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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】検査支援装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20231129BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021089605
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022037880
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2020142089
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021002928
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永宮 研二
(72)【発明者】
【氏名】中津川 晴康
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰久
(72)【発明者】
【氏名】平上 智英
(72)【発明者】
【氏名】細野 康幸
(72)【発明者】
【氏名】北村 暢也
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-057552(JP,A)
【文献】特開2002-073816(JP,A)
【文献】特開2019-117612(JP,A)
【文献】特開2019-164608(JP,A)
【文献】特開2002-215804(JP,A)
【文献】特開2016-165331(JP,A)
【文献】特開2020-060803(JP,A)
【文献】特開2018-045468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0205704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザの第1の生体情報をモニタリングすることにより、前記第1の生体情報が異常傾向にあるか否かを判定し、
前記第1の生体情報が前記異常傾向にある場合、前記ユーザに推奨すべき複数のアクション候補であって、前記第1の生体情報に関連する第2の生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む複数のアクション候補を決定し、
前記複数のアクション候補を前記ユーザに提示し、
提示された前記アクション候補をユーザが選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付け、
指定された項目に応じた表示形態にて前記アクション候補を提示する
検査支援装置。
【請求項2】
前記検査候補は、前記第1の生体情報よりも高い精度により前記第2の生体情報を取得可能な検査候補を含む
請求項1に記載の検査支援装置。
【請求項3】
前記項目は、提示された前記アクション候補に含まれる前記検査候補をユーザが選択する際の指標となり、
前記プロセッサは、前記指定された項目に応じた表示形態にて前記検査候補を提示する
請求項に記載の検査支援装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記指定された少なくとも1つの項目に応じた少なくとも1つのスケール上での前記検査候補の表示位置を決定するための質問を前記ユーザに提示し、
前記スケール上での前記検査候補の表示位置を前記質問の回答に応じて決定し、
前記スケール上の前記決定した表示位置に前記検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて、前記検査候補を前記ユーザに提示する
請求項に記載の検査支援装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記検査候補を表すアイコンを表示した後、前記ユーザによる前記項目の追加の指定を受け付けることが可能であり、
前記項目の指定が追加された場合には、前記検査候補を表すアイコンの表示形態を更新する
請求項に記載の検査支援装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記ユーザにより検査候補が選択されるまで、前記項目の追加の指定の受け付け、前記追加された項目に応じた質問の提示、および前記検査候補の表示態様の更新を繰り返す
請求項に記載の検査支援装置。
【請求項7】
前記項目は、検査に要する費用、被検体の採取時の安心感、検査時の拘束度、侵襲性か非侵襲性か、検査結果が得られるまでの所要時間、各種病気に対するリスクチェックを含むか否か、および検査の精度の少なくとも1つを含む
請求項からのいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、被検体の種類の指定を含み、かつ当該被検体から前記第2の生体情報を取得するための複数の検査方法の中から、前記検査候補を選択的に決定する
請求項1からのいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記異常傾向の程度に応じて前記検査候補を決定する
請求項1からのいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記第1の生体情報が前記異常傾向にあると判定した時点から現時点までの経過時間に応じて、前記検査候補を決定する
請求項1からのいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記ユーザが有するリスク因子に応じて前記検査候補を決定する
請求項1から10のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、過去に選択された検査候補の統計情報を前記ユーザに提示する
請求項1から11のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項13】
前記第1の生体情報は血糖値と相関を有する血糖相当値であり、
前記第2の生体情報は血糖値およびHbA1cの少なくとも一方を含む
請求項1から12のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項14】
前記異常傾向は食後高血糖スパイクである
請求項1から13のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記ユーザの食事内容に基づいて前記検査候補を決定する
請求項14に記載の検査支援装置。
【請求項16】
前記第1の生体情報は心拍、血圧、呼吸、心電図、最大酸素摂取量、動脈血酸素飽和度および体温の少なくとも1つであり、
前記第2の生体情報は前記ユーザの病気の診断結果である
請求項1から12のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記第1の生体情報が異常傾向にないと判定された場合、前記第1の生体情報のモニタリングの結果に応じた通知を行う
請求項1から16のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項18】
前記第1の生体情報は前記ユーザに装着された測定器により取得される
請求項1から17のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項19】
前記測定器はウェアラブルである
請求項18に記載の検査支援装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記第1の生体情報が前記異常傾向にあるか否かを判定できない場合、前記測定器の装着時間を増やす通知を行う
請求項18または19に記載の検査支援装置。
【請求項21】
前記第1の生体情報を取得するセンサを備えた
請求項1から17のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項22】
ウェアラブルである
請求項21に記載の検査支援装置。
【請求項23】
前記アクション候補は、前記ユーザに対する推奨行動をさらに含む
請求項1から22のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項24】
前記プロセッサは、
前記第2の生体情報を取得し、
取得した前記第2の生体情報に応じて、前記第1の生体情報のモニタリングを継続すべきか否かを判定する
請求項1から23のいずれか1項に記載の検査支援装置。
【請求項25】
ユーザの第1の生体情報をモニタリングすることにより、前記第1の生体情報が異常傾向にあるか否かを判定し、
前記第1の生体情報が前記異常傾向にある場合、前記ユーザに推奨すべき複数のアクション候補であって、前記第1の生体情報に関連する第2の生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む複数のアクション候補を決定し、
前記複数のアクション候補を前記ユーザに提示し、
提示された前記アクション候補をユーザが選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付け、
指定された項目に応じた表示形態にて前記アクション候補を提示する
検査支援方法。
【請求項26】
ユーザの第1の生体情報をモニタリングすることにより、前記第1の生体情報が異常傾向にあるか否かを判定する手順と、
前記第1の生体情報が前記異常傾向にある場合、前記ユーザに推奨すべき複数のアクション候補であって、前記第1の生体情報に関連する第2の生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む複数のアクション候補を決定する手順と、
前記複数のアクション候補を前記ユーザに提示する手順と、
提示された前記アクション候補をユーザが選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付ける手順と、
指定された項目に応じた表示形態にて前記アクション候補を提示する手順と、
をコンピュータに実行させる検査支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、検査支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートウォッチ等のウェアラブル端末により、脈拍、血圧、呼吸、心電図、最大酸素摂取量、血糖相当値および体温等の生体情報をモニタリングし、モニタリングした生体情報に基づいて、健康増進および病気の予防を管理することが普及し始めている。また、生体情報に関するビッグデータを用いて、AI(Artificial Intelligence)を学習することにより、高い精度で病気および罹患する可能性がある病気を特定することも行われつつある。
【0003】
また、生体情報を用いて、ユーザに対して健康管理情報を提供する手法が提案されている。例えば、特許文献1においては、ウェアラブル端末により取得した血糖値モニタリング結果において異常が見られた場合に、運動の内容および食事内容等の推奨行動プランを提示する手法が提案されている。また、特許文献2においては、ウェアラブル端末により取得した食後血糖値が設定範囲内にあるか否かを判定し、設定範囲内にない場合には、血液検査キットを用いた自己採血を行う推奨日時をユーザに報知する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-259827号公報
【文献】国際公開第2019/188909号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法では、ユーザに提示されるのは推奨行動プランのみである。このため、特許文献1に記載された手法では、モニタリング結果に異常傾向が見られる場合に、生体情報の現状を高精度に把握することはできない。また、特許文献2に記載された手法は、血液検査キットを用いた自己採血を行う推奨日時を提示するのみである。このため、特許文献2に記載された手法においては、モニタリングの結果、生体情報に異常傾向が見られる場合であっても、ユーザが取り得る追加の検査の選択肢は、血液検査キットを用いた自己採血のみしかない。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、生体情報の異常傾向に応じた検査を含むアクションをユーザが取ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による検査支援装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、ユーザの第1の生体情報をモニタリングすることにより、第1の生体情報が異常傾向にあるか否かを判定し、第1の生体情報が異常傾向にある場合、ユーザに推奨すべき複数のアクション候補であって、第1の生体情報に関連する第2の生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む複数のアクション候補を決定し、複数のアクション候補をユーザに提示し、提示されたアクション候補をユーザが選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付け、指定された項目に応じた表示形態にてアクション候補を提示する
