させることによって、基板保持機構200は基板300を受け取る。これにより、基板300を複数の基板保持機構200に設置することができる。基板保持機構200は、受け取った基板300がマスク210と同一の高さになるように、支持部材200bのZ方向の位置を調整する。上述のように、基板保持機構200は、吸着部材301を用いて基板300を吸着することによって研磨中に基板300が動かないよう保持することができる。基板保持機構200が基板300を受け取ったらハンド400はX方向に沿って退避する。
【0038】
なお、本実施形態では、棒状の土台200aと支持部材200bとを含む基板保持機構200がマトリクス状に配置される例を示したが、基板保持機構200の構成はこれに限定されない。
図7は、基板保持機構の変形例を示す図である。
図7に示すように、基板保持機構200は、第1の方向(X方向)に間隔をあけて配置された複数の支持部材200cを含んで構成され得る。支持部材200cはそれぞれ、Y方向に沿って伸びる板状の部材であり、その上端には、ハンド400の棒状部材401および以下に説明するレール土台601、レール部材602との干渉を避けるための切り欠き200dが形成される。支持部材200cはそれぞれ、Z方向に移動可能になっている。
【0039】
上述のとおり、研磨装置100は、基板300を研磨するための複数の研磨ヘッド201を含んでいる。
図5に示すように、複数の研磨ヘッド201はY方向に沿って配置されている。研磨装置100は、複数の研磨ヘッド201を第1の方向(X方向)に沿って移動させるための第1の駆動機構500を含む。第1の駆動機構500は、X方向に沿って伸び、複数の研磨ヘッド201を挟んで一対に設けられたレール土台501と、レール土台501の上面に配置されX方向に沿って伸びる一対のレール部材502と、を含む。第1の駆動機構500は、レール部材502に沿って移動可能な一対の支持台503と、一対の支持台503にわたってY方向に伸び、支持台503に支持される桁部材504と、を含む。複数の研磨ヘッド201は、桁部材504に吊り下げられて保持される。
図8は、複数の研磨ヘッド201の第1の方向(X方向)の移動を示す図である。
図8において工具再生部材211が設けられている側をX方向の上流側とすると、第1の駆動機構500は、ラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構によって支持台503をレール部材502に沿ってX方向の下流側へ移動させることによって、複数の研磨ヘッド201をX方向に移動させることができる。
【0040】
また、研磨装置100は、複数の研磨ヘッド201を第2の方向(Y方向)に移動させる第4の駆動機構550を含む。
図9は、第4の駆動機構550を模式的に示す図である。
図9に示すように、第4の駆動機構550は、例えば、桁部材504の下面に設けられY方向に沿って伸びるレール部材551と、レール部材551に沿って移動可能な支持台552と、を含んで構成することができる。複数の研磨ヘッド201は、支持台552に吊り下げられて保持される。第4の駆動機構550は、ラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構によって支持台552をY方向に沿って移動させることによって、複数の研磨ヘッド201をY方向に移動させることができる。
【0041】
また、上述のとおり、研磨装置100は、マスク210を含む。マスク210は、基板300と同一の厚みを有する枠形状の板状部材であり、
図6,8に示すように、基板300の4辺の周囲を囲んで配置される。マスク210は、研磨時における基板300のZ方向の配置位置と同じ高さで一対のレール土台501に固定されている。マスク210を設
けることによって、上述のとおり、基板300の周縁部において研磨ヘッド201の押し付け力が集中して研磨レートが極端に上昇することを抑制することができる。
【0042】
図10は、ステージの構成を模式的に示す図である。
図10に示すように、研磨装置100は、第2の方向(Y方向)に伸びるステージ202を含む。
図10において研磨ヘッド201の図示を省略しているが、ステージ202は、基板300を挟んで複数の研磨ヘッド201に対向して配置される。ステージ202は、複数の研磨ヘッド201に対して基板300を加圧するための加圧機構208を含む。
【0043】
図11は、加圧機構208の構成を模式的に示す斜視図である。
図12は、加圧機構208およびガイド部材290の構成を模式的に示す断面図である。
図10~
図12に示すように、加圧機構208は、Y方向に沿って伸びる基台222と、基台222上に配置された複数の袋状部材224と、複数の袋状部材224に流体を供給するための流体供給部材226と、を含む。複数の袋状部材224は、複数の研磨ヘッド201の数に対応して設けられ、Y方向に沿って配列される。
