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特許7393700光信号復調器、制御方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】光信号復調器、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/69 20130101AFI20231130BHJP
   H03M 13/23 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H04B10/69
H03M13/23
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022541335
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(86)【国際出願番号】 JP2020029660
(87)【国際公開番号】W WO2022029835
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀人
(72)【発明者】
【氏名】中村 政則
(72)【発明者】
【氏名】谷口 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】木坂 由明
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077934(JP,A)
【文献】特表2017-520974(JP,A)
【文献】Hiroki Taniguchi et al.,84-GBaud/λ PAM-4 Transmission over 20-km using 4-λ LAN-WDM TOSA and ROSA with MLSE Based on Nonlinear Channel Estimation,2020 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC),2020年05月13日
【文献】Shuto Yamamoto et al.,O-Band 10-km Transmission of 93-Gbaud PAM4 Signal Using Spectral Shaping Technique Based on Nonlinear Differential Coding with 1-Tap Precoding,2020 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC),2020年05月13日
【文献】Shuto Yamamoto et al.,92-Gbaud PAM4 Transmission Using Spectral-Shaping Trellis-Coded-Modulation with 20-GHz Bandwidth Limitation,2019 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC),2019年04月25日
【文献】Hiroki Taniguchi et al.,Achievement of 186-Gb/s PAM-4 under 20.5-GHz bandwidth limitation using MLSE based on 2nd order Volterra filter,2018 23rd Opto-Electronics and Communications Conference (OECC),2019年06月06日
【文献】S. Yamamoto et al.,Nonlinear Differential Coding for Spectral Shaping of PAM Signal in High-Baudrate Short-Reach Optical Transmission,Journal of Lightwave Technology,2020年10月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/69
H03M 13/23
H03M 13/25
H03M 13/37 - 13/45
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ伝送路を介して送信部から送信される光信号を受信し、前記光信号をアナログ信号に変換する光受信部と、
前記光受信部により変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部により変換されたデジタル信号の波形整形を行うデジタル信号処理部と、
前記デジタル信号処理部により波形整形が行われたデジタル信号のビット判定を行う信号判定部と、
を有し、
前記送信部が、nを時刻を表すパラメータ、u ∈{0,1,2,・・・,m-1}をm値の符号化前のシンボル、αを0<α<1を満足する任意の実数として、下記数式(1)及び(2)に基づいて生成されたM値の符号化後のシンボルv を送信する場合に、
前記信号判定部は、
前記デジタル信号処理部からデジタル信号の受信信号系列が入力され、入力された受信信号系列に畳み込み演算を施した値を出力するスペクトル整形フィルタ処理部と、
