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  • 特許-高圧接続用装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】高圧接続用装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231129BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
G03F7/20 521
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021510218
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019071531
(87)【国際公開番号】W WO2020057859
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】62/732,845
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】テドロウ,ジョン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ベッセムズ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェイ-スン
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-161159(JP,A)
【文献】特表2018-517050(JP,A)
【文献】国際公開第2016/071972(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV光源のターゲットディスペンサに用いられる導管であって、
第1の高融点金属製の導管部分と、
前記導管部分の軸端に取り付けられた継手部分であって、前記第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属製である継手部分と
を含む導管
【請求項2】
前記継手部分が、前記導管部分の軸端に溶接される、請求項1に記載の導管
【請求項3】
前記第1の高融点金属が、TaW2.5を含む、請求項1に記載の導管
【請求項4】
前記第2の高融点金属が、TaW10を含む、請求項1に記載の導管
【請求項5】
前記継手部分が、円非対称性断面を有する、請求項1に記載の導管
【請求項6】
EUV光源のターゲットディスペンサに用いられる導管であって、
TaW2.5を含む導管部分と、
前記導管部分の軸端に溶接された継手部分であって、TaW10を含む継手部分と
を含む導管
【請求項7】
EUV光源の照射領域にターゲット材料を搬送するように適応させたEUV光源ターゲット材料搬送システムであって、
ターゲット材料貯蔵部と、
前記ターゲット材料貯蔵部と流体連通する導管と、
前記導管と流体連通するノズルアセンブリと
を含み、
前記導管が、第1の高融点金属製の導管部分と、前記導管部分の軸端に取り付けられた少なくとも1つの継手部分であって、前記第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属製である少なくとも1つの継手部分とを含む、
EUV光源ターゲット材料搬送システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの継手部分が、前記導管部分の軸端に溶接される、請求項7に記載のEUV光源ターゲット材料搬送システム。
【請求項9】
前記第1の高融点金属が、TaW2.5を含む、請求項7に記載のEUV光源ターゲット材料搬送システム。
【請求項10】
前記第2の高融点金属が、TaW10を含む、請求項7に記載のEUV光源ターゲット材料搬送システム。
【請求項11】
EUV光源のターゲットディスペンサに用いられる導管を作成するための方法であって、
第1の高融点金属製の細長い導管部分を提供するステップと、
前記細長い導管部分の軸端に取り付けられた継手部分を提供するステップであって、前記継手部分が、前記第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属を含む、ステップと、
前記継手部分を前記細長い導管部分に取り付けるステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記継手部分を前記細長い導管部分に取り付ける前記ステップが、前記継手部分を前記細長い導管部分に溶接することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の高融点金属が、TaW2.5を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の高融点金属が、TaW10を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記継手部分が、円非対称性断面を有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[00001] この出願は、2018年9月18日に出願された米国特許出願第62/732,845号の優先権を主張し、同特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[00002] この開示は、極端紫外線源におけるターゲット材料の供給の場合のような高圧下で材料を運ぶラインの接続に関する。