【0044】
袋状部材224は、例えばエアバッグであり、流体供給部材226は、エアバッグに空気を供給するように構成される。流体供給部材226から袋状部材224に流体を供給することによって袋状部材224が膨張し、基板300を複数の研磨ヘッド201に押圧するようになっている。すなわち、本実施形態の研磨装置100は、研磨ヘッド201を研磨基準として、基板300の被研磨面の反対側(裏面)から袋状部材224によって基板300を研磨ヘッド201へ押し付けながら、基板全面のどこにおいても一定厚を除去する表面基準研磨を行うようになっている。
【0045】
袋状部材224の基板300と接触する面は、摩擦抵抗が小さく、耐摩耗性が高いことが望ましい。袋状部材224をこのような材料で製造できない場合は、これらの特性を持つ保護シート228(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート)を袋状部材224の上面に貼り付け、劣化したらその都度貼り替えるという運用を行っても良い。また、袋状部材224の上面に例えばPTFEコーティングを施してもよい。本実施形態の袋状部材224は例えばシリコンゴムなどの材料を環状(ドーナツ状)に成形して作成することができる。袋状部材224を環状に成形することによって袋状部材224の中央には穴224aが形成される。加圧機構208は、穴224aを介して袋状部材224と基板300との間に流体(例えば純水や界面活性剤等を含む薬液)を供給するための流体供給部材227を含む。流体供給部材227から流体を供給することによって、袋状部材224と基板300との間の摩擦抵抗を小さくするとともに両者の摺動に伴う発熱を抑制することができる。
【0046】
図12に示すように、研磨装置100は、ステージ202の第1の方向(X方向)の両端部に配置されたガイド部材290を含む。ガイド部材290は、ステージ202の上面と同等の高さに配置された第1の端部290aと、ステージ202の上面より低い位置に配置された第2の端部290bと、第1の端部290aと第2の端部290bとの間に設けられた傾斜290cと、を有する。ガイド部材290は、研磨ヘッド201およびステージ202がマスク210を挟んでいる状態から基板300を挟む状態へ移動する際に、基板300やステージ202が破損することを防止するための部材である。
【0047】
図13は、研磨ヘッド201およびステージ202がマスク210を挟んでいる状態から基板300を挟む状態へ移動する際の、ガイド部材290の役割を模式的に示す図である。
図13において破線で示すように、基板300の端部300aは自重により垂れ下がっている場合がある。この場合、ガイド部材290を有さないステージ202がマスク210の下部から基板300の下部へ移動すると、ステージ202が基板300の垂れ下が
った端部300aに干渉して基板300が破損するおそれがある。また、ステージ202と基板300の垂れ下がった端部300aが干渉すると、ステージ202が破損するおそれもある。例えばステージ202が袋状部材224を含んでいる場合、袋状部材224の側面に基板300の垂れ下がった部分300aが押し付けられると、袋状部材224が破裂するおそれがある。これに対して、ガイド部材290は、ステージ202がマスク210の下部から基板300の下部へ移動する際に、基板300の垂れ下がった端部300aを第2の端部290bおよび傾斜290cによって持ち上げて研磨ヘッド201とステージ202との間に導くことができる。これにより、基板300の破損を防止することができる。
図14は、ガイド部材290の変形例を示す図である。
図14に示すように、ガイド部材290´は、ステージ202から遠ざかるにしたがって上面の高さが低くなる複数の滑車291a、291c、291bを含んで構成することもできる。滑車291aの上面の第1の端部290a´と、滑車291bの上面の第2の端部290b´との間には、滑車291a、291c、291bの上面を結ぶ仮想的な傾斜290c´が形成される。これにより、ガイド部材290´は、ステージ202がマスク210の下部から基板300の下部へ移動する際に、基板300の垂れ下がった端部300aを第2の端部290b´および傾斜290c´によって持ち上げて研磨ヘッド201とステージ202との間に導くことができる。
【0048】
図10に示すように、研磨装置100は、ステージ202を第1の方向(X方向)に移動させるための第2の駆動機構600を含む。第2の駆動機構600は、X方向に沿って伸び、相互に間隔をあけて配置された3本のレール土台601と、3本のレール土台601それぞれの上面に配置されX方向に沿って伸びるレール部材602と、を含む。第2の駆動機構600は、3本のレール土台601にわたってY方向に伸び、レール土台601に支持され、レール部材602に沿って移動可能な桁部材604を含む。ステージ202は、桁部材604上に保持される。