受信信号のシンボル遷移を基に定まる候補信号系列に畳み込み演算を施した値を出力する伝送路模擬フィルタ処理部と、
前記スペクトル整形フィルタ処理部から出力された値と、前記伝送路模擬フィルタ処理部から出力された値との誤差情報を取得する誤差情報取得部と、
前記誤差情報取得部により取得された誤差情報から、前記符号化前のシンボルの尤度を示すシンボル尤度を算出するシンボル尤度算出部と、
前記シンボル尤度算出部により算出されたシンボル尤度に基づいて、前記符号化前のシンボルを構成するビットの値を判定するビット判定部と、
を備え
前記候補信号系列は、前記符号化後のシンボルの遷移を示す系列(r n-1 ,r )であり、
前記候補信号系列に対応して前記符号化前のシンボルが一意に定まり、
前記誤差情報取得部は、時刻n-1とnに注目したときの前記誤差情報lr n-1 として、前記スペクトル整形フィルタ処理部から出力された値と、前記伝送路模擬フィルタ処理部から出力され値との二乗誤差に対して、下記数式(5)~(7)で表される過去のシンボル系列からの影響を表す因子mr n-1 を加算した値を算出し、
前記シンボル尤度算出部は、前記符号化前のシンボルが同一となる前記候補信号系列に畳み込み演算を施した値と、前記スペクトル整形フィルタ処理部から出力された値とから前記誤差情報取得部により取得された誤差情報から算出される尤度の総和によって、前記符号化前のシンボルごとの尤度を算出する光信号復調器。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】
【請求項2】
前記符号化前のシンボルの多値数が4、前記符号化後のシンボルの多値数が6である場合に、
前記シンボル尤度算出部は、前記符号化前のシンボルu が同一となる前記候補信号系列(r n-1 ,r )の集合をU として、下記数式で表されるU に基づいて前記符号化前のシンボルごとの尤度を算出する請求項1に記載の光信号復調器。
={(0,0),(1,0),(2,4),(3,4),(4,4),(5,4)}
={(0,1),(1,1),(2,1),(3,1),(4,5),(5,5)}
={(0,2),(1,2),(2,2),(3,2),(4,2),(5,2)}
={(0,3),(1,3),(2,3),(3,3),(4,3),(5,3)}
【請求項3】
前記シンボル尤度算出部により算出されたシンボル尤度から、前記符号化前のシンボルを構成するビットの値の尤度を示すビット尤度を算出するビット尤度算出部を備え、
前記ビット尤度算出部は、前記符号化前のシンボルを構成するビットごとに、ビットの値についての対数尤度比を算出する請求項1または請求項2に記載の光信号復調器。
【請求項4】
前記送信部により送信される前記光信号には、軟判定誤り訂正符号が適用されており、
前記ビット尤度算出部により算出されたビット尤度を用いて誤り訂正復号を実行する誤り訂正復号部をさらに備えた請求項に記載の光信号復調器。
【請求項5】
光ファイバ伝送路を介して送信部から送信される光信号を受信し、前記光信号をアナログ信号に変換する光受信部と、前記光受信部により変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部により変換されたデジタル信号の波形整形を行うデジタル信号処理部と、前記デジタル信号処理部により波形整形が行われたデジタル信号のビット判定を行う信号判定部とを有する光信号復調器の制御方法であって、
前記送信部が、nを時刻を表すパラメータ、u ∈{0,1,2,・・・,m-1}をm値の符号化前のシンボル、αを0<α<1を満足する任意の実数として、下記数式(1)及び(2)に基づいて生成されたM値の符号化後のシンボルv を送信する場合に、
前記信号判定部が、
前記デジタル信号処理部からデジタル信号の受信信号系列が入力され、入力された受信信号系列に畳み込み演算を施した値を出力するスペクトル整形フィルタ処理ステップと、
受信信号のシンボル遷移を基に定まる候補信号系列に畳み込み演算を施した値を出力する伝送路模擬フィルタ処理ステップと、
前記スペクトル整形フィルタ処理ステップにより出力された値と、前記伝送路模擬フィルタ処理ステップにより出力された値との誤差情報を取得する誤差情報取得ステップと、
前記誤差情報取得ステップにより取得された誤差情報から、前記符号化前のシンボルの尤度を示すシンボル尤度を算出するシンボル尤度算出ステップと、
前記シンボル尤度算出ステップにより算出されたシンボル尤度に基づいて、前記符号化前のシンボルを構成するビットの値を判定するビット判定ステップと、
を実行し、
前記候補信号系列は、前記符号化後のシンボルの遷移を示す系列(r n-1 ,r )であり、
前記候補信号系列に対応して前記符号化前のシンボルが一意に定まり、
前記誤差情報取得ステップでは、時刻n-1とnに注目したときの前記誤差情報lr n-1 として、前記スペクトル整形フィルタ処理ステップで出力された値と、前記伝送路模擬フィルタ処理ステップで出力され値との二乗誤差に対して、下記数式(5)~(7)で表される過去のシンボル系列からの影響を表す因子mr n-1 を加算した値を算出し、
前記シンボル尤度算出ステップでは、前記符号化前のシンボルが同一となる前記候補信号系列に畳み込み演算を施した値と、前記スペクトル整形フィルタ処理ステップで出力された値とから前記誤差情報取得ステップで取得された誤差情報から算出される尤度の総和によって、前記符号化前のシンボルごとの尤度を算出する制御方法。