【0008】
「提示する」とは、アクション候補をユーザに認識させるようにすることであり、アクション候補をディスプレイに表示すること、ディスプレイに表示するために装置から出力すること、あるいは音声によりアクション候補を出力することを含む。
【0009】
本開示による検査支援装置において、検査候補は、第1の生体情報よりも高い精度により第2の生体情報を取得可能な検査候補を含むものであってもよい。
【0011】
本開示による検査支援装置において、項目は、提示されたアクション候補に含まれる検査候補をユーザが選択する際の指標となり、プロセッサは、指定された項目に応じた表示形態にて検査候補を提示するものであってもよい。
【0012】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、指定された少なくとも1つの項目に応じた少なくとも1つのスケール上での検査候補の表示位置を決定するための質問をユーザに提示し、スケール上での検査候補の表示位置を質問の回答に応じて決定し、スケール上の決定した表示位置に検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて、検査候補をユーザに提示するものであってもよい。
【0013】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、検査候補を表すアイコンを表示した後、ユーザによる項目の追加の指定を受け付けることが可能であり、項目の指定が追加された場合には、検査候補を表すアイコンの表示形態を更新するものであってもよい。
【0014】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、ユーザにより検査候補が選択されるまで、項目の追加の指定の受け付け、追加された項目に応じた質問の提示、および検査候補の表示態様の更新を繰り返すものであってもよい。
【0015】
本開示による検査支援装置において、項目は、検査に要する費用、被検体の採取時の安心感、検査時の拘束度、侵襲性か非侵襲性か、検査結果が得られるまでの所要時間、各種病気に対するリスクチェックを含むか否か、および検査の精度の少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0016】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、被検体の種類の指定を含み、かつ当該被検体から第2の生体情報を取得するための複数の検査方法の中から、検査候補を選択的に決定するものであってもよい。
【0017】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、異常傾向の程度に応じて検査候補を決定するものであってもよい。
【0018】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、第1の生体情報が異常傾向にあると判定した時点から現時点までの経過時間に応じて、検査候補を決定するものであってもよい。
【0019】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、ユーザが有するリスク因子に応じて検査候補を決定するものであってもよい。
【0020】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、過去に選択された検査候補の統計情報をユーザに提示するものであってもよい。
【0021】
本開示による検査支援装置において、第1の生体情報は血糖値と相関を有する血糖相当値であり、第2の生体情報は血糖値およびHbA1cの少なくとも一方を含むものであってもよい。
【0022】
本開示による検査支援装置において、異常傾向は食後高血糖スパイクであってもよい。
【0023】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、ユーザの食事内容に基づいて検査候補を決定するものであってもよい。
【0024】
本開示による検査支援装置において、第1の生体情報は心拍、血圧、呼吸、心電図、最大酸素摂取量、動脈血酸素飽和度および体温の少なくとも1つであり、第2の生体情報はユーザの病気の診断結果であってもよい。
【0025】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、第1の生体情報が異常傾向にないと判定された場合、第1の生体情報のモニタリングの結果に応じた通知を行うものであってもよい。
【0026】
本開示による検査支援装置において、第1の生体情報はユーザに装着された測定器により取得されるものであってもよい。
【0027】
本開示による検査支援装置において、測定器はウェアラブルであってもよい。
【0028】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、第1の生体情報が異常傾向にあるか否かを判定できない場合、測定器の装着時間を増やす通知を行うものであってもよい。
【0029】
本開示による検査支援装置は、第1の生体情報を取得するセンサを備えるものであってもよい。
【0030】
本開示による検査支援装置は、ウェアラブルであってもよい。
【0031】
本開示による検査支援装置において、アクション候補は、ユーザに対する推奨行動をさらに含むものであってもよい。
【0032】
本開示による検査支援装置において、プロセッサは、第2の生体情報を取得し、取得した第2の生体情報に応じて、第1の生体情報のモニタリングを継続すべきか否かを判定するものであってもよい。
【0033】
本開示による検査支援方法は、ユーザの第1の生体情報をモニタリングすることにより、第1の生体情報が異常傾向にあるか否かを判定し、第1の生体情報が異常傾向にある場合、ユーザに推奨すべき複数のアクション候補であって、第1の生体情報に関連する第2の生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む複数のアクション候補を決定し、複数のアクション候補をユーザに提示し、提示されたアクション候補をユーザが選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付け、指定された項目に応じた表示形態にてアクション候補を提示する
【0034】
本開示による検査支援プログラムは、ユーザの第1の生体情報をモニタリングすることにより、第1の生体情報が異常傾向にあるか否かを判定する手順と、第1の生体情報が異常傾向にある場合、ユーザに推奨すべき複数のアクション候補であって、第1の生体情報に関連する第2の生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む複数のアクション候補を決定する手順と、複数のアクション候補をユーザに提示する手順と、提示されたアクション候補をユーザが選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付ける手順と、指定された項目に応じた表示形態にてアクション候補を提示する手順と、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、生体情報の異常傾向に応じた検査を含むアクションをユーザが取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本開示の実施形態による検査支援装置を適用した検査支援システムの構成を示す概略図
図2】本実施形態に係る検査支援装置のハードウェア構成図
図3】腕時計型の測定器のハードウェア構成図
図4】間質液中のグルコースを測定する測定器のハードウェア構成図
図5】本実施形態による検査支援装置の機能的な構成図
図6】2型糖尿病患者の血糖日内変動を示す図
図7】血糖相当値に関連する生体情報についての検査方法を示す表
図8】本実施形態において行われる処理を示すフローチャート
図9】本実施形態において行われる処理を示すフローチャート
図10】血糖相当値が異常傾向にない場合の通知画面を示す図
図11】アクション候補の提示画面を示す図
図12】選択した検査候補の説明が表示されたアクション候補の提示画面を示す図
図13】過去に選択された検査候補の統計情報が表示されたアクション候補の提示画面を示す図
図14】推奨行動の内容が表示されたアクション候補の提示画面を示す図
図15】検査候補をユーザが選択する際の指標となる項目の一覧画面を示す図
図16】質問提示画面を示す図
図17】スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて、検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図
図18】検査候補をユーザが選択する際の指標となる項目の一覧画面を示す図
図19】質問提示画面を示す図
図20】2つの項目が選択された場合における、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図
図21】血糖値測定器を販売するウェブサイトを案内する案内画面を示す図
図22】ブドウ糖負荷試験を行うことが可能な病院をユーザに案内する案内画面を示す図
図23】次の検査の案内画面を示す図
図24】尿糖検査の結果をユーザに問い合わせる画面を示す図
図25】測定器の装着時間を増やすことをユーザに促すための通知画面を示す図
図26】血糖相当値のモニタリング結果と、ユーザが採血により行った検査結果との比較結果を示す図
図27】新型コロナウイルス感染症の罹患者の心拍変動等の推移を示す概略図
図28】新型コロナウイルス感染症に関連する検査方法を示す表
図29】2つの項目が選択された場合における、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図
図30】2つの項目が選択された場合における、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図
図31】質問提示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0037】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本開示の第1実施形態について説明する。図1は本開示の第1実施形態による検査支援装置を適用した検査支援システムの構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態による検査支援システム1は、スマートフォン等の携帯端末2、および測定器3,4を備える。携帯端末2と測定器3,4とは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線により互いに通信可能とされている。携帯端末2は、有線または無線のネットワーク5を介して、検査サーバ6と通信可能な状態で接続されている。携帯端末2は本実施形態による検査支援装置の一例である。
【0038】
測定器3は、スマートウォッチ等の腕時計型のウェアラブル端末であり、ユーザの血糖値と相関を有する血糖相当値を常時測定する機能を有する。血糖相当値とは、血糖値と相関があり、採血によらない手法により測定される生体情報である。常時測定するとは、ユーザが測定の指示を行うことなく、例えば、15分、30分等のように、予め定められた時間間隔により自動で血糖相当値を測定することを意味する。なお、測定器3は、血糖相当値を常時測定しつつ、ユーザの指示があった場合にも血糖相当値を測定するものであってもよい。また、測定器3は、フィンガークリップのように測定時にのみユーザに装着されるタイプのものであってもよい。
【0039】
また、測定器3は、非侵襲性の血糖相当値の測定器であり、例えば赤外線をユーザに照射することにより血中のグルコースが放つ信号を解析して血糖相当値を導出する。あるいは、ユーザの心電図を測定し、心電図の変化に相関する血糖相当値を導出する。測定器3は、導出された血糖相当値を携帯端末2に送信する。
【0040】
測定器4は、侵襲性の血糖相当値の測定器である。例えば、測定器4は、ユーザに装着されて、ユーザの表皮下にある間質液中のグルコース濃度を常時測定し、測定したグルコース濃度を携帯端末2に送信する。このために、測定器4は、ユーザの表皮下に挿入される針状のフィラメント4Aを有する。グルコース濃度は血糖値と相関があるため、血糖相当値となる。
【0041】
測定器3,4により測定される血糖相当値は、第1の生体情報の一例である。なお、ユーザは、測定器3,4のいずれか一方のみを有すればよい。
【0042】
