(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20231130BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20231130BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20231130BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/54
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2022061856
(22)【出願日】2022-04-01
(62)【分割の表示】P 2021067536の分割
【原出願日】2018-07-20
【審査請求日】2022-04-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】大倉 信也
(72)【発明者】
【氏名】曽我井 崇申
(72)【発明者】
【氏名】大正谷 皓司
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-115368(JP,A)
【文献】特開2017-139404(JP,A)
【文献】特開2013-222782(JP,A)
【文献】特開2011-119387(JP,A)
【文献】特開2010-157486(JP,A)
【文献】特開2014-143396(JP,A)
【文献】特開2006-224440(JP,A)
【文献】特開2004-146639(JP,A)
【文献】特開平10-209338(JP,A)
【文献】特開2002-151741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0061513(US,A1)
【文献】トランジスタ技術編集部,実用電子回路ハンドブック(1),第33版,日本,CQ出版株式会社,1990年03月10日,P.375-377
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01L 23/28 - 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び第2領域を含む第1面を有する基板と、
前記基板上に設けられ、前記第1領域を囲む第1枠部と、
前記第1領域の前記基板上に設けられた発光素子と、
前記第1枠部の内側に設けられ、前記発光素子を被覆する透光性の第1部材と、
前記第2領域の前記基板上に設けられ、前記発光素子と電気的に接続された電子部品と、
前記基板の厚さ方向に直交する第1方向に並んで設けられ、前記電子部品と電気的に接続された複数のピン孔と、
を備え、
前記電子部品は、前記厚さ方向および前記第1方向に直交する第2方向において、前記発光素子に対して前記複数のピン孔とは反対側に設けられ、
前記電子部品として、
前記発光素子と直列に接続され
、互いに並列に接続された複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタと直列に接続されたサーミスタと、
前記複数のトランジスタ及び前記サーミスタと、前記複数のピン孔の1つと、の間に電気的に接続された整流ダイオードと、
が設けられ、
前記整流ダイオードと前記複数のピン孔の別の1つとの間に電気的に接続され、前記複数のトランジスタ及び前記サーミスタと並列に接続されたツェナーダイオードをさらに備え、
前記ツェナーダイオードは、前記厚さ方向において、前記基板と前記第1枠部との間に設けられた発光装置。
【請求項2】
前記整流ダイオードと前記複数のピン孔の前記別の1つとの間に電気的に接続されたコンデンサをさらに備え、
前記ツェナーダイオード及び前記コンデンサは、並列に接続されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1部材の上面は、前記第1枠部の上面よりも上方に位置する請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基板上に設けられ、前記第2領域を囲む第2枠部と、
前記第2枠部の内側に設けられ、前記電子部品を被覆する非透光性の第2部材と、を備える請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1枠部の一部と前記第2枠部の一部は、一体に設けられ、
前記第1部材の上面は、前記第1枠部の上面、前記第2枠部の上面、及び前記第2部材の上面よりも上方に位置する請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2部材の上面は、前記第1枠部の上面及び前記第2枠部の上面よりも下方に位置する請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