【数6】

【数7】

【数8】

【数9】

【数10】
【請求項6】
前記符号化前のシンボルの多値数が4、前記符号化後のシンボルの多値数が6である場合に、
前記シンボル尤度算出ステップでは、前記符号化前のシンボルu が同一となる前記候補信号系列(r n-1 ,r )の集合をU として、下記数式で表されるU に基づいて前記符号化前のシンボルごとの尤度を算出する請求項5に記載の制御方法。
={(0,0),(1,0),(2,4),(3,4),(4,4),(5,4)}
={(0,1),(1,1),(2,1),(3,1),(4,5),(5,5)}
={(0,2),(1,2),(2,2),(3,2),(4,2),(5,2)}
={(0,3),(1,3),(2,3),(3,3),(4,3),(5,3)}
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の制御方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号復調器、制御方法およびプログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信需要の増大に伴い、大容量トラヒックの伝送を可能とする光信号変調技術や、光信号多重技術を用いた光伝送ネットワークが普及しつつある。特に、1波当たりの伝送速度が100Gb/s以上の超高速光伝送システムにおいて、コヒーレント検波とデジタル信号処理技術を組み合わせた、デジタルコヒーレント技術が広く用いられるようになってきた。
【0003】
一方、LTE(Long Term Evolution)に代表される、モバイル端末による大容量データ通信の普及により、より安価に、すなわち、より簡易な送受信器構成によって、100Gb/s級の超高速光伝送を実現することが求められている。
【0004】
簡易な構成で100Gb/s級の超高速光伝送を実現する方式として、光信号の強度情報をもとにデータ信号の復調を行う、直接検波方式が注目されている。特に、2値の強度変調信号であるNRZ(Non Return-to-Zero)方式に比べて高い周波数利用効率を有する4値強度変調方式(PAM4: 4-level Pulse Amplitude Modulation)を用いた超高速光伝送方式の検討が進められている。
【0005】
長距離伝送技術として実用化されているデジタルコヒーレント技術を用いた100Gb/s級光伝送では、一般に偏波多重QPSK変調方式(PDM-QPSK)が用いられており、変調速度は25Gbaud程度である。一方、簡易な送受信器構成によって実現可能なPAM4を用いた形での100Gb/s級の超高速光伝送を実施する場合の変調速度は50Gbaud程度であるため、その信号スペクトルはPDM-QPSKよりも広い周波数を占有する信号スペクトルとなる。これは、100Gb/s級のPAM4方式は、PDM-QPSK方式に比べて電気光デバイスの帯域に起因したフィルタリングによる波形劣化の影響を大きく受けることを意味する。
【0006】
また、直接検波方式では、伝送ファイバの有する波長分散に起因した波形劣化をデジタル信号処理によって補償することができないため、PAM4方式を適用する際には波長分散に起因した信号品質劣化も大きな問題となる。波長分散に起因した信号品質劣化は変調速度の二乗に比例するため、特に50Gbaud以上の高速に変調された信号に対しては、波長分散に起因した信号品質劣化は顕著なものとなる。
【0007】
この問題に対し、送信側に符号化を施すことにより、信号スペクトルの狭帯域化を実現し、電気光デバイスの帯域制限に起因した波形劣化や、波長分散に起因した波形劣化に対する耐力を向上する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この方式における符号化後のシンボルは以下の式に基づいて生成される。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
なお、式(1)などでは「u」の上に「~」を示しているが、以下では「~u」と記載する。また、式(1)などにおいて、記号[・]はガウス記号であり、「n」は時刻を表すパラメータである。
【0011】
式(1)、式(2)において、uはタイムスロットnにおける符号化前のオリジナルのm値信号であり、u∈{0,1,2,…,m-1}のm値シンボルとなる。vは符号化後のシンボルである。ここで、各シンボルにはグレイ符号化された2ビットが割り当てられているものとする。すなわち、隣接するシンボル間のハミング距離が1となるような符号化が適用されているものとする。
【0012】
例えばm=4の場合、シンボル0にビット00、シンボル1にビット01、シンボル2にビット11、シンボル3にビット10を割り当てたものはグレイ符号となっている。符号化後のシンボルをvとする。αは0<α<1を満足する任意の実数である。式(2)から明らかなように、~uはm値シンボルであり、~u∈{0,1,2,…,m-1}である。符号化前の信号を得るための演算、すなわち復号化の演算は以下の式(3)に示す通りとなる。
【0013】
【数3】
【0014】