携帯端末2は、測定器3,4が測定した血糖相当値をモニタリングすることにより、血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定する。携帯端末2は、血糖相当値が異常傾向にある場合、ユーザに推奨すべき複数のアクション候補を提示する。アクション候補は、測定器3,4により測定される血糖相当値に関連する生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む。
【0043】
ここで、本実施形態においては、携帯端末2は、血糖相当値が食後高血糖スパイクの状態にあるか否かを判定することにより、血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定する。食後高血糖スパイクとは、糖尿病の初期に見られる症状であり、空腹時の血糖値が正常範囲内であっても、食後約1~2時間の血糖値が大きく上昇する症状である。食後高血糖スパイクを放置すると、血管がダメージを受け、動脈硬化および糖尿病の合併症が進みやすくなる。また、心筋梗塞、狭心症および脳卒中等の合併症が進行しやすくなると考えられている。本実施形態は、血糖相当値をモニタリングし、血糖相当値が異常傾向にあると判定されると、ユーザに対して推奨される検査候補を含む複数のアクション候補をユーザに提示することにより、食後高血糖スパイクを正確に把握するための生体情報を取得できる検査を、ユーザに受けさせるようにするものである。
【0044】
ネットワーク5は、公衆回線網または専用回線網を介して携帯端末2と検査サーバ6とを広域的に結ぶワイドエリアネットワーク (広域通信網 WAN:Wide Area Network) である。
【0045】
検査サーバ6は、血糖値に関する検査を支援する検査センターに設置されている。検査サーバ6は、本実施形態による検査支援プログラムを携帯端末2に提供したり、携帯端末2が検査支援プログラムを実行する際に必要な情報を携帯端末2に提供したりする機能を有する。検査サーバ6は、汎用のコンピュータにサーバの機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。
【0046】
検査センターは、ユーザに対して血糖値に関する検査についての各種サポートを行う。例えば、本実施形態による検査支援プログラムを提供することにより、ユーザが検査方法を選択するためのサポートを行う。また、ユーザが検査方法を選択した場合、選択した検査に必要な機器および検査キットの購入をサポートしたり、病院の検査予約をサポートしたりする。また、ユーザから配送された、ユーザが自己採血した検体を用いての検査も行う。
【0047】
次いで、本実施形態に係る検査支援装置について説明する。まず、図2を参照して、本実施形態に係る検査支援装置のハードウェア構成を説明する。図2に示すように、本実施形態による検査支援装置である携帯端末2は、スマートフォン等の携帯型のコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)11、不揮発性のストレージ13、および一時記憶領域としてのメモリ16を備える。また、携帯端末2は、タッチパネル14、近距離無線通信を行う通信I/F(InterFace)15、ネットワーク5に無線接続されるネットワークI/F17を備える。また、携帯端末2はカメラ18を備える。CPU11、ストレージ13、タッチパネル14、通信I/F15、メモリ16、ネットワークI/F17およびカメラ18は、バス19に接続される。なお、CPU11は、本開示におけるプロセッサの一例である。
【0048】
ストレージ13は、SSD(Solid State Drive)およびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ13には、携帯端末2にインストールされた検査支援プログラム12が記憶される。CPU11は、ストレージ13から検査支援プログラム12を読み出してメモリ16に展開し、展開した検査支援プログラム12を実行する。
【0049】
タッチパネル14は、液晶ディスプレイおよび有機EL等からなり、携帯端末2が行う処理に関する各種表示を行う。また、タッチパネル14は、携帯端末2に対する各種入力を行うための入力デバイスとしての機能も有する。
【0050】
カメラ18は、例えばユーザの指示により、ユーザの食事の撮影を行い、これにより食事の画像を取得する。取得した食事の画像はストレージ13に保存される。あるいは、ユーザの指示によりまたは指示を待たずに、後述するように血糖相当値のモニタリング結果と併せて、検査サーバ6に送信される。
【0051】
なお、検査支援プログラム12は、検査サーバ6に外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて携帯端末2にダウンロードされ、インストールされる。
【0052】
次いで、測定器について説明する。図3は測定器3のハードウェア構成を説明する。測定器3は、腕時計型のコンピュータであり、図3に示すように、CPU21、不揮発性のストレージ23、および一時記憶領域としてのメモリ26を備える。また、測定器3は、タッチパネル24、近距離無線通信を行う通信I/F25、外部のネットワーク(不図示)に無線接続されるネットワークI/F27、およびセンサ28を備える。CPU21、ストレージ23、タッチパネル24、通信I/F25、メモリ26、ネットワークI/F27およびセンサ28は、バス29に接続される。
【0053】
ストレージ23は、SSDおよびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ23には、測定器3にインストールされた血糖相当値を測定するための測定プログラム22が記憶される。CPU21は、ストレージ23から測定プログラム22を読み出してメモリ26に展開し、展開した測定プログラム22を実行する。
【0054】
タッチパネル24は、液晶ディスプレイおよび有機EL等からなり、測定器3が行う処理に関する各種表示を行う。また、タッチパネル24は、測定器3に対する各種入力を行うための入力デバイスとしての機能も有する。
【0055】
センサ28は、例えば赤外線光源および赤外線検出器からなり、測定器3を装着したユーザに赤外線を照射し、これにより血中のグルコースが放つ信号を検出する。センサ28が検出した信号は、測定プログラム22を実行するCPU21により解析されて、血糖相当値が導出される。また、センサ28は、心電図を測定するものであってもよい。この場合、測定プログラム22により心電図が解析されて、血糖相当値が導出される。
【0056】
なお、測定プログラム22は、検査サーバ6に外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて測定器3にダウンロードされ、インストールされる。または、測定プログラム22は携帯端末2にダウンロードされ、携帯端末2と近距離無線通信を介して測定器3にダウンロードされ、インストールされる。
【0057】
測定器3においては、センサ28が予め定められた時間間隔により血中のグルコースが放つ信号を検出する。CPU21は測定プログラム22により信号を解析し、血糖相当値を導出する。さらにCPU21は、導出された血糖相当値を通信I/F25から携帯端末2に送信する。
【0058】
次いで、測定器4について説明する。図4は測定器4のハードウェア構成図である。図4に示すように、測定器4は例えば特表2016-520379号公報に記載された、人体に装着して、表皮下の間質液中のグルコース濃度を血糖相当値として測定する測定器である。測定器4は、プロセッサ31、一時記憶領域としてのメモリ32、近距離無線通信を行う通信I/F33およびセンサ34を備える。センサ34には、表皮下に挿入される針状のフィラメント4Aが接続されている。プロセッサ31、メモリ32、通信I/F33およびセンサ34は、間質液中のグルコースを測定する用途の集積回路(ASIC(Application Specific Integrated Circuit))35からなる。
【0059】
測定器4においては、センサ34が、予め定められた時間間隔により、またはユーザによる測定の指示により、表皮下の間質液中のグルコース濃度を表す信号を検出する。プロセッサ31は信号を解析して、グルコース濃度を導出する。さらにプロセッサ31は、導出されたグルコース濃度を通信I/F33から携帯端末2に送信する。
【0060】
次いで、本実施形態による検査支援装置の機能的な構成を説明する。図5は、本実施形態による検査支援装置すなわち携帯端末2の機能的な構成を示す図である。図5に示すように、携帯端末2は、情報取得部41、判定部42、決定部43および提示部44を備える。そして、CPU11は、検査支援プログラム12を実行することにより、情報取得部41、判定部42、決定部43および提示部44として機能する。なお、以降の説明においては、ユーザは測定器3を有し、測定器3が測定した血糖相当値を携帯端末2によりモニタリングするものとする。
【0061】
情報取得部41は、測定器3の通信I/F25から送信された血糖相当値を通信I/F15によって受信することにより取得する。なお、測定器3からは、基本的に常時、すなわち予め定められた時間間隔にて血糖相当値が送信されるため、情報取得部41は、血糖相当値を常時取得することとなる。情報取得部41が取得した血糖相当値は、取得した日時と対応づけられてストレージ13に保存される。
【0062】
判定部42は、情報取得部41が取得した血糖相当値をモニタリングすることにより、血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定する。具体的には、判定部42は、血糖相当値が食後高血糖スパイクの状態にあるか否かを判定する。ここで、食後高血糖について説明する。図6は2型糖尿病患者の血糖日内変動を示す図である。図6において、横軸は1日の時間(24時間)、縦軸は血糖値(mg/dL)である。実線はHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が9%以上の患者の血糖値を示す。破線はHbA1cが7~8%未満の患者の血糖値を示す。一点鎖線はHbA1cが6.5%~7%未満の患者の血糖値を示す。また、図6においては8時頃に朝食を、12時頃に昼食を、19時頃に夕食を取った場合の血糖値の変動を示している。なお、HbA1cは、血液中の赤血球成分であるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものである。HbA1cは1~2ヶ月の血糖の変動を表す。
【0063】
図6に示すように、HbA1cがいずれの値であっても、食後に血糖値の上昇が見られるが、HbA1cが大きいほど、とくに朝食後に血糖値が大きく上昇する食後高血糖スパイクが顕著に表れる。朝食後の食後高血糖スパイクを分かりやすくするために、図6においては8時の位置に線が付与されている。
【0064】
判定部42は、測定器3から送信される血糖相当値をモニタリングし、血糖相当値の時間変動が予め定められたしきい値Th1以上となった場合に、血糖相当値が異常傾向にあると判定する。本実施形態において、時間変動とは、今回測定した血糖相当値と直近の血糖相当値との差である。また、直近の複数のタイミングにおいて取得された血糖相当値も加味して、血糖相当値の時間変動を求めるようにしてもよい。
【0065】
本実施形態においては、判定部42は、血糖相当値の変動がしきい値Th2以上である場合に、食後高血糖スパイクが大きいと判定する。なお、Th2>Th1である。また、判定部42は、血糖相当値の変動がしきい値Th3以上しきい値Th2未満である場合に、食後高血糖スパイクが小さいと判定する。なお、Th2>Th3>Th1である。また、判定部42は、血糖相当値の変動がしきい値Th1以上しきい値Th3未満である場合に、血糖値が高めであるため注意が必要であると判定する。また、判定部42は、空腹時の血糖値が予め定められたしきい値Th4以上である場合に、空腹時血糖が高めであると判定する。
【0066】
なお、判定部42は、血糖相当値が異常傾向にないと判定した場合、その旨の通知を行う。通知については後述する。
【0067】
一方、判定部42における判定の補助のために、ユーザは、測定器3から食事時間を携帯端末2に送信するようにしてもよい。または、携帯端末2に食事時間を入力するようにしてもよい。あるいは、携帯端末2のカメラ18により食事を撮影し、撮影した時間を食事時間として判定の補助に使用するようにしてもよい。これにより、正確な食事時間を基準とした血糖相当値の上昇傾向を判定することができる。
【0068】
決定部43は、判定部42により、血糖相当値が異常傾向にあると判定された場合に、ユーザに推奨すべき複数のアクション候補を決定する。アクション候補は、血糖相当値に関連する生体情報を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む。また、決定部43は、異常傾向の程度に応じて検査候補を決定する。
【0069】
図7は、血糖相当値に関連する生体情報についての検査方法を示す表である。図7においては、12種類の検査方法(1)~(12)について、検査種類、検査場所、費用、所要時間および測定される生体情報が検査情報として示されている。