【背景技術】
【0003】
[00003] 例えば、約50nm以下の波長を有する電磁放射線(軟X線と呼ばれる場合もある)など、約13.5nmの波長の光を含む極端紫外(「EUV」)光は、フォトリソグラフィプロセスにおいて、シリコンウェーハなどの基板上に極めて小さなフィーチャを生成するために使用される。「光」という用語は本明細書の至る所で使用されているが、その用語を使用して説明される放射線は、スペクトルの可視域ではない場合があることが理解されている。
【0004】
[00004] EUV光を生成する方法は、ターゲット材料を液体状態からプラズマ状態に変換することを含む。ターゲット材料は、好ましくは、EUV範囲の1つ又は複数の輝線を有する少なくとも1つの元素(例えば、キセノン、リチウム又はスズ)を含む。そのような一方法では、レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる場合が多いが、レーザビームを使用して必要な線発光元素を有するターゲット材料に照射することによって、必要なプラズマを生成することができる。
【0005】
[00005] ターゲット材料は、多くの形態のうちの1つを取ることができる。ターゲット材料は、固体又は溶融体であり得る。溶融体の場合は、連続流で又は液滴流としてなど、いくつかの異なる方法で分配することができる。例として、以下に続く論考の大半におけるターゲット材料は、液滴流として分配される溶融スズである。しかし、当業者であれば、材料及び搬送モードの他の形態を使用できることが理解されよう。
【0006】
[00006] 従って、LPP技法の1つは、ターゲット材料の液滴流を生成することと、真空チャンバにおいて少なくとも一部の液滴にレーザ光パルスを照射することとを伴う。より理論的な用語では、LPP光源は、少なくとも1つのEUV発光元素を有するターゲット材料にレーザエネルギーを堆積させ、数十eVの電子温度で高度にイオン化されたプラズマを生成することによって、EUV放射線を生成する。
【0007】
[00007] これらのイオンの脱励起及び再結合の間に生成された高エネルギー放射線は、プラズマからすべての方向に放出される。共通の一構成では、中間場所に光を集光したり、光を誘導したり、いくつかの構成では、光を集中させたりするため、近法線入射ミラー(「集光ミラー」又は単に「コレクタ」と呼ばれる場合が多い)が位置付けられる。次いで、集光された光は、中間場所からスキャナ光学系セットに中継され、最終的には基板に中継される。
【0008】
[00008] 液滴流は、液滴生成器などのターゲット材料ディスペンサによって生成される。液滴生成器の液滴を放出する部分(ノズル又はノズルアセンブリと呼ばれる場合がある)は、真空チャンバ内に位置する。液滴生成器ノズルアセンブリは、ターゲット材料の一定の供給を必要とする。このターゲット材料は、典型的には、ターゲット材料貯蔵部に保持されるターゲット材料を供給することによって提供される。ターゲット材料は、ターゲット材料貯蔵部からノズルアセンブリに移されなければならない。これは、加熱導管を使用して遂行することができ、加熱導管は、比較的高い圧力下にあり、ターゲット材料の融点超に維持しなければならない。導管は、TaW(タンタルタングステン)製のものであり得、導管には、Mo(モリブデン)製の圧縮継手を提供することができる。
【0009】
[00009] この既存の導管の構成は、その寿命及び機能に限りがある。圧縮継手に関連して説明される及び提供される加熱導管は、単一の加熱・冷却サイクルしか耐えることができないが、依然として液体密封を維持する。また、接続の切断により、シーリング端面のスコーリング又はゴーリングが生じ得、それにより、結合アセンブリによって生み出された密封の質及び寿命が制限される。ゴーリングは、滑り面間の凝着によって生じる摩耗の形態である。材料のゴーリングが生じると、表面を圧縮し合う大量の力が存在する場合は特に、その一部が接触面から引き剥がされる。
【0010】
[00010] 従って、より長い使用寿命を有する高圧高温搬送導管が必要とされ、それは、多くの応用において使用することができる。
【発明の概要】
【0011】
[00011] 以下は、実施形態の基本的な理解を提供するために、1つ又は複数の実施形態の簡単な概要を提示する。この概要は、企図されるすべての実施形態の広範な要約ではなく、すべての実施形態の主要な又は重要な要素を特定することも、実施形態の何れか又はすべての範囲を線引きすることも意図しない。その唯一の目的は、後に提示されるさらに詳細な説明の前置きとして、1つ又は複数の実施形態のいくつかの概念を簡単な形態で提示することである。
【0012】