つまり、符号化前の信号uは、符号化後の信号vをmで割ったときの剰余に対応している。このような符号化を施すことにより、符号化後のシンボルvとして、v∈{0,1,2,…,M-1}のM値シンボルが得られる。Mの値はmとαによって決まる値となっており、例えばm=4、α=1/2の場合はM=6となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【文献】S. Yamamoto, et. al., ‘O-band 10-km Transmission of 93-Gbaud PAM Signal Using Spectral Shaping Technique Based on Nonlinear Differential Coding with 1-Tap Precoding,’ Proceeding of OFC2020, T3I.3 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述の通り、送信側に符号化を施すことにより信号スペクトルの狭帯域化を実現し、帯域制限や波長分散に対する耐力を向上することが可能となる。その一方で、受信側ではM値シンボルに対して判定を行ったうえで式(3)に示すmodulo演算処理によってuを復号するため、白色雑音に対する耐力はPAM-M相当となる。一般に多値数が大きいほど白色雑音に対する耐力は低くなるため、例えばm=4,M=6の場合は、符号化の適用によって帯域制限や波長分散に対する耐力が向上する一方で、白色雑音に対する耐力が低減するという問題があった。
【0017】
上記事情に鑑み、本発明は、符号化に伴う白色雑音に対する耐力の低減を抑圧することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様は、光ファイバ伝送路を介して送信部から送信される光信号を受信し、前記光信号をアナログ信号に変換する光受信部と、前記光受信部により変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部により変換されたデジタル信号の波形整形を行うデジタル信号処理部と、前記デジタル信号処理部により波形整形が行われたデジタル信号のビット判定を行う信号判定部と、を有し、前記信号判定部は、前記デジタル信号処理部からデジタル信号の受信信号系列が入力され、入力された受信信号系列に畳み込み演算を施した値を出力するスペクトル整形フィルタ処理部と、受信信号のシンボル遷移を基に定まる候補信号系列に畳み込み演算を施した値を出力する伝送路模擬フィルタ処理部と、前記スペクトル整形フィルタ処理部から出力された値と、伝送路模擬フィルタ処理部から出力された値との誤差情報を取得する誤差情報取得部と、前記誤差情報取得部により取得された誤差情報に基づいて、前記送信部が送信したシンボルを構成するビットの値を判定するビット判定部と、を備えた光信号復調器である。
【0019】
本発明の一態様は、光ファイバ伝送路を介して送信部から送信される光信号を受信し、前記光信号をアナログ信号に変換する光受信部と、前記光受信部により変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部により変換されたデジタル信号の波形整形を行うデジタル信号処理部と、前記デジタル信号処理部により波形整形が行われたデジタル信号のビット判定を行う信号判定部とを有する光信号復調器の制御方法であって、前記デジタル信号処理部からデジタル信号の受信信号系列が入力され、入力された受信信号系列に畳み込み演算を施した値を出力するスペクトル整形フィルタ処理ステップと、受信信号のシンボル遷移を基に定まる候補信号系列に畳み込み演算を施した値を出力する伝送路模擬フィルタ処理ステップと、前記スペクトル整形フィルタ処理ステップにより出力された値と、伝送路模擬フィルタ処理ステップにより出力された値との誤差情報を取得する誤差情報取得ステップと、 前記誤差情報取得ステップにより取得された誤差情報に基づいて、前記送信部が送信したシンボルを構成するビットの値を判定するビット判定ステップと、を備えた制御方法である。
【0020】
本発明の一態様は、上記の制御方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、符号化に伴う白色雑音に対する耐力の低減を抑圧することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】光信号復調器の構成を示すブロック図である。
図2】信号判定部の構成を示すブロック図である。
図3A】vのシンボル遷移を示す図である。
図3B】vのシンボル遷移を示す図である。
図3C】vのシンボル遷移を示す図である。
図3D】vのシンボル遷移を示す図である。
図3E】vのシンボル遷移を示す図である。
図3F】vのシンボル遷移を示す図である。
図4】伝送性能の評価結果を示す図である。
図5】信号判定部の処理の流れを示すフローチャートである。
図6A】PAM4シンボルuのシンボル遷移を示す図である。
図6B】PAM4シンボルuのシンボル遷移を示す図である。
図6C】PAM4シンボルuのシンボル遷移を示す図である。
図6D】PAM4シンボルuのシンボル遷移を示す図である。