【0070】
検査方法(1)の血糖相当のモニタリングは、測定器4を用いた血糖相当値のモニタリングを行う検査である。検査方法(2)の自己尿糖検査は、専用の測定装置を用いてユーザの尿に含まれる尿糖を検出する検査である。尿糖は尿に漏れ出すグルコースである。なお、尿糖検査は試験紙を用いた検査もある。検査方法(3)~(6)の自宅で行う自己採血の検査には、自宅で完結するもの(検査方法(3)、(4))と自己採血した血液を、外部検査機関である検査センターに配送するもの(検査方法(5)、(6))とがある。なお、検査方法(3)は、血糖値測定器(SMBG:Self Monitoring of Blood Glucose))により血糖値を測定する検査である。検査方法(4)に記載された(数項目)は、血糖値に加えて幾つかの検査を行う検査方法であることを意味する。図7においては、幾つかの検査方法を「+α」で示している。
【0071】
なお、検査方法(1)、(2)は、採血による検査と比較すると精度は低い。しかしながら、測定器3による血糖相当値に加えて検査方法(1)、(2)による検査結果を参照することにより、測定器3による血糖相当値のみを用いる場合よりも、ユーザの血糖の傾向をより精度よく認識することができることとなる。
【0072】
検査方法(7)~(9)の薬局等の検査は、薬局、駅前および専用場所(例えばコンビニエンスストア)等に設置された検査装置を用いた血液検査である。検査方法(10)~(12)の病院で行う検査は、ユーザが病院へ出かけた上で、医療従事者が採血を行う検査である。また、病院で行う検査のうち、検査方法(11)のGA検査はグリコアルブミンの検査であり、1,5AG検査は、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールの検査である。グルコアルブミンは、血清中のタンパクの一種であるアルブミンとブドウ糖とが結合したものであり、1~2週間前の血糖値の状況を知ることができる生体情報である。1,5AGは、血液中の糖で、ブドウ糖の次に多く含まれる糖である。1,5AGを生体情報として測定することにより、過去数日間の血糖値の状況を知ることができる。GA検査、1,5AG検査およびブドウ糖負荷試験は、いずれも食後高血糖に特化した検査である。このため、検査方法の欄に「特化した検査」と示されている。また、検査方法(6)、(9)には、生体情報の欄に12項目、13項目とそれぞれ記載されているが、これは検査項目がそれぞれ12個、13個あることを表す。なお、これらの検査項目には血糖値およびHbA1cを生体情報として測定する検査を含むものとする。
【0073】
検査方法(1)~(12)により得られる生体情報である、グルコース、尿糖、血糖値、HbA1c、グリコアルブミンおよび1,5AGが、血糖相当値に関連する第2の生体情報の一例である。
【0074】
また、図7には、提示された検査候補をユーザが選択する際の指標となる各種項目が示されている。具体的には、検査に要する費用(費用)、被検体の採取時の安心感(安心感)、検査時の拘束度(拘束度)、侵襲性か非侵襲性か(侵襲性)、検査結果が得られるまでの所要時間(所要時間)、各種病気に対するリスクチェックを含むか否か(リスクチェック)、および検査の精度(精度)の項目が示されている。各項目の欄には、検査方法毎に好ましさの程度が示されている。好ましさの程度は、好ましい順に、A、B、C、DおよびFの記号で表されている。Aは非常に好ましい、Bは好ましい、Cはどちらとも言えない、Dは好ましくない、Fは非常に好ましくないことをそれぞれ表す。
【0075】
費用については、安価であるほど好ましさの程度が大きくなる。安心感については、被検体の採取(例えば採血)に対するユーザの不安が小さいほど大きくなる。例えば、医療従事者による採血はユーザにとっては安心感が高いものである。拘束度については、外出の有無および待ち時間により好ましさの程度が変動し、外出がなく、待ち時間が少ないほど大きくなる。なお、GA検査および1,5AG検査、並びにブドウ糖負荷試験は、検査ができる病院が限られているため、拘束度についての好ましさの程度は「F」となっている。
【0076】
侵襲性については、痛みを伴うことなく検体を取得できる場合に好ましさの程度が大きくなる。なお、ブドウ糖負荷試験は、ブドウ糖負荷後に採血を3回行う必要があるため、侵襲性についての好ましさの程度は「F」となっている。
【0077】
所要時間については、短いほど好ましさの程度が大きくなる。各種病気に対するリスクチェックについては、検査項目が多く、糖尿病以外の他の病気に関する検査を含む場合に、好ましさの程度が大きくなる。精度については、とくに食後高血糖に対する検出の精度が高いほど、好ましさの程度が大きくなる。
【0078】
また、図7には、血糖相当値の各種異常傾向が示されている。具体的には、食後高血糖スパイクが大きいこと、食後高血糖スパイクが小さいこと、空腹時血糖が高めであること、および血糖値に注意が必要であること(血糖値注意要)が示されている。
【0079】
また、図7には、異常傾向のそれぞれについて、検査候補とすべき検査方法の欄に○が付与されている。すなわち、食後高血糖スパイクが大きい場合には、病院での食後高血糖に特化した検査方法(11)、(12)を含む5種類の検査方法(3)、(4)、(6)、(11)、(12)に○が付与されている。なお、検査方法(3)、(4)、(6)については、食後高血糖スパイクの判定のために食後の採血が必須となっている。食後高血糖スパイクが小さい場合には、自宅あるいは薬局等で行う検査方法(7)~(9)を含む8種類の検査方法(3)~(10)に○が付与されている。また、空腹時血糖が高めの場合には、多項目の検査方法(4)、(6)、(9)に○が付与されている。また、血糖値に注意が必要な場合には、決定部43は、検査方法(1)、(2)に○が付与されている。
【0080】
本実施形態においては、図7に示す表がテーブルとしてストレージ13に保存されている。決定部43は、ストレージ13に保存されたテーブルを参照して、判定部42が判定した血糖相当値の異常傾向に応じて検査候補を決定する。具体的には、判定部42により判定された異常傾向が、食後高血糖スパイク大である場合、決定部43はテーブルを参照して、検査方法(3)、(4)、(6)、(11)、(12)を検査候補に決定する。また、判定部42により判定された異常傾向が、食後高血糖スパイク小である場合、決定部43は検査方法(3)~(10)を検査候補に決定する。また、判定部42により判定された異常傾向が、空腹時の血糖値が高めである場合、決定部43は検査方法(4)、(6)、(9)を検査候補に決定する。また、判定部42により判定された異常傾向が、血糖値が高めである場合、決定部43は検査方法(1)、(2)を検査候補に決定する。
【0081】
なお、携帯端末2のカメラ18を用いてユーザが食事を撮影した場合には、決定部43は、食事の画像に基づいて食事内容を判別し、食事内容に応じて検査候補を決定してもよい。例えば、判定部42により判定された異常傾向が、食後高血糖スパイク小である場合において、食事内容を判別した結果、糖分が少ない食事内容であった場合、食事の影響により食後高血糖スパイクが小さいと考えられる。このため、血糖相当値の異常傾向を、食後高血糖スパイク大に変更し、検査方法(3)、(4)、(6)、(11)、(12)を検査候補に決定するようにしてもよい。
【0082】
提示部44は、決定部43が決定した検査候補を含む複数のアクション候補をユーザに提示する。本実施形態においては、提示部44は、決定部43が決定した検査候補をタッチパネル14に表示することにより、検査候補を含む複数のアクション候補をユーザに提示する。
【0083】
以下、本実施形態において行われる処理について説明する。図8および図9は本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。血糖相当値をモニタリングするために、情報取得部41は、測定器3から送信された血糖相当値を通信I/F15が受信したか否かを監視しており(ステップST1)、ステップST1が肯定されると、判定部42は、まず血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定する(ステップST2)。ステップST2が否定されると、判定部42は、血糖相当値が異常傾向にない旨の通知を行い(ステップST3)、ステップST1に戻る。図10は、血糖相当値が異常傾向にない場合の通知画面を示す図である。図10に示すように、通知画面50には、「血糖値は異常傾向にありません。このままの生活習慣を続けてください。」の通知51が表示される。
【0084】
ステップST2が肯定されると、判定部42が、血糖相当値の異常傾向の程度を判定する。まず、判定部42は、血糖相当値のモニタリング結果に基づいて、ユーザの空腹時の血糖値がしきい値Th4以上であるか否かを判定する(ステップST4)。ステップST4が肯定されると、決定部43は、空腹時血糖が高めの場合の検査方法を検査候補に決定する(ステップST5)。ステップST4が否定された場合およびステップST5に続いて、判定部42は、血糖相当値の変動がしきい値Th2以上であるか否かを判定する(ステップST6)。
【0085】
ステップST6が肯定されると、決定部43は、図7に示す表に含まれる検査方法のうち、食後高血糖スパイクが大きい場合の検査方法を検査候補に決定する(ステップST7)。ステップST6が否定されると、判定部42は、血糖相当値の変動値がしきい値Th3以上しきい値Th2未満であるか否かを判定する(ステップST8)。ステップST8が肯定されると、決定部43は、図7に示す表に含まれる検査方法のうち、食後高血糖スパイクが小さい場合の検査方法を検査候補に決定する(ステップST9)。ステップST8が否定されると、決定部43は、図7に示す表に含まれる検査方法のうち、血糖値に注意が必要である場合の検査方法を検査候補に決定する(ステップST10)。ステップST7、ステップST9およびステップST10に続いて、提示部44が、決定された検査候補を含む複数のアクション候補をユーザに提示する(ステップST11)。
【0086】
図11はアクション候補の提示画面を示す図である。図11に示すようにアクション候補の提示画面52には、例として食後高血糖スパイク大の場合の検査候補を含む複数のアクション候補53が表示される。アクション候補53には5つの検査候補と1つの推奨行動とが含まれる。推奨行動は、ユーザに対して推奨される行動を表す。5つの検査候補は、検査方法(3)の自宅自己採血血糖値測定、検査方法(4)の自宅自己採血(数項目)、検査方法(6)の自宅自己採血配送(多項目)、検査方法(11)の病院での特化した検査(GA検査および1,5AG検査)、並びに検査方法(12)の病院での特化した検査(ブドウ糖負荷試験)である。また、提示画面52は、統計情報参照ボタン54、項目選択ボタン55および決定ボタン56を含む。統計情報参照ボタン54は、後述するように統計情報を表示するためのものである。項目選択ボタン55は、後述するようにユーザが検査候補を選択する際の指標となる項目の一覧画面を表示するためのものである。決定ボタン56は、検査候補を決定するためのものである。
【0087】
なお、空腹時の血糖値が高めの場合の検査候補と、食後高血糖スパイクが大きい場合の検査候補、食後高血糖スパイクが小さい場合の検査候補および血糖値に注意が必要な場合の検査候補とは、重複する場合がある。このため、例えば食後高血糖スパイクが大きくかつ空腹時の血糖値が高めの場合には、アクション候補53には双方の検査候補が含まれることとなる。
【0088】
アクション候補53に含まれる各検査候補および推奨行動は選択可能とされており、ユーザがアクション候補に含まれる検査候補または推奨行動を選択すると、選択した検査候補または推奨行動の内容説明が表示される。例えば、ユーザが5つの検査候補のうちの「病院、特化した検査(ブドウ糖負荷試験)」を選択すると、図12に示すように、「これは、食後高血糖に特化して検査であって、A病院、B病院、C病院のいずれかに行って、ブドウ糖を飲む前に採血、飲んだ後の30分、60分、120分に採血して、各々の時間での血糖値を検査することで食後高血糖の程度を判断する。」の説明57が、項目選択ボタン55と決定ボタン56との間に表示される。この状態でユーザが決定ボタン56を選択すると、選択した検査候補が、ユーザが行う検査方法に決定される。検査方法が決定された以降の処理については後述する。
【0089】
なお、検査方法(3)、(4)および(6)は、食後の採血が必須である。このため、検査方法(3)、(4)および(6)が選択された場合の説明には、食後の採血が必須であることが含まれる。
【0090】
また、ユーザが統計情報参照ボタン54を選択すると、過去に選択された検査候補の統計情報が表示される。ここで、検査候補はユーザの血糖相当値の異常傾向に応じて複数選択されてユーザに提示され、ユーザは複数の検査候補の内の1つの検査候補を選択して検査を行う。統計情報とは、複数の検査候補のそれぞれについて、現在検査を行っているユーザおよびまたは他のユーザにより、過去に選択された割合を表す。なお、統計情報は、ユーザの血糖相当値の異常傾向と同様の異常傾向の検査候補について、過去にいずれの検査候補が選択されたかを集計することにより導出される。例えば、ユーザの血糖相当値の異常傾向が食後高血糖スパイク大であれば、検査方法(3)、(4)、(6)、(11)、(12)についての統計情報が表示される。また、ユーザの血糖相当値の異常傾向が食後高血糖スパイク小であれば、検査方法(3)~(10)についての統計情報が表示される。