[00012] 一態様では、EUV光源が提供され、EUV光源では、ターゲット材料貯蔵部からノズルアセンブリに溶融ターゲット材料を運ぶ加熱加圧ラインは、少なくとも1つの継手が提供された高圧導管であり、導管と継手は、異なる材料で作られる。継手は、圧縮継手を使用して取り付けるというよりむしろ、導管に溶接することができる。導管は、TaW2.5(2.5%のタングステン)製のものであり得、継手は、TaW10(10%のタングステン)製のものであり得る。継手材料は、シーリング表面の寿命を延ばすさらに高い硬度レベルを維持することができる。
【0013】
[00013] 実施形態の別の態様によれば、第1の高融点金属製の導管部分と、導管部分の軸端に取り付けられた継手部分であって、第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属製である継手部分とを含む装置が提供される。継手部分は、導管部分の軸端に溶接することができる。第1の高融点金属は、TaW2.5を含み得る。第2の高融点金属は、TaW10を含み得る。
【0014】
[00014] 実施形態の別の態様によれば、TaW2.5を含む導管部分と、導管部分の軸端に溶接された継手部分であって、TaW10を含む継手部分とを含む装置が提供される。
【0015】
[00015] 実施形態の別の態様によれば、EUV光源の照射領域にターゲット材料を搬送するように適応させたEUV光源ターゲット材料搬送システムであって、ターゲット材料貯蔵部と、上記ターゲット材料貯蔵部と流体連通する導管と、導管と流体連通するノズルアセンブリとを含む、ターゲット材料搬送システムであり、導管が、第1の高融点金属製の導管部分と、導管部分の軸端に取り付けられた少なくとも1つの継手部分であって、第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属製である少なくとも1つの継手部分とを含む、EUV光源ターゲット材料搬送システムが提供される。少なくとも1つの継手部分は、導管部分の軸端に溶接することができる。第1の高融点金属は、TaW2.5を含み得る。第2の高融点金属は、TaW10を含み得る。
【0016】
[00016] 実施形態の別の態様によれば、導管を作成するための方法であって、第1の高融点金属製の細長い導管部分を提供するステップと、細長い導管部分の軸端に取り付けられた継手部分を提供するステップであって、継手部分が、第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属を含む、ステップと、継手部分を細長い導管部分に取り付けるステップとを含む、方法が提供される。継手部分を細長い導管部分に取り付けるステップは、継手部分を細長い導管部分に溶接することを含み得る。第1の高融点金属は、TaW2.5を含み得る。第2の高融点金属は、TaW10を含み得る。
【0017】
[00017] 本開示の対象物のさらなる実施形態、特徴及び利点、並びに、様々な実施形態の構造及び動作については、添付の図面を参照して、以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[00018]本発明の態様によるレーザ生成プラズマEUV光源システムの全体的な広い概念の原寸に比例していない概略図を示す。
図2】[00019]図1に示されるようなものなどのEUV光源において使用できるものなどの液滴ディスペンサの平面図である。
図3A】[00020]図2に示されるようなものなどの液滴ディスペンサにおける圧力下で溶融ターゲット材料を運ぶものなどの応用に対する高圧ラインの斜視図である。
図3B】[00020]図3Aの高圧ラインの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[00021] 本発明のさらなる特徴及び利点、並びに、本発明の様々な実施形態の構造及び動作については、添付の図面を参照して、以下で詳細に説明する。本発明は、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。そのような実施形態は、本明細書では、単なる例示の目的のためだけに提示される。追加の実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者に明らかになるであろう。
【0020】
[00022] ここでは、図面を参照して、様々な実施形態について説明する。同様の参照番号は、全体を通じて同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、解説を目的として、1つ又は複数の実施形態の完全な理解を促進するために、多くの具体的な詳細が記載されている。しかし、いくつかの又はすべての例では、以下で説明されるいかなる実施形態も、以下で説明される具体的な設計詳細を取り入れることなく実践できることが明白であり得る。
【0021】
[00023] 図1を最初に参照すると、本発明の実施形態の一態様による、例えば、レーザ生成プラズマEUV光源20など、例示的なEUV光源の概略図が示されている。示されるように、EUV光源20は、パルス又は連続レーザ源22を含み得、それは、例えば、10.6μmの放射線を生成するパルス気体放電COレーザ源であり得る。パルス気体放電COレーザ源は、高電力及び高パルス繰り返し率で動作するDC又はRF励起を有し得る。