図7】信号判定部500の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における光信号復調器100の構成を示すブロック図である。光信号復調器100は、光受信部200、AD(アナログデジタル)変換部300、デジタル信号処理部400、および信号判定部500を備える。
【0024】
光受信部200は、直接検波システムの場合は光強度受信器とし、コヒーレント検波システムの場合はコヒーレント受信器とする。光受信部200は、光受信信号を電気アナログ信号に変換し、AD変換部300に出力する。AD変換部300は、電気アナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号処理部400に出力する。デジタル信号処理部400は、従来の波形整形を行い、波形整形が行われた信号系列を信号判定部500に出力する。信号判定部500は、対数尤度比(LLR: Log Likelihood Ratio)に基づくビット判定を行う。以下の説明において、対数尤度比をLLRと記載することがある。
【0025】
図2は、信号判定部500の構成を示すブロック図である。信号判定部500は、スペクトル整形フィルタ処理部501、伝送路模擬フィルタ処理部502、減算器503、二乗誤差算出部504、シンボル尤度算出部505、ビット尤度算出部506、およびビット判定部507を備える。
【0026】
スペクトル整形フィルタ処理部501と伝送路模擬フィルタ処理部502はT間隔タップから構成される有限インパルス応答(FIR: Finite Impulse Response)フィルタによる処理を行う。また、スペクトル整形フィルタ処理部501と伝送路模擬フィルタ処理部502は、それぞれ二乗誤差算出部504からの出力が最小になるようなフィルタ形状で運用される。
【0027】
スペクトル整形フィルタ処理部501には、デジタル信号処理部400によって波形整形された1サンプル/シンボル(Sps: Sample per symbol)のデジタル信号系列sが入力される。スペクトル整形フィルタ処理部501は、sに対して畳み込み演算を施し、減算器503に出力する。
【0028】
送信信号として想定される候補信号系列rが記憶されている。伝送路模擬フィルタ処理部502は、送信信号として想定される候補信号系列rが入力される。伝送路模擬フィルタ処理部502は、rに対して畳み込み演算を施し、減算器503に出力する。
【0029】
減算器503は、伝送路模擬フィルタ処理部502から出力された値から、スペクトル整形フィルタ処理部501から出力された値を減算し、二乗誤差算出部504に出力する。二乗誤差算出部504は、誤差情報取得部の一例である。二乗誤差算出部504は、減算器503からの出力を用いて、各候補信号系列に対する誤差情報を取得する。本実施形態では、誤差情報の一例として二乗誤差を用いている。二乗誤差算出部504は、取得した二乗誤差をシンボル尤度算出部505に出力する。二乗誤差をブランチメトリックとも表現する。
【0030】
シンボル尤度算出部505は、各ブランチメトリックに基づいて、各符号化前シンボルuに対する尤度を算出し、ビット尤度算出部506に出力する。ビット尤度算出部506は、符号化前シンボルuを構成する各ビットに対するLLRを算出し、ビット判定部507に出力する。ビット判定部507は、各ビットに対するLLRに基づいてビット判定を行い、送信ビット系列を復元する。
【0031】
以上説明した構成について、具体例を用いて説明する。まず、送信信号が式(1)、式(2)に示す符号化が施された信号とし、α=1/2、m=4とする。このとき、M=6となる。符号化前の4値シンボルに対しては、それぞれシンボル0にビット00、シンボル1にビット01、シンボル2にビット11、シンボル3にビット10が割り当てられているとする。
【0032】
このとき、符号化後のシンボルvのシンボル遷移について説明する。図3A図3Fは、vのシンボル遷移を示す図である。図3A図3Fには、vn-1が0~5までのそれぞれの場合に、遷移可能なシンボルが示されている。図3A図3Fにおいて、uはu_nと記載されている。
【0033】
図3Aは、vn-1=0の場合のvのシンボル遷移を示す図である。図3Bは、vn-1=1の場合のvのシンボル遷移を示す図である。図3Cは、vn-1=2の場合のvのシンボル遷移を示す図である。図3Dは、vn-1=3の場合のvのシンボル遷移を示す図である。図3Eは、vn-1=4の場合のvのシンボル遷移を示す図である。図3Fは、vn-1=5の場合のvのシンボル遷移を示す図である。
【0034】
図3A図3Fに示されるように、vのシンボル遷移と符号化前のシンボルuには対応関係が存在することがわかる。したがって、符号化後のシンボルvに対する判定を行わずとも、vのシンボル遷移から符号化前のシンボルuを復元することが可能である。
【0035】
図3A図3Fから、ある時刻n-1とnに注目した場合、上述した想定される候補信号系列に相当するデジタル信号系列における送信シンボルの候補(rn-1,r)は、以下の24通りとなる。
【0036】
(0, 0), (0, 1), (0, 2), (0, 3), (1, 0), (1, 1), (1, 2), (1, 3), (2, 1), (2, 2), (2, 3), (2, 4), (3, 1), (3, 2), (3, 3), (3, 4), (4, 2), (4, 3), (4, 4), (4, 5), (5, 2), (5, 3), (5, 4), (5, 5)