【0091】
図13は、検査候補の統計情報が表示されたアクション候補の提示画面を示す図である。図13に示すように、提示された5つの検査候補のそれぞれについての統計情報58が、項目選択ボタン55と決定ボタン56との間に表示される。図13に示すように、統計情報58においては、過去に各検査候補が選択された割合が百分率で示されている。なお、統計情報58は検査サーバ6に保存されており、統計情報参照ボタン54が選択されると、携帯端末2が検査サーバ6にアクセスして統計情報58を取得し、ユーザに提示する。
【0092】
統計情報58が表示された場合においても、ユーザがいずれかの検査候補を選択して決定ボタン56を選択すると、選択した検査候補がユーザが行う検査方法に決定される。
【0093】
また、ユーザがアクション候補53に含まれる推奨行動を選択すると、ユーザの血糖相当値に応じて、ユーザに推奨される行動が表示される。例えば、図14に示すように、「食事内容に気をつけましょう。野菜から先に食べるようにしましょう。食後の運動は血糖値の上昇を抑えるのに効果的です。」の推奨行動59が、項目選択ボタン55と決定ボタン56との間に表示される。
【0094】
決定部43は、アクション候補の提示後、決定ボタン56が選択されたか否かを判定し(ステップST12)、ステップST12が肯定されると、後述するステップST20の処理に進む。ステップST12が否定されると、決定部43は、項目選択ボタン55が選択されたか否かを判定する(項目選択;ステップST13)。ステップST13が否定されると、ステップST11に戻る。ステップST13が肯定されると、提示部44は項目の一覧を表示する(ステップST14)。
【0095】
図15は項目の一覧を表示する一覧画面を示す図である。図15に示すように、項目の一覧画面60には、「いずれの項目を重視しますか?」のテキストが表示される。また、一覧画面60には、検査候補を選択する際の指標となる項目として、検査に要する費用、採血時の安心感、検査時の拘束度、侵襲性であること、検査結果が得られるまでの所要時間、各種病気に対するリスクチェックを含むこと、および検査の精度が表示される。また、各項目にはチェックボックス61が付与されている。ユーザは自身が検査情報を選択する際に重視したいいずれかの項目のチェックボックスをチェックすることにより項目を指定して、項目指定ボタン62を選択する。このために、決定部43は、項目指定ボタン62が選択されたか否かを判定する(ステップST15)。ステップST15が否定されるとステップST14に戻る。ステップST15が肯定されると、決定部43は、指定された項目に応じた、後述するスケール上での検査候補の表示位置を決定するための質問をユーザに提示する(ステップST16)。
【0096】
図16は質問提示画面を示す図である。なお、説明のために、ここでは、ユーザは「検査結果が得られるまでの所要時間」を検査候補を選択する際の指標となる項目として選択したものとする。図16に示すように、質問提示画面65には、4つの質問Q1~Q4が表示される。質問Q1は、「血糖値測定装置を持っていますか?」であり、質問Q2は、「自己採血測定器(数項目)を持っていますか?」であり、質問Q3は、「配送用検査キットを持っていますか?」であり、質問Q4は、「病院にはいつ頃行けますか?」である。質問Q1~Q3に対しては、ユーザはYESかNOで回答し、YESの場合には、入力ボックス67A~67Cに採血日時を入力する。また、質問Q4に対しては、病院に行けそうな日時を入力ボックス67Dに入力する。ここで、ユーザは、血糖値測定装置、自己採血測定器および配送用検査キットのいずれも持っていないために、質問Q1~Q3に対していずれもNOと回答したものとする。また、質問Q4については明日の日付を入力したものとする。
【0097】
ユーザが回答後に回答終了ボタン66を選択すると、決定部43は、指定された項目に応じたスケール上において検査候補を表示する位置を決定する。そして提示部44が、スケール上の決定した表示位置に、検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する(検査候補スケール提示;ステップST17)。ここで、本実施形態においては、「検査結果が得られるまでの所要時間」が検査候補を選択する際の指標となる項目として選択されている。このため、決定部43は、質問の回答に応じて検査結果が得られるまでの所要時間を導出し、所要時間を表すスケール上における、検査候補の表示位置を決定する。そして、提示部44は、決定したスケール上の表示位置に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて、検査候補をユーザに提示する。
【0098】
図17は、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて、検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図である。図17に示すように、提示画面68には、所要時間を表すスケール69が表示され、5つの検査候補のアイコン70A~70Eが所要時間に応じてスケール69に沿って並べられて表示される。図17に示すように、病院での検査方法(11)、(12)に対応する検査候補のアイコン70A,70Bのスケール69上での表示位置は「明日」となっている。これは、質問Q4に対して、ユーザが明日病院に行ける旨、回答したからである。また、自宅自己採血の検査方法(4)に対応する検査候補のアイコン70Cおよび検査方法(3)に対応する検査候補のアイコン70Dのスケール69上での表示位置は「3日後」となっている。「3日」は血糖値測定装置、自己採血測定器および配送用検査キットを、検査センターからユーザに配送するために要する時間である。また、自宅自己採血配送である検査方法(6)に対応する検査候補のアイコン70Eのスケール69上での表示位置は「7日後」となっている。これは、検査キットを検査センターからユーザに配送し、ユーザが採血した結果を検査センターに配送し、検査センターで検査を行い、検査結果がユーザの携帯端末2に送信されるまでに要する時間である。
【0099】
なお、仮にユーザが血糖値測定装置を持っていて、直ちに採血する旨の回答を行った場合、所要時間は例えば「5分」となる。また、ユーザが配送用検査キットを持っていれば、検査キットをユーザに配送するために要する日数である3日が7日から差し引かれて、所要日時が「4日後」として導出される。
【0100】
ユーザは提示画面68により、提示された検査候補についての所要日時を一見して認識することが可能となる。これにより、ユーザが重視する項目に応じた検査候補の比較を容易に行うことができる。
【0101】
ユーザは、提示画面68において検査候補のアイコンを選択し、決定ボタン71を選択することにより、ユーザが所望する検査方法を決定することができる。また、項目選択ボタン72を選択することにより、検査候補を選択する際の指標となる項目を追加で指定することができる。このために、決定部43は、ステップST17に続いて、項目選択ボタン72が選択されたか否かを判定する(ステップST18)。ステップST18が肯定されるとステップST14に戻り、ステップST14~ステップST18の処理が繰り返される。ステップST18が否定されると、決定部43は、決定ボタン71が選択されたか否かを判定する(ステップST19)。ステップST19が肯定されると、後述するステップST20の処理に進む。ステップST19が否定されると、ステップST17の処理に戻る。
【0102】
図18はステップST18が肯定されることにより、2回目に表示される項目の一覧画面を示す図である。図18に示すように、項目の一覧画面60に表示されたチェックボックス61のうち、「検査結果が得られるまでの所要時間」のチェックボックスはすでにチェックされている。ユーザは、項目の一覧画面60において、さらに項目を選択することができる。ここで、ユーザがさらに「検査に要する費用」を選択したとする。決定部43は、「検査に要する費用」に応じた、スケール上での検査候補の表示位置を決定するための質問をユーザに提示する。
【0103】
図19は、「検査に要する費用」に関しての質問提示画面を示す図である。図19に示すように、質問提示画面74には、2つの質問Q5,Q6が提示される。質問Q5は、「測定器購入の初期投資を考慮しますか?」であり、質問Q6は、「交通費を考慮しますか?」である。ユーザはYESかNOで質問に回答する。ここでは、質問Q5,Q6のいずれに対してもYESと回答したものとする。回答後、ユーザが回答終了ボタン75を選択すると、提示部44は、検査候補を表すアイコンの表示形態を更新する。すなわち、決定部43が、追加で指定された項目に応じた追加のスケール上における検査候補の表示位置を決定し、提示部44が、提示済みのスケールおよび追加のスケール上の決定した表示位置に、検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する。
【0104】
具体的には、決定部43は、質問の回答に応じて検査に要する費用を導出し、検査に要する費用を表すスケール上における、検査候補の表示位置を決定する。そして、提示部44は、所要時間のスケールおよび検査に要する費用のスケールを直交するように表示し、直交する2つのスケール上の位置に検査候補のアイコンを表示することにより、検査候補をユーザに提示する。
【0105】
図20は、2つの項目が選択された場合における、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図である。図20に示すように、提示画面76には、所要時間を表すスケール69に直交して費用を表すスケール77が表示され、5つの検査候補のアイコン70A~70Eが所要時間および費用に応じて2次元状に並べられて表示される。図20に示すように、病院での検査方法(11)、(12)に対応する検査候補のアイコン70A,70Bのスケール69上での表示位置は「明日」であり、スケール77上での表示位置は3000円である。また、自宅自己採血の検査方法(4)に対応する検査候補のアイコン70Cのスケール69上での表示位置は「3日後」であり、スケール77上での表示位置は20000円である。自宅自己採血の検査方法(3)に対応する検査候補のアイコン70Dのスケール69上での表示位置は「3日後」であり、スケール77上での表示位置は7000円である。また、自宅自己採血配送である検査方法(6)に対応する検査候補のアイコン70Eのスケール69上での表示位置は「7日後」であり、スケール77上での表示位置は5000円である。
【0106】
ユーザは提示画面76により、提示された検査候補についての所要日時および費用を一見して認識することが可能となる。これにより、所要日時および費用の双方を考慮しての検査候補の比較を容易に行うことができる。
【0107】
提示画面76において、ユーザは検査候補のアイコンを選択し、決定ボタン71を選択することにより、ユーザが所望する検査方法を決定することができる。また、さらに項目選択ボタン72を選択することにより、検査候補を選択する際の指標となる項目を追加で指定することができる。これにより、さらに項目を追加して、ユーザが納得するまで検査候補を比較することが可能となる。
【0108】
ステップST12およびステップST19が肯定されると、提示部44は、ユーザが選択した検査方法についての案内をタッチパネル14に表示する(ステップST20)。例えば、ユーザが今後定期的に血糖値をチェックしたいとの考えから、自宅自己採血血糖値測定の検査方法を選択したとすると、提示部44は、血糖値測定器(SMBG:Self Monitoring of Blood Glucose)を販売するウェブサイトをユーザに案内する。図21は、血糖値測定器を販売するウェブサイトの案内画面を示す図である。図21に示すように、案内画面80には、血糖値測定器を購入可能なウェブサイトが複数表示される。ユーザは表示されたウェブサイトにアクセスすることにより、血糖値測定器を購入することが可能となる。
【0109】
一方、ユーザが、自身の血糖値の現状をしっかりと把握したいとの意向があり、病院でのブドウ糖負荷試験を選択した場合、提示部44は、ユーザの自宅あるいは職場の近くにある、ブドウ糖負荷試験を行うことが可能な病院をユーザに案内する。図22は、ブドウ糖負荷試験を行うことが可能な病院をユーザに案内する案内画面を示す図である。図22に示すように、案内画面81には、ユーザの職場の近くにあるブドウ糖負荷試験を行うことが可能な病院が表示される。また、提示された病院名は選択可能とされており、病院名を選択すると、ブドウ糖負荷試験を予約可能な日時の一覧82が表示される。図22においては、病院Aが選択されて、病院Aの予約可能な日時の一覧が表示された状態を示している。ユーザは「○」が付与されている日時を選択し、予約ボタン83を選択することにより、選択した病院でのブドウ糖負荷試験の検査の予約を行うことができる。