【0022】
[00024] また、EUV光源20は、液滴又は連続液体流の形態でターゲット材料を搬送するためのターゲット搬送システム24も含む。ターゲット材料は、スズ又はスズ化合物で構成されているものであり得るが、他の材料を使用することもできる。ターゲット搬送システム24は、ターゲット材料をチャンバ26の内部に導入して照射領域28に送り、照射領域28では、プラズマを生成するために、ターゲット材料に照射することができる。いくつかの事例では、ターゲット材料を照射領域28に向けて又は照射領域28から離れるように操作できるように、ターゲット材料上に電荷が置かれる。本明細書で使用される場合、照射領域は、ターゲット材料照射が起こり得る領域であり、実際に照射が起こっていない場合であっても照射領域であることに留意すべきである。
【0023】
[00025] 図1を続けると、光源20は、コレクタ30などの1つ又は複数の光学素子も含み得る。コレクタ30は、例えば、多層ミラー又は「MLM」として実装される法線入射リフレクタであり得、すなわち、熱誘起層間拡散を効果的に阻止するために各界面に堆積された追加の薄い障壁層を有するMo/Si多層でコーティングされたSiC基板であり得る。また、他の基板材料(Al又はSiなど)を使用することもできる。コレクタ30は、レーザ光が通過して照射領域28に到達できるようにするための開口を有する扁長楕円体の形態であり得る。コレクタ30は、例えば、照射領域28に第1の焦点を有し、いわゆる中間点40に第2の焦点(中間焦点とも呼ばれる)を有する楕円体の形状であり得、第2の焦点では、EUV光は、EUV光源20から出力し、例えば、集積回路リソグラフィツール50に入力することができ、集積回路リソグラフィツール50は、例えば、光を使用して、シリコンウェーハワークピース52を公知の方法で処理する。次いで、シリコンウェーハワークピース52は、集積回路デバイスを得るために、公知の方法でさらに処理される。
【0024】
[00026] EUV光源20は、EUV光源コントローラシステム60も含み得、また、例えば、レーザビーム位置決めシステム(図示せず)と共に、レーザ発射制御システム65も含み得る。また、EUV光源20は、1つ又は複数の液滴イメージャ70を含み得るターゲット位置検出システムも含み得、1つ又は複数の液滴イメージャ70は、例えば、照射領域28に対するターゲット液滴の絶対又は相対位置を示す出力を生成し、ターゲット位置検出フィードバックシステム62にこの出力を提供する。ターゲット位置検出フィードバックシステム62は、この出力を使用して、ターゲット位置及び軌道を演算することができ、ターゲット位置及び軌道から、ターゲットエラーを演算することができる。ターゲットエラーは、液滴ごとに又は平均で又は他の何らかに基づいて、演算することができる。次いで、ターゲットエラーは、光源コントローラ60への入力として提供することができる。それに応答して、光源コントローラ60は、レーザ位置、方向、又はタイミング補正信号などの制御信号を生成し、レーザビーム位置決めコントローラ(図示せず)にこの制御信号を提供することができる。レーザビーム位置決めシステムは、例えば、チャンバ26内のレーザビーム焦点の場所及び/又は集光力を変更するために、制御信号を使用して、レーザタイミング回路を制御すること及び/又はレーザビーム位置及び整形システム(図示せず)を制御することができる。
【0025】
[00027] 図1に示されるように、光源20は、ターゲット搬送制御システム90を含み得る。ターゲット搬送制御システム90は、信号(例えば、上記で説明されるターゲットエラー又はシステムコントローラ60によって提供されたターゲットエラーから導出された何らかの数量)に応答して、照射領域28内のターゲット液滴の位置のエラーを訂正するように動作可能である。これは、例えば、ターゲット搬送メカニズム92がターゲット液滴を放出するポイントを位置決めし直すことによって遂行することができる。ターゲット搬送メカニズム92は、チャンバ26内まで延びており、また、ターゲット搬送メカニズム92には、ターゲット材料及び、ターゲット搬送メカニズム92においてターゲット材料を圧力下に置くためのガス源が、外部から供給される。
【0026】
[00028] 図2は、チャンバ26内にターゲット材料を搬送するためのターゲット搬送メカニズム92をさらに詳細に示す。図2に示される一般化した実施形態の場合、ターゲット搬送メカニズム92は、スズなどの溶融ターゲット材料を保持する貯蔵部94を含み得る。加熱要素(図示せず)は、ターゲット材料の溶融温度を上回る温度で、ターゲット搬送メカニズム92又はその選択されたセクションを制御可能に維持する。溶融ターゲット材料は、フィードライン96を通じて導入されるアルゴンなどの不活性ガスを使用することによって、圧力下に置くことができる。圧力は、ターゲット材料が供給導管98を通過するよう強いるものであり、供給導管98は、溶融ターゲット材料をバルブ100及びノズル102に運ぶ。供給導管98は加熱され、1つ又は複数のフィルタを含み得る。この供給導管98は、タンタルタングステン合金製のものであり得、モリブデン製のものであり得る圧縮継手を用いてシステムの他のコンポーネントとの液体密封を維持するために接続される。供給導管98は、好ましくは、貯蔵部94とノズル102との相対運動を可能にする柔軟性を有する。