【0037】
このように、候補信号系列は、符号化されたシンボルの系列を示すとともに、符号化前のシンボルによって、符号化されたシンボルの系列間の遷移には制限がある。また、候補信号系列に対応してシンボルが一意に定まる。例えば、符号化されたシンボルの系列vn-1、vがともに0の場合には、符号化前のシンボルuが0というように一意に定まる。
【0038】
スペクトル整形フィルタ処理部501と伝送路模擬フィルタ処理部502のタップ数をそれぞれ2とする。このとき、二乗誤差算出部504の出力として以下を得る。
【0039】
【数4】
【0040】
ただし、k=2で、
【0041】
【数5】
【0042】
【数6】
【0043】
【数7】
【0044】
である。二乗誤差算出部504は、想定しうる全ての(rn-1,r)に対して二乗誤差lrn-1を算出する。なお、mrは過去のシンボル系列からの影響を表す因子である。過去のシンボル系列からの影響を無視する場合は、式(4)において全てのnに対してmrn-1=0とすればよい。この場合は、過去のシンボル系列からの影響を算出するための演算処理である式(5)、式(6)を算出する処理を削減することが可能となる。したがって、演算負荷低減を優先する場合は、mrn-1=0とすればよい。二乗誤差算出部504は、算出したlrn-1をシンボル尤度算出部505に出力する。
【0045】
シンボル尤度算出部505は、下記(8)によりLを算出する。
【0046】
【数8】
【0047】
ここでuは符号化前のシンボルuに対応しており、例えばL3はu=3に対する尤度を表す。また、σは受信信号の信号対雑音比(SNR: Signal-to-Noise Ratio)に対応するパラメータである。実装上は、ビット誤り率(BER: Bit Error Rate)が最小になるようなσを用いるとよい。(8)におけるΣは符号化前シンボルuに相当するシンボル遷移全てについての和をとることを意味している。各 に対応するp、qのペアは以下の通りとなる。
【0048】
={(0,0), (1,0), (2,4), (3,4), (4,4), (5,4)}
={(0,1), (1,1), (2,1), (3,1), (4,5), (5,5)}
={(0,2), (1,2), (2,2), (3,2), (4,2), (5,2)}
={(0,3), (1,3), (2,3), (3,3), (4,3), (5,3)}
【0049】
シンボル尤度算出部505は、算出されたLをビット尤度算出部506に出力する。ここで、左側のビットをMSB(Most Significant Bit)、右側のビットをLSB(Least Significant Bit)と記載する。ビット尤度算出部506は、ビット尤度としてLLRMSBを以下の式(9)により算出し、LLRLSBを以下の式(10)により算出する。ここで、LLRMSBはMSBのLLRを示し、LLRLSBはLSBのLLRを示す。
【0050】
【数9】
【0051】
【数10】
【0052】
式(9)において、右辺の真数の分母のL,Lに対応するuは、ともにMSBが1である。よって、分母は、MSBの1らしさを示す。一方、分子のL,Lに対応するuは、ともにMSBが0である。よって、分子は、MSBの0らしさを示す。右辺の真数が1より大きい場合には、LLRMSBは正となり、1より小さい場合には、LLRMSBは負となる。
【0053】
同様に、式(10)において、右辺の真数の分母のL,Lに対応するuは、ともにLSBが1である。よって、分母は、LSBの1らしさを示す。一方、分子のL,Lに対応するuは、ともにLSBが0である。よって、分子は、LSBの0らしさを示す。右辺の真数が1より大きい場合には、LLRLSBは正となり、1より小さい場合には、LLRLSBは負となる。
【0054】
ビット尤度算出部506は、算出したLLRMSBとLLRLSBをビット判定部507に出力する。ビット判定部507は、下記(11)および(12)を用いて、ビット判定の結果としてxMSB,xLSBを得る。ここで、xMSBは、MSBに対する判定結果を示す。xLSBは、LSBに対するビット判定の結果を示す。
【0055】
【数11】
【0056】
【数12】
【0057】
ビット判定部507は、左側のビットをxMSBと判定し、右側のビットをxLSBと判定する。図4は、伝送性能の評価結果を示す図である。図4に示されるグラフは、横軸が受信パワー(dBm)を示し、縦軸がビット誤り率を示す。この図4に示されるビット誤り率は、変調速度は93Gbuad、伝送容量は186Gb/s、伝送距離は10kmで計測されたものである。また、オーバーヘッド7%の硬判定前方誤り訂正に関する閾値が示されている。
【0058】
また、「93-GBd NLDCP(LLR-Dec)」に示されるグラフは、本実施形態を適用した場合のビット誤り率を示す。一方、「93-GBd NLDCP(Modulo-Dec)」に示されるグラフは、本実施形態を適用していない場合のビット誤り率を示す。図4に示されるように、本実施形態によれば、6値シンボル判定に起因した感度劣化を抑圧し、ビット誤り率が低減されることが確認できる。