前記電子部品は、前記サーミスタのベアチップ及び前記複数のトランジスタのベアチップを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1部材は、蛍光体を含有する請求項1に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に発光素子及び電子部品が実装された発光装置がある。発光素子及び電子部品を1つの基板上に実装することで、これらの部品を別々に設けて接続する場合に比べて、発光装置を小型化することができる。この発光装置について、光取り出し効率の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ピン孔と電子部品とを離間して配置できる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る発光装置は、第1領域及び第2領域を含む第1面を有する基板と、前記基板上に設けられ、前記第1領域を囲む第1枠部と、前記第1領域の前記基板上に設けられた発光素子と、前記第1枠部の内側に設けられ、前記発光素子を被覆する透光性の第1部材と、前記第2領域の前記基板上に設けられ、前記発光素子と電気的に接続された電子部品と、前記基板の厚さ方向に直交する第1方向に並んで設けられ、前記電子部品と電気的に接続された複数のピン孔と、を備え、前記電子部品は、前記厚さ方向および前記第1方向に直交する第2方向において、前記発光素子に対して前記複数のピン孔とは反対側に設けられ、前記電子部品として、前記発光素子と直列に接続され、互いに並列に接続された複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタと直列に接続されたサーミスタと、前記複数のトランジスタ及び前記サーミスタと、前記複数のピン孔の1つと、の間に電気的に接続された整流ダイオードと、が設けられ、前記整流ダイオードと前記複数のピン孔の別の1つとの間に電気的に接続され、前記複数のトランジスタ及び前記サーミスタと並列に接続されたツェナーダイオードをさらに備え、前記ツェナーダイオードは、前記厚さ方向において、前記基板と前記第1枠部との間に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る発光装置を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る発光装置を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係る発光装置を示す平面図である。
【
図4】実施形態に係る発光装置の基板を示す平面図である。
【
図7】実施形態に係る発光装置の回路構成を示す回路図である。
【
図8】実施形態の変形例に係る発光装置を示す平面図である。
【
図9】実施形態の変形例に係る発光装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付し、説明は適宜省略する。
【0009】
図1は、実施形態に係る発光装置を示す斜視図である。
図2及び
図3は、実施形態に係る発光装置を示す平面図である。
図4は、実施形態に係る発光装置の基板を示す平面図である。
なお、
図3では、発光装置の内部構造を示すため、一部の構成要素を省略又は透過させて示している。
【0010】
実施形態に係る発光装置1は、例えば
図1~
図3に示したように、基板10、発光素子20、電子部品30、第1枠部41、第2枠部42、第1部材51、及び第2部材52を備える。
【0011】
基板10は、絶縁性を有する平板状の部材である。基板10は、配線パターン14が形成された第1面10aを有する。この第1面10aは、
図4に示したように、第1領域11及び第2領域12を含む。第1領域11は、発光素子20が実装される領域であり、第2領域12は、電子部品30が実装される領域である。
図2及び
図3に示したように、発光素子20及び電子部品30は、それぞれ第1領域11及び第2領域12の上に実装され、基板10の配線パターン14と電気的に接続されている。
【0012】
基板10は、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミック材料から構成されている。基板10は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド等の絶縁性の樹脂材料から構成されても良い。配線パターン14は、金、銀、銅およびアルミニウム等の金属などの導電性を有する材料で形成されている。また、基板10は、金属部材の表面に絶縁性部材が層状に形成されたものでもよく、この場合配線パターン14は絶縁性部材上に形成される。