図15は、ステージ202の第1の方向(X方向)の移動を示す図である。
図15に示すように、第2の駆動機構600は、ラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構によって桁部材604をレール部材602に沿ってX方向の下流側へ移動させることによって、ステージ202をX方向に移動させることができる。上述の第1の駆動機構500と第2の駆動機構600は、複数の研磨ヘッド201とステージ202とを同期してX方向に移動させることができる。また、本実施形態では、第1の駆動機構500と第2の駆動機構600を別部材として説明したが、これらは複数の研磨ヘッド201とステージ202とを同期してX方向に移動させる一体の部材であってもよい。この場合、研磨装置100は、複数の研磨ヘッド201とステージ202とを機械的に連結したり切り離したりすることができる連結機構を含んでいてもよい。一体化された駆動機構は、基板300の研磨を行う際には、連結機構によって複数の研磨ヘッド201とステージ202とを連結し、第1の駆動機構500におけるラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構を用いて、支持台503をX方向に移動させることにより、複数の研磨ヘッド201とステージ202とを同期してX方向に移動させることができる。一方、一体化された駆動機構は、研磨工具302のドレッシングを行う際には、両者を切り離して、第1の駆動機構500におけるラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構を用いて、支持台503をX方向に移動させることにより、複数の研磨ヘッド201のみを工具再生部材211まで移動させることができる。
【0049】
また、研磨装置100は、ステージ202を第2の方向(Y方向)に移動させる第5の駆動機構650を含む。
図15に示すように、第5の駆動機構650は、桁部材604の上面に設けられY方向に沿って伸びるレール部材651と、レール部材651に沿って移動可能な支持台652と、を含んで構成することができる。ステージ202は、支持台652上に保持される。第5の駆動機構650は、ラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構によって支持台652をY方向に沿って移動させることによっ
て、ステージ202をY方向に移動させることができる。上述の第4の駆動機構550と第5の機構650は、複数の研磨ヘッド201とステージ202とを同期してY方向に移動させることができる。また、本実施形態では、第4の駆動機構550と第5の駆動機構650を別部材として説明したが、これらは複数の研磨ヘッド201とステージ202とを同期してY方向に移動させる一体の部材であってもよい。この場合、一体化された駆動機構は、基板300の研磨を行う際には、上述の連結機構によって複数の研磨ヘッド201とステージ202とを連結し、例えば第4の駆動機構550におけるラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構を用いて、支持台552をY方向に移動させることにより、複数の研磨ヘッド201とステージ202とを同期してY方向に移動させることができる。第5の駆動機構650におけるラックピニオン、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構を用いて、支持台652をY方向に移動させることにより、複数の研磨ヘッド201とステージ202とを同期してY方向に移動させてもよい。
【0050】
図10,15に示すように、研磨装置100は、ステージ202の第1の方向(X方向)の移動に応じて複数の基板保持機構200を上下方向(Z方向)に移動させるための第3の駆動機構280を含む。複数の基板保持機構200は基板300を保持するための部材であるが、ステージ202が存在する領域においてはステージ202と干渉する。そこで、第3の駆動機構280は、ステージ202と干渉する領域における基板保持機構200の支持部材200bを下方向に退避させるようになっている。
【0051】
具体的には、
図10に示す状態では、破線で囲んだ領域A内のY方向に配列された複数の基板保持機構200の支持部材200bが下方向に退避する。これに対して、ステージ202がX方向の下流側に移動した
図15に示す状態では、領域AよりもX方向の下流側において破線で囲んだ領域B内のY方向に配列された複数の基板保持機構200の支持部材200bが下方向に退避する一方、領域Aの複数の基板保持機構200の支持部材200bは上方向に伸びて基板300を支持する。なお、第3の駆動機構280は、電動シリンダ、アクチュエータなどの公知の機構によって支持部材200bをZ方向に移動させることができる。
【0052】