【0059】
図5は、第1の実施形態における信号判定部500の処理の流れを示すフローチャートである。スペクトル整形フィルタ処理部501は、式(4)に示されるスペクトル整形フィルタによるsに対して畳み込み演算を施す(ステップS101)。伝送路模擬フィルタ処理部502は、式(4)に示される候補信号系列に相当するデジタル信号系列rに対して畳み込み演算を施す(ステップS102)。
【0060】
二乗誤差算出部504は、減算器503からの出力に基づいて、各候補信号系列に対する二乗誤差を式(4)を用いて算出する(ステップS103)。シンボル尤度算出部505は、式(8)を用いて、各ブランチメトリックに基づいて、各符号化前シンボルuに対する尤度L3を算出する(ステップS104)。ビット尤度算出部506は、式(9)および式(10)を用いて符号化前シンボルuを構成する各ビットに対するLLRを算出する(ステップS105)。ビット判定部507は、各ビットに対するLLRから、数(11)、数(12)に従ってビットを判定し(ステップS106)、処理を終了する。
【0061】
(第2の実施形態)
図1に示した光信号復調器100は、必ずしも送信信号として送信器側で符号化が適用された信号でない場合であっても符号化に伴う白色雑音に対する耐力の低減を抑圧することができる。符号化が適用された信号でない場合は、伝送路の有する帯域制限や波長分散が符号化器に相当する役割を果たす。第2の実施形態では、送信信号として特に何も符号化が施されていないPAM4信号とする場合の光信号復調器について、第1の実施形態を流用して説明する。
【0062】
図6A図6Dは、vのシンボル遷移を示す図である。図6図6Dには、un-1が0~3までのそれぞれの場合に、遷移可能なシンボルが示されている。図6A図6Dにおいて、uはu_nと記載されている。
【0063】
図6Aは、un-1=0の場合のuのシンボル遷移を示す図である。図6Bは、un-1=1の場合のuのシンボル遷移を示す図である。図6Cは、un-1=2の場合のuのシンボル遷移を示す図である。図6Dは、un-1=3の場合のuのシンボル遷移を示す図である。
【0064】
図6A図6Dに示されるように、uのシンボル遷移とシンボルu自身には対応関係が存在することがわかる。したがって、シンボルuに対して直接的に判定を行わなくとも、uのシンボル遷移からuを復元することが可能である。
【0065】
図6A図6Dから、ある時刻n-1とnに注目した場合、想定される送信シンボルの候補(rn-1,r)は、以下の16通りとなる。
(0, 0), (0, 1), (0, 2), (0, 3), (1, 0), (1, 1), (1, 2), (1, 3), (2, 0), (2, 1), (2, 2), (2, 3), (3, 0), (3, 1), (3, 2), (3, 3)
【0066】
スペクトル整形フィルタ処理部501と伝送路模擬フィルタ処理部502のタップ数を第1の実施形態と同様にそれぞれ2とする。二乗誤差算出部504の出力は、(4)~(7)に示す通りである。二乗誤差算出部504は、想定しうる全ての(rn-1,r)に対して二乗誤差lrn-1を算出する。二乗誤差算出部504は、算出したlrn-1をシンボル尤度算出部505に出力する。
【0067】
シンボル尤度算出部505は、下記(13)によりをLを算出する。を
【0068】
【数13】
【0069】
ここでuは符号化前のシンボルuに対応しており、例えばL3はu=3に対する尤度を表す。σは第1の実施形態と同様に、受信信号の信号対雑音比に対応するパラメータである。実装上は、ビット誤り率が最小になるようなσを用いるとよい。
【0070】
シンボル尤度算出部505は、算出されたLをビット尤度算出部506に出力する。ビット尤度算出部506は、第1の実施形態と同様に、(9)、(10)により、LLRMSBとLLRLSBとを算出する。
【0071】
ビット尤度算出部506は、ビット尤度として算出したLLRMSBとLLRLSBをビット判定部507に出力する。ビット判定部507は、上記(11)および(12)を用いて、ビット判定の結果としてxMSB,xLSBを得る。
【0072】
このように、光信号復調器100は、図3図6に示したような、受信信号のシンボル遷移と送信信号が対応付けされているような信号であれば、どのような送信信号に対しても適用可能である。したがって、PAM4のような強度変調信号のみに限らず、QPSK信号や直交振幅変調(QAM: Quadrature Amplitude Modulation)信号のような複素電界に変調が施された信号であっても、適用可能である。この場合は、QAM信号のIn-phase成分とQuadrature成分それぞれに対して、図2に示した構成によって、スペクトル整形フィルタ処理、伝送路模擬フィルタ処理、二乗誤差算出処理、尤度算出処理、ビットLLR算出処理、ビット判定処理が実行される。
【0073】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態において、演算量を低減した信号判定部500について、第1の実施形態および第2の実施形態を流用して説明する。第3の実施の形態で扱う送信信号は第2の実施例と同様にPAM4信号とする。
【0074】