【0110】
ステップST20に続いて、決定部43は、取得したユーザの血糖相当値を、取得日時および異常傾向と対応づけてストレージ13に保存する(ステップST21)。さらに、取得したユーザの血糖相当値を、取得日時、異常傾向および選択した検査候補と対応づけ、かつユーザが特定されないように加工して、検査サーバ6に送信し(ステップST22)、処理を終了する。なお、食事の画像を取得した場合には、画像も併せて検査サーバ6に送信される。検査サーバ6においては、取得した情報が蓄積される。
【0111】
このように、本実施形態においては、ユーザの血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定し、異常傾向にある場合に、血糖相当値に関連する生体情報を取得するための検査候補を含む複数のアクション候補をユーザに提示するようにした。これにより、ユーザは、自身の血糖値の異常傾向に応じた検査を行うことを含むアクションを取ることができる。また、ユーザは、自身の血糖値の異常傾向にそぐわない検査を行うことがなくなる。したがって、ユーザに寄り添った個別化医療を推進することができる。
【0112】
また、測定器3,4よりも高い精度により、血糖相当値に関連する生体情報を取得可能な検査候補を含む複数のアクション候補を提示することにより、ユーザは、自身の血糖の状況を正確に把握可能な検査を選択することができる。したがって、ユーザは、選択した検査を受けることにより、自身の血糖の状況をより正確に把握することが可能となる。
【0113】
また、検査候補を選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付け、指定された項目に応じた表示形態にて検査候補を提示することにより、検査候補を選択する際にユーザが重視したい事項を反映した表示形態で検査候補を提示することができる。したがって、ユーザは検査候補を容易に選択することができる。
【0114】
また、指定された項目に応じたスケール上での検査候補の表示位置を決定するための質問をユーザに提示し、スケール上での検査候補の表示位置を質問の回答に応じて決定し、スケール上の決定した表示位置に検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示することにより、検査候補を選択する際の指標となる項目を反映した表示形態にて、検査候補をユーザに提示することができる。したがって、ユーザは、自身が重視する項目を考慮して、検査候補を選択することが可能となる。
【0115】
また、検査候補を選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の追加の指定を受け付け、追加で指定された項目にも応じて、検査候補を表すアイコンの表示形態を更新して検査候補をユーザに提示することにより、検査候補を選択する際の指標となる複数の項目を考慮した表示形態で検査候補を提示することができる。したがって、ユーザは検査候補を容易に選択することが可能となる。
【0116】
また、過去に選択された検査候補の統計情報をユーザに提示することにより、ユーザは自身に適した検査方法をより一層選択しやすくなる。
【0117】
また、検査サーバ6に血糖相当値、異常傾向、選択した検査候補および食事の画像等を蓄積することにより、蓄積した情報をビッグデータとして用いることが可能となる。蓄積したビッグデータは、血糖値に関連する情報を提供するAIの学習に使用したり、統計情報として用いることが可能となる。
【0118】
なお、上記第1実施形態において、ユーザが検査方法(3)を選択した場合、ユーザは血糖測定器を所持していることとなる。このため、携帯端末2において定期的にユーザに血糖値を測定することを通知することが好ましい。
【0119】
また、上記第1実施形態においては、ユーザが検査候補から検査を選択した時点で案内を行って処理を終了しているが、ユーザが選択した検査に対して、さらにステップアップするようなアクション候補を提案するようにしてもよい。例えば、図11に示すように、食後高血糖スパイクが大きい場合の5つの検査候補が提示された場合において、ユーザが自宅自己採血血糖値測定を選択した場合、次のアクション候補として、検査方法(11)の病院での特化した検査(GA検査および1,5AG検査)、または検査方法(12)の病院での特化した検査(ブドウ糖負荷試験)を案内するようにしてもよい。図23は次の検査の案内画面を示す図である。図23に示すように、案内画面85には、ユーザが選択した自宅自己採血血糖値測定であることが表示され、次のステップの検査として、病院での(食後高血糖に)特化した検査(GA検査および1,5AG検査)、および病院での特化した検査(ブドウ糖負荷試験)の2つの検査方法を勧めることが表示されている。ユーザは、案内画面85を参考に、自宅自己採血血糖値測定の次には、病院での特化した検査(GA検査および1,5AG検査)、または病院での特化した検査(ブドウ糖負荷試験)を行うことが好ましいことを認識することができる。
【0120】
なお、上記第1実施形態において、血糖値に注意が必要な場合の検査方法(2)は尿糖検査である。尿糖検査は、採血により測定される血糖値と比較すると、それほど精度が高いものではない。このため、ユーザが尿糖検査を選択して尿糖検査を行った結果、血糖値が異常と判断された場合に、採血による血糖値の測定をユーザにしてもらうことをユーザに促すことが好ましい。この場合、図24に示す、尿糖検査の結果をユーザに問い合わせる問い合わせ画面86を表示することにより、尿糖検査の結果をユーザに問い合わせ、異常なしが選択された場合には、アクション候補の提示を終了し、異常ありが選択された場合には、図11に示す、食後高血糖スパイクが大きい場合のアクション候補をユーザに提示するようにすればよい。
【0121】
また、上記第1実施形態においては、例えば血糖相当値の測定値が不足することにより、血糖値が異常傾向にあるか否かを判定できない場合がある。例えば、ユーザによる測定器3の装着時間が短く、食後高血糖スパイクを判断できるほど血糖相当値がモニタリングできていなかったり、空腹時の血糖相当値がモニタリングできていなかったりする場合がある。このような場合、判定部42は、異常傾向にあるか否かを判定することができない。このため、判定部42が異常傾向にあるか否かを判定できない場合、測定器3の装着時間を増やすことを促す通知を行うことが好ましい。図25は通知画面を示す図である。図25に示すように、通知画面87には、「測定器の装着時間を増やしてください。」の通知88が表示される。ユーザは、通知画面87により、測定器3の装着時間を増やす行動を取ることができ、これにより、これより後の血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定できるようにすることができる。
【0122】
また、上記第1実施形態においては、項目の一覧画面60において、検査候補を選択する際の指標となる項目が1つ選択される毎に、スケールを用いた表示形態にて検査候補をユーザに提示しているが、これに限定されるものではない。項目の一覧画面60において、複数の項目を一度に選択できるようにしてもよい。この場合、選択した複数の項目のそれぞれのスケール上における検査候補の表示位置が決定され、決定された表示位置に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補がユーザに提示されることとなる。
【0123】
また、上記第1実施形態においては、項目選択ボタン55が選択されると項目の一覧画面60を表示して、検査候補を選択する際の指標となる項目を選択させるようにしているが、これに限定されるものではない。本実施形態による検査支援装置により血糖相当値をモニタリングする前に、検査候補を選択する際の指標となる項目を予めユーザに選択させるようにしてもよい。この場合、アクション候補の提示画面52には、項目選択ボタン55に代わるボタンが表示され、そのボタンを選択することにより、図17あるいは図20に示す表示形態でユーザに検査候補が提示されることとなる。
【0124】
なお、検査候補を選択する際の指標となる項目を予めユーザに選択させる場合において、ユーザが各種病気に対するリスクチェックを含む項目を選択する場合がある。このような場合、決定部43は、空腹時血糖値が高めの場合と同様の多項目検査を含む検査候補をアクション候補に含めるようにすればよい。
【0125】
また、上記第1実施形態においては、項目の一覧画面60において、検査候補を選択する際の指標となる項目が選択されるとユーザに質問を行い、質問の回答に応じてスケール上における検査候補の表示位置を決定しているが、これに限定されるものではない。質問を行うことなく、選択された項目の好ましさの程度に応じて、スケール上における検査候補の表示位置を決定してもよい。例えば、ユーザが採血後の安心感を選択した場合、安心感を表すスケール上において、病院での採血を行う検査候補のアイコンが、より安心感が高い位置に表示されるように表示位置が決定される。
【0126】
また、上記第1実施形態においては、項目の一覧画面60において、検査候補のみならず、推奨行動も含むアクション候補を選択する際の指標となる項目を表示するようにしてもよい。この場合、選択された項目に応じてスケール上におけるアクション候補の表示位置を決定し、決定した表示位置にアクション候補のアイコンを表示するようにすればよい。
【0127】
また、上記第1実施形態においては、血糖相当値が異常傾向にない場合に、図10に示すように、「血糖値は異常傾向にありません。このままの生活習慣を続けてください。」の通知を行っているが、通知の内容はこれに限定されるものではない。血糖相当値が異常傾向にないものの、血糖相当値が上昇する傾向が見られる場合には、生活習慣に気をつけるアドバイスを含むような通知を行うことが好ましい。
【0128】
また、上記第1実施形態においては、測定器3,4により血糖相当値を測定しているが、これに限定されるものではない。測定器3,4による血糖相当値の測定に代えて、尿糖検査を行って尿糖を測定するようにしてもよい。この場合、測定した尿糖値が第1の生体情報の一例となる。尿糖検査の場合、尿糖検査装置を用いれば尿糖値として得られるため、それを血糖相当値として用いればよい。尿糖検査装置が測定器の一例となる。この場合、尿糖検査装置に携帯端末2との通信機能を持たせ、測定した尿糖値を携帯端末2に送信して、携帯端末2において尿糖値により血糖相当値のモニタリングを行うようにすればよい。
【0129】
一方、試験紙を用いて尿糖検査を行う場合、尿糖に応じて試験紙の色が変化する。この場合、試験紙を携帯端末2のカメラ18により撮影することにより試験紙の画像を取得し、判定部42が試験紙の画像から試験紙の色を認識することにより、異常傾向を判定するようにすればよい。この場合、測定器は不要となるため、携帯端末2のみによって検査支援を行うことが可能となる。したがって、ユーザは測定器3,4または尿糖検査装置を用意する必要がなくなる。
【0130】
また、測定器3,4により測定された血糖相当値に代えて、AGP(Ambulatory glucose profile)を用いることにより、血糖相当値をモニタリングしてもよい。AGPは、連続測定して得られた数日間分の血糖値または間質液中のグルコース値から、 血糖変動の傾向、すなわち血糖トレンドを読み取る際に有用な解析方法である(https://dm-net.co.jp/trend/agp/001.php)。AGPにより、1日のうちで低血糖および高血糖となる可能性の高い時間帯、並びに血糖値の変動が大きい時間帯等を把握することが容易となる。このため、AGPにより血糖相当値をモニタリングすることにより、血糖相当値の異常傾向の判定を容易に行うことができる。
【0131】
また、上記第1実施形態において、測定器3,4により測定した血糖相当値をモニタリングし、血糖相当値のモニタリング結果と、ユーザが採血により行った検査結果との比較結果をユーザに提示するようにしてもよい。図26は、血糖相当値のモニタリング結果と、ユーザが採血により行った検査結果との比較結果を示す図である。図26において、実線が血糖値相当のモニタリング結果を示し、破線が採血により行った検査結果を示す。図26に示すように、測定器3,4による血糖相当値は実際の血糖よりも高めにでる傾向がある。図26に示すように、血糖相当値のモニタリング結果と、ユーザが採血により行った検査結果との比較結果をユーザに提示することにより、ユーザは現在の血糖相当値の値と実際の血糖値との乖離を判断することができる。
【0132】