次に、研磨装置100の研磨処理の流れについて説明する。研磨装置100は、
図6に示すようにX方向の上流側のマスク210上に複数の研磨ヘッド201が配置され、そのマスク210下にステージ202が配置されている状態で、加圧機構208による加圧を行いながら複数の研磨ヘッド201を回転軸203の周りに回転させる。続いて、研磨装置100は、
図8に示すように、複数の研磨ヘッド201およびステージ202をX方向の下流側へ移動させながら基板300の表面基準研磨を行う。
図16~
図18は、研磨装置100の研磨処理の流れを説明するための図である。
図16に示すように複数の研磨ヘッド201とステージ202が下流側のマスク210を挟むまで移動したら、研磨装置100は、加圧機構208による加圧を停止するとともに、
図17に示すように複数の研磨ヘッド201およびステージ202をY方向に移動させる。続いて、研磨装置100は、加圧機構208による加圧を再開するとともに、
図18に示すように、複数の研磨ヘッド201およびステージ202をX方向の上流側へ移動させる。研磨装置100は、複数の研磨ヘッド201とステージ202が上流側のマスク210を挟むまで移動したら、加圧機構208による加圧を停止するとともに、複数の研磨ヘッド201とステージ202のY方向の位置をずらして、上記のようなX方向の走査を繰り返す。
【0053】
図19は、複数の研磨ヘッド201とステージ202の走査例を示す図である。
図19(a)に示すように、研磨装置100は、2つのストローク間でY方向の位置を変えながら複数の研磨ヘッド201とステージ202をX方向に往復移動させることができる。また、
図19(b)に示すように、研磨装置100は、4つのストローク間でY方向の位置を変えながら複数の研磨ヘッド201とステージ202をX方向に往復移動させてもよい
。また、
図19(c)に示すように、研磨装置100は、8つのストローク間でY方向の位置を変えながら複数の研磨ヘッド201とステージ202をX方向に往復移動させてもよい。研磨装置100は、
図19に示すように、往復ストローク数を増やすことによって、研磨ヘッド201のY方向の位置を変える距離(ステップ距離)が小さくなるので、基板300を均一に研磨することができる。なお、
図19ではストローク数が2、4、8の場合を例示したが、ストローク数は任意である。ストローク数が偶数であれば、研磨ヘッド201およびステージ202のX方向の移動を全て研磨に利用することができるが、奇数であってもかまわない。ストローク数が奇数の場合は、研磨開始前、または、研磨終了後に、研磨ヘッド201が基板300に接しない状態で、研磨ヘッド201とステージ202をX方向に移動させることが必要となる。
【0054】
ここで、研磨ヘッド201のX方向の移動速度が低速であれば基板300の研磨量は大きくなり、高速であれば基板300の研磨量は小さくなる。すなわち、研磨ヘッド201のX方向の移動速度と基板300の研磨量は反比例する。したがって、基板300の研磨中に研磨ヘッド201のX方向の移動速度が変動すると、基板300の研磨量が部位によって変わり、その結果研磨ムラが生じるので好ましくない。これに対して、研磨装置100は、基板300の長手方向の範囲内にある等速領域αにおいて、一定の速度で複数の研磨ヘッド201およびステージ202をX方向に移動させる。一方、研磨装置100は、基板300の長手方向の範囲外にある加減速領域βにおいて複数の研磨ヘッド201およびステージ202のX方向の移動を減速して停止させるとともに、Y方向に位置をずらした後、X方向の移動を開始して加速させることができる。このように、研磨装置100は、基板300の長手方向の範囲内において、つまり基板300の研磨中に、一定の速度で複数の研磨ヘッド201およびステージ202を移動させることによって、基板300を均一に研磨することができる。
【0055】
図20,21は、研磨装置100の研磨処理後の流れを説明するための図である。基板300の研磨処理が終了すると、あるいは、基板300の研磨中に研磨工具302が使用できなくなった場合には、
図20に示すように、研磨装置100は、複数の研磨ヘッド201をX方向の最上流へ移動させて、工具再生部材211を用いて研磨工具302の再生処理(ドレッシング)を行う。研磨工具302の再生処理を行っている間に、研磨装置100は、基板300の搬出処理を行う。すなわち、研磨装置100は、ハンド400を基板300の下方に差し込み、基板保持機構200の支持部材200bまたは200cを下降させることによってハンド400に基板300を乗せ、
図21に示すように、ハンド400をX方向の下流側へ退避させることによって基板300を搬出する。
【0056】