【0013】
発光素子20は、例えば発光ダイオードである。発光素子20は、所定の波長の光を発することができれば、その具体的構成は任意である。例えば、発光素子20は、LEDチップがパッケージに収められたものであっても良いし、LEDチップ単体(ベアチップ)であっても良い。望ましくは、発光素子20は、ベアチップが基板10上にフリップチップ実装されたものである。
【0014】
発光素子20から発せられる光の波長は、発光装置1の用途に応じて適宜設定される。例えば、発光素子20は窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を含み、青色の光を発する。発光素子20は、第1領域11上に複数設けられていても良い。発光装置1では、
図3に示したように、複数の発光素子20a~20cが直列に接続されている。
【0015】
電子部品30は、例えば、サーミスタ、トランジスタ、整流ダイオードなどである。電子部品30は、半導体チップがパッケージに収められたものであっても良いし、半導体チップ単体(ベアチップ)であっても良い。電子部品30は、第2領域12上に複数設けられていても良い。例えば
図3に示したように、複数の電子部品30a~30gが直接又はボンディングワイヤWにより基板10の配線パターン14と電気的に接続されている。例えば、複数の電子部品30a~30gは、サーミスタ、トランジスタ、及び整流ダイオードのそれぞれのベアチップを含む。なお、
図3に示したように、電子部品30の一部が、第2枠部42により被覆されていても良い。
【0016】
第1枠部41及び第2枠部42は、基板10上に設けられている。第1枠部41は第1領域11を囲み、第2枠部42は第2領域12を囲んでいる。すなわち、第1領域11上に設けられた発光素子20は、第1枠部41に囲まれている。第2領域12上に設けられた電子部品30は、第2枠部42に囲まれている。第1枠部41及び第2枠部42は、非透光性である。発光装置1では、
図2に示したように、第1枠部41の一部と第2枠部42の一部が一体に設けられている。つまり、第1枠部41と第2枠部42とはそれぞれの一部を共有している。
【0017】
第1部材51は、第1枠部41の内側に設けられ、複数の発光素子20を被覆(封止)している。第1部材51の上面は、第1枠部の上面、第2枠部の上面よりも上方に位置し、発光装置1の発光面を構成する。第1部材51は、発光素子20から発せられた光が透過するよう、透光性を有する。第2部材52は、第2枠部42の内側に設けられ、複数の電子部品30及びボンディングワイヤを被覆(封止)している。第2部材52は、非透光性である。
【0018】
第1枠部41、第2枠部42、第1部材51、及び第2部材52は、例えば樹脂を含む。樹脂としては、フェニルシリコーン樹脂やジメチルシリコーン樹脂などを用いることができる。第1枠部41、第2枠部42、第1部材51、及び第2部材52を構成する樹脂材料の具体的な組成は、互いに同じでも良いし、異なっていても良い。
【0019】
第1枠部41、第2枠部42、及び第2部材52には、非透光性を付与するために、顔料が添加されている。例えば、第1枠部41、第2枠部42、及び第2部材52には、反射性を高めるために、樹脂に白色の顔料等が添加されている。白色の顔料としては、酸化チタン又はアルミナが用いられる。
【0020】
第1部材51は、蛍光体を含有していても良い。蛍光体は、発光素子20が発する光によって励起され、発光素子20が発する光の波長とは異なる波長の光を発する。蛍光体として、YAG蛍光体、βサイアロン蛍光体、KSF系蛍光体などを用いることができる。一例として、発光素子20は青色の光を発し、第1部材51は黄色の光を発するYAG蛍光体を含む。この場合、第1部材51の上面(発光面)からは、白色の光が発せられる。別の例として、発光素子20は青色の光を発し、第1部材51は赤色の光を発する窒化物蛍光体と黄色の光を発するYAG蛍光体を含む。この場合、発光面からは、赤色(アンバー)の光が発せられる。
【0021】
図5は、
図2のA-A’断面図である。
図6は、
図2のB-B’断面図である。
図5及び
図6に示したように、第1部材51の上面51aは、第1枠部41の上面41a、第2枠部42の上面42a、及び第2部材52の上面52aよりも上方に位置している。第2部材52の上面52aは、第1枠部41の上面41a及び第2枠部42の上面42aと同じ高さにあっても良いし、
図5及び
図6に示したように、これらの上面よりも下方に位置していても良い。
【0022】
発光装置1は、例えば以下の方法により製造される。