また、上記第1実施形態においては、血糖相当値の異常傾向として、食後高血糖スパイクを判定しているが、これに限定されるものではない。血糖相当値をモニタリングすることにより判定される異常傾向として、空腹時高血糖、低血糖症あるいは夜間高血糖等を判定するようにしてもよい。例えば、低血糖症の場合、提示する検査候補としては、5時間負荷試験、唾液中コルチゾール検査、唾液中コルチゾール+DHEA検査、遅延型フードアレルギー検査および有機酸尿測定が挙げられる。5時間負荷試験は、低血糖症の検査としてほぼ必須の検査である。唾液中コルチゾール検査は、ストレスにより疲労状態にあるか否かを判定する検査である。DHEA検査は、デヒドロエピアンドロステロンサルフェートの検査である。デヒドロエピアンドロステロンサルフェートとは、男性ホルモンの一種である。遅延型フードアレルギーの検査は、腸内障害の重症度を判定する検査である。有機酸尿測定は、真菌が腸管内で増殖して毒素を出しているかの判定をする検査である。
【0133】
[第2実施形態]
上記第1実施形態においては、血糖相当値の異常傾向に応じて血糖相当値に関連する生体情報を取得するための検査候補を含むアクション候補をユーザに提示する形態について説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、本開示の技術を、感染症およびがん等の各種病気の診断を行う場合に必要とされる生体情報を取得するための検査候補を含むアクション候補をユーザに提示する形態に適用してもよい。各種病気のなかには、罹患した場合に、心拍、血圧、呼吸、心電図、最大酸素摂取量、動脈血酸素飽和度および体温等の生理情報に異常傾向を示すものがあることが知られている。特にユーザが病気の症状を自覚する前において、本実施形態の技術によって各種生理情報の異常傾向を判定し、異常傾向にある場合にユーザに各種検査の受診を推奨できれば、病気の早期発見に寄与できる。
【0134】
以下、このような病気の具体例として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を適用した例について説明する。本実施形態においては、第1実施形態の血糖相当値に代えて、第1の生体情報として心拍を適用する。心拍は、測定器3が備えるセンサにより取得されるものとする。また、第1実施形態のグルコース、尿糖、血糖値、HbA1c、グリコアルブミンおよび1,5AGに代えて、第2の生体情報として新型コロナウイルスの感染有無に関する検査結果を適用する。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成および作用については、重複する説明を一部省略する。
【0135】
図27は、新型コロナウイルス感染症の罹患者の心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)、体内ウイルス量、体内抗体量およびウイルス排出量の推移の一例を示す概略図である。図27において、心拍変動を太実線、体内ウイルス量を細実線、体内抗体量を一点鎖線、ウイルス排出量を破線で図示している。図27の横軸は、発熱および咳等の症状を自覚した発症日を0日目として、発症後の日をプラス、発症前の日をマイナスで表している。心拍変動とは、心拍の一拍ごとの時間的間隔(RRI:R-R Interval)の変動を表す値である。具体的には、心拍変動は、予め定められた期間におけるRRIの標準偏差(SDNN:Standard Deviation of the R-R interval)および/または連続する2つのRRIの差の二乗の平均値の平方根(rMSSD:root Mean Square of Successive R-R interval Differences)等で表される。
【0136】
図27に示すように、新型コロナウイルス感染症の場合は、発症日の約5日前から体内ウイルス量が急増し始め、それに伴い心拍変動が減少するといった異常傾向を見せる。これは、非感染者であれば運動時および緊張状態等において心拍数が増加し、リラックス時には心拍数が減少するというような変動があるところ、感染者は心拍の追従性が悪く、心拍数の増減の程度が小さくなるためである。その後、発症日付近において体内ウイルス量が最大値をとり、心拍変動が最小値をとり、発症日の約10日後には体内抗体量が増加するとともに体内ウイルス量が減少し始め、心拍変動も徐々に正常に戻る。
【0137】
情報取得部41は、測定器3の通信I/F25から送信された心拍を通信I/F15によって受信することにより取得する。なお、測定器3からは、基本的に常時、すなわち予め定められた時間間隔にて心拍が送信されるため、情報取得部41は、心拍を常時取得することとなる。情報取得部41が取得した心拍は、取得した日時と対応づけられてストレージ13に保存される。
【0138】
判定部42は、情報取得部41が取得した心拍をモニタリングすることにより、心拍が異常傾向にあるか否かを判定する。具体的には、判定部42は、測定器3から送信される心拍をモニタリングし、モニタリングした心拍から心拍変動を算出し、心拍変動が予め定められたしきい値Th11以下となった場合に、心拍が異常傾向にあると判定する。また、判定部42は、心拍変動がしきい値Th12(ただしTh12<Th11)以下である場合に心拍の異常傾向の程度が大きいと判定し、心拍変動がしきい値Th11以下、Th12を超える場合に心拍の異常傾向の程度が小さいと判定する。
【0139】
また、判定部42は、予め定められた期間(例えば6時間)ごとの心拍変動の平均値および中央値等の代表値を用いて、心拍の異常傾向を判定してもよい。というのも、運動時および緊張状態における心拍変動の一時的な増加を異常傾向とみなさないようにすることが好ましいためである。
【0140】
また、判定部42は、心拍変動が増加している(しきい値Th11以上となる)状況があった場合に、当該増加が運動時および緊張状態等による一時的なものであるか否かを判定し、一時的な増加と判定した場合は当該増加期間を除外して、心拍が異常傾向にあるか否かを判定してもよい。心拍変動が一時的な増加であるか否かの判定は、以前の同じような状況における心拍変動の一時的な増加傾向と比較することで行ってもよい。具体的には、例えば、予め心拍変動の一時的な増加パターンをストレージ13に記憶しておき、判定部42は、記憶した増加パターンとモニタリング中の心拍変動とを比較することで、心拍変動が一時的な増加であるか否かを判定してもよい。
【0141】
決定部43は、判定部42により、心拍が異常傾向にあると判定された場合に、ユーザに推奨すべき複数のアクション候補を決定する。アクション候補は、新型コロナウイルスの感染有無に関する検査結果を取得するための少なくとも1つの検査候補を含む。
【0142】
図28を参照して、決定部43による検査候補の決定方法の具体例について説明する。図28は、新型コロナウイルス感染症に関連する検査方法を示す表である。図28には、9種類の検査方法(C1)~(C9)について、検体種類、検査場所、自己採取の可否、費用、所要時間および取得される生体情報が、検査情報として示されている。図28に示す表は、例えば、テーブルとしてストレージ13に保存されている。なお、図28の内容は一例であり、検査情報、各項目の評価および条件は、新型コロナウイルス感染症の流行状況、治療状況および検査方法の進展状況等に応じて、適宜更新されてもよい。
【0143】
検査方法(C1)~(C3)は、それぞれ被検体を鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液および唾液としたPCR(Polymerase Chain Reaction)検査である。検査方法(C4)~(C6)は、それぞれ被検体を鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液および唾液とした抗原定量検査である。検査方法(C7)~(C8)は、それぞれ被検体を鼻咽頭ぬぐい液および鼻腔ぬぐい液とした抗原定性検査である。検査方法(C1)~(C8)は、新型コロナウイルス感染症に現在感染しているかの検査結果を第2の生体情報として取得できる。検査方法(C9)は、血液を被検体とした抗体検査であり、新型コロナウイルス感染症に過去に感染したことがあるかの検査結果を第2の生体情報として取得できる。このような被検体の種類の指定を含み、かつ当該被検体から第2の生体情報を取得するための複数の検査方法(C1)~(C9)の中から、決定部43が検査候補を選択的に決定する。
【0144】
また、図28には、提示された検査候補をユーザが選択する際の指標となる各種項目が示されている。各種項目の定義および評価方法については、上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。ただし、精度については、陽性者を陽性と検出できる度合い(いわゆる感度)が高いほど、好ましさの程度が大きくなる。
【0145】
また、図28には、決定部43が検査候補を決定する際の各種条件が示されている。具体的には、検査可能期間、並びに異常傾向が小さい者、無症者および高リスク者の検査適否に関する条件が示されている。「検査可能期間」は、陽性者に対して検査を行った場合に陽性と検出できる度合い(いわゆる感度)が比較的高く、検査結果を信頼できる期間を示している。「異常傾向が小さい者」は、判定部42によって、異常傾向の程度が小さいと判定された者である。「無症者」は、発熱および咳等の症状を発症していない者を意味する。異常傾向が小さい者および無症者については、偽陰性による見逃しを防ぐために感度が高い検査方法を採用すべきと考えられるため、感度が比較的低い検査方法は不可となっている。「高リスク者」は、重症化および高治療難度等のリスク因子を有する者であり、例えば、高齢者、基礎疾患を有する者、および妊婦等である。高リスク者については、適切な治療を迅速に行うために検査をより正確に行うべきと考えられるので、感度が比較的低い検査方法は不可となっている。
【0146】
決定部43は、図28のテーブルを参照して、検査方法(C1)~(C9)のうち、各種条件に適した検査方法を検査候補として決定する。図28に示したように、新型コロナウイルス感染症の場合、検査可能期間は発症日を基準として定められている。そこで、第一に、決定部43は、心拍変動に基づいて発症日を推定し、推定した発症日を基準とした検査可能期間に現時点が含まれているかに応じて、検査候補を決定する。例えば、現時点は発症日の2日前であると推定した場合、決定部43は、検査方法(C1)~(C5)を検査候補に決定する。また例えば、現時点は発症日の4日後であると推定した場合、決定部43は、検査方法(C1)~(C8)を検査候補に決定する。また例えば、現時点は発症日の15日以上後であると推定した場合、決定部43は、検査方法(C9)を検査候補に決定する。
【0147】
発症日の推定方法としては、例えば、心拍変動が異常傾向を見せ始めてから発症までに約5日のタイムラグが生じること(図27参照)に基づき、判定部42によって心拍が異常傾向にあると判定された時点から約5日後を発症日と推定してもよい。また例えば、新型コロナウイルス感染症の罹患者の心拍変動の推移データと、実際の発症日と、のペアを学習用データとして学習された学習モデルであって、心拍変動の推移データを入力とし、推定される発症日を出力とする学習モデルを用いてもよい。
【0148】
第二に、決定部43は、判定部42が判定した心拍の異常傾向の程度に応じて検査候補を決定する。例えば、判定部42により異常傾向が小さいと判定された場合、決定部43は、検査方法(C1)、(C3)、(C4)、(C6)および(C9)を検査候補に決定する。また、決定部43は、ユーザが無症者である場合にも、同様にして検査候補を決定する。一方、判定部42により異常傾向が大きいと判定された場合、決定部43は、検査方法(C1)~(C9)を検査候補に決定する。
【0149】
第三に、決定部43は、ユーザが有するリスク因子に応じて検査候補を決定する。例えば、ユーザが高リスク者である場合、決定部43は、検査方法(C1)~(C6)および(C9)を検査候補に決定する。一方、ユーザが高リスク者ではない場合、決定部43は、検査方法(C1)~(C9)を検査候補に決定する。
【0150】
上記第一~第三の決定に応じて、決定部43は、最終的な検査候補を決定する。例えば、現時点が発症日の4日後であり、判定部42により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは有症者であり高リスク者ではない場合、決定部43は、検査方法(C1)~(C8)を検査候補に決定する。また例えば、現時点が発症日の4日後であり、判定部42により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは無症者であり高リスク者である場合、決定部43は、検査方法(C1)、(C3)、(C4)および(C6)を検査候補に決定する。
【0151】
提示部44は、決定部43が決定した検査候補を含む複数のアクション候補をユーザに提示する。図29および30は、ユーザにより「費用」および「精度」の2つの項目が選択された場合における、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する提示画面の一例を示す図である。図29および30の提示画面76Xには、費用を表すスケール77に直交して精度を表すスケール69Xが表示され、検査候補のアイコン701~708が費用および精度に応じて2次元状に並べられて表示される。アイコン701~708は、それぞれ検査方法(C1)~(C8)に対応する。
【0152】