第1の実施形態の研磨装置100は、表面基準研磨に好適である。すなわち、本実施形態のように大型の基板300を小径の研磨ヘッド201を用いてフェースアップ式で研磨する場合、従来は裏面基準研磨を行うのが一般的であった。表面基準研磨を行うためには、基板300の裏面にエアバッグなどの加圧機構を設けることになるが、基板300全体を加圧すると研磨ヘッドが存在しない領域まで加圧することになり基板300を破損するおそれがある。これに対して第1の実施形態の研磨装置100は、複数の研磨ヘッド201の大きさに対応する大きさのステージ202が複数の研磨ヘッド201と同期してX方向に移動するように構成されおり、研磨ヘッド201が存在する領域のみ基板300を押圧することができるので、大型の基板300であっても好適に表面基準研磨を行うことができる。
【0057】
<第2の実施形態:静圧方式を用いた表面基準研磨>
次に、第2の実施形態の研磨装置100の構成を説明する。第2の実施形態は、上述の加圧機構208として静圧方式を用いた研磨装置100である。第2の実施形態は、加圧機構208の構成が異なる以外は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と重複
する構成の説明は省略する。
【0058】
図22は、加圧機構208およびガイド部材290の構成を模式的に示す断面図である。
図22に示すように、加圧機構208は、第1の実施形態と同様にY方向に沿って伸びる基台222と、基台222上に配置された加圧部材225と、を含む。加圧部材225は、Y方向に沿って伸びており、複数の研磨ヘッド201が存在する領域に対応して設けられる。加圧部材225は、基板300との対向面225aに複数の孔225bが形成されている。加圧機構208は、加圧部材225の複数の孔225bに連通する流路に流体を供給するための流体供給部材226を含む。
【0059】
流体供給部材226は、加圧部材225に対して例えば空気などの流体を供給するように構成される。流体供給部材226から加圧部材225に流体を供給することによって複数の孔225bから流体が吹き出し、基板300を複数の研磨ヘッド201に押圧するようになっている。すなわち、本実施形態の研磨装置100は、研磨ヘッド201を研磨基準として、基板300の被研磨面の反対側(裏面)から加圧部材225によって基板300を研磨ヘッド201へ押し付けながら、基板全面のどこにおいても一定厚を除去する表面基準研磨を行うようになっている。なお、加圧部材225は、
図22に示したような構造に限らず、多数の細孔が形成された多孔質体を含んで構成されてもよい。この場合、流体供給部材226から多孔質体に供給された流体は、多孔質体の基板300との対向面から吹き出し、基板300を複数の研磨ヘッド201に押圧する。多孔質体の側面に流体を遮蔽する遮蔽部材を設けることによって、多孔質体の基板300との対向面からのみ流体が吹き出すようにしてもよい。
【0060】
第2の実施形態の研磨装置100によれば、第1の実施形態と同様に、表面基準研磨に好適である。
【0061】
<第3の実施形態:定盤を用いた裏面基準研磨>
次に、第3の実施形態の研磨装置100の構成を説明する。第3の実施形態の研磨装置100は、上述の加圧機構208の代わりに定盤を用い、上下動機構207が基板300を加圧するように構成される。第3の実施形態は、加圧機構208の代わりに定盤を用い、上下動機構207が基板300を加圧する以外は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と重複する構成の説明は省略する。
【0062】
図23は、定盤229およびガイド部材290の構成を模式的に示す斜視図である。
図23に示すように、ステージ202は、第1の実施形態と同様にY方向に沿って伸びる基台222と、基台222上に設けられた定盤229と、を含む。定盤229は、複数の研磨ヘッド201によって加圧される基板300を支持するための平面229aを有する。定盤229の基板300と接触する平面229aは、摩擦抵抗が小さく、耐摩耗性が高いことが望ましい。定盤229をこのような材料で製造できない場合は、これらの特性を持つ保護シート(例えばPTFEシート)を定盤229の上面に貼り付け、劣化したらその都度貼り替えるという運用を行っても良い。また、定盤229の上面に例えばPTFEコーティングを施してもよい。
【0063】
図24は、定盤の構成を模式的に示す斜視図である。
図24に示すように、本実施形態の定盤229の平面229aにはY方向に沿って複数の孔229bが形成される。研磨装置100は、孔229bを介して定盤229と基板300との間に流体(例えば純水)を供給するための流体供給部材227を含む。流体供給部材227から流体を供給することによって、定盤229と基板300との間の摩擦抵抗を小さくするとともに両者の摺動に伴う発熱を抑制することができる。なお、本実施形態では、定盤229の平面229aのX方向の中央においてY方向に沿って複数の孔229bが形成される例を示したが、これ
に限定されない。
図25は、定盤の変形例の構成を模式的に示す斜視図である。