まず、配線パターン14が形成された基板10上に、発光素子20及び電子部品30を実装する。次に、未硬化の樹脂材料を、発光素子20及び電子部品30を囲うように基板10上に配し、硬化させることで、第1枠部41及び第2枠部42を形成する。具体的には、第1枠部41及び第2枠部42は、例えば、基板10の上方に樹脂吐出装置のニードルを配置し、ニードルの先端から基板10上に未硬化の樹脂材料を吐出させながら、ニードルを移動させることにより形成される。ニードルから吐出された未硬化の樹脂材料は基板10上で濡れ広がり、断面視形状が略半円形状の第1枠部41及び第2枠部42として配置される。
続いて、第1枠部41の内側に第1部材51を形成する透光性の樹脂材料を流し込み、第2枠部42の内側に第2部材52を形成する非透光性の樹脂材料を流し込む。これらの樹脂を硬化させることで、第1部材51及び第2部材52が形成され、発光素子20及び電子部品30が封止される。なお、第1部材51及び第2部材52はどちらが先に形成されてもよい。
【0023】
実施形態の効果を説明する。
実施形態に係る発光装置1では、
図5及び
図6に示したように、発光素子20を被覆する第1部材51の上面51aが、第1枠部41の上面41a、第2枠部42の上面42a、及び第2部材52の上面52aよりも上方に位置している。発光素子20から発せられた光は、第1部材51の上面51aから取り出される。従って、この上面51aが、他の部材の上面41a、42a、及び52aよりも上方に位置することで、取り出された光が他の部材により反射又は吸収され難くなる。この結果、発光素子20から発せられた光を効率的に外部へ取り出すことができる。すなわち、本実施形態によれば、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。
【0024】
また、発光装置1では、電子部品30を実装する第2領域12の面積が、発光素子20を実装する第1領域11の面積よりも大きいことが望ましい。第2領域12の面積が第1領域11の面積よりも大きいと、より多くの電子部品30を第2領域12上に実装できるためである。
【0025】
第2領域12の面積が大きいと、発光装置1が多くの電子部品30を備える場合でも、電子部品30同士を重ね合わせたりせずに、複数の電子部品30を平面上に並べて実装できる。これにより、電子部品30を被覆する第2部材52の上面52aの位置を、より下方に位置させることができる。上面52aの位置が低くなると、上述した関係を満たすために必要な第1部材51の上面51aの位置を低くできる。この結果、発光装置1の高さを低くでき、発光装置1を小型化できる。
【0026】
第1枠部41及び第2枠部42については、
図2に示したように、第1枠部41の一部と第2枠部42の一部が一体に設けられていることが望ましい。この構成によれば、基板10上において第1枠部41及び第2枠部42が占める面積を小さくでき、発光装置1を小型化できる。
【0027】
電子部品30と基板10(実質的には配線パターン14)は、ボンディングワイヤWを用いて電気的に接続されていることが望ましい。ボンディングワイヤWにより電子部品30と配線パターン14を接続することで、電子部品30の配置の自由度が向上し、第2領域12上に電子部品30を効率的に配列できる。
【0028】
第2部材52の上面52aは、第1枠部41の上面41a及び第2枠部42の上面42aよりも下方に位置することが望ましい。この構成によれば、第2枠部42内における第2部材52の単位面積当たりの体積を小さくできる。発光装置1が発熱又は放熱すると、第2部材52の温度が変化するが、このとき温度変化に応じて第2部材52の体積が変化する。第2部材52の体積が減少すると、温度変化による第2部材52の体積の変化量を小さくでき、電子部品30に加わる応力を低減できる。この結果、電子部品30の破損や接続不良の発生などを抑制し、発光装置1の信頼性を向上させることができる。
【0029】
特に、ボンディングワイヤWが用いられる場合、第2部材52の体積が小さいことが望ましい。温度変化による第2部材52の体積の変化量を小さくすることで、ボンディングワイヤWの断線が生じる可能性を低減し、発光装置1の信頼性をより向上させることができる。
【0030】
発光素子20は、基板10上にフリップチップ実装されていることが好ましい。フリップチップ実装は、半田等の導電性を有するペースト状の接合部材、薄膜状又はバンプ状の接合部材等を用いて発光素子20の電極と基板上の導体配線とが電気的に接合される。
【0031】
電子部品30は、サーミスタ、トランジスタ、及びダイオードのいずれかのベアチップであることが望ましい。ベアチップを用いることで、パッケージ化された部品を用いる場合に比べて、基板10上に占める割合を小さくできる。また、ベアチップを用いることで、第2部材52に埋設されることが容易となり、発光装置1を小型化できる。