図29は、現時点が発症日の4日後であり、判定部42により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは有症者であり高リスク者ではない場合の提示画面である。図30は、現時点が発症日の4日後であり、判定部42により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは無症者であり高リスク者である場合の提示画面である。提示画面76Xにより、ユーザは提示された検査候補についての費用および精度を一見して認識することが可能となる。これにより、費用および精度の双方を考慮しての検査候補の比較を容易に行うことができる。
【0153】
また、提示部44は、現時点が発症日の3日以前である場合等において、決定部43が何れの検査方法も適さないと決定した場合に、その旨の通知をアクション候補として提示してもよい。例えば、「心拍に異常傾向が見られますが、現時点では検査をしても正確な結果が得られません。このまま心拍のモニタリングを継続しましょう。」といった通知である。また、提示部44は、判定部42によって心拍が異常傾向にないと判定された場合に、その旨の通知をアクション候補として提示してもよい。例えば、「現在、心拍は異常傾向にありません。引き続き感染対策を心がけましょう。」といった通知である。
【0154】
このように、本実施形態においては、ユーザの心拍が異常傾向にあるか否かを判定し、異常傾向にある場合に、心拍に関連する新型コロナウイルス感染症の感染有無に関する検査結果を取得するための検査候補を含む複数のアクション候補をユーザに提示するようにした。これにより、ユーザは、自身の心拍の異常傾向に応じた検査を行うことを含むアクションを取ることができる。特に、新型コロナウイルス感染症の場合、罹患者からのウイルス排出量、すなわち他者への感染性は発症日付近でピークを迎える(図27参照)ので、発症日前に心拍の異常傾向を判定し、ユーザに検査の受診を提示することで、感染拡大の防止に寄与できる。
【0155】
なお、上記第2実施形態においては、判定部42が心拍変動に基づいて心拍の異常傾向を判定する形態について説明したが、これに限らない。判定部42は、心拍変動に代えて、心拍数の値が予め定められた期間(例えば3日間)、予め定められたしきい値以上である場合に、心拍が異常傾向にあると判定してもよい。このような形態によれば、罹患時に心拍数が高い状態を保つ病気の早期発見に寄与できる。また、判定部42は、心拍変動に代えて、心拍数の時間変動(予め定められた期間(例えば3日間)における心拍数の最大値と最小値の差)が予め定められたしきい値以上である場合に、心拍が異常傾向にあると判定してもよい。このような形態によれば、罹患時に心拍数が急上昇する病気の早期発見に寄与できる。
【0156】
また、上記第2実施形態においては、第1の生体情報として心拍を適用する形態について説明したが、これに限らない。第2実施形態において、第1の生体情報として心拍、血圧、呼吸、心電図、最大酸素摂取量、動脈血酸素飽和度および体温等の生理情報の少なくとも1つを適用してもよい。これらの生理情報は、例えば、スマートウォッチ等のウェアラブル端末が備えるセンサにより取得される。
【0157】
また、上記第2実施形態においては、第2の生体情報として新型コロナウイルスの感染有無に関する検査結果を適用する形態について説明したが、これに限らない。第2実施形態において、生理情報に関連する第2の生体情報として、ユーザの病気の診断結果を適用してもよい。「病気の診断結果」としては、例えば、ユーザの血液、尿、便、鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液および唾液等の体液を被検体とした、成分の分析結果、並びにウイルスおよび細菌等の病原体の検出結果を適用できる。また例えば、ユーザの胃、大腸、肺、子宮および乳房等の臓器を被検体として、コンピュータ断層撮影(CT(Computed Tomography))、磁気共鳴画像(MRI(Magnetic Resonance Imaging))および超音波等の手法により撮影された画像の読影結果を適用できる。
【0158】
また、上記第2実施形態において、生理情報に関連する第2の生体情報として、複数の異なる種類の病気の診断結果を適用してもよい。例えば、新型コロナウイルス感染症に関連する検査と、インフルエンザウイルス感染症に関連する検査と、をともに検査候補として提示するようにしてもよい。また、このような複数の異なる種類の病気に関連する検査を同時に受ける旨のアクション候補を提示してもよい。これらの場合には、各種病気についての診断を推奨できるので、病気の早期発見により寄与できる。
【0159】
また、上記第2実施形態において、発症日、並びにユーザが無症者および高リスク者に該当するかの情報は、例えば、タッチパネル14を介してユーザに入力させてもよい。図31は、これらを入力させるための質問提示画面を示す図である。図31に示すように、質問提示画面65Xには、4つの質問Q1~Q4が表示される。質問Q1~Q4に対して、ユーザはYESまたはNOで回答する。質問Q1がYESの場合、入力ボックス67Xに発症日を入力させることで、決定部43は発症日を特定する。質問Q1がNOの場合、決定部43は、ユーザが無症者であると特定する。質問Q2~Q4の少なくとも1つがYESである場合、決定部43は、ユーザが高リスク者であると特定する。ユーザが回答後に回答終了ボタン66を選択すると、決定部43は、4つの質問Q1~Q4の回答結果に応じて、検査候補を決定する。
【0160】
また、上記第2実施形態において、ユーザが無症者であるか否かは、心拍が異常傾向を見せてから発症するまでに約5日のタイムラグが生じること(図27参照)に基づいて、決定部43が推定してもよい。例えば、現時点が、心拍が異常傾向を見せてから2日目である場合、決定部43は、ユーザがまだ発症していない無症者であると推定してもよい。また例えば、測定器3により体温を測定することで、決定部43が発熱の有無を判定し、発熱が無い場合には無症者であると推定してもよい。
【0161】
また、上記第2実施形態においては、新型コロナウイルス感染症の検査可能期間が発症日を基準として定められていることに即し、決定部43が発症日を推定する形態について説明したが、これに限らない。例えば、インフルエンザウイルス感染症を検査対象とする場合は、感染から発症までが1~2日程度と短く、第1の生体情報に異常傾向が見られ始める日と発症日との差が小さいため、発症日の推定をする意義が小さい。また例えば、各種生活習慣病を検査対象とする場合は、明確な発症日の推定が困難である。しかし、これらの病気においても、異常傾向が見られ始めてからの経過時間に応じて、適する検査方法が異なる場合がある。そこで、決定部43は、第1の生体情報が異常傾向にあると判定された時点から現時点までの経過時間に応じて、検査候補を決定してもよい。
【0162】
また、上記第2実施形態において、検査候補を決定するための条件として、ユーザが濃厚接触者であるかを適用してもよい。濃厚接触者の場合は、陽性である可能性が比較的高いため、偽陰性による見逃しを防ぐために感度が高い検査方法を採用すべきと考えられる。そこで、感度が比較的低い検査方法を不可としてもよい。ユーザが濃厚接触者であるか否かは、例えば、公知の新型コロナウイルス接触確認アプリによって検知してもよい。
【0163】
また、上記第2実施形態において、新型コロナウイルス感染症の感染有無に関する検査を行った後、携帯端末2に検査結果をフィードバックすることで、携帯端末2が心拍のモニタリングを継続すべきか否かを判定してもよい。例えば、判定部42により心拍が異常傾向にあると判定されたため新型コロナウイルス感染症の検査を行ったにもかかわらず、検査結果が陰性であった場合、心拍のモニタリングを継続すべきと判定してもよい。特に、ユーザが異常傾向が小さい者、無症者、高リスク者および濃厚接触者の何れかに該当する場合は、偽陰性による見逃しおよび容体急変等のリスクが高いと考えられるため、心拍のモニタリングを継続すべきと判定することが好ましい。
【0164】
具体的には、情報取得部41が、新型コロナウイルス感染症の感染有無に関する検査結果を取得する。検査結果は、例えば、検査機関から携帯端末2に送信するようにしてもよいし、タッチパネル14を介してユーザに入力させてもよい。取得した検査結果が陰性である場合、提示部44は、心拍のモニタリングを継続すべきと判定し、その旨の通知をユーザに提示する。心拍のモニタリングが継続されると、判定部42は、心拍の異常傾向がさらに顕著になったか否か、および心拍の異常傾向が継続しているか否かを判定する。決定部43は、判定部42により心拍の異常傾向が顕著になった、または継続していると判定された場合に、再度ユーザに推奨すべき複数のアクション候補を決定する。
【0165】
また、上記第2実施形態において、提示部44は、ユーザの心拍のデータ、および決定部43により決定された検査候補を、ユーザが検査を申し込んだ検査機関に対して送信してもよい。このような形態によれば、ユーザが選択した検査方法が妥当なものであるかを、検査機関における医療従事者が判断する際の補助とすることができる。
【0166】
また、上記各実施形態においては、提示部44がアクション候補をタッチパネル14に表示することによりユーザに提示しているが、これに限定されるものではない。提示部44は、音声によりアクション候補をユーザに提示するものであってもよい。
【0167】
また、上記各実施形態において、ユーザが健康診断を行う際に、各実施形態による検査支援装置を使用するようにしてもよい。例えば、健康診断の2週間程度前に測定器3,4をユーザに渡して、第1の生体情報のモニタリングを行うようにしてもよい。そして、第1の生体情報に異常傾向が見られる場合に、アクション候補をユーザに提示して検査候補をユーザに選択させ、選択された検査を健康診断の際に行うようにしてもよい。
【0168】
また、上記各実施形態においては、測定器3,4が測定した第1の生体情報を携帯端末2に送信し、携帯端末2においてアクション候補をユーザに提示しているが、これに限定されるものではない。とくに腕時計型の測定器3に本実施形態による検査支援プログラムをインストールし、測定器3単独で第1の生体情報の異常傾向の判定、アクション候補の決定およびアクション候補の提示を行うようにしてもよい。この場合、測定器3は、図5に示す本実施形態による検査支援装置の機能的な構成を有するものとなる。
【0169】
また、上記各実施形態においては、測定器3,4により測定した第1の生体情報を携帯端末2に送信し、携帯端末2において異常傾向の判定、アクション候補の決定およびアクション候補の提示を行っているが、これに限定されるものではない。測定器3,4により測定した第1の生体情報を、測定器3,4から直接に、あるいは携帯端末2を介して検査サーバ6に送信し、検査サーバ6において異常傾向の判定、アクション候補の決定およびアクション候補の提示を行うようにしてもよい。この場合、検査サーバ6は、決定されたアクション候補を携帯端末2または測定器3に送信することにより、携帯端末2または測定器3において、アクション候補をユーザに提示することとなる。
【0170】
また、上記各実施形態において、例えば、情報取得部41、判定部42、決定部43および提示部44といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0171】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0172】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0173】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0174】
1 検査支援システム
2 携帯端末
3,4 測定器
4A フィラメント
5 ネットワーク
6 検査サーバ
11,21 CPU
12 検査支援プログラム
13 ストレージ
14 タッチパネル
15 通信I/F
16 メモリ
17 ネットワークI/F
18 カメラ
19 バス
22 測定プログラム
23 ストレージ
24 タッチパネル
25 通信I/F
26 メモリ
27 ネットワークI/F
28 センサ
29 バス
31 プロセッサ
32 メモリ
34 センサ
41 情報取得部
42 判定部
43 決定部
44 提示部
50 通知画面
51 通知
52 提示画面
53 アクション候補
54 統計情報参照ボタン
55 項目選択ボタン
56 決定ボタン
57 説明
58 統計情報
59 推奨行動
60 一覧画面
61 チェックボックス
62 項目指定ボタン
65,65X,74 質問提示画面
66,75 回答終了ボタン
67A~67D,67X 入力ボックス
68,76,76X 提示画面
69,69X,77 スケール
70A~70E,701~708 検査候補のアイコン
71 決定ボタン
72 項目選択ボタン
80,81,85 案内画面
82 一覧
83 予約ボタン
86 問い合わせ画面
87 通知画面
88 通知
図1
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