図25に示すように、定盤229の平面229aのX方向の両端部においてY方向に沿って複数の孔229c、229dを形成することもできる。これにより、ステージ202がX方向に移動する際に、常に進行方向の前方の孔(複数の孔229cまたは複数の孔229d)から流体を供給することができるので、定盤229全体の潤滑を行うことができる。例えば、研磨装置100は、複数の孔229cおよび複数の孔229dのいずれか一方から流体を供給するように切り替え可能な切り替え機構(例えば切り替え弁)を含み得る。研磨装置100は、切り替え機構を用いて、ステージ202の進行方向の前方の複数の孔からのみ流体を供給することによって、流体の使用量を抑制するとともに、定盤229全体の潤滑を行うことができる。
【0064】
第3の実施形態の研磨装置100によれば、安価な小型の定盤229を用いて裏面基準研磨を好適に行うことができる。すなわち、本実施形態のように大型の基板300を小径の研磨ヘッド201を用いてフェースアップ式で研磨する場合、従来の裏面基準研磨では、基板300全体を支持する大型の定盤を用いるのが一般的であった。裏面基準研磨を精度良く実行するためには高い面精度の平面を有する定盤が必要であるが、高い面精度の平面を有する大型の定盤は高価であるため、研磨装置のコストが高騰する。これに対して第3の実施形態の研磨装置100は、ステージ202が複数の研磨ヘッド201と同期して第1の方向に移動するように構成されている。したがって、定盤は複数の研磨ヘッド201の大きさに対応する大きさがあればよいので、大型の基板300を研磨する場合であっても安価な小型の定盤229を用いて裏面基準研磨を行うことができる。
【0065】
以上のように、第1の実施形態から第3の実施形態によれば、フェースアップ式の研磨装置において、好適に表面基準研磨を行うことができるとともに裏面基準研磨に対応することができる。すなわち、表面基準研磨を行う場合には、第1の実施形態または第2の実施形態で説明したステージ202を採用すればよいし、裏面基準研磨を行う場合には、第3の実施形態で説明したステージ202を採用すればよい。このように、1台の研磨装置100であっても、ステージ202を交換することによって、表面基準研磨、裏面基準研磨のどちらにも対応することができる。
【0066】
<研磨方法>
次に、上記のいずれかの実施形態の研磨装置100を用いて行う研磨方法について説明する。
図26は、本実施形態の研磨方法を示すフローチャートである。
図26に示すように、本実施形態の研磨方法は、まず、ハンド400を用いて基板300の搬入処理を行う(搬入ステップ102)。搬入ステップ102では、上記のとおり、支持部材200bが下降した状態で、ハンド400に搭載された基板300が支持部材200bの上端よりも高い位置においてX方向に沿って複数の基板保持機構200上に搬送される。
【0067】
基板300が複数の基板保持機構200上の所定の位置まで搬送されたら、研磨方法は、複数の基板保持機構200を用いて基板300の設置処理を行う(設置ステップ104)。設置ステップ104では、上記のとおり、支持部材200bを上昇させることによって、基板保持機構200が基板300を受け取り、これにより、基板300が複数の基板保持機構200に設置される。基板保持機構200が基板300を受け取ったらハンド400はX方向に沿って退避する。
【0068】
続いて、研磨方法は、第1の駆動機構500および第2の駆動機構600を用いて、X方向の上流側のマスク210の端部の研磨開始位置に複数の研磨ヘッド201とステージ202を移動させる(移動ステップ105)。続いて、研磨方法は、回転機構204を用いて複数の研磨ヘッド201を回転させるとともに研磨ヘッド201の薬液供給孔205から薬液(砥液、水や純水)を供給させて研磨を開始する(研磨ステップ106)。続い
て、研磨方法は、複数の研磨ヘッド201とステージ202によってマスク210を挟んで加圧を開始する(加圧ステップ108)。加圧ステップ108は、第1および第2の実施形態のようにステージ202が加圧機構208を含んでいる場合には、ステージ202側からマスク210を研磨ヘッド201側へ押圧して行われる。一方、加圧ステップ108は、第3の実施形態のようにステージ202が定盤229を含んでいる場合には、研磨ヘッド201側からマスク210をステージ202側へ押圧して行われる。研磨ステップ106および加圧ステップ108は以下に説明するように複数の研磨ヘッド201とステージ202をX方向に走査する間も継続して行われるので、複数の研磨ヘッド201とステージ202が基板300を挟んでいる間は基板300を加圧することになる。
【0069】
続いて、研磨方法は、研磨ステップ106および加圧ステップ108を行いながら第1の駆動機構500および第2の駆動機構600を用いて複数の研磨ヘッド201とステージ202を第1の方向(X方向)に移動させる(走査ステップ110)。