【0032】
また、第2枠部42は、複数の角部Cを有する。換言すると、第2枠部42の形状は、平面視において、複数の直線部及び曲線部から構成される多角形状である。角部Cの内角は、
図2及び
図3に示したように、90度以上であることが望ましい。
【0033】
第2部材52は、上述したように、第2枠部42の内側に未硬化の樹脂材料を流し込み、硬化させることで形成される。このとき、角部Cの内角が90度未満であると、未硬化の樹脂材料が角部Cにおいて第2枠部42上に乗り上げ易くなる。すなわち、第2部材52の上面52aの位置が、角部Cにおいて他の部分よりも高くなる可能性がある。上面52aの位置が部分的に高くなると、上面51aの位置をそれよりも高くしなければならず、発光装置1が大型化してしまう。
角部Cの内角を90度以上にすることで、角部Cにおいて樹脂材料が引けやすくなり、角部Cにおける上面52aの位置の上昇を抑制できる。この結果、上面51aの位置の上昇も抑制され、発光装置1を小型化できる。
【0034】
同様に、第1枠部41の平面視形状は、4角形以上の多角形状または略円形状であることが望ましい。これにより、第1部材51を形成する際に、樹脂材料が引けやすくなり、第1部材51の上面51aの位置の上昇を抑制でき、発光装置1を小型化できる。
なお第1枠部41、第2枠部42の少なくともいずれか1つが多角形状である場合、基板上に吐出された樹脂材料の広がりにより、多角形の角部の先端は丸みを帯びた形状、いわゆるアール状となっていてもよい。
【0035】
図1~
図3に示したように、基板10上には、さらに、印刷抵抗15a~15c、保護ガラス16、保護樹脂17、電子部品18a、及び電子部品18bなどが設けられていても良い。印刷抵抗15a~15cは、
図3に示したように、基板10の第1面10a上に印刷され、配線パターン14の所定の部分同士の間に接続されている。保護ガラス16は、
図2に示したように、配線パターン14の一部及び印刷抵抗15a~15cを被覆している。保護樹脂17は、保護ガラス16上に設けられ、印刷抵抗15a~15cの上に重ねて設けられている。
【0036】
基板10には、ピン孔19a及び19bが設けられている。発光装置1をソケット等に搭載する際、ピン孔19a及び19bにそれぞれ外部のプラグ(端子)が通され、配線パターン14と電気的に接続される。電子部品18a及び18bは、配線パターン14と電気的に接続され、ピン孔19a側の端子とピン孔19b側の端子との間に接続されている。
【0037】
ここで、第1枠部41は基板10の略中央に配置され、ピン孔19a及び19bは基板の外縁近傍に配置される。第2枠部は基板10のピン孔19a及び19bが配置される外縁と対向する外縁に沿って配置される。これにより、外部との電気的接続部であるピン孔19a及び19bと電子部品とを離間して配置できるため、例えば電子部品の直下にヒートシンクを配置した際に、ヒートシンクと外部接続端子とを離間させやすくなり好ましい。
【0038】
図7は、実施形態に係る発光装置の回路構成を示す回路図である。
発光装置1は、例えば
図7に示す回路構成を備える。
図7に示した例では、3つの発光素子20a~20c、2つの印刷抵抗15a~15c、1つの保護素子18a、1つのコンデンサ18b、 1つの整流ダイオード30a、3つのトランジスタ30b~30d、及び3つのサーミスタ30e~30gが設けられている。
うち、本実施形態に係る発光装置では、1つの整流ダイオード30a、3つのトランジスタ30b~30d、及び3つのサーミスタ30e~30gが電子部品として、第2枠部42内に配置されている。
【0039】
例えば、ピン孔19aに正極端子が挿入され、ピン孔19bに負極端子が挿入される。正極端子は、整流ダイオード30aに接続されている。整流ダイオードの負極側では、発光素子20a~20cと印刷抵抗15aとが並列に接続されている。また、発光素子20a~20cの負極側は、2つのトランジスタ30b及び30cのコレクタに接続されている。トランジスタ30b及び30cは、並列に接続されている。
【0040】
印刷抵抗15aの負極側は、トランジスタ30b及び30cのベースに接続されている。また、印刷抵抗15aの負極側は、トランジスタ30dのコレクタとも接続されている。トランジスタ30b及び30cのエミッタは、トランジスタ30dのベースと接続されている。トランジスタ30b及び30cのエミッタと、トランジスタ30dのエミッタとの間には、印刷抵抗15b及び15c、サーミスタ30e~30gが並列に接続されている。トランジスタ30dのエミッタは、負極端子に接続されている。
【0041】