【0027】
[00029] バルブ100は、熱動弁であり得る。バルブ100を確立するため、ペルチェ素子などの熱電素子を採用することができ、バルブ100を閉じるために、貯蔵部94とノズル102との間でターゲット材料を凍結させ、バルブ100を開くために、凝固ターゲット材料を加熱することができる。また、図2は、ターゲット搬送メカニズム92が可動部材104に結合されることも示しており、可動部材104の運動により、液滴がノズル102から放出されるポイントの位置が変化する。可動部材104の運動は、液滴放出ポイント位置決めシステムによって制御される。
【0028】
[00030] ターゲット搬送メカニズム92に対し、1つ又は複数のターゲット材料調節型又は非調節型ディスペンサを使用することができる。例えば、オリフィスが形成された毛細管を有する調節型ディスペンサを使用することができる。ノズル102は、1つ又は複数の電気作動式要素(例えば、圧電材料で作られているアクチュエータ)を含み得、1つ又は複数の電気作動式要素を選択的に膨張又は収縮させて、毛細管を変形させ、ノズル102からの原料の放出を調節することができる。液滴調節型ディスペンサの例は、2010年11月23日に出願された「Method and Apparatus for EUV Plasma Source Target Delivery」と称する米国特許第7,838,854号、2009年9月15日に出願された「LPP EUV Plasma Source Material Target Delivery System」と称する米国特許第7,589,337号及び2008年5月27日に出願された「Source Material Dispenser for EUV Light Source」と称する米国特許第7,378,673号において見つけることができ、各特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
[00031] 実施形態の一態様によれば、システムの供給導管98及び他の加熱高圧ラインは、複数の高融点金属製であり、その端部に継手を有するものであり、継手は、適所に溶接される。例えば、供給導管98は、TaW2.5(2.5%のタングステン)製のものであり得、継手は、TaW10(10%のタングステン)製のものであり得る。継手に対してそのような材料を使用することにより、シーリング表面の寿命を延ばすさらに高い硬度レベルが継手に提供される。その継手を備える供給導管98の一方の端部は、貯蔵部94の嵌合継手に接続され、その継手を備える供給導管98の他方の端部は、ノズル102/バルブ100アセンブリに接続される。供給導管98をシステムの他の部分に配置することも、半導体フォトリソグラフィにおいて使用されるもの以外のシステムに配置することもできることが理解されよう。
【0030】
[00032] 図3A及び3Bを最初に参照すると、継手56を備える導管54(供給導管98として使用することができる)が示されている。継手56は、シーリング面58を有する。使用の際、シーリング面58は、相補型継手のシーリング面と軸方向に係合させて圧接させる。2つのシーリング面間には、シーリング部材59を挿入することができる。
【0031】
[00033] 言及したように、導管54は、高融点金属製のものであり得る。高融点金属は、熱と摩耗に対する耐性が極めて強い金属のクラスである。それらの高融点金属は、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム及びそれらの合金を含む。それらの高融点金属はすべて、共通して、2000℃を上回る融点及び室温での高い硬度を有する。それらの高融点金属は、化学的に不活性であり、比較的高い密度を有する。例えば、導管54は、2.5重量%のタングステンを有するタンタルタングステン合金であるTaW2.5製のものであり得る。この材料は、多くの溶融金属に対する優れた耐食性、良好な溶接性及び比較的良好な変形性を有する。純タンタルと比べると、この合金は、特により良好な強度を有する。具体的には、TaW2.5の降伏強度は、約230MPaである。降伏強度又は降伏応力は、材料が塑性変形し始める応力である。
【0032】
[00034] 言及したように、継手56もまた、高融点金属製のものであり得る。例えば、継手56は、10重量%のタングステンを有するタンタルタングステン合金であるTaW10製のものであり得る。純タンタル及びTaW2.5と比べると、この合金は、非常に高い温度までかなり増加された強度を有する。例えば、TaW10の降伏強度は、875~1005MPaの範囲である。TaW10は、他の合金より延性が劣り、低い塑性を呈する。TaW10を処理することは難しく、導管に対して他の材料ほど適してはいないが、高圧ラインの継手部分に対して使用することができる。実施形態の一態様によれば、継手56は、耐久性のある取り付けを提供するために、圧縮継手を使用して取り付けるというよりむしろ、導管54に溶接される。