【0070】
続いて、研磨方法は、走査ステップ110におけるステージ202のX方向の移動に応じて第3の駆動機構280を用いて複数の基板保持機構200を上下方向(Z方向)に移動させる(上下駆動ステップ112)。上下駆動ステップ112は、ステージ202が接近している基板保持機構200を下降させてステージ202との干渉を防ぐとともに、ステージ202が通過したら下降させた基板保持機構200を上昇させて再度基板300を支持させることによって行われる。
【0071】
続いて、研磨方法は、走査ステップ110によって複数の研磨ヘッド201とステージ202が反対側のマスク210に到達したか否かを判定する(判定ステップ113)。研磨方法は、複数の研磨ヘッド201とステージ202が反対側のマスク210に到達していないと判定されたら(判定ステップ113、No)、走査ステップ110へ戻って処理を繰り返す。一方、研磨方法は、複数の研磨ヘッド201とステージ202が反対側のマスク210に到達したと判定されたら(判定ステップ113、Yes)、加圧ステップ108による加圧を解除し(ステップ114)、基板300の研磨処理が終了したか否かを判定する(判定ステップ116)。
【0072】
研磨方法は、基板300の研磨処理が終了していないと判定された場合には(判定ステップ116、No)、現在使用中の研磨工具302を前回ドレッシングした後の研磨時間またはX方向のストローク回数などに基づいて、研磨工具302の再生が必要か否かを判定する(判定ステップ117)。研磨方法は、研磨工具302の再生が必要であると判定された場合には(判定ステップ117、Yes)、研磨ヘッド201の回転を停止させる(ステップ118)。続いて、研磨方法は、第1の駆動機構500を用いて複数の研磨ヘッド201を工具再生部材211の位置へ移動させ、工具再生部材211を用いて研磨工具302のドレッシングを行う(ドレッシングステップ119)。研磨方法は、ドレッシングステップ119が終了したら、移動ステップ105へ戻って処理を繰り返す。一方、研磨方法は、研磨工具302の再生が不要であると判定された場合には(判定ステップ117、No)、第4の駆動機構550を用いて複数の研磨ヘッド201を第2の方向(Y方向)に移動させる(移動ステップ120)。移動ステップ120は、第1および第2の実施形態のようにステージ202が加圧機構208を含む場合には、第5の駆動機構650を用いて複数の研磨ヘッド201と同期してステージ202もY方向に移動させる。また、移動ステップ120は、第3の実施形態のようにステージ202が定盤229を含むが、定盤229のY方向の長さが複数の研磨ヘッド201のY方向の長さと同等である場合には、第5の駆動機構650を用いて複数の研磨ヘッド201と同期してステージ202もY方向に移動させる。一方、移動ステップ120は、第3の実施形態のようにステージ202が定盤229を含み、定盤229のY方向の長さが複数の研磨ヘッド201のY方向の長さとY方向の移動分とを併せた長さ以上である場合には、ステージ202をY方
向へ移動させなくてもよい。研磨方法は、移動ステップ120の後、加圧ステップ108へ戻って処理を繰り返す。
【0073】
研磨方法は、基板300の研磨処理が終了したと判定された場合には(判定ステップ116、Yes)、研磨ヘッド201の回転を停止させる(ステップ122)。続いて、研磨方法は、第1の駆動機構500を用いて複数の研磨ヘッド201を工具再生部材211の位置へ移動させ、工具再生部材211を用いて研磨工具302のドレッシングを行う(ドレッシングステップ124)。次に、研磨方法は、ハンド400を用いて基板300の搬出処理を行う(搬出ステップ126)。搬出ステップ126は、ハンド400を基板300の下方に差し込み、基板保持機構200の支持部材200bを下降させることによってハンド400に基板300を乗せ、ハンド400をX方向の下流側へ退避させることによって行われる。
【0074】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0075】
本願は、一実施形態として、基板の第1の方向に沿って配置された複数の基板保持機構と、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配置された複数の研磨ヘッドと、前記複数の研磨ヘッドに対向して前記第2の方向に伸びるステージと、前記複数の研磨ヘッドと前記ステージを前記第1の方向に移動させるための駆動機構と、を含む、研磨装置を開示する。
【0076】
また、本願は、一実施形態として、前記駆動機構は、前記複数の研磨ヘッドを前記第1の方向に移動させるための第1の駆動機構と、前記ステージを前記第1の方向に移動させるための第2の駆動機構と、を含み、前記第1の駆動機構と前記第2の駆動機構は、前記複数の研磨ヘッドと前記ステージを同期して前記第1の方向に移動させるように構成される、研磨装置を開示する。