発光装置1を流れる電流は、トランジスタ30b~30dのベース・エミッタ間電圧VBEと、印刷抵抗15b及び15cの電気抵抗と、サーミスタ30e~30gの電気抵抗と、により決定される。発光装置1に電流を流していると、トランジスタ30b及び30cの温度が上昇し、電圧VBEが降下する。サーミスタ30e~30gは、温度変化による電圧VBEの変化を補償するように、負特性を有する。すなわち、サーミスタ30e~30gの温度が上昇すると、これらの電気抵抗が減少する。これにより、発熱により発光装置1の温度が変化した場合でも、発光装置1に流れる電流の変動を抑制できる。また、複数のトランジスタを並列に接続し、且つ複数のサーミスタを並列に接続することで、より大きな電流を発光装置1に流すことができる。
【0042】
整流ダイオードの負極側と負極端子との間には、電子部品18a及び電子部品18bがさらに並列に接続されている。電子部品18aは、ツェナーダイオードである。回路に一時的な大きな電圧(サージ)が発生した際に、ツェナーダイオードを電流が流れることで、他の電子部品の破壊を抑制できる。電子部品18bは、コンデンサである。コンデンサが設けられることで、電流のノイズ成分が発光素子20a~20cに流れることを抑制できる。
【0043】
このような回路構成を備える発光装置1は、例えば、車の方向指示器やDRL(Daytime Running Lamps)などの照明に用いられる。なお、
図7に示した回路構成は一例である。発光装置1は、別の回路構成を備えていても良い。発光装置1の備える回路構成は、発光装置1の用途等に応じて適宜変更可能である。
【0044】
(変形例)
図8及び
図9は、実施形態の変形例に係る発光装置を示す平面図である。
図9では、発光装置の内部構造を示すため、一部の構成要素を省略又は透過させて示している。
【0045】
図8及び
図9に示した発光装置2は、第1部材51の側面を被覆する第3部材53をさらに備える。第1部材51及び第3部材53は、第1領域11の基板10上に設けられている。第1部材51は、第3部材53に囲まれており、複数の発光素子20を被覆している。すなわち、第1枠部41の内側において、発光素子20上には第1部材51が設けられ、その他の部分には第3部材53が充填されている。
【0046】
第1部材51は透光性を有し、第3部材53は非透光性を有する。第1部材51は板状であり、例えばガラス板である。ガラス板には、蛍光体が含有され、着色されていても良い。又は、ガラス板は、その表面に蛍光体を含む材料が印刷等により形成されていても良い。又は、第1部材51は蛍光体の焼結体や、樹脂、セラミック又は他の無機物に蛍光体を含有させたもの等が挙げられる。第3部材53は、例えば樹脂を含み、第2部材52と同様に白色の顔料が添加されている。このような第1部材51及び第3部材53を第1領域11上に設けることで、発光面(つまり第1部材51の上面)を所定の領域に画定することができるため、発光装置2による照射範囲を限定できる。
【0047】
また、発光装置2では、第1枠部41の平面視形状が、6角形以上の多角形状(この例では8角形状)である。第1枠部41の平面視形状は、
図1~
図3に示したように、円形状でも良い。
【0048】
図10は、
図8のC-C’断面図である。
図10に示したように、発光装置2においても、第1部材51の上面51aは、第1枠部41の上面41a、第2枠部42の上面42a、及び第2部材52の上面52aよりも上方に位置している。また、上面51aは、第3部材53の上面53aよりも上方に位置している。これにより、発光装置1と同様に、発光装置2においても、光取り出し効率を向上させることができる。このように、第1部材51の上面51aと他の部材の上面とが上述した位置関係にあれば、発光装置の具体的構成は適宜変更可能である。
【0049】
前述の実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこの実施形態には限定されない。当業者が上述の実施形態を適宜設計変更して実施し得る形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1、2…発光装置、 10…基板、 10a…第1面、 11…第1領域、 12…第2領域、 14…配線パターン、 15a~15c…印刷抵抗、 16…保護ガラス、 17…保護樹脂、 18a、18b…電子部品、 19a、19b…ピン孔、 20、20a~20c…発光素子、 30…電子部品、 30a…整流ダイオード、 30b~30d…トランジスタ、 30e~30g…サーミスタ、 41…第1枠部、 41a…上面、 42…第2枠部、 42a…上面、 51…第1部材、 51a…上面、 52…第2部材、 52a…上面、 53…第3部材、 53a…上面、 C…角部、 W…ボンディングワイヤ