第3の実施形態では、シンボル尤度算出部505がLを算出する式を、式(13)に代えて、下記式(14)とする。
【0075】
【数14】
【0076】
(14)に示されるように、指数演算expに代えて、l0u,l1u,l2u,l3uのうちの最小値をLとする。このように、二乗誤差算出部504により取得された誤差情報が示す二乗誤差の最小値をシンボル尤度として算出する。シンボル尤度算出部505は、算出されたLをビット尤度算出部506に出力する。ビット尤度算出部506は、下記(15)、(16)により、ビット尤度としてLLRMSBとLLRLSBを算出する。
【0077】
【数15】
【0078】
【数16】
【0079】
ビット尤度算出部506は、算出したLLRMSBとLLRLSBをビット判定部507に出力する。式(15)において、min{L,L}は、MSBが0となる場合のシンボル尤度が最小となるシンボル尤度である。また、式(15)において、min{L,L}は、MSBが1となる場合のシンボル尤度が最小となるシンボル尤度である。
【0080】
同様に、式(16)において、min{L,L}は、LSBが0となる場合のシンボル尤度が最小となるシンボル尤度である。また、式(16)において、min{L,L}は、LSBが1となる場合のシンボル尤度が最小となるシンボル尤度である。このように、シンボルを構成するビットごとに、0となる場合のシンボル尤度が最小となるシンボル尤度と、1となる場合のシンボル尤度が最小となるシンボル尤度との差をビット尤度として算出される。
ビット判定部507は、上記(11)および(12)を用いて、ビット判定の結果としてxMSB,xLSBを得る。
【0081】
このように、第3の実施形態では、指数演算expが行われない。よって、第3の実施形態は、第1の実施形態や第2の実施形態と比較して、指数演算expを行うことなくビット判定を実行できることにより演算量が低減できるという特徴を有する。さらに、第3の実施形態は、信号判定部500による一連の処理の中でパラメータσを用いることなくビット判定が可能であるという特徴を有する。これは、本実施例を適用することでパラメータσの選定が不要となることを意味しており、σの値を選定するための演算処理を削減することが可能であることを意味する。
【0082】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、軟判定誤り訂正符号が適用された送信信号に対する構成例について説明する。図7は、第4の実施形態に係る信号判定部500の構成を示すブロック図である。図7に示されるように、第4の実施形態に係る信号判定部500は、図2で説明した構成のうち、ビット判定部507とビット尤度算出部506との間に誤り訂正復号部508を備える。
【0083】
ビット尤度算出部506は、第1、第2、第3の実施形態に記載した式でビット尤度を算出し、誤り訂正復号部508に出力する。誤り訂正復号部508はビット尤度を用いて誤り訂正復号を実行することでビット誤りを訂正し、誤り訂正後のビット系列をビット判定部507に出力する。ビット判定部507は、誤り訂正後のビット系列に対してビット判定を行うことで、判定ビット系列を得る。このように、第4の実施形態によれば、ビット尤度算出部506により得られたビット尤度を用いて誤り訂正復号が可能となる。
【0084】
軟判定誤り訂正符号に対する制限はなく、例えば軟判定誤り訂正符号として、ターボ符号や低密度パリティチェック(LDPC: Low Density Parity Check)符号などが挙げられる。
【0085】
信号判定部500は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。信号判定部500は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、スペクトル整形フィルタ処理部501、伝送路模擬フィルタ処理部502、減算器503、二乗誤差算出部504、シンボル尤度算出部505、ビット尤度算出部506、およびビット判定部507として機能する。なお、信号判定部500の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0086】
このように構成された光信号復調器100では、デジタル信号系列sと候補信号系列rとから二乗誤差を算出し、尤度を算出することで、M(>m)値のシンボルに対する判定を経由することなくuを復号し、uを構成するビットの判定を行うので、符号化に伴う白色雑音耐力の低減を抑圧することができる。
【0087】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、光ファイバ伝送路を介して送信部から送信される光信号を復調する光信号復調器に適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
100…光信号復調器、200…光受信部、300…AD変換部、400…デジタル信号処理部、500…信号判定部、501…スペクトル整形フィルタ処理部、502…伝送路模擬フィルタ処理部、503…減算器、504…二乗誤差算出部、505…シンボル尤度算出部、506…ビット尤度算出部、507…ビット判定部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7