【0077】
また、本願は、一実施形態として、前記ステージの前記第1の方向の移動に応じて前記複数の基板保持機構を上下方向に移動させるための第3の駆動機構をさらに含む、研磨装置を開示する。
【0078】
また、本願は、一実施形態として、前記基板の周囲を囲み前記基板と同一の厚みを有するマスクをさらに含む、研磨装置を開示する。
【0079】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨ヘッドを前記第2の方向に移動させるための第4の駆動機構をさらに含む、研磨装置を開示する。
【0080】
また、本願は、一実施形態として、前記ステージを前記第2の方向に移動させるための第5の駆動機構をさらに含む、研磨装置を開示する。
【0081】
また、本願は、一実施形態として、前記ステージの前記第1の方向の両端部に配置されたガイド部材であって、前記ステージの上面と同等の高さに配置された第1の端部と、前記ステージの上面より低い位置に配置された第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた傾斜と、を有するガイド部材をさらに含む、研磨装置を開示する。
【0082】
また、本願は、一実施形態として、前記ステージは、前記複数の研磨ヘッドに対して前記基板を加圧するための加圧機構を含む、研磨装置を開示する。
【0083】
また、本願は、一実施形態として、前記加圧機構は、基台と、前記基台上に配置された袋状部材と、前記袋状部材に流体を供給するための流体供給部材と、を含む、研磨装置を開示する。
【0084】
また、本願は、一実施形態として、前記袋状部材の前記基板との接触面に流体を供給するための流体供給部材をさらに含む、研磨装置を開示する。
【0085】
また、本願は、一実施形態として、前記加圧機構は、基台と、前記基台上に配置され前記基板との対向面に複数の孔が形成された加圧部材と、前記加圧部材の前記複数の孔に連通する流路に流体を供給するための流体供給部材と、を含む、研磨装置を開示する。
【0086】
また、本願は、一実施形態として、前記ステージは、前記複数の研磨ヘッドによって加圧される基板を支持する平面を有する定盤を含む、研磨装置を開示する。
【0087】
また、本願は、一実施形態として、前記定盤の前記平面に流体を供給するための流体供給部材をさらに含む、研磨装置を開示する。
【0088】
また、本願は、一実施形態として、上記のいずれかの研磨装置と、前記研磨装置によって研磨された基板を洗浄するための洗浄装置と、前記洗浄装置によって洗浄された基板を乾燥するための乾燥装置と、前記研磨装置、前記洗浄装置、および前記乾燥装置間で前記基板を搬送するための搬送装置と、を含む処理システムを開示する。
【0089】
また、本願は、一実施形態として、第1の方向に沿って配置された複数の基板保持機構に基板を設置する設置ステップと、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配置された複数の研磨ヘッドと、前記複数の研磨ヘッドに対向して前記第2の方向に伸びるステージと、によって前記基板を挟んで加圧する加圧ステップと、前記複数の研磨ヘッドを回転させる研磨ステップと、前記加圧ステップおよび前記研磨ステップを行いながら前記複数の研磨ヘッドと前記ステージを前記第1の方向に移動させる走査ステップと、を含む、研磨方法を開示する。
【0090】
また、本願は、一実施形態として、前記走査ステップにおける前記ステージの前記第1の方向の移動に応じて前記複数の基板保持機構を上下方向に移動させる上下駆動ステップをさらに含む、研磨方法を開示する。
【0091】
また、本願は、一実施形態として、前記加圧ステップおよび前記研磨ステップは、前記基板の周囲を囲み前記基板と同一の厚みを有するマスクを複数の研磨ヘッドと前記ステージとによって挟んだ状態で開始される、研磨方法を開示する。
【0092】
また、本願は、一実施形態として、前記走査ステップによって前記複数の研磨ヘッドと前記ステージが前記マスクに到達したら、前記加圧ステップによる加圧を解除し、前記複数の研磨ヘッドを前記第2の方向に移動させる移動ステップをさらに含む、研磨方法を開示する。
【符号の説明】
【0093】
100 研磨装置
200 基板保持機構
201 研磨ヘッド
202 ステージ
208 加圧機構
209 制御部
210 マスク
213 洗浄装置
214 搬送装置
215 乾燥装置
224 袋状部材
225 加圧部材
225b 孔
226 流体供給部材
227 流体供給部材
229 定盤
229a 平面
229b 孔
280 第3の駆動機構
290 ガイド部材
290a 第1の端部
290b 第2の端部
290c 傾斜
300 基板
302 研磨工具
500 第1の駆動機構
550 第4の駆動機構
600 第2の駆動機構
650 第5の駆動機構
1000 処理システム