【0033】
[00035] 継手56は、接続される相補型継手の第2の構成と咬合又は嵌合する第1の構成を有し得る。第1の構成と第2の構成は円対称性を持たず、すなわち、第1の構成と第2の構成は、何れかの任意の角度で回転して同じように見えるようにすることはできないという点で、円非対称性である。円対称性及び相補性の欠如により、第1の継手と第2の継手が軸方向に係合されている際、継手への不均等な回転力の印加に関わらず、第2の継手に対する第1の継手の回転が抑制される(例えば、回転が阻止される)という構成が生じる。図3A及び3Bに示される例では、継手56の平坦エリア又は肩部は、相補型内部構成の開口を有する継手と嵌合することになる切頂円断面をもたらす。
【0034】
[00036] 上記の説明は、EUV源においてターゲット材料を供給するための構成における斬新な接続の使用の観点からのものであるが、当業者であれば、本明細書で開示される原理は、有利には、ロバストな高圧接続が必要とされる他の応用においても利用できることが容易に理解されよう。
【0035】
[00037] 上記の説明は、複数の実施形態の例を含む。当然ながら、前述の実施形態を説明する目的でコンポーネント又は方法の考えられるすべての組合せを説明することは可能ではないが、当業者は、様々な実施形態の多くのさらなる組合せ及び並べ替えが可能であることを認識することができる。それに従って、説明される実施形態は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に収まるようなすべての改変、変更及び変形を取り入れることが意図される。その上、詳細な説明又は特許請求の範囲において「含む(includes)」という用語が使用される限り、そのような用語は、「含む(comprising)」が採用されると特許請求の範囲における移行語と解釈されるように、「含む(comprising)」という用語と同様の様式で包括的であることが意図される。その上、説明される態様及び/又は実施形態の要素は、単数形で説明するか又は特許請求することができるが、単数形に限定されることが明記されない限り、複数形も企図される。それに加えて、特に明記されない限り、何れかの態様及び/又は実施形態のすべて又は一部は、他の何れかの態様及び/又は実施形態のすべて又は一部と共に利用することができる。
【0036】
[00038] 本発明の他の態様は、以下の番号付き条項に記載される。
1.第1の高融点金属製の導管部分と、
導管部分の軸端に取り付けられた継手部分であって、第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属製である継手部分と
を含む装置。
2.継手部分が、導管部分の軸端に溶接される、条項1に記載の装置。
3.第1の高融点金属が、TaW2.5を含む、条項1に記載の装置。
4.第2の高融点金属が、TaW10を含む、条項1に記載の装置。
5.継手部分が、円非対称性断面を有する、条項1に記載の装置。
6.TaW2.5を含む導管部分と、
導管部分の軸端に溶接された継手部分であって、TaW10を含む継手部分と
を含む装置。
7.EUV光源の照射領域にターゲット材料を搬送するように適応させたEUV光源ターゲット材料搬送システムであって、
ターゲット材料貯蔵部と、
上記ターゲット材料貯蔵部と流体連通する導管と、
上記導管と流体連通するノズルアセンブリと
を含む、ターゲット材料搬送システムであり、
導管が、第1の高融点金属製の導管部分と、導管部分の軸端に取り付けられた少なくとも1つの継手部分であって、第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属製である少なくとも1つの継手部分とを含む、EUV光源ターゲット材料搬送システム。
8.少なくとも1つの継手部分が、導管部分の軸端に溶接される、条項7に記載のEUV光源ターゲット材料搬送システム。
9.第1の高融点金属が、TaW2.5を含む、条項7に記載のEUV光源ターゲット材料搬送システム。
10.第2の高融点金属が、TaW10を含む、条項7に記載のEUV光源ターゲット材料搬送システム。
11.導管を作成するための方法であって、
第1の高融点金属製の細長い導管部分を提供するステップと、
細長い導管部分の軸端に取り付けられた継手部分を提供するステップであって、継手部分が、第1の高融点金属より高い降伏強度を有する第2の高融点金属を含む、ステップと、
継手部分を細長い導管部分に取り付けるステップと
を含む、方法。
12.継手部分を細長い導管部分に取り付けるステップが、継手部分を細長い導管部分に溶接することを含む、条項11に記載の方法。
13.第1の高融点金属が、TaW2.5を含む、条項11に記載の方法。
14.第2の高融点金属が、TaW10を含む、条項11に記載の方法。
15.継手部分が、円非対称性断面を有する、条項11に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B